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【AI注意】メカクレデカパイモブウマ娘を置いていくのであとはみんなの好きにしてくれ2|あにまん掲示板
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【AI注意】メカクレデカパイモブウマ娘を置いていくのであとはみんなの好きにしてくれ2

  • 1二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:13:07

    「好きなだけ好きにしてくれ」と言うスレ主の言葉と供に送り出された一人のウマ娘。
    彼女の名前は、チャンドラポメラ。
    このスレは、彼女や彼女の友人達を好きに形作っていくスレです。

    なおスレ主≠前スレのスレ主です。

  • 2二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:15:13
  • 3二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:18:31

    登場ウマ娘
    チャンドラポメロ(メカクレデカパイ)
    ダブルマシュマロ(チビデカパイ)
    カベルネソラリス(メガネデカパイ)

  • 4二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:20:55

    チャンドラポメロ プロンプト
    solo,long hair,black hair,(black-horse tail),no ears,(blush:1.5),lips,(bangs over eyes:1.3),long bangs,black bangs,
    BREAK,masterpiece, high quality, huge breasts,(horse ears),(kemono ears),

    本人の情報のみ
    服とかは入れてません

  • 5二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:21:44

    前スレで決まった(?)情報もいるかい?

  • 6二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:22:01

    ダブルマシュマロ プロンプト
    ((masterpiece)), ((best quality)), (ultra-detailed), (high resolution), amazing quality, absurdres, beautiful face, high detailed face, (perfect anatomy), very aesthetic, 8K, vibrant colors, depth of field, sharp focus, detailed fingers, detailed body, perfect hands, cinematic light, ray tracing, detailed illustration,
    (umamusume, horse girl, long horse ears, horse tail:1.2),
    1girl, solo, break,
    16 years old, (light brown hair, dark orange hair, multicolored hair, medium hair, twintails:1.5), (hair over eyes:1.6), red eyes, high detailed eyes, shining eyes, beautiful eyes, slit pupils, sharp teeth,
    (oppai loli, short height:1.2), (huge breast:1.3), breasts apart, wide hips, curvy,

    本人の情報のみ

  • 7二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:22:50

    ここまでの【メカクレデカパイモブウマ娘】と他のキャラまとめ

    名前:チャンドラポメロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:烏の濡れ羽色の艶のある黒髪ロングで前髪目隠れ、瞳は明るいマリンブルー、他が地味な為かリップは色付き艶ありのを塗ってオシャレするタイプ
    性格:恥ずかしがり屋の引っ込み思案で、恥ずかしがったり照れたりしたら頬がすぐに紅潮する
    身長:179cm(SS準拠)  体重:秘密
    スリーサイズ:B123 W62 H91
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の2200Mまでで脚質は差し(SS準拠)
    備考②:憧れのウマ娘は同期のダイワスカーレット。彼女の緋色の影を追い続ける頑張り屋

    名前:ダブルマシュマロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:栗毛のツーサイドアップでやや前髪目隠れ(ポメちゃん程ではない)、瞳は明るいルビー色、ギザ歯
    性格:明るく社交的でお喋り。またノリが良く、芝居がかった口調で話す事もしばしば
    身長:136cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B100超え(ポメちゃん未満) W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝ダートの両刀、距離は短距離のみで脚質は不明(SS準拠)
    備考②:ポメちゃんの友人枠、実家が地元じゃ一番の果物専門店

    名前:カベルネソラリス
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:芦毛のポニーテール、青色ハーフリム眼鏡、瞳の色は記載なし
    性格:竹を割ったようにさっぱりして表裏のない正直者
    身長:ポメちゃんとマーシュを足して2で割ったぐらい  体重:秘密
    スリーサイズ:B100超え(ポメちゃん未満) W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の脚質は逃げ(SS準拠)
    備考②:チャンドラポメロのライバル枠

  • 8二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:24:21

    >>7

    補足情報


    チャンドラポメロ → 一人称:私 二人称:相手の名前+さん付け

    ダブルマシュマロ → 一人称:ボク 二人称:相手の名前+ちゃん付けか愛称呼び

    カベルネソラリス → 一人称:オレ 二人称:アンタまたは相手の名前呼び捨て


    ポメちゃんのトレーナー → 一人称:僕 身長はチャンドラポメロと同じぐらい



    SS情報 → 入学~選抜レース前までのSSとトレウマなSSがあるゾ

  • 9二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:25:08

    前スレに引き続き、好きにしましょう

    荒れたら消すくらいはするかもしれません


    >>7

    急ぎで立てたので、まとめ助かります

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:29:27

    チャンドラポメロの由来は果物のチャンドラポメロより(候補からダイス)
    ダブルマシュマロの由来はポメちゃんの名前を決める際に上がった候補より友人枠としてスライド(SSで登場)
    カベルネソラリスの由来は…

    ソラリスの名を冠するワインのブドウ品種、カベルネ・ソーヴィニョンの【カベルネ】と
    ポメちゃんの月の神に由来するチャンドラに対してライバル枠という事で太陽の名を冠する【ソラリス】より
    (候補+果物関連で決定&SSで登場)

  • 11二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:34:21

    有志によるダブルマシュマロのイメージは↓の通り

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:39:49

    新スレ祝い

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:51:51

    SSでレス数稼いでいた(9からの即興SSになって他サイトに投下してURL貼りが出来なかったので)とはいえ、まさか2スレ目が立つとは…デカパイ好きの私も嬉しいぜ!


    あ、設定をまとめたってのと、今日はSSがまとまり切らないのでSSの投下は明日からになるのですまない!

    タイトルの「Shadow of the Scarlet」のタイトル回収展開考えていたら、選抜レースって事を忘れていたのだ!

  • 14二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 22:55:15

    新スレ祝いにアイスでも食べるスよ

  • 15二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 23:02:07

    >>14

    ダブルマシュマロという名前とチビデカパイ以外は私が勝手に設定生やしたとはいえ…


    明るく社交的でお喋り

    一人称が「ボク」で「~スよ」、「~っス」という特徴的な喋りな上に

    「どしたんスか? 話聞こか?」というネットネタや

    「ポメちゃん。不肖このダブルマシュマロ。どうやら貴女様のお供を出来るのはここまでのようです」という芝居がかった即興演劇

    イナリワン未満の身長にメイショウドトウ以上のデカパイ


    ポメちゃんが恥ずかしがり屋な引っ込み思案な性格だから、それを手助けする為とはいえ、属性てんこ盛り過ぎる

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/08(日) 23:14:28

    >>14

    は、はい

  • 17二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 07:18:42

    デカパイモブウマ娘が三人並んだら壮観だろうな、という確信

  • 18二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 08:01:25

    ポメちゃんとマーシュが向かい合ってくっつくと、胸が二段重ねになってぴったり納まりそう

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 10:05:32

    40cm差とは…500mlペットボトルを縦に2つ並べたぐらいの差である!

    ので、ダブルマシュマロの顔がちょうどポメちゃんの胸にくるぐらいなのだ!

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 11:22:08

    胸ぽふってこと?

  • 21二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 12:31:27

    B123もあったらブラや制服も手伝って胸ぽふじゃなくて胸バインッ(弾く音)ですかね…
    B99のドトウでも胸で他の子を弾いちゃっているし…

  • 22二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 17:01:21

    ダブルマシュマロの顔がポメちゃんの胸に埋もれている時、
    ダブルマシュマロの胸はポメちゃんのお腹に当たっているのか

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:19:32

    AIイラストでキャッチボールしてるの好き

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:33:47

    ※※※


     選抜レース。
     それは年に4回行われ、「本格化」が認められたトレセン学園所属のウマ娘たちが集い、同じくトレセン学園所属のトレーナーらに向けて実力をアピールする場である。
     デビュー前に己の実力を証明し、それを見初めたトレーナーのスカウトにウマ娘が応じれば、晴れて契約となる。
     無論、トレーナーのスカウトを断る事もあれば、そもそもスカウト自体が来ない事もあり得る。
     そうなったとしても、複数人をひとまとめに面倒を見るチームトレーナーの元へ行き、デビューする事自体は可能である。
     しかしながら、トレーナーとの専属契約をし、個別指導を行う事で心を通わせて普段以上の実力を発揮できるというのは、トレセン学園に所属する全てのウマ娘が知っている事。
     故に、デビュー前の彼女たちはこの年に4回のレースに夢を、将来を、運命を乗せて駆けるのだ。

    「凄い……模擬レースの時とは全然違う」

     模擬レースから一か月後の選抜レース。
     先のレースで本格化を認められ、今回の選抜レースへの出場を果たしたチャンドラポメロは、スタンドに多くいるトレーナー陣に尻込みしていた。
     新品と思われるしわ一つないスーツを身にまとい、目を輝かせながらウマ娘たちを見つめる新人トレーナー。そんなウマ娘たちの事前情報は既に頭の中にある、と言わんばかりに他のトレーナーと会話をして情報共有または得ようと画策しているように見える中堅トレーナー。既にスカウトするウマ娘に目星を付けているのか、ただ一点を睨むように鋭い眼光を向けているベテラントレーナー。
     様々なトレーナーたちを前に、彼女は彼らがここまで集まっている理由を早々に理解した。
     如何に年4回という限られた開催とはいえ、その期間は長い。にも関わらず、その初日から彼らが集まるのは目当てのウマ娘が二人もいるからだろう、と。

    「よろしくお願いしまーすっ!」

     そんなトレーナーたちがざわついたのと同時に、一人のウマ娘がレース場へ姿を現し、彼らへと丁寧に頭を下げる。
     目当てのウマ娘の一人、ダイワスカーレットだった。

    「ダイワスカーレット……。さすが、いい仕上がりですね!」

     距離があるのと、喧噪があった為に、チャンドラポメロが正確に聞き取った訳ではないが、新人トレーナーと思われる人物が興奮気味に口を開閉させている。

  • 25二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:35:01

    >>24


     その隣にいる中堅らしきトレーナーは、掛けている眼鏡の位置を調整しながらも、新人トレーナーに反応するように口を開く。


    「先日の模擬レースでは第3コーナーから先頭をキープか。争奪戦、間違いなしだろうな……。っと、向こうから来てるあの子は……!」


     同じく正確に聞き取れた訳ではないが、手元にあるタブレットとダイワスカーレットを交互に見ながら分析する中堅トレーナーは、周囲のざわつきを耳にした途端に視線を彼女からそちらへと向ける。

     それを見て、チャンドラポメロも視線をそちらへと向けると、そこにはもう一人の目当てであろうウマ娘がレース場にやってきていた。


    「っしゃーす」


     実際のレースとはまた違った大舞台。それこそ、ウマ娘たちにとっては今後を大きく左右する場だというのに、ともすれば軽口に聞こえるような言葉と共にスタンドのトレーナーたちに向かって軽く礼をするウマ娘。ウオッカであった。

     落ち着いているというよりは、気だるげにも聞こえたその挨拶に、何故かチャンドラポメロの方が慌ててしまい、思わずスタンドにいるトレーナーたちへと視線を向けた。ウオッカの態度を快く思わないトレーナーがいないだろうか。そんな、他人事ながら自分の事のように心配してしまう彼女だったが、すぐにそれが杞憂だと気付いた。


    「へえ。ウオッカの方が、大舞台でも落ち着きはらっているのね。さて、2人のうち、どちらが上かしら……?」


     ベテランの風格漂うトレーナーが手にしたノートにメモ書きをするかのようにペンを走らせている姿と、その口の動きから読み解いた台詞を目にし、トレーナーたちからしたらウオッカの態度は寧ろ評価点だったようだ。


    「……ふん。そんなの、比べるまでもないでしょ」

    「おい、聞こえてるぜ。へっ、後でピーピー泣く羽目になっても知らねーからな?」

    「あら、誰に言ってるのかしら。──アタシは"1番"のウマ娘、ダイワスカーレットよ?」


     そんなベテラントレーナーの独り言が二人にも聞こえたのか、既に火花を散らして互いに闘志を燃やしている。

     チャンドラポメロからしたら今にも二人が喧嘩を始めそうに見えて、内心穏やかではなかった。

  • 26二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:36:04

    >>25


    「ちぇっ。やっぱりトレーナーたちの注目はあの二人になっちまうよなー」

    「ひゃっ!?」


     二人の間に入って仲裁するべきか否か。引っ込み思案故に悩んでいた彼女の右横からいきなり声がし、チャンドラポメロは驚いて横に飛んでしまう。

     それを見て、明るいエメラルドグリーンの瞳を細め、声の主であるカベルネソラリスは笑い声を上げる。


    「ハハッ。そこまで驚く事はねーだろ? お互い、先の模擬レースで一緒に走った仲じゃねーか」

    「カベルネ、ソラリス、さん?」

    「何で疑問形なんだよ、合ってるよ」

    「ど、どうして?」


     相手からは見えないと思いつつも、驚きのあまり瞬きを何度もしてしまうチャンドラポメロに対して、カベルネソラリスは小さくため息を吐く。

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:37:04

    >>26


    「どうして、ねぇ。そりゃあっちはあっちで勝手に火花散らして、オレらの事なんか眼中にねぇって感じなんだ。だったら、眼中にない者同士で会話に花を咲かせるのも悪くはねぇだろ?」

    「は、はあ……」

    「オイオイ。まさかアンタまでオレの事を眼中にないなんて言うつもりじゃないだろうな? これでもアンタの事は高く評価しているんだぜ?」

    「ありがとう、ございます?」

    「ちぇっ。調子が狂うな。まあいいさ。今日見に来ているトレーナーの大半が、ダイワスカーレットとウオッカ目当てだ。そんなあいつらをぶち抜けば、嫌でも眼中に入るってもんさ」


     カベルネソラリスがレース前に何故自分に絡んでくるのかがいまいち理解出来ないチャンドラポメロを他所に、彼女は一人納得するように頷き、一度トレーナーたちのいるスタンドを一瞥してから背中を向けてゲートへと向かい出す。


    「もちろん。チャンドラポメロ、アンタもぶち抜く対象の一人だ。誰一人として、今回の選抜レースでオレの先を走らせねーよ」


     そして、軽く右手を上げながら宣誓するカベルネソラリスの言葉の後に、選抜レースの出走アナウンスがレース場に響くのであった。

  • 28二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:39:22

    過去一にSS書くの楽だった(本家のダイワスカーレットのストーリー1話参照)
    そして本家のストーリーに乗っかったという事は! 結果がもう見えているという事!
    頑張れポメちゃん、負けるなポメちゃん
    次回やっとトレーナーが現れるぞ!

    ほなまた…!

  • 29二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 21:52:41

    (前スレの9の時点でSSの方向性は定まっているけれども一応補足)

    ダイワスカーレットの緋色の影を追い続けるポメちゃんの物語のSSで、他のオリウマ娘と違い、
    困難と挫折、それらに苦悩し、それでも歩みを止めなかった影のウマ娘たちの物語なので、
    今後も(もしかしたら)見ててお辛い展開の連続かも知れませぬ

    …が、書いている私としては基本的に↓なスタンスなのでよろしくお願いします

  • 30二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:28:44

    ここ最近の楽しみだ
    頑張ってくれ9君

  • 31二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:30:53

    >>29

    その心意気、いいね!

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:32:47

    比較した

  • 33二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 22:37:09

    >>32

    ※全員B100超え


    しかしこうして並べてみると案外バランスいいな…

  • 34二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 23:14:44

    勝手なイメージで青にした

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/09(月) 23:17:56

    うぉっ、急に美人さんが生えてきた
    この美貌とデカパイで一人称オレっ娘かぁ…(ニッコリ)

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 07:25:44

    ソラリスかっこいい!

