JP2942010B2 - 電気化学式ガスセンサ - Google Patents
電気化学式ガスセンサInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気化学式ガスセン
サに関し、詳しくは、電気化学反応を利用して、大気中
のガス等を検出するガスセンサに関するものである。
サに関し、詳しくは、電気化学反応を利用して、大気中
のガス等を検出するガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気化学反応を利用したガスセンサの基
本的な構造としては、複数の電極をイオン伝導体すなわ
ち電解質でつないで電気化学的な反応を起こさせるよう
になっている。イオン伝導体の材料としては、従来、液
体電解質やゲル状電解質を用いていたが、液漏れや溶媒
の蒸発が生じるために、センサの耐久性や信頼性に劣る
という問題があった。このような問題を解決するため
に、無機あるいは有機の固体電解質を用いたガスセンサ
の開発が進められた。
本的な構造としては、複数の電極をイオン伝導体すなわ
ち電解質でつないで電気化学的な反応を起こさせるよう
になっている。イオン伝導体の材料としては、従来、液
体電解質やゲル状電解質を用いていたが、液漏れや溶媒
の蒸発が生じるために、センサの耐久性や信頼性に劣る
という問題があった。このような問題を解決するため
に、無機あるいは有機の固体電解質を用いたガスセンサ
の開発が進められた。
【0003】無機物の固体電解質としては、β−アルミ
ナ、ナシコン、リシコン、安定化ジルコニア等がある。
しかし、これらの無機物からなる固体電解質では、常温
におけるインピーダンスが高いため、常温ではイオンが
伝導し難い状態にある。したがって、一般には、前記の
ような無機固体電解質は加熱してインピーダンスが低い
状態にして利用するが、このことはガスセンサの消費電
力がおおきくなるとこを意味しており、実用上好ましく
ない。
ナ、ナシコン、リシコン、安定化ジルコニア等がある。
しかし、これらの無機物からなる固体電解質では、常温
におけるインピーダンスが高いため、常温ではイオンが
伝導し難い状態にある。したがって、一般には、前記の
ような無機固体電解質は加熱してインピーダンスが低い
状態にして利用するが、このことはガスセンサの消費電
力がおおきくなるとこを意味しており、実用上好ましく
ない。
【0004】有機物の固体電解質としては、ポリスチレ
ンスルホネート、ポリビニルスルホネート、パーフルオ
ロスルホネートポリマー、ポーフルオロカルボキシレー
トポリマー等のカチオン交換樹脂に属するポリマーがあ
る。これらの樹脂のうち、パーフルオロスルホネートポ
リマーが、実用的に最も適したものとして広く使用され
ており、例えば、ナフィオン(商品名:デュポン社製)
と呼ばれるものがある。
ンスルホネート、ポリビニルスルホネート、パーフルオ
ロスルホネートポリマー、ポーフルオロカルボキシレー
トポリマー等のカチオン交換樹脂に属するポリマーがあ
る。これらの樹脂のうち、パーフルオロスルホネートポ
リマーが、実用的に最も適したものとして広く使用され
ており、例えば、ナフィオン(商品名:デュポン社製)
と呼ばれるものがある。
【0005】上記パーフルオロスルホネートポリマーが
好ましい理由は、カチオンの解離度が大きいこと、すな
わちインピーダンスが小さいこと、あるいは、熱的、電
気化学的に比較的安定であること等である。また、パー
フルオロスルホネートポリマーは、溶媒に可溶であるた
め、溶液をキャスティングすることによって、絶縁基板
や電極の上に容易にパーフルオロスルホネートポリマー
からなる固体電解質層を形成することができる。このこ
とは、ガスセンサの製造が容易であることを意味してい
る。
好ましい理由は、カチオンの解離度が大きいこと、すな
わちインピーダンスが小さいこと、あるいは、熱的、電
気化学的に比較的安定であること等である。また、パー
フルオロスルホネートポリマーは、溶媒に可溶であるた
め、溶液をキャスティングすることによって、絶縁基板
や電極の上に容易にパーフルオロスルホネートポリマー
からなる固体電解質層を形成することができる。このこ
とは、ガスセンサの製造が容易であることを意味してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなパーフル
オロスルホネートポリマーを電解質に用いた電気化学式
ガスセンサでは、パーフルオロスルホネートポリマーの
物性値が経時的に変化していくため、センサの感度が経
時的に変化し、ある時点でセンサとしての機能を発揮で
きなくなり、いわゆる寿命がくる。このような電気化学
式ガスセンサの寿命を出来るだけ延ばすことも重要な課
題であるが、寿命を延ばすことには限界がある。そし
て、従来の電気化学式ガスセンサでは、使用中のガスセ
ンサに寿命がきたことを簡単に知ることが出来ないとい
う問題があった。
オロスルホネートポリマーを電解質に用いた電気化学式
ガスセンサでは、パーフルオロスルホネートポリマーの
