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【オリウマ】銀河中央殴り込みウマ娘ッ‼︎Ⅱ【熱烈歓迎】|あにまん掲示板
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【オリウマ】銀河中央殴り込みウマ娘ッ‼︎Ⅱ【熱烈歓迎】

  • 11着をねらえ!25/06/20(金) 21:44:46
  • 21着をねらえ!25/06/20(金) 21:45:52
  • 3二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:49:45

    立て乙

  • 41着をねらえ!25/06/20(金) 21:50:08

    あらすじ

    新登場!金髪煌めく超美少女お姉ちゃんイリフネはある日、友達に連れられて訪れたチーム募集レースで運命の出会いを果たす!
    銀河をその目に戴くミステリアスな「ヒビノミライ」に憧れ彼女をお姉さまと慕うイリフネは競技ウマ娘を目指し、最初の難関「メイクデビュー」へと挑むのであった

  • 51着をねらえ!25/06/20(金) 21:51:26

    <メイクデビュー芝1600メートル>


    所謂マイルと言われる距離が彼女がメイクデビューに選んだレースであった。

    バ道を抜けるとすでに出走するウマ娘の何人かが準備運動を始めており、観客席にもそれなりに人が集まっていた。だが当然というべきか、これはあくまでデビュー戦であり歴史に名だたる大レースはおろかグレードの一つもついていない。観客席の閑散ぶりには少しばかり悲しいものがある。


    「今回の有力バってどの子だ?」


    ウマ娘はヒトミミに比べ聴覚に優れる。レーンに近い観客席の前列での会話程度であれば簡単に聞き取ることができる。

    会話の主は2人組の若い男性、会話の内容からしてイリフネの走るメイクデビューの勝ちウマを予想しているようだ。自分が一体どんな評価なのか気になるお年頃のイリフネははしたないと思いつつも会話に耳を向ける。


    「あの黒鹿毛の娘なんていいんじゃないか?とはいえ、メイクデビューだからな、データも碌にないしファーストインップレッションが一番じゃないか?」


    「そうなると6番なんだが…ん?このイリフネって娘、なんかで見たことあるな」


    「あー、たしかネットニュースに載ってたな。キンペイバイの娘って」


    キタ!自分のことを話し始めて興味関心が尻尾上がりだ。


    「キンペイバイってあの春天勝ちのティアラウマ娘だよな?」


    「そうそう、コードヘブンに3回も土を付けた超名バだよ」


    自分のことに付随して母のことも褒められて益々鼻が高い。この調子でどんどん褒めてくれ、そうイリフネが高ぶっていると無情な一言が耳に突き刺さる

    「なら、無理そうだな。名ティアラウマ娘の子は走らないって言うし」

  • 61着をねらえ!25/06/20(金) 21:52:56

    その瞬間、カァッと熱いものがイリフネの頭のてっぺんからつま先までを貫く。
    自分の実力が足りないことも、有力バとして見られないこともそれらは紛れもない事実であり、甘んじて受け入れる覚悟だった。だが「名ティアラウマ娘の子は走らない」などというくだらない迷信を根拠に、その理由を大好きな母のせいのように言われるのは我慢がならないのだ。
    一発言わなければ腹の虫が治まらない、ギリリと音が鳴るほどのに奥歯を食いしばり、後方の観客席へと踏み出そうというその時であった。

    「イリフネちゃーん!がんばれー!」

    観客席から手を振る小さな影。シックなドレスに身を包む母の声がイリフネの踏み出そうとした足を踏みとどまらせる。
    必ず応援に行くと言っていたその約束を有言実行し、小さな体で大きく手を振る母の周りにはイリフネの妹たちの姿があった。

    「おねーちゃんがんばれー!」
    「まけるなおねーちゃん!」

    自分は何をしようとしていたのだろうか。母を馬鹿にされたような気がしたから憂さ晴らしをしようとした?自分のやるべきことを忘れて何がレースだ。
    今日自分がここにいるのは喧嘩をするためではない、レースで勝つためだ。

    「勿論なのです!何故ならば‼このレース、私は絶対に勝つと決めているのだからッ!!」

    右手を掲げ高らかに宣言する。それは多くの人々にとっては初めてのレースに浮かれておかしな言動をしてしまう特段珍しくもないウマ娘の姿であったが、彼女の真価を知る者にとってはいつもの彼女らしいプレッシャーに押しつぶされない強い姿として映るのだ。

    「いい顔」

    そしてそれは、観客席の隅でレースを観戦しているヒビノミライも同じであった。

  • 71着をねらえ!25/06/20(金) 21:54:05

    ゲートに収まるのは8人のウマ娘。デビュー時期としてはやや早い、うだつの上がらない暑さが焼き付くこの季節に光をよく反射する真っ白な体操服がよく映える。そのほとんどが短パンで、古典的なブルマを着用しているのはイリフネ一人くらいのものだ。
    年齢(学年)も近く、トレセン学園の中で顔を合わせている者もいるだろう。しかし今はここにいる全員が競争相手であり、1つしかない勝利という栄光を我が手にせんと闘争心を滾らせていた。
    8枠3番のゲートに立つイリフネはその瞬間を今か今かと待ち構える。先ほどの自信過剰ともとれる宣誓が気に食わなかったのか、ゲート入りしたウマ娘全員が彼女の方へ視線を向けていた。