  • 37二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 15:10:57

    デカパイ世代とひっそり呼ばれてそう

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 17:48:26

    実際、アングラな雑誌辺りからは「"存在感"はGⅠウマ娘級!? 巷で噂のDKPI世代に迫る!!」みたいな見出しからのアレな記事が書かれていそうではある

  • 39二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 21:55:55

    寝起きマーシュ

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:22:26

    ポメちゃんもだけど、マーシュ君も気に入られたようで私も嬉しいぜ!
    (頑張ってSS書きながら)

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:57:28

    >>27



    ※※※



     指定された番号のゲートへと、一人、また一人と入っていく。

     例によって緊張に緊張を重ねているチャンドラポメロは自身のゲートに入ってから大きく深呼吸をし、緊張を散らそうと今日のレース条件を頭の中で反芻する。

     天候は晴れ。コースは選抜レース初日で、且つ最初に行われるレースというのもああて、芝の状態は良。反面、初日の初レースであるにも関わらず、出走者は10人立て。

     本格化を認められた者たちが少ないのだとチャンドラポメロは思っているが、後にダブルマシュマロから「そんなのダイワスカーレットちゃんやウオッカちゃんを回避する為に決まっているじゃないスか~」と言われてしまっている。

     そんな事も露知らず、彼女は現状で知り得ている情報を元にレース展開を考える。


    (阪神レース場を模した、芝の1600M。この前、ダイワスカーレットさんと併走したのと同じ条件)


     高低差がなく、コーナーも緩やか。故に走るペースも緩む事なく進む為、逃げや先行が比較的有利になる条件。

     そして、先の親睦併走や模擬レースのVTR等で、ダイワスカーレットの脚質が逃げまたは先行だとチャンドラポメロは知っていた。


    (あの人……カベルネソラリスさんも、逃げ、だったはず)


     チャンドラポメロの走り方は、中団から先頭集団を見ながらも周囲に圧を掛けて牽制しつつ、機を見て前に飛び出して先頭をかわして先着する。

     しかしながら、その周囲に圧を掛けての牽制が効かないのが、他でもない逃げや先行の面子である。

     チャンドラポメロは3枠6番。やや外気味ではあるが、コーナーがゆったりしている事と、自身の走りを考えると悪くはない枠番。

     対してカベルネソラリスは1枠1番と、スタートダッシュを決められたら絶好とも言える枠番。ダイワスカーレットも逃げにしろ先行にしろ、2枠3番とこれもまた良位置。

     ウオッカが外枠の5枠9番となっていたが、彼女の脚質を考えるとそこまで注視しなくても良いだろう、とチャンドラポメロは思った。

     思ってしまった。


    (あっ、いけない)


     メンバーの中に自身の走りが通用しないのは他に誰がいるのかを頭の中で考え、マークしたところで本番のレースよろしくファンファーレが鳴り響き、チャンドラポメロはレースに集中する。

  • 42二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:58:35

    >>41


    『各ウマ娘、ゲートイン』

    (……)


     実況の後に静寂が訪れる。

     同時にチャンドラポメロのそれまであった緊張やレース情報が抜け落ちるが、意識はゲート扉とその先にあるターフへと向けられている。


    「ふっ!」

    『さぁ各ウマ娘、ゲートから一斉にスタート!』


     勢いよくゲートが開かれ、両脇のウマ娘たちに負けじとチャンドラポメロはターフへと足を踏み出す。

     集中していた事もあり、出遅れもなく、スムーズなスタートダッシュだった。


    「んなっ!?」


     序盤も序盤。それも脚質が差しな為、早速意識を先頭集団に向けようとしたところで、チャンドラポメロはカベルネソラリスの動揺の声を聞いた。

     見れば、初速から一気にトップスピードまで持っていったダイワスカーレットがカベルネソラリスの横へ並んだかと思えばそのまま抜き去ってハナを切っていた。


    (ダイワスカーレットさんは逃げ……! となると、仕掛けは早めにしないと)


     スタンドからもざわめきが遠くから聞こえる中、この後のペース配分など考えていないとすら思えるような速度で先頭を走るダイワスカーレットの後ろ姿に、チャンドラポメロはレースの主導権を完全に握られたと把握する。

     同時に自然とそのペースに釣られる形で上げそうになっていた足の回転を緩めて維持する。見れば、カベルネソラリスや他の出走ウマ娘たちがダイワスカーレットのペースに乗せられている。脚質が差しであるにも関わらず、自身が追込であると錯覚しそうなぐらいに、チャンドラポメロの前には8人のウマ娘たちが列を成して走っている。


    (……?)


     そして、逆に8人"しか"前にいない事に気付き、意識を前方から周囲に走らせた。

     自分以外にもう一人、ダイワスカーレットのペースに乗せられていないウマ娘がいる。

  • 43二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 22:59:49

    >>42


    「っ!」


     他でもない、ウオッカだった。

     チャンドラポメロの左後方に位置取りをし、機を伺っている。

     それに気付いたチャンドラポメロは驚き、逆にペースを乱してしまう。

     結果として、ダイワスカーレットを除く全ての出走ウマ娘たちがペースを上げる形となった。

     レースの主導権を彼女に握られたまま、先頭集団がコーナーを曲がる。当然、全体的にペースが上がっている為に、中団、チャンドラポメロとウオッカがすぐに後へと続く。


    「はあっ、はあっ」


     コーナーの終わりが近付き、残すところは最終直線。

     ここで仕掛けなければダイワスカーレットに届く事はあり得ない。

     そう思い、チャンドラポメロは溜めていた脚を開放し、スピードに乗せる。


    「ハァ、ハァ……くそっ……。このまま──」

    「~っ!?」

    「このまま大人しく、負けてられっかよぉぉっ!!」


     しかし同時に、ウオッカもまた最終直線に入ると同時に速度を上げる。

     その加速はチャンドラポメロの比ではなく、まるで弾丸のように先頭集団へと向かっていく。


    『最終コーナーを曲がって、ウオッカ! ウオッカが上がって来ました! ダイワスカーレットはもう目の前!』

    「くっ……!?」

    「うおらぁあああああっ!!」


     脚を残せずに垂れていく他のウマ娘たちを尻目に、ウオッカが一気にダイワスカーレットへと迫る。

     チャンドラポメロはそれに二歩、三歩遅れる形でついていくが、レースは完全に先頭を行く二人の舞台となっていた。

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:01:10

    >>43


    『ウオッカ速い、ウオッカ速い! 脅威の末脚! ダイワスカーレットはもう目の前だっ!!』

    「うっ……うぅぅぅ……!! 嫌よ……そんなの嫌!」


     疎らな走行音、風を切る音に混じって、チャンドラポメロはダイワスカーレットの叫びを耳にする。


    「1番はっ! ……っ、アタシのものなんだからぁぁーっ!!」

    「っ!?」


     彼女の矜持。彼女の想い。彼女の願いを、チャンドラポメロは確かに聞いた。

     そして、そんな魂の叫びとも言える声を張り上げて、尚粘り走るダイワスカーレットの背中に、気が付けば目が奪われていた。


    『ダイワスカーレット、ウオッカ! ダイワスカーレット、ウオッカ! 迫るゴール板! レースを制したのは──』


     遠くから聞こえる実況の音。


    「くそっ! くそっ! くそぉっ!」


     チャンドラポメロが抜かし去った後、背後から聞こえてくるカベルネソラリスの苦悶と無念の叫び。


    「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」


     そして、普段よりも明らかに速度が乗っているせいか、耳元にまで聞こえてくる自身の呼吸音ですら、今のチャンドラポメロにとっては雑音でしかなかった。

     ただ一点。今にもダイワスカーレットを抜かそうとしているウオッカではなく、抜かされまいと必死に足掻くその緋色の名を冠する背中を、チャンドラポメロは無意識に追っていた。


    『ウオッカ! 僅差ではありましたが、1着はウオッカ! ダイワスカーレット、2着です!』

    「ぁ、~っ!」


     遠くに聞こえていた実況が耳元で鳴り響いた瞬間。同時に二人が自身よりも先にゴール板を横切ったのを見て、チャンドラポメロは意識をレースへと戻し、残る脚で彼女たちの後を追うのだった。

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:02:19

    >>44



    ※※※



     チャンドラポメロがゴール板を通り過ぎたのは、ダイワスカーレットとウオッカの大接戦から6バ身も後の事であった。

     それも、先を走る二人に追いすがろうと脚の回転を速めても尚、な結果であり、スタンドにいるトレーナーたちの視線は完全にダイワスカーレットとウオッカへと向けられてしまっていた。

     二人に勝つどころか、選抜レースで良いところを見せられなかったという落胆とレース疲労による息の乱れを必死で整えながら、チャンドラポメロはスタンドのトレーナーたちと同じようにダイワスカーレットとウオッカへと視線を向ける。


    「はぁっ……はぁっ……」

    「はーへへっ。今日は俺の勝ちだな、スカーレット!」

    「………………っ!」

    「あっ、おい!?」


     チャンドラポメロよりも先に息を整え、向かい合っていた二人。

     だが、ウオッカの勝利宣言を聞いたダイワスカーレットは悔しさからか顔を歪ませた後、一目散にレース場から走り去った。

     残されたウオッカは反射的に伸ばした手を戻し、そのまま腕を組んで不満げな顔を見せる。


    「……んだよ。もうちょっとおもしれーヤツかと思ってたのに」

    「……」


     そして、わざとらしく大きなため息を吐いたウオッカは、このレースの勝者とは思えない渋い顔付きでレース場を後にする。

     そんなウオッカと契約しようとスタンドにいる多くのトレーナーたちが彼女の後ろについていく。それ以外のトレーナーは思うところがあるのか、それとも次以降のレースを見て判断するつもりなのか、その場を動かない。

     だが、そんなトレーナーたちの視線はやはりウオッカに向けられており、誰一人として3着であるチャンドラポメロとそれ以下のウマ娘たちにその目を向けるものはいなかった。

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:04:20

    >>45


    (着替えよう)


     このまま立ち尽くしていても、次のレースの邪魔になる。

     そう考えたチャンドラポメロは、小さくため息を吐き、レース場を後にしようと地下ウマ娘道へと向かう。

     引っ込み思案で恥ずかしがり屋であると分かっているからこそ、1着でも取らなかければ誰も自分に声を掛けないだろう。

     そう思った矢先であった。


    「君っ、ちょっ、ちょっと、いいかなっ?」

    「えっ?」


     後少しで地下道の入り口というところで、チャンドラポメロは後ろから声を掛けられた。

     若い男性の声。急いで走って来たのか、その声は乱れている。しかしながら、それがトレーナーではないと思っていた手前、何か忘れ物を届けに来てくれた作業員の人だろうと、彼女は無遠慮に振り返ってしまう。


    「あっ、えっ、ご、ごめんなさい!」


     結果、遠心力で自身の尻尾が相手に当たってしまい、チャンドラポメロは振り返ると同時に頭を下げる。


    「えっ? あ、あー。大丈夫。気にしてないよ、顔を上げて」

    「は、はいぃ~」


     頭の上から聞こえてくる相手の言葉に申し訳なさが加速する中、チャンドラポメロは恐る恐る顔を上げる。

     そこには薄いネイビー色のスーツを身に纏った20代前半の男が穏やかな笑顔を彼女に見せていた。

     その胸元には日本ウマ娘トレーニングセンター学園の所属であり、トレーナー資格を有する証明ともなる蹄鉄を模したマークのトレーナーバッジが付いており、彼が中央機構のトレーナーである事を示していた。

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:06:01

    >>46


    「えっ、あっ、あのぉ~」

    「まずは今のレース、お疲れ様でした。そして、その直後で疲れているかも知れないから単刀直入に言おう」


     まさかまさかの人物。トレセン学園のトレーナーを前にして、今の状況を理解し切れていないチャンドラポメロを他所に、その男性トレーナーは一転して真剣な表情で彼女に跪き、見上げる。


    「君をスカウトしに来た。是非、僕と契約して欲しい」

    「………………へ?」


     そして、まるで騎士が姫を相手に婚姻を迫るかのように手を差し出し、真っ直ぐと見つめてくる男性トレーナーを前に、チャンドラポメロの思考は完全に停止するのであった。



    ──序章「その名はチャンドラポメロ」・完──


    第一章に続く…

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:08:43

    終わり! 閉廷!
    次回、デカパイモブウマ娘三人衆の幕間か、ポメちゃんと契約しようと口説くトレーナー回!
    ほなまた…!

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:18:02

    今確認したら累計文字数2万文字超えてて芝3200M生えるわよ
    推敲らしい推敲していないから誤字脱字が多々あるので、ちゃんと編集したら2万5千文字ぐらいになりそう

    やはりデカパイ…! デカパイは全てを解決する…!

  • 50二次元好きの匿名さん25/06/10(火) 23:23:52

    走るポメ

  • 51二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:15:19

    ばるんばるんしてそう

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 07:18:11

    >>50

    トレーニング頑張るポメちゃん可愛いね…






    (でも絶対バルンバルン揺れる胸に目が行きそう)

  • 53二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 08:31:58

    プールポニテポメ

  • 54二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 16:39:14

    >>53

    男子小学生あたりが「おねえちゃん…」ってモジモジするやつ

    同じ子でもマーシュに対しては「マシュマロォ!」ってなる

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 18:32:58

    ポメちゃんとマーシュの両手に花で市民プール行きたいのう…

    今までのSSまとめ編集修正とデカパイモブウマ娘三人衆の幕間にしましょうねぇ

  • 56二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 21:35:49
    「Shadow of the Scarlet」──序章「その名はチャンドラポメロ」 | Writening※※※  勝負の世界とは、悉く残酷である。  その一戦で互いの優劣を付けられ、勝者と敗者に分けられる。  僅差での勝利であっても、勝利は勝利であり、運で負けたとしても敗北は敗北。  「もしも」が禁句…writening.net

    色々と編集修正していたらこんな時間になってしまった…

    取り合えず「Shadow of the Scarlet」──序章「その名はチャンドラポメロ」が出来ましたのでよろしくお願いします


    ここからデカパイモブウマ娘三人衆の幕間SS作成に入りますが…間に合わなかったら明日でオナシャッス

    ほなまた…

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 22:17:49

    >>56

    gj

    まとまってると読み応えあるわね


    オフの日ごろごろマーシュ

  • 58二次元好きの匿名さん25/06/11(水) 23:31:44

    >>57

    えっちだ…

    このチビな身体に釣り合わないデカパイとルビーの瞳とギザ歯とムチムチさが私を狂わせる…

    それはそれとして、SS内でダブルマシュマロのBを102に設定していたり…


    幕間SSは構成とそれぞれの会話や秘密暴露等を考えていたらまとまらなかったので明日にします


    チャンドラポメロ → 身長179cm B123cm

    ダブルマシュマロ → 身長136cm B102cm

    カベルネソラリス → 身長160cm B110cm


    と私の脳内が言っている…

  • 59二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 07:58:55

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 15:34:37

    このレスは削除されています

  • 61二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 18:14:30

    >>58

    楽しみにしているよ

  • 62二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 22:47:07

    >>7

    >>17

    >>58

    (179+136)=157.5

    160cmならだいたいあってる、かんじか。

  • 63二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:02:48

    「Shadow of the Scarlet」──幕間「フルーツパーラーに行こう」


    ※※※


     フルーツパーラーという言葉をチャンドラポメロが聞いたのは、あまりにも唐突だった。
     時は選抜レースが始まった週の土曜日早朝。栗東寮の食堂で朝食を済ませようとしていた彼女は、同じく栗東寮且つ同じクラスのダブルマシュマロと丁度食堂の入り口で鉢合わせたのが事の発端だった。
     二人はそれぞれの朝食を受け取った後に向かい合ってテーブルに着席したところで、ダブルマシュマロがそこに行かないかと話を切り出したのだ。

    「フルーツ、パーラー?」
    「そそ。駅前にこの間有名店の支店が出来たんスよ。選抜レースの慰労会って事で、今日この後行く予定なんスけど、ポメちゃんもどうスか?」
    「はぁ~……私の地元にはなかったですし、お洒落そうで、ちょっと尻込みしちゃいます」
    「フルーツパーラー、なんて洒落た名前スけど、要は果物メインの喫茶店スよ。確かに一人で行くなら、ちょ~っと敷居は高いかもスけど、複数人で行くなら大した事ないス」
    「そうなんですか?」
    「新鮮な果物をふんだんに使った豪華なパフェ! 甘酸っぱい果汁ジュース! 生クリームたっぷりのフルーツケーキ! それらが選り取り見取りなんスよ~」
    「はえ~」

     話を聞きながらも合間を見て朝食を摂るチャンドラポメロに対し、ダブルマシュマロは食事に手を伸ばす事なく力説する。
     ウマ娘は例外なく、皆甘いものが好きである。彼女もまた、その例に洩れず、甘いものは大好物だ。
     フルーツパーラー自体は馴染みがないものの、果物は大好きで、冬場にこたつへ入りながら食べるミカンは一日中食べられるぐらいである。
     その為、この日の予定がない彼女にとって、ダブルマシュマロの申し出は大変興味が惹かれるものがあった。
     自分一人では行きたくても行けない店であっても、ダブルマシュマロと一緒なら行きたいと強く思った。が、それはそれとして彼女には一つ問題があった。

  • 64二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:04:05

    >>63


    「素敵なお誘いで嬉しいですし、とても行きたい、のだけれども」

    「だけれども?」

    「私、あまりお金を自由に使えなくて……」


     県外からトレセン学園に入学したチャンドラポメロは、実家がダブルマシュマロのように裕福ではなかった。

     かと言って、貧乏という訳でもない。一般平均よりも上の家庭ではあるのだが、それでもトレセン学園の生徒として必要なレース関係の備品がそれなりに値段が張る。

     おまけに、ダブルマシュマロなら共感してくれると思いつつも口が裂けても言えない理由の一つに、下着、特に着用するブラジャーの値段がバカにならないのだ。

     チャンドラポメロのバストサイズは123cmであり、トレセン学園広しとはいえ、彼女のサイズを超える者はそれこそ片手に収まるぐらいしかいない。そのサイズのせいで、ブラジャーは特注品にするしかなく、また可愛さや気品、ちょっとしたお洒落を意識すると値段は更に跳ね上がる。

