閲覧注意？】優秀だけど厄ネタまみれの高専生を作って見守る　ごく稀に【🎲　⚓️】2

なんだかんだで3スレ目です

とりあえず纏めをな

Writeningwritening.net

短縮URLも禁止されたんで経由用です

月村薊　見た目

【閲覧注意？】優秀だけど厄ネタまみれの高専生を作って見守る【🎲　⚓️】｜あにまん掲示板というわけでN番煎じですが高専生を作りますなお閲覧注意を付けたので場合によってはエログロ有りですので主人公？は女の子固定です見切り発車なので最後まで行けるか極めて怪しいです基本原作に沿って進みます(余…bbs.animanch.com

【閲覧注意？】優秀だけど厄ネタまみれの高専生を作って見守る【🎲　⚓️】1.5｜あにまん掲示板落ちてしまったので続きをbbs.animanch.com

なお纏めからの変化
エロ任務で以下の特徴が追加
・クリが常に剥けて勃起しており感度上昇
・体液に媚薬成分が混ざりイクと母乳が吹き出す
・尿道、子宮、卵巣が性感帯に、元から敏感な尾と角、前後の穴も更に敏感化
・栄養吸収効率の上昇(つまり後ろの穴が実質入れる為だけの穴に)
・乳尻が更にデカくなり尻尾もやや巨大化
・下の毛は濃いまま

>>3

— 2025年01月31日

現在渋谷事変進行中
現状
一年組
虎杖:ほぼ原作通り　一応脹相と相打ちになったが相手が先に回復してどっか行った
伏黒:大体原作通り　猪野が健在なので行動がちょっと早い
釘崎:不明　多分完全に原作通り

薊:現在閻姫(オリ呪詛師　多分平安No2)とビル飛び回りながら戦闘中
その他
術師
猪野:薊のお陰でボコボコにされる事を回避
七海:伏黒の突入が早かったおかげでほぼ健在　なおこの後火山
直毘人:同上
真希:同上
狗巻:原作通り
パンダ:多分原作通り
日下部:同上
冥冥&憂憂:同上

呪霊他
羂索:大体原作通り　さっきまで地下でゲームしてた
脹相:ほぼ原作通り　現在存在しない記憶に混乱中　虎杖によるダメージが原作よりやや多い
漏瑚:油断してたら死にかけた(二度目) 原作より呪力がちょっと減ってる
花御:壁のシミ
陀艮:伏黒が早く来たせいでほぼ術師側にダメージ無し
閻姫:薊と楽しく戦闘中　他だと多分手がつけられない

とりあえず今日は真人の無為転変が薊に(というか受肉の器に)効くのかどうかを下5レスで多数決取って終了

まあでは効くけど真人側があんまりやりたがらないし二、三回魂お触りされたら輪郭を知覚できるということで

宿儺に近い才能だしいけるでしょう

あと漏瑚の現在の消耗度　原作より　dice1d3=3 (3) 割ほど呪力が削れてる(その内戻るし戦いには影響がないけど)

陀艮の頭に研ぎ出された遊雲の先端が突き刺さり腕から力が抜ける

それでも彼は諦めない
呪霊の矜持に掛けて
「まだ！終わら
ドチュ
遊雲の尖った両端、そのもう片方が頭を貫通する


ドチュヂュヂュヂュヂュヂュヂュ

遊雲の接合部を破壊した甚爾は、陀艮の頭に連続して刺突を叩きつける
瞬間、音を立てて領域が消滅
南国めいた浜辺から無機質な駅の構内へと景色が戻る

自分達が殺されかけた陀艮を最も容易く屠ったことへ驚愕する真希
息を荒げ、鼻から血を吹き出す限界間近の伏黒と自分達が死にかけたことを自覚して気遣う七海

しかし術師達にとって、呪霊が祓われたのでこれで終わりとはいかない

いきなり現れ呪霊を殺した、明らかに異常な眼前の男

結果的に自分達を救った相手だが、それはイコール味方とは限らない
実際、彼らの預かり知らぬところだが今の禪院甚爾は本能のままに戦い続ける殺戮人形
その牙は常に強者へとーー

猪野がそれに気づけたのは完全に偶然だった
偶然伏黒のほぼ後ろにいたこと、今迄の戦闘で一切負傷していない事、最初の接触で甚爾の速度を他の者以上に認識していたこと

その偶然が辛うじて甚爾の動きを―正しくは伏黒の移動を認識し、その服に掴まるという行動を可能にさせた

次の瞬間、駅から投げ出される伏黒と伊野
過程は一切認識できず、気づけば元の場所から数十メートル離れた道の上だ

伏黒の頭に過日の宿儺が過ぎる

(下手したらあの時の宿儺より……！何なんだ、コイツは！！！)

絶対的な実力の差。伏黒が感じたのは宿儺や五条悟と同質の威圧感
恐らくこのまま戦えば待っているのは確実な死
それでも立ち向かう以外に選択肢はない
猪野と伏黒は立ち上がり向かい合う

絶望が訪れるのは一方とは限らない
伏黒と伊野、2人が一瞬で消え去り遠くに落下したのを観測した真希は即座に飛び出そうとした
だが彼女は動き出す一瞬手前で固まった

否、固まったのは真希だけではない
その場に居た術師は3人ともそ“それ”の接近に気付かなかった
崩れ、散りゆく呪霊の残骸
その傍に別の呪霊蹲っていた

「逝ったか陀艮」

消えゆく塵を手に呟くとその呪霊――漏瑚はゆっくりと立ち上がる

(おいおいおい、冗談だろ？)
(陀艮という呪霊より格段に強い！！)

自分達を容易く殺しかけた陀艮
それと比べ物にならない程の圧力を放つ目の前の呪霊

一級術師として様々な呪霊を祓ってきた二人は真希以上に事態の深刻さを理解してしまう

「後は任せろ、人間などに依らずとも我々の魂は廻る百年後の荒野で又会おう」

だが相手はそんな事に構ってはくれない
灰を握りつぶした漏瑚は一瞬沈黙する
その一瞬で彼が何を想ったのかは分からない

「……………………さて」

そうして殺意を纏った呪霊が動き出す

「一人目」
「！」

瞬間、七海の前に移動した漏瑚は一撃で彼を火だるまにした
しかし七海も術師の最高峰である一級術師
呪力防御で耐えながら攻撃を繰り出す
だがその均衡も一瞬で崩壊、煙を上げて倒れゆく

「七―――」

叫ぶ真希だったが言い終える前に漏瑚の手が触れる

「二人目」

呪力が無い彼女は防御すら出来ずに炎に包まれる
三人目に向かおうとした漏瑚だが直毘人は既に背後

禪院直毘人の術式　投射呪法
1秒を24分割し、己の視界を画角としてその中で作った動きをトレースする術式
彼の掌に触れた者にも同様に1/24秒での動きを強制する
デメリットとして作った動きは修正出来ず、物理法則から大きく外れる事も出来ない
この複雑な術式を天性のコマ打ちセンスと時間感覚で使い熟し、彼は最速の術師と呼ばれるに至った
陀艮の領域で多少消耗しようと五体満足の彼の最速は漏瑚より早い
背後から出現した二つの火砲を避け漏瑚に肉薄、フリーズさせて殴り飛ばす

「成程、そこそこやるようだ」

しかしそれも無駄な足掻き
彼の目の前の突如出現した虫の式神の爆発に巻き込まれたところを火砲が襲う

「三人目」

漏瑚は焼け焦げた直毘人の身体に手を当て止めを刺そうとし―――
渋谷に異常な呪力が奔った

因みに三人の焼かれ具合は　

dice1d3=2 (2)

1陀艮戦の消耗が無いので原作より軽め

2大体原作通り

3消耗してなかったので原作より強めに焼かれた

「！！」

渋谷を走り抜けた異常な呪力の波
五条悟が封印された今、その様な物を発する原因はただ一つ！

(宿儺……いや違う‼︎指だ‼︎渋谷のどこかで宿儺の指が解放されたのだ‼︎)

特級呪霊の中で宿儺復活派は自分だけ
そして集団内で確保した宿儺の指は自分が全て保持している
それが指し示す事実は真人や脹相以外の第三者が宿儺の指を解放したということ
そしてこの状況で、自分達と関係無く宿儺が出て来る事は想定を遥かに超えた事態を齎す恐れがある

瞬時にそう判断した漏瑚は直毘人にトドメを刺す事すら放り出し、呪力の発生点へと走り出した

(狗巻先輩のお陰で周囲に人は居ない。目の前の相手に集中しろ。想像するんだ、コイツに勝つ想像―――勝つ想像…………)

(コイツの速度は二度見た。力も七海さんや虎杖を軽く超えている。加えて特級呪具…………)

甚爾と対峙する伏黒と猪野だったが相手の存在感に圧倒される

「…ッ『脱兎‼︎』」

大量の兎が出現し、伏黒と猪野を覆い隠す
次の瞬間、悍ましい呪力が三人を通過する
その一瞬が伏黒の命を救った
勘で突撃した甚爾
尖った遊雲の片割れが大量の兎を貫く
だが直撃した筈の遊雲は伏黒のすぐ後方を通過
直後に猪野の獬豸が甚爾を襲うが彼はそれを野球の様に弾き飛ばすと同時に猪野に肉薄、腹部に拳を叩き込み彼を弾き飛ばす
「ガッ………！」
血を吐きながら吹き飛ばされた猪野は壁に激突、視界から消える

その隙に伏黒は路地裏へ走る

(猪野さんは多分大丈夫だ。呪力で防御したのが見えたし少なくとも死にはしない筈だ。問題は俺の方、もう領域を使える程呪力は無いし有っても俺のはまだ相手を閉じ込められる程完成度が高く無い)