    「さっきの『私が勝つ』ってやつさ、よく恥ずかしげもなく言えることね。アタシだったらもし負けた時に恥ずかしくってできないわ」

    隣のゲートの見るからに気の短そうなウマ娘が皮肉たっぷりという様子でイリフネを煽る。超然的な力を持っていても彼女たちの精神は所詮10代の未熟な学生である。出る杭をあざ笑い、突飛な行動に指をさしクスクスと仲間外れの笑いものにするのは当然のことでもあった。
    だが、7人の嘲笑など、彼女にとってはどこ吹く風である。決して折れない強い瞳が煽ってきたウマ娘を見る。

    「なっ…なによ」

    思わずたじろぐウマ娘にイリフネは表情を変えることなく、彼女の汗が額から地へと滑り落ちるだけの時間を経てようやく口を開く。

    「負けるかもなんて思いは女を廃らせるだけ。私はここに勝ちに来たのです!お互いベストを尽くしましょう!」

  • 81着をねらえ!25/06/20(金) 21:55:13

    そこに恥などないと強く宣言する言葉に対面のウマ娘は返す言葉がなかった。もっとも、彼女を動揺させたのは、その決意ではなく今さっき害意を見せた相手にも競い合う相手としての立場を崩さないイリフネの言葉であったが。

    「(生意気な…ッ!)」

    その言葉を彼女はついぞ言うことはできなかった。ここで言い返しても目の前のウマ娘が折れることはないし、もし言葉にしてしまえばこれからレースに挑む自身のプライドに傷がついてしまうような、そんな予感がしたのだ。
    憎々しげにイリフネを睨み返すとふんっと前へ向き直る。なに、これはレースなのだ。ムカつく相手がいるのならレースで叩き潰してしまえばいいのだ。
    よく見れば見た目こそ金髪で派手だが強者特有の覇気もなければ全身の筋肉量もそれほどの物でもないだろう。見るからに“ティアラ路線ウマ娘”といった女々しいブルマ姿がその印象を余計に加速させる。所詮はこけおどし、負ける気など毛頭なかった。
    それに、今回はメイクデビュー、汚れなき競争成績を望む彼女には負けるわけにはいかないレースなのだ。他の7人をバックダンサーとしセンターで踊る自分の姿を夢想し彼女は口角を吊り上げた。

  • 91着をねらえ!25/06/20(金) 21:56:47

    メイクデビューは数あるレースの中でも全てのウマ娘にとって重要なレースである。それは競技ウマ娘として必ず出走しなければならない最初のレースというのも勿論だが、大事なのはこれが「メイクデビュー」という名前を持っているということだ。
    メイクデビューの特異なところに二度と同名のレースに出走できないという点がある。これだけであればジュニア・クラシック級のレースと同じなのだが、一番大きいのはこれが全員が必ず出走できる唯一のネームドレースということなのだ。
    ウマ娘レースの世界は厳しい。メイクデビューで勝利を飾ることができず、その後の未勝利戦でも勝てずに唯一走ることのできたタイトル付きレースがメイクデビューだったというウマ娘は少なくない。また、メイクデビューでの勝ち星は競争人生においての最初の白星となり、勝ち癖をつけられて縁起がいいとされ、それ故に「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」という身もふたもない呪いのようなジンクスが蔓延し、未勝利戦を走ることなく心が折れてしまうウマ娘も少なくない。
    誰が言ったか“ヴァージンレース(純潔を守るレース)”とはよく言ったものである。

    中央でメイクデビューに出走するウマ娘はウマ娘全体から見ると上位層のエリートばかりである。その自覚があるのか、はたまた中央というステータスがそうさせるのか自分が負けるはずがないという自信に満ち溢れている。それは己の実力を理解しているからなどではなく、多くの場合は壁にぶつかったことがなく、自身の位置を正確に理解していないが故である。

  • 10二次元好きの匿名さん25/06/20(金) 21:59:59

    > 「メイクデビューを勝てたウマ娘は大成する」

    実は意外と伝説のウマ娘にはメイクデビューを負けたものが多かったりするのでマジで身もふたもないのだ

    (ブライアン、ジェンティル、アイ、あと地方だけどオグリも、etc)

  • 111着をねらえ!25/06/20(金) 23:39:55

    先ほどイリフネにつかっかてきたウマ娘含め勝つのは自分だろうといううっすらとした確信があった。みな地元では天才や秀才と呼ばれ期待されて中央トレセンへと入学しようやくデビューすることができるのだ、浮足立ち全能感に支配されるというのも仕方のないことだろう。だがしかし、勝てるだろうなという根拠のない自信ではレースに勝つことなどできない。



    レース内容は一言でいうのなら「圧勝」であった。
    スタート開始直後、いの一番に抜け出したイリフネを追うレース展開となり、後続の7人のウマ娘たちはイリフネの暴走ともいえる逃げがスタミナ切れで落ちる瞬間を待っていた。どんなに強いウマ娘であってもスタミナは有限であり、特に爆発的な逃げなどというスタミナをまき散らしながら走るようなものであればすぐさまスタミナが底をつくだろう。7人ともそう考えていた。なぜならそう習ったから、常識的に考えてそうであるはずだから。
    だが、目の前にいるのはただのウマ娘などではない。毎日シゴキともいえるトレーニングに泣き言一つ出さずについていく、母親譲りの強大なスタミナを誇る本物のウマ娘の持ち主なのだ。

