概要
三途の川の中洲には、立ち食い屋が建っていた。
店名は決まってはいないが、誰ともなく「ヨモツヘグイ屋」と呼ばれている。
元獄卒が運営するその店は、望めば何でも食べさせてくれるが、食べてしまえば二度と此岸(現世)には帰れない。
*さむくておなかがすいたので書きました。
とりあえず1話完結にしておりますが、続きの要望があれば何かするかもしれません。できなかったらすみません。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!地獄の沙汰も飯次第
紹介分の「さむくておなかがすいたので書きました」に微笑ましいものを感じながら読ませていただきました。
作者様の気持ちが多分に乗った温かな食事描写、実に染み入るものが感じられますね。
それにしても、閑古鳥とは何やら寂しいサブタイトルですね?
地獄というのは暇なのでしょうか、それともこの店特有の事情があるのでしょうか。
そんな疑問を僅かばかりに感じながら読み進め、幼き猫チャーンという小さなお客さんとのかわいらしくも壮絶なやり取りに不穏なものを感じ、そしてラストの件で一気に持っていかれました。
ははぁ、そういう視点で読んでみると、そういう伏線は節々に合ったように感じられますね?
温かでありなが…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この先の未来、彼岸までこんなことにならないといいな
飢えと孤独に苛まれた小さな猫さんである主人公がが、あの世の中洲で優しい鬼の店主に救われていく姿を描いたいつくしみの心に満ちたお話です。
過酷な世界で母を失い、生きるために選ばざるを得なかった痛ましい過去が、温かいスープによってそっと癒やされていく描写に、心を打たれました。本当に、心を打たれました。
店主もまた孤独を抱え、魂をもてなすことで自らの存在意義をつないでいる点が切なく、二人の短い出会いが実はお互いを慰める時間になっているのが、ものすごく印象的でした。
飢えや死や孤独といった重いテーマを扱っているのに、読んだ後に、優しい気持ちになれるのは、店主と主人公の間に流れる思いやりの気持ち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!三途の川に佇む、切なくも温かい「最後の食堂」
第四次世界大戦後、ほとんどの命が絶えた世界。三途の川すら閑古鳥が鳴く中、元獄卒の赤鬼が営む「ヨモツヘグイ屋」に、一匹の痩せ細った猫・コタローが辿り着く。
「メシくれ!いっぱい!」
——飢えて母親すら食べて生き延びたコタローに、店主は温かいスープを振る舞う。黄泉戸喫を食べた者は二度と此岸には戻れないが、それでもコタローは夢中で食べ続ける。
日本神話の要素とディストピア的世界観が融合した、独特の舞台設定。救いようのない悲しみの中に、確かに存在する優しさと温もり。「またな」という別れの言葉が胸に沁みる。
静かに、でも確実に心を打つ、珠玉の一編です。