- 1SF好きP25/10/14(火) 23:33:52
- 2SF好きP25/10/14(火) 23:34:55
ことね妹「お姉……喉……乾いた」
ことね「……がんばれ、もう少し耐えるんだ……お姉ちゃんが、ついてるからな」
荒野に吹き抜ける風に、消え入りそうな妹の声。
なんとか力を振り絞って、返答する。
もう何日この土地を彷徨っているんだろう。考えるのさえ辛くなった。
私たちはいつものように楽しい日々を過ごしていたはずだった。
突如地球に降り注いだ隕石群によって、世界中のあらゆる都市が壊滅。
日本も例外ではなく、あんなに緑豊かで、たくさんの人で活気にあふれていた景色が、今では見るも無惨な荒野へと変わった。
両親とはついぞ会うこともできず、生死すら不明。
たまたま実家に来ていた私は、妹たちを連れて、あの日から2年ほど。
この荒野を彷徨っている。
- 3SF好きP25/10/14(火) 23:37:03
最初は自衛隊の支援やなんやらがあったり、難民キャンプを転々として何とか生き抜いてきた。でもだんだんそれも立ち行かなくなり、さらには、得体のしれない怪物に襲われる、なんて嫌な噂まで耳にするようになった。ついには暴動が起きて難民キャンプは崩壊。いまや私たちは行くアテもない放浪者となってしまった。
3人の妹の中で、一番末っ子は特に衰弱している。生きてはいるけど、私が背負ってなんとか同行できる状態。
他の二人も、自力で歩いてこそいるが、フラフラで今にも倒れそう。
そんな3人をなんとか支えつつ、私は歩いていた。
(本当はしんどいし、苦しいけど……私が弱音を吐いたらダメだ……チビどものためにも……)
そうやって自分を鼓舞するけれど、内心不安でいっぱいだった。
昨日奇跡的に見つかった野生の木苺で、かろうじて飢えを防いだものの、時間が経って、もう空腹も限界に来ている。
大事に大事に、保存していた水も、ついに底を尽きた。
三女「お……ねぇ……」
ついに三女がその場に崩れ落ちる。
ことね「……っ!おい!……倒れるな……大丈夫、きっと大丈夫だからさ……!」
声をかけながら妹の肩を支える。
そう言いながらも、私もほとんど力が入らない。
- 4SF好きP25/10/14(火) 23:38:06
- 5SF好きP25/10/14(火) 23:40:29
- 6二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 03:18:52
がんばえー!
とりあえず、10までレスしておくとスレを10時間持たせられるのでひとまずなんか埋めておくと一安心だぞ。深夜~朝は特に保守制限時間がズレやすいから注意だ - 7二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 03:28:52
ディストピアとかポストアポカリプスもの好きだから楽しみ
- 8二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 04:10:20
保守支援
- 9SF好きP25/10/15(水) 06:54:52
次女「ごくっごくっ」
妹は小川に着くなり、犬のように川に顔をつけて、水を飲み始めた。
よかった、見たところとても綺麗な水。変なゴミや異物が混じっている様子はない。
ことね「ほら、チビども、水だぞ」
わたしは空のボトルに水を汲み、まずは末っ子に、それから三女に、水を飲ませてやった。心なしか二人とも、少し元気が出たようだ。
それから私も、ボトルの水を飲み干す。
ああ……生き返る……!