    レースが終盤に差し掛かる頃、きっと7人のウマ娘は焦ったことだろう。走れど走れどイリフネの勢いが落ちるそぶりはなく、むしろどんどん距離を離されているような認めたくない現実が目の前に現れたのだから。
    彼女たちの知識も準備も何も問題となるものはなかった。日々一般的なトレセン生のようにトレーニングに励み、努力を欠かすことがない勝つに値するウマ娘ばかりであった。
    しかしそれはあくまで“普通に”頑張っているだけにすぎない。一般的な努力しかしていない天才は常軌を逸した努力をしている天才に絶対に勝つことはできない。なんとなく勝てそうな気がする、その程度の期待じみた勝利への渇望が「絶対に勝つ」という執念じみた勝利への欲求に勝ることもない。
    彼女たちに勝てる理由は多くあったが、負けない理由も勝つ理由も不足していた。
    イリフネがゴール板を駆け抜けた時、何バ身も後方にいたウマ娘たちはそれを身をもって痛感するのであった。

  • 12二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 00:15:38

    血の滲む努力程度ではなく七孔噴血する努力をしなければならぬ世界よなあ
    または努力を努力と思わぬ天衣無縫か

  • 13二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 08:35:55

    本物に成ったか

  • 141着をねらえ!25/06/21(土) 10:17:26

    「おぉ!イリフネちゃん勝ちましたよ!」

    レース結果に盛り上げる観客席の最上階、せり出した屋根の陰に隠れる立見席で観戦していたムーバは大差勝ちしたイリフネのレース内容に大興奮といった様子で、イリフネとコーチを交互に見てはよく頑張ったぞと歓声を飛ばしている。

    「当然だ、あいつなら勝てるレースだった」

    教え子のメイクデビュー勝利という喜ばしい内容でありながらコーチはいつもの調子を崩すことなく、サングラスをかけ表情の分からない仏頂面のまま腕を組んでいる。

    「それ、ちゃんと言ってあげてくださいよ。あの子はミライじゃないんだから」

    「………」

    依然としてイリフネに対しては鬼教官という立場を崩したことのないコーチにムーバが釘を刺す。心なしかコーチの顔に少しばかりのバツの悪さが浮かんだようにも見えた。

    「(それでも、まだまだ"本物"には程遠いって言いそうだけどね…)」

    口下手で堅物の雰囲気の抜けない自身のチームトレーナーになんだか今後のチーム関係が拗れそうな気がしてムーバは口から特大のため息を吐き出すのであった。

  • 151着をねらえ!25/06/21(土) 12:21:37

    走り終わり、ウィナーズサークルに立つイリフネは家族に囲まれていた。妹たちから口々におめでとうの言葉をかけられる中で、誰よりもはしゃぎ、誰よりも喜んでいたのが母であるキンペイバイであった。

    「イリフネちゃんよく頑張ったね!おめでとう!」

    汗でべたつく体であっても大切な娘。この日のために用意したのであろうドレスが汚れることなど気にせず抱きしめる。母の胸と娘の胸がぶつかり合い、物理法則にのっとって柔らかくつぶれる。汗をかくほどに火照った体のイリフネよりもわずかに母の体温の方が暖かく感じられる。

    「はしゃぎすぎなのです。お腹に赤ちゃんもいるんだから無理しちゃダメなのです」

    当の勝利者であるイリフネは以外にも落ち着いており、自分よりもテンションの高い母を嗜めていた。汗でべたつく体では母の洋服を汚してしまうと抱き返すのをためらっていると頭に誰かの頭がポンと乗せられる。昔からそうされてきた安心感のあるゴツゴツとした質感に見上げればそこには筋骨隆々のアメリカンコミックのヒーローのような男

    「すごい逃げだったな、スタミナにも余裕があった。トレーニングの成果が出てたな」

    「もー、お父さんあんまりワシャワシャしないでなのです」

    イリフネの父は豪快に娘の頭を撫でるとハハハと豪快に笑う。粗暴だが優しいそれにイリフネも心地よさを感じているが、人目もあるので年頃の娘らしい言葉しか言うことができなかった。
    父も本当ならデビュー戦という最も緊張する舞台で実力を出し切り、見事に勝利を収めた娘のことを抱きしめて、これが俺の世界一の娘だと自慢してやりたかったが、今の彼はイリフネの父であるとともに中央トレセンに席を持つチームトレーナーである。はしゃぎすぎるのはあまりよくないとこうして頭を思いっきり撫でることしかできないのだ。

  • 16二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 12:28:15

    元少年にとって世界一のウマ娘は多分二人いるんだろうな…

  • 171着をねらえ!25/06/21(土) 14:23:30

    ウィナーズサークルで家族と勝利を分かち合い、写真撮影等のもろもろを済ませたイリフネは地下バ道を通って控室への道を歩いていた。競技ウマ娘はレースだけやっていればいいという単純なものではなく、興行的側面も併せ持っており、つまるところレースの後のウイニングライブをこなさなければならないのだ。


    イリフネちゃんのライブの才能

    (基礎値なので本番では練習して上手くできるものとする)


    ダンスdice1d100=21 (21)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    歌dice1d100=16 (16)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)


    パフォーマンスdice1d100=76 (76)

    (30以上で人並み、50を超えてくると上手い寄り)

