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【オリキャラ】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外7|あにまん掲示板
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【オリキャラ】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外7

  • 1スレ主25/10/06(月) 21:49:15
  • 2スレ主25/10/06(月) 21:51:12

    歴代の外伝スレ(4は除外)

    【オリキャラ】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外5|あにまん掲示板―――いつか、帰るあの日に向けてはい!塞翁が馬スレです!!なんでこんなに長続きしてるんだろうと思いながらはや……何スレ目?本編含めたらどうなるか分からないんですけど外伝のこのすれは5スレ目です結構長い…bbs.animanch.com
    【オリキャラ】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外3|あにまん掲示板久しぶりの人も初めましての人もよろしく色々あって前スレは更新が途絶えてましたが今スレはなるべく1日1レスぐらいの更新頻度にしてみようと思う頑張る今度こそ、このスレで全て終わらせます前スレhttps:/…bbs.animanch.com
    【オリキャラ】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外2|あにまん掲示板とりあえず色々言いたいことあるけど先に言わせてくれないか?前スレ落とさなくてありがとう……!!!この感謝だけは本当に伝えたかった残留死別…この最後の物語をしっかりとここで終わらせます保守してくれた前ス…bbs.animanch.com
    【オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 外|あにまん掲示板先生の話は終わったけど、まだ彼女達の話が終わってないだから今度こそ、最後まで終わらせようと思います落ちたらその時はその時、立て直しはしませんだからこそ、このスレに全て包みます落ちた前スレhttps:/…bbs.animanch.com

    本編

    【オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 終|あにまん掲示板今、どれだけの人がこのスレを見てるか分からない別にこの話は完結しなくてもいい面白くない話かもしれない今、もう誰も見ないかもしれないそれでも落ちてしまったこの話を完結させようと思います落ちた前スレhtt…bbs.animanch.com
    【オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 2.6|あにまん掲示板またまたスレが落ちたので立て直ししましたスレ管理出来ないスレ主ですまない前スレhttps://bbs.animanch.com/board/4752541/bbs.animanch.com
    【オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 2.5|あにまん掲示板━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目が覚めるとそこは雑に教室を広くしたようなそんなただ広い空間があった「私の名前は、エミコ」確認をする、頭は分かってるのにこ…bbs.animanch.com
    【SS・オリキャラ注意】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな? 2|あにまん掲示板前スレの簡単なあらすじ先生とセイアが神ってやつの夢の世界に誘われちまった!!やっべぇぞこれ!!先生は神の夢にいたエミコって子と共に神が作った夢の世界の外へ行くことを決意!セイアはいつの間にか神と契約し…bbs.animanch.com
    【SS】先生は塞翁が馬という言葉を知っているかな?|あにまん掲示板その言葉は中国発祥でね、簡単に言うと人生不幸か幸か未来のことは予測できないというものさなんでこんな状況でこれを喋ったのかって?簡単な話さ予測できないものが予測できた私にとってこの言葉は意味の成さないも…bbs.animanch.com
  • 3二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:52:32

    たておつ

  • 4二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 21:59:06

    たておつだよ〜

  • 5二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:01:34

    たておつ。10まで埋めなきゃ

  • 6スレ主25/10/06(月) 22:04:26

    これまでのあらすじ

    セイアと共にいわくつきの学園へ行くことになった先生
    そしてそれは先生は学園の中で起こっている『神隠し事件』に関わっていくことになる事を示していた……
    なんやかんやあったが先生とセイアは現地での生徒たちと協力し、事件を解決することができた
    しかしそれは事件への解決だけであり、その事件の奥底に潜む魔の手までは解決できなかった……
    ついに魔の手は現実を、キヴォトスを手にかける事となり、世界は崩壊する
    そんな中で先生とセイアは世界をどうにかするために崩壊した世界を走り出す
    あの日一緒に笑い合った日常を取り戻すために
    ――紆余曲折ありながらもセイアそして新たな仲間相棒と共に先生は事件の中心にある『神』に近づくことに成功する
    その道すがら、相棒の記憶を体験し先生はこれまでの事件の全てを知り始める

    と、まあこんな感じです詳しくは前スレから!

  • 7二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:06:04

    たておつ。完結まで突っ走っていきませう!

  • 8二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 22:09:58

    待機フォックスですまない。

  • 9スレ主25/10/06(月) 22:10:17

    人物紹介

    先生
    ブルアカ本編の先生とほとんど同じだが事態が事態なので口調が荒れ気味になっている
    ナイフを使い巧みな体使いをするがこれは先生の力ではなく相棒の力であり、本人は普通の非力な一般人である
    相棒と身体を共有していたが相棒が離れて一人になる

    百合園セイア
    神がかりな直感があり結構強い
    先生と同じく事態が事態だからか悪癖がそこまで出ない

    相棒(殺欲)
    最初に創られた神の使い、セラフィラム・ロゼの中にあった欲望
    ロゼが死ぬ間際に自覚した渇き
    自分が居る限り、先生は相互作用で殺欲を抱くことを悟り1人消える

  • 10スレ主25/10/06(月) 22:17:41

    イノリ
    神隠し事件の発端であり色々やらかしているババア
    この話の元凶は誰かという話となったらこいつになってしまうがこいつが一番悪いかと言われるとそうでもない厄介な立ち位置である
    己を神と偽り自称し自分の願いを叶えるために色々したが失敗し死んでいる
    昔の髪は黒だったがイノリという存在が神に近づく程に髪は白くなった

    黄エミコ
    記憶収納障害という病気を持っており段々記憶がなくなる運命にある
    そのせいで大切な記憶までなくなってしまっているが本人はなくなった自覚がないので記憶に関して感傷は特にない
    ハンドガンを使うがあまりハンドガンを使っている描写がない
    世界の滅亡から逃れて生きている数少ない人物

    喜界ハクノ
    名門の喜界家出身の科学者であり製作者
    様々な機械を作れ、その能力があればミレニアム学園に楽々と入学でき、その才覚を遺憾なく発揮出来るが本人はその気はない
    キヴォトスでは珍しい銃を持たない人物である

  • 11スレ主25/10/06(月) 22:18:49
  • 12スレ主25/10/06(月) 22:21:43

    今日は更新お休みしてまた明日から更新再開します
    一言でもいいので前スレの感想とか語ってくれるとスレ主がめっちゃ!喜びます

  • 13二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 23:50:01

    最後の相棒呼びビックリしたよ

  • 14二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 02:39:49

    自分がいるせいで先生に取り返しのつかない不利益が出る、だから自ら去るしかない、そんな相棒の覚悟と自己責任の高さに黄金の精神を見たよ。相棒のCVが大川透になった。

  • 15二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 11:18:54

    待機フォックスですまない。

  • 16二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 14:05:19

    相棒の自己犠牲精神に心震える…

  • 17LOST25/10/07(火) 17:22:54

    ”…、あ”

    ぱちり。目を開く
    さっきまでの事は夢のように、現実は世界の滅亡を示している
    神という存在を中心に廻る世界
    建物という建物は崩落し、宙を揺らめいている
    その中で、何も示していない岩盤を足場にして私は存在していた

    ”いま、思うと”

    少し遠くに浮かんでいる建物を見る
    ――気付きたくはなかったがあの建物は確か

    ”第3業務地区だった……かな”

    この世界は見れば見るほど嫌になる
    知っている建物の崩壊、元の形が認識できないほど壊れた銃、誰かの血が付着した角
    ――この惨状は死体すら残さないのだろうか。まだ生徒の死体を見ていない事だけが救いだった

    ”……見たくない生徒の死体を作ろうとした私が言えることじゃないけど”

    ハ、と少し自分を笑い、近くに落ちていたナイフを拾って前を向いた

    ――もう、救いはないとしてもそれでも諦めずに走りきる

    ”それが私に出来る事だ”

    そう何度も決めた覚悟を確認する

    ……足は、震えていた

  • 18LOST25/10/07(火) 17:24:57

    意識不明重体確定
    ぱっと見ても死亡確認間違いなしな身体だったがなんとかまだ血の巡りを感じる
    神との距離はもう大分縮まった
    あと少し、ほんの一息で、長かった距離はゼロになる

    ”………………”

    最後に、振り返って彼女を視た

    「…………、……、………」

    血はもう熱で固まったらしい。傷も刺された所と首以外は少し掠ったようなモノだらけで致命傷には程遠く、息はまだあるようだ

    ”――よかった”

    本当に、よかった。これで死んでいたら大人げなく泣くなんて話ではない
    正直な話をすると自分の服を破いてでも応急処置をしたかったが……

    ”難しい…よなあ”

    今、下手に動くと後々響く予感がする
    今はもう麻酔を打ったようにナイフを持っている右手以外の感覚がほとんどないのだ。下手な処置をして傷を広げたくないし、こればかりは仕方ない

    ”はあ………”

    セイアは今、寝ている
    どんな夢を見ているのだろう?そもそもとして夢なんて見てはいないのかもしれない。夢は見ているけど悪夢かもしれない
    けどまあ……私が居る夢だったら少し、居心地が悪い
    なんて思うのは自意識過剰かな?
    ―――別れの言葉くらいは言ってやりたかったが、これももう仕方ない。……仕方ないことなのだ

  • 19LOST25/10/07(火) 17:27:56

    だから

    「せん……sい?」

    背を向けた後ろからセイアの声がするなんて

    ”――ぁ”

    本当に……ほんとうに、思ってもみなかった事なのだ

  • 20二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 21:50:36

    ひぇ~…

  • 21二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 03:06:34

    なんてこった

  • 22二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 09:56:01

    保守

  • 23二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 14:12:46

    待機フォックスですまない。

  • 24二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 20:31:46

    >>14

    ジョジョかな?