ただの水がこんなに有り難いと思うなんて。
こんなことなら、あの頃。ただ夢中でアイドルとしてレッスンをしていた頃、学園で配られてた初星水を、安易な気持ちで捨てるべきじゃなかったな。
もはや遠い記憶のようになった、平和だった時のことを思い出す。
ことね(けど今は……)
もはやどうしようもない。過去には戻れないのだから。
そんな思いで、今はただ、目の前にもたらされた至福を、のどを鳴らして飲み込んだ。
- 10SF好きP25/10/15(水) 06:56:24
午後のじりじりと照り付ける日差し。
昨日までは地獄だったが、大量の水を手にした今、そんなものはなんとも感じない。
ことね「はあ……ものすごい久々……幸せ……」
ひとしきり水を飲み、ボトルにも補充してから、私たちは順番に水浴びして体を洗っていた。妹たちを先に洗ってあげてから、最後に自分が全身で水に浸かる。
水は冷たすぎず、ぬるくもない、そこそこな温度。体中に水が行き渡る感覚を楽しみながら、全身を洗って心までさっぱりした。
次女「お姉、これからどうする?」
ことね「そうだな、この川をたどってみようか。うちらみたく、水場を確保した他の人に、会えるかもだし」
すっかり元気になった次女と三女を歩かせ、まだ弱ってはいる末っ子を背負って、四人で川上に向かってみることにした。
源流を目指せば、誰かがいる。そんな気がした。
- 11SF好きP25/10/15(水) 07:03:32
- 12二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 07:16:30
楽しみ、期待
- 13SF好きP25/10/15(水) 07:28:26
- 14SF好きP25/10/15(水) 07:29:50
- 15SF好きP25/10/15(水) 10:17:36
- 16SF好きP25/10/15(水) 13:05:35
そっと妹達から離れ、周りを見渡す。
まだ僅かに立ち込める砂埃が、ついさっきまで危機が迫っていたことを伝えている。
しかし他に異常は見当たらない。
ことね(良かった……私たち無事に……)
その矢先。
次女「きゃあ!!」
妹の悲鳴が、耳に響く。
ことね「な、何!?」
次女「お姉、あれ……!」
妹が小屋の下を指さし震えている。嫌な予感が心を蝕む中、恐る恐るその方向を見下ろす。
(……っ!)
私の嫌な予感が、的中した。
私たちが逃げてきた、あの大群。小型の、メカメカしい見た目をしたやつらが、小屋を取り囲んでじっと屋根を見つめていた。
その顔はまるで一眼レフのようで、大きなレンズ越しに、間違いなく私たちをとらえている。
ことね「あ……あ……」
- 17SF好きP25/10/15(水) 20:21:11
狼狽える私たちに追い討ちをかけるように。
奴らは一斉に小屋に向かって走り出した。
刃物のようになった手先を使って、コンクリの壁を削ってくる。
そのうち何体かは、一箇所に集まって山のようになり、徐々に屋根の高さに迫ってくる。
一同「きゃーーー!!!」
あのガチャガチャした金属音、そして大地震のような振動が、私たちを襲う。 - 18二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 21:50:56
保守
- 19SF好きP25/10/15(水) 23:12:03
次女「おねぇー……」
妹たちは皆顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。私もいよいよか、と最期を確信した。
ことね「大丈夫。私が、ついてるからな」
静かにそう言うと、妹たちの頭を撫でてぎゅっと抱きしめる。
こんな時なのに、いや、こんな時だからこそかな。
妙に落ち着いている。
けれど、涙だけは、どうしたって止めようがなかった。
ことね(私、死ぬのかな……痛いのかな……ああ、こんなことなら、もっとお金ケチらず美味しいもの食べればよかった。妹たちとも、もっと遊んでやればよかった。……それに)
信じられないほど美しく、青々とした空を仰いで呟く。
ことね「プロデューサーに、ちゃんと、もっともーっと真剣に、愛を伝えればよかったナー……」
- 20SF好きP25/10/15(水) 23:57:04
そうこうしているうちに、一体、また一体と、奴らは屋根に登ってきた。
大きさはチワワくらいなのに、恐怖でしかない。カメラのような頭、サバイバルナイフのように刃渡りが長い刃物の手。体中に巻き付いたコードのようなものから、変なドス黒い汁がポタポタ落ちている。金属製の足は、歩くたびにあの嫌な金属音を響かせる。
まさに、SF映画に出てくる敵のロボットそのもの。
ことね(……)
もはや逃れられないと悟り、わたしは妹たちを抱く力を強め、静かに、目を閉じた……
ギューーーーン
次の瞬間。
空間を貫くような、聞いたこともない音が響く。
ことね「……?」
恐る恐る、目を開けてみる。
ことね「……えっ」
目の前の状況に固まった。
私たちに迫っていたロボット。
それが、すぐ目の前で立ち止まっている。
あのカメラのような頭には、まるで銃か何かで撃たれたような、大穴が空いていた。
- 21二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 00:00:04