  • 181着をねらえ!25/06/21(土) 14:29:34

    すごく設定通りのレースは凄いけどそれ以外の時は天然ポンコツお姉ちゃんになりましたね

  • 19二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 14:33:41

    本番以外ボエーるお姉ちゃん……
    歌も踊りもアレでパフォーマンス高いの逆にカリスマ性の証明かもしれんですね

  • 20二次元好きの匿名さん25/06/21(土) 22:37:19

    パフォーマンスは良いのか
    愛嬌あるのかな

  • 211着をねらえ!25/06/21(土) 23:35:17

    練習の成果もあり、そつなくメイクデビューライブを終えてステージ裏へと戻ったイリフネはそっと胸を撫で下ろしていた。自分の音痴が発動しないかとかそういう気持ちもあったが、何よりも初戦を勝てたという事実が彼女に勇気と自信を満ち溢れさせていた。
    今日、イリフネがやるべきことはこれで全部だ。あとは荷物をまとめて帰るだけ。今日はお祝いに外食をするらしくウキウキ気分でステージ裏から控え室への道を歩いていると、道の真ん中に立つ不敵な影が一つ。

    「お姉さま!」

    イリフネが気づくとヒビノミライも微笑みを浮かべる。

    「どうでしたか今日のレース!私もうズバーン!って感じで!」

    尻尾を左右に大きく振り大はしゃぎで報告する様はまるで犬のようで、顔に「褒めて欲しい」とでも書いてあるかのようにその目は期待に満ち溢れていた。

    「いい走りだった」

    そう言うと顔が触れ合うほどにイリフネとの距離を縮める。その数センチの距離感にイリフネがドギマギしていると、ヒビノミライの細く冷たい手がイリフネの頬を撫で、そして顎のラインを伝って軽く引き寄せる仕草─所謂、アゴクイ─を取る

    「あっ…お姉さまそんな…誰か来ちゃ……」

    誰かが来てしまうかもしれない、その背徳感で頭が沸騰しそうになるも、こちらを見つめ微笑むヒビノミライの銀河を抱く瞳に精神が連れていかれるような、目を離せない呪いでもかけられているかのように顔を背けることができない。

    「私にももっと見せてほしい。あの時、貴方が見せた光の奥底にあった輝くものを」

    おそらくそれはコーチが常々言う「本物のウマ娘」というものの核心に迫る言葉だったのかもしれない。だが、顔のいい美少女にこんなあられも無いことをされては、十代の純潔乙女イリフネはそんなことなど思考する余裕もないのであった。

    後に残されたのはミステリアスに微笑む少女と、瞳に魅せられた少女。
    この2人の出会いが何を成し、何をもたらすのか、その答えは未来だけが知っている。

    ただ一つ言えることがあるのならば、この物語は少女が"本物のウマ娘"になるまでの物語である。

    【序章 運命の出会い 完】

  • 221着をねらえ!25/06/21(土) 23:38:05

    次章から本格的に🎲振りパートです
    皆様にもお力をお借りすることがあると思います。
    基本熱血、時々エッチ、このモットーで進めて参りますのでイリフネとチームオルクの面々の活躍にご期待と応援をよろしくお願いします

  • 23二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 08:00:50

    トゥンク…

  • 24二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 15:04:10

    >>22

    了解です

  • 251着をねらえ!25/06/22(日) 17:35:27

    今後の方針決めを行います。
    具体的には2歳G1に出場するか否か、出場するとして、朝日杯、阪神JF、ホープフルのどれにするかとなります

    一応、要望としてホープフルを頂いていた気がするのでそれで行くつもりではありますがもしこっちの方がいい、こうして欲しいなどがありましたら本日の21:00くらいまでにお願いします。(それまでは適当にダイスを転がします)
    このままホープフルで行く場合もこのままでいい旨のコメントをいただけると集計して数の多い方を選択します

  • 261着をねらえ!25/06/22(日) 18:04:47

    メイクデビューから開けて翌日、いつも通りの一週間の始まりを迎えた府中の町は今日も忙しなく車が行きかい、太陽の下舗装された路面をゴム製の靴底が鳴らす。

    ここトレセン学園でもいつも通りに午前の授業が行われ、そしていつものお昼のチャイムと共に食堂に生徒たちがなだれ込んでいた。

    そんな普通な日常にあって、いつもよりも足取り軽く鼻歌交じりにスキップしているウマ娘が一人。金髪のポニーテールをその名の通りに尻尾のように揺らしながらイリフネは浮ついた雰囲気を隠すことができずにいた。

    「まったく…ご機嫌で何よりだよ」

    その隣を歩くダイナソアンシーは遂にデビューを迎え、そして勝利を勝ち取ってきた親友に微笑みと感慨深い視線を送る。ダイナ自身がデビューしてからもチームに所属することも専属トレーナーを見つけることもなく、どこかボケーとしながら学園生活を過ごしていた親友の姿はもうどこにもなく、清々しいほどの変わりっぷりに驚いてしまう。

    だが、最近のイリフネは目標を見つけ、チームに所属し、前よりもの楽しそうに見える。自分のレースを見に来ていつかは私もと遠くを見つめていた頃からもうずいぶんと前に進んでしまっているような、そんな気さえするのだ。


    2人の健啖家度合い(数値が高いほど大喰らい)

    イリフネ:dice1d100=22 (22)

    ダイナソアンシー:dice1d100=33 (33)

  • 27二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 18:23:00

    ホープフルに行ってほしいです

  • 281着をねらえ!25/06/22(日) 18:40:26

    食堂は相変わらずの盛況っぷりで、お盆を持ったまま歩き回ること数分、先に食べていた集団が席を離れたのを見逃さず、すさまじい速さで席を確保する
    本日はトマト煮込みハンバーグ定食、二人のお茶碗に盛られたのは一般的なウマ娘の分量程度。2人はそこまでたくさん食べるタイプではないが、過去には一人で何十人分と食べてしまう健啖家もいたらしい。

