- 1二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 14:48:31
- 2二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 14:54:05
交際相手として真っ当では?
- 3二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:06:41
山南さんならそんなキレなくてもいいのでは?
- 4二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:07:39
というか山南さんなら原田がキレる資格なくね?
- 5二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:08:15
再走しろ
- 6二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:09:13
別デア原田の選択肢草
- 7二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:09:39
恋敵として見た時の山南さん、強すぎる
- 8125/10/22(水) 15:09:52
「山南先生と言えど、任せられっかどうかくらいは死合させてくださいよ」
「原田さんなにしようとしてるんですか!!?」
「止めんな平助俺にはおまえが霊基関係なく笑えるようになるまで見守る責任がある」
「何言ってるんですか!!!???」
ぎぎぎと義手義足から音がしそうなほど必死に原田を止めようとしている藤堂と、なりふり構わないといった勢いの原田はむしろお似合いではなかろうか。なんて考えているのは斎藤一である。
「どうしたものかな」
「山南さんのんきすぎません? 原田さんブチギレですよ」
そう言いつつも団子を頬張っているあたり、沖田も本気でどうにかしようという気概はないらしい。
「まあ沖田さんとしても意外でしたけどね。恋仲って感じの雰囲気じゃなかったですし」
「はは……」
「そーですよ山南先生、あの平助ですよ? どう落としたんですか」
からかい混じり、斎藤は原田にも聞こえるように質問をしてやった。落ち着け赤狼。 - 9二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 15:10:14
このレスは削除されています
- 10125/10/22(水) 15:37:06
山南は答えようとして、………答えようとした。
――違う。隠し事にしておく話だった。そう思い出した。”そういう”ことになっていたのだっけ。
「……ふふ、秘密だよ。君たちが期待するほどの話も無いけれどね」
「……へーえ。そうですか。いやあ、気になりますけどね」
へらりといつも通り笑う斎藤に、沖田が相変わらずですねーと野次を飛ばした。
同時に、その会話がしっかり聞こえていた原田はぴたりと力を抜いた。その瞬間に義手が思い切り首に締まる。
ぐえ、と声を出せば藤堂の方も少し慌てて拘束しようとしていた力を緩めた。
「きゅ、急に落ち着いてなんなんだあんた……!」
「………。いや? 気が変わった。ま、変なことされたら言えよ」
「山南先生がするわけないだろ!!」
おら降りろとおんぶに近い状態だったのをほどいてやる。
騒ぎの原因が大人しくなったせいか、その場にいた面々は程なく解散していく。もちろん、藤堂は山南と連れ立って。
「はーあ……」
締めかけられた首をさすって、原田はため息を付いた。 - 11125/10/22(水) 16:52:15
「ほんとにびっくりするくらい平和ですね」
「俺ァ話聞いたときから信じられて無えんだが、本当の話なのかよ」
永倉は騒動の際に周回で席を外していたため、親友と弟分の起こした(カルデア基準では)小さな騒動について知ったのは帰還後のことだった。
「昨日も一緒にパフェ食べてましたよー」
「……いつも通りじゃなくてか?」
「頻度は増えましたよ。よく二人でいるところを見るようになりましたし」
ちら、と永倉は突っ伏している親友を見る。屯所でよく見た、二日酔いの光景が脳裏によぎる。もちろん原因は違うことはよくわかっていたが。
そう思った瞬間がばりと起き上がるもんだからうおっと声が出た。
「すげえ楽しそうなんだよな」
何が。誰が。主語らしいものがひとつも含まれていないが、言葉よりも声と背中が雄弁に語っている。
「柔らかいんすよ。声とか、顔とか。……や、もちろん昔っからあいつは山南先生と話してるとき、あんな感じでしたけど」
それきり原田は何も言わなくなってしまった。永倉が見ていられなくて視線を外すと、同じように困った顔をした沖田と目が合う。頬張っていた饅頭も皿の上で居心地が悪そうだ。
「なあ左之助」
「んだよ新八」
「おまえそこまで入れ込んでたならよ、なんで先に……あ゛ー……」
イヤなんだって自分がこんな好いた惚れたの小っ恥ずかしい話をせにゃならんのか。切り出してから気づいてしまって、一瞬で話の勢いを失っていく。
「藤堂さんのことすぐに丸め込めそうなのにしなかったんですか?」
「沖田ァ!!!!!」
切り込み過ぎである。一番隊隊長の疾さは伊達ではない。
「丸め込む……? はあ、俺は責任取ろうと思ってただけなんすけど」
「はい?」
「あ?」 - 12125/10/22(水) 16:56:34
というわけで一番の安牌ことみんなの山南先生をダイスの女神がお選びになり、かつホラーもヤンドスも出現しないルートになってしまったので【クソボケの自覚なしで重力湿度マシマシ恋愛(?)初心者原田】とまだ情報未開示な藤堂くんでお送りします なんでやねん
- 13二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 16:56:54
クク…続き楽しみにしておるぞ……
- 14二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:02:23
ホラールートちょっと見てみたかった…それはそれとして続き待機
- 15二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:13:59
ヤンドス気になるけど無自覚なのに重力湿度マシマシ原田の恋路は気になる
ハピエンなるか!? - 16125/10/22(水) 17:22:56
こうなった以上しょうがねえ! 原田→藤堂の湿度がどういう比重で含まれているかをまず決めます(d100で多い順)
①油小路でばらばらにしたのは自分……こいつの第二再臨は俺のせい……俺が守る……幸せになれ……(庇護欲)※自覚あり
dice1d100=71 (71)
②俺が殺したんだからこいつは俺がまた看取るべき、二度と置いていくものか(執着)※やや自覚あり、よくねえよなと蓋をしている
dice1d100=20 (20)
③殿の俺と魁の平助。……サーヴァントになったって、まだおまえは星を目指してるのか。生きてた頃から眩しかったのにな、おまえ(憧憬・慈愛)※自覚なし、マジで自覚がない、クソボケポイント堂々第一位
dice1d100=94 (94)
- 17125/10/22(水) 17:24:21
ハイ?
- 18二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:26:22
クソボケ!!
- 19二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:26:25
うーんこれはクソボケ
- 20二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 17:27:09
ピンポイントでクソボケ引きやがって!
- 21125/10/22(水) 17:44:54
「お、沖田」
「わかってますよ!」
作戦会議だ! という目配せで永倉と沖田は頭をつき合わせる。マジか原田左之助、という顔を二人して隠しきれないためだ。
「内偵してたんだよなこいつ!? つうことはこういうのも見慣れてるんじゃねえのか……!?」
「もしかしてですよ、もしかしてですけど、自分のことだからわかってないってことですかこれ! 嫌ですよ沖田さん巻き込まれるやつじゃないですか!!」
ここにマスターである藤丸がいれば『ぐだぐだしてきたなぁ』なんてとりなしてくれるのだが、あいにく微小特異点攻略中であった。
「……え、聞きます? 聞いてみます?」
「藪つつくことになんねえか?」
「無理です無理です見てられません原田さん!!」
「沖田ァー!」 - 22125/10/22(水) 19:54:32
新選組の中でも特に小柄で、なんなら沖田先輩と変わらないくらいの背丈で。
そんな小さいやつが、我先にと打刀で飛び込んでいく。魁先生の名を頂戴するくらいには、速く、強く飛び出していく。
負けん気が強くて、どこまでも善性に溢れていた。苦手なくらいに。
……逃がしてやりたかった。たとえ、局長の命がなくたって、捕らえろと言われていたって、叶うなら逃がしてやりたかった。
結果は知っての通り。倒れ伏したあいつを見て、俺は――、……?