伏黒は増え続ける兎で辛うじて相手の視界を塞ぎながら路地裏を駆ける

(脱兎も多分もう効かない、長引くほど不利だ。短期決戦しかない！)

そう判断した伏黒は蝦蟇を利用して甚爾の攻撃をなんとか回避、直線道路へと誘い込む

(唯一のアドバンテージは家入さんが渋谷に居て先輩の血のストックがある事！式神は消費できない以上無理をするなら俺自身！すぐ治せて戦線復帰可能な範囲でこの場を収める……！！)

伏黒は直進するしかない場所に状況を整え、カウンターを狙う

(呪力無しで宿儺や先輩並みの速度。恐らくコイツは真希さんの完成系、目で追うなタイミングだ。タイミングを外せば死ぬ、タイミングを外せば　死―――)

思考が終わる前に甚爾が動く
瞬間、その足が影にとられる
遊雲が脇腹に突き刺さると同時に甚爾を抑える伏黒は、影から剣を取り突き刺した

伏黒は知らない
今自死した男が誰であったのか
彼の頭に何が去来し、何故自死を選んだのか

自死した相手の遺骸を検めると顔も体格も変わっていた

(死んで降霊術が切れたのか…………？)

まるで自分を知っているかの様な男の顔と、反応からして何か知っているであろう直毘人の顔が過ぎる

(今は考えるのはよそう……早く家入さんのところへ……いやその前に猪野さんと真希さん達の無事を…)

そこまで考えてふらふらと立ち上がった彼を、突如の斬撃が襲った

「―――ン―――――サン！」

誰かの声が聞こえる
身体が酷く熱い。その上だるい
疲れている証拠だ
寝てしまいたいのに声が五月蝿い

「七海サン！！」

七海は目を見開き飛び起きる
いや、正確には起きようとした
だが右半身にに激痛が走りそれを遮る
見れば自分の身体は焼け焦げ、皮膚表面は炭と化していた

「よかった、意識だけでも回復してくれて。まだ体動かさない方がいいっスよ多分」

猪野の姿が目に入る
向こうでは真希と直毘人が横たえられている

(視界がおかしい…そうか、目もやられたか…)
「二人は…いやその前に何故君がここに？伏黒君は」

「伏黒は分からないです。アレに外に連れ出されたとこまでは一緒でしたがそこでこっちに殴り飛ばされちゃったので」
「ということは彼が一人であれの相手を？」

七海の脳裏に先程の暴威が過ぎる

「逃げに徹してるとは思いますが正直分の悪い賭けだとは思います。祈るしかないっスね。で、殴り飛ばされた先が偶然こっちだったんで急いで戻ろうとしたら七海サン達が倒れてて…、急いでコレを飲ませたんですが正直禪院特別一級術師は焼かれ方が飛び抜けていたので…」

そう言って猪野は懐から空になったジップロックの様な物を取り出す

「成程、月村さんの血ですか」
「はい、さっき会った時に。五個もらいましたが一つは俺が飲んで残りは皆さんへ…さっき見た感じだと真希さんは大丈夫そうです。一応禪院一級術師にはさっきまで霊亀で冷却をしてたんですがガス欠で…すいません」
「分かりました、急いで家入さんの所に向かいましょう。月村さんの血は一時的に身体能力や再生力を引き上げますが少量では効果も短い」
「ウス！」

意識の無い二人を担ぎ上げ、駅から出る猪野と七海
「術師は引退ですね…………。恐らく治っても今までの半分も動けないでしょう」
そう呟く七海に猪野は何も言えなかった

そうして彼らが歩き始めて五分も経たず、渋谷のビル群、その一つが派手に爆発した

時刻は少し巻戻る
渋谷ビル群の上空に強烈な振動と破裂音が連続してこだまする
原因は超高速で移動する二人の術師

「ハハハハハいいぞお主、千年前もここまで出来るのは滅多に居なかった」

その片割れ――閻姫が手を振り上げれば即座に巨大な赤い球体が形成され、同時に巨大な刃となってもう一人へ突進する

「それはもう何度も見ました!」

しかし刃は相手に届く直前に破砕、砕けた破片が宙を舞う

「ならばこうしよう」

瞬間、宙を舞う破片が変形、刀を振るった直後の相手――薊に大量の矢として殺到する

『シン陰流・簡易領域』

薊はそれに即座に対応、全ての矢をフルオートで撃ち落とす

(さっきから同じ様な攻撃ばかり、正直言って対応は楽ですがその分目的が読めない)

そう思いながら適当なビルの屋上に着地する薊

彼女は閻姫と違って飛べるわけではない
空気の面に衝撃波を当てて移動しているだけなので一瞬でも休息は欲しかったりする

「おうおう息切れか？」
(呪力量は問題無いけど…お互い再生力が強すぎて千日手気味)
「では次じゃ『龍』」

閻姫がそう呟いた瞬間、階下から巨大な影が飛び出す

「これは…」

その見た目はシルエットこそ細長く龍の様だが、その実巨大な肉の塊

「この渋谷は今や呪いの坩堝よ。なれば少し早いが生き残った者どもは蠱毒の勝者と言ってよかろう。実際真人のアレはこれを作る以前に殆ど討たれておるしの」
「改造人間の集合体、これを作っていたから…」
「まあコレは手慰みの余興よ。本命は―」

彼女が言い切る前に悍ましい呪力の波動が渋谷全体を通り過ぎる

(これはっ！虎杖くんの身に何が！？)
「ククク、遅いお目覚めだな」

ーーーー
新宿駅の地下、一匹の蝙蝠が見つめる先で気絶した虎杖悠仁の口に宿儺の指が放り込まれた

因みに薊ちゃんの血は

dice1d4=2 (2)

1効果永続

2液体の内は有効

3時間で効果減衰(数日は保つ)

4込めた呪力量次第で3の時間が伸びる

渋谷のビル群の上空にのたうつ巨大なシルエット
その周りを高速で移動する小さな影が二つ

「しつっこい！」
「カハハッ数十の命の寄せ集めよ。加えて儂の血が入っておる、容易くは落ちんぞ！」

薊は周囲を跳び回りながら肉の龍を削っていくが命のストックが膨大な上に閻姫によって強化されたそれにはなかなか有効なダメージを与えられないでいた

(強さ的には特級未満一級以上くらいですが…それを補って余りある厄介さ！)
そうこうする内に遠くのビルの一角が爆発、そこから二つの人影が宙を舞う



「そんなものか⁉︎呪霊‼︎」
「まだ…まだぁ‼︎‼︎」

飛び出してきたのは先程対峙した火山の呪霊、そして虎杖悠仁
薊の視力は空中で漏瑚を蹂躙する虎杖の見た目の異常をしっかりと映し出す

異常な威力の火砲が連続して発射され、さらには溶岩流めいたものまで出現、渋谷が凄まじい速度で崩壊していく
そしてそんな攻撃ですら宿儺には傷一つ与えられていない

「あれが…宿儺？」

普段のどこか抜けた青年とはかけ離れた邪悪な気配

「ところでお主の相手は儂等なんじゃがのう？」

数秒そっちに意識が集中した薊を閻姫が捉え、床に叩きつける
起きあがろうとした彼女を龍が踏みつけるが、ほぼ同時にその巨大な脚が弾け飛ぶがそれも数秒で再生

(この龍の体積は明らかに減っている…このまま続ければいずれ削りきれはするが……)

そう考える彼女の視界の端で再びビルが爆発
同時に瓦礫が寄り集まって巨大な塊を形成し落下していくのが目に入った
その余りの派手さに閻姫や思考を持たない肉の龍すらも注意がそちらに向いた瞬間、彼女は大きく横に刀を振りかぶり―

「穿」

―次の瞬間龍は身体を一直線に削り取られ、断末魔を上げる暇もなく即死した

突きを放った姿勢から即座に閻姫に視線を戻し斬りかかろうとする薊だったがその姿を見失う

(どこに…！？)
「がっ⁉︎」

彼女が呪力を探知しようとする寸前、その美しい首元に牙が突き立てられたのだ

「ぐっ…な…にを…」

辛うじて声を上げる薊だが自分の体から血と呪力が凄まじい速度で吸い取られていくのを感じる

「カカッ…悪いのう、こう見えて呪力切れが近かったのでな補充させてもらった。にしてもお主流石だの、宿儺に近い呪力の量ぞ」

そう言いながら薊から離れ、血の杭を射出する閻姫
当然薊も避けようとするが血を失い過ぎて回避が間に合わない

「ぐっ…！」

薊に命中した杭は枝分かれし、行動を封じて行く

「なに、殺す気はない。まあとはいえ、儂が宿儺と話してる間大人しくしておれ」

そう言って再び飛翔する閻姫

(…………呪力の残量は約半分、血を吸われたダメージの方が大きいか。なら！)

未だ燃え盛る巨大な岩塊の上、宿儺の放った炎の矢が呪霊を焼き尽くす光景が目に映る
そこに向かって飛んでいく閻姫を見ながら薊は呪力による血の生成を開始する

(呪力を血に変える！今ここで、反転術式を会得する！！)


