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JP2590004B2 - くし形修飾微小電極セルおよびその製造方法 - Google Patents
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JP2590004B2 - くし形修飾微小電極セルおよびその製造方法 - Google Patents

くし形修飾微小電極セルおよびその製造方法

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JP2590004B2 JP63168972A JP16897288A JP2590004B2 JP 2590004 B2 JP2590004 B2 JP 2590004B2 JP 63168972 A JP63168972 A JP 63168972A JP 16897288 A JP16897288 A JP 16897288A JP 2590004 B2 JP2590004 B2 JP 2590004B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、かみ合った一対のくし形作用電極を備えた
くし形修飾微小電極セルおよびその製造方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
水中、有機溶媒中、生体中などに含まれる、イオン、
分子の定性あるいは定量分析の方法として電気化学的な
測定方法が知られている。電気化学測定は通常、物質検
出用の1本の作用電極、およびその対向電極、電位を規
定するための基準となる参照物質を含む1本の参照電極
の3電極をポテンシオスタットなどの測定機に接続して
行う。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、この測定系は、溶液中のイオンや反応
部位が直接電極と接することのできる分子などは直接検
出できるが、タンパク質や酵素など反応部位が覆われて
いる分子の検出は困難である。また、物質によっては酸
化還元電位が高く、通常の測定限界を越えてしまう場合
がある。加えて、同じ酸化還元電位を持つ2種以上のイ
オンあるいは分子が混合している場合、これらを区別し
て同定することもできない。
これらの欠点を解消するために、電極表面に機能性の
材料で修飾(被覆)する方法が知られている。すなわ
ち、極めて低濃度のイオンや分子の検出・定量や特定分
子の検出たのめに、酵素などの分子選択性を有する触媒
で電極を修飾することが行われている。例えば、グルコ
ース酸化酵素で修飾された電極を用いると、酵素はグル
コースとのみ反応するため、生じた過酸化水素を電極で
電気化学的に定量することにより、検体中のグルコース
のみを定量することができる。ところが、この方法によ
ると、電極表面が酵素膜で被覆されているため、生成し
た過酸化水素が電極表面へ到達しにくく、感度が低い、
応答速度が遅いなどの問題がある。
また、酵素など、反応部位が直接電極と接触できない
試料や酸化還元電位の高い試料の場合、メディエータと
呼ばれる低分子の酸化還元活性物質を混合あるいは化学
的に結合させ、これを電極上に固定化させ、試料の酸化
還元を一旦メディエータで行い、メディエータが電極と
反応することにより、目的物質の検出を行うという方法
が取られている。しかし、この場合もメディエータが固
体膜中にあるため、伝達速度が遅く、感度が低い、応答
速度が遅いなどの問題がある。
さらに、チトクロムCなどの電子伝達系・エネルギ伝
達系の酵素で電極を修飾し、エネルギ変換や電気化学的
光合成を試みた場合、反応が何段階にもおよぶため、そ
れぞれの段階に応じて電極電位を設定する必要がある
が、1つの作用電極しか持たない系では、実現が困難で
ある。
一方、微小領域の電気化学測定を行う手段として微小
電極が用いられている。微小電極は生体計測用電極、バ
イオセンサなどへの応用が数多く提案されている。しか
し、この多くはガラス細管中に金属ワイヤ,炭素繊維,
金属塩化物等を封入して作製したもので、この場合、全
く同じ電極形状のものを作製することは困難であり、得
られる電気化学特性も電極形状によりそれぞれ異なるた
め、リング・ディスク電極のように電極形状、電極間距
離が重要な要素となる測定セルを構成することができな
い。また、通常の3電極を用いた測定でも定性的なデー
タしか得られず、定量的なデータが必要な場合には前も
って、電極を検定しておく必要があり、多大な測定時間
を必要とする。また、測定により電極が汚染される等の