あの時、俺はどうしてあいつの死体を切り刻んだのか。それだけを、よく覚えていない。思い出せない。
人体を切り刻む、人とは思えぬ所業を行った人物が自分であることは確かだろう。そういうふうに育てられたのだから。
気づいたときには、虫の湧き始めたばらばらの肉塊を眺めていた、ように思う。
しっかりと覚えていることと言えば、数日経っていたはずだったのに、不思議と何も感じなかったこと。
それから、涙一つも流せなかったことくらいだった。……涙に関しちゃ、最期の最期まで誰のためにも流せなかったのだけれども。
――だから、原田左之助には責任がある。あの特異点で金継ぎの体を見て殊更そう思って、その責任を取らなければならないと臓腑に刻んだ。
今度こそ、自分が守り切るのだと。
復讐の炎はいくら燃やしたって良い。そういう在り方でなければ平助は息ができない存在になってしまったのだから、まあ仕方ない。
そうだとしても。怨嗟を燃やしながらでいいから、前のように、笑って、幸せそうなツラを拝めりゃ、それでいい。
――幸せになってくれ。今度こそ。俺が守ってやるから。置いていかねえし、死んじまうなら俺が最期まで見ていてやるから。 - 231(字数オーバーした)25/10/22(水) 19:56:12
「――ません原田さん!」
「沖田ァー!」
「うす、話付きました?」
突然こそこそと内緒話をし始めたので、空気を読んで聞かないようにしていた原田は名前を呼ばれたところで我に返る。いけないいけない、要らぬ記憶まで掘り起こすところだった。
「まず聞きますけど! 藤堂さんのことどう思ってるんですか!?」
「はあ。……そっすね、守ってやりてえ、が一番近いっすね。ああいや、大人しく守られるヤツじゃねえのもわかってます。なんて言うんすかね。あいつ、アヴェンジャーなせいか元々の性格つうか、すぐ突っ込んでいくし、すぐ自分を投げようとするじゃないですか。……まあ、そういうところっすよね。あの霊基でも笑える時間が増えんなら良い、ってことっす。…………山南先生が最適解とは思いませんでしたけどね」
気まずい沈黙が流れる。
正確に言えば気まずさを覚えているのは沖田と永倉ばかりで、原田は何も言わなくなってしまった二人になんで? という顔をしていた。 - 24二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:22:02
原田の回想が地味に不穏
- 25125/10/22(水) 21:42:36
この先どうしようかなあと思っているのでお茶濁しがてらざっくり>>1でのダイスについて
誰を引くかによる追加要素というのは話の方向性です
近藤さん・ヒッジ:ホラー 理由は後々察することができるかも
おき太さん・サイトー・ぱっつあん・山南さん:程度は違えどもほのぼの系、おき太さんだったらちょいホラー混じりの予定だった
別デア原田:ヤンドス3P ヤンドス3Pを見るためにこの選択肢を入れた
???は???です ホラーはホラーですが局長副長とは別口のホラーにする予定でした
- 26二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:51:42
ダイス神めっちゃ空気読んで安牌な山南先生にしたのでは?
- 27二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 21:53:53
ヤンドスとホラー率高すぎて泣いた
- 28二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:09:06
山南さん、安牌すぎて逆に難しくないすか……笑
伊東さんも(山南くんなら…)って任せそうだよ! - 29二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:10:52
- 30二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:12:16
- 31125/10/22(水) 22:15:00
- 32二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:23:36
ヤンデレアンドラスじゃなかったんだ(驚愕)
- 33二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 22:45:09
ドス(短刀)持ち出してくるようなヤンデレのことかと思ってた
- 34125/10/22(水) 23:27:58
藤堂平助は悩んでいた。
新選組を終わらせる。そのための特異点で起きた騒動の後、藤堂はカルデアに召喚された。
半端者で新選組と御陵衛士どちらにもなりきれなかった自分を、すでに召喚されていた新選組の面々やマスターはあんまりにもあっさりと受け入れてくれた。もう慣れっこ、カルデアに来た以上、仮に手を取り合わなくたっても、輩であるのだと。
では身を粉にして働かねば、となるのが藤堂平助という人物の性格であった。宝具の勝手な使用は禁じられたが、マスターから声を掛けられればひとつも断らなかったし、新選組を筆頭に他のサーヴァントからの頼み事もよく引き受けた。そんなこんなで、ときどきぐだぐだしつつも藤堂は比較的平和なサーヴァント生を送っていた。
……のだが。
悩みの種は、原田左之助の存在に他ならない。
「俺のガッツって重ねがけできるんだからおまえにも掛けられねえのかな」
「マスター、今からでもいいんでこいつの宝具って封印できませんかね。解除不可のやつ」
「いいか平助、周回先でおまえが気をつけたほうが良い奴等教えてきてもらったから見とけ」
まあ正直これだけでもかなり鬱陶しい。心配されているのはわかっているが。
子供扱いかと文句をつけた日にはそんなわけねえだろと返されるのがお決まりだった。
一番はなにかって――宝具を使うときだ。
普段、鬱陶しいくらいにやれ宝具使うのやめねえか今からでも別のにしねえか、なんて言うくせにいざ走り出した瞬間、光をあまり映さない目で見据えてくる。藤堂が真っ直ぐ前だけを見据える、少し前から。
あんまりにもむかつくから、一度だけ、ちらりと覗き見たことがある。義手を爆発させたあと、崩れゆく間のコンマ数秒。
そこには、眩しさを必死に目に焼き付けようとする原田の姿があった。少なくとも、藤堂にはそう見えた。 - 35二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 23:31:25
これで無自覚クソボケなのマ??????
自分の事に鈍すぎやしませんかね原田さんよお - 36二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 23:34:40
絶対に目を逸らさない原田はさぁ……
- 37125/10/22(水) 23:39:53
まるで星を追う旅人のよう、とはいささか詩的すぎるだろうか。
藤堂は自分と同じくらいの色をしたシーツに身を起こしながらそう思った。
「原田さん、僕に宝具使うなって言う割に毎回すごく見てませんか?」
あんな焦がれるような、必死な視線をどうして忘れられよう。少し、いや、割とかなり頭にきて、同じ視線を三回くらい確認した頃に問い詰めに行ったのだ。
そうやって返ってきた答えを思い出すと、藤堂は今でも霊基を燃やせるような気がする。本来抱える復讐とは別の方向で。
「? は? 当たり前だろ。……嫌な話だけどよ、おまえがばらばらになっちまうのは俺のせいだから」
だから目を逸らすわけにはいかないのだと。
まるで自分への罰だとも言いたげな言い草に、もう、ほんとうに、頭にきたのだ。
「あ。……まあ、だから宝具やめろって言ってるわけじゃねえ。あれは……嫌だろ。普通に。自滅宝具ってなんなんだおまえ」
「ふ」
「うん?」
「ふざっっけんなよあんた!!!!!!」 - 38二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 00:37:00
このクソボケがよぉ
- 39125/10/23(木) 00:49:45
「――とまあ、そういうことがあったんですよ」
もぐ、とチョコレートアイスの乗ったそこそこ大きなパフェを口にしながら、おもしろくないという感情を隠そうともしない藤堂は山南と並んで座っている。恋人同士、と言われれば納得の位置関係だ。
「私は藤堂くんから相談を受けてね。ほら、ここには全員が揃っているわけではないから」
山南は山南で、ぶ厚いパンケーキをぱくぱくと口にして笑っている。バターとメープルシロップマシマシ、ついでにバニラアイス沿え。
「あのお二人がいても山南先生に相談してたとは思いますけどね……。あ、斎藤さんも何か頼んできたらどうですか?」
「見てるだけで腹一杯だわ。……てか薄々そんな気はしてたけどさあ」
頭痛さえしそうな状況の中、斎藤はとうとう真意を尋ねる。
「お二人さんは付き合ってる”ふり”ってことでいいのね? まーったく恋仲じゃないと」
「まあそうですね」
「そうなるかな」
この甘党どもがとちょっと斎藤は文句をつけたくなった。がまあ、山南は完全に善意から協力したのだろうと容易に想像ができたので、代わりに渋めの緑茶をがっと飲んでやった。
「にしたって、恋仲以外にもあったでしょ。藤堂が言い出したワケ?」
「そうですけど」
「なーんで先生は引き受けちゃったかなあ!」
ふむ、と斎藤の言葉を受けて山南は一拍置いた。
dice1d2=2 (2)
