概要
少年の名はミロ。病に倒れる姉を救うため、スリに手を染めていた。だが旅人から盗んだ金はすぐに街のならず者に狙われ、身に危険が及ぶ。
絶望の中、彼を救ったのは先ほどの旅人——金の髪を風に揺らす少女だった。
圧倒的な体術と冷静な胆力で男たちを退けた彼女は、怯えるミロに手を差し伸べる。
「私はアルテア。君の名前は?」
その問いかけを境に、二人の物語が始まっていく。
“銀の剣”を手に、アルテアが探すのは「銀髪の騎士」。
手がかりはない。ただ剣技と信念だけを頼りに、少女は進み続ける。
街最強の剣士との対峙、甦る過去の英雄。
そして姿を現す“漆黒の騎士”。
やがて“あの伝説”と世界が交錯する——。
——これは少女と剣の物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!出会いと別れを繰り返す度、その一閃は重く、鋭く研ぎ澄まされていく―。
ある人物との再会を果たすため、主人公アルテアは銀の剣を相棒に、多くの町を訪れ、その手がかりを探し求めて旅を続けます。
道中で出会う人々との温かな交流が描かれることもあれば、迫力のバトルが繰り広げられたり、時に生々しくも悲しい別れが描かれたり―。
とにかく、多くの魅力を内包した冒険活劇といえる本作。
ただし、美女が卓越した剣技で、次々と人々を華麗に助けるということもなく、救えなかった命もある、という事実をきちんと描写している点が、非常にリアルで心を打ちます。
「ああ。彼女は生きていて、心技を磨く旅の最中にあるのだ」と。そんな風に感じさせてくれる、生きたキャラクターです。
そして主人公だ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!果てなる旅にて、少女は何を悟り、何を識るのか――
ある人物を探し、剣を手に旅する少女、アルテア・・・。
その姿に、いつも強さだけではなく、静かな覚悟と温もりを感じます。
彼女が立ち寄る街には人々の想いや時には辛い痛みがあり、戦いはただの勝負ではなく、内なる戦いとして描かれています!
どんな困難にも真正面から挑む姿勢、そして傷つきながらも前を向く強さが、読む者の胸を熱くします。
見応えがあるのは、緊迫したアクションシーンです!
アルテアが敵を追い詰める場面だけでなく、追い詰められる場面はハラハラさせられます!
また、日常で登場する食卓を囲む和やかな食事場面では、リアルかつ美味しそうなメニューに毎度驚かされますが、その場面ですら、手汗握るア…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「風と光が包む世界で――出会いも戦いも、すべてが鮮やかに広がる」
主人公アルテアの凛とした強さと、時折見せる柔らかな笑顔。その一歩ごとに、読んでいるこちらまで自然と心が弾みます。剣戟の場面では呼吸を忘れるほどの迫力があり、日常の一幕ではふっと肩の力が抜けるような温かさがある。その緩急が絶妙で、ページをめくるたびに「次はどんな景色が見えるのだろう」と胸が高鳴ります。
気づけば、この世界がどこまでも広がっていくように感じられて、どこまでも一緒に旅ができるのが本当に嬉しい。安心して身を委ねられる安定したおもしろさと、その中にちりばめられた驚きや感動が、作品を特別なものにしています。読み進めるほどに、この旅をもっと長く共に歩いていたいと思わせてくれる、そんな素敵…続きを読む - ★★★ Excellent!!!描写力と没入感が紡ぐ、唯一無二の世界観
ただのファンタジーにとどまらない作品でした。
まず語りたいのは、主人公をはじめ登場人物たちへの感情移入の深さです。主人公は圧倒的に強く、美しく、惹きつけられる存在。しかしライバルたちも決して当て馬ではなく、彼らとのぶつかり合いが毎度、緊迫感を生み出して、手に汗握る展開となります。
また、情景描写の鮮やかさや、シリアスな場面で発揮される文章力は圧巻。物語世界への没入感に、ただただ魅了されるばかりでした。
私自身、友人とこの作品について語り合うこともしばしばで、「描写も構成も嫉妬するほどだ!」と盛り上がったことも(笑)。
そして最後には飯テロ要素まで加わり、読後の余韻まで楽しませてくれるの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!剣を振るい、血に塗れ――それでも今日も、食べて、笑う。
金髪の少女剣士、アルテア。
彼女はとても強く、心優しい。
子供たちにも慕われ、食いっぷりも良い。
ひとたび剣を握ると、優雅に舞うように次々と敵を斬り伏せる。
だが――そんなに簡単な世界じゃない。
彼女は旅をしている。ある人を探して。
その道程は、ときに苦しく……
アルテアの強さだけで全てが解決する世界なら、どんなにいいか。
けれども、ここに世界のリアルがある。
ご都合主義には進まないからこそ、目が離せない。
その苦しみこそが、彼女の強さの源なのだと感じた。
出会った仲間、別れた仲間。
飄々とした振る舞いに秘めた想い。
彼女の旅は、まだ、続く――。 - ★★★ Excellent!!!王道ファンタジーがお好きな方は必見です——心を奪われます。
女神のような美しさと、群を抜いた剣術の強さを誇る主人公・アルテア。
天性の人たらしであり、鋭い観察眼を持つ彼女が、周囲の事件を解決しながら
「ある人物」を探して旅に出る物語です。
彼女が巻き込まれるトラブルは、一筋縄ではいかないものばかり。
それでも、チート能力などではなく堅実に勝利を積み上げていく様子は、
心地よい緊張感とカタルシスを与えてくれます。
街の人たちと交わされる温かな会話、人間のふとした優しさ、遠くにある「銀髪の騎士」の面影。
ネタバレになるので多くは語れませんが、
「とにかくたくさんの魅力が詰まった」一作です。
※本作のもう一つの魅力が、美味しそうな料理の描写。
シチ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「さて、私は君の恩人なわけだ。お姉さんの言うこと聞いてもらおうかな?」
市場の喧騒の中、ボロ布のような服を着た少年がひとりの旅人にぶつかる。
彼の目的は盗み。
だが、盗んだ相手はただの旅人ではなかった。
少年が金の袋を男たちに奪われようとしたとき、先程の旅人が現れる。
「その子——私のお金、持ってるんだ。返してくれる?」
金色の髪、澄んだ青の瞳、凛とした気配。
幼い頃に聞いた物語の女神か、あるいは空から舞い降りた妖精のようだった。
「私はアルテア。旅人だよ」
「俺、ミロって言うんだ!」
——運命の出会いが、物語を始める。
少女と少年が紡ぐ、強くて優しいバトルファンタジー、ここに開幕。