理由により検定することができない場合には、定量的な
データを得ることが非常に困難である。
これに対し、微小電極を製作する方法として近年、リ
ソグラフィ技術の応用が提案されている。この方法で
は、レジストを基板に塗布し、電極パターンを有する画
像マスクを重ね、露光、および現像した後、金属薄膜を
蒸着法等により形成させた後、レジストを剥離させて、
基板上に微小な電極を得ている。この方法では、任意の
形状、一定の電極間距離を持つ微小電極を多量に再現性
良く、基板上に作製することができるため、近接させた
2本(一対)の作用電極を作製すれば、リング・ディス
ク電極と同様な測定が可能な電極対や、電気化学素子、
センサのベース電極などへの応用が可能である。この微
細電極作製法を応用して、これまでにミクロな電気化学
トランジスタ(例えば、J.Phys.Chem.89,5133(198
5))、くし形白金電極を利用した低分子、または高分
子錯体の電気化学測定(Anal.Chem.,58,601(1986))
等が行われている。
しかしながら、これらの微細電極で電気化学測定用セ
ルやセンサなどの電気化学素子を構成するためには、こ
れら微細電極以外に参照電極や対向電極を別に必要と
し、測定セル全体ではサイズが増加するため、微小領域
における電気化学反応の測定ができない。また、作用電
極である微細電極と外部においた参照電極または対向電
極との間の距離が増加するため、固体電解質等高抵抗な
系の測定ではシャープな応答が得られにくいなどの問題
がある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はこのような課題を解決するためになされたも
ので、かみ合った一対のくし形作用電極,参照電極,対
向電極を同一基板上に形成し、くし形作用電極のどちら
か一方を触媒作用のある酸化還元性物質で修飾するよう
にしたものである。
また、絶縁性の基板上に所定方法により電極部,リー
ド部および接続パッド部を形成して、かみ合った一対の
くし形作用電極,参照電極,対向電極を形成し、ついで
これら電極の電極部および接続パッド部のみを残してそ
のリード部を絶縁膜で覆い、且つ参照電極を酸化還元性
物質で覆い、くし形作用電極のどちらか一方を触媒作用
のある酸化還元性物質で修飾するようにしたものであ
る。
〔作用〕
したがってこの発明によれば、外部電極を用いること
なく、従来の修飾電極より優れた電気化学測定を行うこ
とが可能となる。
〔実施例〕
以下、本発明に係るくし形修飾微小電極セルおよびそ
の製造方法を詳細に説明する。
まず、この発明の具体的な実施例の説明に入る前に、
その概説について述べる。すなわち、本発明は、かみ合
った一対のくし形作用電極を備えた電気化学測定用微小
電極セルに関し、金属または半導体または半金属で形成
された一対の近接したくし形作用電極、対向電極、参照
電極を基板上に一体化し、くし形作用電極のどちらか一
方を触媒作用のある酸化還元性物質で覆うことを特徴と
する。また、この電気化学測定用微小電極セルの製造方
法として、表面あるいは全体が絶縁性の基板上に、リフ
トオフ法またはエッチング法により、金属または半導体
または半金属の電極部、リード部、および接続パッド部
を形成して、一対のくし形作用電極,参照電極,対向電
極を形成し、ついでこれら電極の電極部および接続パッ
ド部のみを残してリード部を絶縁膜で覆い、参照電極を
酸化還元物質で被覆し、くし形作用電極のどちから一方
を触媒作用のある酸化還元性物質で覆うことを特徴とす
る。
表面あるいは全体が絶縁性の基板としては、酸化膜付
きシリコン基板、石英板、酸化アルミニウム基板、ガラ
ス基板、プラスチック基板などを挙げることができる。
電極用の金属としては、金、白金、銀、クロム、チタ
ン、ステンレスなどを挙げることができる。電極用の半
導体としては、pおよびn型シリコン、pおよびn型ゲ
ルマニウム、硫化カドミウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、ガリウムリン、ガリウム砒素、インジウムリン、カ
ドミムセレン、カドミウムテルル、二硫化モリブデン、
セレン化タングステン、二酸化銅、酸化スズ、酸化イン
ジウム、インジウムスズ酸化物などを挙げることができ
る。半金属としては、導電性カーボンを挙げることがで
きる。参照電極上の参照物質としては、銀、塩化銀、ポ
リビニルフェロセン等を挙げることができる。絶縁膜と
しては、酸化シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコ
ン、シリコーン樹脂、ポリイミドおよびその誘導体、エ