    「イリフネはさ、この後のレースはどうするか決めた?」

    ニンニク風味の強いトマトソースに合わせるために触感を意識した海藻サラダをほおばるイリフネに、ハンバーグのかけらを飲み込みダイナが問いかける。

    「次、次か…考えたことなかったかもなのです」

    当然だが、レースはデビューして終わりというわけではない。次のレース、そのまた次のレースと引退まで走り続けなければならない。
    例えば、ダイナソアンシーは未勝利戦を勝利後、条件戦やOP戦を順調に勝ち上がり、クラシック期には重症に挑戦し好成績を納め、今はシニア級レースの舞台で走っており、数週間後にもレースの予定がある。こうしたレース予定は事前に学園を通してURAの方に通知され、それをもとにレースに関する諸々が調整される。トレーナーに通告される育成目標という名のノルマもまたこうしたレース予定からURAが通告するものである。

    イリフネも競争ウマ娘としてデビューした以上、次の目標レースを見定める必要があり、それもあってのダイナの質問であった。予想通りというべきか、何も考えていないという返答が返ってきたわけだが。

    「ソアラの時はどうやって決めたのです?」

    「私の時はトレーナーがレースプランを何個か出してくれてそれで決めたかな。イリフネのところもあの怖―いコーチがやってくれるんじゃない?」

    無責任なダイナの発言にイリフネは脳裏で状況をイメージする。例えば、「今後どのレースを走ればいいか」と聞いたとき、おそらくコーチは「自分で考えなければ意味がない」と言うだろう。では「このレースに出たい」と言えばどうだろうか。おそらくだが「お前にはまだまだ早い!ランニング500週!」と一括されるのがオチだろう。
    今から憂鬱な気分になってきたイリフネは先ほどまでの元気はどこへやら、深くため息をついてシワシワの電気鼠のような顔をするのであった。

  • 291着をねらえ!25/06/22(日) 19:17:06

    話し込んでいるイリフネとダイナ、そんな2人の元にとある人物がやってきます


    1.妹

    2.お父さんのチームのウマ娘

    3.お姉さま


    dice1d3=3 (3)

  • 301着をねらえ!25/06/22(日) 20:59:55

    食堂の第一波が終わり、第二波の学生たちが食堂にあふれだした頃、あーだこーだと話をするイリフネとダイナソアンシーのテーブルに一人の影が近づいてくる。

    「相席いいかしら」

    「お姉さま!」

    湯気の立ち昇るどんぶりをお盆に載せ、ヒビノミライが2人へと声をかける。周囲を見るとどこもかしこも生徒で溢れ、座る場所はなさそうだ。ダイナとしても別に嫌いな人物ではないし、なによりもイリフネのチームメイトとなれば断る理由もないだろう。もっとも、ダイナが提案するよりも先にイリフネがここに座ってくださいと自分の隣の席に彼女を座らせてしまったのだが。

    「お姉さまはらーめんなのですね」

    「ニンニクラーメンチャーシュー抜き」

    それにしてもこのヒビノミライというウマ娘、何か不可思議な雰囲気をまとっているなと対面に座りまじまじと見ながらダイナは考えていた。
    銀河を浮かべ、その奥に宇宙のごとし無限の広がりを感じさせる瞳、プリズムめいた光を反射する髪、顔立ちは整いすぎているというほどで、その肌に思春期特有の荒れもデキ物といったものもない。そして何よりも“耳も尻尾も存在しない“というところが異質さを加速させる。一応、尻尾のないウマ娘というのは存在自体はしている。それこそ、ヴィルシーナ達三姉妹の母親は尻尾のないウマ娘らしい。だが、ウマミミのないウマ娘というのは聞いたことも見たこともない。耳というのは生活生存するためには必要不可欠な器官である。耳がなければ言葉を聞き取ることはできず、会話に非常に制限がされる。だというのにヒビノミライにそのような素振りは見えず、普通に会話できているように見える
    ヒビノミライの頭頂部、本来耳が存在しているべき部分には浮遊している菱形の謎のオブジェクトがあるのみで、尻尾にも円柱形上の何かが浮いている。まるでウマ娘ごっこをしているヒトミミの女児のような姿で、ウマムスメモドキとでも形容したくなる。それだというのに能力時代はウマ娘と同じ力を持っているとくれば尚更、その正体が分からなくなる。

  • 311着をねらえ!25/06/22(日) 21:01:45

    「お姉さま、私のハンバーグちょっと食べますか?」

    「それはあなたの分、あなたが食べるべき」

    そして、応募面接レースの時に見せたあのプラズマのような閃き。あの瞬間、ヒビノミライに尻尾とウマミミが存在し、本物のウマ娘のような姿となっていたことをダイナは覚えている。あの輝きを放った瞬間、まるで人が変わったかのようにヒビノミライは増速し、そしてイリフネに大差をつけてゴールした。それまで本当の力を隠していたのだとしたら、本当のヒビノミライはレースで見せたあの姿なのだろうか。
    あの胡散臭いコーチが言っていた“本物”のウマ娘なる言葉。もしそれが彼女──ヒビノミライを指す言葉なのであれば、自分たちは偽物だとでもそう言いたいのだろうか。
    目の前で仲良さそうにご飯を食べる2人を見て、ダイナソアンシーはヒビノミライへの疑念を強めるのであった。

  • 32二次元好きの匿名さん25/06/22(日) 21:30:16

    ヒトミミの女児のようとも言うが当然ヒトミミもないわけで、パーツがつく前は両生類みたいに直接ウマミミの部分に鼓膜があったんだろうか
    それにしてもなんとなくウン百年後の破滅した未来とかからやってきたウマ娘のような気がするんだよなお姉さま
    それは極端な与太としても“本物”の境地に至るものを増やすことで何かを成そうとしているような雰囲気はある