①「だって藤堂君、原田君のこと好きでしょう。そういうふうにも見てほしいと思って、わざわざ恋仲のフリ、だなんて提案したのでは?」
②「藤堂君の話を聞いて気にしていたら、確かに原田君は藤堂君のことをそういう意味で好いているようだったからね。自覚がないだけで……」
「え」
ころ、と藤堂はスプーンに乗ったブルーベリーを机に落とした。
あっやべ。今すぐ聞かなかったし見なかったことにしたい。
斎藤の願いは多分、聖杯でもなければ叶わないものだった。
- 40二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 00:55:36
ありがとう山南さん さすが山南さん
- 41二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 01:00:05
この山南さんは新選組の要な山南さん
強すぎだろ - 421(今日はここまで!!!!!)25/10/23(木) 01:14:51
「え、あ、…………え」
「と、藤堂君?」
絶対つついたらめんどくさい藪つついた。そう確信した斎藤は気配を消すことにした。間諜内偵お手の物である。
「は、原田さんって僕のこと、そういう、”そういう”意味ですきなんですか」
「……えっ? あっ、ええと……私にはそう見えた……んだけど……」
てっきり『藤堂は自覚のないまま恋情らしいものを寄せてくる原田に腹を立てている』と思い込んでいた山南は焦るしか無い。だってホントに最初聞いたときは微笑ましいとさえ思っていたのだもの。冷や汗がどばと溢れ始める。
「――なっ、あ、ぇ、そんなわけっ、だって、え、あれ」
いっそ可哀想なくらいに真っ赤っ赤だった。目を白黒させて、顔を覆って髪をぐしゃぐしゃにして、大混乱真っ只中に放り込まれている。
自覚がないだけで、本当に本人でもわかってないだけで、やけに心配されるのも、自分の駆けるすがたを必死に追う視線も、そもそも藤堂に向けられる態度すべてに答えが出てしまった。
「……あ、―――!!!!」
ガン、と机に思い切り突っ伏したまま動かなくなった藤堂を見て、斎藤はようやく山南に声を掛けた。
「僕帰ってもいいですかね」
「えっ……!!?」
さすがに良心の呵責に苛まれた斎藤によって、その日は丸く収まったのである。 - 43125/10/23(木) 01:22:32
情報が開示・更新されました
このスレは【重力湿度マシマシ一等星に焦がれてる系藤堂モンペ恋愛感情無自覚クソボケ恋愛初心者原田】×【なんで見てくれるくせに認めてくれないんだよ💢💢と思っていたけど恋愛感情を向けられているとは思っていなかった恋愛チョロザコ藤堂】でお送りします 長すぎ! - 44二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 01:42:18
おつ
更新待ってます - 45125/10/23(木) 09:12:31
さてどうする藤堂くん!
dice1d100=48 (48)
①山南さんに「原田くんは君に恋慕を向けているよ」(要約)と言われた結果ハチャメチャに意識してしまい避け始める
②え、確かに僕のことを好いているように思えてきたけど、本当か……? 最近ちゃんと話せてなかったし、ちょっと様子見てみよう
③バカバカバカバカバカ絶対自覚させてやるあの人!!!!!!!!!(突撃)
1〜40→①
41〜80→②
81〜100→③
- 46125/10/23(木) 09:55:02
思っているよりも冷静! 一周回った感があるな
あと先にやっておくべきでしたが原←藤の現状をざっくり決めます(d100多い順)
ついでに原田の現在のテンションも
①百戦錬磨ですって雰囲気してるのに無自覚で僕のことが好きらしいってどういうこと……?(困惑)
dice1d100=2 (2)
補正+20
②絶対自覚させてやるなんなんだあの人!!!!!!!!(怒り・やけ)
dice1d100=81 (81)
補正-40
③……………………別に……………心配してるわけじゃないですけど……………モニョ……(意識しちゃってる)
dice1d100=46 (46)
原田の現在
dice1d3=3 (3)
①明らかに元気がない、意気消沈
②まあ山南先生がいたって俺があいつを守りたいのは事実だしなと開き直っている
③俺が守りてえのは事実で……でも別に平助はすでに結構笑えてて……モヤ……
- 47125/10/23(木) 10:01:02
ちょっと待ってくださいね?????????? 女神?????? 爆速解決させようとしてる???????
補正があってややこしいので整理 いちばん混乱しているのはスレ主だよもう
・藤堂→原田の現状:別に心配ってわけじゃ……………なくって…………モニョ……そ、それより自覚しろよバカ!! 百戦錬磨みたいな顔しといて!
・原田:おや……? クソボケの様子が………? - 48二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 10:12:51
- 49二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 11:24:17
伊東先生「原田君、君が藤堂くんの恋仲になりたい相手?服部くんショットガンを」
- 50125/10/23(木) 14:07:19
――あんな、百戦錬磨みたいな顔しておいて、どうしたって僕に焦がれているんですか。自覚無いんですか。
知恵熱を出す一歩手前くらいまで混乱に陥った藤堂が出した答えは、そんなものだった。
別に心配をしているわけじゃない。
ただちょっと――山南先生と恋仲だと告げてから二週間近く経った――最近の原田さんがやけにぼんやりしているように見えるだけで、あとついでに様子をうかがってみようと思っただけだ。
決して、断じて、誰に誓ったって、気になってしまうわけではなくて。
ちょっとくらい自覚してくれれば、こちらの胸もすく思いをできるだろうし。
うん、そうそう。それだけ。
とはいっても、案外藤堂の方から原田を捕まえようとするのは少し手間取った。アヴェンジャーゆえ不安定になりやすい自身の性質やら、単に周回や特異点への簡易召喚やら、タイミングというものは簡単に訪れなかったせいだ。 - 511(√分岐)25/10/23(木) 14:18:22
そうしてようやく、藤堂が腰を据えて原田と会話できたのは――
①ぐだぐだサーヴァントと呼ばれる集まりの飲み会だった。【酒に呑まれど√】
②ばったり出くわした、空色のカルデアの廊下だった。【駆ける星√】
③特異点攻略中、マスターと離れてふたりきりになった夜の森だった。【反転、あるいは√】
dice1d3=2 (2)
- 521(駆ける星√)25/10/23(木) 16:27:07
「あ」
ひどく気の抜けた声が聞こえた。それが自分の喉から出たものだったと原田が気付いたのと同時、藤堂が先んじて口を開いた。
「シミュレーター」
はじめはつっかえたような声で。
咄嗟に反応ができなかった原田の息を食らうように、次ははっきりと通る声で。
「シミュレーター行きますよ」
えっ怒ってる。俺なんもしてねえけど絶対怒らせてる。
自分の感情にはおざなりな割に、藤堂に対しての心の砕きようだけは随一であった原田の察知力は、こういうところにばかり発揮されていた。
なので、
「うす」
思わずそう返事をしたのも無理はなかった。 - 531(駆ける星√)25/10/23(木) 16:28:19
藤堂がシミュレーターの設定をしている背中を、原田は眺めていることしかできない。どうやら夜の森にフィールドを設定しているらしいのが画面からわかる。
口を開こうとしても、いつものような言葉は不釣り合いに思えた。
真っ白な未設定のシミュレーターで、浅葱色の中に今日も星が一つ瞬いている。
タスキ代わりとして新選組の面々が掛けている紐に、藤堂は星のような意匠の飾りを通していた。生前からつけていたそれを、殿の自分はよく目にしたものだった。今でもつけてんだなあ、と懐かしさに襲われる。
ちゃり、と音がする。
「……原田さん?」
声と同時に、自分の手の中に収まる星の飾りが目に入った。なぜだか焦りが湧いて、ぱっと手を離す。
「わ、……悪い。考え事してた」
どうやら今ので怒らせてはいないらしい。……というより、呆気にとられたような、顔をしているように見えた。
少し悩んだような素振りを見せると、藤堂はシミュレーターの操作盤に向き直り、ぱぱっと操作をしていく。
「……市街か?」
「はい。気が変わりました。夜の……現代に近い京の街です」
藤堂がシミュレーターの起動をする。ざわめくような電子音と明るいノイズの中で、藤堂は生前のようにいたずらっぽく笑いながら告げる。それ、俺に向けてて良いのかよ。
「真正面からやり合おうと思ってましたけど、そうじゃないほうがいいみたいなので」
「平助?」
「追いかけっこしましょ、原田さん。僕に追いつけるか、勝負です」
――早く自覚してくださいね。鬱陶しくないの、あなたらしくないので。
おい、と手を伸ばした瞬間、原田は京の街に立っていた。
自分の記憶よりも、少しだけ夜空の星は見えないらしい。 - 54125/10/23(木) 16:48:16
(閲覧注意つけたのにそっち方面にびっくりするくらいダイスが転がらないなあと思っている)
- 55二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 16:57:55
ダイスの女神は健全で焦れったい原藤が好み?
