18R

18歳で成人を迎える一人の女の子が、少しだけ逃避行するお話。
大人になりたくないと思うことそれ自体や、西に行くこと、母のことも考えて逃避行はすぐに終わること、その全てが「まだまだ子供」ということを表現していて面白いです。
18歳で成人って重いですよね。私は20歳で成人でも大学に通っていたので重かったです。
個人的には「社会人」というか「学校に通わず働き始めたら成人」でいいじゃんって思うんですけどね。大人になるって「自分の意見を持つ」ってことですから。

私はよく、自分の将来を想像して憂鬱な気持ちになります。
で、今こんなのでいいのか、やるべきことがあるんじゃないのか、と思って辛くなります。

まだ大人になりたくない、と思っても時っていうのは残酷です。
誰にでも平等に降り注ぐ。

だからこそ、そのもどかしさというか、不安と期待がないまぜになった感情描写がすごくよかったです！

この作品を、最初は傍観者の立ち位置で読み始めました。それこそ同じ電車に乗り合わせただけの人々のように。存在は視認できるけれど、興味を引かれるほどの存在ではない、そんな感覚を持っていました。
作者と読者の年齢がまるで違うので、どこまで読み進めることができるかな、という不安も正直なところ大きかったです。

しかし、そういった大人故に抱いてしまう先入観も、読み進めていくうちにいつの間にか無くなり、言葉巧みに（いい意味で）作中の主人公の行動や思考を追体験させられているような、小気味よい没入感を味わうことができました。主人公の目に映るものや、所作の一つ一つが丁寧に描かれているこそ、成せる業なのかなと思…続きを読む

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このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（17文字）