物性値が経時的に変化していくため、センサの感度が経
時的に変化し、ある時点でセンサとしての機能を発揮で
きなくなり、いわゆる寿命がくる。このような電気化学
式ガスセンサの寿命を出来るだけ延ばすことも重要な課
題であるが、寿命を延ばすことには限界がある。そし
て、従来の電気化学式ガスセンサでは、使用中のガスセ
ンサに寿命がきたことを簡単に知ることが出来ないとい
う問題があった。
【0007】詳しく説明すると、電極間をつなぐ電解質
であるパーフルオロスルホネートポリマーのインピーダ
ンスやガス透過性等の物性値は、ガスセンサの感度に非
常に大きな影響を与えるため、その物性値の経時的変化
は、そのままセンサ感度の経時的変化となって表れるの
である。そして、センサ感度が経時的に低下して、セン
サとしての機能を発揮するために必要な最低値以下の感
度になってしまうと、この時点でセンサの寿命がきたこ
とになる。寿命のきているガスセンサをそのまま使用し
続けることは非常に危険であり、寿命がきたことを速や
かに知ることが要求される。
であるパーフルオロスルホネートポリマーのインピーダ
ンスやガス透過性等の物性値は、ガスセンサの感度に非
常に大きな影響を与えるため、その物性値の経時的変化
は、そのままセンサ感度の経時的変化となって表れるの
である。そして、センサ感度が経時的に低下して、セン
サとしての機能を発揮するために必要な最低値以下の感
度になってしまうと、この時点でセンサの寿命がきたこ
とになる。寿命のきているガスセンサをそのまま使用し
続けることは非常に危険であり、寿命がきたことを速や
かに知ることが要求される。
【0008】従来のガスセンサでは、定期的に一定濃度
の検知対象ガスを打ち込み、それに対するセンサ感度を
計測して、センサが充分に機能できるだけの感度を有し
ているかどうかを判断していた。しかし、このような方
法によるセンサの点検作業は、時間と労力が非常にかか
るとともに、一定期間をおいて実施する点検の間にセン
サの寿命が来た場合には、それを知ることが出来ず、セ
ンサの寿命を迅速かつ確実に知るには不十分な方法であ
った。
の検知対象ガスを打ち込み、それに対するセンサ感度を
計測して、センサが充分に機能できるだけの感度を有し
ているかどうかを判断していた。しかし、このような方
法によるセンサの点検作業は、時間と労力が非常にかか
るとともに、一定期間をおいて実施する点検の間にセン
サの寿命が来た場合には、それを知ることが出来ず、セ
ンサの寿命を迅速かつ確実に知るには不十分な方法であ
った。
【0009】そこで、この発明の課題は、前記したよう
な電気化学式ガスセンサにおいて、その寿命を延ばすこ
とが出来ると同時に、前記した点検作業のような面倒な
手間をかけずに、センサ自身が、常時感度特性を検知す
ることにより、寿命のきたことを自己診断する機能をも
った電気化学式ガスセンサを提供することにある。
な電気化学式ガスセンサにおいて、その寿命を延ばすこ
とが出来ると同時に、前記した点検作業のような面倒な
手間をかけずに、センサ自身が、常時感度特性を検知す
ることにより、寿命のきたことを自己診断する機能をも
った電気化学式ガスセンサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかる電気化学式ガスセンサは、絶縁基板上の
複数の電極を固体電解質でつないで検知作用を行わせる
電気化学式ガスセンサにおいて、同一基板上に、検知対
象となる対象ガスを検知するための対象ガス検知部と使
用環境に一定の濃度で存在する基準ガスを検知するため
の基準ガス検知部とを備え、基準ガス検知部には、検知
出力が一定値以下になると信号を発する寿命告知手段が
接続されており、前記対象ガス検知部は、作用極、対
極、参照極からなる1組の電極、各電極の上および間を
覆う固体電解質、および、固体電解質を保護するための
保護膜からなり、前記基準ガス検知部は、作用極、対
極、参照極からなる1組の電極、各電極の上および間を
覆うとともに作用極上の厚みが他の部分の厚みよりも厚
い固体電解質、および、固体電解質を保護するための保
護膜からなる。
の発明にかかる電気化学式ガスセンサは、絶縁基板上の
複数の電極を固体電解質でつないで検知作用を行わせる
電気化学式ガスセンサにおいて、同一基板上に、検知対
象となる対象ガスを検知するための対象ガス検知部と使
用環境に一定の濃度で存在する基準ガスを検知するため
の基準ガス検知部とを備え、基準ガス検知部には、検知
出力が一定値以下になると信号を発する寿命告知手段が
接続されており、前記対象ガス検知部は、作用極、対
極、参照極からなる1組の電極、各電極の上および間を
覆う固体電解質、および、固体電解質を保護するための
保護膜からなり、前記基準ガス検知部は、作用極、対
極、参照極からなる1組の電極、各電極の上および間を
覆うとともに作用極上の厚みが他の部分の厚みよりも厚
い固体電解質、および、固体電解質を保護するための保
護膜からなる。
【0011】まず、ガス検知部の基本的な構造を説明す