  • 331着をねらえ!25/06/22(日) 23:01:00

    「初勝利おめでとう、イリフネちゃん!」

    安物のクラッカーの拍子抜けする軽い破裂音と共に紙吹雪とリボンが空を舞う。せっかくの後輩の初勝利なのだからと簡単にでも用意したことが褐色肌の明るい絵がをからも見て取れる。こういうところはひょうきんでチームのムードメーカーなムーバレズハールらしいと言えるだろう。
    祝初勝利!の垂れ幕のある玄関口から最も遠い壁のすぐ下。宇宙レース用の機体の模型が飾られているテーブルで座すオオトリコーチは相も変わらずのグラサン姿で、浮ついた雰囲気に怒っているのか、どうなのかこの距離ではよくわからない。

    「イリフネ」

    「はっ、はい!」

    コーチが口を開くと場の空気がピンと張り詰める。伸ばした背筋から冷や汗が零れ落ちる。

    「まずはメイクデビューでの勝利、見事だった」

    「ありがとうございます」

    普段は厳しい言葉ばかりのコーチであるが、今日ばかりは素直なお褒めの言葉でほっと胸をなでおろす。

    「だが、これでようやくスタートラインだ。これからはより一層、ビシバシとしごいていく」

    もう十分にしごかれていると思うのです。そう思っても、イリフネはそれを口に出すことはなかった。もし口に出したら今日のノルマが2倍になりそうな嫌な予感がしたからである。

  • 341着をねらえ!25/06/22(日) 23:02:25

    「今、お前はジュニア級に登録されているというのは理解しているな?」

    「はい」

    ウマ娘のレースにはデビューした年からの経過年数で大きく分けて3つの段階に分かれる。
    まずURAに登録手続き(デビュー)をした年の12月31日までをジュニア級(期)と呼ぶ。この段階では出走できるレースは制限のないレースかジュニア級限定レースに限られ、多くのウマ娘はジュニア級限定のレースに比重を置いて出走する。レース経験の乏しさや体が完全に出来上がっていないことにより、後述する2段階に比べて迫力では少々劣るものの、フレッシュさの楽しめるレースが多く見られる。
    次にジュニア級を終えて翌1月1日から同年12月31日までをクラシック級(期)と呼び、所謂クラシック3冠、ティアラ3冠はここに位置している。この段階では制限フリーのレースとクラシック級限定レースに出走でき、ジュニア級に比べ本格化による能力値が上昇したことによるより力強いレースが特徴となる。
    そしてシニア級、ここはジュニア級、クラシック級の激戦を潜り抜けてきた猛者たちがさらなる高みを求め己の才能技能努力を競い合う、最もハイレベルなレースが展開されている。
    イリフネが登録されているのは現在ジュニア級であり、来年はクラシック級、再来年以降はシニア級の舞台で戦うことになる。勿論、そのためにはこれが多くのレースに挑戦し並み居る強敵を倒していかなくてはならない。

    「ジュニア級、そこでのお前の目標レースを発表する。──ホープフルステークスだ」

  • 35二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 07:17:06

    いよいよきたか
    …ヘブンリィブライトもお披露目か?

  • 36二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 16:29:00

    以前の設定案だとティアラ(牝馬)三冠まで無敗とのことだったけど、ホープフルで勝ってティアラ行くのウマ娘世界だとよほどなことが起こったと見える
    ウマ娘の場合人類な以上体力テストで初期適性は把握してそうだし……
    やはりヘブンリィブライトとの出会いによるものなのか

  • 371着をねらえ!25/06/23(月) 22:29:05

    ホープフルステークス、それは日本国内で開催されるGⅡレースで最も開催時期が遅く、そして最後のジュニア級GⅡレースである。ラジオたんば杯クラシックティアラステークスを前身とし、様々な名前を経て現在のレース名に落ち着いている。
    その歴史は意外に複雑であり、東西で事実上のレースの分断があった時代から存在した東と西で別々のチャンピオン路線を廃止し東西を統合しいくつかのレースの仕様変更がなされた。このレースもその一つであり、本来ティアラ路線を進むウマ娘たちが出走していたが、クラシック王道路線と合流が図られた結果、従来の距離1600メートルから2000メートルへと距離が延長された。
    その後も何度か改名がなされ現在のホープフルステークスの名前に落ち着いた。「希望に満ち溢れた」という名前の通り、1年の終わりにふさわしいレース名だと言えよう。

    「GⅡ、重賞レースへの挑戦…」

    ウマ娘が走るレースは様々な階級があるが、その中でも別格とされているのがグレード(G)制レースである。このレースに出走できるのはウマ娘全体でもほんの数パーセント。エリートばかりの集う中央レースにおいて、そのさらに上澄みの強者たちの世界なのだ。そこに挑戦することは全ウマ娘の目標であり、そこで教え子を勝たせることは全トレーナーの彼岸と言ってもいいだろう。

    「そうだ。メイクデビューを勝ち、今後挑むことになる大レース、その飛躍の第一歩としてイリフネ、お前にはこのホープフルステークスへと出走し勝たねばならない」

    勝つ、その言葉は重い。これからイリフネが挑む重賞レースはメイクデビューの時とは比べ物にならない強者たちとの戦いが待ち受けている。今のままで勝てるのだろうか、そんな不安がイリフネの胸中をよぎる

