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JP2865447B2 - ポリオレフィン網状繊維の製法 - Google Patents
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JP2865447B2 - ポリオレフィン網状繊維の製法 - Google Patents

ポリオレフィン網状繊維の製法

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JP2865447B2
JP2865447B2 JP12108591A JP12108591A JP2865447B2 JP 2865447 B2 JP2865447 B2 JP 2865447B2 JP 12108591 A JP12108591 A JP 12108591A JP 12108591 A JP12108591 A JP 12108591A JP 2865447 B2 JP2865447 B2 JP 2865447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改良されたフラッシュ
紡糸方法を用いたポリオレフィンの網状繊維の製造方法
に関するものである。更には、地球を取り巻くオゾン層
を破壊する能力の著しく低い溶媒を用いて、極めて品質
の優れたポリオレフィンの網状繊維が得られる改良され
たフラッシュ紡糸方法に関するものである。更には、オ
ゾン破壊能力を低下させたハロゲン化炭化水素を用い
て、不織布シートに用いる強度及び開繊性に優れたポリ
オレフィンの網状繊維を得るための製造方法に関するも
のである。換言すれば、無毒で不燃性の極めて安全に用
いることの出来る溶媒を用いて、品質の優れたポリオレ
フィンの網状繊維が得られる改良されたフラッシュ紡糸
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ポリオレ
フィンの網状繊維の製造方法はフラッシュ紡糸法であ
る。このフラッシュ紡糸法は、液化ガスとも云える有機
溶媒にポリオレフィンを加え、高温高圧下にてポリオレ
フィン溶液を調整し、然かる後減圧オリフィスを通して
溶液の圧を一旦下げて相分離をさせ、不透明と成ったこ
の溶液を更に紡糸口金を通して常温常圧下の雰囲気に噴
出して網状繊維とする方法にて、既に良く知られている
紡糸方法である。
【0003】即ち、公知の技術として、USP3,081,519号
公報、USP3,227,794号公報、USP3,227,784号公報、USP
3,467,744号公報、USP3,564,088号公報、USP3,756,441
号公報、EP-285670A1 号公報、EP-321567A1 号公報、EP
-357364A2 号公報、特公40-28125号公報、特公42-19520
号公報、特開62-33816号公報、特開63-50512号公報など
に公開されている。
【0004】このフラッシュ紡糸法によって得られた繊
維は、一つにはフィブリッド(短繊維状物)として合成
パルプに用いられ、もう一つには連続した網状繊維とし
て不織布シートに用いられている。
【0005】本発明が対象としている製法による製品
は、不織布シートになる網状繊維である。この不織布シ
ートは、所謂合成紙と言われるものであり、耐水性が有
り、強くて軽くて毛羽だたないことを最大の特徴とする
製品である。このことが世上にて高く評価され、航空便
封筒、フロッピーディスクスリーブ、脱酸素剤袋、乾燥
剤袋、医療用滅菌袋、建物断熱結露防止布、原子炉発電
作業服及びアスベスト作業服、安全防護作業服等、社会
の安全・福祉の向上に無くてはならないものと成ってい
る。特に安全を確保するための作業服としては、耐薬品
性があり、リントフリーで、細かい塵を通さず、通気性
があって、摩擦にも強い物がポリオレフィンの網状繊維
からなる不織布シート以外では見当らず、社会的に必須
のものとなっている。
【0006】この社会の要求を満足する製品とする為に
は、強度が高くて良く開繊した網状繊維が必須である。
何故ならば、この様な繊維でなければ、緻密で通気性の
有る均一なシートが得られないからである。
【0007】本発明は、この様な社会の要請に答える為
のものでもある。かかる網状繊維から得られる具体的な
製品としては、米国デュポン社製のタイベック(Tyvek)
及び本出願人製のルクサー(Luxer) が有る。
【0008】ところで、上記のような有用な繊維を作る
フラッシュ紡糸法に用いられる溶媒には、USP3,081,519
号公報等に記載されている様に以下の要件が必要であ
る。即ち、、沸点が用いるポリマーの融点より少なく
とも25℃低いこと、、紡糸する間、ポリマーに対して
不活性であること、、紡糸溶液を調整するに適した温
度・圧力下では、ポリマーの溶媒であること、、溶媒
の沸点以下では、ポリマーを1%以下しか溶かさないこ
と、、紡糸時に直ちに相分離し、殆どポリマーから成
る相を形成し、そのポリマー相はほぼ溶媒を含まないこ
とである。
【0009】具体的な溶媒の例として、ベンゼン、トル