なお爆速でくっつけたがる模様 - 561(駆ける星√)25/10/23(木) 19:09:51
マスターの生きる現代……とほぼ変わらないであろう京の街。
道路看板を見ると、今自分が立っているのは壬生寺にもほど近い綾小路らしい。まあずいぶんと街になってしまったものである。
時代の変化を覚えながら、さてどうしたもんかね、と呟いた。
――追いかけっこ、と言ったか。”らしくない”、というのが真っ先に出る感想だ。
原田が藤堂についてよくよく知っていることとして、どうしようもなく正直で真面目なところがある。
そんな当人が煽るように……いやこれは前からか。ともかく、何らかの考えがあってのことだろうと思った。
「……仕方ねえ、探してみるか」
魔力の塊らしいものを探せばいい。
とりあえず近場にいないことはわかったので、原田は聖杯から注がれる現代の地図を思い浮かべる。
さあて、と赤狼は舌なめずりをした。
煽られたらなら乗ってやる。切り替えの速さは新選組らしく、刀のように。
「あいつはどこに逃げそうかね」 - 57125/10/23(木) 19:22:17
さて スレ民相談いいかな
藤堂君の居場所は決めてあるんだけど、まあ一発でたどり着かれても面白くないので原田さんには京都観光(?)をしてもらいます
せっかくなので新選組関係とか気にせず、京都市街あたりでこのクソボケ原田に行ってほしいところ(観光地等)をレスしていただけるとありがたいッス 貰ったところから1~2箇所ほどダイスで決めます - 58二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 19:26:20
京都って何があるんだっけ…任天堂本社……?
- 59二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 19:32:11
完全に自分の好みで貴船神社とか晴明神社とか
- 60二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 19:42:40
映画村とかどうかな……?
幕末の撮影の話とか聞けるし忍者試練みたいなアスレチックとあるし舞台も見れる
あとエヴァカレーの色がエキセントリックなのにちゃんとカレーで面白い - 61二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 19:46:12
現代に近い京都なら京都タワーはどうよ
探し物にもちょうどいいよ、本音としては高いとこから京の街を見下ろす原田左之助が見たいだけなんだけど - 62二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 19:49:26
趣味に走ると伏見稲荷とか瑠璃光院行って欲しいな
あと京都駅の建築見事なので是非見て欲しい - 63二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:00:33
特定の場所じゃないけど
時間行先路線でとんでもない書き込み量のバスの時刻表の所感とか - 64二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:48:10
京都市街だと京都競馬場はだめか
今の時期ならそろそろ東福寺の紅葉が綺麗だけど近くに平助くんのお墓があるな - 65二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:50:20
そういやイケダヤ特異点にもあったな京都タワー…
- 66125/10/23(木) 21:12:30
おっしゃありがとうございます
シミュレーターだから人はいないって言っておけばよかったー! すみません!
ここまでであげてもらったところからダイスで決めますんでお待ち下さい - 67125/10/23(木) 21:30:20
場所的に近くて敷地も広くなさげかな? というのはまとめてみました
よく考えたらサーヴァントだし移動距離は普通に二桁キロ超えても余裕ですね
あと行ったことあったりなかったりするので……一応調べつつ書くけど変だったらすまん……の気持ち
①任天堂・東福寺
②伏見稲荷
③瑠璃光院
④貴船神社
⑤京都駅・京都タワー
⑥映画村
⑦晴明神社
dice2d7=3 1 (4)
(被ったら振り直し)
- 68125/10/23(木) 21:32:29
振っといてだけどこれ見てェ~~~~!!!!!! このスレは俺のスレだから好きにさせてもらうぜ~~~!!
- 69二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 21:40:31
ポケモンしてたから任天堂って打ったけど原田が任天堂行ってどうするねんな…当たると思わんやんけ……そんなさあ……
気にせず京都タワー行ってくれ - 701(駆ける星√)25/10/23(木) 22:31:49
馬鹿と煙はなんとやら。というわけではないが、いくら地理的な情報が聖杯から与えられても実際に地形を確認するのはまた別の話だ。
原田はサーヴァントとして得た身体能力に感謝しつつ、京都タワーの輪からぐるりと今の京都を見回した。
燭台にも似た形状の塔から漏れる赤い光が、同じ色の髪に溶ける。
高所ゆえの風に揺れる方を振り向いて、は、と短い息が溢れた。
魔力、ではなく。存在を感じてしまった。たら、と冷や汗が一筋流れた。それはすぐさま風に飛ばされ、その気配のところへ消えていった。
”いる”。たしかにあそこに、平助が在るのだと嫌でも理解してしまった。
――駄目だ。立ち入る資格は俺にあるわけがない。
あのとき逃がしてやれなかった、守れなかった自分が、どうして足を向けられる?
咄嗟に反対の方に飛び抜けた。
遠ければいい。思い切り、白い燭台に罅を入れることなんて気にする余裕もなく空を跳んでいく。
跳んで、走り抜けて――気づけば、比叡山の麓に辿り着いていた。
瑠璃光院、だったか。原田が京にいたころはなかった寺院である。山門は余人を拒む――なんてことはなく、むしろ迎えるように開かれている。
紅葉の道を抜け、原田は寺院にふらりと、頼りない足取りで入っていった。 - 711(駆ける星√)25/10/23(木) 23:14:41
瑠璃光院はその景色で音に聞こえる観光地であるが、あいにく夜では型無しのようだった。
誰も存在しないシミュレーターでは余計、静寂が嫌な響きを持って原田を責めるように感じる。
「はーーーっ……」
ぐしゃ、と前髪をかきあげた。そのまま石畳に座り込むと、原田は思考する。
――ちょっと揺さぶられたくらいで、この調子だ。やってられねえ、と心中でごちる。
こんなに、平助は自分の中に居座っている存在だったかと自分に問う。
確かに、油小路で逃がしてやれなかったことは一生抱える――今でも変わらず抱える、後悔のひとつだ。
そう。
あくまで、後悔のひとつである、はずなのに。特に強く残ってしまっている。
殺したのは自分でなくとも、屍を切り分けたのはどう考えても自分だった。
……そのせいで、あんな宝具と霊基になってしまっている。不安定で、復讐の炎を燃やす他に生きることが難しい、復讐者という存在。
――燃えるような紅葉が目に映る。
あのときは、もっと血腥くて、どろりとしていて、それで――、
………………………それで?
dice1d100=22 (22)
(60以上で失敗)
- 721(駆ける星√)25/10/23(木) 23:33:51
ふと気づく。平助だった肉塊を虚ろに眺めていたとき、そこに左手と右脚……今の義手義足となっている部分は、そこにあったか? どうして数日以上経っていたのに、気づいたときから忍びとして育てられたとはいえ――喉の渇きも飢えも、ひとつだって感じなかったんだ?
