認知症予防に効果的なことは何か。医師の平松類さんは「昔の写真を見ながら、過去にあったことを思い出すと、認知機能の保持につながるから、アルバムを作るといい。その際には、子どもやペットの写真以外も意識して撮るといい」という――。
※本稿は、平松類『それってホントに老化のせい?』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「記憶力が悪くなった」の根本原因
あれこれ、思い出せないことが増えてくると、みなさん「記憶力が悪くなった」と落ち込むのですが、そうではありません。
記憶していることが多すぎて、うまく引き出せないだけです。
私たちの記憶は、ある程度の期間は脳のなかの取り出しやすい場所に置いてありますが、少し時間が経つと重要度を見極めて、「それほど重要ではないもの」は、記憶の奥のほうへと自動的に振り分けを行ないます。机の奥底にしまい込んだ書類のように見つけにくくなっているのです。
普段の生活で必要としていない固有名詞などは、ウン十年分蓄積された記憶に埋もれているはずですから、探し出すのはかなり大変なこと。ふいに思い出せなくても不思議ではありません。
もし、どうしても覚えておかなければいけないことであれば、関連付けて覚えておくと記憶が引き出しやすくなります。たとえば、この俳優さんは、AとBの映画に出ていた。共演していたのはCさんで、舞台は△△県だったというように。
でも、映画評論家のような仕事をしているわけでもなければ、そんな記憶、忘れてしまってもまったく構わないはずです。ネットで検索すればいいだけ。
ただし、生活のなかで問題になるのは、忘れたことでトラブルになるようなケースです。パートナーの誕生日や記念日を忘れて、奥さんに怒られる旦那さんの話は昔からなくなりません。