る。電極は、作用極、対極、参照極で1組となってお
り、金、白金その他の電極材料からなり、絶縁基板上
に、それぞれの機能に対応した形状や配置構造となるよ
うに形成される。そして、これらの電極の上およびその
間を覆って、固体電解質層が形成され、電極同士が固体
電解質でつながれた状態になっている。そして、さらに
固体電解質の経時変化を低減するために、フッ素樹脂な
どからなり固定電解質の表面を覆う保護膜が形成されて
いる。保護膜の具体的な材料や作製手段は、従来の電気
化学式ガスセンサなどで採用されているものと同様でよ
い。
る。電極は、作用極、対極、参照極で1組となってお
り、金、白金その他の電極材料からなり、絶縁基板上
に、それぞれの機能に対応した形状や配置構造となるよ
うに形成される。そして、これらの電極の上およびその
間を覆って、固体電解質層が形成され、電極同士が固体
電解質でつながれた状態になっている。そして、さらに
固体電解質の経時変化を低減するために、フッ素樹脂な
どからなり固定電解質の表面を覆う保護膜が形成されて
いる。保護膜の具体的な材料や作製手段は、従来の電気
化学式ガスセンサなどで採用されているものと同様でよ
い。
【0012】この発明では、1つの素子内に、前記のよ
うなガス検知部を2つ備えている。まず、検知対象とな
る対象ガスを検知するための対象ガス検知部を備えてい
る。検知対象となるガスは、一酸化炭素、アルコール、
硫化水素等、各種のガスがあり、検知対象となるガスの
種類に合わせて、作用極と参照極の間にかける電圧を設
定しておく。つぎに、使用環境に一定の濃度で存在する
基準ガスを検知するための基準ガス検知部を備えてい
る。基準ガスとしては、例えば、大気中で使用する場合
には、酸素が好ましいものとなるが、使用環境が違え
ば、その環境に対応した基準ガスを選択すればよい。基
準ガス検知部では、上記のような基準ガスを検知できる
ように、作用極と参照極の間にかける電圧を設定してお
く。
うなガス検知部を2つ備えている。まず、検知対象とな
る対象ガスを検知するための対象ガス検知部を備えてい
る。検知対象となるガスは、一酸化炭素、アルコール、
硫化水素等、各種のガスがあり、検知対象となるガスの
種類に合わせて、作用極と参照極の間にかける電圧を設
定しておく。つぎに、使用環境に一定の濃度で存在する
基準ガスを検知するための基準ガス検知部を備えてい
る。基準ガスとしては、例えば、大気中で使用する場合
には、酸素が好ましいものとなるが、使用環境が違え
ば、その環境に対応した基準ガスを選択すればよい。基
準ガス検知部では、上記のような基準ガスを検知できる
ように、作用極と参照極の間にかける電圧を設定してお
く。
【0013】対象ガス検知部と基準ガス検知部は、ほぼ
同一の形状構造を備えているが、基準ガス検知部は、各
電極の上および間を覆う固体電解質の厚みが、作用極上
で他の部分よりも厚くなっている。作用極上と他の部分
で固体電解質の厚みを違えるには、平坦な絶縁基板上に
作用極および他の電極を形成しておき、作用極上のみで
固体電解質が分厚くなるように固体電解質の上面に段差
をつけて形成しておいてもよいし、絶縁基板に、作用極
の形成個所のみが他の部分よりも低くなるように段差を
つけておき、固体電解質は上面が平坦になるように形成
しておいてもよい。さらに、絶縁基板の表面および固体
電解質の上面の両方に段差をつけておくこともできる。
基準ガス検知部の作用極を覆う固体電解質の厚みは、基
準ガスの電気化学反応に伴う反応生成物が作用極に溜ま
らないように、基準ガスが作用極に到達するのを抑制で
きるだけの厚みが必要であるとともに、一定の検知出力
を得るために必要なある程度の量の基準ガスは固体電解
質を通過して作用極まで到達できるように設定してお
く。具体的な固体電解質の厚みは、センサ全体の構造や
要求性能によって異なる。
同一の形状構造を備えているが、基準ガス検知部は、各
電極の上および間を覆う固体電解質の厚みが、作用極上
で他の部分よりも厚くなっている。作用極上と他の部分
で固体電解質の厚みを違えるには、平坦な絶縁基板上に
作用極および他の電極を形成しておき、作用極上のみで
固体電解質が分厚くなるように固体電解質の上面に段差
をつけて形成しておいてもよいし、絶縁基板に、作用極
の形成個所のみが他の部分よりも低くなるように段差を
つけておき、固体電解質は上面が平坦になるように形成
しておいてもよい。さらに、絶縁基板の表面および固体
電解質の上面の両方に段差をつけておくこともできる。
基準ガス検知部の作用極を覆う固体電解質の厚みは、基
準ガスの電気化学反応に伴う反応生成物が作用極に溜ま
らないように、基準ガスが作用極に到達するのを抑制で
きるだけの厚みが必要であるとともに、一定の検知出力
を得るために必要なある程度の量の基準ガスは固体電解
質を通過して作用極まで到達できるように設定してお
く。具体的な固体電解質の厚みは、センサ全体の構造や
要求性能によって異なる。
【0014】対象ガス検知部および基準ガス検知部に