「食っちまったのか」
すとん、と驚くくらい、事実として受け入れてしまった。
紅葉ははらはらと、足元を軽やかに転がっていく。まるで、子供がきゃらきゃらと笑い転げるように。 - 73二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 23:38:56
クク…ひとつになろうね(物理)だ…ありがてえ……
もうヤンドスはないかと思ってたぜ… - 74二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 23:41:20
ホラー展開あるなら言ってよ(イソイソ)
- 75二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 23:42:40
本当にこの原田愛が重い(イイゾイイゾ)
- 76二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 23:46:18
かつホラーもヤンドスも出現しないって言ったじゃないですか!やだー!
アイデアロール成功してるじゃん! - 77回想/油小路25/10/23(木) 23:51:59
いくつもの刀傷が、その小さな体に刻まれていた。まだ人の形をしていると分かるのが、不思議なくらいに。
「………平助」
逃がしてやりたかったなあ、とは口にしなかった。できるはずもない。
死体は見せしめにするらしい。馬鹿じゃねえのか、アホンダラ。
じゃあ、せめて。自分の望み、ひとつくらい叶えたっていいだろ。
ずっと、ずうっと魁だったこいつのこと、両手に収まるようにしたって。いいだろ。
自分じゃないような、自分の声が聞こえた。
――駄目だろ、駄目に決まってんだろ、そんなモン人のやることじゃねえ!
人として育てられたのか? なあ、原田左之助。
最初っから、新選組を全員裏切っているのに?
どぼん、となにかに呑まれる。大から小へ。常識から欲望へ。理性から衝動へ。
まさしく、自分自身が反転してしまうような、そんな心地に呑まれて――
「あ、やべ。ちょっと抱えきれねえな……。食っていいか? いいだろ、平助」
いただきます、と丁寧に手を合わせた。 - 78125/10/23(木) 23:53:19
グロが出ないとは言ってないんだよなあ えっちなことはしていません
- 79二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:00:39
これさすがに他の新撰組メンツは知らない...?よね
- 80駆ける星√ 本日ここまで25/10/24(金) 00:28:58
確認のしようなんて無い、けれど確かな事実にざあ、と体中の血が引いていくのを感じる。
おそらく、自分だけが知っていることだった。さすがに解体(バラ)したのが原田であろうという予想は建てられているかもしれないが、足りないのは気にされなかったか、野犬あたりの仕業と思われたか。
「探して、いいのか……?」
猜疑心。どんな思惑が藤堂にあろうと、それ以上に今の原田は自分自身を信じる余裕がなかった。
臓腑の底からひっくり返るような、あの反転する感覚を思い出しまった以上。次に藤堂の宝具を見てしまえば、同じ衝動を抑えられる気がしない。
――今の平助は山南先生のモンだろうが……!
だから、手に収めていいはずが、ない。あるはずがない。
……せめて追いに行く前に、この衝動と、一度向き合わねばならない。待たせてしまうことになるのは、謝れば許してくれるだろうか。
「腹ァ、括るか」
赤狼は、浅葱をはためかせた。 - 81125/10/24(金) 00:30:21
すいませんが明日は激多忙が予想されるので、お手隙であれば保守に来てくださると嬉しいッス スレ主も気をつけますが……
- 82二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:38:40
了解です!
続きも楽しみにしてます! - 83二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 00:41:59
ウワーッ反転衝動!赤毛は鬼の色ー!
- 84125/10/24(金) 00:44:44
- 85二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 06:19:57
ほしゅ
- 86二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 08:39:48
保守。楽しみにしてます!
- 87二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 09:21:42
保守!!
続きが楽しみです… - 88二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 10:15:42
保守はスレ落ちる30分前くらいにすれば大丈夫ですよ
この場合は19時あたりまでは焦らなくてもOK - 89二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 18:20:07
追いかけっこのはずが逆に追いかけて来られそうな感じに
- 90二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 19:02:54
この原田付き合えたら藤堂くんのことめちゃくちゃはむはむ(婉曲な表現)してそう
- 911(駆ける星√)25/10/24(金) 20:34:17
腹を括る、とは決めたものの。どうしたって緊張感は薄れない。
なら始めからなぞればいい。藤堂の遺骸が運ばれただろう足跡をなぞって、自分の衝動と罪に順繰りで向き合うのが望ましいように思えた。
現代の油小路は主要道路と変貌し、特に南へ進むほど幹線道路となっていくのはもはや別物と呼んでも差し支えのない有り様だろう。
藤堂の死んだ、油小路七条も。
――ああ、ここで肉塊にしたのだっけ。
記憶でしか思い出せないほどに、現代において薄暗い過去は埋め立てられていた。ちょうど東西に走る、七条通にぶつかるせいだろうか。
コンクリートで覆われた地面には、おそらく水道管やら何やらと埋まっている。シミュレーターで、そこまで作り込まれているか知らないが。
「……」
油小路を降る。
本光寺には説明の看板が設置され、観光地……と呼ぶのは憚られるかもしれないが、現世に名を残しているようだった。
残されなければ、あいつはどうなっていたんだか。
意味のない考えを一瞬だけ巡らせて、原田は地面を蹴った。 - 921(駆ける星√)25/10/24(金) 21:24:28
サーヴァントの躰ではほんの数秒。東寺を右手に通り過ぎて、ひとつ通りを飛ばしたことに気づく。
無意識に力を入れすぎていたあたり、未だ緊張はしているらしいと自己分析をした。
仕方ねえ、戻るかと再び地面を蹴る。その最中に任天堂、の文字が見えて苦笑した。
いつだか、マスターが懐かしげに話していたことを思い出してしまったせい。花札屋がねえ、と思ったもんだ。
墓所は近い。――そこまで来て、原田によぎるものがあった。
斯くして、降り立ったのは東福寺。目的地を北東に据える、これまた紅葉の美しい寺院である。
「向こうか」
通天橋を南に歩いていけば、本堂はすぐそこになる。今日だけでいくら紅葉を見ることになるんだ、とため息を付いた。
ああ、でも、あいつなら喜ぶのかね。歪んでいるくせに素直で、かわいいやつだから。
霊体化とは便利なものである。サーヴァントが忍びやったら怖いもんなしではなかろうか。
そういやいたな、忍者。と原田は風魔の頭領を思い起こした。音に聞く忍者の相手はしたくねえ、というのが素直な感想だ。こちとら神秘の濃度が違うのだから勝ち目が見えない。やれと言われたら、できるところまでやるが。
ぎ、ぎ、と板を踏んでいけば、お目当ての”手”が安置されていた。自分の身長より頭ひとつ分ほど大きな左手は、なかなか迫力のあるものだった。
大仏の左手。どうも明治に焼けたという大仏像は、左手だけが救われたという。
――懺悔には相応しい。『人でなしの所業』そのものを悔いるのであれば、人よりも神仏のほうが相応な気がした。
食べてしまったという事実は、本人に頭を下げるべきだろうが――そもそも、事が事だ。順番は、間違っているかもしれないが。
すう、と一呼吸置き、目を閉じて手を合わせる。祈りに、懺悔に言葉はない。
ぐずついた思考がほどけて、いつも通りになっていく。
なるほど信仰とは、こういうものだったかと謎の納得をした。あんまり信じたことがなかったので。
ちゃあんと言葉にできる気がする。今なら。 - 93125/10/24(金) 21:30:34
オ゛゛゛(苦しみ)
- 94二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:37:54
任天堂ファンサありがとうスレ主
原田、令呪をもって命じる、帰ったら藤堂くんと花札してマリカして遊びなさい - 95二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 21:42:30
京都はチョコも美味えんだよ!!!