エン等の芳香族炭化水素、ブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素及びそれら
の異性体、同族体、シクロヘキサン等の脂環族炭化水
素、或いは不飽和炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭
素、クロロホルム、塩化エチル、塩化メチル等のハロゲ
ン化炭化水素、エタノール、メタノール、ヘキサフルオ
ロイソプロパノール等のアルコール、エステル、エーテ
ル、ケトン、ニトリル、アミド、トリクロロフルオロメ
タン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン等のフッ素化塩素化脂肪族炭化水素、二酸化
硫黄、二硫化炭素、ニトロメタン、水及び上記の各種液
体混合物等が知られている。
【0010】これらの溶媒から、用いる紡糸方法及び用
いるポリマーに応じて最適なものが選定される。特にポ
リオレフィンの紡糸方法としては、ポリマー溶解性、紡
糸性に優れ、更には不燃、無毒なトリクロロフルオロメ
タン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン等を用いる紡糸方法が好適である。就中トリ
クロロフルオロメタンを用いる紡糸方法が最も優れてい
る。
【0011】フラッシュ紡糸では、溶媒を必ずガス化す
るために少なくとも低毒で且つ難燃性であることが是非
必要である。この上沸点が低く、高温でも熱分解せず更
にポリオレフィンを溶解するに足る新油性がある溶媒が
求められる。これに合致する溶媒は、前記トリクロロフ
ルオロメタンが最適であり、これを凌駕する溶媒は見当
らないのが現状である。現に、実際に企業化されている
のはトリクロロフルオロメタンを用いる方法のみであ
る。
【0012】フラッシュ紡糸溶剤として、多数の炭化水
素或いはハロゲン化炭化水素が公開されている。然し、
フラッシュ紡糸では溶媒は必ずガス化させねばならな
い。そして又冷却圧縮等の操作により回収する。従っ
て、三次元網状繊維の不織布化は広大な密閉空間中にて
行うことになる。そうしないとガスが回収出来ないから
である。密閉空間の大きさは、例えば2000m3 の規模に
もなる。この様な膨大な空間に可燃ガスを充満させるこ
とは極めて危険であり、事実上できない。
【0013】又、この密閉空間中には、コロナ放電装置
とか或いは高電圧の除電装置が内蔵されており、可燃ガ
スの着火源にもなり得る。この点からも可燃ガスの使用
は出来ない。更に、上記密閉空間中には、不織布化のた
めの金網コンベア、コロナ帯電装置、紡糸ヘッド等多種
類の機械があり、その修理・保全のために作業員が密閉
空間中に入らざるを得ない場合がどうしても生ずる。
又、形成された不織布シートの取り出し口は、非接触シ
ールであり、密閉空間内のガスはたえず作業場に漏洩す
る。従って、フラッシュ紡糸溶剤が毒性を持つ場合は、
使えないことになる。こうしたことから、フラッシュ紡
糸法に使える溶媒は、唯一つ不燃・無毒なトリクロロフ
ルオロメタンだけである。
【0014】ところが、近時全部の水素が塩素及びフッ
素で置換された全ハロゲン化炭化水素は、特定フロン
(クロロフルオロカーボン、又はCFCとも云う)とし
てそのオゾン破壊能が極めて高いことが発見され、地球
保護の立場から西暦 2,000年までに製造が禁止されるこ
とになった。当然、特定フロンであるトリクロロフルオ
ロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリ
フルオロエタン等も製造を禁止され入手出来なくなる。
この結果、トリクロロフルオロメタンを用いるポリオレ
フィンのフラッシュ紡糸方法は利用できなくなり、社会
に大きな影響を与える。
【0015】このような背景から、フラッシュ紡糸法と
して、好適な特定フロンであるトリクロロフルオロメタ
ンを用いない新しい紡糸方法が提案されている。
【0016】即ち、特開平2−139408号公報に、塩化メ
チレンと部分置換のハロゲン化炭化水素、例えばクロル
フルオロメタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタ
ン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2−テト
ラフルオロ−2−クロロエタン、1,1−ジフルオロ−
1−クロロエタン等との混合物を用いてフラッシュ紡糸
する方法が、又特開平2−160909号公報に、1,1−ジ
クロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジ
クロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジ
クロロ−2,2−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロ
−1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−
フルオロエタン等を用いる紡糸方法が、更にEP-0407953
A2号公報にポリプロピレンに対して、1,1−ジクロロ