は、通常のガスセンサと同様に、対象ガス検知部および
基準ガス検知部に電圧を印加する電源や、対象ガス検知
部で検出された出力信号を処理する信号処理回路、対象
ガスの検知濃度を表示したり、一定濃度以上の対象ガス
が検出された場合に信号や警告を発したりする外部回路
および外部機器が接続されている。
は、通常のガスセンサと同様に、対象ガス検知部および
基準ガス検知部に電圧を印加する電源や、対象ガス検知
部で検出された出力信号を処理する信号処理回路、対象
ガスの検知濃度を表示したり、一定濃度以上の対象ガス
が検出された場合に信号や警告を発したりする外部回路
および外部機器が接続されている。
【0015】さらに、基準ガス検知部には、寿命告知手
段が接続されている。寿命告知手段は、基準ガスの検知
信号を監視しておき、検知信号が一定値以下になった場
合に、ガスセンサの寿命がきたとして、警告信号を発し
たり、警告表示を行ったりして、ガスセンサの寿命を告
知できるものである。寿命告知手段としては、警告音や
警告ランプ等で視覚や聴覚に訴えて寿命を告知するだけ
でなく、ガスセンサを組み込まれた外部機器や装置に制
御信号を送って、外部機器の作動を制御したり、ガスセ
ンサを交換する等の作業を自動的に行わせたりすること
もできる。
段が接続されている。寿命告知手段は、基準ガスの検知
信号を監視しておき、検知信号が一定値以下になった場
合に、ガスセンサの寿命がきたとして、警告信号を発し
たり、警告表示を行ったりして、ガスセンサの寿命を告
知できるものである。寿命告知手段としては、警告音や
警告ランプ等で視覚や聴覚に訴えて寿命を告知するだけ
でなく、ガスセンサを組み込まれた外部機器や装置に制
御信号を送って、外部機器の作動を制御したり、ガスセ
ンサを交換する等の作業を自動的に行わせたりすること
もできる。
【0016】ガスセンサの寿命は、例えば、センサ感度
が初期値の半分になる等、一定の割合以下になったとき
に寿命であるとしたり、予め設定した一定のしきい値以
下にセンサ感度が低下したときに寿命であるとしたりす
ればよく、寿命であると判断するセンサ感度の値は、ガ
スセンサの用途や目的に応じて自由に設定できる。
が初期値の半分になる等、一定の割合以下になったとき
に寿命であるとしたり、予め設定した一定のしきい値以
下にセンサ感度が低下したときに寿命であるとしたりす
ればよく、寿命であると判断するセンサ感度の値は、ガ
スセンサの用途や目的に応じて自由に設定できる。
【0017】
【作用】電気化学式ガスセンサにおいては、ガス成分が
作用極と電解質との界面で電気化学反応を起こすことに
よって、ガス成分を検知する。したがって、センサ感度
が経時的に低下していく原因としては、ガス成分が作用
極と電解質の界面まで到達する時間が経時的に遅くなっ
ていくこと、電気化学反応の反応速度が経時的に遅くな
っていくこと、反応でできた生成物が対極まで移動する
速度が経時的に遅くなっていくこと等がある。これらの
現象は何れも、センサの構成によって決まった経過をた
どる。したがって、基準ガス検知部の電極や電解質等の
構成を適当に設定すれば、対象ガス検知部とほぼ同等の
経時特性を有する基準ガス検知部を形成することが可能
である。
作用極と電解質との界面で電気化学反応を起こすことに
よって、ガス成分を検知する。したがって、センサ感度
が経時的に低下していく原因としては、ガス成分が作用
極と電解質の界面まで到達する時間が経時的に遅くなっ
ていくこと、電気化学反応の反応速度が経時的に遅くな
っていくこと、反応でできた生成物が対極まで移動する
速度が経時的に遅くなっていくこと等がある。これらの
現象は何れも、センサの構成によって決まった経過をた
どる。したがって、基準ガス検知部の電極や電解質等の
構成を適当に設定すれば、対象ガス検知部とほぼ同等の
経時特性を有する基準ガス検知部を形成することが可能
である。
【0018】このように、感度の経時特性が同等である
ような対象ガス検知部と基準ガス検知部とを用いれば、
対象ガス検知部と基準ガス検知部における経時的な感度
低下は同じように進行することになる。したがって、使
用環境に一定濃度で存在する基準ガスに対する基準ガス
検知部の検知出力(感度)を継続的に監視しておけば、
基準ガス検知部の感度の経時的な低下を知ることができ
る。この基準ガス検知部における感度の低下は、前記し
たように、対象ガス検知部における感度の低下をも示す
ことになる。すなわち、基準ガス検知部におけるセンサ
感度が、初期値に対して一定割合以下になり、ある一定
のしきい値以下になった段階で、基準ガス検知部に接続
された寿命告知手段を作動させれば、対象ガス検知部す
なわちガスセンサの寿命が来たことを知らせることがで
きるのである。
ような対象ガス検知部と基準ガス検知部とを用いれば、
対象ガス検知部と基準ガス検知部における経時的な感度
低下は同じように進行することになる。したがって、使
用環境に一定濃度で存在する基準ガスに対する基準ガス
検知部の検知出力(感度)を継続的に監視しておけば、
基準ガス検知部の感度の経時的な低下を知ることができ
