シアカラーステッチ

身体の自由すら奪われた少年と、かつて“道具”だった少女の旅。その出発点が、こんなにも重く、静かなのに、不思議と読後に温かさが残る物語でした。

彼の復讐は確かに過酷で、辛くて、読みながら胸が痛む。でも、そんな彼に寄り添う彼女がいて、色を通して心が交わる。その描写がとても丁寧で、幻想的で、美しい。

戦うことだけが物語の中心ではなく、「なぜ生きるのか」「誰と生きたいのか」という問いに触れたとき、物語が一段深くなるのを感じました。

どこかで立ち止まりたくなる人生を、誰かと手を取り合って歩くことの尊さを、そっと思い出させてくれる一作です。

レクロマ・セルースは、かつて平凡な生活を送っていた。
しかし、王が命じた虐殺により、村は滅び、家族は死んだ 。
彼だけが生き残ったが、その四肢は動かず、復讐すら叶わない 。

そんな彼の前に現れたのは、一人の少女。
その正体は、かつて「聖剣」と呼ばれた存在――アングレディシア 。
「君が歩けないなら、私が君の手足になろう」
剣へと姿を変える彼女の力で、レクロマは再び動けるようになった。

――だが、それは ただの復讐譚では終わらない。
剣の少女は「感情の色」が見えるという。
レクロマの心に宿る「怒り」と「憎しみ」、そして「希望」。

これは、絶望の果てから 這い上がる少年 と、
かつて「道具…続きを読む

大切な家族を、暮らしていた村ごと失った少年レクロマ。人間の姿にもなれる聖剣、シアの力を借りて村を滅ぼした国王への復讐を目指します。
しかしその道のりは困難で...


大好きなタイプの復讐物でした。
復讐が進むうちに敵側の物語や主人公の葛藤も見えてきて、爽快感よりも切なさが強くなります。
まるで歴史物を読んでいるような重厚感でしたが、続きが気になって、気づけば最後まで読み終わってしまいました。
読み応えのある、没頭できる物語を探している方には絶対おすすめです...!

第一章まで読了
まず、主人公の境遇が、稀に見るほど過酷だ
なにせ、四肢が動かない
シアに負ぶわれるか、聖剣である彼女を握るかしなければ、移動することもままならない
そんなドン底の状態から、いかにして復讐を果たすのか
主人公の運命が過酷であればあるほど、復讐を果たしたときに見える景色は素晴らしいものになるだろう
楽しみにしつつ、続きを読んでいこうと思う

※利用停止措置を受けたため、本レビューは再投稿となります

セルナストの国王と側近に家族もろとも故郷の村人の全てを殺され、唯一生き残った少年レクロマ。

四肢さえ動かない失意と絶望のなか、怨嗟と憎悪に塗れ、ただ生きながらえるだけだった少年は、意識を持つ剣と出会う。

意識と人化の能力を持つ聖剣アングレディシア。
その剣は自身を持つ者の肢体を十全に使うことを可能とした。
彼女は生きる実感を求め少年と共に歩む。

意志と力が出会い。
そして復讐が始まる。

絶望、怨嗟、憎悪、依存、希望、追慕、様々な感情に彩られた少年と剣の生きて存るための遍歴。

刮目して、ご覧あれ。

力作だぜ、兎に角、一度でも良いから読んでくれ..

　『シアカラーステッチ』は、レクロマとシアの絆が深まる過程が心に響く作品です。復讐の炎を抱えながらも、シアの不思議な力が彼を癒し、彼女自身も変わっていく様子に感動します。シアの感情を視覚化する能力と、その力を使った戦闘シーンは非常に独特で、心の葛藤が色を通して伝わってきます。

　彼らの絆が深まる中で、レクロマはただの復讐心を超えて、シアとの新たな道を模索し始める過程に強い感情移入を覚えます。次第に彼の復讐が新たな道へと変わっていく様子に、深いヒューマンドラマを感じました。魔法と感情が交錯し、次第に深くなる絆が胸に響きます。

　四肢を動かせない男の復讐譚、という紹介の通り、ハードな設定がいきなり飛び込んでくる容赦のない物語です。しかしヒロインのシアが登場することによりキャラクターたちの交流が始まると、しっとりとした筆致で心の動きが描かれ、物語にほのかながらも温もりを与えていくのがおススメです。

不思議なお姉さんと出会った身体の不自由な少年が織りなすダークファンタジーです。
暗い内容なんで、そういうのが好きな人にオススメです‼️