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社会保障を支えるニッポンの移民 - 経済を良くするって、どうすれば
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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるブログ

社会保障を支えるニッポンの移民

 「移民は嫌だ」という国民感情は、困窮や搾取のイメージがあるからだろう。しかし、実態は異なり、「国際雇用民」である。従って、福祉を受けるよりも保険料を負担してニッポンの社会保障を支えている。昨年の出生数は3.8万人も減り、公的年金の将来を揺るがしているが、外国人常用労働者は、前年より23万人増の182万人で、9割が厚生年金に加入している。もはや、年金財政の持続性に欠かせない存在だ。

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 10/24公表の人口動態速報・出生では、過去1年間の前年比が-3.5%だった。婚姻は既に+1.4%と下げ止まっているものの、出生に波及するには、1年はかかりそうで、今年の出生は2.4万人減で70万人を割りそうな状況にある。9年前の2016年には100万人を超えていたから、恐るべき減り方だ。もし、合計特殊出生率が1.44人から1.12人に激減していなければ、20万人くらい多かったことになる。

 他方、8/29に公表された2024年の外国人雇用実態調査では、常用労働者で厚生年金の加入者の増加は21万人ほどになるので、出生減を埋めるほどのインパクトを持つ。出生率を上げることが極めて難しい中で、外国人の増がカバーしてくれることの意義は大きい。ちなみに、この統計は2023年から始まったもので、年金加入の項目は2024年から取り入れられ、今回、初めて結果が明らかになった。 

 また、この調査結果での常用労働者23万人増を労働供給の観点で見ると、2024年の労働力調査での雇用者数の増は47万人であるから、ここでも、いかに大きな貢献になっているかが分かろう。今の強い人手不足の状況の下、これほどの規模となれば、日本の経済成長を押し上げていると考えないわけにはいかない。さて、こうした現実を知るなら、「移民は嫌」ということになるだろうか。

(図)

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 正直、筆者も、移民がこれほど重要になるとは思っていなかった。認識を改めたのは、2024年の公的年金財政検証で、大きな影響が及ぶことを知ってからである。それまでは、経済より人権の問題という整理だった。しかし、数字を前にして、エコノミストにとっても、移民の理解は必須のものになったと言える。それには、是川夕著『ニッポンの移民』(ちくま新書)をおすすめしたい。是川さんの関心が移民にあると聞いたときは、マイナーな問題と思ったものだが、今は不明を恥じるよりほかない。


(今日までの日経)
 海外ファンドM&A4兆1622億円と約2倍。給付付き控除、海外も手探り。日本国債、緩む警戒感 市場「無秩序財政は回避」。造船能力倍増へ3500億円 政府に支援要望。自民、ガソリン減税財源案。基礎収支、24年度並み「補正14兆円」なら赤字。東京の延べ宿泊者数、外国人客が過半占める。