る。この基準ガス検知部における感度の低下は、前記し
たように、対象ガス検知部における感度の低下をも示す
ことになる。すなわち、基準ガス検知部におけるセンサ
感度が、初期値に対して一定割合以下になり、ある一定
のしきい値以下になった段階で、基準ガス検知部に接続
された寿命告知手段を作動させれば、対象ガス検知部す
なわちガスセンサの寿命が来たことを知らせることがで
きるのである。
【0019】一方、センサの長寿命化を図るために、対
象ガス検知部の固体電解質を、フッ素系樹脂などからな
る保護膜で保護することが有効である。この保護膜は、
外部環境から有害な物質が固体電解質に侵入するのを防
いだり、逆に、固体電解質に含まれる水分が蒸発するの
を防いで固体電解質の特性を安定化させる等の機能を有
しており、その結果として、センサの長寿命化を図るこ
とができるのである。但し、対象ガス検知部の固体電解
質を保護膜で覆うのであれば、基準ガス検知部の固体電
解質も保護膜で覆っておかないと、基準ガス検知部に対
象ガス検知部と同等の経時特性を持たすことができな
い。
象ガス検知部の固体電解質を、フッ素系樹脂などからな
る保護膜で保護することが有効である。この保護膜は、
外部環境から有害な物質が固体電解質に侵入するのを防
いだり、逆に、固体電解質に含まれる水分が蒸発するの
を防いで固体電解質の特性を安定化させる等の機能を有
しており、その結果として、センサの長寿命化を図るこ
とができるのである。但し、対象ガス検知部の固体電解
質を保護膜で覆うのであれば、基準ガス検知部の固体電
解質も保護膜で覆っておかないと、基準ガス検知部に対
象ガス検知部と同等の経時特性を持たすことができな
い。
【0020】ところが、対象ガス検知部および基準ガス
検知部の固体電解質を保護膜で覆うと、この保護膜の形
状構造が全く同一であっても、対象ガス検知部と基準ガ
ス検知部の経時特性が大きく異なるものになってしまう
という問題が発生する。その原因は次のように考えられ
る。基準ガス検知部では、使用環境中に常に一定濃度で
存在する基準ガスと接触しているため、作用極上におい
ては電気化学反応が絶えず起きていることになり、電気
化学反応に伴う反応生成物も絶えず生成され続けること
になる。例えば、基準ガスが酸素であるとすると、基準
ガス検知部の作用極上では、 O2+4H++4e- →2H2O という反応が起こって、水が発生し続ける。このような
反応生成物が固体電解質内に溜まると、基準ガス検知部
の感度に影響が生じる。これに対し、対象ガス検知部で
は、環境中に、例えば一酸化炭素などの対象ガスが発生
しない限り、作用極上では電気化学反応が生じず、当
然、反応生成物が生成することもない。
検知部の固体電解質を保護膜で覆うと、この保護膜の形
状構造が全く同一であっても、対象ガス検知部と基準ガ
ス検知部の経時特性が大きく異なるものになってしまう
という問題が発生する。その原因は次のように考えられ
る。基準ガス検知部では、使用環境中に常に一定濃度で
存在する基準ガスと接触しているため、作用極上におい
ては電気化学反応が絶えず起きていることになり、電気
化学反応に伴う反応生成物も絶えず生成され続けること
になる。例えば、基準ガスが酸素であるとすると、基準
ガス検知部の作用極上では、 O2+4H++4e- →2H2O という反応が起こって、水が発生し続ける。このような
反応生成物が固体電解質内に溜まると、基準ガス検知部
の感度に影響が生じる。これに対し、対象ガス検知部で
は、環境中に、例えば一酸化炭素などの対象ガスが発生
しない限り、作用極上では電気化学反応が生じず、当
然、反応生成物が生成することもない。
【0021】すなわち、常に反応生成物が生成されてい
る基準ガス検知部と、常には反応生成物が生成されない
対象ガス検知部では、経時的に感度特性が違ってくるの
である。但し、固体電解質の表面が保護膜で覆われず露
出していた場合には、基準ガス検知部で生成された反応
生成物は、固体電解質の表面から環境中に放出され易い
ので、基準ガス検知部に反応生成物が溜まることが少な
く、対象ガス検知部と基準ガス検知部の経時特性の違い
も比較的少ない。
る基準ガス検知部と、常には反応生成物が生成されない
対象ガス検知部では、経時的に感度特性が違ってくるの
である。但し、固体電解質の表面が保護膜で覆われず露
出していた場合には、基準ガス検知部で生成された反応
生成物は、固体電解質の表面から環境中に放出され易い
ので、基準ガス検知部に反応生成物が溜まることが少な
く、対象ガス検知部と基準ガス検知部の経時特性の違い
も比較的少ない。
【0022】しかし、固体電解質の表面が保護膜で覆わ
れていると、基準ガス検知部で生成された反応生成物
は、固体電解質から環境中に放出され難く、固体電解質
内に溜まってしまうのである。そのため、保護膜を使用
した場合には、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検
知部の経時特性に合わせるのが非常に困難になる。そこ