燃える岩の上に立つ宿儺
そこに現れた着物姿の美女

「宿儺様、お迎えに参りました」
「誰だ」

見覚えのないその姿に宿儺は一瞬訝しむが、その呪力と、何より自分に向ける態度から相手を理解する

「裏梅か！！」
「お久しうございます」

最悪の主従が、1000年の時を経て再び邂逅した

因みに閻姫ちゃんさんは一瞬だけ霧になって薊ちゃんの後ろに回りました
吸血鬼術式の割と奥の手的なものです

「儂もおるぞ。久しいの、まあ身体の方にはこないだ会うたが」
「俺を見下ろすな不愉快だ」
「相変わらず面倒な性格だの、まあそれも懐かしい話だが」

そう言って岩に降り立つ閻姫

「貴様は何の用だ」
「ん？顔を見に来ただけだが？お主も悠長にしている暇は無いだろうしの」

閻姫がそう言うと同時に、渋谷に異質な呪力が駆け巡る

「確かにな、ククッ」
「宿儺様？」
「急用だ」
「…………作用で」

「俺が自由になるのもそう遠い話ではない。ゆめ準備を怠るな、またな裏梅」
「…………御意に」

消える宿儺に対し、万感の想いを込めて応じる裏梅

「では儂も行くかの、まだ終わっておらんしな」

再び浮かぶ閻姫は自分の打ち込んだ杭が消えたのを探知し嗜虐的な笑みを浮かべる

「貴様は今後どうする気だ？」
「クカカッ羂索との契約は死滅回遊が成るまで、その後は好きに遊ばせて貰うわ。人はしぶとい、少しすれば状況に合わせて世は回るだろうしの」
「そうか、宿儺様の邪魔だけはするなよ。貴様とやり合うのは面倒だ」
「まあ心配せずとも貴様等と対立することはまずあるまい。まあ儂は未来なぞ分からんから案外やり合う事もあるやもしれんがな」

そう言って飛び去る閻姫を見送り裏梅自身もその場から消える
そうして火と瓦礫の山の中、未だ熱を保つ巨大な岩塊だけが残された

「よっと」

空中から翼を畳んで降り立つ閻姫
相対する薊は穴だらけの服以外は傷ひとつ無い肉体へと戻っている

「反転術式…か？」

「ええ。そういう意味では貴方には感謝します、あのままではいつまで経っても習得できなかったでしょうから」
(使い所はあまり無さそうですが)

「まあお主の術式ではそうかもしれんのう。で？まさかそれを習得した程度で勝てるとは思っておるまい」

(そう、その通りだ。相手は術師、反転を習得したところで攻撃には使えない。でも…)
「貴方の正体は分かりました」

「ほう？」

「前回戦った後、五条さん達と話しました。身体が吹き飛ばされたら呪力は練れない筈。何よりどんな攻撃を受けても痛みを一切感じないと言うのが不自然でした」
「…………」

推察を口にする薊に対し恐ろしい笑顔を浮かべながら無言で続きを促す閻姫

「でもそれは自分で呪力を産生すると言う前提の話、外部からの供給ならば問題が無い。結論として、恐ろしく精密な式神、それが貴方の正体です」

「クククッ…カハハハハハハハッ、なるほど痛みを感じないのは確かに不自然よな、次が有れば痛がる演技でもしようかの。ハハハハハハ………確かに儂のこの身体は式神よ」

(術者の意識を乗せられるほど高度な式神…聞いたことも無い技術だが……それは嘱託式の帳も同じか)

「それで…？分かったところでどうする小娘。こちらの呪力が完全に切れるまでやり合ってみるか？ん？」

遠くでビル群が凄まじい速度で崩壊し、白い巨体が跳ね回り大地が巻き上がるのが見える
その周囲では建物が切り刻まれ、電車が宙を舞っている異常な光景が展開されていれる

(宿儺が何かと戦っている？ならここで更に時間を使う選択肢は無い。恐らく相当重い縛りを複数結んでいる筈。本体の位置を特定できれば…)

「あゝそうだ、一応教えてやろう、儂の本体は帳の外よ。まあ行かせんがの。ついでに言えば…さっきお主から血を吸った影響でどうも……一時的に強化されておっての！」

そこまで言うと一瞬で距離を詰め殴りつける閻姫
咄嗟に防ぐ薊だったがそのまま数メートル押し込まれる
そのまま閻姫の腕を押さえ投げ飛ばそうとするが、相手は自分から回転し側頭部へ蹴りを仕掛けてくる

それを屈んだ避けつつ衝撃波を纏った掌底を打つが閻姫は最低限の動作でそれを回避、呪力を乗せた拳を薊腹に叩き込む
それを呪力で防御する薊だったが先程迄と比べ物にならない威力の拳に吹き飛ばされる
空中で姿勢を立て直した瞬間、追い付いてきた閻姫に腹を蹴られ更に空中を泳ぐ


そのまま両者とも狭い間合いで攻撃の撃ち合いとなり、最終的に薊は地面に墜落する

偶然か、はたまた誘導されたのか落ちた先は非術師を閉じ込める帳のすぐ近く、狗巻の避難させた民衆の只中だった
宙に浮かぶ閻姫を見上げ再び刀を構える薊とそれを見て逃げ出す人々

(この帳は術師を阻害しない、だが…)
「もう一度言うが、行かせはせんぞ？」
(恐らく私が帳を抜ければこの人達が犠牲になる。ここで式神体を倒すしかない！)

そう覚悟を決めて薊は飛びかかる
当然応戦する閻姫は血と毒でできた蛇と百足を複数放ち拘束にかかる

「変わり映えせんな」

そういう彼女に対し薊はそれらを粉微塵に切り捨てると、術式による身体強化を人生で初めて全開で使用し肉薄する
閻姫の首を一瞬で切り弾き飛ばす

「ヌッ！？」
(恐らく体の一部を核に再生している。なら再生の核になる欠片も残さず首と身体を同時に仕留める！)

極度の集中によるものか、はたまた術式の影響か、薊の時間感覚が引き延ばされる
鈍化した時間の中で薊は手を切り刀に血を掛けながら口を開く

「七星　九曜　水と血脈　高楼　風塵　白夜の野」

同時に習得したばかりの反転術式をセンスと呪力量で無理矢理運用し血の性質を反転させる

「術式反転　黑(くろ)」

静かに薊は突きを放つ
常人が触れれば一瞬で死ぬ呪毒と真空波を多重に纏った衝撃波が閻姫に襲いかかる

未だ首と胴体が離れた状態にある彼女の体はその破壊の渦に対し何ら対処できず

―――真夜中の渋谷に夜よりなお黒い閃光が走る

ガリガリと音を立てて細切れにされ、同時に毒の作用で跡形もなく消滅していく閻姫の肉体
それを成した攻撃は僅か1秒後には頭に到達し彼女に口を開かせる事なく消滅させる

「…………」

感覚が戻り、世界が通常と同じ速度で進み始める
一秒、二秒、三秒…五秒…十秒
相手が復活する気配が無いことを確認した薊は刀を下ろそうとして―――
自分に向けられた殺意に反応、即座に構え直す
一瞬前までそこに存在しなかった筈の手首から先が一対中に浮かんでいた
その手の甲に口が形成される

「見事。まさかここまでとは思わなかったぞ。故に返礼だ、儂のとっておきも見せてやろう。凌ぎ切ればお主の勝ちよ」

そういうと同時に手首が印を結ぶ
薊が妨害する間もなく、今や肩から上迄を再生させた閻姫を中心に薊と大量の人間を巻き込んで巨大な結界が広がる

「領域展開　衆合螺境」

と言うわけで閻姫の領域の募集
大体以下のテンプレを参照にどうぞ

領域の見た目:溶岩の洞窟とか南国のビーチとか骨と肉でできた不気味な建物とか
環境効果:有るか無いか　あるならどんな感じか
付与される術式:蠱毒と吸血鬼術式のどちらが付与されているか
効果:通常時との差異　有れば(宿儺で言えば普通に斬撃を放つ→自動で細切れ)

見た目:真っ赤に染まっていて地面が血で浸されている空間
環境効果:徐々に血による感染が進む
術式:吸血鬼
効果:攻撃を当てるほど相手の感染が進む
　　 術式の解釈が再生から進み自身の肉体を改造できる
　　 展開中は相手の呪力を著しく奪う

因みに閻姫的には一応まだ手札は複数あるんだけど領域切ったら術式が焼き切れて式神が維持できないので負けとかそう言うやつ

閻姫は死滅回遊の成立までは羂索に協力するけどそのあとはどこかのコロニーにでも行く予定
なお羂索と閻姫は同じ研究者タイプだけど思想が割と合わなかったりする(閻姫的には一億総呪霊はつまらん判定)

と言うわけで閻姫の領域は　dice1d4=3 (3)

>>116

それはそれとして仲良くはするという

まあ受肉にどんなバックドア仕込まれてるか分からんしな

通常の場合には領域の内外は完全に区切られ出入りはできない
しかし閻姫の領域は異なる
彼女は領域への出入りを自由にする事で、領域自体の強度と範囲を広げている
無論特定の相手の出入りを禁じることも可能であり、今回の場合薊だけは領域外へ出ることができない

地面が赤く染まり、骨で形成された塔から血が滝の如く流れ落ちる

『シン陰流・簡易領域』
(まずい…私は兎も角この領域の規模では)

薊は咄嗟に簡易領域を使い、自分への必中効果を打ち消した
だが閻姫の領域は直系が50mを優に超え、必然巻き込まれる人間も多い
領域の縁に近かった人々は一目散に逃げ出そうとするが、血と骨に足を取られ思うようにはいっていない

そしてこの領域においては血に触れているだけで少しずつ感染が進み、閻姫の眷属へと変質していく

「ああああアアア！？」
「いやああァァアアア！」

そうこうする内に随所で悲鳴が上がり始める

「っ…！」

薊がそちらに注意を向けた瞬間、閻姫が高速で飛来する

「どうにかせんと被害が増えるぞっ！！」

上空からの飛び蹴りを簡易領域の反射で咄嗟に捌いた薊だったが、領域と一般人からの呪力と血の徴収で力を取り戻した閻姫は超高速の乱打を繰り出し主導権を握る。
そして薊が乱打に慣れた一瞬を突き、巨大化させ、骨で固めた拳で派手に殴り飛ばした