ポキシ樹脂、高分子熱硬化物などを挙げることができ
る。
また、微小電極を作製する際には、基板上にレジスト
を塗布し、そこに電極のパターンを有する画像マスクを
重ね、あるいは電子線などを用いて直接パターンを露光
し、現像してパターンを基板上のレジストに転写した
後、スパッタ、蒸着、CVD、塗布法により金属、半導
体、または半金属薄膜を形成し、その後レジストを剥離
する基板上に4電極からなる微細電気化学セルを得るリ
フトオフ法や、基板上にスパッタ、蒸着、CVD、塗布法
により金属、半導体、または半金属薄膜を形成し、その
上にレジストを塗布し、電極のパターンを有する画像マ
スクを重ね、あるいは電子線などを用いて直接パターン
を露光し、現像してパターンをレジストに転写した後、
これをマスクとして下地の金属、半導体、または半金属
をエッチングすることにより、基板上に4電極からなる
微細電気化学セルを得るエッチング法などを用いること
ができる。
参照電極を作製する際には、くし形作用電極以外の2
本の電極のうち1本の電極上に支持物となる金属、有機
酸化還元性高分子をメッキ、電解重合法により、形成し
て作製する。
くし形作用電極のどちらか一方を触媒作用のある酸化
還元性物質で覆う方法として、この物質にビニル基など
の電解重合を起こす官能基を導入し、これをテトラエチ
ルパークロレートなどの支持電解質と共にアセトニトリ
ルなどの適当な溶媒に溶解し、これにくし形作用電極と
白金などの対極を浸漬したのち、くし形作用電極に電圧
を印加することにより、くし形作用電極上に電解重合さ
せる方法が挙げられる。また、触媒作用のある酸化還元
性物質をピロールなどの電解重合性物質に混合し、これ
を電解重合させることにより、複合重合膜としてくし形
作用電極上に析出させる方法も挙げることができる。
以下、その具体的な実施例を列挙する。なお、本発明
は、以下に示した実施例のみに限定されるものではな
い。
実施例1: 1μmの酸化膜付シリコンウェハ(大阪チタニウム社
製)上に、フォトレジスト(シップレー社製 AZ1400-2
7)を1μmの厚みに塗布した。このレシズト塗布シリ
コンウェハをオーブン中に入れ、80℃,30分の条件でベ
ークした。その後、クロムマスクを用いて、マスクアラ
イナ(キヤノン製PLF-501)により20秒間密着露光し
た。露光したシリコンウェハをレジスト現像液(シプレ
ー社製、AZデベロパー)の中で、20℃,120秒間現像を行
い、水洗、乾燥してマスクパターンをレジストに転写し
た。
このレジストパターン付き基板をスパッタ装置(アネ
ルバ製:SPF-332H)内の所定位置に取り付け、クロム、
および白金を順次スパッタデポを行った。圧力10-2Tor
r、アルゴン雰囲気で、クロム:10秒、白金:1分間スパッ
タを行い、全体で100nmの膜厚とした。その後、基板を
メチルエチルケトン中に浸漬して超音波処理を行い、電
極形成部分以外のレジストを剥離して電極パターンを得
た。その後、その基板の参照電極部分のみに電流密度1m
A、10秒間通電して、銀メッキを行い、参照電極上へ銀
を析出させた。
メッキ後、スピンオングラス(東京応化製 OCD Type
−7)を用い、その基板上にスピンコート法により塗布
した後、450℃で熱硬化し、再び、レジストを基板上へ
塗布し、80℃,30分ベーキングを行った後、マスクを用
いて露光、現像し、くし形作用電極部分、参照電極先端
部分、対向電極部分を残して、レジストで覆った。次
に、そのレジストをマスクにして、スピンオングラスを
CF4ガスによりエッチングし(アネルバ製:DEM-451を使
用)、くし形作用電極部分、参照電極先端部分、対向電
極部分を露出させた。
次に、くし形作用電極の一方のみにリード線を接続
し、グルコースオキシターゼとピロールの水溶液に浸漬
し、電解重合することにより、グリコースオキシターゼ
を包括したピロール重合膜をくし形作用電極上に析出さ
せた。
第2図に、このようにして作製した電気化学測定用セ
ルの模式図を示す。同図において、1−1および2−1
はくし形作用電極のリード部分、3は参照電極、4は対
向電極、5は絶縁膜(スピンオングラス膜)、6は酸化
膜付きシリコン基板、7は電極パッドである。図中、8
で示す部分が、かみ合った一対のくし形作用電極部分
で、その部分拡大図を第1図に示す。本例においては、
くし形作用電極1の電極部1−2にグルコースオキシタ
ーゼを包括したピロール重合膜9を析出させている。ま
た、本例において、かみ合った一対のくし形作用電極の
ピッチ:5μm、ギャップ:2μm、くしの長さ:2mmとし
た。
グルコースを種々の濃度で溶解したリン酸緩衝液(0.