     私服自体は、最悪男性サイズのものの中で女性っぽいデザインのものを選べば何とかなるが、こればかりはどうしようもない。

     しかしながら、可愛い娘の走りの才能が認められ、栄えあるトレセン学園への入学を認められたというのだから、彼女の両親は大層喜び、「お金の事は気にするな」とは言ってくれている。

     だがだからこそ、そんな両親の好意に甘えて好き勝手してはいけない、とチャンドラポメロは自戒していた。

     そう思っての、ダブルマシュマロが落胆しないように言葉を選んでの発言だったが、当の本人は彼女を見て含みのある笑みを見せた。


    「ふっ、ふっ、ふー。ポメちゃんのご家庭の事情までは分からないけれども、同じダブルマシュマロを持つ者として、何となく理由は分かるスよ」

    「うぅ……分かっているのなら堂々と言わないで下さい」

    「チッ、チッ。ご安心召されよ、月の神よ。ボクが何の作戦もないままにフルーツに生クリーム添えただけで定価の7割も8割も値段を上乗せしてくるところに誘いはしないスよ」

    「月の神って……あ、いえ、それよりも、流石にそこまでぼったくり、じゃあないと思うのだけれども」

    「いや、ポメちゃんが先にぼったくりって言っちゃうんかーい」

  • 65二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:05:20

    >>64


     右手の人差し指を立てて横に振って戯れるダブルマシュマロだったが、チャンドラポメロの一言を前に真顔でツッコミを入れてしまう。

     その後、すぐに笑みを取り戻してスカートのポケットから二つ折りのアイボリー色の財布を取り出した。そして、おもむろにそれを開いたかと思うと、中からチケットのようなものを3枚取り出した。


    「じゃじゃーん、ス。ボクの実家が果物屋ってのは以前話したと思うスけど、駅前のフルーツパーラーの系列本店にも果物を卸しているんスよ」

    「凄い」

    「でしょー? んでんで、何とその本店から親に優待券が贈られてきた訳なんスけど、折角駅前に支店があるのだから、ってわざわざボクに譲ってくれたんスよ~」

    「お、おぉー」

    「という事で、ボクも一人で楽しむよりは友達と一緒に楽しみたいって事でポメちゃんを誘った訳なんスねぇ~」


     思わず拍手をしてしまうチャンドラポメロに気を良くしたのか、ダブルマシュマロはその胸のダブルマシュマロを揺らしながら「えっへん!」と自身を誇示する。

     そんな彼女とは対照的に、チャンドラポメロはそこまで大事な優待券を使う相手が自分でいいのかと申し訳なさで委縮してしまう。


    「色々と凄い話ですし、誘ってくれたのは嬉しいですけれども、私なんかでいいの?」


     そして、だからこそ念を押す意味も込めて、お伺いを立てるかのようにダブルマシュマロへとチャンドラポメロは尋ねた。

     それに対し、ダブルマシュマロは一瞬彼女の言葉が理解出来なかったのか、何度か瞬きをした後、笑顔を見せる。


    「なぁ~に言ってるんスか! なんか、じゃなくて、ポメちゃんが、良いんスよ~!」


     ギザ歯を見せて笑い掛けた後、「ってポメちゃんもう朝食済ませているのはズルいスよ~」と慌ててご飯を食べ始めるダブルマシュマロに対し、チャンドラポメロは感激で言葉も出なかった。

     同時に、ダブルマシュマロが自分と友達になってくれて本当に良かった、と心の底から思うのであった。

  • 66二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:07:51

    喫茶店のガールズトークって何話すんでしょうね…?
    マーシュ君が思っていた以上に良い子になっているけど、デカパイは優しい、皆知っているね!?
    という訳で、ほなまた…

  • 67二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:42:15

    ダブルマシュマロ、いい子だ…!

  • 68二次元好きの匿名さん25/06/12(木) 23:55:29

    因みに特注サイズのブラジャーともなると、マジで店頭に売ってないので当然オーダーメイドになる訳だけれども
    ポメちゃんマーシュ君サイズになると1着で万超えるかと(アンダー次第ではあるが)
    そこからお洒落とか刺繍とかこだわりだすと更に値段が増す

  • 69二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 09:32:28

    規格外ってお金掛かるんだなぁ

  • 70二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 11:00:03

    じゃあ俺がタダで下から支える仕事をやるよ

  • 71二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 18:38:12

    ずっと後ろにいて支えてるのを想像して芝

  • 72二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 20:18:33

    大体のざっくりとした計算になるけど、バストが123cmもあったら片方およそ10kgあるぞい

  • 73二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 22:10:04
  • 74二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 23:02:07

    ダブルマシュマロのヒミツ①
    幼稚園の時、お友達に獣のような縦長の瞳孔を怖がられてから、目を隠すような髪型に変えた。

    と言う設定をデザインに後付けしてみる。

  • 75二次元好きの匿名さん25/06/13(金) 23:08:41

    チャンドラポメロのヒミツ①
    甘夏よりはっさく派

  • 76二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:02:37

    >>65



    ※※※



     思い立ったが吉日、とはダブルマシュマロの弁であり、行くなら早い方が良いと朝食を済ませたチャンドラポメロは一旦自室に戻ってお出かけ用の私服に着替える。

     同室のふわふわの耳を持つ黒鹿毛の同級生、ネーロディセッピアからはフルーツパーラーに行く事を耳ざとく知られており、異性とのデートではなくダブルマシュマロとの外出であると説明するのに苦労した。

     互いの大きな胸を押し付け合う程の問答をし、訝しむ彼女を何とか納得させて寮の玄関先に行くまでにチャンドラポメロは軽い疲労感を覚える。

     ネーロディセッピアは悪い子ではなく、寧ろダブルマシュマロと同じくらい良い子である。チャンドラポメロは彼女の髪の色や背丈……そして胸の大きさも似通っている事から親近感すら湧くのだが、色恋沙汰に対する噂話が大好きで、それっぽい事があれば根掘り葉掘り聞いてくるところだけは少々苦手としていた。


    「お、お待たせ」

    「ボクも少し前に来たから大丈夫スよ」


     他にも外出するウマ娘たちがまばらに行き交う寮の玄関先にチャンドラポメロが到着すると、既に待機していたダブルマシュマロがいつものように笑顔を見せた。

     彼女は薄手のオレンジシャーベットカラーのトップスに、春物らしい裾に花の模様が走るウエスト紐タイプのロングシャツワンピース。黒色の肩掛けポーチを斜め掛けしており、チャンドラポメロから見ても可愛らしい姿だった。

     対するチャンドラポメロ自身は、8分袖のブッシュローズ色のシアーブルゾンに白のブラウス。腰からくるぶしまでの空色超ロングスカートにベージュ色の手提げ鞄を添えた姿だった。自身が長身な事もあって、可愛らしさを半ば諦めているだけに、ダブルマシュマロの姿は羨ましくもあった。


    「可愛い服だね」

    「へへっ。おだてても何も出てきませんぜ、ダンナぁ」

    「ダンナって……でもほら、私は身長が高いからどうしても可愛い系の服は着られないし」

    「そうスか? ポメちゃんも十二分に可愛いと思うスけどね。ボクが男ならそのダブルマシュマロ含めて目が釘付けになるスよ」

    「も、もぅ~! すぐに話をそっちに持っていく~!」

  • 77二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:04:39

    >>76


     誉め言葉に対して何故か三下の小物がやるような揉み手行動をとったかと思えば、顎に手を当てて品定めをするかのように胸を見つめる。

     そんな次々と表情や言葉を変えて会話を途切れさせないダブルマシュマロに応えようと、チャンドラポメロもわざと両手で胸を隠すような仕草を取った。

     自身に乗ってくれたと思ったのか、それを見た彼女は嬉々として笑う。


    「わはは。このままポメちゃんと立ち話するのも楽しそうスけど、そろそろ行きますかね。現地で後一人と合流する予定スから、彼女を待たせるのも悪いス」

    「あっ、そういえば優待券、3枚あったね」

    「おっ、ポメちゃん案外目ざといじゃないスか~。いや~、そうなんスよ。折角3枚あるならボクと同室の子も誘おうと思って、その子も誘ったんスけど、朝の自主練があるから現地集合でいいかって言われちゃったんスよ~」

    「そうなんだ」


     いつまでも玄関先でお喋りする訳にもいかないのはダブルマシュマロも分かっていたようで、どちらともなく玄関から外へ出て、歩きながら会話を続ける。

     天候は晴れ。しかしながら朝方な事もあって風は少しだけ冷たく、念の為にシアーブルゾンを羽織って来たのは正解だとチャンドラポメロは密かに思った。

  • 78二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:05:44

    >>77


    「あー。でも、ポメちゃんは結構人見知りするタイプだったスね。今の今まで話していなかったのは申し訳ないス」

    「そ、そんな事は……ちょっとはあるけど」

    「あるんかーい」

    「でもでも、マーシュちゃんの同室の子なら、私も仲良くなりたいですし……因みに私の知っている人ですか?」

    「うーん。別のクラスだし、ポメちゃんの前で話題に出した事はなかった気はするスけど、レースの適性は被っていた気がするから、顔や名前は聞いた事あるかもス」

    「どんな名前の人?」


     チャンドラポメロの質問に対し、ダブルマシュマロは鞄の中からスマートフォンを取り出し、弄り始める。

     それから少ししてスマートフォンの画面を見せる形で彼女へと向ける。


    「カベルネソラリスさんスね。ボクやポメちゃんみたくダブルマシュマロがすんごい人っスよ~」

    「わ、わぁ~……」


     満面の笑みで「ベストショットっス」とスマートフォンを持っていない方の手でサムズアップをするダブルマシュマロに対し、チャンドラポメロはその名前とスマートフォンの画面に映っているカベルネソラリスの姿を見て赤面した。

     画面には白のショートタンクトップだというのに胸が大きいせいで乳のカーテンが出来ている、カメラを向けられて不機嫌顔のお風呂あがりなカベルネソラリスのバストアップ写真が写っていた。

  • 79二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 00:07:15

    ポメちゃんとマーシュ君の私服姿をなるべくガチって考えていたら日付変わっとるやないかーい!
    しかも意外と文字数稼げてない!!

    それはそれとして、乳のカーテン作っているショートタンクトップ姿のカベルネソラリスさん画像を下さい、マーシュ君

    ほなまた…

  • 80二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 08:46:24

    胸がデカい悩みが共通するから仲良くなりそうな気はする

  • 81二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 08:57:07
  • 82二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 09:56:14

    AI君はもっとポメちゃんらがB100超えって事を意識してホラホラ

  • 83二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 11:41:11

    >>82

    こういうことか

  • 84二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 11:42:20

    >>83

    マーベラス…!

    やるじゃあないか…B110のカベルネソラリスぅ!

  • 85二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:26:46

    >>83

    でっけえ…

  • 86二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:36:40

    SS作者さんのイメージに合っていればいいのだけれど

    なおダブルマシュマロはイラスト上のバストサイズがちょっと大きすぎたので弱体化されました(レオタードとか水着を着せると危険なため)


    >>83

    乳の下で雨宿りできそう

  • 87二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:38:30

    流石にこれはやりすぎたなって思ったのでこれは夢です

  • 88二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 20:49:06

    >>86

    おぉ…すげぇ

    1時間ぐらいファッションサイトと睨めっこしながら考えた春先コーディネートがいとも簡単に…

    お胸のサイズも大変良いと思いますハイ


    >>87

    B123って現実だと大体デb……大変ふくよかな体型の人のサイズなので

    正直アンダー差があって且つスタイルが良いと体感これぐらいに見えるのよ

    まあ、現実だとそんなスタイルの人まずいないし、いたとしても残念ながら乳が下と左右に広がっちゃうからこんな綺麗な形にはならんのですハイ

  • 89二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 21:30:51

    >>88

    6/12の段階で作る絵は決めていて、パフェ食べる動作や背景なんかに一晩、その後で私服が出てきたのでファッションサイト見ながらプロンプト書いては修正してで再現するのに2~3時間かかってますね

    合間合間に牛柄レオタードマーシュとか作ってるから時間喰ってるのもありますが


    本当はメロンパフェにしたかったのですが、どうしてもイチゴパフェは覆りませんでした

  • 90二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 22:00:38

    >>89

    >牛柄レオタードマーシュ


    詳しく




    詳しく

  • 91二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:54:19

    >>78



    ※※※



     トレセン学園から駅前まではそれなりの距離がある。

     にも拘らず、ダブルマシュマロが徒歩での移動を選んだのには二つの理由があるという。

     一つは歩く事でお腹を減らし、いっぱい食べたいからという素直な欲求から。もう一つはカベルネソラリスとの現地集合である為、彼女との合流する時間を調整する為だと言った。

     寮を出て、道路沿いを歩き、大通りへと出て、南下して街中を抜けていく。商店街の前を通り過ぎ、駅前までもう少しというところで、カベルネソラリスがもう店で待っている可能性を考えたチャンドラポメロは口を開く。


    「でも、良いんでしょうか? カベルネソラリスさんを入店の順番待ちにさせる形になってしまいそうですが」


     彼女の朝の自主トレーニングがどれだけ行われるか分からないチャンドラポメロは現地集合とはいえ、カベルネソラリスを待たせる事に申し訳なく思い、その事をダブルマシュマロに聞く。すると、ダブルマシュマロはいつものように歯を見せる笑顔で答えた。


    「カベルネソラリスさん、まあ、ボクはソラさんって呼んでいるスけど、あの人、クールビューティーな見た目とスレンダー体型な割にお見事なダブルマシュマロをお持ちの人なんスけど」

    「う、うん」


     自身よりは身長が低いとはいえ、確かに細身であの胸の大きさはチャンドラポメロも少し気になっていたとはいえ、そこを改めて他の者の口から言及されると人の事ながら頬がほてってしまう。そんなチャンドラポメロの杞憂を他所に、一旦言葉を区切ったダブルマシュマロは悪い笑みを浮かべて目を細めた。


    「にしし。あの人、ああ見えて甘いものに目がないんスよ」

    「えっ、でも」

    「ポメちゃんの言いたい事は分かるス。ボクたちウマ娘は極一部の例外を除いて全員甘いものが大好物スからね。けれども、あの人の甘いもの好きはちょっと凄いんスよ」

    「はー……あのピシっとした見た目や口調からは想像出来ませんね」

    「あ、そういえばポメちゃんとは模擬レースや選抜レースでも一緒に走った仲だったスね。そこで交流があったのなら尚の事、彼女のギャップに驚くと思うスよ~」

  • 92二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:55:19

    >>91


     寮生活で同室という訳ではないが、ダブルマシュマロの可愛さが見え隠れする悪い笑みは、チャンドラポメロも何度か見ており、それが意味するところも何となく察していた。

     あくまでもダブルマシュマロから見て、という前提が付くが、その彼女が面白い、興味深いと思うものの更に面白いところを見つけた際にこういう顔になる。

     現にチャンドラポメロが恥ずかしがり屋で顔を赤くすると彼女が気付いた時は、どういった時にそうなるかを色々と話題を振られたからだ。

     そんなダブルマシュマロのお眼鏡に引っ掛かったカベルネソラリスに、チャンドラポメロがやや同情していると、気付けば目的の店に到着していた。


    「凄い人……」

    「ひゃー。開店当日から整理番号が配られるとは聞いていたスけど、これ程とは」


     二人がそう思い思いの言葉を口にするように寮から少し歩いて時間が経ったとはいえ、朝の9時前から店の周辺には人だかりが出来ていた。

     ダブルマシュマロの事前情報によると、駅前のこのフルーツパーラーは開店記念から一か月は集客と宣伝を兼ねての9時オープン。流石に休日とはいえ朝から行けばそこまで混んでないだろう、という予測も兼ねての今の時間帯到着だったのだが、その予想が外れた形となった。

     二人が立ち尽くしている間にも店がオープンしたらしく、店の中から出てきたスタッフが事前に配っていた整理番号を読み上げていく。

     それを見て、取り合えず入店できるか確認しようとチャンドラポメロが隣のダブルマシュマロに提案しようとしたところで後ろから声が掛かる。


    「よう。ダブルマシュマロ。ちゃんと言われたとおりに整理券は……って、一緒にいるのはポメロじゃねえか。何でここに? ってかアンタも甘いもの好きなのか?」

    「えっ、あっ、えっ」

    「そうスよ、ソラさん。今日一緒に連れてくる予定だったポメちゃんス。お互い、顔見知りのようでしたし、別に問題はないスよね?」


     振り返ると、そこにはハンドタオルを肩にかけている上下ともに学園指定のジャージ姿をしたカベルネソラリスが意外そうな顔でチャンドラポメロを見つめていた。

     急に色々と質問をされ、戸惑う彼女の横から、ダブルマシュマロが先に答えてカベルネソラリスの反応を待つ。すると、カベルネソラリスは少しだけバツが悪そうな顔をしながら顔を逸らす。