  • 25LOST25/10/08(水) 21:34:06

    瞼の裏側で声がした。――声が、した

    「せん……sい?」

    だから、この声はその声を聞いて出た無意識の声だ

    ”――ぁ”

    まだ、瞼は重いけど、彼の息を吞むような雰囲気だけは伝わって

    「せん…せい」

    その脆くて頼りない彼を繋ぎとめるように、声が出た
    閉じた瞼の裏側に居る彼はなんだか。ほんとうに、

    ””

    いま、私がいないと、消えてしまいそうで

    「先、せい」

    まだ在るその存在を暗闇で確かめるように、また声が出た

    嗚呼……私は、くらい、暗い、昏い瞼の中でも――

    「先生」

    私は、今在る君を感じていたかったんだと。今、気がついた

    ――重かった瞼の先に君はまだ、確かにそこに居た

  • 26二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 02:47:07

    待機フォックスですまない。

  • 27二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 10:36:29

    おぉ…!
    いやまだ安心はできんな

  • 28二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 14:06:34

    果たしてどうなるのか……

  • 29二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 17:16:37

    セイアが目覚めた!

  • 30スレ主25/10/09(木) 22:40:58

    今日更新おやすみです

  • 31二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 01:31:29

    >>30

    お疲れ様です。

  • 32二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 03:57:17

    セイアの声が弱々しく、何かに縋りつきそうなものになっている……。

  • 33二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 11:17:41

    待機フォックスですまない。

  • 34二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 13:48:12

    >>32

    縋りつきたいのはむしろ先生に見える…。

  • 35LOST25/10/10(金) 17:12:08

    ”せい――ア”
    「先生……」

    やっと。やっと逢えた
    感動で胸がはちきれそうになる。喜びで頬が蕩けそうになる

    嗚呼……やっぱり先生は先生だった

    顔を視て、ようやく、ようやく、ようやく本当に逢いたかった先生に出逢えた
    ゼロで静止した身体はたったそれだけで、心のままに動くようになった
    立って、目を向けて、お互いの顔を視た
    ……酷い顔だ。ボロボロの傷だらけで、傷がない場所を探すのが難しい

    「やっと…君に逢えた」
    ”…”

    立ち上がった私を見て先生は俯いた
    なんだか、隠し事をしている子供のようで思わず笑いしまいそうになる

    ”ごめん。セイア”
    「――なんで、謝るんだい?私は今もこうして元気に生きてるじゃないか」
    ”そう…だ。セイアは今、生きている”
    「なら」
    ”けど、”
    ”けど、やっぱり。これは私が悪いんだよ。私が、セイアを殺そうとしてしまった。相棒がもうなんとかしたけどそれは原因を取り除いただけで、私がやった事には変わらない”
    「…………それは」

    それは、なんだろう?
    思えば、私はちっとも先生のことを知らなかった
    …キヴォトスの外から来た連邦生徒会長が選んだ人間。彼の身の上話はそれだけで、彼がどんな人生を歩んできたとか、他の学校でどんな騒動を解決したのかとか、彼の言った相棒のことすらも…私には少しも分からなくて、それが、寂しかった

  • 36二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 22:48:54

    痛いですよね、苦しいですよね…

  • 37二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 03:34:03

    うわあん、急にヒヨリが出てきてしまいましたあ!

  • 38二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 10:52:04

    草 

  • 39二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:04:19

    このレスは削除されています

  • 40スレ主25/10/11(土) 12:06:36

    毎度ながらの急展開

    これ、勢いとノリで書いてるスレ主の悪癖ね


    このスレの安価の説明



    1 安価を2つ出す


    2 出された安価をdiceで選ぶ


    3 その安価で(例えば)先生の行動が変わる


    4 行動によっては色々なBADENDになることがある


    5 BADENDなどになったら安価の場面まで戻り再安価


    6 二回BADENDなどになったらスレ主が考えた行動で本編が進む


    7 BADENDに一回なると安価を投げる数が2から1に減少する


    8 安価では安価のシーンでの視点のキャラの行動しか動かせない


    9 BADENDになった場合、アロナちゃんねるが始まる


    先生を思いっきりぶん殴ろう!

  • 41二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:09:39

    このレスは削除されています

  • 42二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 12:45:08

    セイアが先生にどうするかでいいのか?
    とりあえずメチャクチャ頭を抱き締める

  • 43二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 14:32:42

    >>41

    キスする。

  • 44二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 19:23:38

    プリティフォックスめ…

  • 45二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:30:03

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 22:58:24

    このレスは削除されています

  • 47二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:00:19

    このレスは削除されています

  • 48二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 00:43:40

    >>45

    >>46

    >>47

    なんだ? また例のアレが起きてしまったのか…?

  • 49二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 03:50:06

    不安やな……

  • 50二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 10:09:22

    IP被りかなぁ、どうしたもんか…

  • 51スレ主25/10/12(日) 11:51:12

    規制が解除されたので書きます
    上の削除は荒らしとかではなく自分の意思でやったものです
    理由は簡単に自分の展開に納得がいかなかったので
    終わりまでは頭にあるんですがどうしてもそこに繋げるためのつなぎが頭になくて……迷った末に結局バトル展開は流石になぁと自分で自分を諌めた結果です
    ここはセイアと先生との対話を主軸にしてバトルはなしで行こう!と思って削除した矢先に規制受けました……
    心配かけてすいません!

  • 52二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 18:10:20

    ご無事で何よりです。

  • 53二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 23:18:02

    良かった

  • 54LOST25/10/12(日) 23:30:00

    ”私は…行かなきゃいけない。あの神の元へ”
    「…………」

    嗚呼……先生は正しい

    けど、けど…………

    「ねえ、先生」
    ”………なんだい?”
    「きっと、先生の言ってることは正しいんだろう。私は、その正しさを信じたい」

    だから

    「先生…先生の正しさには、先生自身も含まれているのかな?」
    ”…………。”

    長い沈黙
    たった一分なのにその一分は一秒が永遠に感じてしまうほど、長かった

    ”ふくまれてるよ”

    笑顔で、彼はそう言った

    「…………」

    その笑顔は、どうしても泣きそうな顔に見えて――――
    これが、うそ、だ。なんて…気付きたくなかった
    気付きたくなかったんだ

    ほんとうに、気付きたくなんて、なかった

  • 55二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 06:01:00

    保守

  • 56二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 11:52:24

    >>55

    ありがとうございます

  • 57二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 13:54:48

    セイア、貴女が頼りだ…

  • 58スレ主25/10/13(月) 19:22:42

    更新難しいので武器解説

    先生のナイフ

    ミレニアム学園に頼んで作ってもらったナイフで内部に砥石があり、ナイフが飛び出す度にナイフが研がれ切れ味が常に保つように作られ、また内部にダイラタンシーのようなモノがあり、多少の衝撃でも内部構造が壊れないように設計されている超ハイテクナイフである
    流石ミレニアム学園…と言うしかない
    本来の用途ではサバイバルナイフとして使われる予定だったが本編のせいで凶器として使われている可哀想な武器である
    しかし、もしもこれで刺身でも作ろうとしようものなら魚どころかまな板までも両断してしまうヤバい切れ味なのだからある意味では凶器として使われるのも納得…いや出来ないなこれ

    相棒の小刀

    特殊な構造などは特になし。いつもは木製の鞘に収まっている
    本来ロゼと共に使われる小刀だったがロゼ共々焼却炉に放り投げられた残念武器しかし無駄に切れ味だけはキヴォトスの中でも最高峰であり、生徒の肌を容易く切断できる
    後ろからロゼという暗殺者にこの小刀で襲われたらいくら生徒といえどひとたまりもないので本当に起動しなくてよかった機械である

