_ [OSS] OSCON Thursday
OSCONの4日目。普通のセッションが目白押し。見たいものもたくさんあるが、
今日は自分も発表しないといけないのがツラい。ま、ただでOSCONに参加するためだと思えば、
たいしたことない、のかもしれないがやっぱりつらいものはつらい。
japan.linux.comに木曜日のレポートが出ている。
Rubyの作者まつもとがRubyの魅力の秘密のひとつ、ブロックについて語る。
OSCONに申し込んだときには素晴らしいアイディアだと思ったのだが、
準備している間にMartin Fowlerに先を越されてしまう。
腹いせに例題をいただくことにする。いや、腹いせなんてとんでもないです、ほんとは感謝してます。
Martin、いつもありがとうね〜。
苦労しながら発表したスライドはここ。
で、私のプレゼンを見て落ちたウロコの話(ブロックのパワーに気がついた話、英文)。
_ 英語で技術プレゼンテーション
英語の発表はかなりこなしたので、
私レベルの英語(日常会話は聞き取れる、難しい話はできない)で、
技術プレゼンをする秘訣が身についてきた。万人向けではないかもしれないが、
ちょうどいい機会なので紹介しておく。
- スライドを用意する。ところどころ重要でないところで日本語を入れておくと目を引く。
私の場合は名前が「まつもと ゆきひろ」のまま。
日本語だと4,5分に1枚のペースで用意するのだが、
英語の場合、脱線したり関連したエピソードをその場で挿入する余裕はないので、
1分とか40秒に1枚のペースで用意する。
OSCONのようなオープンソース関連のイベントでは一般にユーモアが評価されるので
ジョークを織りまぜておく。今回は「ルビま」のRuby on Railsネタを拝借しました。
- スライドをコピーする。オリジナルのスライドは要点の箇条書きだが、
こちらには喋る内容を英語ですべて書く。数字とかもtwenty-oh-fiveのように書き下しておく。
原稿全部を書くと1枚のスライドに収まらないので、長くなれば積極的に数枚に分割する。
長い文だとどこまで読んだかわからなくなるので。
あと、発表用のスライド(オリジナル)でページ替えをするタイミング、
指示棒で指すタイミングなども<space>、<point>などの記号で書いておく。
- 発表の場所ではPCを2台並べて用意し、片方で発表用のスライド、
もう一方で原稿用のスライドを表示する。
デュアルヘッドなマシンならそんなことはしなくていいのかな。
私の場合はMagicPointを使うが、別にツールは関係ない。
- 発表の時には、時折会場の人を見ながら、原稿を読む。
一般に原稿を読むのはプレゼンとしてはサイテーなスタイルなのだが、
自分が英語がヘタクソなのを忘れてはいけない。
喋ることがわからなくなって、頭が真っ白になったり、
わけのわからないことを言って会場を混乱させるよりは読んだ方がマシ。
- で、おそらくは時間が余る。全時間使うつもりでスライド準備しても余る。で、質問タイムにする。
英語がわかんないときには困った顔をしてると助けてもらえることがある。
今回はインド系の人の英語が聞き取れなかった。
えー、上のテクニックはあくまでも「最低レベルを確保する」ためのものなので、
上級の人は馬鹿にしてくださって構いません。ええ、英語できませんとも(開きなおり)。
「JavaプログラマがRubyについて知っておくべき10のこと」。
Javaについて知っている人が間違いやすいRubyとJavaとの性質の違い。
- Learn Ruby Conventions
- Everything is an Object
- (Almost) Everything is a Message
- Ruby is Way More Dynamic Than You Expect
- Objects are Strongly Typed, Not Statically Typed
- Don’t Worry About Interfaces
- Mix it up with Mix-ins
- Embrace Closures
- ri is Your Friend, irb is Your Other Friend
- Write Less Code
- Ruby Makes Programming Fun Again
結構面白いと思った。Javaしか知らないなら確かにこの辺に引っかかるだろうなあ。
スライドはこちら。
ただし私は「Objects are Strongly Typed, Not Statically Typed」の辺りで退席せねばならなかった。
次の用事があったのだ。
_ [OSS] Designers' Lunch
O'ReillyのAllison Randalの手配でランチ。
彼女はPerl Foundationの会長であると同時に、Perl6のコーディネータでもある。
ランチの参加者は
- Allison Randal (Perl / Perl Foundation)
- Larry Wall (Perl /the Wall nuthouse)
LasmusRasmus Lerdorf (PHP / Yahoo!)