  • 93二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:56:49

    >>92


    「あー、まー……な? こっちの話ではあるんだが、てっきりアンタが模擬レースや選抜レースで一緒に走ったミスディレクション辺りを連れてくると勝手に思っていたから、ポメロが来るのは少し意外でな」

    「スマホのLANEとかで先に伝えておけば良かったスかね。けどまあ、LANE交換する機会はタイミング悪く──」

    「おい。それはアンタが勝手にオレの風呂上がりの姿を撮ったからだろ! まさかまだスマホからその時の写真を残してないだろうな?」

    「──わはは。流石に誤魔化されなかったスか。今日色々と奢るスから許して下さいっスよ~。甘いものが選り取り見取りで全部食べ放題スよ~?」

    「……ふん。まあいい。奢って貰えるのなら、遠慮はしないからな」

    「不沈艦に乗ったつもりで任せて下さいスよ~。あ、整理番号って何番スか?」

    「急に立ち上がったりしないだろうな、その船。っと、今呼ばれた番号がそうだ。取り合えず店に入ろう」

    「だ、そうスよ。行くスよ、ポメちゃん」

    「あ、う、うん」


     自分の目の前で口喧嘩が始まったかと思ったら、急にカベルネソラリスの方が落ち着きを取り戻して店に向かう後ろ姿を見て、チャンドラポメロは状況を理解出来ないままにダブルマシュマロから促されて歩を進める。

     その道中で、先を行くカベルネソラリスに聞こえないように小さく声を潜めながらダブルマシュマロが、「ね? あの人、甘いものが絡むとチョロいんスよ」とほくそ笑みながら話しかけてくるのであった。

  • 94二次元好きの匿名さん25/06/14(土) 23:59:00

    カベルネソラリスのヒミツ①
    実は他のウマ娘たちよりも更に抜きんでて甘いもの好きであり、甘いもので割と簡単に買収される


    という事で気になる牛柄レオタードマーシュなる単語が凄く凄い気になる中でようやく入店と相成りました
    ほなまた…

  • 95二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 08:57:37

    店内でも何か起きるかな

  • 96二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 10:01:45

    ポメちゃんもマーシュもソラリスもイメージが固まったようで何よりじゃよ
    デカパイは譲れないけど




    デカパイは譲れないけど!!(力説)

  • 97二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 14:15:17




    なかなか狙ったデザインにならず、予想外に苦戦した角ポーズ牛柄レオタードマーシュ(カウベル耳タグ付き)
    レオタードがビキニになったり谷間の露出が凄い事になったりとボツが多くて…

  • 98二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 15:20:22

    >>97

    今日は「ちちの日」であって「うしの日」であったか…!

    GIF(Animated) / 15KB / 500ms

  • 99二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 23:40:18

    >>93


     店内は新店舗という事もあり、とても綺麗だった。照明は明るく、清潔感溢れる白の壁紙に、天井は木の格子で彩りお洒落な空間を演出。

     ダブルマシュマロが言うように内装は大型の洋風喫茶店といった様子で、チャンドラポメロはつい癖で辺りを見渡す。入って奥の接客カウンターの後ろ側にはお土産用なのか展示用なのかは分からないが様々なフルーツがガラス張りの黒ケースに並んでおり、客席はテーブル席がいくつも並ぶ。客席の奥の方には仕切りのある個室風の客席もある。

     接客カウンターの右側は様々なホールやショートケーキのショーケースが、左側にはバイキング形式のフルーツやカットケーキがあり、その奥が厨房のようであった。


    「ふわぁ」

    「すげぇな」


     店内に入ってからは慣れているであろうダブルマシュマロが先行し、店員に席まで案内されている間に、チャンドラポメロは思わず声を漏らす。それはカベルネソラリスも同じだったようで、彼女は呟いた後に自身がジャージ姿である事を気にしだす様子を見せた。

     人数の為か、それとも優待券があったからか、チャンドラポメロたちは仕切りのある個室風客席の方に通され、チャンドラポメロが一人、ダブルマシュマロとカベルネソラリスが並んで座る形となった。


    「着替えを持ってくればよかった」


     優待券によって、バイキングが食べ放題である事や、お土産のケーキとフルーツの話。メニューにある無料となるものや有料となるものの説明を受けた後、それぞれのドリンクメニューを聞いた店員が一度立ち去った後にカベルネソラリスが短くため息を吐くように漏らす。それを聞いたダブルマシュマロが間髪入れずに口を挟む。


    「だから言ったじゃないスか。ジャージ以外にも服を用意した方がいいって」

    「ここまでお洒落な店とは思わなかったんだよ。ああ、くそ。この姿じゃバイキングのところに行き辛い」

    「じゃあ、私がカベルネソラリスさんの分まで取りに行きましょうか? 食べたいものを言って貰えれば──」

    「それは流石に悪い。後、オレの事はソラリスでいい」

    「──あっ、はい」

  • 100二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 23:41:19

    >>99


     チャンドラポメロに言われ、カベルネソラリスはバツが悪そうに右手で首筋を撫でる。同時に、朝の自主トレーニングで掻いた汗が気になるのか、左手で首元のジャージを鼻先まで引っ張って軽く体臭を確認する。それを見たダブルマシュマロが逡巡するように視線を走らせた後、いつものように笑顔を見せる。


    「まー、今回は強く推奨しなかったボクが悪かったス。ソラさんの分のバイキングはボクが取りに行くス。代わりにボクたちがいない間に来た注文の品はソラさんが受け取る、これでどうスか?」

    「あ、ああ。悪いな」

    「じゃあ、ボクたちはバイキング行くスから、飲み物を受け取って欲しいスね。ついでに、ボクとソラさんの席も変わっておくスか」

    「お、おう……何だ、手慣れているな? 実は初めてじゃあないのか?」


     てきぱきと提案と指示を出すダブルマシュマロに従いながらも、カベルネソラリスはどこか訝しむように眉根を寄せる。それに対し、彼女は鼻を鳴らして胸を張った。


    「ふふーん。この店自体は初めてスけど、この店の系列店舗には行った事があるス。ついでに実家のフルーツ屋の横はここ程じゃないスけど、フルーツカフェなんスよ~」

    「ちぇ。お嬢様め」

    「お嬢様って言う程のものじゃないスよ。単に経験があるってだけス。それに、お嬢様言ったらソラさんの方が地元じゃ有名な大型スーパーを経営しているところのお嬢様じゃないスか」

    「あんなもの、地域限定の大型スーパーだよ。全国展開している訳じゃない。地元じゃオレの事を社長令嬢なんて言う奴もいるが、実際は大した事はねえよ」

    「ふーん。お嬢様やるのも大変なんスね~」

    「……アンタな、人の話をちゃんと聞いていたか? 今の話を聞いて『お嬢様やるのも大変』なんて言葉がどこから出てくるんだよ」

    「え? この可愛い口からスけど?」

    「っ、口の減らない奴だ」

    「一つしかないスからね。減ったら大変ス」

    「そういう事じゃねぇよ! ああ、もう。ポメロも何とか言ってやれ!」

    「えっ、あっ。その、私は一般家庭の出身で……」

    「そっちの話じゃねぇ!」

    「ご、ごめんなさい!」

    「ぁ、いや、こっちも悪かった」

  • 101二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 23:43:37

    >>100


     二人が問答を始める前に、既に頭の中は甘い果物や美味しいケーキなどで埋め尽くされていたチャンドラポメロ。

     彼女はバイキングに行きたいという気持ちで先に席を立ってダブルマシュマロを待つ形になっていた為、二人のやり取りを前に戸惑い、急に矛先が自分に向けられた事に慌ててしまう。

     そのまま頭をカベルネソラリスへと下げるも、それを見て冷静さを取り戻したのか、チャンドラポメロの下げた頭の上から彼女の申し訳なさそうな声が聞こえた。


    「ほらー『早く甘いものが食べたい』とポメちゃんは言っている、スよ」

    「……ああ、ちくしょう。悪かった、オレが悪かったよ」

    「で? 何が食べたいんスか?」

    「……甘いものなら何でも。あ、酸っぱいのとかは止めろよ? 果物の酸味よりも今は甘いものが食べたい気分なんだ」

    「りょーかいス。それじゃ、飲み物の受け取りはお願いするスよ」

    「分かった……ついでにメニュー表にあったこの、はちみーフルーツタルトと、パフェも頼んでいいか?」

    「優待券で無料になるものなら何でもいいスよ。それじゃ、待たせたスね、ポメちゃん。行くスよ」

    「う、うん」


     顔を上げると反省するように耳を寝かせたカベルネソラリスが唇を尖らせており、そんな彼女をあやすような口調でダブルマシュマロが再び提案と指示を出す。

     今度はそれに対して特に口を挟む事なく従い、席もお互いに入れ替えた後にチャンドラポメロとダブルマシュマロはバイキングコーナーへと足を運ぶ。


    「うわぁ……」

    「うぅん。流石は都会スねぇ。量もスけど、種類も多い」


     そして、バイキングコーナーで色とりどりのフルーツやケーキ類を見て、チャンドラポメロは視界が輝いて見えるのを感じ、隣のダブルマシュマロは感心するように頷きながらも、それぞれが思い思いのものを取っていくのだった。

  • 102二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 23:46:48

    そして、この3人には最後まで預かり知らぬところではあるが…フルーツパーラーのスタッフたちや店の前に並んでいた他の客や通りすがりの者たちからは

    「デカパイたちが練り歩いている…」
    「うおっ、すっげ…」
    「大きいお餅が6つも…」
    「類は友を呼ぶってこういう事かぁ…」
    「いやぁ、急にスイカやメロンが食べたくなったなぁ!」
    「これ絶対食べたものが全部胸に行くタイプでしょ」
    「店内にスイカやメロンを持ち込まないでもろて」

    などと好き放題言われたのは言うまでもない
    ほなまた…

  • 103二次元好きの匿名さん25/06/15(日) 23:49:38

    学生のじゃれ合いいいぞー

  • 104二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 07:16:47

    フルーツパーラーで3人とも食べ過ぎてーみたいなウマ娘本家の腹ボテが出来ないかとやってみたら大体顔や手足まで太らされてしまう…ので妊娠状態ならあるいは…と思ってやってみたらまあアウトォ!な絵になって笑う

  • 105二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 10:19:17

    オリウマ深夜スレに妊婦オリウマがいるけど、ボテ腹になるだけでアウト感が上がるよね
    本来、妊婦さんはドスケベカテゴリーではない筈なのだけど…

  • 106二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 18:07:55

    パフェ食べたくなってきたな

  • 107二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:23:27

    >>101


    「うん?」


     キウイフルーツ、リンゴ、ブラックチェリー、メロン、オレンジ、イチゴ。何となく皿の彩りを考えて丁寧にフルーツを選び、後は一口サイズのケーキをいくつか見積ろうとしたところでチャンドラポメロの手が止まる。視界の端に映ったものが気になり、そちらへと視線を向けた。

     そこには他のバイキングのフルーツやケーキとは明らかに別コーナーとして様々なフルーツ……のようなものが置いてあった。


    「珍しい、果物、たち?」


     お店側もそれは意図して作ったコーナーのようであり、一番大きな看板にはチャンドラポメロが読み上げた文字が目を惹く色合いで書かれていた。

     また、その看板を取り囲むように置かれた珍しい果物と呼ばれているものたちにはそれぞれの名前と、簡単な説明が書かれている。

     一見すると木の実のようなものから、誰もが知っている果物が置いてある中、それらが何故まとめて珍しい扱いかが分からずに立ち止まっていると、後ろからダブルマシュマロが声を掛けてきた。


    「どしたんスか?」

    「わっ、マーシュちゃん」

    「って、へぇ~。開店してからの口コミ用に写真やSNS投稿OKとは聞いていたスけど、店側もしっかりと宣伝しやすいような催し物を出しているんスねぇ」

    「これらの果物、知っているのですか?」

    「ふふーん。伊達にフルーツ屋の一人娘やっていないスよ」


     看板には珍しいと書かれているにも関わらず、果物ではなく宣伝方法に関心を示すようなダブルマシュマロにチャンドラポメロが小首を傾げる。

     すると、彼女の質問に対してダブルマシュマロは得意気な顔をして右手でまず断面図が星形になっている黄色の果物を指した。


    「ネームプレートにも書いてあるスけど、あれがスターフルーツ。別名は五斂子(ごれんし)って果物スね。説明の通り、切ると断面図が星形になる面白い果実ス」

    「美味しいんですか?」

    「うーん。この手の店で取り扱う場合って売れ残る事を考えて完熟手前で仕入れる場合があるスからね。完熟していれば酸味が強めの甘酸っぱい梨って感じス。柔らかくなるから、梨より歯ごたえはなくなるスけどね」

    「はえー」

    「あの色なら完熟二歩手前ってところスから、歯ごたえはあるけど、味は薄い梨って感じになるスかね」

  • 108二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:24:31

    >>107


     ネームプレートには「スターフルーツ。星形の珍しい果実」とだけ書いてあるだけに、ダブルマシュマロの蘊蓄は実際に食べた人による感想と実感がこもっているものだった。

     彼女の果物知識と、この場にある珍しい果物に興味を持ったチャンドラポメロはスターフルーツの隣にある「ミラクルフルーツ」と紹介されている赤いどんぐりのような果物を指差した。


    「あのミラクルフルーツって言うのは?」

    「あれはネームプレートの紹介の通りス。口に含んで1、2分ほど果汁を口内で遊ばせた後に、パイナップルみたいな酸味の強い果物を食べると、その酸味が甘味に感じるという不思議果実っスね」

    「凄い」

    「ただ」

    「ただ?」

    「見た限り、あれは冷凍保存されていたものスね。鮮度が命な果物スから仕方がないスけど、冷凍するとその効力が大幅に失われるんス」

    「つまり?」

    「酸味を甘味に感じるっていうのを体感しにくいスね。こういうのはミラクルフルーツを実際に栽培している植物園で収穫時期にある体験コーナーとかでやった方が効果を実感出来るスよ」

    「ほえー」


     打てば響くような受け答えに、チャンドラポメロはますます関心を深めていく。

     こうなってくると、彼女は俄然ダブルマシュマロの解説を聞きたいと思い、次の果物へと視線を移す。


    「ドラゴンフルーツ、は私も聞いた事があります」

    「パパイヤやマンゴーと並んで、南国フルーツの定番スね。この店に置いてあるのは白肉種のようスけど、赤肉種の方が甘味が強いから見た目を気にしないならそっちを食べるといいス」

    「ふんふん」

    「食べ過ぎ注意スね。整腸効果があるスからお通じが良くなるという点や、抗酸化作用が強いスから老化や生活習慣病の予防になるのはいいんスけど」

    「うん」

    「何よりも鉄分と葉酸を多く含むスから……その、お通じで出す、ものが……うん。どっちも赤くなるス。割と病気を疑うレベルに」

    「そ、そうなんだ……えっと、じゃあ」


     大分言葉を濁してはいたが、ダブルマシュマロのいつもの笑顔が何とも言えない表情へと変わるのを見て、チャンドラポメロもそれ以上追及するのは止めた。

     同時に、トイレの中が鮮血に染まるイメージが思い浮かんでしまい、慌てて別の果物へと移ろうと視線を走らせる。

  • 109二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:25:57

    >>108


    「……あれ?」


     そして、次に目に映った果物が恐らく誰もが知る果物である事に違和感を覚えた。

     それは、先程の南国フルーツたちの代表にして王様とも呼べる果物。多くの者が一度は口にした事があるであろうものであり、アスリートであるチャンドラポメロ自身もよく知る果物だった。