−2,2,2−トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ
−1,2,2−トリフルオロエタン等を用いて紡糸する
方法、更にはEP-357364A2 号公報に塩化メチレンと炭酸
ガスとを用いて紡糸する方法が提案されている。
【0017】然るに、前記の公開された紡糸方法には、
ポリオレフィンを用いて紡糸する場合、重大な欠陥が有
る。即ち、塩化メチレンを用いる提案の特開平2−1394
08号公報及びEP-357364A2号公報については、事実上使
用出来ない。何故ならば、塩化メチレンは発癌性の恐れ
がある。フラッシュ紡糸にこの様な毒性を持つ溶媒は使
えない。又、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)の代替
フロンを用いる提案の特開平2−160909号公報について
は、唯一1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC-
141b) のみがポリオレフィンの代表例である高密度ポリ
エチレンを溶解し、これ以外のCFC-11の代替フロンは全
く高密度ポリエチレンを溶解しない。寧ろ共溶媒として
提案されている炭化水素が主溶媒であり、代替フロン
は、単なる沸点調整剤に過ぎない。これらの共溶媒をみ
ると難燃性又は不燃性の点から矢張塩化メチレンを用い
ざるを得ない。更に、1,1−ジクロロ−1−フルオロ
エタン(HCFC-141b) に関しては、熱安定性が著しく劣
り、且つオゾン破壊能も0.1を越えており所詮つかえな
い。
【0018】この様にして、今まで提案されたものは、
塩化メチレンだけが事実上使えるものだが、これは毒性
の面から使用を避けざるを得ない。又、使えたとして
も、前記の提案された紡糸方法では得られたポリオレフ
ィンの網状繊維は、繊維の強度が低く、且つ開繊性が劣
り実用に供することができない。
【0019】先にも述べたように、フラッシュ紡糸法か
ら得られた繊維から成る不織布シート製品の特徴は、軽
くて強くて均一で且つ緻密な通気性の有るシートである
ことが必須であり、このことが社会的有用性の基となっ
ている。網状繊維の強度が低ければ、製品其の物の強度
も低く、航空便封筒、フロッピーディスクスリーブ、医
療用滅菌袋、建物断熱結露防止布、原子炉発電作業服及
びアスベスト作業服等に用いることが難しいのは当然の
こととして、更に紡糸の過程で繊維が切断したり、毛羽
が立ったり、フィブリッドが発生したりする。この結
果、リントが発生し、リントの発生を全く嫌う無塵紙、
フロッピーディスクスリーブ、医療用滅菌袋、原子炉発
電作業服及びアスベスト作業服等には全く使えない。又
開繊性が良くないと、繊維が網状に広がらず斑の多いシ
ートとなり、網状繊維から成る不織布シートの生命であ
る通気孔の孔径にバラツキが生じ、脱酸素剤袋、乾燥剤
袋、医療用滅菌袋、建物断熱結露防止布、原子炉発電作
業服及びアスベスト作業服等に全く使用できなくなる。
従って、提案されたオゾンを破壊しないポリオレフィン
のフラッシュ紡糸方法では、社会の福祉・安全の向上に
寄与することができない。
【0020】本発明の目的は、オゾン層の破壊能の低い
溶媒を用いて、強度の高い且つ開繊性の優れた網状繊維
が得られる改良された、社会的に有用なポリオレフィン
のフラッシュ紡糸方法を提供することにある。更には、
燃えにくく且つ毒性が少なくその上オゾン破壊能の低い
溶媒を用いて、優れた網状繊維を与える改良されたフラ
ッシュ紡糸方法を提供するにある。尚その上、従来のフ
ラッシュ紡糸装置を大幅に変更すること無く、紡糸でき
る改良されたフラッシュ紡糸方法を提供するにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、オゾン破
壊能の低い溶媒を用いながら、如何にして従来のフラッ
シュ紡糸法によるポリオレフィン網状繊維に匹敵するか
若しくは凌駕する性能をもつ繊維が得られるか厖大な研
究を行い本発明に達した。
【0022】即ち、本発明によるポリオレフィン網状繊
維の製法はポリオレフィンとハロゲン化炭化水素を含む
溶媒とから成る高温高圧の溶液を作り、減圧オリフィス
・減圧室・紡糸口金を通過させ、常温常圧域に放出し
て、フィブリル化したポリオレフィンの網状繊維を製造
する方法において、ハロゲン化炭化水素として1,1−
ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン又は1,2
−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン又はそれ
らの混合物と更にもう一つのハロゲン化炭化水素として
ブロモクロロメタンとを含んで成る溶媒を用いて、該溶
媒とポリオレフィン5〜25wt%とから成る溶液を、温度
・圧力をそれぞれ横軸・縦軸にとって表した曇点曲線に
於いて下に凸の極小点を成す所の温度Tαを超える温度
以上で且つ曇点圧力以上で調整し、次いで減圧室の圧力
を該曇点圧力以下の圧力とすることを特徴とする。
【0023】ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として、
1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン又