諸々片付いたらいっぱい買って2人で仲良く食べなァ!!!と思ったけどここシュミレーターでした着席して続きを待ちます - 961(駆ける星√)25/10/24(金) 22:59:17
「…………遅い」
というか、全然魔力の反応が感じられない。
藤堂は石段に座って、機嫌を急降下させていた。てっきり、平時であれば自分を凌ぐ敏捷で市街を駆け、すぐにでも見つけてくると思っていたのに。
どこほっつき歩いてるんだあの人……!?
「いや、もしかして……」
シミュレーターに引きずり込む前の様子を思い出す。そもそも、ぼんやりとはしていたのだ。
憔悴、というわけではないけれど、山南と恋人のふりをしていることが影響しているようなのは確か。
それならば、と当たりはつけられる。
吹っ掛けて――今いるここまで誘い込む。安直だし、乗ってくるかわからない。
やってみなければわからないだろ、と藤堂は設定した自身の概念礼装を今一度確認した。 - 971(駆ける星√)25/10/24(金) 23:45:20
――戒光寺、墓地。
ずいぶん時間を掛けて、ここまで辿り着いたような気がする。原田は墓碑の前で、いつも通りの無表情で佇んでいた。
骨がうずまっている。ここに。
シミュレーターだから、すべてがまやかしに過ぎないけれど。
「………逃がしてやりたかったよ、おまえのこと」
案外、今まで口にできなかったことはさらりと溢れていった。そうなってしまえば、まるで風のように次々と言葉が流れていく。
「おまえがいっつも真っ先に飛び出していくの、毎回後ろっから見てた。俺ァ、殿だしな」
「俺がとうに慣れちまったような、陰口やら策謀やら、ずうっと苦手だったよな。今でもか。変わんねえとこはそのまんまだな、お互い」
生前と、今の藤堂の背中が重なる。
ゴーストライナー。境界記録帯。サーヴァントの魔術的名称。
藤堂平助という、ひとりの線をさきに幻視した。
ああ。なんだ。そりゃあ、怒るよな。
平助はまっすぐじゃねえこと、嫌いだろ。
「おまえの善性は、……眩しかったよ。ずっと。星みてえに、いまでも」
よく、口に馴染む。こうやって、紡がれるのを待っていたように。
「………切り分けたんも、食っちまったのも。全部、惜しいって思ってたんがひっくり返っちまったからだな」
あーあ、とどこか透き通ったような心地がした。
手放してやらなきゃならない。漠然とそう思った。
「………。なあ、聞いてんだろ」
平助。
呼んだ声は、闇に溶けることなく受け取られた。 - 981(駆ける星√)25/10/24(金) 23:57:54
「ずいぶん吹っ切れた顔ですね、原田さん」
「おう、おかげでな。……それで? 待たせすぎたから、迎えにでも来たってか」
いつも通りすぎて逆にやりにくい。急に立ち直りすぎだろ。
文句をつけながらも、ここで頓挫するわけには行かない。
「そんなところです。いい加減、待つのにも飽きたので」
「……聞こえてたろ。良いのか」
――そういうところだ、と吐き捨てたくなった。
「今更でしょう。あんたたちに奪われたものなんて、今はどうだっていい」
「あーらら、随分強気で。……理由、ちゃんとわかってねえだろおまえ」
茶化すように、次いで冷徹に。脅しのつもりかもしれないが、それを笑い飛ばす度胸ばかりは持っていた。
「は、こっちとしては十分なんで」
「よく言う」
スラスターで跳び上がるのと、五節槍が唸るのは同時だった。 - 991(駆ける星√)25/10/25(土) 00:28:56
金属音と構造物の破壊音がシミュレーター内に響く。
時折爆発が混ざり、土煙や風の切る音が追いつく間もない。紅白が打ち合いながら、戦闘の痕跡は徐々に北上していく。
ぎいん、と鍔迫り合いの音は数えるのをやめた。
飛び退いたところに飛んでくる砲の爆発を真横に避ける。撃った直後の隙は大きくない。
「――うねれ!」
「ッ!」
義足のスラスターで、魔力の混ざった槍の渦から逃れる。相変わらず間合いなぞ関係のない、自在の槍がご自慢らしい。
――この調子じゃ辿り着く前に消耗しきる……!
そう判断したのなら、藤堂が行動に移すのは早かった。
「追いかけっこだ、って……言ったでしょう!」
「な、っ……!」
サーヴァントとして得た膂力、義足の頑丈さを活かして選ばれたのは――
「怖いもん無しかおまえ!」
決して脆くはない現代のビルを、魔力で覆った躰ひとつでぶち抜いていくという選択肢だった。
らしくない、と思ったのも束の間、目眩ましも兼ねていたそれのせいで方向以外を見失う。
槍を振るって土埃を払う。破壊跡は方角からして、金閣寺や北野天満宮のあるエリアに続いていた。
……未だ、原田は藤堂の思惑を把握できていない。誘い込まれているのは、今ので明白だろうが。
藤堂の狙う目的。それだけが、気にかかっている。 - 1001(駆ける星√)25/10/25(土) 00:49:19
藤堂のクラススキルには、アヴェンジャーなら持っているはずの自己回復が存在しない。
それでもダメージを受けたときの魔力回収量は原田よりは多いから、必然的に先に宝具を使えるのはこちらになる。
――いつでも宝具は撃てる。受けたダメージも許容量。目的地にも辿り着いた。
目的は、三分の一達成されたも同然。
ここからは、どれだけ自分の虚弁が立つか、原田の頭が回るかにかかっている。
辿り着いた地は船岡山。北大路通の南に位置する、登れば京都市街を望む小高い山であった。 - 101125/10/25(土) 00:53:31
毎度細切れで申し訳ない 本日はここまでとなります
ようやっと原田が口にしました 長いよ!
保守がてら、聞きたいことがあればお申し付けください かしこ スレ主 - 102二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 01:23:07
クソボケがやっと自覚……したのか?したと思いたいな〜
- 103二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 08:53:53
自覚した、と同時に諦めてしまってるような…
- 104125/10/25(土) 10:41:37
そろそろやべえかと思ったら大丈夫だった(出先)
よいこの大学生あにまん民のみんなは卒論のストレスでこんなssスレを建てないようにしましょう スレ主との約束だ - 105二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 16:55:16
卒論頑張れスレ主
完走後とかでいいんで残りのルートも簡単なあらすじ読んでみたい - 1061(駆ける星√)25/10/25(土) 17:17:21
舟岡山東側、大鳥居のてっぺんに藤堂は腰掛けた。常ならばこんな、行儀悪いどころか不敬でさえあることはしないしできない。
だが、この身において、この神社において。不敬を働くことは、今からやろうとしている作戦に順当であるとさえ言える。
浅葱を解く。第三再臨から第二再臨へ。マガツヒの残滓が色濃く、復讐の炎が一層増すこの姿を原田が好ましく思っていないのはよく知っている。
もちろん、直接告げられたことはない。口やかましく心配ばかりを飛ばしてきていても、その一線だけは守っていた。
『――全部、惜しいって思ってたんがひっくり返っちまったからだな』
……今更、何を。あの時、選べるはずのない選択肢でしか、手を差し伸べなかったくせに。
自分と、真正面からぶつかってもくれなかったくせに!
ごう、ごう、と復讐者の焔が燃える音がする。
ああもう、誤算だった。どうにも知らない間に随分と立ち直ってくれてしまったのは失敗。考える暇なんて与えずに、追い詰めて視野を狭くしてやればよかった。
シミュレーター起動前を思い出す。藤堂の紐飾りを握りしめた原田の顔に、藤堂は狼狽と苦しみを垣間見た。
薪が投じられた。焔が燃え盛る。
――このひと、僕のせいで無自覚に苦しんでるんだ。
焔がうねり叫ぶ。恨め、怨め、燃やし尽くせ!