    「バナナ?」


     皮付きではあるが、食べやすいように一口カットされているそれは紛れもなくバナナであり、この「珍しい果物コーナー」に置かれているのは間違いではないかとすら思った。

     それこそ、他の果物たちは置かれていなくとも、スーパーにいけば年中置いてある果物だからだった。

     しかし、言葉に詰まったチャンドラポメロの視線の先を見えずとも予想したのか、彼女がバナナを見ていると気付いたダブルマシュマロは喜色満面の笑みを浮かべた。


    「へえ! バナナ! バナナを珍しい植物として置くなんて、このコーナーを作った人は"分かっている"人スねぇ!」

    「えっ、えっ、でも、バナナだよ? どこにでもある」


     他の果物解説とは一転してテンションが上がったように見えるダブルマシュマロに、チャンドラポメロは困惑する。

     すると、そんな彼女を見て、ダブルマシュマロはわざとらしく人差し指を立てて左右に振った。


    「ちっ、ちっ、ちっー。ポメちゃん。確かにあれはどこにでもある南国フルーツの王様、バナナっス」

    「うん」

    「じゃあ、そんなバナナが何で珍しい果物コーナーに置かれているのか? ってところがポメちゃんの気になるポインツって訳スよね?」

    「ポインツ……まあ、はい」

    「ふふーん。実はバナナって全部クローン個体なんスよ」

    「えっ!?」


     どこにでもあって、何時でも食べられる果物から聞きなれない単語が飛び出し、チャンドラポメロは思わず声を上げる。

     その反応に気を良くしたのか、ダブルマシュマロは嬉しそうに説明を続ける。

  • 110二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:27:42

    >>109


    「バナナにも一応種はあるんスけど、今食べているバナナの種はもう退化していて発芽しないんスよ。ほら、あの輪切りにした際の中央の黒い部分」

    「へぇ~、あれが」

    「じゃあ何で増やして栽培するかっていうと、株分けっていう方法で、大きく育った親株から子株を切り離して別のところで育ている訳ス」

    「? 親と子って事はクローンにならない気が」

    「あくまでも一つの植物から見て大本を親、切り離した部分を子と表現しているだけで、どちらも同じ遺伝子を持っているんス。だからクローンという訳スね」

    「ふぇえ」

    「だから、今市場に出回っているバナナは全部同一個体、と言っても過言ではないスかね。育てる場所とかで甘味や栄養価に違いは出るスけども」

    「な、なるほどー」

    「そのせいで、一度病気になるとその病気に対して抵抗がなければ一気に死滅するっス。仮にその病気が伝染型なら全滅待ったなしスね。何なら、一度か二度程全滅しかけているス」


     身近な果物にそんな深い背景と歴史があるとは思いもよらず、チャンドラポメロはダブルマシュマロの説明に傾倒するように聞き入る。

     その後も、専用の殻割り機があるマカダミアナッツ。細い緑レモンの見た目に中身は粒が詰まっているフィンガーライム等、聞けばその果物に関する蘊蓄をダブルマシュマロは次々と披露していく。

     気が付けばそこそこの時間を消費してしまい、カベルネソラリスを待たせている事を思い出したチャンドラポメロは最後に一つ気になるものを指差してダブルマシュマロに尋ねる。

  • 111二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:28:49

    >>110


    「あのデーツというのは」

    「ナツメヤシの実スね。ドライフルーツなんスけど、栄養価は凄く高くてスーパーフードなんて呼ばれる事もあるス。味も黒糖のような甘味と滑らかな舌触りで美味しいスよ。美容にも健康にもいいス……ただまあ、見た目はちょっと、人によっては美味しそうに見えないのが難点スけど」


     質問に対してすぐさま答えるダブルマシュマロ。しかし彼女の言う通り、他のドライフルーツと比べると黒くしなびた固形物のように見えるデーツは、チャンドラポメロからしてもあまり美味しそうには見えなかった。

     それどころか、何となく頭に思い浮かんだものと重なり、チャンドラポメロはついそのまま口にしてしまう。


    「うん。猫の、その、落とし物……みたいだね」

    「う゛っ。ま、まあ、穿った見方をすればそうかも知れないスけど、ポメちゃん、結構直球スね……」

    「うっ、ご、ごめんなさい」

    「まあ、それを言い出したら黒糖かりんとうも……って、そんな話でこれ以上ソラさんを待たせちゃいけないス! ポメちゃん、一回戻るスよ!」

    「は、はい!」


     チャンドラポメロの発言によって、微妙な空気がその場に流れ、ダブルマシュマロがわざとらしくそれを流そうと踵を返す。

     それを見た彼女もまた、自身の失言に頬が熱くなるのを感じながら、ダブルマシュマロの後について席へと戻るのだった。

  • 112二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:30:24

    フルーツ屋、ダブルマシュマロによる珍しい果物蘊蓄披露の回でした
    名前の出した果物は大体私も食べた事があるので個人の感想も含まれますのでよしなに
    次か次の次ぐらいで幕間終了の予定になりますのでほなまた…

  • 113二次元好きの匿名さん25/06/16(月) 23:47:19

    乙です
    蘊蓄披露と感想の出し方でキャラの性格が見えて良いな、と

  • 114二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 00:19:56

    いつもありがとうね
    毎日の楽しみだよ

  • 115二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 08:50:28

    ボディはデカパイなのに、話はとても爽やかなのがいい

  • 116二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 12:28:11

    >>104

    牛柄レオタードダブルマシュマロをボテ腹にして絵柄に朝凪風味を足したら、大丈夫な筈なんだけど大丈夫じゃない絵が出てきて、そっと封印した

  • 117二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 20:25:48

    朝凪風味付けたけど目元見えないから何も分からなかった

  • 118二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 20:59:50

    いいねや感想貰えて嬉しいな
    ポメちゃん画像も増えているし、今日も頑張って書くぞい


    ……は、良いんだけれども、ウマ娘ってHな話とお下ネタってどれぐらいまで許容されるんじゃろか
    (直接的なエロとかではないけど、女子同士の会話で発生するお下品ネタレベル)

  • 119二次元好きの匿名さん25/06/17(火) 22:30:00

    >>118

    リアルな女子ってことで許そう元スレ主並みの感想で

  • 120二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:04:21

    >>111


    「ソラリスさんを待たせてしまいましたね」

    「多分大丈夫じゃないスかね。あの人、ちゃっかりパフェとか頼んでいたし」


     バイキングテーブルから席までの距離が少しあるのと、店内が他の客で賑わい出した事もあり、人の行き来を見ながら慎重に進む二人。

     先を行くダブルマシュマロの背中にチャンドラポメロが声を掛けると、左手に持っているカベルネソラリスの分のフルーツやケーキを乗せた皿を軽く上げながら振り返る。

     そして、チャンドラポメロの右手にある皿を見て目を丸くした。


    「って、うおっ。ポメちゃん、そのお皿てんこ盛りのカットバナナは一体……?」

    「あっ、えへへ。実は私、バナナ、好きなんです」

    「は、ははぁ。珍しい果物コーナーでバナナに反応したのはそういう事だったんスね」

    「えっ、さ、さあ? ふふふ」


     バナナ好きを公言したチャンドラポメロに、ダブルマシュマロは例の悪い笑みを浮かべる。それを見て、彼女は自身の失言に気付く。

     今後はバナナ好きで弄られると思ったチャンドラポメロは目を泳がせて微笑み返す。目線を合わせれば、如何にも誤魔化していますと言っているようなものだったが、彼女はその目線を隠す程伸ばした前髪のおかげでこれはバレないだろうと内心高を括った。

     しかし、それはあくまでも彼女と同身長またはカベルネソラリスぐらいの身長までの人物が分からないのであって、そのチャンドラポメロを下から覗き込める身長のダブルマシュマロには通じないようだった。

     文字通り見上げるようにチャンドラポメロを見つめたダブルマシュマロは、小さくため息を吐く。


    「ふふふ、じゃないスよ。今更変に取り繕ってもバレバレっスよ」

    「……だってバナナ、美味しいんですもん」


     指摘を受け、バナナ好きが誤魔化せないと悟ったチャンドラポメロは頬に空気を溜めつつ、最後の抵抗とばかりに彼女から顔を背ける。

     食べやすくて、消化が早く、胃に優しい上に甘くて美味しい。栄養価も高く、アスリートなら誰しもが一度はお世話になっている果物を好きと思うのは間違いじゃない。


    「拗ねないで下さいス。ボクが悪かったっスよ」

    「……うん」

  • 121二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:05:41

    >>120


     それをからかったり、弄ったりするのは良くない事だ、という気持ちの表れからの行動であったが、それを見たダブルマシュマロには伝わったようだった。

     両手にフルーツが乗った皿を持っている為に、会釈程度ではあったがちゃんと気持ちの込めた謝罪をしてくれた。それを受けたチャンドラポメロもこれ以上へそを曲げるのは彼女に悪いと頷き、二人は他の客の波が途切れたのを見計らって席へと戻る。


    「ソラさん、お待たせしたっス~」

    「すみません。お待たせしまし、た?」


     欲張ってアイスを乗せなくて良かったと内心思いながらチャンドラポメロがダブルマシュマロに続いてカベルネソラリスの待つ席に到着する。

     そして、手にものを持ったままの会話は失礼だと一度テーブルへと皿を置いてから彼女の方へと視線をやり、その目に映るものを見て固まった。


    「ん~? あー、おつかれ。まあ、こみあっていたみたいだからなぁ。ん~、生クリームおいしっ」

    「……」


     チャンドラポメロのカベルネソラリスの第一印象は誇り高い女性だった。

     大きい胸を持つ身としてはその目立つものを隠すようにややもすれば前かがみになりがちであるのに対し、カベルネソラリスは寧ろ見せつけるように背筋を伸ばしていた。

     ファーストコンタクトが模擬レースの走破後だった事もあり、光り輝く汗を滴らせ、爽やかに笑う、レースや走る事に対して真摯で真面目な女の子。そういう印象が強く残った。

     眼鏡をしている、という事もあったが、それを抜きにしても理知的で端正な顔立ちは、芦毛のポニーテールも相まって才女にすら思えたのも記憶に新しい。

     ダブルマシュマロの言から社長令嬢と知った時も、チャンドラポメロはイメージ通りだと密かに思った。

     走る彼女の姿もそうだが、スーツ姿の彼女もまた、その見た目の印象に合致した着こなしを見せるのだろうと想像すらした。


    「ん? どした? まさか立ったまま食べるってわけじゃないだろ? おっ、このタルトもうまっ、はちみーが心に沁みるぅ」

  • 122二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:06:49

    >>121


     しかしながら、今、チャンドラポメロの目の前でパフェやフルーツタルトを食べるカベルネソラリスの姿は、およそそれまでのイメージをぶち壊すようなものだった。

     釣り気味の丸目は目尻が完全に垂れ下がっており、引き締まっていた頬や口元は緩み、何なら言葉というか言語すら幼くなっているように感じる。

     チャンドラポメロ自身はその長身から高等部もしくは大学部と間違われてきた経験がある。それもあって、カベルネソラリスを初めて見た時は雰囲気から高等部ぐらいに見間違われるのだろうな、と思ったし、実際に普段の彼女はおよそ中等部には見えなかった。

     だが甘い食べ物を前に油断し切った今のカベルネソラリスは、チャンドラポメロがどう頑張っても初等部の女の子の雰囲気しか感じ取れなかった。その大きな胸さえなければ、実際にそう勘違いする人もいたかも知れないと思う程に。

     全身で幸せを感じている彼女にどう声を掛けていいものかと、取り合えず座ってから考えるチャンドラポメロ。

     けれども、対面で今まで見た事のない笑顔を見せるカベルネソラリスにどう声を掛けても、その笑顔を消してしまうと内心頭を抱える。


    「あー。甘いものばかりじゃ胃がもたれるスよ、ソラさん。はいあーん」

    「あ? あー……んっ!? すっぱっ!? これ、キウイか!?」


     そんなチャンドラポメロを他所に、カベルネソラリスの横に座ったダブルマシュマロが彼女の口の中にカットされたキウイフルーツを入れる。

     普段であれば無防備に口を開けるなんてしなさそうなカベルネソラリスは、自身の口の中に入ったキウイフルーツの酸味にやや腰を浮かしながら瞬きする。

     すると、それまで幸せに緩み切っていた初等部の女の子がみるみるうちに普段のカベルネソラリスへと変わった。

     酸っぱいものが苦手なのか、それとも不意打ちだったからか、急いで口の中に入れられたキウイフルーツを咀嚼して呑み込んだ彼女は、隣にいる澄ました顔をしたダブルマシュマロを睨み付けた。


    「おい! いきなりとんだご挨拶だな!?」

    「ご挨拶だなんて、それこそご挨拶スよ。ボクはソラさんの醜態をこれ以上晒さないようにしてあげたのに」

    「ああん? だからって、人が甘味を楽しんでいる時に……あ?」

    「ど、どう、も?」

    「あっ、あー……」

  • 123二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:07:57

    >>122


     今にも立ち上がりそうな勢いそのままにダブルマシュマロへと食い下がるカベルネソラリスだったが、彼女からの指摘を受けると、横目でチャンドラポメロを見た。

     本人は睨んでいるつもりはなさそうだったが、その剣幕の一部を見ていたチャンドラポメロは小さく右手を上げての挨拶で応える。

     それを受けて、カベルネソラリスは一瞬顔を赤くした後、チャンドラポメロとダブルマシュマロを交互に見て、無言で着席した。


    「……」

    「と、まあ、ソラさんはこんな感じで甘いものに夢中になると集中力が欠けるといいますか、ちょっと周囲が見えなくなるんス」

    「悪かったな、無類の甘いもの好きでよっ」

    「不貞腐れないで下さいスよ。だからこうしてフォローしたんじゃないスか」

    「むう……」


     明らかに唇を尖らせてそっぽを向くカベルネソラリスは、ダブルマシュマロの言葉に怒った猫のような威嚇を見せる。

     だが、それを茶化す事も受け流す事もせずに、困った様子で返す彼女を見て、反省するように押し黙る。

     一同が黙る事でその場に微妙な空気が流れ、周囲の雑音や店内のBGMがチャンドラポメロの耳に残る状態となった。

     その沈黙を作ったのがカベルネソラリスなら、それを破ったのも彼女であった。


    「……幼い頃から、甘いものが大好きでさ。お母さんに甘いもの禁止令が出されるぐらいには、夢中になっちまうんだ」


     少し遠慮がちに、ともすれば独り言のようにも聞こえる声量で、カベルネソラリスはチャンドラポメロの反応を伺うように見つめる。


    「恥ずかしいだろ? でも、それぐらい好きなんだ」

    「わ、私も、その、見て下さい」


     それからバツが悪そうに首筋を右手で撫でながら再びそっぽを向きそうな彼女に、チャンドラポメロも意を決してカットバナナが山盛りに乗った皿を見える位置に移動させる。

     カベルネソラリスが好きなものは好きだと言うのであれば、チャンドラポメロもまた同じ。

     仮に人から茶化されたとしても、バナナが好きという気持ちがある彼女からしたら、カベルネソラリスの気持ちは良く分かった。

     だからこそ、その「好き」という気持ちを受け止め、共感したかったのだ。

  • 124二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:09:06

    >>123


    「ん? あー、好きなのか、バナナ」

    「は、はい。私もその、バナナが好きというのをからかわれる事もありますが……好きなんです。だから、ソラリスさんの気持ち、良く、分かります」

    「そっか……そっか」


     視線こそ、自身の前髪によって分からないかも知れないが、気持ちを込めてチャンドラポメロは自分の「好き」を伝え、またカベルネソラリスの「好き」を認める。

     その言葉が通じたのか、彼女は肩の力を抜いて、それから小さく微笑んだ。

     同時に場の雰囲気も元に戻り、それを察知したダブルマシュマロが二人に割って入って来た。


    「うんうん。それじゃあ、折角の甘いものが冷めちゃいますし、食べて次の甘いものに行きましょう!」

    「ところで話は変わるんだが、何でバナナを男性器に例えるのだろうな?」

    「って、甘いものが冷めるってなんやねーんってツッコまんのかー……へ?」

    「……え?」

    「うん? オレ、何かおかしな事を言ったか? んっ、メロン美味しい」


     いつもの調子でいつもの笑顔。そしていつものノリツッコミを彼女が披露し切った為に、その場の誰もがカベルネソラリスの爆弾発言への反応が遅れた。

     そして、二人の視線が集中したのを受けても、その張本人は交互に視線を走らせながらも、その前の爆弾発言をもう忘れたと言わんばかりにパフェのメロンを口にするのだった。

  • 125二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 00:11:30

    一難去ってまた一難
    そんな幕間も次回で終わり、本編へ
    ってまた日付変わっとるやないかーい!
    後はこの定番のバナナ=男性器ネタを如何に下品にせず、Hにもせず話を進めるかに掛かっている…!
    ほなまた…

