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なぜ東京人はオチのない話を延々と続けられるのか?
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2025-09-13

なぜ東京人オチのない話を延々と続けられるのか?

東京電車内やオフィスで、目的結論もない雑談が延々と続く光景を見かけると、関西出身者は「オチがない」「何が言いたいのか分からない」とイライラすることが少なくありません。しかし、この一見無意味に思えるコミュニケーションの背景には、東京ならではの社会的言語的な文化が息づいています

まず、東京人の会話は「ネガティブ・ポライトネス志向」に強く支配されています言語学者・吉岡泰夫の研究によれば、首都圏では相手ネガティブ・フェイス自己領域の維持)を尊重するために、過度に踏み込まず、相手結論や反応を強制しない「礼儀正しい間」の取り方が重視されるのです。その結果、話し手聞き手相手領域を侵さないように配慮するあまり、会話の終着点をはっきり示さないまま話題継続する傾向が生まれます

一方、大阪などでは「ポジティブ・ポライトネス志向」が強く、相手との一体感を重視して積極的ツッコミや乗っかりを行い、共に話題を膨らませる「ボケツッコミ」のキャッチボールが会話の基本です。相手が何を伝えたいのか常に確認し、協調的に結論まで導くことで、お互いが納得感を得るのです。これに対し、東京では「話題を膨らませる」よりも「話す自由」を重んじ、聞き手はあえて質問や反応を控え、話題の主導権を完全に話し手に委ねる文化があります

さらに、東京は人々が多様なバックグラウンドで混在し、日常的に見知らぬ他者と雑多な接触を繰り返す匿名都市です。この環境下では、会話が「情報交換」ではなく「存在可視化」や「関係維持」の手段として機能します。結論を共有しなくても「あなた存在認識しました」というメッセージが伝われば、それで十分なのです。したがって、オチのない話が続いても、不快よりもむしろ「つながっている感覚」を得るひとつ方法なのです。

結果として、東京人は結論オチを求めず、相手との距離感を保ちながら延々と話し続けることができるのです。これを「無駄」だと切り捨てるのではなく、ネガティブ・ポライトネス都市匿名性が作り出す、東京ならではのコミュニケーション様式だと理解すれば、むしろその静かな空気感こそが、都会での調和の鍵であると気づかされます

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