これディストピアっていうかポストアポカリプスだな
- 22SF好きP25/10/16(木) 00:14:04
- 23SF好きP25/10/16(木) 07:05:05
- 24SF好きP25/10/16(木) 10:28:30
- 25SF好きP25/10/16(木) 14:11:25
- 26SF好きP25/10/16(木) 22:26:11
- 27SF好きP25/10/16(木) 23:07:17
- 28二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 00:53:01
こういうときの手毬は強い
- 29二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 02:02:55
かつてのサラダスレしかり、手毬って極限状態で覚醒するイメージあるよね。
- 30SF好きP25/10/17(金) 08:58:12
- 31SF好きP25/10/17(金) 14:45:41
- 32二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 18:28:28
さすが副会長
- 33SF好きP25/10/17(金) 21:03:25
- 34二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 22:26:42
わくわくすっぞ
- 35SF好きP25/10/17(金) 23:18:51
- 36SF好きP25/10/18(土) 01:30:29
- 37SF好きP25/10/18(土) 06:04:57
- 38SF好きP25/10/18(土) 09:43:08
- 39SF好きP25/10/18(土) 16:08:18
- 40SF好きP25/10/18(土) 22:07:48
フロントガラス越しに、見えた影。
先ほどの相手とは比にならない、20mはありそうな巨大なロボット。まるでステージ証明のライトのような二つの目がギラギラ光り、真っ黒なチューブでできた巨大な腕で、輸送機をがっちりつかんでいた。
清夏「まさか地中に潜んでたなんて……!緊急事態!ジャイアントに捕まった!手毬っち、副隊長、応援を!」
清夏が無線機で呼びかける中、返ってきたのは苦し紛れな返事。
手毬「ごめん……清夏……っ!」
燕「こちらも敵に囲まれている!近づけない……!」
わずかに隙間から見える地上の様子。
二人はビークルに乗ったものの、あの小型ロボットに囲まれていた。さっきよりも断然多く、数倍の数がうじゃうじゃいる。
ことね「そんな……!」
つぶやく私の声も、引きつっていた。
- 41SF好きP25/10/19(日) 00:16:46
- 42SF好きP25/10/19(日) 08:21:36
- 43二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 17:18:45
白線
- 44二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 18:31:48
かっこいい…
- 45二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 23:31:21
保守
- 46SF好きP25/10/20(月) 07:43:42
- 47SF好きP25/10/20(月) 09:20:00
- 48SF好きP25/10/20(月) 11:52:28
- 49SF好きP25/10/20(月) 15:14:50
残った片腕で押しつぶそうとしてくる敵の攻撃をひらりとかわし、装備したレーザー銃を放射するリーリヤちゃん。
あっという間に、巨大ロボットからもう片方の腕も奪ってしまった。
しかし、敵もやられっぱなしではない。
まるで口のように大きく開いた頭部の穴から、次々砲弾を吐き出して応戦してくる。
その攻撃も巧みにかわすと、リーリヤちゃんは敵を誘導するかのように動く。
彼女につられて向きを変えた巨大ロボットは、再び砲弾を吐き出した。
リーリヤちゃんは当たる直前で急上昇。見事に攻撃をまたかわす。
それだけじゃない。
当たらなかった砲弾の雨は、まっすぐに、その背後にいた小型ロボットの群れに降り注いだ。
ドカーン!!
豪快な爆発音とともに、手毬たちを囲んでいた群れが次々爆発四散していく。
手毬「リーリヤ!ありがとう」
燕「助かった、恩に着るぞ、葛城!」
リーリヤ「二人とも今です!離脱を!」
手毬「う……さっさと行けよ雑魚がって……?分かってる!」
- 50二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 22:37:33
手毬、ここでも手毬してて良い。
- 51二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 06:23:50
保守
- 52SF好きP25/10/21(火) 09:29:42
- 53SF好きP25/10/21(火) 10:35:09
- 54SF好きP25/10/21(火) 12:45:16
第一章「終末世界」
お読みいただいたり、コメントいただいた方、ありがとうございました!
ここまでで一区切りです!