  • 126二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 01:13:32

    すごいほっこりする


    >>117

    塗りがそれっぽく変わるもんですねぇ

  • 127二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 09:37:28

    出かける前に保守しとく

  • 128二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 17:28:36

    なんだかんだでそういうのも気になっちゃうお年頃なのか

  • 129二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:47:54

    >>124


    「いやいや。いやいやいやいやいやっ!」


     メロンに舌鼓を打つ彼女がそれ以上自身の発言に触れる事なく、次はハーフカットされたイチゴへとスプーンを向けたところにダブルマシュマロが待ったをかける。

     その顔は羞恥によるものなのか真っ赤に染まっており、普段の自由奔放とした彼女からは想像出来ないものであった。


    「あん? どうした、ダブルマシュマロ。顔を真っ赤にして」

    「ソラさんがいきなりバナナをだっ、だっ、男性の……えっと、その、"それ"に例えたからスよ!」

    「男性のそれ? ああ、×××の事な。例えてはないだろ。寧ろ、何で例えるんだろうなっていう疑問だが」


     椅子から腰を浮かしかけながら、物凄い剣幕で迫るダブルマシュマロに対し、カベルネソラリスは甘味摂取の邪魔をするなとでも言いたげな表情をした。

     それから、それでも食い下がってくる彼女に対してもっと直接的な表現を使って返答する。

     特に恥ずかしがる様子も見せず、寧ろ眉を寄せて怪訝そうな顔をするカベルネソラリスに、ダブルマシュマロの方は顔を引きつらせて口の開閉を繰り返す。チャンドラポメロも彼女の口からそんな言葉が飛んでくるとは思わず、何も発言できずに固まったまま二人の様子を見守るしか出来なかった。


    「×、××……~っ! 卑猥っス! 助平っス! 一体、何考えているんスか!」

    「何って……だからー、同じ色をしているって訳でもないのに、何でバナナを×××に例えるのかっていう話をだな」

    「わざわざ言い直さなくてもいいっスゥ!」


     直接的な表現を使ったカベルネソラリスは、そんな事よりも早くパフェの続きを食べたいと視線を目の前へと戻すのに対し、ダブルマシュマロは顔だけでなく首まで赤くして、耳を全方位に回転させながら立ち上がる。

     それを見て何だか既視感を覚えたチャンドラポメロだったが、つい先程までの二人のやり取りを丁度逆転させたものだと気付く。

     となると、カベルネソラリスが切りの良いところでダブルマシュマロを宥めれば話はそれで終わりそうとも思ったが、肝心のカベルネソラリスがそういう素振りを見せない事に一抹の不安を覚えた。


    「はわ、はわわ……」

    「ほら! ポメちゃんも困っているじゃないスか!」

  • 130二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:49:15

    >>129


     その不安が言葉として表に出してしまい、それを聞いたダブルマシュマロが援護をもらったと言わんばかりにチャンドラポメロを二人の会話に参戦させた。

     しかし、それでも尚カベルネソラリスは二人の反応が理解出来ないと小首を傾げる。


    「分からないな。何でそんなにまくし立てる?」

    「そりゃこれからバナナを食べる人がいるって言うのに、いきなり×……男性、の、器……アレに例える人がいるっスか!?」

    「歯切れの悪い回答だな。それに、ふと思ったのだから仕方がないだろう」

    「だからってそれをわざわざ口にしなくてもいいじゃないスか!」

    「そんな事を言われてもな。別に気にしなければいいだろ。それに、いつもアンタだっておっぱいを自分の名前、ダブルマシュマロ~とか例えているじゃないか」

    「お゛っ!?」

    「違うのか? 寮で同室になった時、初対面なのに『ボクのダブルマシュマロよりも大きなダブルマシュマロに出会えるなんて、こりゃ改名しなきゃいけないスね~ガハハ』とか人のおっぱいを見ながら言っていただろ」

    「おぱ、おっぱ……」


     ダブルマシュマロの尤もらしい意見に対し、カベルネソラリスは悪びれもせずに答える。恥じるどころか寧ろ堂々と胸の事を「おっぱい」と言ってのける姿は、授業中に模範解答をしてみせた優等生のそれですらあった。それとは対極的に、ダブルマシュマロの方は不意に教師から指名を受けて立ち上がったはいいものの、答えられずに押し黙ってしまう生徒のようにチャンドラポメロは見えてしまった。

     流石にこれ以上は黙って見ている訳にはいかないと、チャンドラポメロは二人に声を掛けようとする。だが、この状況で何と声を掛けていいかの第一声が決まらず、二人を交互に見てしまう。そんな中、ここに来てカベルネソラリスがダブルマシュマロの様子に気付く。


    「うん? ってか、見れば顔が真っ赤じゃないか。一体何……ははーん? さてはアンタ」

    「うっ、な、なんスか。なんなんスか」

    「おっぱい」

    「う゛っ!?」

    「×××」

    「ひゃんっ!?」

    「あわわ……」

  • 131二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:50:24

    >>130


     警戒するように身構えるダブルマシュマロへと、カベルネソラリスは口角を上げながら先程口にしていた単語を繰り返す。

     最初の単語こそ耐えていた彼女だったが、続く男性器の直接表現には耐えられず、目を瞑って顔を逸らしてしまった。

     また、ようやく二人の間に割って入る言葉を思いついたチャンドラポメロもまた、その直接表現の単語を耳にし、頬が熱くなるのを感じて俯いてしまう。


    「へぇ~。お喋りであけすけな奴だと思っていたが、可愛いところもあるじゃないか」

    「ぐ、ぬぬ……そういうソラさんも、そんな卑猥な言葉を並べるようなエッチな人とは思わなかったっスね」

    「そりゃな。アンタの言うオレの"ダブルマシュマロ"は初等部の時点で大きく膨らんだせいで、同じクラスの男子からその卑猥な言葉を投げつけられたからな」

    「だったら!」

    「その反応から察するに、アンタも同じだったんだろ? だが生憎、オレは言われっぱなしなのは性に合わなくてね。そんな卑猥な言葉を並べてくる男子は例外なく吹っ飛ばして来た。で、結果としてその言葉だけを覚えちまったって話」

    「……だからエッチでも気にしない。そもそもエッチとも思わないから、って事スか?」

    「そういう事だ。だから、バナナをわざわざ男性器に例える意味が分からないのさ。人がバナナ食っている最中にニヤニヤ笑いながら『あいつ×××食ってる~』とか言ってくる奴は、次の瞬間にはぐうの音も出ない程に腹を抱えて蹲っていたのだからな」

    「け、蹴ったん、スか?」

    「まさか! 流石に初等部とはいえ、ウマ娘と人の力の差ぐらいは理解していたさ」


     若干顔を引きつらせるダブルマシュマロを見て、カベルネソラリスは両手を挙げて肩を竦める。同時にチャンドラポメロに顔を向かれている事にもようやく気付いた様子で、彼女の顔と、彼女の前に置かれているカットバナナの山を交互に見た。


    「けどまあ、そうだな。それはあくまでもオレの話であって、アンタやポメロには関係のない事だった。悪い、謝るよ」

    「あっ、いえ、そのぉ」

    「今の話でバナナが食べ辛くなったのなら、オレが全部食べるから皿ごと寄越してくれ」

    「あっ、それは大丈夫です」

    「即答かよ。ダブルマシュマロが卑猥な単語や話に弱いのも意外だったが、好きなものに対するアンタの我の強いところも意外だな」

  • 132二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:51:27

    >>131


     カベルネソラリスがそういう事をする人ではないと分かっていながらも、いざ言葉にされるとカットバナナを持っていかれるとチャンドラポメロは思ってしまう。

     そして、自分の好きなものに対して一度そういう疑念を持ってしまうと不安を覚えてしまい、彼女の申し出を断りながらもカットバナナを食べ始める。

     そんなチャンドラポメロとすっかり押し黙ってしまったダブルマシュマロを互い違いに見て、カベルネソラリスは笑う。特にダブルマシュマロに対しての視線は、それまで色々としてやられてきたのか、どことなく優越感を漂わせていた。


    「そーゆー事でしたら、ボクも意外に思ったっスね」

    「ん? ……おい、まさか。バカ止めろ」


     しかし、その視線が気に障ったのか、わざとらしく大きく鼻を鳴らしたダブルマシュマロは、覚悟を決めたような面持ちで胸を張る。

     その様子に思い当たる節があったのか、一瞬怪訝そうな顔をしたカベルネソラリスは一気に顔を引き攣らせた。


    「寮の部屋の中とはいえ、社長令嬢ともあろう御方が、はちみーヨーグルトのカップの蓋をペロペロするなんて、思いもよらなかったスよ」

    「アンタって奴はぁーっ!」

    「何スか! やるんスか!?」

    「ほわっ!? け、喧嘩は駄目です~!」


     そして、ダブルマシュマロの暴露によって今度はカベルネソラリスが顔を真っ赤にして立ち上がる。

     その互いの剣幕には、それまで黙々と目の前のカットバナナを食べ続けていたチャンドラポメロも慌てて立ち上がり、場を修めようとするのだった。

  • 133二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:52:36

    >>132



    ※※※



    「うっぷ……もう、食べられないス」

    「へ、へへ……オレの勝ち、だな」


     結局その後、店側のスタッフの介入によって二人の言い争いは喧嘩には発展せずに終わるも、気持ちの収まらなかった二人はどちらともなく果物やケーキを無言で食べ続けた。

     お互いがお互いの食べる量を意識しだしてからは、それは自然と大食い対決となり、店に入ってから数時間経った後にその勝敗は決した。

     ダブルマシュマロもカベルネソラリスも、妊娠後期になった妊婦のようなお腹を抱えて思い思いの楽な態勢で手の動きを完全に止める。


    「……いや、食べた量、なら、ポメちゃんが一番、ス」

    「う、お……マジ、かよ。いつの間、に」

    「御馳走様でした。美味しかったですぅ」


     そして、カベルネソラリスの勝利宣言に待ったを掛けたダブルマシュマロが指を差した先には、二人と同じかそれ以上に膨らんだお腹を抱えながらも満足して両手を合わせるチャンドラポメロの姿があるのだった。

  • 134二次元好きの匿名さん25/06/18(水) 23:56:43

    チャンドラポメロのヒミツ②
    実はかなりの大食ウマ娘

    ダブルマシュマロのヒミツ②
    実はかなりエッチな話が苦手

    カベルネソラリスのヒミツ②
    実ははしたないと思いつつもついついカップヨーグルトの蓋の裏に付いたものをペロペロしてしまう


    という事で、幕間終了!
    明日はそれをまとめつつも第一章のタイトルと書き出しを紹介したいと思いますほなまた…

  • 135二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 00:03:00

    >>134

    gj

    ヒミツを軸に話が組みあがってるの上手いし、個性がしっかり出てて三人とも可愛いなぁ

  • 136二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 08:36:51

    お腹が2人ぐらい入ってそうでえっちな見た目に…

  • 137二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 15:02:53

    お前ジークアクス見ただろ…

  • 138二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 19:28:25
  • 139二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 19:46:54

    このレスは削除されています

  • 140二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 19:53:54

    このレスは削除されています

  • 141二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 20:26:53

    こらこらこらこらこらこらこらこら

  • 142二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 22:24:41

    現スレ主だけど、もう少し抑え気味にして頂けるとありがたいです

  • 143二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 22:33:29

    失礼しました
    消しておきます

  • 144二次元好きの匿名さん25/06/19(木) 22:59:39

    文字は多少は許されるだろうけど
    イラストは視覚的に情報が入るので気をつけないとやね
    ポメちゃん出す時も気をつけるようにします

  • 145二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 07:50:42

    マイペースで食べてるポメちゃん、ウニャってるマーシュを想像するとほっこりする

  • 146二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 12:33:46

    一晩考えて、やっと「Shadow of the Scarlet」の全プロット…もとい、如何にしてチャンドラポメロ、ダブルマシュマロ、カベルネソラリスに艱難辛苦をぶつけるかがまとまったぜ!

    まあ、この構想をちゃんと文字に書き起こせるかどうかと、スレが残っているかどうかは別問題なんだけれどもなガハハ!

  • 147二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 13:04:03

    >>146

    3人がお風呂に入って6個の球体が水面に浮かんでいるのを妄想しながら、焦らず待ってる


    スレはまぁ誰かが引き継ぎつづけるだろう

  • 148二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 19:07:20

    >>147

    いいんですぞ

    ポメちゃんがいきなり「ポーメポメポメポメ! おっぱい眼鏡も頭一番もウオ助も全部ポメが倒すポメねー!」とか言い出すSSをYOUが書いても(ニッコリ)

  • 149二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:23:07

    照れマーシュ

  • 150二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:34:25

    「Shadow of the Scarlet」──第一章「逃げるは影、追うもまた影」


    ※※※


    山嶽ノ上ヲユク
    雲ノ軽サ、
    水ニウツル
    山嶽ノカゲノ重サ。


    ──北原白秋より「影」




    ※※

    ※※※


     春の選抜レースの期間が終わり、桜の花もすっかり落ちて初夏へと向けて葉を伸ばし始めた頃。
     その日、チャンドラポメロは寮の自室でゆっくりと目を開いた。仰向けで就寝していたはずなのに、気が付くと横向きになっており、まるで胎児のような格好で寝ている事に気付く。
     視線の先には同室のネーロディセッピアが、ベッドの間にあるそれぞれの箪笥と共有冷蔵を挟んで向こう側のベッドでチャンドラポメロと向き合う形で横になっていた。それを目にして驚きのあまり声が出そうになる彼女だったが、そのネーロディセッピアはまだ就寝中だったようであり、気持ちよさそうな寝息を立てている。
     口元を緩ませて、涎を垂らす姿を見て、彼女は安堵のため息を吐いてから起き上がる。決して寝起きが良いとは言えない彼女だったが、今日は特にそうであった。

    (今日、返事をしなきゃ、です)

  • 151二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:35:27

    >>150


     ベッドの縁に腰かけ、まずは自身の髪や尻尾を整えながらチャンドラポメロはカーテンの掛かった窓を見る。

     あの日。自身の選抜レースが終わった後に声を掛けてきた男性。新人のトレーナーだと名乗った彼は、人目もはばからずにチャンドラポメロへと跪いて情熱的に契約を提示した。

     その選抜レースで彼女は確かに掲示板入りの3着ではあったものの、それは1着と2着から大きく離された6バ身での3着だった。

     だからこそ、そんな自分と契約をしたいと思うトレーナーが現れるとは到底思えず、その場は保留にして立ち去ってしまう。その後、ダブルマシュマロに誘われて慰労会と称したフルーツパーラーバイキングを楽しんだ休日を挟んだ週明けに、再度トレーナーがチャンドラポメロのところへと契約の返事の確認をしに来たのも保留にしてしまったのだ。

     最初に契約を申し込まれた時は俄かには信じられなかった。それが二度目ともなると流石に自分と契約をしたいのだと理解したチャンドラポメロだったが、それでも彼が自身を選んだ理由が分からなかった。

     それをその時に聞けば良かったのだが、引っ込み思案故に聞けず、チャンドラポメロは「まだ考えています」と答えてしまった。

     二度も保留という形で返事を先延ばしにされたのならば、大抵の人は諦めるか他のウマ娘に声を掛けるだろう。しかし、そのトレーナーはそれでも笑顔で彼女の保留を了承し、選抜レースの期間が終わった翌週にもう一度答えを聞きに来ると言ってくれた。

     その期限が今日であり、結局チャンドラポメロはそれまでに答えを出せなかった。


    「セッピアちゃん、起きて下さい。朝食時間に間に合いませんよ」

    「んにゃ~……五等分割の花婿が……ウチのところに、来たら起こして~」

    「それじゃあラブコメが始まる前に大惨事ですよぅ。起きて下さい~」


     契約を了承しようか、それとも断ろうかを悩みながらも学園へと向かう支度をし、チャンドラポメロは未だに寝ているネーロディセッピアを揺り起こす。

     寝ぼけた彼女の口からとんでもないスプラッタな発言が飛んできたのを苦笑しながらも、寮の朝食時間までにネーロディセッピアを起こそうと頑張るのだった。

  • 152二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:36:44

    >>151



    ※※※



     普段通りの学園生活の一日がいつもより短いとチャンドラポメロが思った時には、その日の終礼が終わっていた。

     クラスの生徒たちが、放課後の勉強やダンスの練習、トレーニング等の為に教室から出て行ったり残ったりしている中、彼女は今日の日直当番だと気付く。

     その為、クラスの日誌を職員室の担任に提出しなければならないと席を立ちかけた時、隣の席のダブルマシュマロから声を掛けられた。


    「ポメちゃーん。この後、ミスディレクションさんたちとダンスレッスンするんスけど、ポメちゃんも一緒にどうスか?」

    「あ、マーシュちゃん。ごめんなさい。私、今日日直の当番で」

    「ありゃりゃ。担任の先生、悪い人じゃないんスけど、話が長いんスよねぇ。了解ス。それじゃまた明日っスよ~」

    「うん。また明日」


     いつも通りの笑顔で誘ってくれるダブルマシュマロに申し訳なく思いつつ、チャンドラポメロは手にした日誌を見せる。

     すると、すぐに察した彼女は軽く肩を竦める仕草をした後、やはりいつもと同じ笑顔で手を振って教室から出て行った。チャンドラポメロもそれに手を振りながら応答し、ダブルマシュマロの足音が遠ざかっていくのを耳にしながら職員室へと向かう為に教室を出た。


    「……ん?」


     そして、自身の教室から職員室のある階下へと降りて廊下を歩いている途中で、珍しいウマ娘が走っているのを見かけた。


    「いそげ~、いそげ~!」


     小柄で軽やかな足取り。三日月のような流星と腰付近まで伸ばした鹿毛のポニーテール。澄んだ湖の色をしたその目は好奇心で輝いている。

     まるで周囲が目に入らないと言わんばかりに前を見て駆ける彼女の名は、チャンドラポメロもよく知っていた。

  • 153二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:38:10

    >>152


    (トウカイテイオー先輩?)


