死したる者がその水を飲み、未練を捨てては去る湖。生死のほとりで、静かに、寂しく、そしてどこか明るく語られ、伝えられた物語。そんな雰囲気が、すこし冷やりと包んでくれるお話です。
奇しき花に、この世のよすがとなった想いをのせて。極めて美しい作品がお好きなら、読むべしです!賛嘆や解説がおこがましく感じてしまうので、是非っ、本編を!!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(220文字)
とても綺麗な話だと思いました。文章が、難しくなく読みやすいので、読もうと意識しなくても世界に引き込まれました。また、物語の構成も起承転結を意識されていて、短い中にもしっかりと伏線があり、読後感が凄く良かったです。物語の内容も、情景描写もすごく綺麗でした。人を好きになり、囚われてしまうのは美しくも、場合によっては苦しいのでしょう。ただ、昔思った気持ちは、忘れたくないものですが……。とにかく綺麗な物語で、読後感も素晴らしいので、恋愛好きにオススメです!
忘れな草の花言葉は「私を忘れないで」 この作品の『骨花』を花言葉にするとすれば…… 花びらの真ん中に、不気味なもののある『骨花』 その『骨花』が咲くゆえんを、ひとりの旅人が男に語ります。 男はその『骨花』の話を聞いてどうするでしょうか。 切なく、心揺さぶられるお話です。
旅人から見せられた、一輪の花。『骨花』と言うその花は、いかようなものなのか。静かな怖さの中にある、切なくも美しい物語。謎の花『骨花』と共に、鑑賞してみませんか?
『骨』というお題でここまで美しくも切ない物語を描く作者様に脱帽でございます。憂鬱な現代社会から少し離れた場所にあるような感覚を受ける、そんな物語です。だからこそ、この物語がより美しく、より物悲しい雰囲気を纏っているのだろうと思います。
遠部さんのホラーの特徴はグラフィックやデザインの良さ。そして人情。骨花。また「うわ……」ってなるような奇抜なデザインです。そして人情も今回は恋物語です。切なく効いてます。そしてトリック! 今回はなんとも言えず綺麗です。切ないと怖いが繊細なバランスで混ざりながらすとんと落ちる。遠部さんの良いとこが出た!綺麗なカラクリ細工を見ているようです。
微に入り細を深めた構成に、作者入魂の描写力が光る力作。 今昔物語さながらの古典絵巻としても読めるし、どんな時代であれ愛にかかわる明暗は変わらないとも読める。 場面ごとの移り変わりと読後感に漂う余韻は至純のともしびで心を照らす。 必読本作。
未練を糧に咲く骨花に纏わるお話。私はこういうホラーが大好きです。切なさとほんの少しの恐ろしさ。美しい情景と、見事な構成には驚かされるばかりです。面白かったです。
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