は1,2−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン
又はその混合物が95wt%から60wt%、ブロモクロロメタ
ンが5wt%から40wt%とから成る溶媒を用いると好まし
い。
【0024】この方法により本発明者等は、オゾン破壊
能の低い溶媒でありながら、従来公知の方法とは異な
り、格段に強度の高い、そして開繊性の良好なポリオレ
フィンの網状繊維を得ることができた。
【0025】1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフル
オロエタン(これ以降は、HCFC-123と云う)及び1,2
−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン(これ以
降は、HCFC-123a と云う)は、特定フロンであるトリク
ロロフルオロメタンの代替フロンとして世界的に良く知
られている。従って、このHCFC-123及び-123a を、トリ
クロロフルオロエタンの替わりにフラッシュ紡糸に使え
ないかと誰でも考える。
【0026】然るにこのHCFC-123及び-123a をフラッシ
ュ紡糸に用いた場合、ポリマー溶解性が全く不足し、こ
のままでは、フラッシュ紡糸性すら調べることが出来な
い。即ち、後に詳しく説明する図3及び図4の相平衡測
定装置にて、HCFC-123及び-123a に対するポリオレフィ
ンの代表である高密度ポリエチレンの溶解性を調べたと
ころ、温度 230℃までの範囲で全く溶解しなかった。圧
力を実用範囲外の 800kgf /cm2 まであげても溶解しな
かった。況んや、実用範囲内圧力 500kgf /cm 2 以下で
は、ポリマーが熱劣化する高温度に上げても溶けたポリ
マー相が完全に分離して浮遊するのみであった。
【0027】フラッシュ紡糸では、均一・一相溶液を作
ることが紡糸の前提となる。これを相分離させて、均質
な相分離構造を発現させないと、均一で強度が高く開繊
性の良い網状繊維が得られない。従って、ポリオレフィ
ンの代表である高密度ポリエチレンの溶解性のない溶媒
は、フラッシュ紡糸溶剤に用いることが出来ない。更
に、特開平2−160909号公報に開示されている公知のHC
FC-123及び-123a を用いる方法では、大抵の場合可燃と
なる。可燃と成らない場合は、沸点が余りに高くなる
か、又は溶解のための圧力が余りに高くなり、フラッシ
ュ紡糸溶剤として使えない。そこでHCFC-123及び-123a
をフラッシュ紡糸に応用するために、膨大な研究が成さ
れた。
【0028】フラッシュ紡糸は、既に説明した様に、常
温常圧にてガスと成る有機溶媒を用いることがその前提
と成る。即ち、ポリオレフィンを高温高圧下にて溶解
し、次いで一旦圧を下げ、透明液から不透明液に相変化
させ、然る後紡糸口金を通して、常温常圧の雰囲気中に
不透明なポリマー溶液を吹き出す。この時、有機溶媒は
ガス化して、超音速ガスジェットを形成する。このガス
ジェットによりポリマーは固化すると共に延伸され、強
度の高い繊維となる。
【0029】従って、フラッシュ紡糸溶剤として持つべ
き性質は、前述したごとく公開されているが、更に詳し
くみると次ぎの様になる。
【0030】 常温常圧では、全くポリマーを溶解せ
ず、ポリマーの融点を越えた温度、常圧をはるかに越え
た高い圧力ではポリマーを溶解すること。
【0031】 ポリマーの融点を越え且つ熱劣化が生
じない範囲の温度までに、透明液から不透明液に相変化
すること。特に、フラッシュ紡糸の場合は、高分子溶液
論にいうLCST(Lower Critical SolutionTemperature、
下限臨界共溶温度)型相図を持つポリマー溶液とするこ
とが必須である。このLCST型相図については、一般の高
分子化学の教科書又は高分子溶液論の教科書に詳しい。
当然フラッシュ紡糸溶剤もLCST型相図を持たねばならな
い。然も、LCST型相図を持ち、その上相変化は瞬時に起
こらねばならない。フラッシュ紡糸は圧力によって透明
から不透明への相変化をさせるのでこの性質は重要であ
る。
【0032】 紡糸口金を出た瞬間、ガス化しなけれ
ばならない。これは常温常圧近辺に沸点を持たねばなら
ないことを意味する。即ち、低沸点の有機溶媒でなけれ
ばならない。
【0033】 紡糸口金前後の変化は、ほぼ等エント
ロピー変化である。従って、紡糸口金出口は、自生的に
沸点の液/ガス混合体となる。このままでは、濡れた網
状繊維と成るので使えない。ところがポリマーが熱を持
っているので、この熱量で液をガス化し、乾いた網状繊
維と成る。このことは、有機溶媒の蒸発熱が適切であら
ねばならないことを意味する。
【0034】 ポリマーの融点より高い高温にさらさ
れるので、有機溶媒は熱安定性が優れていなければなら
ない。
【0035】 大容量の密閉空間に充満させ、且つ密
閉空間内に着火源となる電気設備があるので、不燃若し
くは難燃でなければならない。
【0036】 密閉空間に充満したガスにしばしば人
間が触れるので無毒であらねばならない。
【0037】 フラッシュ紡糸装置全体が高圧装置と