殴り書きしたネタを整理して小出ししてますが、多分全部で6章くらいは書けそうです。
このまま続けるか、章ごとに区切って新しくスレ立てるか悩み中…! - 55二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 13:29:37
面白い。
とりあえずまだレス数残ってるしこのまま行ってみたら? - 56SF好きP25/10/21(火) 21:59:51
- 57SF好きP25/10/21(火) 22:03:58
「ちゃん……ねちゃん……!ことねちゃん!!」
頭の上から、降り注ぐ声。誰かが、私を呼んでいる。
ことね「ん……あれ……ここは?」
呼び声に応じて目を開ける。じんわりと明るくなっていく視界に入ってきたのは、莉波先輩の顔だった。
ことね「り……なみ、先輩?」
莉波「ことねちゃん!あぁ、よかった……!」
先輩は涙を浮かべながらも、笑顔で私の手をぎゅっと握ってくれた。
安堵してそのまま椅子に腰掛ける先輩から視線を外し、周りを見渡す。
ここは……どこだろう。
一見するとどこかの病院のよう。だけど、見覚えがある天井だった。
ことね「ここは……?」
莉波「ここはね、私たちの基地。ことねちゃんにとっても、懐かしい場所だよ」
そう告げた莉波先輩は、徐に立ち上がると、カーテンを引いて窓の外を見せてくれた。
ことね「あ……」
その景色は、忘れもしない。
中庭の大きな木。赤茶色の建物。
アイドルとして青春の一ページを綴った、思い出の場所。
初星学園だった。
- 58SF好きP25/10/22(水) 06:13:14
- 59SF好きP25/10/22(水) 08:32:09
ーーことね「なるほど……ここに避難してきた人たちで役割分担して、支え合ってるんですね」
莉波「そうだよ。あの日……隕石被害で世界中が酷い目にあってから、最初は学園にいたみんな、次第に集まってきた人たちが結託して、生き延びるために頑張ってるの」
病室で保存食と水をもらい回復した私は、莉波先輩に連れられて基地内を案内してもらっていた。
そういえば夕暮の中運ばれたはずが、いつの間にか時間帯は昼下がり。
どうも、丸一日ほど眠っていたようだ。
チビどもも、どこかで食料を受け取り面倒を見てもらっているらしいし、まずはここのことを知っておかないと。
保健室を後にし廊下を二人で歩く。
昔は教室やレッスン室だった部屋は、資材置き場や食料庫、武器庫などに使われていた。
懐かしい教室が、こんな姿になるなんて。
そして行き交う人々。
資材を整理したり、どこかに運んだり、忙しそうだ。
- 60SF好きP25/10/22(水) 10:42:06
今ここにいるのは、老若男女合わせて300人ほどだそう。
……たった300人。
無理もないか。
あの日、ちょうど学園も長期休みで、遠くから来ている生徒たちは大体帰省していた。
これが普通の日だったなら。
もっと多くの人が助かったはずなのに。
そんな、もうどうしようもない思いが込み上げてきて、心を圧迫する。
俯く私の気持ちを察してか、莉波先輩が声を掛けてくれた。
莉波「……ここに集まった人たちはね、初めはみんな怯えてた。けど、ある人が言ったの。こんな時だからこそ、みんなで力を合わせて乗り越えよう、てね」
ことね「ある人……?」
莉波「ふふ、ことねちゃんも、よく知ってる人」
意味ありげに、微笑む先輩。
このときの私はきっと、不思議そうな表情をしていたはずだ。
莉波「あ、噂をすれば」
そう言って、廊下の先を指さす莉波先輩。
つられてその方向を見る。
ことね「あ……」
そこには、懐かしい面々がいた。
- 61SF好きP25/10/22(水) 17:37:56
「うん、当面の配給も問題ない。今日新しく資材が入ってきたし、大丈夫だね」
「おかげさまで、医療品も整っています。お怪我をされた方も、すぐに回復するでしょう」
「ありがとう、ここが成り立つのもみんなのおかげよ。引き続きよろしくお願いね」
廊下で資料を手に協議する三人。
その懐かしさに、心が震えた。
莉波「みんな!」
莉波先輩の言葉に、三人が振り返る。
麻央「莉波、どうしたんだ……い……」
美鈴「……藤田、さん……!」
星南「……ああ、ああ……!」
資料を手にしたまま、目を見開いて固まった麻央先輩。
口に両手を当て、驚きを隠せない美鈴ちゃん。
そして、手に持ったペンを思わず落としてしまう、星南先輩。
莉波先輩が微笑んで見守る中、しばしの静寂の後に、二人が駆け寄ってきた。
- 62二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 23:44:54
保守
- 63二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 01:26:52
