いびつな笑顔

主人公の少女は父親に虐待を受けています。
父親は亡き妻との約束を守ろうという強迫観念に囚われ、一方で自分は間違ってるのでは無いかと自責の念に囚われる。
周りの大人たちは虐待に気づきながらも制度や現実のしがらみで動けない。
本当の悪人はいないはずなのに、皆が何とかしたいと思っているはずなのに。
最後、少女と父親が迎えた結末は、やるせなさと共に、こうした虐待問題にどう向き合うかを考えさせる作品です。
読後感は非常に重いものがありますが、ぜひ読んでいただきたい作品です。

虐待事案を題材にした作品。
なので、そもそも気分が悪くなる方は読まないほうがよいと思います。

学校の先生や児童相談所がきちんと動いてくれているのが救いだなぁと思いながら読見進めていました。

結末はダークすぎますが、スカッとはできます。

私は好きです。

こう書くと、不適切で申し訳ない気持ちになりますが、おもしろかったです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（152文字）

母を亡くし父との二人暮らしを送る小学生・沙耶の悲劇を描いた短編です。
一見整然とした日常の裏に潜む闇を鋭く切り取っています。

「いい子」であることを強いられる小学一年生の少女、沙耶。
父の期待に応えようと笑顔を絶やさず必死に努力しますが、
その仮面の下で少女の心は静かに崩壊していきます。

児童虐待や家族のすれ違いという重いテーマを繊細な筆致で描き、
読者の胸に深い余韻を残す心理サスペンスです。
「遊び方を知らない」「好きなことがわからない」と語る沙耶の姿は、
現代社会に潜む見えない虐待の実相を浮かび上がらせます。

悪意なき期待が引き起こす悲劇、
制度の壁に阻まれる善意ある大人たち、
そ…続きを読む

主人公の少女、沙耶は母を亡くし父親との二人暮らしをしています。
彼女は父親から精神的に追い詰められそうなほどの厳しいしつけを受けています。
同時にそれが自分を思ってのことだと理解しているがゆえに、激しい苦悩を背負いながらも笑顔を作り続けるのですが……。

小さな家庭内で起こるサスペンスです。
純粋に父親を愛する少女が追い詰められながらも笑顔を見せ続けた先に起こる悲劇を丁寧な筆致で描いています。
悲しくも恐ろしい短編作品です。是非、ご一読を。

いい子なのに、頑張っているのに、愛しているのに、心配しているのに……。

互いを思いあう父と子の、悪意ではない、純粋な想いが不調和を起こし、悲劇につながっていく様子がリアルで、社会の現実について深く考えさせられます。

なんとかしてあげたい、でも思うようにいかない、そんなもどかしさと切なさ感じました。

読後に余韻の残る作品、ぜひ皆様もおよみくださいませ！

皆、良い子でした。それぞれが、最大限相手のことを考えていました。それぞれが、頑張っていました。それなのに――……頑張り屋さんであるがゆえに、素直に甘えられなかった。その結果、どうなったのか？　読了後に寂寥感が募ります。皆様もお試しあれ。

ボタンの掛け違い。

ありますよね。
ありゃ、ズレてる💦

けど、シャツは着れてる。
自分は気づかないけど、周りから見ると、変。

このお話はそんな、ボタンの掛け違いだったと思いました。
当事者ではなく、物語を紐解く我々にしかわかり得ないことですが。

　この物語を読み終えたとき、しばらく動くことができませんでした。どこにでもあるような住宅街の整然とした家、優等生の娘と社会的地位のある父親。そんな「普通」の家庭の中で、小学一年生の桜井沙耶は、毎日明るく笑顔を見せて過ごしています。けれどもその笑顔は「いい子」でいなければならないという切実な願いから生まれた仮面でした。
　母を病で失った沙耶は、父・誠の愛を求めて必死に努力します。規律と管理が縛り付ける家で、おもちゃも飾り気もなく、勉強机と賞状、そして母の写真だけが並ぶ無機質な沙耶の部屋。物語の中で担任の高橋明日香が沙耶の異変に気づき、保健室の山田先生も彼女の体に残るあざを見つけます。それでも沙…続きを読む

この作品は家族の期待、喪失、孤独、そしてほんの少しの希望をテーマにしており、非常に考えさせられるものでした。沙耶が今後どのように成長していくのか、その過程で彼女が見出す「自分らしさ」がどう変わっていくのか気になるところです。