なるので、腐食性が低いことが必要である。特に重要な
のは、低沸点、LCST型ポリマー溶液、不燃、無毒であ
る。
【0038】今までに極めて多くのポリオレフィンのフ
ラッシュ紡糸溶剤が知られている。然し、トリクロロフ
ルオロメタン(以降CFC-11と略称する)以外に上記の4
条件、即ち低沸点、LCST型ポリマー溶液、不燃、無毒を
部分的にでも満足するものは提案されていない。代替フ
ロンと云えども、ポリオレフィンの代表であり、又フラ
ッシュ紡糸不織布として最も広く市場に受け入れられて
いる高密度ポリエチレンで見ると、高密度ポリエチレン
の溶媒ではない。代替フロンは、他の有機溶媒と組み合
わせた場合の単なる沸点調整剤か、又燃焼抑制剤にすぎ
ない。その上代替フロンの中にも発癌性の恐れが有り使
えないものがある。
【0039】本発明者等は、少なくとも低沸点、LCST型
ポリマー溶液、不燃、無毒の4条件を満足するフラッシ
ュ紡糸溶剤を見出すべく極めて多くの実験を行った。そ
の結果、ブロモクロロメタン(クロロブロモメタン、メ
チレンクロロブロマイド、CH2BrCl)とHCFC-123又は/及
びHCFC-123a とから成る有機溶媒が前記4条件を満足す
ることを見出した。
【0040】a.毒性 毒性に関しては、ACGIH(American Conference of Gover
mental Industrial Hygienists) のTLV(Threshold Limi
ts Values ofAirbone Contaminants)がその指標とな
る。クロロブロモメタンは200ppmであり、HCFC-123及び
HCFC-123a は代替フロンとして、毒性は低いとされてい
る。これらの溶媒よりなる本発明のフラッシュ紡糸溶剤
は、少なくとも200ppmを越えており、完全無毒ではない
が可成毒性は低い。ガスの漏洩と場所の換気に留意し、
作業場所の管理濃度を維持し、人が触れる場合はエアラ
インマスクなどを用いれば、人の健康を害することはな
い。トリクロロフルオロメタン(CFC-11)以外のフラッシ
ュ紡糸溶剤でこの様に毒性の低いフラッシュ紡糸溶剤が
見出されたのは初めてである。
【0041】b.燃焼性 燃焼性に関して、ブロモクロロメタンは極めて高い燃焼
抑制効果がある。更にこのもの自身は不燃である。又HC
FC-123及びHCFC-123a 共に不燃である。この様に低毒で
不燃のフラッシュ紡糸溶剤が見出されたのも初めてであ
る。
【0042】c.沸点 沸点に関しては、常温常圧でガス化する関係上、60℃以
下が好ましい。より好ましくは、50℃以下である。この
沸点は、溶媒組成の関数であり、自由に調整することが
出来る。本発明のフラッシュ紡糸溶剤も、ブロモクロロ
メタンとHCFC-123及び/又はHCFC-123a との混合割合を
変えることにより望ましい沸点にすることが出来る。
【0043】d.曇点曲線 本発明に用いる溶媒は、それにポリオレフィンを溶解す
るとLCST型ポリマー溶液と成る。前記した如く、フラッ
シュ紡糸は、高温高圧のポリマー溶液を減圧して相分離
させて、ポリマーと溶媒との少なくとも二相から成る不
透明液にしてから紡糸することがその基本原理である。
従って、透明液から不透明液に変わることによって判定
できる曇点の温度・圧力が極めて重要である。この曇点
が相分離する点でもある。曇点は、液が透明から不透明
に変わる点の温度・圧力で表す。曇点は大抵目視により
測定するので測定法により多少変わる。又、液の透明
性、不透明性もその所の温度、圧力、液のポリマー濃度
及びその系を成すポリマーと溶媒の種類により変わる。
更に溶液の調整法、測定時間、光源などにもより多少変
化する。従って、少々のバラツキはあるが、測定法を固
定すれば再現性良く観測できる。高分子化学では、この
曇点を温度・圧力座標に点綴した図を曇点曲線と云う。
この曇点曲線の温度・圧力座標面上の位置により、其の
溶媒のフラッシュ紡糸適性を判断することが出来る。
【0044】ブロモクロロメタン単体では、この曇点曲
線がフラッシュ紡糸の温度範囲で可成の低圧の位置に存
在し、相当の高温にしないと観察出来ない。本発明者等
も測定を試みたが、ポリマー及び溶媒が熱劣化し、実際
には観察出来なかった。ところがHCFC-123及び/又はHC
FC-123a と組み合わせることにより、フラッシュ紡糸に
好適な位置に曇点曲線を持って来ることが出来た。ポリ
オレフィンとして高密度ポリエチレンの例を図1に示
す。更に、当然のこととしてクロロブロモメタンとHCFC
-123及び/又はHCFC-123a との組成比により曇点曲線の
位置が変わることも確認された。これは溶媒組成比によ
りポリマー溶液の熱力学的性質が変化して行くことを示
す。
【0045】ところで、本発明における重要な因子であ
る曇点曲線は、図2及び図3に示す装置にて測定する。
図2は装置全体の説明図であり、図3は曇点を測定する
光学セル容器の説明図である。即ち、光学セル容器(寸
法、40mmφ×83mm長さ、容積約 100cm2)1には二つの光
学窓2を設け、光を通して内部を観察できる構造とす
る。光の通る光路の長さは、光学窓2のガラス14の厚さ
は一個当たり9mm、二個付いているので18mm、更に溶液