1mol/l、pH6.8)をこのくし形作用電極部分8に滴下
し、修飾されていないくし形作用電極2、参照電極3、
対向電極4のパッド7をそれぞれポテンシオスタットに
リード線を介して接続した。次に、くし形作用電極2に
0.6Vの電位を印加したところ、対向して存在する修飾さ
れたくし形作用電極1のグルコースオキシダーゼの作用
により生成した過酸化水素の酸化電位が観測された。電
流は、電圧印加後1秒以内に安定し、電流量は、グルコ
ース1mmol/lあたり10mAであった。一方、酵素で修飾さ
れたくし形作用電極1を用いてこれに電位を印加したと
ころ、電流量はグルコース1mmol/l当たり500nAであっ
た。以上示したように、酵素で修飾されたくし形電極1
にかみ合って配置された、修飾されていないくし形電極
2の方に電位を印加して用いることにより感度が向上し
た。
また、サンプル溶液1ml以下で充分に行うことがで
き、フラクトースなどの不純物を多量に含むグルコース
溶液においても、不純物に影響されることなく、グルコ
ースを選択的に検出できた。
実施例2: 1μmの酸化膜付きシリコンウェハ(大阪チタニウム
社製)上にフォトレジスト(シップレー社製 AZ1400-2
7)を1μmの厚みに塗布した。このレジスト塗布シリ
コンウェハをオーブン中に入れ、80℃,30分の条件でベ
ークした。その後、クロムマスクを用いて、マスクアラ
イナ(キヤノン製)により20秒間密着露光した。露光し
たシリコンウェハはレジスト現像液(シプレー社製、AZ
デベロパー)の中で、20℃,120秒間現像を行い、水洗、
乾燥してマスクパターンをレジストに転写した。
このレジストパターン付き基板を真空蒸着装置(日本
電子製)内の所定位置に取り付け、抵抗線加熱蒸着法に
より、クロムおよび金を順次蒸着させた。クロムは5秒
間、金は3分間、圧力10-6Torr下で蒸着し、全体で100
〜200nmの膜厚になるように蒸着を行った。その後、基
板をメチルエチルケトン中に浸漬して超音波処理を行
い、電極形成部分以外のレジストを剥離して電極パター
ンを得た。かみ合ったくし形作用電極の長さ:2mm、ピッ
チ:8μm、ギャップ:5μmとした。その後、参照電極分
のみに実施例1と同一条件で、銀メッキを行い、参照電
極上へ銀を析出させた。
メッキ後、スピンオングラス(東京応化製 OCD Type
−7)を用い、その基板上にスピンコート法により塗布
した後、450℃で熱硬化し、再び、レジストを基板上へ
塗布し、80℃,30分ベーキングを行った後、マスクを用
いて露光、現像し、くし形作用電極部分、参照電極先端
部分、対向電極部分を残して、レジストで覆った。次
に、そのレジストをマスクにして、スピンオングラスを
CF4ガスによりエッチングし(アネルバ製:DEM-451を使
用)、くし形作用電極部分、参照電極先端部分、対向電
極部分を露出させた。
次に、酵素で修飾されていないくし形作用電極に0.6
ボルトの電位を印加したところ、グルコースの濃度に応
じて電流が観測された。電流量は、グルコース1mmol/l
当たり12mAであった。一方、酵素で修飾された電極に電
位を印加して用いた場合、電流量は、グルコース1mmol/
l当たり600nAであった。以上示したように、酵素で修飾
されたくし形電極にかみ合って配置された、修飾されて
いないくし形電極の方に電位を印加して用いることによ
り感度が向上した。
実施例3: 厚み0.5mmの石英基板上に、電子線レジスト(Φ−MA
C、ダイキン工業社製)を0.5μmの厚みに塗布した。こ
のレジスト塗布石英基板をオーブン中に入れ、180℃,60
分の条件でベークした。その後、電子線露光装置(日本