    「これからの過酷なレースを戦うため、お前にはもっと力が必要だ。強者と戦うための力──スキルが!」

  • 38二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 22:33:05

    この世界ではホープフルはG2なのか

  • 391着をねらえ!25/06/23(月) 22:47:28

    >>38

    実は時期的な問題でイリフネがデビューしたと推察できる2014年あたりのホープフルステークスはGⅡになったばかりなんです。G1になったのは2017年からですね

  • 40二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:12:42

    その辺国内はウマ娘のアプリ準拠かと思っていたので意外だ
    とはいえあえてその形にしてるからこその物事というものがありそうで楽しみ

  • 41二次元好きの匿名さん25/06/23(月) 23:57:21

    このレスは削除されています

  • 421着をねらえ!25/06/24(火) 00:02:10

    ウマ娘には己の能力の他に戦うための力がもう一つある。それがスキルである。
    魂─ウマソウルに蓄積された経験から力を引き出し扱うこの力は昔からその傾向にある力を総称としていくつかの呼び名を与えていた。そしてそれはアグネスタキオンによるウマソウルの存在証明によって技術として確立し、今日に至ってウマ娘の必須技能として広く知られるようになっていた。
    勿論その概要や能力についてはある程度イリフネも勉強をしている。
    しかし、スキルの習得とは不可思議なものでウマ娘単体では習得が不可能なのだ。スキルの習得のためにはトレーナーの元で指導を受けている必要があり、そのトレーナーのヒラメキやウマ娘本人の経験の蓄積によって、“スキル“としてウマ娘のレースでの助けとなってくれるのだ。

    「ということは、私も遂にスキルを習得させてもらえるのですか⁉」

    これまでのイリフネはオオトリコーチの指導方針により、基礎トレーニングのみを積んでいたイリフネはスキルというものに触れる機会がなかった。スキルとはいわば現代ウマ娘レースの花形、ついにそれを習得できるとなれば気持ちが高揚しても仕方のないことであろう。

    「その前に、お前にはスキルを使った走り方を身をもって体感してもらう必要がある」

    そう言うとコーチの視線はソファーに座るムーバレズハールへと向けらる。その視線に気づいたムーバは立ち上がると、イリフネの前に立つ。二人の間、ムーバの大きな胸の分だけ空間が狭く感じる。
    いったいこれから何をするのだろうか、イリフネが疑問に思っているとムーバはそれまでのにこやかな顔から一転、キリっと真面目な表情を取る。

    「イリフネちゃん、レースしようか」

  • 43二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 09:04:09

    ドリームトロフィーとか極まったスキルの投げつけ合いが以前から主だっただろうからその辺がわかって来たこの時代はかなり盛り上がってそうだなあ
    ただ手札の切り合いを含む競技性に変貌したことで昔なら勝てた・勝てなかったウマ娘やトレーナーが時代に助けられたケースも散見されてそうだ

  • 44二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 15:26:41

    何のスキルだろう

  • 45二次元好きの匿名さん25/06/24(火) 20:27:01

    >>39

    そういや武豊の平地G1完全制覇で最後に残ってるのがホープフルだったな

    昇格が遅かったからチャンス自体が少ないわけか

  • 46二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 01:07:56

    この時代のレース実況もプロレスみたいになってそうね
    最大18人のウマ娘に加え、そのウマ娘の使用するスキルに使用したかどうかの判断とか考えると、実況の難易度がすっごい高そう

  • 47二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 07:58:00

    固有スキルのことを考えるとスキルという世界法則の解明により領域(それにあえて入らないなどの応用も含む)が一般化したという話でもある気がするなこれ
    そう考えると自分の心の形さえ確立してしまえば、元々領域の、あるいはそう何度もそれに入れる器ではないウマ娘が当たり前に出入りしてしまえるそういう時代というわけか

    ……なんか″本物″とは何かのヒントがここにある気がするな
    元より自在に領域を出入りできるタマのようなウマ娘がこの時代に走る、心の形を作り上げてヒビノミライと対峙する
    それによって何かとんでもないことが待ち受けていそう
    それが更なるウマ娘の進化か、それともこの世界線やお姉さまの核心に関わることなのかはわからないが

  • 48二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 16:56:50

    >>46

    古舘みたいな名人芸実況をしてる人もいるかもな

  • 49二次元好きの匿名さん25/06/25(水) 17:20:17

    >>46

    今発動したスキルはアレ、とか実況する側に目利きが要求されるの大変そう

  • 501着をねらえ!25/06/26(木) 00:00:51

    ムーバに連れられグラウンドに向かったイリフネはムーバとコーチが準備をしている間に準備運動をしながら体を温めていた。ゴール位置に立て看板が置かれ、体を伸ばしながらムーバがイリフネの待つスタート位置へとやってくる。
    二人とも体操服にブルマ姿、身長こそイリフネの方が高いが女性らしい柔らかさや膨らみ。曲線はムーバの方が優れていると言える。さらにムーバの左腕には腕輪のようなものが巻かれていた。

    「それなんなのです?」

    当然のように疑問に浮かぶ疑問を口に出すとムーバは得意げに笑い、それを掲げて見せる。

    「それは走ってからのお楽しみ♪」

    スタート位置へと着くムーバにけちんぼと心で思いながらイリフネもまたスタート位置へと着く。ゴール地点に立つコーチが白旗を準備し、スタートのタイミングをうかがっている。白旗が掲げられた瞬間がスタートである。二人ともそれを今か今かと待ち構えていた。