  • 59LOST25/10/13(月) 19:56:58

    「ずるいなあ……先生は」

    呆れたように、絞る出すように、血を吐き出すように…そっと、誰にも気づかれないように、呟いた

    ”あれは、元々二人で運用するものだったんだよ。でももうそれは叶わない”
    ”きっともうアレも限界なんだ。多分、そのうちアレはキヴォトスという存在自体に内部が耐えられなくなって…爆発する”
    ”そうなったらみんな終わりだ。ここまで来た意味も、意義も…全部、空っぽの虚空になってしまう”
    ”だからその前に、私が神を――――解体する”

    天に聳え、太陽のように廻る周りを無慈悲な光で照らす神を見ながら、先生はそう言った
    ――――その姿は、どこか、石のようで……それがどうしても不安を煽るんだ

    「…どうして、そんな事が…言えるんだい?君の言ったことは全て信憑性に欠ける発言だろう?あの巨人が爆発するなんて……」
    ”ああ……それは…えっと……なんて言ったらいいんだろう”

    違うんだ。私は、そんな事を知りたいわけじゃなくて

    ”うーーん。説明が難しいけど、言うなれば相棒が遺してくれた置き土産ってやつかな?”

    私は、ただ

    ”まあ、安心してよ。アレはまだ現実って形になってないんだ。キヴォトスがアレに吞み込まれた事態も、世界が滅亡してしまった事態も…全部、まだ現実という形じゃない”

    君に

    ”大丈夫。きっと上手くいくよ”

    「―――うそ、だ」

    死んで、ほしくないだけで…………その時をただ必死になって引き留めているんだ

  • 60LOST25/10/13(月) 19:58:29

    ”…………”
    「喩え、先生の言ってる事が正しかったとして、それで、それであの神を如何にかする先生は…生きているのかい?」
    ”……”
    「答えて、応えてくれ先生」

    観念したように先生は少し笑って

    ”やっぱりセイアに隠し事は難しいかあ……”

    そう言って

    ”ごめん。私、セイアに噓をついてた”
    ”―――この世界にいる人間は死んでもあの神をどうにかすればきっと元に戻る”
    ”けど、私は…別だ”
    「なん、で……」
    ”死んでもない人間のくせして死人に近づきすぎた。私はこの地の亡霊と近くなったんだよ”
    ”だから……あの神が消えたら多分、私は死ぬ”
    「――――は、?」
    ”あの神が出来たのは元はこの地の呪い、言わば亡霊かな?そいつらが色々暗躍したりしてこんな事になった”
    ”……あいつらにとってはキヴォトスなんて世界は些事で、自分の願いを…渇きを潤すためだけの道具が欲しいんだろう。そのために一人の少女が犠牲になってもあいつらは何も思わない”
    ”そんなやつらだから死んでも死にきれずに亡霊としてこの世を漂っているんだろうけど……それももう終わりなんだ”
    ”そんなやつらは一枚岩じゃなかった…相棒が、そうだったんだ”
    ”あいつは、知っていたんだろうな。ちくしょう…知ってて、やると思って、信じて消えたんだ”

    その言葉は、その言葉だけは…何故か、少しだけ笑って言った
    ―――私には、理解、できない

    ”……今なら、あの神に触れれる。相棒は消えて重力操作もできないけど、それももうこの距離まで来れば大丈夫だ”

    「は。…ぁ?」

  • 61LOST25/10/13(月) 19:59:34

    なにを、何を言っているんだこの人は?

    「死人に、近づきすぎたって…い、いつなんだ?」
    ”あーー……話せば長くなるけど、セイアをあの蜘蛛から助けたところからはもう…かな?”

    なんでもないように、彼は笑った
    ―――先生は、私を助けるために死人に近づいて巡り巡ってその行動で先生は死ぬのか?

    ”違う。それは違うよセイア”
    「でも…先生!それは」
    ”だって、私は自分の力で生徒を助けられたんだ。なら、それでいい”
    「――――ぁ」

    足が、震えている。今までの熱が冷めて、死んでいく
    対照的に先生は覚悟を決めたようだった

    ”生と死の境界線。踏み越えたのは私だ”

    まって

    ”――――身勝手かもだけど”

    とまって

    ”最後に……”

    いかないで

    ”最後に、セイアと話せてよかった”
    ”ありがとう。セイア”

  • 62二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 02:02:42

    おい、まさかLOSTってそういうことじゃねえよな……? 冗談だと言ってくれよ先生!

  • 63二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 05:41:24

    今の先生にはヒフミのブルアカ宣言が必要だ

  • 64LOST25/10/14(火) 12:14:00

    なんて、なんてことなんだろう?
    さっきまであった先生の震えはもうなかった
    ―――それは、先生の覚悟が決まったということで

    「そん……な」

    よりにもよってそれの引き金を引いたのは私だというのを理解してしまった

    ―――もう、『彼』は足が震える普通の人間ではなく、生徒を守るために自らを犠牲にする『先生』だった

    私が、私が悪いのだろうか?
    まだ足の震えていたただの『人』を『先生』に戻してしまった私が、悪いのだろうか
    分からない。ワカラナイ
    でも、こうなればもう止めることすら烏滸がましく
    ―――それ、でも、

    「せ……ん、、せ……先生!」
    ”……”

    彼は背を向けている
    もう、顔は見えなかった

    だめだ。それは、それだけは。だめ……なんだ

    「まって。ま、て。……まってくれ!」

    足が、ぐしゃぐしゃになる
    おかしいな、骨は折れてないのに、足元がふらふらでおぼつかない
    ぐにゃぐにゃで、めちゃくちゃで、なぜかなぜか
    ――――まえが、うまく、みえない、んだ

  • 65LOST25/10/14(火) 12:15:11

    ああ……世界が終わる
    私が終わる
    あと、あと少しで、終わる

    ――――幾つもの絶望を視た
    ――――幾つもの破滅を視た
    ――――幾つもの悲哀を視た
    ――――幾つもの叫びを視た

    ああ……世界が、終わる。私の世界が終わってしまう
    名残惜しいか?ああ……名残惜しいとも
    だってもう誰とも会えない。死の先が何であれ、生徒とはもう会えない

    朝に目覚めて着替えをして、シャーレに向かって、そこで当番の子達と駄弁りながらも仕事をしたりして
    ……時折大きな事件が起きたりして、それを解決するために奔走して、そこでまた新しい出会いと別れがあった

    ”よかった”

    心は不思議なほど、穏やかだった
    ――――私が死んだあと、生徒のみんなは大丈夫なのだろうか?
    特にワカモとかの少し困った子が何がやらかさないといいが……

    ―――それも、死にゆく死人には関係ない話だ

    もっと、もっと別の『先生』なら……私じゃない『先生』なら、こんな終わりではないハッピーエンドに行けるのだろうか

    ”結局、最後まで……”

    私は、『先生』らしく在れたわけじゃなかった
    ――――最後に、彼女を泣かせてしまったことだけが心残りだった

  • 66LOST25/10/14(火) 15:25:20

    それだけは駄目だ、ダメだ、だめなんだ

    ――だから

    「先生、もう…辞めてくれ」

    この胸に秘める音は止められない

    ”セイ、あ……”

    彼の背中を抱きしめる

    「……逃げよう。もう、責務も責任も私と一緒に棄てて、逃げよう」
    ”…、………”
    「分かってる……分かってるんだ。そんな言葉じゃ君は止まらない、そんなの分かってるんだ」
    「だけど、私は」
    ”せい……あ?”

    私の身体よりも、ずっとずっと冷たい彼の身体は、まるで死人になったようだった
    でも、まだ生きている。生きているんだ。だって心臓の鼓動を感じる。どくん、どくんって感じる
    だから今目の前にいる彼は……夢なんかじゃなくて

    「わた…しは、」
    ”……”

    ぎゅっと、もう二度と離れ離れにならないように、その冷たい身体を抱きしめて――――

    「私は、先生が好きだから先生に死んでほしくないんだ」

    彼に、告白した

  • 67二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 17:26:42

    プリティフォックスですまない。

  • 68二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:24:02

    わーお

  • 69二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 03:17:47

    ん、メインヒロインは私!