空中で瞬時に体制を立て直した薊だが、完全に眷属となり果てた人々が襲いかかる

それらを盾に死角から攻撃してきた閻姫に二度目の黒閃を放った所で薊は違和感に気づく

(身体が…？)

リミッターが外れたかの如く暴れ回る彼らを切り捨てていく彼女だったが普段より動きが鈍い

閻姫の領域の効果は二段階
・領域内に流れる血に触れると感染が始まる
・閻姫本人から攻撃を喰らうとその進行が加速する

薊は既に複数回攻撃を受けており、並の術師であればとっくに自我が消滅している段階である
彼女の莫大な呪力と再生能力が辛うじてそれを防いでいた

(このままではジリ貧…いや私が取り込まれる危険性すらある)

攻撃を捌き続ける彼女の脳裏に知人や後輩達が浮かぶ

『薊は死ぬ覚悟が根本の所で出来てないんだよね多分。最悪泥試合に持ち込めばいいと思ってる節がある。まあ殺せる相手がほぼ居ないってのが原因なんだろうけどね』

10年以上も前に言われた五条の言葉が胸を過ぎる

※閻姫の領域内で攻撃を受けた時点で血に触れてなくても感染効果は発動する

※簡易領域が領域の必中を完全に消せるかは不明だったから今回は薊本人への必中だけ無効化

※閻姫は閉じない領域できるかわからないけど宿儺のとカチあった時にどうなるか原作で不明だから今回は閉じる領域(出入り自由)を使用

「死ぬ覚悟…とうに出来てたつもりだったんですが…………」
「む？」
「あー…もう…どうなってもいいか…」

足元から血の剣に貫かれ、群衆に紛れ突っ込んできた閻姫の作り出した骨の槍に身体を複数箇所抉られながら吹き飛ばされた薊は静かに立ち上がる

「先の事は放棄、自分の全部吐き出す。難しく考えるな、所詮ただの結界術の応用」

血塗れになりながら呟き続ける薊に再び群衆が襲いかかる

(手本は何度も見た。あと必要なのはイメージだけ…想像するべきは…)


「クククッ…やはり人間は面白い」
「領域展開　無妙魄落海」

呪力が膨れ上がり、空間が塗り替えられる
薊の足元から黒い海水が溢れ背後に幾つもの岩と鳥居が出現、水に触れた群衆は例外なく倒れ伏す

「全力出しても…こんなものですか…」

そう呟く薊だが、身体の違和感は消え去り呪力も回復し始めている

(なるほど、領域内の存在の浄化か。となれば術者本人も十全に動けると考えた方がよいか。ククッ天然物では無いとはいえ成長速度がイカれておるな)

閻姫の視線の先では次々と群衆が吸血鬼から人間に戻り、その反動で意識を失う

(だが、まだ荒いの。その程度では…)
(領域の精度の差は歴然。このままだと直ぐに押し込まれるか)

薊がそこまで考えた時点で血が黒い水を押し流し、再び血の領域が拡大していく

「ならっ‼︎」

押し合いでは絶対的に不利と見た薊は術者本人に仕掛けるが、血を操り距離を保つ閻姫を責めきれない

(この分なら遠からず塗り潰せるな)

そう考えた閻姫は眷属に指示を出し、外部からの人間の調達を始める
そうして徐々に薊の領域が狭まってきた段階でいきなり領域全体がミシミシと音を立てる

「チッ！」
(これは宿儺の…となれば領域の外殻自体を強化するほかないか)

そう判断すると薊の相手を一旦眷属に任せると、領域の強度上昇に意識を向ける閻姫
その過程で領域の押し合いは膠着、薊の領域は辛うじて持ち堪える

彼女の予測通り領域の外では摩虎羅に対して宿儺が領域を発動
二人の領域の端に御厨子の端がかかる形で絶死の刃が降り注ぐ

一方、群衆を薙倒し解放していく薊だが数が多すぎるせいか対応が追いつかないでいた
人を超越した吸血鬼達相手には下手な攻撃では有効打にならない上、血に触れれば回復されてしまう状況では流石の彼女も後手に回る

(何が起きているかわからないが押し込まれる圧が消えた。この隙になんとしても押し返す！)

宿儺について知らないが故に今の危険性を認識できず押し合いを継続するために呪力を注ぎ込む薊
しかし領域の押し合いは内部への干渉ではないという理屈により押し切れない


一方の閻姫もあまり余裕は無い
通常の領域であれば御厨子の斬撃を受ければたちどころに崩壊する
しかし閻姫は領域内部への干渉を一時放棄する縛りで領域の強化を図る
それにより塔からの血の流出は止まり、少しずつ血が黒い水に上書きされる
時間が経てば経つほど領域の押し合いに不利になるが外殻の強化は解くことはできないというジレンマである

(このままでは早晩潰される)
(流石に強化と押し合いの並行は骨じゃが…まあやってやれないことはないか)

お互いの思考が交錯する

(どちらにしろここを切り抜けられなければ先は無い。なら…っ！)
「ぬっ…？これはっ！？」

薊が決断した瞬間、領域の侵食速度が急上昇する
今までと比べ物にならない量の水が溢れ出し急速に血を押し流していく

(コヤツ、何かしらの縛りで領域を強化したか。この分だと相当重い縛りだが…)

この戦いが始まった以来初めて閻姫に明確な焦りが生じる

(このままでは押し切られるか！だがまだ手は有r

ー瞬間、領域が鳴動する

禪院家に伝わる式神術――十種影法術
その最強の式神摩虎羅
無限の適応能力を有する摩虎羅は斬撃そのものに適応、宿儺の領域を凌ぎ切る

だが彼の呪いの王の領域は切るだけでは終わらない
切った全てを爆発物に変え焼き尽くす宿儺の奥義
渋谷に巨大な火柱が立ち上り、領域内のみならず極めて広範囲が爆炎に包まれる
これにより摩虎羅は消滅した

そしてその余波は僅かに範囲が被った薊達の領域にも
本来なら閻姫の領域は開の余波程度ならば問題なく耐えられただろう
だがその領域は今や8割近くが薊の領域として塗りつぶされ強度も通常の領域と同程度まで低下していた


押し合いと度重なる強度の変更により不安定化していた領域は宿儺の最大火力に耐えられず――

「領域が…………」
「全く…千年前も今も変わらず傍迷惑な奴よ」
「あなた…体が…」

熱風を浴びながら崩れゆく領域と合わせて閻姫の身体が崩壊していく

「術式が焼きついたからの、この身体の維持もできん。誇ってよいぞ小娘、横槍とはいえ儂に勝ったのはお主が三人目だ」
「消える前に教えなさい。今回の目的は何ですか！」
「ふむ…まあ口止めもされとらんし…確か目的は呪力の最適化とか言っとったの。平安の世を再現する気よな。その為の五条悟の封印よ。それ以上は流石に教えられん」
「………感謝します」
「また会おう。次は生身で相手をしてやる」

そういうと閻姫は完全に消滅する
跡には一枚の人形の紙が残るのみ

「あー…呪力が足りない。少し休んでから…」

薊はふらふらと路地裏に入り、壁にもたれかかると静かに目を閉じた

次は真人戦なわけですが

dice1d3=3 (3)

1真人と薊が戦ってるところに虎杖乱入

2虎杖と真人が戦ってるところに薊乱入(大体東堂と同時)

3虎杖達が地上に出たあたりで合流

薊の領域の完成度

78(元の数値)+ dice1d32=8 (8)

100で特級呪霊組の平均くらい

110で対象選択可能

130で小さい領域

閉じない領域は150〜200くらい

まだまだ未熟

まあ習得したばっかりだしね

結界術の成長　38(元の数値)+20(領域習得ボーナス)＋　dice1d52=21 (21)

190で羂索　200で天元

薊ちゃんは寝てるがその間の回復度　25＋　dice1d75=22 (22)

100で万全

今は領域直後兼連戦なので大分疲れてる上に術式が焼き切れてるのでそっちが回復するまで再生力大幅低下中

跡どうでもいいけど薊ちゃんの中の人()はお触りされてもええんか？

dice1d100=45 (45)

1に近いほどまあ別に100に近いほど器の餓鬼はともかくこっちに触れてきたら殺す

20以下でそもそも意識がない

渋谷駅　地下一階
薊と閻姫の勝負が、或いは宿儺による蹂躙が終わってから暫し
地下空間で対峙する術師と呪霊


「死に体が」

ダメージを受けながらも不敵に呟くツギハギの呪霊――真人


宿儺による大量ぎ虐殺
真人による眼前での人の尊厳を踏み躙る行為の数々
そして友の死

「おかえり」
「応‼︎」

釘崎野薔薇が斃れ一度はへし折れた虎杖悠仁の心は、東堂という救援をもって辛うじて再起を果たし真人に黒閃を叩き込むに至る

虎杖の体力は残り1割
真人の体力は残り4割

(先ずは厄介な位置換えから消す！)

状況を鑑みた真人は東堂を潰しにかかる
だが触れなければ術式を使えない制約上間合いが限定される彼は不義遊戯に翻弄される

一方の東堂も冷静に状況を俯瞰する
自分が置いていかれているという現状、友を孤独にさせないために黒閃を放つ

既に黒閃を経験していた二人に加え、東堂も黒閃を経たことによりここに三者とも120%の潜在能力を引き出すに至る‼︎

うぐ　オ゛エ゛エエエッ」
直後、真人が嘔吐する
無論ダメージによるものではない
彼は自らの体内に圧縮した改造人間を保管しており其れ等を大量に吐き出したのだ

「多重魂」　「撥体」！！！
寄り集まった魂は拒絶反応を示し、それにより爆発的に質量が膨れ上がる
その大きさは地下同程度には到底収まり切らずーーー

「アゲてけよ虎杖！！！俺とオマエ！！最後の呪い合いだ！！」

渋谷の一角が鳴動し、地下から異形の物体が出現した

グッ…パッ…
短い眠りから覚めた薊は身体の感覚を確認する
服はボロボロではあるが最低限のところは隠れており問題無い

(体力はは6〜7割、呪力は…半分以下、流石に連戦が響いてるか。術式自体は戻ったが…………)