の厚さは40mmなので、全部で58mmとなる。この光学セル
容器1には、攪拌羽根13が内蔵されポリマーがほぼ溶解
するまで約180rpmで容器内部を攪拌する。攪拌羽根13の
構造は、攪拌羽根が二枚設置され、光学窓に当たる部分
の軸は、光学観察を邪魔しない様にコの字型に加工して
ある。更に光学セル容器内の溶液にじかに接する様に温
度計4が差し込まれている。圧力計5は配管9の途中に
設けられ、光学セル容器内の圧力を検出する。光学セル
容器内の液圧を調整するために、配管9を介してプラン
ジャー式圧力調整器が設置されている。又、光学セル容
器内のガスを抜くガス抜き及び容器内の液を押し出すた
めの配管10が設けられている。更に光学セル容器全体は
アルミ鋳込みヒーターで覆われ制御回路で温度は制御さ
れている。
【0046】曇点を測定する方法は、まずポリマー濃度
が所定の濃度なる様に且つ容器内が液封になる様にポリ
マーと溶媒を計量し、容器に供給する。ポリマー溶液調
整は、実験簡易化のために容量%を基準として行った。
即ち、溶媒調整は所定の容量比になるようにメスシリン
ダーで測定し混合した。混合による体積変化は無視し
た。モル比への換算は、常温常圧の溶媒密度を用いた。
ポリマーは、高密度ポリエチレンの場合、所定の容量%
になる様にメスシリンダーに投入し、重量%への換算は
密度0.96g/cm3 を用いた。次いで加熱し、液体が膨張
するに従って、容器内圧は上昇する。大抵の場合、昇温
速度は4.5℃/min であった。液の状態が、液圧約50kg
f /cm2 、温度約 105℃近くに達してからは、ポリマー
が完溶するまで圧力調節は行わずそのままとした。この
様にして、ポリマー融点近傍に達したらポリマーは溶媒
に一部溶け始める。この状態でポリマー溶液を調整す
る。
【0047】次いで、曇点の測定に入る。温度と圧力を
変化させて曇点を探す。曇点は、光学窓を通して光の量
の変化を観察若しくはフォトセル等で測定し、視野が暗
くなるか又は光量が急激に低下したらその点を曇点とす
る。この様にして、温度を上げながら、プランジャー式
圧力調節器を用いて圧力を調整して曇点を測定した。
【0048】この様にして得られた、HCFC-123とブロモ
クロロメタンとの曇点曲線が図1である。図1を見ると
判るように、低温側の曇点は温度が上昇するに従って、
曇点圧力が低下して行く。そしてある温度で極小点をな
し、次いで更に温度が上昇するに従って曇点圧力は上昇
して行く。この曇点曲線の極小点を特異点Tαとする。
図1の例では、HCFC-123とブロモクロロメタンの重量混
合組成比が69:31でポリマー濃度が11.9重量%の時、特
異点の温度Tαは 152℃、特異点の圧力Pαは116kgf
/cm2 であった。こゝで、特異点Tαの表記法を説明す
る。本来特異点は温度・圧力で表記すべきもので、正確
には特異点(Tα,Pα)とすべきであるが、特異点T
αと略記した。
【0049】この特異点Tαの存在は驚くべきことで、
本発明者等が初めて発見したものである。この特異点T
αの挙動を調べた結果、温度上昇法でも、温度下降法で
も、図1の如く曇点曲線の極小点をなすことが判明し
た。更に、温度の昇温速度、降温速度並びに圧力の変化
量等を変えて測定すると、特異点Tα以下の低温側の領
域の曇点は、多少変化することを確認した。又、特異点
Tαの位置も温度上昇法と温度下降法で多少変わるが、
これは温度の伝わり方の違いであることが判った。測定
法を常に一定にすれば、特異点Tαも常に一定であるこ
とを確認した。そして温度上昇法では、常に一定値で極
小点をなし、HCFC-123又は-123a とブロモクロロメタン
とからなる溶媒と高密度ポリエチレンとのポリマー溶液
での、相平衡を表す特性値であることを発見した。
【0050】何故この様な特異点Tαが表れるかは尚不
分明であるが、観察に依れば特異点Tαの前の低温側の
領域と特異点Tαの後の高温側の領域にて光の透過状態
が違う具合であり、液体の構造が異なるのではないかと
推定している。更に驚くべきことは、この特異点Tα前
後で、フラッシュ紡糸の状態が変わり、特異点Tα以下
の温度では満足すべき網状繊維が得られないことを見出
した。即ち、特異点Tαの温度以下で、その溶液から減
圧し不透明に変化させ、然る後紡糸口金から紡出して得
られた網状繊維は、開繊性が著しく劣りとても不織布シ
ートにすることが出来ないものであった。中には、毛羽
立ちやパルプ様の細かい塊が含まれ、リントフリーを特
徴とする不織布シートは到底使えないものであった。そ
れに対して、特異点Tα以上の温度で紡出した網状繊維
は、開繊性も良く且つ強度も高く優れたもので、良好な
不織布シートにすることが出来るものであった。
【0051】当然のこととして、特異点Tαの位置は、
溶媒の組成によって変化する。即ち、ブロモクロロメタ
ンの含有量が増すに従って、特異点Tαの位置は低温側
に移動し且つその圧力も低下する。ブロモクロロメタン
の含有量が40wt%を越えると、特異点Tαは低温側に移
動し、観測が難しくなる。更に、曇点曲線の位置が低圧
側に移動し過ぎ、フラッシュ紡糸が困難になる。又、5
wt%より低下すると、特異点Tαは可成り高温となり同
時にPαも極めて高圧となる。この領域では溶液の調整