で、この発明では、基準ガス検知部の作用極を覆う固体
電解質の厚みを他の部分の厚みよりも厚くしておくこと
によって、基準ガス検知部の作用極に前記反応生成物が
溜まるのを防ぐ。すなわち、基準ガス検知部の作用極を
覆う固体電解質が分厚ければ、環境中から固体電解質を
通過して作用極に到達する基準ガスの量が少なくなり、
作用極上における前記電気化学反応および反応生成物の
生成も少なくなる。その結果、基準ガス検知部の感度が
変化することもなくなり、対象ガス検知部と同等の経時
特性を維持することができる。しかも、固体電解質の厚
みが分厚くても、少量の基準ガスは作用極まで到達する
ので、基準ガス検知部で、基準ガスの検知信号を常時出
力させておき、その経時変化を監視しておくことは可能
である。また、基準ガス検知部の作用極と対象ガス検知
部の作用極で、その上を覆う固体電解質の厚みが異なる
ことは、基準ガス検知部と対象ガス検知部で構造的に違
いが生じることになるが、このこと自体による感度の経
時特性に与える影響は少ない。また、このような固体電
解質の厚みの違いにもとづく感度特性の違いは、予めセ
ンサの作製時点で判るので、適当な感度補正を行ったり
しておけば、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検知
部の経時特性に合わせることは容易である。
れていると、基準ガス検知部で生成された反応生成物
は、固体電解質から環境中に放出され難く、固体電解質
内に溜まってしまうのである。そのため、保護膜を使用
した場合には、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検
知部の経時特性に合わせるのが非常に困難になる。そこ
で、この発明では、基準ガス検知部の作用極を覆う固体
電解質の厚みを他の部分の厚みよりも厚くしておくこと
によって、基準ガス検知部の作用極に前記反応生成物が
溜まるのを防ぐ。すなわち、基準ガス検知部の作用極を
覆う固体電解質が分厚ければ、環境中から固体電解質を
通過して作用極に到達する基準ガスの量が少なくなり、
作用極上における前記電気化学反応および反応生成物の
生成も少なくなる。その結果、基準ガス検知部の感度が
変化することもなくなり、対象ガス検知部と同等の経時
特性を維持することができる。しかも、固体電解質の厚
みが分厚くても、少量の基準ガスは作用極まで到達する
ので、基準ガス検知部で、基準ガスの検知信号を常時出
力させておき、その経時変化を監視しておくことは可能
である。また、基準ガス検知部の作用極と対象ガス検知
部の作用極で、その上を覆う固体電解質の厚みが異なる
ことは、基準ガス検知部と対象ガス検知部で構造的に違
いが生じることになるが、このこと自体による感度の経
時特性に与える影響は少ない。また、このような固体電
解質の厚みの違いにもとづく感度特性の違いは、予めセ
ンサの作製時点で判るので、適当な感度補正を行ったり
しておけば、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検知
部の経時特性に合わせることは容易である。
【0023】以上に説明したように、この発明にかかる
電気化学式ガスセンサでは、保護膜を形成しておくこと
によって、長寿命化あるいは性能向上を図ると同時に、
基準ガス検知部の作用極上における固体電解質の厚みを
前記のように設定することによって、対象ガス検知部と
基準ガス検知部における感度の経時特性が違わないよう
にできることになる。
電気化学式ガスセンサでは、保護膜を形成しておくこと
によって、長寿命化あるいは性能向上を図ると同時に、
基準ガス検知部の作用極上における固体電解質の厚みを
前記のように設定することによって、対象ガス検知部と
基準ガス検知部における感度の経時特性が違わないよう
にできることになる。
【0024】
【実施例】ついで、この発明の実施例について、図面を
参照しながら以下に詳しく説明する。図1〜図3は、こ
の発明にかかる電気化学式ガスセンサの模式的構造を示
している。まず、表面に絶縁膜を形成したシリコン基板
などからなる絶縁基板10の表面は、全体がほぼ平坦で
あるとともに、図2に明らかなように、一部分12のみ
は低く掘り下げられた形で、残りの部分との間に段差が
付いている。このような絶縁基板10の表面に、白金や
金その他の電極材料からなる2組の電極が形成されてい
る。すなわち、検知対象ガスを検知するための作用極2
0、対極30、参照極40の3本の矩形状電極からなる
対象ガス検知用電極組と、この電極組と対称的に向かい
合うように配置された、基準ガスを検知するための作用
極50、対極60および参照極70の3本の矩形状電極
からなる基準ガス検知用電極組である。このうち、基準
ガス検知用の作用極50は、前記した絶縁基板10の低
い部分12に形成されている。各電極の形成は、スパッ
タや蒸着等の通常の電極形成手段が利用される。
参照しながら以下に詳しく説明する。図1〜図3は、こ
の発明にかかる電気化学式ガスセンサの模式的構造を示