  • 70二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 10:10:10

    勝ったな

  • 71LOST25/10/15(水) 13:08:33

    止まらない
    止まる、そんな言葉を忘れてしまったように、この想いに歯止めがかからない

    「好きだ。好きなんだ…この胸がどうしようもないほど、本当に好きなんだ」
    「もっと、君と話がしたい。もっと、君と触れていたい。もっと……もっと君という存在を知りたいんだ」

    熱が上がって止められない、これでは暴走機関車だけど仕方ないだろう
    恋の病は――今までのどんな病よりも治せる気がしないほど、脳に病魔が溢れているのだから
    そもそも、本人がこの病を治そうと思わないのだから結局のところ、どんな言葉をかけても無意味なんだ

    「君が…生徒を想うように、私も君を大事に思っている」
    ”…………”
    「好きだ、好きなんだ。この言葉を言わないと胸が愛で張り裂けてしまいそうなほどに好きで、好きで、たまらないんだ」
    「君の笑顔が好きだ、君のその頼もしい背中が好きだ、君の声が優しい好きだ、君の労わるように優しい手が好きだ…………言葉に、できないほど、私は君のことが好きで、好きで、もう…頭がおかしくなりそうなほど大好きで…………止まらないんだ」

    そうだ。世界の滅亡とか色々あってありすぎて、忘れそうになっていた
    私はとんでもないほど面倒くさい女で、君と離れてしまうだけで胸が痛くなるほど君を愛していたんだ

    「だから、君には死なないで欲しい…………死なないで、くれ」

    ぽつり、足元に落ちてゆく音はとめどなく目から零れていく

    「もう、君を一人だけなんてしない。どんな場所でも、どんな窮地でも、どんな絶望でも、私は―――」

    「君といつまでも、一緒に居たい」

    それが、紛れもない。私の本心だった
    まったく、面倒にもほどがある。たった一言この言葉をかけるのに、一体どれだけの時間をかけたのだろう
    でも、それが君に今、届くなら…………
    私には、これ以上のない幸せなんだ

  • 72LOST25/10/15(水) 13:12:07

    ―――セイアの言葉は本心だ

    紛れもない噓偽りない、本心


    だったら私は、私はどうなんだ?


    このままでいいのだろか?

    私はセイアをどうしたんだろうか


    ”…………”


    私の本心は―――


    dice1d1=1 (1)

    1.それは、受け入れられない

    0.

  • 73スレ主25/10/15(水) 13:17:33

    次の更新で物語は終わりになります
    書き溜めするので更新は今週末ぐらいになるのかな……?(確定はできないですが……)

    とりあえず今まで長い間保守など色々ありがとうございました
    感謝の機会はまた後日改めてします

    感想とかありましたら一言でもいいのでお願いします。めちゃくちゃモチベーションに繋がっているので!
    そして感想をくれた人ありがとうございます!最後の最後までお付き合いお願いします!
    それでは、また

  • 74二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 14:21:31

    ありがとうございます主さん。自分も保守していてよかった……

    最後の選択、先生の決意が固かったのはIFがないという覚悟の表れか……。今週末が楽しみだ……

  • 75二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 21:14:00

    いよいよなのか…

  • 76二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 02:29:23

    こちらこそありがとうございます……

  • 77二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 05:20:20

    あるじどの、最後までとことんお付き合いいたします……

  • 78二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 12:24:25

    ドキドキして好きです
    待ってます

  • 79二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 20:32:12

    待機フォックスもそろそろ終わりか……
    いや待機フォックスってなんだよ

  • 80二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 03:00:51

    待機フォックスですまない。

  • 81二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 11:20:14

    待機フォックスですまない。

  • 82二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 19:03:47

    >>79

    いつから待機フォックスなんだろ

  • 83二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 01:32:41

    待機フォックスですまない。

  • 84二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 09:06:21

    待機フォックスですまない。

  • 85二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:35:58

    塞翁が馬、か…

  • 86二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 00:40:38

    今日か

  • 87二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 06:31:50

    待機フォックスですまない。

  • 88二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 14:44:36

    待機フォックスですまない。

  • 89虧月25/10/19(日) 21:16:50

    ――それは、受け入れられない
    個人の境を言っているのではなく、大人や子供の境を言っているわけでもない
    ただ

    ”セイア……やっぱり私は先生なんだ”
    ”誰かを…………たった一人を愛してしまえるほど、私は強くなくて”

    そう、だから

    ”誰も愛せないほど弱い人じゃない”
    「そ…………そ、れは―――」
    ”ごめん。セイア………ごめんね”

    その境界線だけは分けないといけない

    ”意地っ張りで頑固者のことばっかりは私もセイアのことを言えないね”

    ぽちゃん。そんな声は水滴のように零れ落ちた
    震えていた。一人、彼女と別れる時、私は死に震えていた
    怖い、怖いんだ。本当は
    死んでしまうのが怖くて恐ろしい
    でも……私は、意地っ張りの頑固者で、それを生徒の前で、見せなくなくて
    そうやって噓をつくことしか知らないダメな人間なんだ

    「なんで、なんでいつも――――君は、そうやって!そうやって………一人で責任を取ろうとするんだ」
    「私も一緒に責任を取る、取らせてくれ………だから一人で、一人だけ死ぬなんて、そんなそんな話は―――やめて…………くれ」
    「死ぬなら、一緒に、一緒に居させてほしい。一緒に居て――――」
    ”それはできないかな”
    「なんで……お願いだ……理由があるなら……理由を、言ってくれよ」
    ”それは―――”

  • 90虧月25/10/19(日) 21:17:53

    言葉を詰まらせるまでもない。そんなの決まっている……決まっていたんだ
    だって私は

    ”君が――君が数分後に死んでしまう世界よりも、君が数年後に笑って生きている世界を守りたいから”

    それだけの為にここまで走ってきたんだ

  • 91虧月25/10/19(日) 21:19:20

    「うそ…………だ」

    声に出たのはそんな朧気な言葉だけで

    ”セイア……最後に、これを託したい”

    手に在った彼の鼓動はいつの間にか離れて、ひび割れたタブレットだけを握っていた

    「これ……は」
    ”いわゆる心残りってやつかな?セイアに託そうと思って”

    知っている
    これは、シッテムの箱という先生がいつも持ち歩いているモノ――――で

    ”これは、約束だ”
    「や、く………束?」
    ”そう、約束。セイアがいつか………いつか頼もしくなったらそのタブレットを私が取りに帰ってくるよ”
    ”それは、それまでの御守り代わりって事で”
    「そんな……そんなことって」
    ”できるよ、信じればきっと。どんな願いも叶えれるって私は思ってる”

    「――――ぁ」

    この時胸を刺した感情を、私は永遠に言葉にできない
    こんな、こんな感情を…………私は、死ぬまで永遠と、覚えているのだろう

    ”セイア――――私の生徒を君に託す。君の未来に笑顔があることを、ただ祈って”

    そうして彼は走った。これまでの旅路の終点を決めてただ一人、消えゆく世界を幻視しながら
    ――――それでいいのだと、微笑んで

  • 92虧月25/10/19(日) 21:20:20

    揺さぶれ、瞼を醒ます

    「先生!またここに居たんですか?」

    脳裏は朧気で前後の記憶は不明確だけど―――酷く、懐かしい夢を見ていた気がする

    「おや、君は……そうか、もうそんな時間か。仕方ないとは言えども時間の流れとは過ぎ去りし物なのだろうな」
    「えーと。はい!先生の言ってること分かりません!」
    「なに、これもまた戯言というやつさ。しかし戯れに言う言葉ほど真実味が欠けていながら欠片ほどの真実があるのは否定しないがね」
    「先生の言葉は難しいですね!まったく、分かりません!」
    「まったく……歳を重ねても悪癖は収まらないとは、またナギサに怒られてしまいそうで先行きが不安だよ」
    「嗚呼……これ突っ込んだら昔話が一生続くやつですね!私は優秀なのでなんとなく分かりました!!」

    私は優秀なので!と更に誇張して言う彼女を微笑ましく観ながら、彼女に引っ張られる

    「それにしても先生、ここ好きですよね……もう誰も使ってない部屋ですよ」
    「そうだね。しかし誰も使ってない、という言い方は適切ではない……なぜなら」
    「私が寝るのに使っている。ですよね…はーーこんな場所にベットも置かずソファで寝るなんて、背中痛めますよ?」
    「忠告、有難く貰っておこうか。この先人の知恵というのはこの世で最も偉大な人としての力の一つだからね有難く受け取った方が損はない」
    「うーん私は背中が痛くなるって言っただけなのになあ……ま、いっか。先生いつも難しい言葉ばっかりだし」