そう考えながら歩き出した彼女だが、ふとその足が止まる

(待て、敵がまだB5Fに居る想定を継続していいのか？もし封印された五条さんがもう動かせる様になってるとしたら…)

そう考えて周囲を探る薊だが怪しい呪力は存在しない

(巧妙に隠れている可能性もあるが…とりあえず地下に)

そこまで考えた彼女の耳が振動をとらえる

(近い！この感じは地上じゃ無い。となると地下通路…ここから近い入り口は！)

そうして走り始めた彼女だが程なくして入り口を探す必要が無くなった
渋谷の道路を割って肉の異形が出現、その上に見慣れた制服が見えた

※最終決戦のためにこっちでも野薔薇ちゃんは隻眼化して貰います
※この世界ではナナミンが死ななかった代わりに生き残ってた一般人が原作の数倍殺された挙句真人は其れを使って煽りまくった

渋谷の一角、アスファルトを破壊し地下から異形の肉塊が現れる

「アゲてけよ虎杖！！！俺とオマエ！！最後の呪い合いだ！！」

叫びながら飛び上がって来た真人に対し、東堂がいち早く動く
術式により瞬間的に挟み撃ちに近い構図を作り上げると反応が一拍遅れた真人の姿勢を崩す
そこに虎杖が飛び込み首を刈るが真人は自切
切り離された胴体が虎杖達を攻撃する一方、首から身体を作り出した本体は術式を行使する

「多重魂“機魂異性体”」

拒絶反応で質量を増す範囲攻撃の撥体
それとは逆に少ない拒絶反応の魂を混ぜ合わせる事により瞬間的に強力な改造人間を作り出す真人の拡張術式の一つ

(胴体と頭の力配分は8:2、そして術式を使用した首の方が本体！！ならばそちらを虎杖(ブラザー)に潰させる！！)

素早く判断を下した東堂は手早く機魂異性体を処理しに掛かる
だが相手は事前の情報で出ていた改造人間とは一線を画す強さを持つ

情報を持つが故の罠によって東堂は殴り飛ばされ分断される
しかし吹き飛ばされた先で東堂は一撃でこれを撲殺
余りの脆さから相手の性質を看破する
その彼の前に同様の存在が追加で二体

「許せ、憐れな魂達よ」

一秒でも早く本来の戦闘に復帰するため、東堂のギアが上がる



「ははっナメてっから！」

機魂異性体によって東堂が退場したのを尻目に胴体と結合し虎杖に襲い掛からんとする真人

「じゃあ私が代わりましょう」

だがその声と共に真人の頭から刀が生えた

直後、脳天から唐竹割りにされ真人の視界は分断されそのまま落下する

「虎杖君、状況は」
「宿儺が暴れて沢山の人が死んだ。そんでアイツが暴れてまた一般犠牲が出た。…………釘崎もやられた」
「…………わかりました。ここでカタをつけましょう」


そう言って両手で刀を持つ薊に対し肉塊を通って真人が現れ攻撃を仕掛ける

「はっ！！だから何人来ても魂に響かない攻撃は効かねえんだよ呪術師ィ！！」

追加の改造人間で範囲攻撃に出る真人だが命中しそうな攻撃全てが切り落とされ、同時に虎杖による反撃を喰らう

「！」
(軽い！？)

虎杖の攻撃が直撃した真人は驚くほど呆気なく殴り飛ばされ半壊する


「っ！！先輩！！！」
「ばあ！」
「！？」

切り落とされた蛇状の改造人間
その内から子供サイズの真人が出現、薊の顔に触れる

「まずは1人。来た意味なかったな」

“無為転変”

真人にとって他者の魂は似た形の粘土の様な物だ
宿儺や虎杖という例外を除き基本的に自由に整形出来る
術師は呪力で魂を守っているがそれも薄紙一枚程度の抵抗でしかない

「あ？」

故に彼にとって薊の魂は異常な物として写った
まずもって形状が普通の人間と違う
常人の2倍以上ある大きさの魂に呪いの様なものが深く食い込んでいる

「なるほどね、あの見た目はそれか」

加えて抵抗力が強い
宿儺の様に完全に輪郭が固定化されている訳ではないが弄りにくい感覚がある
そこまで考えた所で彼は視線に気づき――

「っ！」
「？」

咄嗟に手を離した真人は大きく飛び退き虎杖と薊から距離を取った

※原作で真人にとって魂がどんな風な感じかの描写が無かったのでそこら辺は割と適当
※普通の術師が薄紙で覆われてる感じなのに対して薊の魂はしっかり包装されてる程度のイメージ

(今のは恐らく宿儺と同様の存在。だが圧も敵意も大してなかった。感覚も掴んだ。次は確実に殺す！)

羂索の計画を知らない彼にとって受肉体の存在は初見
故に対処が分からず当然警戒する


一方薊は相手の術式の不発を訝しみながらも顔を顰める

(脳を直接触られた様な違和感…成程今のが魂に干渉された感覚。もう数回食らえば慣れそうだが次は無いか)

直前の魂への接触を反芻し直感的に魂を固める薊だが流石に一度の接触では掴みきれない

そうして三人は宿儺による破壊痕へと降り立つ
仕掛けようとする真人だったがそこに飛び込む影
その姿を見て真人は顔を顰める

「チッ」

「おいおい、仲間外れにしないでくれ」
「東堂君」
「ミス月村コンディションは？」
「総合して5〜6割です。あと縛りで術式が使用不可」

そう手短にやり取りする面々を前に真人は思考を巡らせる

(チョンマゲゴリラは機魂異性体だけじゃダメか。コイツに攻撃を当てるのはハードルが高い…が、領域を展開すれば俺は宿儺に触れ殺される‼︎痴女ゴリラは攻撃を当てられない事もないだろうが…中の存在が次も反応しない保証はない)

結界術は通常の呪術とはまた異なる技術ツリーである
一級術師でも結界が苦手な者が存在する一方、補助監督の中に結界のスペシャリストが居たりする
無論領域を習得できる時点で才能がある方だがその才能にも大小があり、経験も関係していく
黒閃を経てなお、今の真人には虎杖を――宿儺を除外して領域を展開する技量はない

ならばどうするか
それを教えてくれたのは奇しくも最強の術師との戦闘経験


「領域展開」

真人は領域を使えない
それは自殺行為と等しい故に

その前提を覆す行動に術師達は目を見開く

「自閉円頓裏！！」
(一か八か！！0.2秒の領域展開！！！)

想定していなかった領域展開
術師達は瞬時に判断を下す
東堂は九十九由基直伝の簡易領域を展開
薊も同様に簡易領域を展開する

それより速く、「無為転変」の解放前に真人を祓うため虎杖は駆け出していた

だがなお速く、真人は術式を発動
黒閃を経た覚醒状態によって生得領域の具現化と術式の発動を一まとめに行う離れ業を見せる

そうして彼は再び宿儺と対峙する

まだ今日の更新分書いてる途中だけど一応解説だけ
再生、強化の術式→戦闘時は封印
衝撃波、真空波の術式→戦闘時は封印
出産術式→元々封印
呪物さんの術式→そもそも持ってるか不明だが魂が違うので後々ダイス

こんな感じですね
戦闘が基本ステゴロだけになりますが主人公も最終盤までそうだったしいいでしょう

「セーフ…ってことでいいのかな、宿儺」

牛の頭蓋骨が大量に転がる巨大な骨に囲まれて空間にて対峙する呪いの王と人の悪意

「アンタのことだ虎杖との間に保険は作ってあるんだろ」

何も言わずに不敵に笑う宿儺を睨め付ける真人
真意は不明、されど―

「させねぇよ…代わる間も無く虎杖は殺す。黙ってここで見ていてくれ」

意識内での時間の進みは実時間とは異なる
領域を展開したと同時に宿儺との一方的な対話が終わる
そうして真人は術式を解放する

真人の領域自閉円頓裏の必中効果は「内部の存在に直接無為転変を行使可能にすること」、内部に入っただけでは魂は変化しない

(最優先はチョンマゲゴリラ！だが今の俺なら痴女も同時に叩ける！！)

通常の無為転変は言うなれば粘土細工
だが0.2秒ではそこまで細かい事はできない
故に彼は弄るのでは無く粘土(魂)を叩きつけるだけで終わらせる


領域が上がると同時に東堂の腕が膨張、それに気を取られた虎杖を真人が殴り飛ばす
だが東堂は一瞬で損切りをして左腕を自切する
しかしそこに真人が肉薄、過去の一件から領域後の術式使用が困難な事を理解していた彼は純粋な物理攻撃をもって東堂を殺しにかかった

渋谷の夜に何度目かの黒い火花が散る

瞬間、真人は二重に驚愕する
一つ目の驚愕は東堂は山勘で腹に呪力を集中、ダメージを最小限に抑え込んでいたこと
二つ目は拳が届く一瞬前に拳と東堂の間に刀の鞘が投げ込まれ、打撃が想定より効かなかったこと

それでも真人は瞬時に立て直し追撃に移る
術式の焼き切れる長さには個人差があるが、真人のそれは極端に短い

(術式は回復した‼︎叩く手はもう無い‼︎今度こそ「無為転変」で確実に殺す！！)

そうして真人が東堂に触れる直前、東堂の首からペンダントが落ちる
開いたペンダントロケットの中に映るのは虎杖と見知らぬ女性
その意味不明さに一瞬真人の身体が硬直、同時に飛び込んで来た薊がその両手を切り落とす

