この記事のサマリー
・「梯子を外される」は、先に立ち行動していたのに仲間が手を引いた結果、孤立する状況を表す慣用句です。
・類語には、「煮湯を飲まされる」「孤立無援」「裏切られる」などがあります。
・英語表現は、“ be left high and dry ”、“ wash one’s hands of ”があります。
「梯子を外される」という言い回しは、意味を知っているつもりでも、使いどころに迷いが生じやすい表現です。人間関係の感情を強く連想させるため、場面によっては重く受け取られることもありますよね。
この記事では、言葉の本来の意味を軸に、誤解が生じやすいポイントや判断の目安を整理していきます。
「梯子を外される」の意味と由来
まずは「梯子を外される」の意味を確認していきましょう。
本来の意味
「梯子を外される」は、「ともに事に当たっていた仲間が手を引いた結果、孤立する状況」を表します。
重要なのは、最初は協力関係にあった点です。最初から一人だった状態を指す言葉ではありません。あくまで途中で支えが失われ、取り残される状態を指します。
辞書では次のように説明されていますよ。なお、「梯子が外される」と言い換えても、意味は変わりません。
梯子(はしご)が外(はず)される
はしごをはずされて高い所に置きざりにされる。転じて、先に立って事に当たっていたのに、仲間が手を引いたために孤立する。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

由来と比喩の背景
この表現は、高い所に上った後で梯子を外され、降りられなくなる様子に由来します。物理的に動けなくなる状態を、人間関係や状況の変化に重ねた比喩です。
危険や困難そのものより、支えが失われた結果の孤立を強調する点が特徴です。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「梯子を外される」の使い方を例文でチェック!
「梯子を外される」はどのような使い方をされるのか、具体的な例文とともに確認していきましょう。
「上司の指示どおりに進めていた企画だったのに、トラブルが起きた途端、梯子を外されて一人で責任を負うことになった」
最初は上司の指示と後押しがあり、共同で進めていた案件である点が重要です。問題が表面化した瞬間に支援が消え、結果として孤立した… まさに「梯子を外される」の典型的な使い方です。
「みんなで決めた方針だったはずなのに、反対意見が出た途端、仲間に梯子を外されてしまった」
こちらも「最初は合意と連帯があった」ことが前提になっています。途中で仲間が態度を変え、責任や立場を一人に押しつける状況を表していますよ。
「協力すると言っていた取引先が突然手を引き、彼は交渉の場で梯子を外される形になった」
この例文では「協力を約束していた相手」が途中で撤退しています。最初に支えがあり、その支えが失われた結果、交渉の場で孤立する構造が明確です。

類語や言い換え表現は?
「梯子を外される」の意味や使い方を確認すると、日常でも使われる言葉であることが分かります。そうした言葉であれば、言い換え表現もあわせて押さえておきたいですね。
煮湯(にえゆ)を飲まされる
信用していた相手に裏切られ、ひどい目に遭うことを表します。
例文:幼なじみに恋人を奪われて、煮湯を飲まされた。
孤立無援(こりつむえん)
仲間がおらず一人ぼっちで、援助者がいないことを意味します。ただし、「孤立無援」は協力関係にあることを前提とはしていません。
裏切られる
味方だったはずが敵になることや、約束や期待などに反することを意味します。一番身近で使う表現ですね。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
英語表現を使う際の考え方
「梯子を外される」は日本の慣用句ですが、英語にも近い意味を持つ表現があります。
“be left high and dry”は、「置き去りにされる」「見捨てられる」という意味で使われます。「梯子を外される」と同様に、支えが失われた状況を表します。
例文:They left him high and dry when he failed in business.
(彼が事業で失敗した時、皆、彼を見捨てた。)
“wash one’s hands of”は、「〜から手を引く」という意味を持ちます。関係や関与を断つ場面で使われる表現です。
例文:She washed her hands of the group.
(彼女はそのグループから一切手を引いた。)

「梯子を外される」に関するFAQ
ここでは、「梯子を外される」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「梯子を外される」はどんな意味の言葉ですか?
A:先に立って事に当たっていたのに、仲間が手を引いたために孤立することを表す言葉です。
Q2:「梯子を外される」は日常会話やビジネスシーンでも使えますか?
A:使えますが、いい状況を表す言葉ではないことに留意しましょう。相手や場面を選んで使う配慮が求められます。
Q3:NGな使い方はありますか?
A:最初から一人で行っていた行動や、支えが存在しなかった場面では使えないので注意しましょう。
最後に
「梯子を外される」は、頼りにしていた流れや約束が、ふと消えてしまうような場面を表す言葉です。少し切ない響きはありますが、誰にでも起こり得る出来事でもあります。
意味を知っていると、状況を言葉で受け止めやすくなり、気持ちを整える助けにもなりますね。思いがけない変化の中にも、次の足場が見つかることはあります。深呼吸をして、次の一歩を再び歩み出したいですね。
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