- Guido van Rossum (Python / Essential Security)
- まつもと ゆきひろ (Ruby / netlab.jp)
と豪華。ここに爆弾を仕掛けると...というのは2年前に使ったネタだな。
場所はポートランドダウンタウンのHuber's。
非常に楽しい話がたくさんできたのだが、後悔していることもたくさんある。
出た話題は
- 最近ホットなトピックは? - Unicodeかなあ (Rasmus)
- 言語デザインを最初から完璧にするのは無理、段階的に発展する。
でも、後から(偶然)しっくり決まることもあると思う。
J.K.Rowlingも最初からボルデモートがアナグラムだと構想していたわけではないと思う。(Guido)
-- Harry Potterに言及するGuidoはちょっと意外
- Larryは食べられないものがいっぱい。パンもダメらしい
- PHPは言語じゃない。バッチ的にも使えるようになったけど、使うべきというわけじゃない。
私は(他のツールについて改めて学ぶのが面倒なので)PHPをバッチに使うこともあるけど。(Rasmus)
- プレゼン苦手。OSCONに来るのは楽しいけど。あ、来年はLightning Talkのコーディネータになるというのはどうだろうか。しゃべらなくて済むし。(まつもと)
あ、それ良いアイディアね (Allison)
- InsaneさではPerlの連中にかなわない。君達は桁違いだ。(Guido)
などなど。
後悔しているのは
- 全員が揃っている写真を撮らなかったこと。一生の不覚
- もっといろいろ聞きたいことがあったのに話せなかったこと。もっと英語が上手ならなあ。
私のミーハー心は満足されたがな。
Why the lucky stiffによるプレゼンテーション。本来は1:45pmからのコマに割り当てられていたのだが、
- 3:20pmからのbreakタイム(約1時間)に
- Portland Ballroom(いちばんでっかい部屋)
に変更になった。エレキギターを演奏するし、騒いでも迷惑にならない部屋ということなのだろうが、
たいしたものだ。内容は昨日FOSCONで発表したものとほぼ同じだが、いくつか新作があった。
逆にinstall.rbネタは省略された模様。爆笑の渦だった。
もっとも雰囲気で笑っていたので、冷静に考えると聞き取れなかったジョークもたくさんあった。
_ Skype
家族とSkypeで話す。これは便利だ。ただ、会場でラップトップに向かって日本語で話しかけていると
自分がバカになったような気がするのは欠点だ。今度はマイクつきヘッドフォンを持参しようかな。
_ Reception
で、会場のインターネット接続を利用していると、通りすがりの人に「Receptionはどうだった?」と尋ねられる。「いや、Receptionには出てないんだけど...」と答えると、怪訝な顔をしている。私も混乱気味。
で、辞書を引くとReceptionには「もてなし、歓迎会」などの他に「受信状態」という意味もあるのだった。
知らなかった。勉強になった。
Apple Developer Connection Receptionに顔を出して、食べ物をいただく。ブラジルからきた人たち(ひとりは日系三世)と話をしたり、
Perl5な人々と話をしたり。Perl5ピープルはパーティに誘ってくれたけど、
明日早朝にはもう出発しないといけないので、お断りする。貴重な機会を逃したようにも思うけど。
特に「Perl5をthread safeにしたい」という人とじっくり話がしたかった。
「書き込みだけlockすればなんとかなりそう」といってたけど。
RubyでもまずいのはGCのいくつかとst.cのハッシュテーブルがほとんどを占めるような気がするから、
あの辺をなんとかすることで、なんとかなるのだろうか。
_ 深夜テレビ
今晩は『Kill Bill vol.1』。こんなブっ飛んだ映画だとは知らなかった。
PCを2台用意するというのは参考になりました.
日本で発表するスライドは絵が多いのですが,海外で発表する場合,まつもとさんは絵と文字どちらが多いですか?
文字を中心にした方が良いと聞くのですが,実際に発表されているのを見ると絵ばっかりのスライドもあれば,文字ばっかりのスライドがあったり.人によって,まちまちだなぁと思っています.
私は字の方が多いです。要点を書いておくと発音が悪くてもわかってもらえるので。もっと英語が上手な人はそうする必然性はないでしょうが。
で、外人はどうしているかというと、まちまちです。字ばかりの人もいますし、絵を多用する人もいます。今回だとLarry WallのState of Onionは絵ばかり、Guido van RossumのState of Python Unionは字ばかりでしたね。
Rasmus Lerdorfのつづりが違う気がする…。へぇー、2002年からYahoo!に居るんだ。そうなんだー。しかしいや、すごいランチですね。
Rasmusの名前直しておきました。
昨日はBrianなんて呼んでるし(どこから来たんだ、その名前)。
失礼な人ですね、私。
> Harry Potterに言及するGuidoはちょっと意外
http://www.artima.com/weblogs/viewpost.jsp?thread=123234
The Harry Potter Theory of Programming Language Design
apacheのBrian Behlendorfとごっちゃになってる気が…って"-dorf"しか合ってませんけど。
2002年からということは、Yahoo!の中の人がPHPConでプレゼンした時には、既にYahoo!にいたということですかね?
http://public.yahoo.com/~radwin/talks/yahoo-phpcon2002.htm