    「イリフネちゃん」

    そんな緊張の仲、ムーバが声をかけてくる。

    「本気でかかってきな」

    「…当然!」

    空気を切り裂き白旗が上空へと突き上げられる。
    同時にスタートしたイリフネとムーバレズハールの二人はわずかにイリフネを先頭に第一コーナーへと入っていく。今回のレースは1600メートル、グラウンド換算で1.9周、この距離はメイクデビューでイリフネが走った距離でもある。第一コーナー、第二コーナーを超えて現在は向正面の最終版、1周目の第三コーナーに入ろうかというところ。大きな動きはなく、依然としてイリフネがリードを握りその後ろにムーバが追従するという形であった。

    「(スキルの使い方を教えるって…それくらいなら授業でも習っているのです)」

    近年、ウマ娘の研究が発展したことにより“スキル”が体系化したというのは周知の事実であり、スキル発動時のウマ娘の外的変化についても研究が進んでいる。ウマ娘のスキルというのはつまるところウマソウルが経験等によって後天的に獲得した能力であり、その使用はウマ娘の意志の介在もあるがウマソウルが状況に応じて能力を発揮しているという側面も強く、使用した場合には特有のエフェクトが発生する。

  • 511着をねらえ!25/06/26(木) 00:02:20

    つまり、スキルというのは基本的にはレース状況に応じてウマソウルが獲得している能力を引き出して使うという1連のプロセスについた総称であり、自分の意志で「このスキルを使うぞ!」と念じることで使用するもの、ウマソウルによって常時発動しているもの、状況に応じて自動的に発動するものとその種類は多岐にわたる。この中でスキルを使用した走りとして最もメジャーなのが1番最初の例であり、レースをしながらスキルを使用するという思考をしなければならず、レースにより高度な技術が求められる要因ともなってしまっている。
    スキルを使用した走り方というのは現代のウマ娘レースのスタンダードとなっており、その使用方法や感覚は学生向けの教本にさえ記載されている。スキルを使った走り方の実演と聞いてもイリフネがあまりピンときていなかったのは、すでにそのやり方を知識として知っていたからである。イリフネがそう思うのも可笑しなことではなく、見て学ぶよりも実際にスキルを使用して使い方を覚えるというのが現在のトレーナー陣の共通見解であった。
    それはコーチとムーバが普通のトレーナーとウマ娘であればという話であるが。

    「そろそろ仕掛けさせてもらうよ」

    2人がスタート地点へと戻り、2週目に入ろうかというレース中盤、ここでムーバが仕掛ける。閃いた右手が左手に保持された“カード”を手に取り、そのまま勢いよく振りかぶる。

    「私は“手札”からスキルカード『ギアシフト』を発動!」

  • 52二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 08:24:22

    文字通り手札切ってて芝
    彼女の名前があからさまなので何かでカード出てきそうとは思ったが

  • 53二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 16:46:50

    >>25ではホープフルはGⅠレースにあたるって言ってたがこの設定との差異が鍵になるのかな

  • 541着をねらえ25/06/26(木) 21:49:34

    >>53

    いえ単純にこの時にイリフネの設定年代でホープフルステークスがG2なことを忘れていただけです。なんならムーバレズハールの一人称は「私」ではなくて「アタシ」です

  • 55二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 21:57:13

    特別な措置してるから何かあるのかと思いたくなるのは分かる
    ③せっかくならミスから出た真が出てきてもいいのよ

    あと一人称可能な限り分けようとしてるとこ好き

  • 561着をねらえ!25/06/26(木) 22:26:00

    「手札からスキルカード!?」

    イリフネの驚きも無理のないことであった。本来ならば、レース中に別の思考を発生させ効果を適用するスキルをマテリアルなカードにし、発動を高らかに宣言したのである。
    レース中のスキル発動を感知するため、レース場の掲示板と連動しウマ娘が発動したスキルを表示するシステムの面子が丸潰れである。
    困惑するイリフネをよそにムーバのターンは続く。

    「このスキルは自分のマイルレースの進行が中盤になった時に発動できる。その効果によりアタシは加速する!」

    手に持ったカードが砕け粒子となる。スキル発動を表す淡い光が一瞬、ムーバレズハールの体を包み溶け込んでいく。加速スキル「ギアシフト」の効果は短時間の加速効果。その光に押されるようにイリフネとの距離をジリジリと詰めていく。最初は1バ身あった差は1/2バ身、クビ差、アタマ差とイリフネの有利が削り取られ、ついに並び立つとこちらを見ることもなく前を行かれてしまった。
    なんとかしてリードを取り返さなくては。イリフネに焦りが募っていく。だがその焦りもムーバの読みの内であった。

    「リバースカードオープン!『トリック』!このスキルの効果はレース中盤で掛かったウマ娘のスタミナを奪う!」

    「なっ!」

    急に来る脱力感に食いしばった口から声が漏れ出る。掛かって途切れ途切れになっていた集中が完全に途切れ、一気にイリフネの走りから精彩さが失われていく。

    「レース中の焦りは禁物だぞ⭐︎」

    その一言を捨て台詞にムーバレズハールの姿がどんどんと遠くなる。
    後に残ったのはみっともない走りを晒し、汗を滝のように流すイリフネだけであった。

  • 57二次元好きの匿名さん25/06/26(木) 22:28:18

    今回はムーバが決闘者だから身もふたもなくて笑うけど真面目にこういうノリの延長はレース描写上スキルの投げつけ合いを整理できて良いな……ってなる

スレッドは6/27 08:28頃に落ちます

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