    その厳しい言葉を笑顔で回避する

    「あ……もう時間やばいなこれ…先生!もう会議の時間ですよ!!ほらシャンとして!ピシッと!そして会議室にレッツゴー!!です」
    「おやおやもうそんな時間なのか?まったく……ここでゆっくりとティーでも嗜んでいたかったのだが、そうもいかないらしいね」
    「ハイハイ行きますよ!!先生はシャーレの先生なんですから!各地に引っ張りだこなんです!それなのにさぼり癖がある先生の世話してるこっちの身にもなってください!」
    「すまないねアユノくん」
    「くんは要りませんから…ああもう!行きますよ!先生!!」

    そうしてアユノくんに引っ張られた私は、後ろ髪を引かれながらも部屋を出たのだった

  • 93虧月25/10/19(日) 21:21:23

    「なんですかあいつら…!!先生のことを悪く言って!!」

    ぷんぷんという可愛い擬音がよく似合う生徒を観ながら廊下を進む

    「先生は先生で何も言わないですし…もう!なんなんですか!」
    「なに、あんな言葉は気にしなくていいんだ。まあ気にするだけ無駄…と、言ったところかな?負け犬の遠吠えと言ってもいいだろう、既にこちらの勝機は見えているのだからあとは涼しい顔で自身の爪の垢を煎じた茶を相手に出してゆっくり構えるのが大人というモノさ」
    「うん!先生の言ってる意味はよく分からなかったけどとりあえずこっちの勝ちということですね!!あと性格が悪い気がします!!」
    「そこまで物事をはっきりと言われてしまっては少し照れるな…」
    「なんで照れてるんですか!!………いやもう慣れましたけど」
    「慣れたという割にいつもしっかりと突っ込みを入れてくれる君の優しさに乾杯………といこうかな?」
    「先生……もしかして酒飲みたいからって変な形で乾杯の音頭入れようとしてませんか?いやしてますよね?ね?」
    「なんだ……バレてしまったのか。やれやれ優秀な部下がいると肩身が狭くなるのもどうにかしたいね」
    「先生のその酒を直ぐに飲もうとする癖、やめてほしいんですけど」
    「酒とは少し侵害だね。私が嗜むのはカクテルなのだから」
    「いやそれどっちもどっちじゃないですか………」

    他愛もない会話。いつもの会話で少しだけ安心を得る

    「なあ、君はなんで私の補佐をしようと思ったんだい?」

    そんな静寂を切り裂く質問を自傷するようにした

    「なんでって……そりゃあ!もう6年前にもなりますけどあのシャーレの『先生』居なくなって混乱と暴走が巻き起こったキヴォトスを鎮めた英雄の一人だからじゃないですか!!あの英雄の補佐を出来るなんて夢みたいな話ですよ!!」
    「…もしかしてボケて忘れましたか?」
    「そういう訳じゃないだけどね。旅人は多くの道を歩むだろう?そうなるとたまに自分という者を見失ってしまうからたまに誰かが私の話を語って欲しいんだよ………あと私はボケてないからね?そこだけは勘違いがないようにしてくれ」
    「嗚呼……はい。……というかそれって自慢したいってことですか!?」
    「………まあ、そう取られてしまっても仕方ないな」

    こほんと咳をして話を区切った
    あの日からもう6年も経っているんだ。と少し残留した想いを抱えて

  • 94虧月25/10/19(日) 21:23:16

    「………」

    誰もいない夜が深む頃
    ただ一人、その場所で待っている
    意識が薄れゆくまで、ずっとあの約束を待っている

    「………………」

    いつからだろう?こうして待つ事に抵抗感を覚えたのは
    嗚呼……もうそれも、消えゆく闇の中だ

    「………………………」

    確か『先生』を待っていたはずだ
    そう、遥か昔のようで昔というには短い年月を積もらせて今も――――待っている。誰もなくなったシャーレの部室で待っている

    「駄目だなあ……」

    思わず、そう呟く

    「私は『先生』みたいにはなれないよ」

    皮肉気に己を嗤い自傷する
    ――――多分、いや確実にあの『先生』なら百合園セイアが選んだこんな結末にはならなかった

    「何もかもが全てきれいさっぱり解決するようなエンディングを、私は迎えれなかった」

    そうだ。私ではないあの先生なら……きっとあの騒動も、その時に起きた事件も、その先で死んでしまった人も、その償いも、怒りも、憎しみも……………なかった
    けど私に掴めたのはこんなボロボロのエンディングで、ハッピーエンドなんて言い難いエンディングで
    それが、どうしようもないほど哀しいんだ

  • 95虧月25/10/19(日) 21:24:22

    「先生……まだ、約束を覚えているかい?」

    机にあるボロボロの端末に触れて呟き。ポツンとある活けた花を視る
    ――――結局のところ、これは私には応えてくれなかった。やはり偽物の私ではダメで『先生』でしかいけないのだろう

    「これ……まだ、私は返せてないんだ。まだ、約束を覚えているならここに…来てくれ」

    その約束の返信はもう何年も帰っていない
    あの日からずっと、時が止まってしまったように

    「こんなにも冷たい空を月のように明るく照らして、また笑い合ったあの日々を送って、一緒に離れ離れにならないように一緒に、君を抱きしめたい」

    数年前から君へ出している愛はいつの間にか擦れてしまった
    昔の事が欠けてしまった月のように、朧気なんだ

    「こんな…月の下で」

    私は待っている。ずっと、気が狂うほどに、君だけを待っている
    それが叶わぬ願いだと知りながらなお願う

    「だって君が言ったんじゃないか」
    「信じればきっと。どんな願いも叶えれるって…そう、あの全て終わった日に」

    涙すら出ない。それはとうに枯れ果てた
    全て――――あの日から

    「こんな、結末では…私は納得できないよ」

    未練がましく、女々しいことこの上ないだろうけど……それでも待つのだろう
    それが、私の示す一つの結末なのだから

  • 96虧月25/10/19(日) 21:25:27

    だからきっと



    この風は――――



    ”ごめんね。セイア……待っててくれてありがとう”

    「君は……本当に、遅いなぁ…………」




    私が視る夢の彼方だ

  • 97虧月25/10/19(日) 21:26:29

    静かだ
    静かだった
    泣きたくなるほど、狂いたくなるほど、叫びたくなるほど、静かだった

    ”ほんとはあの日に消えてしまってたんだけど……なんだろうね。奇跡…かな?”

    そんな、そんなことはどうでもよかった
    私はただ、君と…君と逢えてたったそれだけで

    「奇跡だとしたら、それを起こしたのは間違いなく先生だよ。私はただ愚直に、信じただけさ」

    時が回帰する
    あの日へと回帰し、冷たい世に一輪の花が咲いたような…そんな暖かさが差す
    この時、私はただあの日の笑い合った少女でそれ以外の何者でもなかった

    ”それは違うと思うな…だってこの奇跡はセイアが信じた末の奇跡だから”

    そう、微笑む。笑う。君の笑顔が…ある

    ”ごめんねセイア。私、あの時…あの日の最後に噓をついてたんだ”
    「うそ……?」
    ”そう、噓”

    悲しげにしかしながら笑顔で言う彼を引き留める

    「そんなの…どうでもいい。いいんだ、私は」

    ただ、ただただ私はあの時からずっと…ずっと――――霞む夢の中でも

    「君と、一緒に居たいだけなんだ」

  • 98虧月25/10/19(日) 21:27:32

    泡沫のように消えてしまいそうな彼を必死になって抱きしめる

    ”……”
    「不安だったんだ。君が居ないと私は不安で不安で眠れない日が続く日もあって、このままでいいのかと立ち止まって分からなくなってしまう事もあって…君に縋りつきたいと泣き腫らした夜もあったんだ」
    「私には――――私には君しか居ないんだ」

    縋るその手を、そっと、優しく…優しく彼は離して
    手を、繋いだ

    ”セイアはよく頑張ったよ。本当に私が出来ないようなことさえも成して……本当によく、頑張ったんだ”
    ”だから、分かる。セイアはもう、1人でも大丈夫なんだって”
    「そんな……そんな、こと……は」
    ”セイア、自分すら騙せない噓なんてつくものじゃないよ。そんなの自分が一番よく分かっているんだろう?”
    「それは――――」
    ”もう、君には私は必要ないんだ。だって――――”

    ”君には笑い合ってくれる誰かがもういるだろう?”

    「……!」

    ”つらい事もあった。泣きたくなる夜もあった。逃げたくなる日もあった――――けど君は逃げずに泣かずにつらい事を耐えて共に歩んでくれる誰かと一緒に偉業を成した”
    ”青い春は消えて、傷だらけで、亡くなってしまった想いもあって、とてもハッピーエンドなんて言えるような結末じゃないけど”
    ”それでも君はここまで走り抜けたんだ”
    ”それは、君にしかできなかったことなんだ”

    それは……ずるかった
    だって反論のしようがない、それを反論するなんて今までの足跡を否定してしまうようなもので………それは私が最もしてはいけない行為だから

    「ずるい……ずるいじゃないか、先生」
    ”ああ……大人ってヤツはずる賢い者なんだ。セイアはもう知っているでしょ?”