宙に浮かぶその手を東堂が叩いたと同時に薊と虎杖の位置が置き換わり、間を置かずして再びの黒い火花が散る

「多重魂　機魂異性体」
(このタイミングで黒閃をモロに喰らうとは…最後までふざけやがってあのゴリラ。だが遂に掴んだ、俺の魂の本質！！本当の形を！！)

繰り出された強化改造人間は虎杖と薊によって瞬時に制圧される
だがその背後、真人の雰囲気が代わる

「多重魂　互魂縮合儡体！！、無為転変　偏殺即霊体！！！」

立つのは細身の改造人間と自らの身体を大幅に変形させた真人
「ハッピーバースデーってやつさ、虎杖」

「黒閃を経て理解したんだ。俺の本当の…剥き出しの魂を」
「驚いたよ、オマエが自分探しをするタイプだったとは」
「どうでもいいですけどどっちも絶妙にダサいですよ。まあ個人の感想ですけど」

軽口を叩く真人に敢えて合わせる2人

「ククッ酷い言われ様だ。だが仕上げはこれからだ虎杖悠仁、オマエを殺して、俺は初めてこの世に生まれ堕ちる」
「させるとでも？」

宣言する真人に薊が刀を向け殺意を飛ばす

「悪いな、アンタの相手はコイツだ」

だが真人は怯んだ様子も無く横に立っていた改造人間を示しながらそう流す

「魂は拒絶反応が大きいほど質量が大きくなる。コイツの材料は10人家族の一家丸ごと、そこに…」
「ヤァ」
「俺の分身を搭載ってわけ」

「解説どうも」

邪悪に笑う真人を他所に瞬時に動く薊だったがその刀は飛び出した改造人間に受け止められる

「ソイツがアンタを殺せるとは思ってないが…虎杖をヤるまで足止めされてて貰おうか！！」

そう叫びながら肘のブレードを伸ばし斬撃を繰り出す真人
虎杖はそれを避けながら肉薄し近接戦に持ち込む
だが覚醒し己の魂を自覚した真人の戦闘力は今までのそれとは別物
自分の攻撃が通らず一方的に攻められ続け、地面を陥没させる勢いで叩きつけられた虎杖
破裂した水道管の水に濡れながら彼は確信する

(コイツを倒すには…俺の最大呪力出力の黒閃をブツけるしかない…！！！！)

お互い満身創痍
しかし心は一切折れていない状況
最後の攻防が始まる

一方、無理矢理虎杖達から引き離された薊だったがそこまで心配はしていなかった

(恐らく私があの場にいても彼の集中を乱すだけだ…あとは信じるしかない。それよりも)
「ィィィィイイイイイ」
「チッ」
(こっちが面倒！)

互魂縮合儡体
極めて相性のいい魂を複数結合させられ高い攻撃性と生命力を有する真人の奥の手
それを真人の分身が操ることにより並の特級呪霊に匹敵する性能まで戦闘力が引き上げられていた

(四肢程度なら切っても再生する上、致命傷は内部を動き回る呪霊の分身がピンポイントでガードして通らない。今まで避けずに受ける戦闘に慣れてきたツケも回ってきてる)

※互魂縮合儡体君割と自切気味に戦うので長期戦には向かない
あと結局こっちも野薔薇ちゃんが天敵

今の薊は戦闘中に術式を使えない。無論反転術式による治癒は可能だが一対一の近距離戦に於いてのそれは致命的な隙となりうる
加えてメインウェポンだった衝撃波と真空波も使用不可とあっては飛車角落ちで戦っているようなものだ

だが彼女もやられてばかりではない

(感覚は掴めてきた。もう少しで…)

二度の魂への接触
それにより薊は急速に自分の魂の輪郭を自覚しつつあった

「ふぅー…っ」

薊は息を大きく吐いて刀を鞘に収めるとそのまま上段に構え、目を閉じて相対する
(魂の感覚を確実に捉える。改造人間を呪霊ごと叩き斬る)


奇しくも真人も似たような考えに至る

(コイツは魂を自覚しつつある。鞘付きの刀で何する気か知らねえが差し違えてでもここで潰す！)

一瞬の静寂
全呪力を片手に集中させた互魂縮合儡体が矢の如く襲いかかる
自壊の縛り、その上で防御をしない縛りでの能力の底上げ
当たれば一級術師と言えど確実に仕留められる一撃が薊に迫る

だが――

「シン陰流・空月」

――拳が届く一瞬速く、薊の刀が中にいた真人諸共改造された相手を頭から両断した

シン陰流による抜刀の加速と簡易領域での即応
呪力強化された薊の上段からの抜刀は音速を軽く超える

「避ける気も受ける気も無いのなら…その程度は見切れますし断ち切れます」

空中に浮かぶ鞘の固定を解除しながら崩れていく残骸にそう話す薊だったが既に分身の真人は崩れ去り、残された改造人間の残骸は言葉を解さない

「さて、急がねば」

そう言って走り出す薊の向かう先では今まさに長い因縁が終わろうとしていた

(今の虎杖は黒閃を狙って打てると考えていい。だがそれはもう対策済みだ！！)

最後の攻防、お互いの拳が迫る
鈍化した時間の中で真人は身体の変形を一部解除、そこに呪力を集中させる

(サイズ変形でミートをズラす！黒閃じゃなけりゃあ耐えられる！ブレた虎杖の首をカウンターで落とす！！)

黒閃は呪力と打撃が極めて近いタイミングで衝突して起きる現象
対象が直前で変形すればタイミングは当然ズレる
彼の読み通り虎杖の拳は火花を上げない
真人は勝利を確信して刃を動かしーー
突然の衝撃が彼の身体を揺らす

(時間差で…二重の衝撃！！)

真人は今までの戦闘において使われなかったそれを選択肢から外していた
使えないにせよ使わないにせよ結果は同じだと

実際逕庭拳は虎杖の悪癖から生まれ、呪力操作の精度と引き換えに失った技
だが脹相との戦闘に於いて彼はそれを技術としてモノにしている
双方の攻撃が事実上不発
故に改めてお互いに最後の攻撃を放つ

「呪霊よ、オマエが知らんハズもあるまい。拍手とは、魂の喝采！！」
この瞬間彼らは忘れていた
この戦場に居るもう一人の存在を
陥没した道の縁に立ちそう話す東堂は掌に腕の切断面を叩きつける
彼を認識した瞬間、真人は位置替えを理解
自分の真後ろ、そこに存在するであろう虎杖の背に向かって斬撃を繰り出した

そうしてそれは空を切る


(入れ換わってな――――
「残念だったな…。俺の「不義遊戯」はもう死んでいる」

想定外の事態に一瞬固まった真人
その無防備な脇腹に黒い火花が突き刺さった

虎杖悠仁の最大呪力出力の黒閃
術師の中でも飛び抜けたパワーを乗せたその威力に真人は弾き飛ばされ、穴の縁から更に数メートルも地面に傷跡を付けながら下がったところで漸く停止する

「まだ…まだだ……オ゛エッ」

偏殺即霊体は解除され、息も絶え絶えになりながら改造人間を吐き出そうとするが出てくるのは胃液ばかり
手札が切れた上にマトモに立ち上がることもできないダメージが真人の焦りを加速させる

「認めるよ、真人」

気づけば目の前に虎杖が居た

「もう意味も理由も要らない。この行いに意味が生まれるのは俺が死んで何百年も後なのかもしれない。俺は…きっと何か大きなモノの歯車の一つだ。それでいい、錆び付くまで呪いを殺し続ける。それがこの戦いの俺の役割なんだ」

憐れみと純粋な殺意が乗った冷たい視線
逃れられない死を意識した瞬間、真人は心の底から恐怖し逃げ出した
捕食者と被食者の如く絶対的な力関係が決定したが故の絶望
這いながら無様に逃げる

「助けてあげようか、真人」
「夏油！！」

いつの間にか真人の前に袈裟を来た長髪の人物が立っている

(袈裟に額の傷！！ここに居るってことは…！！)

その姿を認めた瞬間、真人への怒りと殺意で冷え切っていた虎杖の精神が燃え上がる

「返せ…五条先生を返せ！！」

「鯰が自身と結びつけられ怪異として語られたのは江戸中期。地中の大鯰が動くことで地震が発生すると信じられていたんだ」

叫ぶ虎杖を無視して夏油は講釈を垂れながら小さな魚を地面に落とす
同時に虎杖の足元に大穴が開き落下、次の瞬間虎杖は地面に叩きつけられた

「な！？」
「落ちたと思っただろう？端から見れば君が勝手にひっくり返っただけなんだがね」

事態を把握できない虎杖に夏油が話しかける

「呪霊躁術の強みは手数の多さ、複数の術式を所持することにより攻略を不可能にすることにある。もちろんその間をおかずに畳みかけるのもいいだろう」
「！！」

そう言う夏油の足元から百足状の低級じ呪霊が大量に湧き出し虎杖に襲いかかる
その拘束を振り払おうとした瞬間、再び足元が消失
踏ん張りが効かなくなった虎杖は降ってきた呪霊の群れに蹂躙される

因みに薊ちゃんは　

dice1d2=2 (2)

1裏梅が足止め中　大体原作と同じタイミングで一緒に来る

2そこそこ強い呪霊が足止め中　原作の日下部登場辺りで来る

あと薊ちゃんと九十九は面識は　dice1d3=2 (2) 3である

「去年の百鬼夜行、新宿と京都に戦力を分散させなければ勝っていたのは乙骨ではなく彼だっただろう。ああ、君には関係のない話だったかな？」
傷だらけになり這いつくばる虎杖に夏油はまるで他人の事のようにそう言葉を発する
「…返せ！！」