     職員室前の廊下とはいえ、クラスどころか学年も違う彼女の姿に驚いて立ち止まるチャンドラポメロの横を、トウカイテイオーは華麗なステップで通り過ぎる。


    「早くしないとスカーレットとウオッカの一騎打ちが始まっちゃう~!」

    「っ!?」


     そして、彼女が通り過ぎた際の大きな独り言に、チャンドラポメロは強く反応し、思わず振り返る。

     けれども、トウカイテイオーの脚は止まることなく、階下へと続く階段のある角を曲がって姿を消した。

     スカーレットとウオッカの一騎打ち。その言葉が耳に残る中、チャンドラポメロは詳細を知る為に急いで職員室の扉へと向かうのだった。

  • 154二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 22:40:48

    第一章、始まりました

    対戦よろしくお願いします


    という言葉以外にも書き込むべき事はあったはずなのに>>149のマーシュ君がギャンかわ…ギャン可愛いので何を書くべきか忘れました

    ほなまた…

  • 155二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:14:01

    ところどころに入ってる小ネタが面白いw

  • 156二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 09:26:46

    朝の保守

  • 157二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 09:29:30

    小ネタに気付いてくれるのは割とありがたいのでございます…
    ネタを出すのはいいけどスルーまたは滑りが鬼怖い

    それはそれとして、ポメちゃんの名前候補として挙がったのは別キャラとして出しましたが…ツインピークスだけは実際の競走馬としていたので無念の未登場デス…

  • 158二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 18:14:47
  • 159二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 19:02:53

    >>153


    「失礼、しますっ」

    「あら? ああ。今日の日直は貴女でしたね、チャンドラポメロさん」

    「はい。よろしくお願いします」


     勢い余り気味に職員室へと入室すると、丁度一人だけいた教師、チャンドラポメロたちのクラスの担任が気付く。

     挨拶もそこそこに彼女の机の前まで向かったチャンドラポメロは、丁寧に両手で持った日誌を、それでいて素早く担任へと手渡す。それを見た彼女は少し意外そうな顔をする。


    「何か急ぎの用事でもあったかしら?」

    「えっ、えっと」


     右手で差し出された日誌を受け取りつつ、彼女の様子を伺うように見上げてくる担任に、チャンドラポメロは一瞬言葉に詰まった。

     しかし、もしかしたら先程の廊下ですれ違ったトウカイテイオーの独り言について何か知っているかも知れないと、意を決して質問する事にした。


    「あの、さっき廊下でダイワスカーレットさんとウオッカさんの一騎打ちという話を聞いて」

    「ああ」


     気付けば前かがみになりながら尋ねるチャンドラポメロに対し、担任は合点がいったというような表情を浮かべる。


    「言葉の通りよ。これからグラウンドの方で二人の模擬レースが行われるの。ダイワスカーレットさんのトレーナーさん、かしらね? 彼が使用許可を申請していたわ」

    「いつから始まりますか?」

    「この後すぐよ。やっぱり貴女も気になるかしら? 日誌は確かに受け取ったから、もう行っても大丈夫よ」

    「はい。失礼します」


     担任の言葉に一礼し、逸る気持ちを抑えながらチャンドラポメロは職員室を出る。

     その後、いけない事とは思いつつ、人がいないところで廊下を小走りしつつ、外へ出ると同時にグラウンドに向かって全力で走るのだった。

  • 160二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 19:04:09

    >>159



    ※※※



     幸運な事に、チャンドラポメロがグラウンドに到着した時はまだ二人のレースが始まる前であった。グラウンドにはダイワスカーレットとそのトレーナーと思しき男性がおり、そこから少し離れたところでウオッカが準備運動をしている。

     息を切らせながらスタンドへと向かうと、既に噂を聞き付けたであろう者たちが疎らに二人の一騎打ちの開始を待っている様子だった。

     その人たちの邪魔にならないような場所で立ち止まり、息を整えているとトウカイテイオーの声が後ろから聞こえてきた。


    「あれっ? エアグルーヴがいる~! やっほー!!」


     道を間違えたのか、それとも道中で道草を食っていたのか、何故かチャンドラポメロよりも遅れてスタンド入りした彼女はそのまま観客の一人、エアグルーヴに声を掛ける。

     生徒副会長であるエアグルーヴの事は、チャンドラポメロもよく知っていた。入学式では生徒会長であるシンボリルドルフ以上に施設への案内や説明でお世話になったウマ娘だ。

     そんな中等部どころか高等部のエアグルーヴへと気さくに話しかけるトウカイテイオーに内心驚くも、声を掛けられた彼女は気分を害する様子もなくグラウンドに向けていた視線をトウカイテイオーへと向ける。


    「テイオー……お前も見に来たのか」

    「スカーレットとウオッカの一騎打ちなんて、絶対楽しいことになりそうだからね~! ……あっ、そろそろ始まるみたいだよ!」


     会話もそこそこにトウカイテイオーがグラウンドへと顔を向ける。その言葉に釣られてチャンドラポメロもグラウンドを見やると、準備運動を終えたであろうウオッカがダイワスカーレットたちへと近づき、会話をしている様子が映る。

     そのウオッカが二人から離れてゲートへと移動し、ダイワスカーレットはトレーナーと思しき男性と少し会話をした後に同じくゲートへと移動する。

     その後、二人がゲート入りする前にレースへの最終確認のような事をその男性が話した後、ダイワスカーレット、ウオッカの順でゲートに入った。


    「あれっ? 二人のスタートゲートの位置が離れているのはなんで?」

    「私も話にしか聞いていないが、何らかの処置だろう」

    (あっ)


     トウカイテイオーとエアグルーヴが訝しむような声を出す中、チャンドラポメロはそれぞれのゲート位置の意味にいち早く察する。

  • 161二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 19:05:26

    >>160


    (選抜レースの時と、同じ枠順……)


     ダイワスカーレットとウオッカの一騎打ちと聞き、最初は二人の何時もの喧嘩からの直接対決と思っていたが、チャンドラポメロはここに来てこのレースの真意にも気付いた。


    (ダイワスカーレットさんの、リベンジマッチだ)


     先の選抜レースで、ダイワスカーレットが「1番」になれなかった事。その後、荒れていた様子を端々に見せたせいか、担当トレーナーが付かなかったらしいという話を聞いた事。担当になったかどうかは分からないが、男性トレーナーが彼女を指導し始めた事。それらは実際に見聞きして事前に知ってはいた。けれども、予定にあったならともかく、ダイワスカーレットがわざわざリベンジを仕掛けるような性格ではないとも知っていた。

     だからこそ、この一騎打ち。レースの開催が意外であり、そのきっかけを作ったのは彼女の傍にいた男性トレーナーだろうとも察する。

     そして、そんなチャンドラポメロが固唾を呑んで見守る中、二人のレースが開始した。


    「あ、スカーレットが前に出た!! やっぱり今回も先行策かー」


     ゲートが開くと同時にダイワスカーレットが一気に先頭へと躍り出る。やや離れて、後ろには位置を調整しながらも、ウオッカが彼女の様子を伺う。

     それはチャンドラポメロが間近で見た選抜レースの時の動きと同じであった。


    「でも、選抜レースの時と同じ展開だよね? それじゃ、また最後の直線でウオッカに差されちゃうんじゃないかな~」


     彼女の内心をそのまま言葉にしたような事をトウカイテイオーが言う中、その隣に立つエアグルーヴがいち早くダイワスカーレットの動きに気付いたような声を上げた。


    「いや、待て。どうやら──同じ展開ではないようだぞ」

    (っ!?)


     彼女の気付きに遅れる形で、チャンドラポメロもダイワスカーレットの様子が違う事に気付く。

     選抜レースではもう少し遅く仕掛けていたダイワスカーレットが、前傾姿勢を取り、脚に速度を乗せる。

  • 162二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 19:06:38

    >>161


    (1ハロン……早い!)


     一緒に走ったからこそ彼女の仕掛けた距離が早い事に気付き、チャンドラポメロは両手を強く握りしめて見守る。


    「うええ!? あんな早くから仕掛けるの!? 前の先行策でもギリギリだったのに、あんなんで最後まで持つわけ~!?」

    「ああ、ほとんど暴走だな。だが……!」


     観戦していた二人も、その仕掛けの早さに驚愕する。

     最終コーナーを終え、残すは直線のみとなった。レースの詳細は聞いていなかったが、先の選抜レースの条件と同じだろうとチャンドラポメロは理解していた。

     彼女がダイワスカーレットの表情へと注視すると、その必死の表情が伺える。

     そこには、選抜レースで「1番」になれなかった事への嘆きと苦悩。それでも今、再度その「1番」に向かって突き進む意志が感じ取れた。

     途切れないダイワスカーレットのスタミナに、ウオッカが焦って距離を詰める。けれども、その差は縮まらない。

     残り200Mを切り、2Mとはいえ上り坂がダイワスカーレットの脚と残されたスタミナを削りにかかる。疲労が汗へと変換され、歯を食いしばり、必死と苦悶の表情へと変わる彼女。それでも、勝ちたいという渇望。勝利への、「1番」へのこだわりと矜持。傍から見れば、それはスタミナを全部使い切る意地っ張りとも言えるの走り。

     けれども、チャンドラポメロの目には、そんなダイワースカーレットの走る姿は何よりも美しく、輝いて見えた。

     それこそまるで、緋色の光のように。


    (~っ!)

    「……見事だ、ダイワスカーレット」


     その光は一瞬。されど閃光のようにチャンドラポメロの脳裏に焼き付いた。

     気が付けばレースは終わり、エアグルーヴの称賛の言葉と共にダイワスカーレットの「1番」が決定していた。

     遠くでは勝利した事に気付けない様子で呆然とするダイワスカーレットと悔しがるウオッカの様子が見える。

     そして、そんなウオッカを見て「1番」を譲らなかった事実に歓喜するダイワスカーレットと、彼女に近づいて嬉しそうに話をする先の男性トレーナーの姿が映るのだった。

  • 163二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 19:09:11

    見て! ダイワスカーレットが走っているよ、美しいね!
    彼女が緋色の閃光となり、ポメちゃんの脳を焼いてしまいました
    ここからがポメちゃんの地獄の始まりです
    あ~あ

    というサボテンダンスネタを挟みつつ、ほなまたしたいと思います
    ほなまた…

  • 164二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 21:29:44

    今日は早いね……
    いつもありがとうね

  • 165二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 21:50:52

    これだけコンスタントに書き続けられるの凄いな
    焼かれる描写が丁寧で良き

  • 166二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:13:55

    >>162


    「彼女たちの走りは素晴らしいね。それこそ、眩しいぐらいだ」

    「きゃっ!?」


     ダイワスカーレットと男性トレーナーが会話する様子を感無量という思いで見守っていると、不意に横から声を掛けられてチャンドラポメロは驚いて飛び退く。

     見ると、そこには彼女に契約を申し込んだ男性トレーナーの姿があり、あの日の選抜レースと同じスーツ、同じ笑顔でチャンドラポメロを見つめていた。


    「えっと、そのぅ……」

    「一応、返事が今日までだったからね。君を待っても良かったのだけれども、二人がレースをするとの噂を聞き付けて、ここに来たら会えると思ったんだ」

    「どうして、私と契約をしようと、思ったのでしょうか?」


     思わず飛び退いたのを恥じらいつつ、元の位置へと戻る彼女に、トレーナーは「予想は的中したね」と笑う。

     そんな彼に思い切って、チャンドラポメロはずっと聞けなかった事を尋ねる。恥ずかしがり屋で引っ込み思案の自分では驚きの行動だったが、つい先程、緋色の閃光を見て勇気を貰えたのだと彼女は考えた。

     そのチャンドラポメロの問いに、トレーナーは真面目な顔をして、一度グラウンドから立ち去ろうとするダイワスカーレットたちとウオッカへと目を向けた。


    「先の選抜レース。6バ身差の3着。実力だけを見れば、多くのトレーナーたちは彼女たち二人へ殺到するだろう。事実、そうなったしね」

    「……」

    「けれどもそんな中、君だけは最後まで前をずっと向いていたのが強く印象に残っていてね」

    「えっ?」


     事実を突きつけられた後、思いもよらない言葉が飛んできて、チャンドラポメロは彼の横顔を注視する。その視線を知ってか知らずか、トレーナーは一度目を伏せた後、グラウンドから再び彼女へと顔を向けた。


    「選抜レースは年4回の開催。そして、その開催期間も長い。多くのウマ娘たちは、その一度のレースで全てを賭けよう、なんて思う子は少ない。理由は、分かるかい?」

    「えっと……トレーナーさんたちへのアピールチャンスはまだある、から?」

    「うん、僕もそう思う。だからその選抜レースで大勢が決する時、意識してか、それとも無意識か、彼女たちはソラを使う」

    「ソラを、使う」

  • 167二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:15:12

    >>166


     ソラを使う。

     レース用語で「気が抜ける」または「走る気をなくす」という、あまり良い言葉ではない。

     頑張って先頭に立った瞬間にそうなってしまうウマ娘もいる他、トレーナーの言う通り、先頭に立って勝利が確定したからこそ、それ以上の消耗を避ける為にも意識的に使うウマ娘もいる。

     しかし、復唱するチャンドラポメロがその言葉を聞いて気を悪くしたと勘違いしたのか、トレーナーは破顔して口を開ける。


    「ああ、ごめん。悪い意味で言ったつもりはないんだ。寧ろ、君たちにとって『契約』とは文字通り自分たちの才能を預け、レースに賭ける……いわば運命の岐路だからね。その始まりの一歩で躓く訳にはいかないだろう」

    「……」

    「一度の選抜レースでトレーナーに見初められなくとも、チャンスはまだある。だからこそ、今のレースは捨て、次に賭ける。……うん。それもまた、立派な選択の一つだ」


     言葉を紡ぎ、その言葉を噛み締め、一人納得する。

     そんなウマ娘に対して真摯なトレーナーだからこそ、余計にチャンドラポメロは気になった。

     どうしてそんな人が、私と契約しようと思ったのか、と。


    「あの……っ」

    「うん? あっ、ごめん、ごめん! 僕の悪い癖だ。ついつい考え込むと、いつもこうなってしまう。どんどん話が逸れてしまって申し訳ない」

    「いえ、その、トレーナーさんが、私たちウマ娘の事を考えているのは、よく分かりました。えっと、その、だからこそ……」

    「だからこそ、君に見惚れたんだ」

    「えっ……え゛っ!?」


     何度も同じ事を聞いてしまうのも申し訳ない。

     そう喋りながら思ったチャンドラポメロが言葉を詰まらせると、トレーナーの口から耳を疑う言葉が飛んできて、彼女は頬が熱くなるのを感じた。

     しかし、そんなチャンドラポメロの驚きを知ってか知らずか、トレーナーは再度真剣な表情で彼女に迫る。

  • 168二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:17:27

    >>167


    「あの最終直線。ダイワスカーレット君も、ウオッカ君も、競り合う相手を強く意識していた。君に抜かされたカベルネソラリス君は力尽き、悔しそうに頭を垂れた。そんな彼女以下の他のレース参加者たちは諦めてソラを使っていた」

    「あの、えっと」

    「けれども君だけは。君だけは最後まで諦めず、前を向き、先頭の二人を抜こうと意識していたように僕には見えた。見ていたのはダイワスカーレット君の背中か、ウオッカ君の背中かは分からないけれどもね。だけど、レースの勝敗が決しても尚、君の脚は鈍らなかった。次のレースの為に、ソラを使う事も出来ただろうに」