  • 99虧月25/10/19(日) 21:28:52

    そう、笑って言う彼に私はただ何も言えなくて、声が……でなくなって
    ただ声にならない呻き声しか出せなくなっていた

    ”セイア、もう…時間らしい”

    待っての一言すら、蕩けて崩れ落ちてしまう
    その様子を見て見かねたのか先生は苦笑いして

    ”やっぱり最後にセイアと会えてよかった”
    「せん……せい」

    やっとの思いで出た言葉は弱々しく、頼りない
    ―――あの頃から何も変わらない言葉だった

    ”…………”

    ただただ彼は微笑んで笑う
    子を見る母のように、恋を見つめる天使のように、思い出を抱える死人のように
    変わらない笑顔、変わらない記憶
    笑い合った、手をつなぎ合った、共に歩いた、我儘を言って困らせた、優しくされた、唄を謳った
    そんなありふれて擦れてしまった記憶をまだ抱えているから

    「私は………君が、好きだ」

    そうまた言えるから
    この傷だらけのエピローグでも愛を込めて君だけに――――

    ”うん……知ってる。セイアが私をずっと待っていてくれた事を知ってるから”

    そう、彼は微笑んだ

  • 100虧月25/10/19(日) 21:30:57

    ”私も、本心で応えようと思う”
    「――――ぇ?」

    その言葉の衝撃に胸が裂かれる…………彼の手が離れて、月を背に少しの距離ができる

    ”セイア、あの時。私は噓をついた”
    ”何度も自問した問いに、私は先生という答えで他を棄て無意味な自問にしていた”
    ”――――このままでいいのかと、そう何度も悩んだ問いに”

    それは、あの時には聞けなかった言葉だった
    あの時にひた隠しにした『先生』ではなく、なんでもないたった1人の大人の言葉で

    ”私は、君が思ってるよりも超人じゃなくて、君が思ってるよりも情けない人間なんだ”
    ”死ぬのが怖くて、怖くて……生徒を守るなんて理由がないと震えてしまうほど弱くて脆い人間なんだよ”
    ”いつも、ありえるかも分からないエデンを見つめて机上の希望論を言っているような……そんなホラ吹きでさ……強くは、ないんだ」

    弱々しく、頼りない声でそう言う彼はあまりにも『先生』なんて言葉では表せなかった

    「先生は、それでも」
    ”ありがとうセイア。でもきっと私じゃ駄目だ、駄目だったんだ”
    ”……私はきっとエンディングに辿り着く前に消えてまう一つの終末なんだと思う”
    「そんな……そんなことはない!そんなことはないんだ……先生」

    あんまりにも悲しく呟く彼を慰める。………これではあべこべだ私が彼に縋っているのか、先生が私に縋っているのか……分からない

    ”優しいねセイア……ありがとう”
    「かん……しゃなんて、言うことはない……だろう」

    泣きたくなるような、狂いたくなるような熱が目に刺さる
    ――――本当に、ずるい……ひと……だ

  • 101虧月25/10/19(日) 21:32:02

    ”セイアが元気でよかった。本当に、よかった”

    「先生」

    なにか、その言葉は、ダメな気がして耳を塞ぐように声をかけた

    ”だから、最後に……”

    「せんせい」

    その予感はだんだん確信を、哀しみを帯びてゆく

    ”あの言えなかった”

    「せん………せぃ」

    言葉が崩れる。たった二文字の言葉を発言するのに躊躇いを持ってしまう

    ”一言だけ言いたいんだ」

    「sん………せ……ぃ」

    ――――それは、避けられない別れの言葉だと、知って
    それを私自身、求めていることも知っていた
    それを引き留めようとする言葉は紙くずのようにボロボロに崩れて、塵になる
    もう息すら、喉を通して出なくなる

    『先生』ではない彼はただ月下に咲く一輪の花のように笑って

  • 102虧月25/10/19(日) 21:33:14

    「セイア好きだよ。言葉が長くて難しくて面倒くさくて手がかかって…………いつも朝焼けのように微笑んで楽しそうに笑う君をずっとずっと愛している」



    そう、愛に応えた

  • 103虧月25/10/19(日) 21:34:33

    「先生!!!」


    伸ばした手は届かない

    美しい花が散るように、彼は消えた

    一つの結末にピリオドを打って


    「あ……ぁ」


    かたん。と軽い音がした

    振り返って机を視るとシッテムの箱は元からそこになかったように無くなっていた


    「あ……あああ」


    そうだ。そういう約束だった

    いつか頼もしくなったらそのシッテムの箱を先生が取りに帰ってくる…………そんな、約束


    「なんだ。約束…………守ったんじゃないか先生……は」


    震える喉で紡いだ言葉は赤子のように弱々しくかった


    「は………ぁ」


    おかしいな、彼は、約束を、しっかりと守ってくれたのに……うまく笑えないんだ

    どうしても、どうしても笑うのが難しくて、代わりに出てくるのは頬を濡らすモノだけだった


    ――――昔枯れきったはずの涙だった


    「うっ、う……うっ…ぁ…く……………うああぁぁぁぁぁぁあああん………!」

  • 104虧月25/10/19(日) 21:36:02

    泣いて、泣いて……泣き疲れて、宙を見上げた
    宙にはただ欠けた月だけがあった
    月の下に、ただ一人きり少女しかもう居ない
    ――――何気なく、歌を詠う
    掠れた声で、誰に捧げるまでもなく、心がそうあるように、詠う
    伝えきれなかった愛を込めて詠う
    昔のように、彼と笑い合った日々を懐かしむように
    その様子を夜が明けるまで月は眺めていた
    欠けた美しい月だけが眺めていた

  • 105スレ主25/10/19(日) 21:45:48

    欠けた物はあるが光ものもある……そんな月の下での終わり
    これにて塞翁が馬スレは完結です
    セイアが辿り着いたエンディングは誰も死なないハッピーエンドようなモノではなく、ボロボロで傷だらけのエンディングでしたが最後の最後まで頑張った奇跡として先生が現れました
    これは頑張った末に誰かが死んだとしても、進み続けた少女の話……

    皆さん!ここまでのご愛読有難うございました!!
    いつかまた会えることを祈って!!さようならです!!!

  • 106二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 22:21:40

    本当にお疲れ様でした。途中、とんでもないことに巻き込まれてても、最後まで待機フォックスし続けて、完結に持っていけたこと、光栄に思います。

  • 107二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 01:37:08

    主さんの更なる躍進に期待! 次はここでじゃなくてハーメルンの方が圧倒的にいいね……。

  • 108二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 06:47:43

    このレスは削除されています

  • 109二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 11:49:54

    このレスは削除されています

  • 110スレ主25/10/20(月) 17:14:20

    余談、または追記
    塞翁が馬スレですがエンディングは二つあり
    一つは先生が全ての責任をとり消える虧月END
    もう一つは、喜界ハクノの謎等が説明されエミコやイノルが活躍するEND
    こちらの方は今のところ笛だけで公開する予定ですが、あにまんの方で先にもう書こうかなと迷っています
    今まであにまんでやってきたし笛の進行速度がカスだからね……

    何かアドバイスがあれば教えてください
    参考にする……かも

  • 111二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 19:37:24

    結末まで見届けられて本当に良かったです
    遅くなりましたがお疲れ様でした!

  • 112二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 20:51:18

    >>110

    全部書いてからいっぺんに投下するとか?

  • 113二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 21:07:11

    >>112

    いっぺんに書いてから新スレ立てて欲しいってこと?

  • 114二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 01:40:37

    >>110

    そっすね、過去SS書いてた身としては

    「各章(LOSTとか虧月みたいな)ごとにプロットを書いて、データが飛んだときに書き直ししやすくしておく」

    「ワードやSS投稿サイトの下書き置き場など別媒体にも本文データや下書きを残しておく」

    の二つですね。前みたいなライブ感覚でやると今回みたいなIP被りで悲惨なことになると思うので……

  • 115二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 03:42:26

    もうちっとだけ続くんじゃ。

  • 116二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 10:54:47

    とりま保守

  • 117二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 14:29:56

    ハーメルンの方も更新頑張ってください!

  • 118二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:36:06

    笛banされているから登録も感想もできないけど、読ませてもらってます!

