概要
すずの鳴く声に神が降りる――呪いの業火、燃ゆる神から解放されし魂の末裔
鈴哭山(すずなきやま)の頂に、巨大な御神木のクスノキがそびえ立っていた。周囲には神楽鈴(かぐらすず)を備えたおびただしい榊(さかき)の木が侵入者を恐怖のふちへ陥れる。
人間の欲望と煩悩を抱え堕ちた存在である御神木に村人はあるものを捧げ、その狂気たる欲望を長きにわたり封じ込んできた。御神木から授かる御霊験(ごれいげん)の代わりに授けた者の左眼に宿らせる秘密。押し寄せる恐怖と胸打つ感情の渦に飲み込まれていく。その先に待ち構える運命とは……
【登場人物】
・楠珠鈴(くすのき・みれい):主人公。聖隷樹恵病院の部長。心療内科医。慢性骨髄性白血病(CML)を患う。先天性の樹霊眼をもつオッドアイ。
・榊鈴央(さかき・れお):主人公の夫。聖隷樹恵病院の副部長。循環器内科医。慢性骨髄性白血病(CML)を
人間の欲望と煩悩を抱え堕ちた存在である御神木に村人はあるものを捧げ、その狂気たる欲望を長きにわたり封じ込んできた。御神木から授かる御霊験(ごれいげん)の代わりに授けた者の左眼に宿らせる秘密。押し寄せる恐怖と胸打つ感情の渦に飲み込まれていく。その先に待ち構える運命とは……
【登場人物】
・楠珠鈴(くすのき・みれい):主人公。聖隷樹恵病院の部長。心療内科医。慢性骨髄性白血病(CML)を患う。先天性の樹霊眼をもつオッドアイ。
・榊鈴央(さかき・れお):主人公の夫。聖隷樹恵病院の副部長。循環器内科医。慢性骨髄性白血病(CML)を
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!神の悪意は何がもたらすのか?美しくもおぞましいホラーが胸を抉る
最終話まで読んでのレビューです。
自然を神と崇める信仰は古来より現在に至るまで脈々と伝わっています。
奈良の三輪山のように山そのものが神である、といったところで、本作も山が御神木が神そのものなのです。
これらは通常、人に恵みをもたらすもの、でもその反面ではどうでしょうか?
禁忌に触れた途端、悪意剥き出しに邪悪なものに豹変する。
本作はそこを巧みな文章力で描き出しています。
多くのレビューがついているのでその辺は割愛しますが、とにかくおぞましいホラー要素の中に、ミステリー要素が重なり、物語を巧みに組み上げています。
恐ろしい部分はとにかく恐ろしく、地獄絵図的な光景も繰り広げられます。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!理解できないからこそ生まれる狂気の説得力
素晴らしい作品で、素晴らしいレビューもたくさんついていて、もう全部その通りで、これ以上なにも言うことはないくらいなのですが、どうしても一点、もう一声推したいところがございまして、僭越ながら筆を取らせて頂きました。
なんだそんなことか知ってるよと言われそうですが、私はこの作品の登場人物の作り込みにとっても惚れました。特に、楠と榊(ともう一人)がゾワゾワしてたまらなかったです。作者様は本当に御神木(であったもの)を削り出して彼らの輪郭を描いたのではないでしょうか。彼らの思考と行動には、理性なのか本能なのかそれとも感情なのか、理解できない(させない)、静かで確かな歪みがあって、それを説得力に変えて…続きを読む