が困難で紡糸することが出来ない。斯くの如き理由から
ブロモクロロメタンの含有量が5wt%より低い領域及び
40wt%を越える領域は、本発明の対象領域ではないので
ある。
【0052】斯くして、オゾン破壊能が極めて小さい溶
媒を用いて、初めて実用に供しえる開繊性が良く且つ強
度の高い網状繊維を作る方法を見出した。然も、常に安
定して、開繊性が優れその上強度も高い網状繊維が、オ
ゾン破壊能の低い溶媒を用いて得られる。この工業的意
義は、計り知れない程の大きな価値をもつ。
【0053】用いる1,1−ジクロロ−2,2,2−ト
リフルオロエタン又は/及び1,2−ジクロロ−1,
2,2−トリフルオロエタンは純品でも良く相互に混合
したものでも良い。注意すべきは水分含有量で、少ない
ものほど良く、更に好ましくは10ppm 以下である。用い
るブロモクロロメタンは純品が好ましい。注意すべきは
水分含有量で、少ないものほど良く、10ppm 以下なら更
に好ましい。又、ブロモクロロメタンは高温に曝される
と熱劣化しやすいので熱安定剤を用いた方が良い。熱安
定剤としては、1,4−ジオキサン、1,2−ブチレン
オキサイド等がある。
【0054】ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリメチルペンテン−1などがある。
ポリエチレンは、高密度ポリエチレンが最も好ましく、
密度でいえば0.94g/cc以上である。更に共重合成分は
15wt%以下で、前記の密度を維持するものが好ましい。
ポリプロピレンは約85wt%以上のアイソタクチィクポリ
プロピレンを含有するものが好ましく、約15wt%以下の
その他のポリプロピレン又はエチレン、ブテンなどの共
重合成分が含まれていても良い。更に通常知られている
ポリマー添加剤、即ち熱安定剤、光安定剤、滑剤、核
剤、架橋剤、可塑剤及び充填剤等がポリマーに含まれて
いても良い。
【0055】本発明に用いる装置は、溶液調整装置及び
減圧オリフィス・減圧室・紡糸口金から成る紡糸装置を
備えていれば良い。其の先に網状繊維を開繊・分散させ
る装置、開繊・分散した網状繊維をシート状にする移動
するコンベア装置、更に出来たシートを巻き取る巻取機
がある。シート形成部は密閉ボックス内に収納され、ボ
ックス内の溶媒ガスは回収される。溶液調整装置は、オ
ートクレーブ装置でも良いし、押出機でも良い。或い
は、従来公知の装置を用いることも出来る。
【0056】
【実施例】以下に実施例をもって、本発明の内容を説明
する。この実施例は、本発明の内容を具体的に示すため
のものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するもの
ではない。実施例にて用いる溶液調整点は、ポリマー溶
液を作り出した際の温度・圧力条件を示し、曇点曲線図
上で点で表示できるのでこの用語を用いた。又同様に、
紡糸点は、ポリマー溶液を減圧し、相変化させて不透明
液にし、ノズルから紡出する際の減圧室の圧力条件を示
し、曇点曲線図上で点で表示できるのでこの用語を用い
た。ここで注意を要するのは紡糸点の温度である。溶液
調整点から紡糸点までの変化は、等エントロピー変化と
大まかには見做し得る。すると、必ず液温は低下する筈
である。所が、オートクレーブ実験の場合、紡糸が比較
的短時間で完了するために、この正確な検出が出来な
い。更に、ポリマーはほとんど温度変化が無いと見做し
得る。その結果として、見掛け上温度は余り変化しない
と見做し得る。そこで、便宜上図3では温度は変化しな
いとしてモデル的に表現してあるが、本発明はこれに捕
らわれるものではない。
【0057】実施例の中にでてくる遊離フィブリル数
は、フィブリル化繊維の開繊性を示す尺度であり、この
値が 300以上であれば緻密で均一な斑の無い不織布シー
トが得られる。これに対して、 100以下であれば不均一
で極めて斑の多いシートとなり、全く実用に耐えないも
のになる。 100〜300 の間のものは、高度な用途には、
多少無理があるが、それほど高い性能を要しない一般用
途には充分使うことが出来る。
【0058】実施例中の開繊性の評価の尺度は、「○」
であれば遊離フィブリル数が 300以上、「△−○」であ
れば 100〜300 の間、「×」であれば 100以下である。
「×」のものは使用出来ないことを示す。又、遊離フィ
ブリル数の測定法は、以下の様にして行った。フィブリ
ル化繊維は、微細な多数の短繊維(単糸)が網状に連な
った構造をしている。この一本一本の繊維の数が、同一
デニールで比較して多い程、良く開繊しているフィブリ
ル化繊維である。遊離フィブリル数は、紡糸口金の先端
から約25mmの位置に約45°に傾いた銅板に、紡出された
ガスジェットを繊維を含んだままを衝突させて得た開繊
糸を用いて測定する。サンプリングした開繊糸を静かに
ガラス板の間に挾み、対物レンズ1.6倍、接眼レンズ10
倍の光学顕微鏡を繊維幅方向に移動させながら、視野の
中にある一本一本の単糸の数を数え、それを 100デニー
ル当たりに換算して遊離フィブリル数とする。
【0059】〔実施例1〕内容積 550cm3 で耐圧300kgf
/cm2 のオートクレーブに、メルトインデックス(MI)0.