  • 119スレ主25/10/21(火) 19:09:53

    >>114

    実は荒らされてからは虧月もlostもメモ帳アプリに書き溜めしてから更新しています

    このままメモ帳に保存したままこっちで更新しましょうかね……

  • 120スレ主25/10/21(火) 19:15:32

    早ければ明日から更新します
    虧月ENDの感想があれば書いてください!セイアめっちゃ頑張りENDなんで!!

  • 121二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 01:55:28

    先生だけに言えたことじゃないけど、責任感の強さは美徳だけど、時として人の心に大きな傷を残してしまうことはパヴァーヌやエデンを通して分かっていたはず。でも、正直先生のことを責める気にはなれない。あの場じゃ他にどうしようもなかったんだし。セイアも傷つきつつも理解していたからあの甘苦いラストが沁みる。

  • 122二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 04:23:10

    >>120

    楽しみにしてます!

  • 123二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 11:45:02

    虧月ENDはセイアが頑張ったから生徒から先生って言われてるの好き

  • 124二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:16:54

    病弱なはずなのに、激務な先生業をやっているセイアを見ると、頑張ったんだなって……

  • 125LOST25/10/22(水) 19:28:00

    私の本心は――――


    dice1d1=1 (1)


    01.正直になるべきだ

  • 126ある科学者の独白25/10/22(水) 19:45:14

    歓声がよく響く、あはははそう笑う狂い咲きている血しかない箱の中で
    嗚呼……でもそう言えばまだ話は終わってはいない
    ぎちゃぎちゃに敷き詰めた絶望の導火線を希望と評して彼女の火花が弾ける。そんな確信が脳裏を粉々にして笑いが堪えきれない
    お仲間を救う友情劇に野次を飛ばしていこうぜ。救いようもないBADENDが見え透いた喜劇と笑って
    果たして彼女はシンデレラなのか勇者なのか……分からないし分かるような脳味噌は持ち合わせていない
    ただ面白い予感だけが獣の嗅覚として脳にしがみついている
    一曲クラシックでも流してこの喜劇を笑おう。そうそうそこの君も一緒に
    映画鑑賞でもするような気軽さを持って一緒にね
    ハーハッハッハッハーハァーー!!!この世界は本当に面白いなあ!!!!!
    薪を蒔いた甲斐があった!!!!

  • 127二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 00:59:16

    うおっなんだなんだ

  • 128二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 06:21:02

    ろくなもんじゃなさそう……

  • 129二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 14:25:02

    待機フォックスですまない。

  • 130二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:41:44

    マッドサイエンティストだ…

  • 131嚆矢回帰・天体終熄25/10/23(木) 22:05:45

    ”セイア……私は”

    口を開く、言葉を紡ぐ……それは覚悟の所作
    自らを偽る事を辞め、『先生』という存在を裏切る行為
    ――――そのタブーを私は、

    「先……生」

    並々ならぬ覚悟を感じたのかセイアは涙を止めこちらの目を見る

    ―――ああ……なんでこうするのを躊躇っていたのだろうか。こんなにも簡単に君の涙を止める方法があったのに

    「私は……”

    ――――瞬間

    天を殺す光の濁流が宙を駆け抜けた

    ”な…!?”

    言葉に詰まるとはまさにこういう事だ
    喉のまで出かかっていた言葉はあの一瞬の閃光に搔き消された

    ばりん

    ――――全てが割れた音がする

    振り返って神を目視する。……今度は息すら止まった

    ”なんだ……あれ”

  • 132嚆矢回帰・天体終熄25/10/23(木) 22:17:24

    神が…閃光に穿たれている
    天を叩く光は神を焼き……今、それは黙示録のラッパとして芽吹く

    ”まず”

    遅い
    思考が、視野が、肉体が、神経が……それを認識する事を
    遅い

    ”……”
    「先生!」

    「「あら、そこに居たの?」」

    ”…………!”

    今、流れてきた声はなんだ?脳に直接呟かれた囁きは?この形容し難い悪寒は?……今、目の前にいる彼女よりも、ずっとずっと近くにいるような錯覚さえ覚えるこの感覚はなんだ?

    ”…………”
    「先生……?」

    来る
    ただ、それだけ……それだけの予感が今、脳へ生きろと警鐘を鳴らす
    ――――ナイフを握り締める

    「……行くのかい?」
    ”ああ……きっともう、逃げられない”

    それは生物として避けきれない本能。……だって性能が違う。視覚が違う。次元があまりにも違いすぎた
    でもそれだけの理由でそこへ赴くのではない

  • 133嚆矢回帰・天体終熄25/10/23(木) 22:26:53

    「セイア……その告白は必ず返事をする。だから待っていてほしい」

    それは、それは心から出た1人の男しての本心だった
    ……『先生』と呼ばれた誰かの『先生』としてではない本心だった

    「嗚呼……君が、生きてくれるなら、ずっと……ずっと待つよ」
    「…………ありがとう」

    それに彼女はただ、待っていると言ってくれた
    ならば

    「―――生きなくちゃな」

    生きろ
    死者でも、正者でも……先生ではない誰かだとしても
    ――――ただ、その想いに応えるために

    「―――行ってくる」
    「嗚呼……行ってくれ、そして必ず生きて帰ってきてくれ……必ず」
    「………うん」

    ―――走る
    目標、全長数百メートルにも及ぶ神の元へ

    その先に何かがあったとしても

  • 134二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 03:27:27

    先生……!

  • 135二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 11:21:00

    待機フォックスですまない。

  • 136二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 13:22:31

    楽しみ

  • 137二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 18:45:09

    生きていてほしい…

  • 138嚆矢回帰・天体終熄25/10/24(金) 18:47:05

    「ハクノ……先輩?」
    「ハーハッハッハッハーハァーー!!良く気が付いたなエミコくん!!!」

    時刻は数刻前
    先生がドクシボと出会う前の話の流れで

    「いや、私……は?」

    私……黄 エミコは彼女と出会った

    「いやいや!!忘れたとは言わせないが忘れても仕方ないか!!!」

    奇怪、奇人、変人ではあるがこの人の名を知ってる……気がする

    「嗚呼……そうそう、君は記憶収納障害だからね?私が初対面な感じなのだろう?知ってるさ」
    「なんでそれを……?」

    夢から醒めてもまた夢
    それも悪夢のような景色だった

    「改めて紹介しようかな?私は喜界ハクノ……まあこの通り通ったすがりの善良な科学者さ」
    「なんですかそれ……」
    「ハーハッハッハッハーハァーー!!!!まあそう言われても仕方ないね!!!!君からしてみれば何故か名前を知ってる他人なのだから!!!」

    異質……いや、異形。人でありながら人だと認識できやしない
    なにせこの人から溢れ出る全てが危険だと私の脳が警告をしている。まるで蛇に睨まれた蛙のように……私はこの人を本能で恐れている
    嗤うその仕草、纏う空気、茶髪に染めているであろう髪はわさわさと跳ね返り、胸は決して豊かとは言えないがあるにはある、なによりその170㎝はある体格は蛇を想起させる
    たっぷりと、肥えた蛙を今か今かと、喰らいたくて仕方ないと言わんばかりの蛇
    ――――それが、目の前のヒトのカタチをした悪魔だった

  • 139嚆矢回帰・天体終熄25/10/24(金) 21:02:44

    「はーいそれじゃ早速本題に行くとしまっしょう!!!」
    「……本題って、なに?」
    「うーん簡単に言えば世界の滅亡してるからその滅亡を引き起こした神って奴を殺しましょう!!!って話?」
    「――――は?」

    滅亡?世界が?
    一体なんの話だろう?意味が、よくわからない

    「嗚呼……そうだよねーーエミコくんはさっきまで死体同然のように寝てたから知らないのも無理ないないばーー!」

    ふざけた口調。それなのに眼だけは暗闇を閉じ込めたように真っ暗だ

    「はーいそこ!変な口調だと思わなーーい!!いやね?私も色々考えてるんだけど……やっぱり口調って安定している方がおかしいって訳?ゲーミング未来くんなわけでしょ?」
    「そんな……そんなことより……世界が、滅亡したって……」
    「あーそれ?そんな気になるところ?喜界ハクノとして言うけどそれ、そんな重要なことじゃないでしょ?君にとっては」
    「あ………………ぁ?」
    「なーーにびっくりビックカメラしてるわけ!!?そんな驚くことじゃないって話してるだけなんだけどね!!!あ、これ私としてはむしろ滅亡したままの方がいいって話してもいい?いいよね?あーーいいわけないかーー?」

    なにを……言っているのか、理解できない
    理解する事を放棄してる。理解する事を拒んでいる。理解する事を嫌っている。

    「そろそろ常識ぶったような面をすることないんじゃない?君、別にこの世に未練とかないタイプでしょ」

    ――――。は

    「いい?死んだやつなんてごまんといるしそもそも論として私が生きているのは奇蹟以外の他でもないわけなのに、今さら死んだ人間を悼むなんて……それこそ常識知らずってもんでしょ?今やることはこの状況をどうにかすることで死人を悼むなんて遅すぎなんだよねーー」

    ……あ?

