アイキャッチ撮影:鈴木 千花(以下、注釈がない写真はすべて同じ)
自分は大丈夫!と思っていたのに、実際は……
「いままで大丈夫だったし、怪我なんてしないでしょ!」
と思っていても、突然起こることがあるハプニング。あなたはちゃんと対応できますか?
例えば、ハプニングの1つである「怪我」に対して。ファーストエイドキットは持っているけど、「道具の使い方をあまりよく知らない……」 「たぶん使えるでしょ?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
「想像以上に動けない」ハプニングに対面した人々
実際に、登山中に同行者が捻挫をしてしまうというハプニングに直面した方々から、話を聞いてみました。
なんとなくテーピングや湿布などの道具はもっていたけど、それを「どう使うかわかっていないと意味がない」と感じました。間違った使用法で、逆に痛めちゃったりする可能性もあるし怖くなって、ちゃんと使い方の知識をつけなきゃと思いました。
下山できないじゃん、どうしようって、どんどん不安になりました。ちょっとしたテーピングは持っていましたが、巻き方はわからず……。何もできない自分に気づきました。
いままでは大きな怪我や遭難もなく、楽しくを登山してきた方々。そんな人たちが、このままではいけないと考え始めたのは、こんなきっかけがあったからでした。
登山ツアーでハプニングを体験!
2024年5月25日(土)・26日(日)に開催されたアウトドアイベント「Climb on!! 2024 in小川山」にて、YAMA HACK&ココヘリの登山ツアーを実施。山岳ガイドの石沢 孝浩さんに山の歩き方を教わりつつ、緊急事態が起きた場合、ちゃんと対応できるのかを参加者にチャレンジしてもらいました。
登山メンバーが捻挫!さあ、あなたならどう対処する?
石沢ガイドから山の歩き方を教わっている途中、ツアーメンバーが捻挫をするというハプニングが発生。もちろん実際に捻挫はしておらず、演技にて実施しました。
テーピングは持っているけど……どう固定すればいいの?
メンバーが捻挫しちゃったみたいで……。どなたか、対応できるものを持っていませんか?
その声を聞いて、ザックの中から湿布やテーピングをとりだして渡してくれる参加者たち。しかし、テーピングを持っていたのは参加者の半数でした。
テーピングの巻き方とかご存知ないですかね?対応していただきたくて……。
テーピングは所持していたものの、対応を促すとどのようにテーピングを巻いたら良いのかわからず、「わからない……」となかなか行動にうつせない現状でした。
「道具を持っているだけじゃダメだ」と感じてもらったあとにネタバラシ
実は捻挫はしておらず、「こんなハプニングが起きた時、自分には何ができるのか」を考えてほしかったんです。
ネタバラシ後の参加者はほっとした表情。実際に捻挫が起きた場合、どのように対処すべきかを石沢ガイドに教えていただきました。
「ハプニングが起きた時、動けなかった」という経験をしたからか、石沢ガイドから対処法を教わる参加者の顔は真剣そのもの。自ら対処法について質問したり、テーピングを巻く際に動画をとって記録を残しているほどでした。
「ちゃんと知っておこう」そう決意した参加者たち
怪我人の対処法を学び、登山ツアーから帰ってきた参加者たち。下山中は、「天気が良くてよかったね!」などの会話で盛り上がるのではなく、知人のヒヤリハット体験を共有したり、「こんな時のために、装備を見直さなきゃね」などといった、「万が一」を考えた話で盛り上がっていました。
解散前にツアーの振り返りを実施。参加者の口から出たのは
道具はあっても、捻挫時のテーピングの巻き方がわかりませんでした。むしろ、この道具をお渡しするので誰かお願いできませんかって他人まかせなスタンスになっているなと……。今後は簡単なことからでも、セルフレスキューのために知識をつけていきたいです。
ガイドさんがいるし、ツアーだし、「大丈夫でしょ」と正直少しナメちゃっていました。でも、万が一はいつ起こるかわからないと実感したので、今後はちゃんと緊急時に対応できる道具をどんな山でも持ち歩こうと思いました。
という、「事前に緊急事態の対応法を知っておこう」 「万が一に備えて必要なアイテムを持っておこう」という決意でした。
備えあれば憂いなし!「万が一」を想定して、安全で楽しい登山にしよう
いままで遭難や怪我に直面したことがない人でも、いつ起こるかわからないのが「ハプニング」。だからこそ、「前回大丈夫だったから今回も大丈夫」という考え方は危険です。
まず大切なのは、”自分にもなにか起こる可能性がある”と知ること。
自分にもハプニングが起こり得ると思っているからこそ、「とりあえずファーストエイドキットを持っておこう」ではなく、自分にとって使いやすい道具は?怪我以外の緊急時はどうやって対応しようなど、安全に登山を行うための準備ができるのです。
今回ツアーで体験していただいた怪我のハプニングは、「万が一」の中の一部。怪我以外にも体調不良や遭難防止のために知っておいた方が良いことなどがたくさんあります。いざという時に、安全に対応し、「今回の登山も楽しかった!」と笑えるよう、皆さんも登山時の安全について考えてみませんか。