電子:JSM-840)に入れ、電子線の加速電圧:5kV,露光量:
5μC/cm2の条件で、かみ合ったくし形部分のみを露光し
た。電子線露光後、専用現像液により現像、洗浄したレ
ジストパターン付き基板は、実施例1と同様な方法で順
次クロム、白金のスパッタを行った後、レジストを剥離
除去した。この基板にフォトレジスト(シップレー社製
AZ1400-27)を1μmの厚みに塗布し、80℃,30分,ベ
ーク後、フォトマスクを位置合わせを行ってレジスト付
き基板に密着させ、リード,参照電極,対向電極および
パッドのパターンを実施例2と同一条件で露光後、現
像、クリーニング、クロム、白金のスパッタデポジショ
ン、レジストの剥離を行い、電極セルパターンを形成し
た。作製したかみ合ったくし形作用電極サイズは、ピッ
チ:3.5μm、ギャップ:0.5μm、くしの長さ:1mmとし
た。
電極セルパターンを形成した基板は、実施例1と同様
な方法で参照電極上への銀メッキ、4本の電極、パッド
部分以外へのスピオングラス絶縁膜作製を行って、微小
電気化学測定用電極セルを得た。次に、くし形作用電極
の一方のみにリード線を接続し、グルコースオキシター
ゼとピロールの水溶液に浸漬し、電解重合することによ
り、グルコースオキシターゼを包括したピロール重合膜
をくし形作用電極上に析出させた。
次に、このくし形作用電極をリン酸緩衝液(0.1mmol/
l、pH6.8)をキャリアとするフローセルに組み込み、濃
度10mmol/lのグルコース試料1mlを流速0.8ml/minのもと
で注入し、出力電流を記録した。その結果、くし形作用
電極は直ちに応答し、100msecでピークに達し、500msec
で元のベースラインに戻った。
実施例4: 実施例1と同様の方法でくし形作用電極を作製した
後、一方のくし形作用電極をリード線を介してポテンシ
オスタット装置に接続した。コバルトテトラ(アミノフ
ェニル)ポリフィリンおよびテトラエチルアンモニウム
パークロレートがそれぞれ1mmol/l、0.1mol/lの濃度で
溶解したアセトニトリル溶液に、このくし形作用電極を
浸漬し、電位1.1Vで1分間電解重合した。
次に、上述の方法で得られたくし形作用電極の一方が
コバルトテトラ(アミノフェニル)ポルフィリンで修飾
されたセルを50mmol/lの硫酸水溶液に浸漬し、酸素ガス
を吹き込んだ。修飾された電極の電位を−0.2V、もう一
方の電極の電位を0.6Vに設定したところ、修飾された電
極では還元されたポルフィリンの触媒作用による酸素の
還元、もう一方の電極では還元された酸素の生成物であ
る過酸化水素の酸化による電流が観測された。修飾され
た電極の電流のもう一方の電極の電流に対する割合(捕
捉率)は、60%であった。さらに、修飾された電極の電
位を0.2Vにしたところ、どちらの電極も電流が流れなく
なった。
また、ポリフィリンで修飾していないセルを用いた場
合、酸素の還元のためには、電極電位を−0.7Vまで下げ
なくてはならなかった。
実施例5〜8: 実施例1と同様な方法により、くし形長:2mm,ピッチ:
4μm,ギャップ:1μm(実施例5)、ピッチ:6μm,ギャ
ップ:3μm(実施例6)、ピッチ:7μm,ギャップ:4μm
(実施例7)の、実施例3と同様な方法でくし形長:1m
m,ピッチ:1.5μm,ギャップ:0.5μm(実施例8)のかみ
合った一対の微小くし形作用電極を含む微小電気化学測
定用電極セルを作製した。これらの電極と実施例2,3で
作製したピロールで修飾する前の電極に、実施例4の方
法でポルフィリン膜を付けた。
これらの電極セルを用いて実施例4と同様な方法で測
定した過酸化水素の捕捉率と微小くし形作用電極サイズ