    「えっ、ひゃっ!?」


     顔を近づけ、言葉に熱がこもるトレーナーに戸惑っていると、話している内に感極まったのか、彼はチャンドラポメロの両手を掴み、自身の両手で包み込む。

     チャンドラポメロとそう身長が変わらないが故に、トレーナーの顔は今にも彼女に口づけをしそうなぐらいに近かった。


    「君のその走る姿に、僕は心から尊敬し、強く思ったんだ! 君を輝かせたい! 大舞台で、君を『1番』にしたいと!」

    「は、はひ」

    「だから是非! 君と契約したい! 君とこの3年間を共に走り抜き! 君と、勝ちたい!」

    「……」

    「……あっ! ご、ごめん! つい、その……これも僕の悪い癖だ。興奮すると、つい周りが見えなく……うん? チャンドラ、ポメロ君?」


     これまでチャンドラポメロにとって、異性とは自分をからかってくる者が大半だった。

     そうでなければ、自身がウマ娘と気付いていない邪な目を向ける者か、もしくはその両方。

     初等部で身長も胸も大きくなった彼女を同級生の男子は弄り、やむを得ずウマ娘である事を利用して力を見せる事もあった。

     だからこそ、異性に対しては、恋愛漫画の影響もあって年相応の興味こそあったものの、それでも積極的に接する事が出来なかった。

     その異性、それも大人の男性が、今こうして自分に迫り、ともすれば口説く勢いで情熱的に契約をお願いしている。

  • 169二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:18:51

    >>168


    「は」

    「は?」

    「はひゃいぃ~……」

    「わ、わーっ!? チャンドラポメロくーん!?」


     その為、中等部になったばかりのチャンドラポメロには、刺激が強過ぎた。

     契約をする返事の言葉は緩んでしまい、情熱的に口説かれた事によって耳はせわしなく大回転。緊張と照れと興奮によって足がもつれてしまい、気付けばトレーナーに寄りかかる形で倒れ込んでしまう。

     そんな彼女を全身で受け止めつつも、トレーナーは安否確認の為に大声を出す。


    「何の騒ぎだ……わっ、トレーナーか!? 貴様! 学園内で不純異性交遊を働くなどと!」

    「えっ、いやっ、これは! 誤解! 誤解です! ポメロ君! 何とか立ってくれないかい!?」

    「わー! トレーナーのエッチー! スケベー! カイチョーに報告しちゃうモンニ!」

    「だーっ!? 待って! 待って下さい! 僕の話を聞いて下さい!」

    「ふにゃ~……」


     トレーナーの声に気が付いたエアグルーヴとトウカイテイオーの声が近付き、彼の身体が強張っていくのを感じつつも、情緒がいっぱいいっぱいのチャンドラポメロはそのまま意識を手放すしか出来なかった。

     その後、意識を保健室で取り戻した彼女は、エアグルーヴとトウカイテイオーに監視される中でのトレーナーの説明及び今一度の契約提示を了承。

     ここにまた一つ、ウマ娘とトレーナーの契約が結ばれるのであった。

  • 170二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:20:55

    今日休み+皆さんのいいねと反応嬉しい+トレーナー契約まで漕ぎつけたかった

    ので禁断の二度更新…!
    ポメちゃんのレース街道は無事トレーナーとの専属契約を以てスタートを切るのだった…!
    同時にそれは、彼女の艱難辛苦の始まりの扉が開く音でもあった…!
    ほなまた…!

  • 171二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 23:57:58

    ポメちゃんプロンプトをお借りして
    なお私服は適当

    しかしポメちゃん、根性あるわねぇ

  • 172二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 00:10:06

    >>171

    可愛い

    私ももっと見ている人の魂を揺さぶるような文章を書きたいのう

  • 173二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 01:48:28

    ちょっと呪文を整形しつつ、ジャーブルにしてみた

  • 174二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 08:41:56

    身長と胸がダブルでっかい

  • 175二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 08:56:02

    デカパイ好きはドゥンドゥン集まると良いぞよ
    デカパイ(B100超え)は何人いてもいいですからね

  • 176二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 15:20:01

    >>169

    トレーナーはこれ以降何度警察を呼ばれつづけることになるのか…

  • 177二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 17:43:57

    ポメちゃーん
    実家がまた面白そうな果物を仕入れたスよー
    今晩食べてみるスー
    因みに大きさは通常のパイナップルと比べるとボクみたいに小さいスねガハハ

  • 178二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:06:49

    ステラーブレイド的な

  • 179二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:11:55

    ポメちゃん…成ったのね…
    "銀河中央殴り込みウマ娘にッ!"(違)

  • 180二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:13:34

    銀河“中心”殴り込み艦隊だ!間違えるでない!

  • 181二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:14:34

    >>180

    (別スレのオリウマのタイトル?をそのまま引用したとは口が裂けても言えんな)

  • 182二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:15:17

    >>181

    やってくれるじゃない……!

  • 183二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:20:20

    ポメちゃん無事にトレーナーと契約出来たところでトレポメ出来るぜグヘヘっていたけど…
    気付いたら第一章もう1万文字近く書いちゃっているからメイクデビューまで一気に飛ばすか(無慈悲)

  • 184二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:22:22

    熱意に感謝
    文量に感謝
    圧倒的感謝
    そんなにポメの見た目が好きになったのか9ルトラマン

  • 185二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:32:32

    とんでもねぇ
    あたしゃただのDKPI好きの通りすがり一般SS書k……SS(ショートショート)書き? まあSS書きでございますよ旦那
    いいねがあれば、感想があれば、スレが続けばスレタイ通り好きなだけ好きにするだけでさぁ…へへっ

  • 186二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 22:13:53

    その精神誉れ高い
    その想いに免じて次スレは元スレ主の私自ら立ててやろう

  • 187二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 22:57:42

    今日は府中に行って暑さで死にそうになったので、代わりにマーシュをプールに漬けておきます

  • 188二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:05:53

    >>169




    ※※


    ※※※



     4月の終わりにチャンドラポメロがトレーナーと専属契約を結んでから早くも二か月が過ぎた。

     トレーナーは彼女と同じく今年トレセン学園の中央トレーナー資格を得たばかりの新人ではあったが、その指導は優秀であった。

     6月末から行われるメイクデビュー戦に向けて、5月いっぱいは基礎トレーニングと互いの情報のすり合わせ。6月に入ってからは走りの指導や作戦、実戦形式の模擬レースを行う事で準備を進めた。


    「はーっ、はーっ」

    「ポメロ、お疲れ様。今日はこの辺で切り上げよう」

    「はいっ」


     その日の走り込みが終わり、トレーナーからの声掛けでチャンドラポメロは顔を上げてコースから切り上げる。

     彼女の脚質は「差し」という事で、トレーナーからは序盤に中団外側から他のウマ娘に圧を掛けつつ先団を伺い、機を見て一気に切り込んでいくスタイルを方針として鍛えられた。

     チャンドラポメロの体格的に、外側から内側にいるウマ娘たちへと壁のように圧を掛ける。それで掛かったウマ娘がペースを乱すのが狙いであり、それが序盤から中盤にかけての作戦だった。

     その為、彼女はレースに参加する他のウマ娘たちの脚質によっては先行気味にもならざるを得なくなり、まずは適性の中距離を走り切れる体力作りからスタートした。

     しかしながら、ダイワスカーレットのように圧を掛けられない程の逃げ気味の「先行」や、カベルネソラリスのような「逃げ」の脚質にはその作戦は通用しない。

     故に5月いっぱいを体力作りに勤しんだチャンドラポメロは、6月いっぱいをレース中盤からの加速と、最終直線で差し切る為のスパートを重点的に鍛えた。


    「はい、タオル」

    「ありがとうございます」

    「うん。クールダウンも十二分に行えたようだね。なら、汗を拭きながらで良いから話を聞いて欲しい」

    「はい」

  • 189二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:07:06

    >>188


     トレーナーから事前に保冷剤で冷やしていたであろうミントの香りがするハンドタオルを受け取り、チャンドラポメロは自身の汗を拭い取る。

     彼はもう気付いているかも知れないが、彼女はやや汗かきである為、念入りに拭き取りつつも、少しだけトレーナーからは距離を取る。その様子を特に気にしないまま、トレーナーはいつもの笑顔を維持しつつも、やや目を細めて真剣な表情を作った。


    「ポメロ。君のメイクデビュー戦の日が決定した」

    「……はい」

    「6月の第4週の土曜日……今週だね。場所は東京レース場、その第5レースの芝1600Mメイクデビューレース」

    「三日後……急ですね」

    「うん。本当は7月に入ってからでも良かったのだけれども、今年は猛暑が予想されるからね。丁度その日のレースに空きが出たから、滑り込ませてもらった。……あ、もしかして急すぎて予定があったり、緊張したりする?」


     基本的にレースの予定というものは、トレーナーとウマ娘との希望や話し合いによるすり合わせで決定する。

     その為、チャンドラポメロの意見も尤もであり、トレーナー自身もそれを自覚してか笑顔を崩して申し訳なさそうな顔をして彼女にお伺いを立てる。

     けれども、ここ一か月で自主トレーニングや初等部に所属していた倶楽部での指導よりも、彼の指導によるトレーニングで自身の能力が十二分に鍛えられているのを感じていたチャンドラポメロは、汗を拭うのを止めて笑顔を見せた。


    「いいえ。大丈夫です」

    「良かった。次以降の予定はちゃんと話し合ってから決めよう。ともあれ、今回は幸いにも移動は無いし、第5レースだから時間もまだある」

    「はい」

    「明日は作戦を含めた最終チェックと軽いトレーニングを行い、明後日は休息日にする。英気を養って、メイクデビュー戦に挑もう」

    「はい!」


     チャンドラポメロの返答に、トレーナーは安堵の表情を浮かべた後に再び笑顔を見せ、レースまでの予定を説明する。

     彼女はついに本番のレースに挑む事への不安と勇みの気持ちと、このメイクデビュー戦にて、あの時のダイワスカーレットのような走りに近づける事への意気込みで元気よく返事をした。

  • 190二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:08:29

    >>189



    ◇◇◇



     6月の第4週目の土曜日。東京レース場。天候は雲が集まりつつあるも日中は晴れの予報。また、その週は例年の梅雨前線が一時的に消失した事により、真夏日が続いた。

     それによって、その日は芝、ダート共にバ場状態は乾燥し切った「良」の発表。芝こそレースを重ねればやや荒れはするものの、ダートではそこまで影響が出ないだろうとの予想だった。


    『さあ、各ウマ娘コーナーを曲がって直線へ!』


     東京レース場第2レース。ダート1200Mメイクデビューレース。

     実況の声が響く中、ゴール板に向かって走るウマ娘たちの先団に、そのウマ娘がいた。


    『先頭は依然として7番、オーニソガラム! それに続いて2番のミリオンゴールド! 一番人気、6番のダブルマシュマロはまだ抑えたままか!?』


     先頭の「逃げ」の二人が先を走る中、三番手に位置するダブルマシュマロは、遠くから聞こえる実況の声にほくそ笑む。

     ダートコースは、芝のコースと比べてスピードを出し辛い。それこそ、「砂の隼」の異名を持つスマートファルコン先輩のような力強い脚があれば、尚の事それを捉えるのは難しい。故に「逃げ」と「先行」が有利と言われている。

     加えて距離は加速力と速度が求められる短距離戦。先を走る「逃げ」の二人がレースを引っ張り、最終直線で三番手の彼女からまだ3バ身の距離があった。

     今から加速と速度を乗せたところで、間に合うかどうか。


    「……なんて、皆思っているスかねぇ!」

    『6番のダブルマシュマロ! ここで仕掛けた! 残り400M!』


     先頭を行く二人がラストスパートを仕掛けたタイミングに合わせて、ダブルマシュマロも仕掛ける。

     同じ加速、同じ速度、同じタイミングで仕掛けたのであれば、間に合わない。

     けれども、ダブルマシュマロには勝算があった。

  • 191二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:09:48

    >>190


    「ぐっ!?」

    「くぅっ!?」

    「よし!」


     東京レース場のダートコースは400Mを切ったところで勾配が発生する。その高低差は2Mではあるものの、先を行く二人にはキツいだろうと彼女は予想し、それが見事に的中。

     加速こそするものの速度が乗らない二人に対し、メイクデビュー戦のレース場が決まってからは、ダブルマシュマロのトレーナーによって坂路トレーニングを繰り返して来た彼女はここで爆発的な末脚を発動した。


    『前の二人はいっぱいになったか!? ダブルマシュマロが迫る! 迫る! 残り200を切った!』

    「うぉおおおおっスぅううぅぅっ!」

    「並んだ! 並んだ! さあ交わせるか!?」


     上り坂が終わる頃には前の二人と並ぶダブルマシュマロ。

     再び平坦なコースへと戻った事により、オーニソガラムもミリオンゴールドもここで走りに加速が乗る。

     だがしかし、先行する二人の後ろで脚を溜めていた彼女のまた、ここで更に加速する。


    『交わした! 交わした! ダブルマシュマロ! 更に伸びる!』

    「もらったぁああぁぁっスぅううぅぅっ!」

    『そのままゴールイン! 小さな身体で見事な末脚! 1着は6番、ダブルマシュマロ! 一番人気の期待に応え、見事、メイクデビューを制しました!』


     そしてダブルマシュマロは二人を交わした後も加速を続け、2着のミリオンゴールドに1バ身半の差を付けてメイクデビュー戦の勝利を飾るのだった。

  • 192二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:11:53

    メイクデビュー戦とはいえ、身長136cmのダブルマシュマロ君が一番人気とか観客絶対そのB102のOPPAI見て選んだやろ
    と思うポメちゃんに先行して同じ日のメイクデビュー戦なダブルマシュマロ君でした
    ほなまた…

  • 193二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:26:54

    いっぱいになったか!?がおっぱいになったか!?に空目した自分は申し訳なさで死にたい
    いつもありがとう

  • 194二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:29:56

    前を走る二人もB102とはいかないまでもB90オーバーなおっぱいになっている可能性が…?

    だとしたらなんじゃあこのおっぱい世代は…

  • 195二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:40:20

    スレも終わりに近いので情報更新

    名前:チャンドラポメロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:烏の濡れ羽色の艶のある黒髪ロングで前髪目隠れ、瞳は明るいマリンブルー、他が地味な為かリップは色付き艶ありのを塗ってオシャレするタイプ
    性格:恥ずかしがり屋の引っ込み思案で、恥ずかしがったり照れたりしたら頬がすぐに紅潮する
    身長:179cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B123 W62 H91
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の2200Mまでで脚質は「差し」
    備考②:憧れのウマ娘は同期のダイワスカーレット。彼女の緋色の影を追い続ける頑張り屋
    一人称:私 二人称:「名前+さん」、同室及び親しい人は「略称(愛称)+ちゃん」

    名前:ダブルマシュマロ
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:栗毛のツーサイドアップでやや前髪目隠れ(ポメちゃん程ではない)、瞳は明るいルビー色、ギザ歯
    性格:明るく社交的でお喋り。またノリが良く、芝居がかった口調で話す事もしばしば
    身長:136cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B102 W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝ダートの両刀、距離は短距離のみで脚質は「先行」
    備考②:ポメちゃんの友人枠、実家が地元じゃ一番の果物専門店
    一人称:ボク 二人称:「愛称+ちゃん」または「略称+さん」

  • 196二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:45:06

    名前:カベルネソラリス
    学年:中等部(ダイワスカーレットと同じ)
    容姿:芦毛のポニーテール、青色ハーフリム眼鏡、瞳の色はエメラルドグリーン
    性格:竹を割ったようにさっぱりして表裏のない正直者
    身長:160cm  体重:秘密
    スリーサイズ:B110 W設定なし H設定なし
    備考①:適性は芝のみ、距離はマイル~中距離の脚質は「逃げ」
    備考②:ポメちゃんのライバル枠
    一人称:オレ 二人称:アンタまたは「略称」


    DKPI仲間

    ダイワスカーレット → DKPI世代のモブウマ娘が生えてきたせいで結果として登場人物の中では下の方になってしまったが、圧巻のB90

    ネーロディセッピア → チャンドラポメロの同室。身長や髪色が似通っている為にバストサイズもポメちゃんと同じぐらいと予想される

    オーニソガラム → 1スレ目の元スレ主の空目によってB90オーバーになった子。身長不明

    ミリオンゴールド → 1スレ目の元スレ主の空目によってB90オーバーになった子。身長不明


    その他のお仲間

    ウオッカ → ダイワスカーレットの終身名誉ライバル。今後出番があるかは不明

    ミスディレクション → ダブルマシュマロとコース及び距離適性が同じらしい。DKPIかどうかは不明

  • 197二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 23:55:49

    次スレは【AI注意】に加えて【SS注意】も付けた方が良さげかね?

  • 198125/06/23(月) 00:02:56

    今さら気が付いたが、1レス目でポメちゃんの名前を間違えてる!
    おいは恥ずかしか!生きておられんごっ!

  • 199二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 00:05:59

    >>198

    じゃけん次スレではポメちゃんやダブルマシュマロ、ソラリス他DKPIな画像をいっぱい貼ってね♡


    SSでもいいぞ(チャキッ)

  • 200二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 00:08:02

    集まれデカパイ
    広がれデカパイ
    集え! 次スレでもデカパイ好きな創作者たちよ!

オススメ

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