――新選組の人間が、苦しんで悶えている。僕の、存在で。
この感情は、復讐の焔がよく燃える。ああ、原田さん、あなたすっごく、
dice1d2=1 (1)
①いとおしいですよ、そうやって、僕のために苦しんでるの。
②――いえ。少し嫌だなあとも、思うんです。あなたが苦しんでるの。多分、原田さんのこと結構好きみたいなので。
- 107125/10/25(土) 17:18:43
(やべえ……………………炎マシマシになっちゃった………割れ鍋に綴じ蓋……………)
- 108125/10/25(土) 17:20:00
書きます! SS書きは設定喋るときが一番元気
- 109二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:25:21
愛憎マシマシ割れ鍋に綴じ蓋カプなんてなんぼあってもいいですからね(性癖)
- 110二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 17:26:01
お似合いだよ君たち!
さっさと収まるところに収まっちゃいな - 1111(駆ける星√)25/10/25(土) 18:31:05
「遅かったですね」
通りを進んだ先、大鳥居に腰掛ける藤堂を見つけた。浅葱を脱いだ、罅のある、……ああこいつはアヴェンジャーだったのだ、と思い知らされる姿だった。
「おまえ……」
「気に入らないでしょう? 知ってますよ」
再戦。先程よりも、より激しく。打ち合いはより火花を散らせて、過激になっていく。木が倒れ、参道の石畳は時折ヒビを深く負っていった。
スキルも惜しげなく使い、追いかけっこ――なんて生易しい言葉では収まらなくなっていた。
――”一度目”なら今だ、と藤堂は、賭けを始めた。
「ただじゃ済みませんよ?」
とーん、と跳び上がる。
原田の少し細い目が見開かれる。ああその顔だよ、と藤堂は心底復讐者としての霊基が満たされるのを感じた。
「平助!」
「やめろなんて聞くわけ無いだろ!」
石段頂上、神社境内に足を踏み入れた位置の原田に向かって、駆け上がるように宝具を展開する。
「『魁――』」
「悪運には自信があるんで、ね!」
ガッツスキルか! 確率のくせにだいたい生き残るからむかつくやつ、と藤堂の義手に力が入った。
「『――一番星!!』」 - 112二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 19:50:38
船岡山東部の神社ってコレもしかしてノッブのお宅か…?
- 1131(駆ける星√)25/10/25(土) 20:08:39
土埃が舞う。正面から藤堂の宝具を受けた原田は口内の砂利を吐き捨てた。
藤堂が無策で宝具を使うわけがない。平常時の戦闘ならまだしも、ここはシミュレーター。
体力が尽きる――即ち、藤堂は無策で宝具を使用した時点で、システム側からのロックが掛かる。
それがないということはつまり、
――風とともに切っ先が飛んできた。
「ンの、野郎!」
しゃがんだ体制から槍を蹴っていなす。おかしい、とその剣の重さに気づいた瞬間、次に飛んできたのは白い髪。反射的に踵を落としたがこちらも手応えはなかった。
「痛えなアホンダラ!」
「その腹狙ったのに逸らしてるのもおかしいんですよ!」
脇腹には深めの傷がひとつ。対する藤堂には、自身の宝具で負ったであろうひび割れに、光が増しているのみ。
宝具の前に回避スキルを切ったかと気づく。踵落としが当たらないわけだ。
いや待てよ、と剣戟を続けながら原田は藤堂を見た。
――ガッツ付きの概念礼装を持ってたんだろうが、妙に元気すぎねえか?
原田の知っている限り、外から付与できるガッツは魔術礼装でもなければ、ほとんどが『瀕死で耐える』程度になるものだ。一番上等なものも、マスターの手元にはなかったはず。
「あは、焦ってます? 焦ってますよね、原田さん」 - 114二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:04:36
宝具打たれたのに頑丈だな原田
びっくりするくらいHP高いだけある - 115二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 21:35:46
スキルガッツで耐えたんだとHP1000~3000だっけ
大分痛いはずではあるがそれで止まる原田じゃないという信頼はある
藤堂の方は宝具代償ダメージじゃなくて即死だから、ガッツじゃなくて即死耐性持ってきた?(黒桐の礼装凸で80%、割と怖い) - 1161(駆ける星√)25/10/25(土) 22:01:43
いたずらっ子、なんてかわいい言葉はこの場には不釣り合いで、それでも藤堂の笑顔はそれそのものだった。
「……そりゃ、焦るだろ。随分本気で向かってこられたら」
死損ね左之助の確率ガッツも残り一回。いくら悪運が強くても次はどうだか。
「わかってるくせに誤魔化さないでください。こっちはあんたのためにやってるんです」
何の、と口を開く前より先に藤堂が言葉を続ける。
「あなたが見てるのは死体の僕でしょう」
「――、平助、」
原田の顔から、戦闘の高揚感が抜け落ちていくのが見えた。良い気味だ。
「あんたが無意識に追いかけてるのは”僕”じゃないって言ってるんだ!」
本音が、混ざってしまう。虚弁で、もっと追い詰めなきゃいけないのに。
「正直に言うと、あなたが僕の最期に苦しんでいるのはすごく気分がいいです。この霊基が満たされるような。アヴェンジャーだからだと思いますけど――あなたという、新選組の人間が苦しんで、悶えていると、ひどく喜びたくなる」
昔から陰口も密談も、それらに並ぶものは好きじゃないし、得意でもない。
自認はあれど、サーヴァント故に性質を変えられない藤堂の言葉には嫌でも本音が混ざって、話の中身がぐちゃぐちゃになっていく。
「だから山南先生に頼んでまであんたに見せつけてやった! ――だから”ここ”まで誘い込んだ!」
その言葉を受けて、原田は思い出す。
足元に広がる玉砂利の境内と、藤堂の背後に広がる現代の京都が嫌によく見えた。
船岡山、そこに鎮座する神社はひとつ。
原田もあの特異点でよく知る――織田信長公その人を祀る、建勲神社である。 - 1171(駆ける星√)25/10/25(土) 22:06:57
「あは。すごく気分がいいです、今。そろそろ気づいてくれましたか?」
今の藤堂の姿は、第二再臨。マガツヒノカミが特に色濃く混ざる、ひび割れの霊基。
さっきはまだ参道だった、と原田は思い出す。
「――ここで、もう一回僕の宝具を使ったら、どうなるんですかね?」 - 1181(駆ける星√)25/10/25(土) 22:34:07
告げた瞬間。かかった、と藤堂は興奮さえ覚えた。
あの特異点で、アヴェンジャーの織田信長の力である神殺しは大変有用に使われた。マガツヒノカミを一度殺すために。
であるのなら。”藤堂の霊基に含まれるマガツヒの残滓にも有効である”――そういう等式が、原田の頭では成り立つ。
実際がどうかなんてこと、今は関係がない。
等式が成り立つ、と原田が考えてしまうこと。その方がよっぽど重要だった。
だってそもそも、こんなハッタリ、あるいは物語の再演は、シミュレーターごときで叶うはずがない。
死番と義肢の魔力で宝具分はギリギリ賄えた。あとは、運。それから、原田の焦がれるようなあの目を信じるだけ。
――狼狽えろ、動揺しろ、あんたが追い続けた星は今、ここにいる! - 1191(駆ける星√)25/10/25(土) 23:17:25
まずい、とだけ頭に浮かんだ。思考の過程が言葉になるよりも先に、原田は結果だけを受け取った。
ガッツだかなんだかも残ってるわけがねえ、信長公の神社? ここで死んじまえば、こいつは。
臓腑の底からひっくり返るような、あの心地が過る。
だめだ、と玉砂利を巻き上げた。なっさけねえ声だった。
手を伸ばしていいのかわからない。その眩しさを、求めていいのかわからない。
あの時は失敗した。
新選組から手放したくなくて、それでもあいつの選んだことを尊重したつもりで、本当はできていなくて、……大切にして惜しんでやりたいと思っていたから、そうできるようにしてしまった。両手に収まるくらいに。
「でも今は違うだろうが……!」
ここには藤堂と自分しかいない。あの特異点で手を伸ばした近藤も、なにか頼まれごとをしていた山南もいない。
求めていいのかわからない。自分が触れていい一番星なのかわからない。
それでも、ここには自分しかいなかった。確かなのは、たったこれだけ。
宝具の、青い光が見えた。現代の夜空でもひときわ明るい、まぶしい星がそこに在る。 - 120二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:24:25
支援
続き気になる - 121二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:28:24
行っけーー! 本気で全力で手を伸ばせ!!