の関係を、実施例2〜4の電極を用いて測定した結果と
合わせて下記表に示す。
いずれのセルも、修飾した電極の電位を変化させるこ
とにより過酸化水素の発生をコントロール することができた。
以上その具体的な実施例を列挙したように、本実施例
による電気化学測定用微小セルによれば、リソラフィ技
術を用いて作製するため、任意のサイズ,形状,電極間
距離の、一対のくし形作用電極、参照電極、対向電極を
持つ測定セルを安価で多量に得ることができる。
また、従来の修飾電極のように、目的物質検出のため
の電極が被覆されていないため、高感度で、応答速度が
速い。
さらに、電極を修飾する材料を選ぶことにより、特定
の物質のみに応答するようにしたり、応答電位を変化さ
せ、妨害物質の応答電位と異なる電位で検出するように
できる。しかも、修飾電極の電位を変化させることによ
り、電気化学反応をスイッチングすることができる。
加えて、微量の試料、固体や高粘度溶液中、微小領域
の測定に利用することができ、電気化学測定やセンサ素
子として極めて顕著な効果をもつ。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によるくし形修飾微小電極
セルおよびその製造方法によると、かみ合った一対のく
し形作用電極,参照電極,対向電極を同一基板上に形成
し、くし形作用電極のどちらか一方を触媒作用のある酸
化還元性物質で修飾するようにしたので、また絶縁性の
基板上に所定方法により電極部,リード部および接続パ
ッド部を形成して、かみ合った一対のくし形作用電極,
参照電極,対向電極を形成し、ついでこれら電極の電極
部および接続パッド部のみを残してそのリード部を絶縁
膜で覆い、且つ参照電極を酸化還元性物質で覆い、くし
形作用電極のどちらか一方を触媒作用のある酸化還元性
物質で修飾するようにしたので、外部電極を用いること
なく、従来の修飾電極より優れた電気化学測定を行うこ
とが可能となり、微量の試料、固体や高粘度溶液中、微
小領域の測定に用いて好適となり、その利用価値は極め
て高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は第2図においてそのくし形作用電極部分の拡大
図、第2図は本発明に係るくし形修飾微小電極セルの一
実施例を示す模式図である。 1,2……くし形作用電極、1−1,2−1……リード部、1
−2,2−2……くし形作用電極部、3……参照電極、4
……対向電極、5……絶縁膜、6……酸化膜付きシリコ
ン基板、7……電極パッド、8……くし形作用電極部
分、9……グルコースオキシターゼを包括したピロール
重合膜。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】かみ合った一対のくし形作用電極,参照電
    極,対向電極を同一基板上に備え、前記くし形作用電極
    のどちらか一方が触媒作用のある酸化還元性物質で修飾
    されていることを特徴とするくし形修飾微小電極セル。
  2. 【請求項2】絶縁性の基板上に所定方法により電極部、
    リード部および接続パッドを形成して、かみ合った一対
    のくし形作用電極,参照電極,対向電極を形成し、つい
    でこれら電極の電極部および接続パッド部のみを残して
    そのリード部を絶縁膜で覆い、且つ前記参照電極を酸化
    還元性物質で覆い、前記くし形作用電極のどちらか一方
    を触媒作用のある酸化還元性物質で修飾することを特徴
    とするくし形修飾微小電極セルの製造方法。
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