概要
血と火の粉と不条理を浴びて、而して最後に呵々と笑め。
時は天正五年、所は近江国。
今をときめく織田家に仕える武人、直刃は、近頃近江の各所で頻発する人食い虫の調査と撲滅を命じられる。古くより近江に根づく言霊使いの一族、波分家の名代たる未散と共に任務にあたる直刃は、人食い虫の被害を受けた片古家を訪れる。惨劇から生き延びた二人の女性、あやめと万由も加えて常ならざる異形の虫を追う中で、直刃はかつて無力に打ちひしがれたある人間の葛藤、怒り、そして覚悟を目の当たりにすることとなる──。
淡き海を戴く国にて織りなす、人に似て非なるものと絶えぬ火片の異聞綺譚。
今をときめく織田家に仕える武人、直刃は、近頃近江の各所で頻発する人食い虫の調査と撲滅を命じられる。古くより近江に根づく言霊使いの一族、波分家の名代たる未散と共に任務にあたる直刃は、人食い虫の被害を受けた片古家を訪れる。惨劇から生き延びた二人の女性、あやめと万由も加えて常ならざる異形の虫を追う中で、直刃はかつて無力に打ちひしがれたある人間の葛藤、怒り、そして覚悟を目の当たりにすることとなる──。
淡き海を戴く国にて織りなす、人に似て非なるものと絶えぬ火片の異聞綺譚。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!物語を彩る圧倒的な赤
式神・直刃と、炎の異能に悩む少女・未散が織り成す、戦国時代を舞台としたファンタジー作品です。
この作品を読むと、圧倒的なまでの赤が印象に残ります。作品内で何度も炸裂する血の赤、作品内で人々を脅かす人喰い虫を燃やす炎の赤。そして激しい熱を帯びているかのような直刃と未散の関係性も、色で例えるとするならば赤であると思います。圧倒的な赤! それぞれの赤から、においまで立ちのぼってきそうな重厚な描写も魅力です。
直刃視点と未散視点を交互に展開しながら進む物語を通し、二人は人喰い虫の謎に立ち向かってゆきます。全四十二話、濃厚な展開に満ち満ちた素晴らしい作品です。
是非読んでみてください。読後、あなたの脳…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その炎は散るためにあらず
近江国に現れた人食い虫による事件を機に、織田家に仕える式神・直刃と、異能を用いる家系と深く関わっている少女・未散が協力し、事件解決を目指す伝奇物語。式神であるが故に活動限界がある直刃と、己を焼き尽くしかねない炎の異能に悩まされる未散が、互いを拠り所とし合う共存の物語や、とある因縁と呪縛を断ち切る物語も展開されています。
直刃と未散はダブル主人公を務めており、事件を追う傍ら、互いに影響されながら変化していきます。どちらもあと数年の命だったところ、生に執着せざるを得ないような出会いを経て延命する……そんな重みがありつつ、時に可愛らしさが覗く関係性がお好きな方は、二人まとめて好きになってしま…続きを読む