78、密度0.96g/ccの高密度ポリエチレン80.3g(ポリ
マー濃度、11.9wt%)及び1,1−ジクロロ−2,2,
2−トリフルオロエタン(HCFC-123)412 gとブロモクロ
ロメタン(以下BCMと略称する)183gを加え、蓋をし
た後攪拌器を回転させながらヒーターを通電して加熱
し、HCFC-123:BCM =69.3:30.7(重量%)の溶媒から
成るポリマー濃度11.9wt%のフラッシュ紡糸のための溶
液を作った。
【0060】溶解は常に液封の状態で行い、圧力が300k
gf/cm2 近辺に近づくと液抜きを行いながらポリマー溶
液を調整した。そして最終的に温度 193℃、圧力196kgf
/cm 2 とした。次に攪拌器を停止し、蓄圧機から201kgf
/cm2 のN2 ガスを導入し、このガスで直接溶液を加圧
しながら、素早くオートクレーブ下部の放出バルブを開
放し紡糸した。この時、オートクレーブの放出バルブの
先に寸法が以下の減圧オリフィス、減圧室、ノズル及び
ノズルと中心軸の一致する円形の貫通孔を有する部品
を、この順番に組み込んだ紡糸口金を付設した。即ち、
内径0.65mmφで長さが5mmの減圧オリフィス、内径8mm
φで長さが40mmの減圧室からノズルへの導入角が60°と
なっている減圧室、内径0.5mmφで長さが0.5mmのノズ
ル、ノズル中心軸と同軸の内径3.0mmφで長さが3.0mm
の貫通孔を有する部品である。そしてこの紡糸口金を通
過させて、溶液を大気中に放出して紡出した。この時減
圧室の圧力は131kgf/cm2 であった。従って、溶液調整
点は 193℃、196kgf/cm2 、紡糸点は131kgf/cm2 とな
る。
【0061】繊維の開繊は、紡糸口金から約25mm離れた
位置で約45°に傾けた銅板に当てて作った。得られた繊
維の性能は、開繊性の優れたもので遊離フィブリル数は
453であった。更に強度は7.2g/d有り、デニールか
ら求めた紡速は 180m/sであった。この時曇点曲線の
溶液調製点温度に対応する圧力は163kgf/mmであった。
更に、用いた溶媒の、モル分率から計算した沸点及びT
LVは、それぞれ約41℃及び約280ppmであった。但し、
HCFC-123のTLVを仮りに350ppmとした。この値につい
ては、代替フロンのPAFT(Program for Alternative Flu
orocarbon Toxicity Testing) −I計画にて決定され
る。
【0062】この様にして得られた網状繊維は、極めて
良質のものでフラッシュ紡糸不織布シートに最適のもの
であった。
【0063】
【発明の効果】本発明を活用すれば、従来公知のオゾン
層を破壊しないフラッシュ紡糸法に比較し格段に開繊性
に優れ、その上強度も高いポリオレフィンの網状繊維が
容易に製造でき、大きく社会に貢献することが出来る。
本発明のフラッシュ紡糸法を用いることにより、地球を
取り巻くオゾン層を破壊すること無く、更には地球の温
暖化にも悪影響を及ぼさずに社会的に有用な網状繊維が
容易に得られる。
【0064】本発明により、特に開繊性に優れ且つ又強
度の優れたポリオレフィンの網状繊維が安定して得ら
れ、この網状繊維から均一性の高い、その結果として社
会的有用性の大きなフラッシュ紡糸不織布シートが容易
に作られる。
【0065】その上、従来の特定フロンの持つ優れた特
性、即ち不燃・無毒に匹敵する毒性の少ない、且つ不燃
の溶媒を用いたフラッシュ紡糸方法を見出した。このこ
とは、地球環境保護を満足するのみでなく、労働安全衛
生面でも極めて優れたフラッシュ紡糸法である。更に、
ポリオレフィンの溶解性を従来公知の方法と同程度に出
来たため、従来法で製造している装置を特別改造するこ
とも無く、そのまま使用できる。この経済的効果は極め
て大きい。従って、本発明の社会的価値は計り知れない
ものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー溶液の曇点曲線の測定の1例
である。この曇点曲線は、HCFC-123:BCM =69:31(重
量比)の溶媒組成の曇点を示す。図中に透明域(一液
相)及び不透明域(二液相)を示した。また、ポリマー
は、メルトインデックス:0.78、密度:0.96g/ccの高
密度ポリエチレンで溶液のポリマー濃度は11.9wt%であ
る。
【図2】ポリマー溶液の曇点を測定するための光学セル
容器による測定装置の略図である。
【図3】曇点測定に用いられる光学セル容器の略図であ
る。
【符号の説明】
1…光学セル容器 2…光学窓 3…モーター 4…温度計 5…圧力計 6…バルブ 7…光源 8…受光器 9…配管 10…配管 11…プランジャー式圧力調節器 12…バルブ 13…攪拌羽根 14…ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/04 D01D 5/11

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンとハロゲン化炭化水素を
    含む溶媒とから成る高温高圧の溶液を作り、減圧オリフ
    ィス・減圧室・紡糸口金を通過させ、常温常圧域に放出
    して、フィブリル化したポリオレフィンの網状繊維を製
    造する方法において、ハロゲン化炭化水素として1,1
    −ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン又は1,
    2−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン又はそ
    れらの混合物と更にもう一つのハロゲン化炭化水素とし
    てブロモクロロメタンとを含んで成る溶媒を用いて、該
    溶媒とポリオレフィン5〜25wt%とから成る溶液を、温
    度・圧力をそれぞれ横軸・縦軸にとって表した曇点曲線
    に於いて下に凸の極小点を成す所の温度Tαを超える温
    度以上で且つ曇点圧力以上で調整し、次いで減圧室の圧
    力を該曇点圧力以下の圧力とすることを特徴とするポリ
    オレフィン網状繊維の製法。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として、
    1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン又
    は1,2−ジクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン
    又はその混合物が95wt%から60wt%、ブロモクロロメタ
    ンが5wt%から40wt%とから成る溶媒を用いることを特
    徴とする請求項1記載のポリオレフィン網状繊維の製
    法。
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