している。まず、表面に絶縁膜を形成したシリコン基板
などからなる絶縁基板10の表面は、全体がほぼ平坦で
あるとともに、図2に明らかなように、一部分12のみ
は低く掘り下げられた形で、残りの部分との間に段差が
付いている。このような絶縁基板10の表面に、白金や
金その他の電極材料からなる2組の電極が形成されてい
る。すなわち、検知対象ガスを検知するための作用極2
0、対極30、参照極40の3本の矩形状電極からなる
対象ガス検知用電極組と、この電極組と対称的に向かい
合うように配置された、基準ガスを検知するための作用
極50、対極60および参照極70の3本の矩形状電極
からなる基準ガス検知用電極組である。このうち、基準
ガス検知用の作用極50は、前記した絶縁基板10の低
い部分12に形成されている。各電極の形成は、スパッ
タや蒸着等の通常の電極形成手段が利用される。
【0025】2組の電極20〜40および50〜70に
は、それぞれの上および間を覆って、パーフルオロスル
ホネートポリマー等からなる固体電解質層80、82
が、基準ガス検知用と対象ガス検知用とで、互いに分離
された状態で形成されている。固体電解質層80、82
の上面は平坦に形成されている。したがって、図2に示
すように、基準ガス検知用の作用極50の上の固体電解
質層82の厚みT1 は、その他の部分における固体電解
質層82の厚みT0 に比べて、絶縁基板10の段差の分
だけ厚くなっている。固体電解質層80、82の材料や
形成手段は、通常のガスセンサの場合と同様でよい。
は、それぞれの上および間を覆って、パーフルオロスル
ホネートポリマー等からなる固体電解質層80、82
が、基準ガス検知用と対象ガス検知用とで、互いに分離
された状態で形成されている。固体電解質層80、82
の上面は平坦に形成されている。したがって、図2に示
すように、基準ガス検知用の作用極50の上の固体電解
質層82の厚みT1 は、その他の部分における固体電解
質層82の厚みT0 に比べて、絶縁基板10の段差の分
だけ厚くなっている。固体電解質層80、82の材料や
形成手段は、通常のガスセンサの場合と同様でよい。
【0026】そして、上記のような固体電解質層80、
82の表面全体を覆って、フッ素系樹脂からなる保護膜
90、92が形成されている。図1では、保護膜90、
92の形成個所をハッチングで表している。保護膜9
0、92は、蒸着法やプラズマ重合法、キャスティング
法などで形成される。各電極20〜70の一端は、固体
電解質層80、82および保護膜90、92の外まで延
長されて外部に露出しており、外部回路への接続用端子
部22、32、42、52、62、72となっている。
このようにして、ひとつの絶縁基板10上に、対象ガス
検知部Aと基準ガス検知部Bが並んで設けられている。
82の表面全体を覆って、フッ素系樹脂からなる保護膜
90、92が形成されている。図1では、保護膜90、
92の形成個所をハッチングで表している。保護膜9
0、92は、蒸着法やプラズマ重合法、キャスティング
法などで形成される。各電極20〜70の一端は、固体
電解質層80、82および保護膜90、92の外まで延
長されて外部に露出しており、外部回路への接続用端子
部22、32、42、52、62、72となっている。
このようにして、ひとつの絶縁基板10上に、対象ガス
検知部Aと基準ガス検知部Bが並んで設けられている。
【0027】対象ガス検知部Aの各電極20〜40は、
端子部22〜42に接続されたリード線102を介し
て、信号処理回路100に接続されており、対象ガス検
知部Aで検知された対象ガスの検知信号を、外部に取り
出して利用できるようになっている。基準ガス検知部B
の各電極50〜70は、端子部52〜72に接続された
リード線104を介して、寿命告知手段110に接続さ
れている。
端子部22〜42に接続されたリード線102を介し
て、信号処理回路100に接続されており、対象ガス検
知部Aで検知された対象ガスの検知信号を、外部に取り
出して利用できるようになっている。基準ガス検知部B
の各電極50〜70は、端子部52〜72に接続された
リード線104を介して、寿命告知手段110に接続さ
れている。
【0028】寿命告知手段110は、基準ガス検知部B
の検知出力を監視して、検知出力が一定値以下になった
ときに信号を発して、警告音を出したり警告ランプを点
灯したりして、センサの寿命が来たことを告知できるよ
うになっている。このような機能を有する寿命告知手段
110は、各種機器類で用いられているのと同様の、通
常の電子回路等で構成されている。
の検知出力を監視して、検知出力が一定値以下になった
ときに信号を発して、警告音を出したり警告ランプを点
灯したりして、センサの寿命が来たことを告知できるよ
うになっている。このような機能を有する寿命告知手段
110は、各種機器類で用いられているのと同様の、通
常の電子回路等で構成されている。
【0029】以上のような構造を有するガスセンサにお
いて、対象ガス検知部Aにおけるセンサ作用を説明す