- 1221(駆ける星√)25/10/25(土) 23:40:41
丁半博打というものがある。
藤堂は手を出したことはなかったが、よく話に聞いたものだ。
そんなことを思い出したのは、拝殿の屋根を跳び上がり、右脚のスラスターで更に高度を得たときだった。詳しく知っているわけではないが、要は二分の一に勝てるかどうか、というものだった気がする。
一回目は勝った。じゃあ、二回目は?
もちろん、変わらず二分の一。二回連続で勝つなら、四分の一ということになるけれど。
今度の宝具展開は、落ちていくだけ。身を燃やす火球のように。
あーあ。ここまでやって原田さんが気づいてくれなかったら、どうしよう。ここまでせっかく、賭けに勝ってきたのに。
復讐者の本能はやけにおとなしい。さっきまで散々言い散らしたせいかもしれない。
それとも、と藤堂は自身の霊基にある罅が音を立てるのを聞いた。地上の方を見る。必死な顔した原田さんがいて、ちょっと笑う。
なあんだ、やっと手、伸ばしてくれるんですか。
二回目、あなたの悪運に掛けてるんですからね。勝ってもらわなきゃ、困るんですよ。
原田さんが困ってて、苦しんでて……あなたに愛されてるのか僕が愛してるのか、わかんないじゃないですか。
両方だといいなあ、って思うので、ちゃんと勝ってくださいよ。 - 123二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 23:51:16
閲注ついてるし夜だし言っちゃっていい?
復讐メラメラで駆け引きと本音の間で揺れながらヘラヘラ煽ってる藤堂くんえっちだ… - 1241(駆ける星√)25/10/25(土) 23:54:19
「ん、んん……」
妙に動きにくい、と最初に感じた。ぼんやりとする意識が次第に浮上していくと、藤堂の視界に赤い髪が映った。
「へ、……いすけ、起きたのか」
魔力が足りないのか、いまいち意識がはっきりとしない。強い睡魔のような、心地の良いまどろみのような。
なんだか、あたたかい気もするし。
ぼんやりとした意識で藤堂は、
dice1d2=2 (2)
①自然と、ふふ、なんて笑いがこぼれた。
②はらださん、と名前を転がした。
- 1251(駆ける星√)25/10/26(日) 00:06:03
んだよ、と返事が聞こえる。夢を見ているような心地だったから、藤堂は想っていることぜんぶがとりとめなく、そのままにこぼしていった。
「しってますか、はらださん。憎んでいながら、あいしてるってこと、あるんですって。ふふ、憎愛だっけ……、愛するが先にくる、愛憎じゃなくって……にくんでるが、さきに来るんですよ」
おーおー、それでどうした、と頭を撫でられた気がした。うれしいな、なんてふわついた頭で感じる。
「ぼくらしいって、おもいませんか。復讐者の、アヴェンジャー、の」
ね、原田さん。
「はらださんが、僕のせいでくるしんでると……いとおしい、気がします。……憎愛、ですね?」 - 126二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:23:16
普段飄々としてる奴が焦ったり悲しんだり苦しんだりして調子崩してるのは高揚するもんな
それが自分のせいならひとしおだろう
愛だね…… - 127二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 00:35:01
なんだかあたたかいのかあ
抱きしめられてるのかなあ
そうだよね?(一抹の不安) - 128125/10/26(日) 00:56:33
なんで1000文字30行までしかないんだ きつすぎる
- 1291(駆ける星√)25/10/26(日) 00:58:13
まあとんでもねえ爆弾を落としてくれたもんである。
とんでもねえ藤堂の言葉に、原田はまあとんでもなく思考にロックを掛けられる。頭を抱える他ない。
え? 俺今告白されたの? こいつに?
ぶちまけてたあたりを考えると山南との恋仲は”ふり”だったんだろうが……とまで考えて、原田は意識をあぐらの上で抱える藤堂の方へ戻す。完全に意識を失った藤堂は、魔力を求めてか、眠りながらも原田の体にひしと身を寄せていた。
――正直限界かもしれない。心臓が。
表情にこそ表れないが、その実エーテルの下にある心臓がもうえらいことになっている。助けてほしい。
溜息ついて頭抱えるくらいしかできない。ちなみに片腕は藤堂の枕になっている。
墜ちていく藤堂を見て――原田は、そのときはじめて、ようやく理解した。
あ、俺、こいつのこと愛していいのか。
守りてえって思うのも、眩しいと思うのも、両手に収めたいのも、……愛するを、したかったんだな。
結局礼装は、と確認して原田は言葉を失った。まさかの死霊魔術。ギャンブルガッツじゃねえか。とんでもねえ賭けをしてよく勝ったもんである。
藤堂の顔にある、罅をなぞる。二回も宝具を使ったせいで、霊基はばきばき。うっすらと魔力が漏れてしまっていた。そりゃあ意識も落ちるだろう。
……いいんかな。いやいいだろ。どうせここから運ぶんだから。
魔力供給、も兼ねて思い切り抱きしめた。ひび割れは徐々に埋まり、ひとまずは安心できる状態になった。
「あ、」
抱えられて、いる。ばらばらでもなんでもない、ただの藤堂平助が、他ならぬ、自分の腕の中で。
安堵と、多幸感と、それから救われたような思いがした。――ずいぶんと、遅くなってしまった。 - 1301(駆ける星√)25/10/26(日) 00:59:40
藤堂を抱えて立ち上がると、夜の静かな、現代の京都がよく見えた。……破壊のあとは別として。
船岡山は景勝地で有名であり、建勲神社もその景色を売りにしている。原田の記憶にある建物や街の作りなんてほんの一握りで――ほとんどすべてが、知らない街だった。
それでも、俺達の記憶はここに根付いてるんだよなあ、と原田は思う。
たとえ街が変わったって何かしらには残っているし、何より自分たちだって変わっていく部分と変わらない部分と両方あるのだし。
ふ、と口元に笑みが浮かんだ。しこたま怒られるだろうが、それ以上に浮かれている自覚がある。
眠る藤堂に、起きたらどう言ってやろうか考える。どうしたもんかね、と少し悩んだ。
「……俺も愛してる? まあ普通はそんなモンか。……憎愛、ね。それなら俺のは――愛惜、ってとこか」 - 131125/10/26(日) 01:01:09
本日はキリもよいのでここまでです ヨカッタネ!
- 132二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:01:49
死霊魔術だったの!?
マジで丁半賭博で草 いや草じゃないか - 133二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:04:35
確率50%固定、HP回復凸でも1000
よく誤魔化しきったし勝ち切ったわ…勝利の味(バックバクの原田の魔力)は美味しいか? - 134二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:07:15
良かった!途中怖かったけど本当に良かった!!
- 135二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 01:28:18
良かったぁ!
スレ主ありがとうおやすみ - 136二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 08:35:57
博打で命賭ける魁先生、性根が喧嘩っ早い江戸っ子を感じて好き
- 137125/10/26(日) 08:56:20