保守
- 64SF好きP25/10/23(木) 07:27:51
- 65SF好きP25/10/23(木) 08:37:27
ーーことね「そうだったんですね、会長が。さすが、一番星」
星南「ふふ、ことねにそんな風に言ってもらえるなんて……!ええ、そうよ。こんな時だからこそ、誰かが立ち上がらなきゃ、てね。覚悟決めたの」
莉波先輩が言っていた、みんなの士気を高めた人物。それは、星南先輩だった。
美鈴「おかげで私も、お昼寝の癖が、すっかり抜けてしまいました」
麻央「ほんと、すごいよね。大人も子供も、みんな一つにまとめ上げちゃってさ。あ、ちなみに星南はここじゃ”隊長”だよ!」
話によると、当時この基地、学園内は、命からがら逃れてきた人ばかりで、とても重苦しい雰囲気だったそうだ。
たまたまあの日、レッスンのため学園に来ていた三年生の先輩方四人、リーリヤちゃん、清夏、手毬、昼寝に来ていた美鈴ちゃんも、偶然居合わせたことで巻き込まれたらしい。
誰もが不安を募らせる中、星南先輩の鶴の一声で、まずはアイドル科のみんなが結託。徐々に、助けを求めて集まった弱気な人々は、勇気を奮い立たせ、生き抜くための同志へと変わっていったそうだ。
ことね「星南先輩は全体指揮と武器の管理。麻央先輩は食料と備品の管理調達、莉波先輩と美鈴ちゃんはセラピスト兼医療補助として医療チームに所属、か」
星南「いまではアイドル科の生徒だけじゃなく、皆と協力体制が築けているわ。手探りから始まったなりに、各々が持ち味を生かして、最高のパフォーマンスを発揮してくれているの」
麻央「そして忘れちゃいけないのが……」
そういいながら廊下の角を曲がり、校庭へとつながる扉をくぐる先輩。
麻央「前線で戦ってくれている、みんなだね」
- 66SF好きP25/10/23(木) 12:59:58
- 67二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 22:01:35
ほしゅ
- 68SF好きP25/10/24(金) 00:00:07
- 69SF好きP25/10/24(金) 00:01:55
- 70二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 07:20:49
保守
- 71SF好きP25/10/24(金) 12:46:28
- 72SF好きP25/10/24(金) 16:24:31
くるんとした毛先の、ホワイトブロンドの長髪。
小さく細い身体で、ドクターのような少し丈の大きい白衣を着ている。
その子は私の服に目一杯顔を埋めてから、やがてゆっくり、顔を上げた。
広「ことね……!よかった。元気そうだ、ね」
ことね「篠澤さん……」
いつもはどこか掴みどころのない、ミステリアスな秀才、篠澤広。
その彼女が、今は一人の子供のように、静かに泣きながら私に抱きついている。
初めて見る光景だった。
男性「お疲れ様です!篠澤部長!」
通りかかった兵士風の男性が、篠澤さんに敬礼する。
それに気付くと、私から離れ涙を拭い、応えるように篠澤さんも敬礼をし返した。
男性のピシッとしたものとは似ても似つかない、弱々しい手の運び。
でもその表情は、自信と笑顔に満ちていた。
- 73SF好きP25/10/24(金) 23:02:04
- 74二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 23:09:56
こういう平和パート、良い。
- 75SF好きP25/10/25(土) 06:40:02
- 76SF好きP25/10/25(土) 12:33:32
- 77二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:45:26
保守
- 78二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:32:58
保守
- 79SF好きP25/10/26(日) 00:03:52
そう言うと、そっと戸を引いて入っていく手毬。
胸のざわめきを必死で押し殺しながら、後に続く。
そこにいたのは。
部屋の真ん中で、ちょこんと椅子に座った、千奈ちゃんだった。
ことね「千奈ちゃん!よかった、無事だったんだ……!」
あのころと変わらない、普段着の千奈ちゃん。
さらさらとした黒髪、つるつるもちもちの美しい肌。
目立って外傷もなく、一見すると異常はないように見える。
でも。
千奈「……」
ことね「……っ!」
すぐにわかった。
瞳に、光が宿っていない。
- 80二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 08:20:17
保守