だがそんな声は虎杖の耳には届かない
今の彼の頭には五条奪還しか存在しない

「我ながら流石と言うべきか…、流石は宿儺の器。タフだね」
(傷の治りが想定より早い。反転術式の気配はないが…なるほど月村薊(アレ)の血を飲んだか)

その様子を見た夏油は面識がない筈の発言としては明らかに不自然な事を喋りながら笑う
しかしその軽薄な笑顔の下では冷静に虎杖を分析し、一切の隙を見せない

その瞬間、夏油の背後から味方の筈の真人が襲いかかる
その攻撃は紙一重で回避され―

「知ってたさ。だって俺は、人間(オマエら)から生まれたんだから」

自分達が最初から利用されていたことを悟りながら調伏され球体になっていく真人
それを満足気に見つめて冷たい微笑を浮かべると夏油は改めて口を開く

「続けようか。これからの、世界の話を」

――ザフッ
「次っ」

無数の骸骨を生み出す巨大な骨の呪霊がしゃどくろを身体能力だけど叩き壊し祓い去った薊は歩みを進める
真人のとっておきと分身を纏めて討ち滅ぼし、虎杖の元へと駆け出した刹那、複数の呪霊が彼女に襲いかかった

(どの個体も物量か範囲系の術式。明らかに私に対して対策されている！)

術式を封印された今の薊は面制圧による攻撃への対応手段に乏しい
加えて敵は全て準一級以上の呪霊が呪力で大幅強化された存在であり一級を超越、準特級と言うきレベルまで強さが引き上げられていた

準一級以上の脅威は術式以上に知能の高さである
多くが言葉を介し、人間に近い思考力と悪辣さを持つこれ等の呪霊を相手にするのは並の術師には難しい


今薊が相手をしている存在は皆呪霊躁術の指揮下にあり、自発的な思考が出来ず、命令をそのまま実行するだけの状態にあった

(呪力は回復してきたができれば反転は温存したい。強化されている代わりに知能が低くなっているコイツ等相手なら！)

薊は毒を撒き散らす呪霊を呪力を纏わせた岩で撃ち抜き片手間に屠ると連携出来てない呪霊達の攻撃をカチ合わせ、或いは同士討ちさせながら素早く対処していく
そうして五分も掛けず愚鈍な呪霊達をほぼ倒し切った薊は今し方現れた悍ましい呪力に向かって再び走り出す


それをビルの上から白髪の女と白衣の童女が見下ろしていた

「獄の番という物を知っているかい？領域を除いた、それぞれの術式の奥義みたいなものだ。呪霊躁術のそれは「うずまき」…取り込んだ呪霊を超高密度で相手に放つ技だ」

楽しそうに笑いながら解説を始める夏油
その態度を訝しむ虎杖だったが夏油は適当にあしらうと話を続ける

「最初は低級呪霊の再利用程度に考えていたんだ。でも違った…「うずまき」の本質は術式を有する呪霊を用いた時に起きる術式の抽出だ」

そう言いながら真人の成れの果ての球体を飲み込む夏油

「馬鹿だな…君が感じる気配を私が気づかないわけ無いだろう」

飲み込んだ姿勢のまま上空を見上げる夏油の視線の先には宙に浮かぶ西宮
次の瞬間彼に目掛けて複数の矢が飛来
それを軽々と避ける夏油だったが足を止めたと同時に何かを防御する姿勢をとる

「狙撃銃か。いいね、私も術師相手には通常兵器は積極的に取り入れるべきだと思うよ」

夏油傑が決して言わなそうな言葉を発する彼の手には呪霊によって止められた弾丸が握られている

その背後
納刀の姿勢で構えたスーツ姿の少女が居た

(のせる！今までの全てとこれからの未来を！！もう二度と刀を振るえなくなっても！！！)
「シン・陰流　抜刀！！」

1人の少女の、一人の術師の人生全てを捧げた一撃が放たれ──
ぱしっ！
──小気味いい音を立てて簡単に受け止められた刃は、次の瞬間音を立てて砕け散った
圧倒的な実力差の前には人生を懸けた縛りなど何の意味も持たないことを示す現実に一瞬、少女の体が硬直する

「獄の番　── うずまき」
「待て！！」

虎杖が静止するより速く放たれた超高密度の呪力の砲撃は大地を砕き大穴を空ける

「…………シン陰か…よかったよ、少しは蘊蓄のあるやつが来てくれて。それに、どうやら見た顔もある」

へたり込む三輪とそれを庇った西宮と歌姫
その前には刀を構え、辛うじて今の攻撃を逸らした薊と日下部の姿がある

「虎杖〜…………で、いいんだよな？」
「！パンダ先輩‼︎と京都の」
「よかった、戻ったんだな。あ、これ薊が飲んどけってさ。効くか分からないつってたけど」

そういってパンダは血の入ったボトルを渡してくる

「応！」
それを一息に飲み干した虎杖だったが明らかに効果が普段より弱くなっていた
「アレが獄門疆を…五条悟を持っているのか」
「らしいぜあんな公害持ち歩いて何が楽しいんだか」
「何者だ」
「側は夏油傑。だが中身はわからねぇよ」




そこへ更なる乱入者が登場する
呪胎九相図　一番　
その瞳は動揺と困惑に濡れていた


(俺には三人の親がいる母、母を孕ませた呪霊、そしてその間に血を混ぜた…母を弄んだ、憎むべき─)

100年も前にに死したはずの、脹相の記憶にある憎むべき男の顔
それが眼前の夏油傑と重なる

「気付いたようだね」
「そう言うことか‼︎加茂憲倫‼︎」

「「「加茂憲倫！？」」」
「私！？」
「なに！？どういうこと！？」
「加茂家の汚点…‼︎史上最悪の術師‼︎本当なら夏油の中身は150歳を超えている事になるわよ」

「頭の縫い目を見るに身体を乗っ取る術式とでもいうところですかね…？」
(そうだとしたら加茂憲倫すら…)

(馬鹿げた結界術、馬鹿げた呪具の所持…肉体を乗り換える術式を持つ黒幕の人選としては…)
「妥当っちゃ妥当だな」

突如開示された情報に、同姓同名の一名を含め俄かに騒然となる現場

「加茂憲倫も数ある名の一つにすぎない。好きに呼びなよ」
「よくも…………‼︎よくも俺に‼︎虎杖を‼︎弟を‼︎殺させようとしたな‼︎」

飄々とする夏油の姿をした男に怒りを露わにした脹相が歩み寄る

「弟？」

その人物が九相図の受肉体だと理解している薊だけはその発言に違和感を持つが他の者はそれに対してツッコミを入れる暇は無い

眼前では新たに場に出現して白髪の美女と脹相が向かい合っている

「引っ込め三下、これ以上私を待たせるな」
「どけ!!!俺はお兄ちゃんだぞ!!!」

脹相は自身の術式の副次効果で自身と虎杖に強い繋がりがある事を感じ取った

(悠仁も俺の弟‼︎加茂憲倫が肉体を転々として生き永らえてきたのならば何もあり得ない話ではない。ならば俺は‼︎全力でお兄ちゃんを遂行する‼︎)

「兄と弟…九相図の成立には加茂憲倫が深く関わっている…………宿儺の器がこのタイミングで生まれたのが偶然じゃ無いとすれば…」

脹相の正体を知るが故に頭をフル回転させる薊
その場にいる殆どの高専関係者が事態を飲み込み切る前に脹相が動く
一瞬のタメの後、音速を越える血の狙撃が白髪の呪詛師──裏梅に向かって放たれる
裏梅は辛うじてそれを受け止めたが後退、その隙に脹相は目的の相手である加茂憲倫に肉薄、格闘戦に持ち込む

「無理するなよ、疲れてるだろ？」
「だから何だ。それが、弟の前で身体を張らない理由になるか？」

「一応聞くけど他人だよな」
「他人どころかさっき一回殺し合ってるよ」
「東堂といいヤバいフェロモンでもでも出てるんじゃないのか？」
「何にせよ場が乱れた今が好機だ。今のうちに何としてでも獄門疆を奪い取るぞ」
「残機がまだ2機ある俺が前に出る。全員で掛かれば隙くらいできるだろう」

微妙に締まらないやり取りをしつつ、ほぼ同時に術師達が動き出す

激震─
「！！避け…」
「氷凝呪法　霜凪」

それに気付けたのは高い呪力感知能力を持つ薊だけだった
最も早く動いたパンダ(ゴリラモード)が手を翳し地面を振動させようとした瞬間、後退していた裏梅が術式を行使

夏油の姿の男以外の全ての術師が氷付き動きを止められる

薊ちゃんの拘束度　dice1d10=10 (10) 8以上で無理矢理脱出したけど反転を使わされた

(氷の術式！？しかもなんてハイレベルな！！)

(下手に動けば体が割れる！)

「…………」

裏梅は予備動作も無しに一息で広範囲に氷付かせた

過冷却した呪力をぶつける術式の特性上、その氷結は決して表面だけでなく氷に包まれた物は衝撃によって砕け散る

「殺すなよ。伝達役は必要だ」

「全員生かしておく理由にはならんな」

躊躇なく氷漬けにした裏梅に対し呆れ顔で注意する夏油

裏梅は穿血で貫かれた手を再生させながら苛立ちを露わにする

派手に抉られた手を容易く治す反転術式の技量に難しさを理解している術師ほど冷や汗を垂らす

「この程度の氷…‼︎」
「どの程度だ？」

血の巡りを操作して体温を上げ、氷を溶かしにかかる脹相だがその眼前に氷の刃が突きつけられる
次の瞬間横合いから飛び込んできた虎杖が脹相を蹴り飛ばし拘束を破壊、同時に無理矢理脱出した薊が身体を治しつつ裏梅に斬りかかる