    「そもそものそもそもとしてエミコくんはぁ……記憶収納障害のせいで他者との感覚が理解できないお猿さんなんだから考えるだけ無駄だと思うだけどワタシ」

  • 140二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 02:40:09

    喧嘩の大安売りするやん

  • 141二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 03:05:32

    う、うーむ、言葉がチクチク刺さるなあ……

  • 142二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 10:16:42

    ちなみに嚆矢回帰・天体終熄ってどういう意味なん?

  • 143嚆矢回帰・天体終熄25/10/25(土) 11:38:17

    「……!!」
    「やだーー!!その野獣みたいな眼光!!思わず嚙み殺されそーーー!!!怖いこわーーーい!!!あーーでもでも」
    「ぐ……!!」
    「バリバリに磔されてる状態じゃ、なにもできやしないよね?知ってる知ってる」
    「…………なにが……一体なにが目的なんだ」

    睨み付け、目の前にいる相手の真意を問う
    それが今できる精一杯の抵抗だった
    ――――それが、スイッチだったのか

    「へぇ…………」

    卑しく、目の前の蛇は蛙を睨むのだった

    「聞きたいんだぁ……?ワタシの目的」

    背を舐めまわされるような背筋が凍る声
    思えばこの学者は今までの全てが本音であって本音ではないような気がする
    全て虚像で真実の欠片さえ見えやしなく、それ故に相手を騙すはずなのに全くの真実はないとは言い切れない歯切れの悪さ
    虚言でまやかし、されど狂人であるには真実でありながらも……善人である。とすら言えそうだ

    「まったく、乙女のヒミツを知ろうとするなんて恥ずかしい事するわーーエミコくんは」

    ニタニタ嗤いの狂人学者。眼だけは変わらずのまっくろくろすけ

    「でもでも大サービス!!このあといっぱい!!いーーぱい!!協力してもらうから…………特別に教えてあげる」
    「…………」

    ニタニタ嗤いは変わらず、眼も変わらず、しかしその言葉は変わった
    じゅくじゅくに腐敗した林檎のように

  • 144嚆矢回帰・天体終熄25/10/25(土) 11:40:50

    「ワタシね。ある兵器のデータを探しているの」
    「へい……き?」
    「そうそう兵器。歴史に殺された真っ黒に染まっている兵器」
    「歴史に殺されたって…………一体なんのこと?」
    「あーーそうね?そうそう確かにその話が必要か」

    うんうんと首を振る学者、可愛げがあればいいがどう見てもこれから目の前の食材を調理する料理人にしか見えない

    「むかしむかーーしね?それこそエミコくんは産まれてすらいないくらい昔にこの村はある者を信仰していたのだわ」
    「ある者……?」
    「ま、そんな誰かさんの事は知らないんだけどぉ……その信仰されていた神?って奴を守る為の兵器があったの」
    「神を守る兵器……それを造ったらしいのはワタシの祖先だけどぶっちゃけあんま知らないんだわ!!!」
    「知らないのか……」
    「そうそう……今は色々お堅いところでぇ……最強の兵器を作るのが我らの役目だーーって萌え萌えしていた時もあったらしいけど今は家自体が途絶えてワタシが末裔だからあんましかな?」
    「……は?」

    今、この目の前の学者はなんて言ったんだ?

    「えーーそこ気になる?特にいい話でもないんだけど」
    「…………聞かせてほしい」
    「いいよいいよ大々サービスのエミコくんだしね?」

    学者はこほんと咳を切る

    「簡単に言うと……危険思想持ちの喜界家は元から他の名家から敵視されてて……それでもワタシ達から作られる兵器を所持していたからあんましなんも言われなかったけど」
    「ある時に、ある家が言ったんだわ」
    「あいつらは危険だ。今までは世話になったがこれからの武器にはついてこれないだろうし問題を起こす前にさっさと殺せ。って…………実際はどう言ったか知らないけどね」
    「けどそれで一族はみーんなみんな襲撃にあって殆ど死んだ。けど…………ワタシだけはなんの因果か神隠しで生き残った」
    「ま、滅んでも仕方ない家だったしねーー!!!兵器を作るのに固執していた危険思想持ちはワタシも否定できないし…………するつもりもさらさらないけど!!!!」
    「けどね?そんなの別にいいのだわ。死人を悼んでなんになるって話……そんな一銭も意味も何もないことするなら兵器を作る方がワタシ的にはよっぽど愉しくていいの」

  • 145嚆矢回帰・天体終熄25/10/25(土) 11:43:28

    「…………雪乃、喜界、笠縫。昔はみんな仲良く地震を鎮めるために頑張っていたっていうのにその末がこれじゃ本末転倒どころの話じゃないことに関しては思うところがないわけではないけど」
    「そんな……ことが」
    「あ?同情くる?きちゃう?ワタシに悲しき過去あり判明で同情しちゃう?やだもうーーーー!!!気味が悪い」

    反吐がでるわ。なんて言葉すら吐いて、目の前の学者は嗤った

    「ワタシね別に自分の親が死んでようが生きてようが別にいいの。そんなことよりも兵器を作ることに熱中してるお年頃なの」
    「…………狂ってる」
    「あ?人間みんなそんなもんでしょ。誰一人正常なんて者はいないし、みんなが言っている正常なんて言葉は、自分ではない他人と自分を見合わせて言っているに過ぎない言葉でしょ?そんな他人に寄りかかってる言葉に意味なんてないとワタシ思うけど」

    ニタァと皮膚が裂けんばかりに口角を上げ

    「だ か らァ…………」
    「ワタシ、今の状況結構気に入っているんだわ。だってもう自分を正常だと示してくれる人間みんなみんな死んじゃったでしょ?」
    「…………狂っている」
    「あっそ」

    閑話休題

    「まあそんな訳でワタシ自分の家が造ったらしい兵器のデータを探してるのだわ!!」
    「それだ。なんの兵器なんだそれ……」
    「うんうん!!気になるよね!!気に入ってしまうよね!!!」
    「あ、やっぱりいいです」
    「あーーんエミコくんのいけずぅーー!!!ま、言うんだけど」

    言うのかい。と突っ込みは入れなかった………入れたら更に話が長くなる気がしたのだ

    「ワタシが探しているのは喜界家の最高傑作とさえ評された殺戮兵器…………その名は」

    「――――セラフィラム・ロゼ。神を守護すべく生み出され起動することなく生涯を閉じたアンドロイド」

  • 146二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:06:54

    この雰囲気がいいね。続きが気になってくる。

  • 147スレ主25/10/25(土) 21:37:43

    関係ない話ですがカナさんのフルネームは笠縫 カナです

  • 148二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 02:27:12

    いい名前だと思います。笠縫というのも滅多に被らなそうな苗字でありながら、ブルアカにありそうでそれっぽいです。

  • 149二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 10:37:20

    かさぬいか
    面白い名前

  • 150嚆矢回帰・天体終熄25/10/26(日) 15:18:08

    そう呟く彼女はどこか恍惚とした様子だった
    ―――不思議な話だけど、彼女はどこか恋する乙女のようにすら思えた

    「彼はね、一度も起動されず一度も誰も殺さなかった」
    「だけど……もし、まだその設計図があればあるとするならば」

    ゆっくりと歌うように独白をする彼女
    その足取りは夢遊病者のようでもあり、酩酊しているようでもある
    どちらにしろまともな精神状態ではない。…………最もここでまともという倫理を語る方がまともではないが

    「ワタシが、ワタシだけが彼をもう一度作り上げたいの」

    なぜ、そこまでその機械に囚われているのかそれはわからない
    理由を説明されたとしても理解をする事はできないだろうし、するつもりもない
    ただ―――

    「ハクノ先輩って意外とロマンチックな人なんですね」

    そう思った

    「…………」

    ぱちり、その回答は彼女にとっては予想外だったらしく目を瞬いて驚いた様子をした

    「ハーハッハッハッハーハァーー!!!!エミコくん!!!君はやっぱり面白いね!!!!」
    「褒められた気がしない…………ほんとに」

    笑う彼女をそう言う言葉はどことなくさっきまでの棘はなかった
    それが彼女の真意を見たからなのか、それともただ敵対する事に疲れたのか、まったく別の理由なのかは自分でもわからなかった
    ただなんとなく、もう大丈夫な気がした

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