増え続けるストック

AIロボット・パー子との禁忌の情報収集を
A君が軽やかに、しかし背徳的に楽しむ様が
非常に(異常に？)個人的には楽しかったです。

日常の断片に鋭いツッコミを叩き込みながら
その裏で血の匂いと死の気配が忍び寄る――
まるで笑いの皮を被った闇の饗宴…！

暗号メッセージは呪文めいていて
事件の影は静かに蠢き
A君の“ストック”は物語という名の黒い刃を研ぎ澄ませて行くに違いありません。

おそらくこの先、日常と深淵が手を組むことになるでしょう。

ちょっとだけ厨二な匂いもする、さくっと読めて、とても面白い背徳譚です。

自称作家のA君は、人型ロボットパーフェクトのパー子に他人のスマホをハッキングさせている。

スマホのメッセージを読ませるために。

人のプライベートなメッセージは面白い。
ツッコミも弾むというもの。

読まれるほうはたまったものじゃあないでしょうが。
が、こちらはフィクションなので、気にせずに存分にお楽しみくださいませ。


……フィクション、なんですよね？
あるいは、あなたのメッセージも誰かに読まれているのかもしれません。
メッセージを送るときは慎重に。
ふふふ。

面白かったです！

主人公は、自称作家で、朝早くから夜遅くまで、
パー子ちゃんと言う人形アンドロイドを使って、他人の私生活を覗くと言うことを趣味としている方です。

……それの何が面白いんだ！？　と思わなくもなかったですが、
これで稼げる理由があるからなのか、

ともすれば小説のネタにでもする気なのでしょうな。

……しかし、
ラストでこの主人公が直面しているとある『悩み』が発覚し、後からものすごい勢いで、
タイトルが追いかけてきます！！

えーーー！！


是非ご一読を！！　おすすめです！！

AくんがAIパー子に傍受させている「情報」。
それが、ある事件を解決する鍵になる…と言うのが今作のあらましですが、事件のは些細なことにすぎません。
パー子に傍受される情報…それらは筒抜けです。こんな風な未来が訪れるのかと思うと、背筋が寒くなります。でもAくんったら全部向上心無くて、家賃の肩代わりさせるだけなんです！そして、小説のストックはどんどん溜まっていく。シュールです。ちょっとコメディも入った、ブラックな掌編です！

人の心を読むのではなく、盗み聞く。それが彼の創作活動――もとい奇妙な日課。
自称作家のA君は、人型AIロボット「パー子」を使って、スマホメッセージをハッキングし、日々他人の人生の断片を楽しんでいる。

ユーモアとブラックジョークを交えながら、SNSに渦巻く人間模様を紐解いていくが、そんな日常に一人の男が現れ、思いもよらぬ「本物」の事件の匂いが漂い始める……。

日常と非日常、軽妙さと不穏さが紙一重で交錯する、皮肉と推理の交錯劇。

　何と言っても設定が面白いです。

　自称作家であるＡ君は、ＡＩの『パー子』に他人の通信を傍受させていた。
　他人がやり取りするメッセージをひそかに閲覧し、他人の秘密を覗き見るという楽しみを得る。

　この感じ、やはり思い出すのはヒッチコックのあの映画。裏窓から他人の生活を覗き見する男が、ある時に犯罪の目撃者になってしまうという。

　ヒッチコックの映画、ウィリアム・アイリッシュが原作を書いた『裏窓』。

　その作品を想起させられた段階で、「これから何が起こる！？」と心をぐいぐい引っ張られます。
　他人の秘密を覗き見ることで、確実に何かヤバいところへ行きついて行く。

　そうしたワクワク感も…続きを読む