「誰の体だと……‼︎っ！邪魔だっ！！」

虎杖の無茶に怒りを露わにする裏梅だったが、想定外の速さと威力を有する薊の剣撃に集中せざるおえない

「とりあえず貴方達が今回の黒幕でいいんですね。それと現代においては貴方達の方が邪魔です」

(俺だけ拘束が甘かった。宿儺絡みだな)
「味方でいいんだな⁉︎」
「違う！！」
「あ゛！？」
「俺はお兄ちゃんだ」
「真面目にやってくんねーかなぁ！！」



─氷凝呪法　氷笋─
「緩い!」
「馬鹿め」―氷牢─

地面から次々と発生する剣呑な氷の棘を砕きながら接近する薊
だが相手は両面宿儺の側近
読んでいたとばかりに氷の檻を作り出し薊を閉じ込める

─付喪躁術　鎌異断─

そこに上空から西宮が接近、巨大な真空波を放つ
しかしそれも裏梅に片手で対処され有効打にはならない

だが彼女の意識が一瞬それがその瞬間、薊は拘束から脱し裏梅に斬りかかる

「流石に殺されては困るな」

完全に虚を突いたはずの一撃
しかし夏油を騙る男がそう言うと同時に薊は手足が痺れ崩れ落ちる

「ヒダル神という存在を知っているかい？西日本に伝わる悪霊の一種だがね憑かれると身体が動かなくなり意識も朦朧とすると信じられていたんだ。科学的にはハンガーノック症じゃないかと言われているけどね。兎も角、私を忘れられては困るよ」

「先輩っ!」
「虎杖君‼︎今動けるのは私達だけ。歌姫先生の準備ができるまで時間を稼ぐよ‼︎」

そう言って仕掛けようとする西宮だったが我慢の限界に達した裏梅が動くのが先だった

「伝達役なんて、虎杖悠仁一人で事足りるでしょう‼︎」
─直瀑─

次の瞬間、呪詛師達の周囲に円形に氷が発生
虎杖達が何かをする前に飛来したそれらが成長し再び拘束される

「待っ…」

直後、薊が止める間もなく頭上から尖った氷の塊が降り注ぐ
死を覚悟した彼らだったがその氷塊が自分達を襲う事はなかった

「久しぶりだね、夏油君。あの時の答えを聞かせてもらおうか、どんな女が好みだい？」
「九十九由基！！」

降り立ったのは本来3人しか居ない特級術師
所在の分からなかったその最後の一人の登場に今まで常に余裕をもっていた夏油すら、顔を顰める

「覚えているかな？世界から呪霊を無くす方法。どんな手段を取るにしろ、人類を一つ上の段階に進める事となる」

時間を稼ぎと純粋な議論、両方を目的として九十九は口火を切る

「人類の未来、それは…呪力からの“脱却”だよ」
「違う、呪力の“最適化”だ」

持論を語る九十九に対し夏油を騙る男は食い気味に否定する

「っ！！」
「おっと」

相手の気が議論に向いた一瞬を突いて無理矢理夏油を蹴り上げる薊
その攻撃は呪低級霊で簡単にガードされたもののヒダル神の術式は途切れ、その隙に薊は九十九と虎杖のそばまで後退する

「初めまして、九十九特級術師。お噂はかねがね」
「君が高専の秘蔵っ子か。変わった見た目をしているね」
「お気を付けを、あれの中身は夏油傑ではありません」

「脱却プランは12年前に捨てたものと思っていたよ」
「夏油君には少し話したんだがね、初心に帰ったのさ。それに最適化プランには大きな穴がある」


「先輩大丈夫！？」
「私は大丈夫です。しかし…脱却にせよ最適化にせよ、余りに現実離れしている。どちらも実現は困難な筈」
「俺どっちも言ってる事さっぱりなんだけど」

話についていけてない虎杖と彼の周りの氷を慎重に砕きながら事態を見守る薊
彼らを含め、氷漬けの他の面子を置き去りにして特級同士の議論は熱を帯びていく

「生身の人間がエネルギー源なんだ、どんな不幸が産まれるかは想像に易いだろう。それは私の理想とはかけ離れた世界だ」
「ハハハッそれが何だ。そもそも目的が違うのさ、私は夏油傑じゃない。呪霊の居ない世界も牧歌的な平和も望んじゃいない」

大真面目に邪悪なことを口走る夏油

「“術師”、“非術師”、“呪霊”…これらは全て人間という呪力の形による可能性だ。だがまだまだこんなものではない筈だ、人間の可能性は。自ら新しい可能性を生み出そうともして見たが…」

そう言って夏油は脹相や薊に目を向ける

「まあ期待外れだったわけだ。私から生まれたものは私の可能性の域を出なかった。答えはいつだって混沌の中で黒く輝いているものだ。分かるかい？私が創るべきは私の手から離れた混沌だったんだ」


そう話しながら夏油は手に呪力を集中させる

「既に、術式の抽出は済ませてある」

「真人とか言う呪霊が居るだろう‼︎魂に干渉できる術式持った奴‼︎」
途端、慌て始める九十九

しかし時既に遅く、真人の術式は──

「さっきアイツが取り込んだけど」
「ッ…！マッジんが〜！？？」
「まさか日本国民全員の魂に干渉して呪力の最適化を…？」

叫ぶ九十九に対し呟く薊だったが聞き取った夏油がそれに答える

「そこまで面倒な事はしないさただ…“無為転変”！」
「っ！？」

彼が地面に手をかざした直後、なんらかの紋様が浮かび上がる
同一の紋様は地面だけでなく渋谷の夜空にも発生、全国へと広がっていく
同時に薊は自身の魂が大きく揺さぶられる感覚を覚える

(天元の結界………じゃない‼︎これは！)
「術式の遠隔発動！？」

何が起きたのかをいち早く察した九十九が驚愕するが既に事を終えた夏油はどこ吹く風だ

「礼を言うよ虎杖悠仁。呪霊躁術で取り込んだ呪霊はその時点で成長が止まる。君との戦いで真人の術式は大いに成長した。本当は漏瑚も欲しかったんだけどまあ仕方ないね」
「何をした」

「マーキング済みの二種類の非術師の脳を遠隔で無為転変して弄ったのさ。虎杖悠仁のように呪物を取り込ませた者、吉野順平のように術式を所持しているが脳の構造が非術師の者、それぞれの脳を術師の形に整えた。前者は器としての強度を、後者は術式を発揮する仕様を手に入れた。そして…」

そう言いなが夏油は結んである紐の様な物を取り出すとそれを一気に解く


「……今、その呪物たちの封印を解いた。マーキングの際に寝たきりになった者も居るがじきに目を覚ますだろう。
(っ…頭…が…………)
「く…ぁっ…」
「先輩！？」

虎杖が声を掛けたと同時に無言で立っていた薊が崩れ落ちる

「何を…………」

刀に寄りかかり睨みつける薊を呆れた目で見ながら夏油が口を開く

「まさか君みたいな存在が偶然生まれるとでも思ってたのかい？そんなモノは宿儺だけで十分だ。まあ強固な身体と魂を持つ術師の特性上、他の者たちと違って乗っ取られる事は無いだろうが…さてどうなるかな」
「テメエ！」

遠のいて行く楽しそうな夏油の声と激昂する虎杖の叫びを聞きながら薊は意識を手放した

「さて、これからの話だったね。彼らにはこれから呪力の理解を深めるために殺し合いをしてもらう。私が厳選した子や呪物達だ、千人の虎杖悠仁が悪意を持って放たれたとでも思ってくれ」
「たった千人か。それにしても人間の理性を舐めすぎだ。力を与えられただけじゃ殺し合いなんて始まらない」

「その程度、私が想定しないわけ無いだろう。物には順序があるのさ…で、質問が軽くなってきてるわけだが？」

その挑発に九十九は笑顔を作ったあと振り向いて虎杖達に呼びかける

「ムカつくから皆でアイツボコろう」
「いや、俺以外は今動けないんだけど。俺もまだ一部凍ってるし…」
「！！」

そう虎杖がツッコんだ瞬間、虎杖や脹相を含め全員の拘束が文字通り氷解する

術者はと言えば呼吸を荒げながら冷や汗をかき蹲っている

「どうした裏梅」
「毒か！！」

楽しそうに尋ねる夏油を無視して裏梅は答えに辿り着く
反転術式では傷は治せても意図しなければ解毒はできない

「俺の血が傷口から入ったんだ。当然だな」

脹相の声を聞きながら必死に治そうとする裏梅だが思うように進まない

一方解放された高専の術師達はこの隙に仕掛けようと動き出すが──

「まだ話の途中だよ」

つまらなそうにため息を吐く夏油に止められる

「さっき封印を解いた呪物達は私が千年コツコツ契約してきた術師達の成れの果てだ。だが私が契約を交わしたのは何も術師だけじゃない。まあそちらの契約はこの身体になった時に破棄したがね」
「まさかっ！」

夏油傑の──呪霊躁術の持ち主の肉体を手に入れた時に破棄された契約
その中身に気付いた九十九が駆け出そうとするが遅い

「これが、これからの世界だよ」

彼がそう言った瞬間、彼の影か一気に膨張
大量の呪霊が溢れ出す
数えるのも馬鹿馬鹿しくなるような異形の群れ
その一体一体が強力な呪霊達だ

「じゃあね、虎杖悠仁。期待外れだった者達と違って君には期待しているんだ」
「五条先生！！」

獄門疆を見せつけ、辛うじて回復した裏梅と歩き出す夏油
その耳には既に虎杖の声は届かない

「聞いてるかい、宿儺。始まるよ…再び。呪術全盛、平安の世が…！！」