概要
ある朝突然、彼の元に失踪した妹を見つけて欲しいとの依頼が舞い込む。
女の涙と上等な謎に弱いのが名探偵。二つ返事で必殺の罠が待ち受ける舞台に上がってしまう。
女の笑顔を取り戻すため、横領したプリン代金の弁済のため、名探偵は己の叡智をただ一つの武器にして、命懸けの推理に挑んでいく――。
舞台は陰謀渦巻く巨大都市ウォールランド。一段また一段と推理の階層を進む度、常人には到達しえない遥か低みから、国士無双の傑物が四次元の確答を弾き出す。
ペンは剣よりも強し、されどダンデイーにしかず。快刀乱麻の推理と勇気の輝きを貴方は目撃するだろう。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!名探偵と裸・カンパネッラの破天荒な邂逅、混沌が舞う決闘
ジャズの即興演奏のように、抑揚と唐突な狂騒が交互に訪れる。拍子を刻むのは重厚な暗黒のユーモアと、奇妙な軽快さ。暴力と笑いの間に漂う甘やかな皮肉が、文章の奥底で微かに香る。
特筆すべきは、登場人物の描写の妙。アンジー君の背中に立ち上る瞋恚の炎や、パメラ君の恐怖の表情を通して、温度や匂いも感じるよう。文章は細かいが、散漫にはならず、刹那的なユーモアと緊張感を絶妙に融合させている。
破裂する爆音、床の波打ち、埃の舞い……抽象的描写と具体的描写が絶妙に層を成す。ユーモアの節々も絶妙で、「名探偵基本姿勢その1。両手を高く上げて、のびのびと命乞いの運動」など、笑ってしまうだけでなく、人間の生々さも感…続きを読む - ★★★ Excellent!!!涙に寄り添うユーモアと陰謀のフルコース
『名探偵ノーマンと至極の推理命題』は、名探偵ノーマンとドジ助手アンジーの凸凹コンビが繰り広げる、」まるで濃密なショートコース料理を味わうような作品でした。
涙に暮れる依頼人に寄り添いながらも、事件はとんでもなく奇怪で、病院に潜入すれば水浸し、果ては……その無茶苦茶さが、逆に作品に温もりと独自の品格をもたらしています。追い詰められるスリルの中でも、ノーマンのダンディーさはどこか頼りなく、それがまた愛おしい。
混沌の中にふと垣間見える「人の情」があり、それが陰謀渦巻く事件の重さを和らげ、読後感は爽やか。あなたの夜を彩る、軽やかで芳醇なフルコースとなっております。 - ★★★ Excellent!!!最高にダンディだったよ、探偵さん。
ハードボイルドな探偵……フィリップ・マーロウしか知らなかった私は、本作のノーマン探偵に度肝を抜かれてしまいました。
物語は、ある朝に一人の女性が探偵事務所にやって来るところから……始まらない。
アンジーことアンジェリカ助手によって、プリンを勝手に食べたことによる報復を受けてから始まります。
そのテンションの高さのまま、一人の女性から電話が。
カフェで落ち合い、「妹のパメラを探してほしい」と依頼を受け……
……ようやく本格的な探偵小説が始まるのかと思いきや、ここから、とんでもない混沌世界への大冒険が始まったのです!
ギャグに次ぐギャグの応酬の中で情けない姿をさらしつつも、ノーマン探偵は調…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ダンディを自称するやつって大体ろくでもない そしてこいつは別格だ!
本当にダンディな「自称ダンディ」を、私はついぞ見かけたことがありません。
一番有名なダンディ? な人物は、派手な黄色のタキシード着て「ゲッツ!」ってやってますし。
そう、ダンディを名乗る輩は総じてギャグキャラ、三枚目……。
そして彼も相場通り、いや相場以上の三枚目!
ダンディズムは13行で死にました。
そこからはもう、ひたすらコミカルでお茶目で、ダンディ()に振舞うおじさん劇場です。
もっとも、探偵業もしっかり忘れちゃいません。
ダンディから点が消えればタンティですからね、ダンディの本質は探偵にあるのですよ、多分。
色々ふざけたりドジしたりと手を変え品を変えと笑わせてきますが、探偵らしく足を…続きを読む