る。検知対象ガスのガス成分は、保護膜90の表面か
ら、保護膜90および固体電解質層80を透過して作用
極20に到達し、ここで電気化学反応を起こす。対極3
0では、上記作用極20と対になる反応が起きる。その
結果、作用極20と対極30の間に検知電流が流れて、
ガス成分の検知および定量が行える。参照極40は、作
用極20の電位を一定に維持するための基準としての機
能を果たす。すなわち、作用極20の電位を、検知対象
となるガス成分に対応する一定の電位に維持しておくこ
とによって、検知対象となるガス成分が作用極20で電
気化学反応を起こすのである。このようなセンサ作用
は、通常の電気化学式ガスセンサの場合と同様である。
いて、対象ガス検知部Aにおけるセンサ作用を説明す
る。検知対象ガスのガス成分は、保護膜90の表面か
ら、保護膜90および固体電解質層80を透過して作用
極20に到達し、ここで電気化学反応を起こす。対極3
0では、上記作用極20と対になる反応が起きる。その
結果、作用極20と対極30の間に検知電流が流れて、
ガス成分の検知および定量が行える。参照極40は、作
用極20の電位を一定に維持するための基準としての機
能を果たす。すなわち、作用極20の電位を、検知対象
となるガス成分に対応する一定の電位に維持しておくこ
とによって、検知対象となるガス成分が作用極20で電
気化学反応を起こすのである。このようなセンサ作用
は、通常の電気化学式ガスセンサの場合と同様である。
【0030】ついで、基準ガス検知部Bにおける寿命検
知作用について説明する。基準ガス検知部Bでは、基準
ガスである酸素が、保護膜92の表面から、保護膜92
および固体電解質層82を透過して作用極50に到達
し、ここで電気化学反応を起こす。但し、作用極50の
上の固体電解質層82の厚みT1 が分厚いため、作用極
50まで到達する酸素の量は少なく、反応量は極くわず
かである。対極60では、上記作用極50と対になる反
応が起こり、作用極50と対極60の間に酸素検知電流
が流れる。なお、この基準ガス検知部Bでは、作用極5
0の電位を、参照極70を基準にして、酸素に対応する
一定の電位に維持しているので、酸素を検知できるので
ある。すなわち、基準ガス検知部Bと対象ガス検知部A
では、作用極20と50の電位設定が異なるだけで、基
本的な電気化学反応や検知電流が流れる原理作用は同じ
である。
知作用について説明する。基準ガス検知部Bでは、基準
ガスである酸素が、保護膜92の表面から、保護膜92
および固体電解質層82を透過して作用極50に到達
し、ここで電気化学反応を起こす。但し、作用極50の
上の固体電解質層82の厚みT1 が分厚いため、作用極
50まで到達する酸素の量は少なく、反応量は極くわず
かである。対極60では、上記作用極50と対になる反
応が起こり、作用極50と対極60の間に酸素検知電流
が流れる。なお、この基準ガス検知部Bでは、作用極5
0の電位を、参照極70を基準にして、酸素に対応する
一定の電位に維持しているので、酸素を検知できるので
ある。すなわち、基準ガス検知部Bと対象ガス検知部A
では、作用極20と50の電位設定が異なるだけで、基
本的な電気化学反応や検知電流が流れる原理作用は同じ
である。
【0031】酸素は大気中に常に一定濃度で存在してい
るので、感度の経時的な変化がなければ、基準ガス検知
部Bにおいて常に一定の検知電流が得られるはずであ
る。しかし、前記したように、基準ガス検知部Bの感度
は経時的に低下するので、検知電流が徐々に小さくなっ
てくる。この基準ガス検知部Bにおける検知電流すなわ
ち感度の経時変化と同じ現象は、対象ガス検知部Aでも
同時進行で生じている。したがって、基準ガス検知部B
における検知電流(感度)を常時モニタしておき、検知
電流が所定の値以下になれば、センサすなわち対象ガス
検知部Aの寿命であると判断すればよい。
るので、感度の経時的な変化がなければ、基準ガス検知
部Bにおいて常に一定の検知電流が得られるはずであ
る。しかし、前記したように、基準ガス検知部Bの感度
は経時的に低下するので、検知電流が徐々に小さくなっ
てくる。この基準ガス検知部Bにおける検知電流すなわ
ち感度の経時変化と同じ現象は、対象ガス検知部Aでも
同時進行で生じている。したがって、基準ガス検知部B
における検知電流(感度)を常時モニタしておき、検知
電流が所定の値以下になれば、センサすなわち対象ガス
検知部Aの寿命であると判断すればよい。
【0032】つぎに、上記した構造の電気化学式ガスセ
ンサを製造して、そのガス検知作用を経時変化を試験し
た結果について説明する。 −実施例1− 絶縁基板10の材料として、10mm角で厚さ1mmのシリ
コン基板を用いた。シリコン基板の表面のうち、一部分
12のみは、他部分よりも0.1mm低く段差を付けられ
ているとともに、表面全体に酸化処理を施している。ま
た、基板と電極との密着性を高めるために、シリコン基
板の表面にスパッタリングで厚さ2000Å程度のポリ
シリコン層を形成した。この絶縁基板10の上に、スパ
ッタリングで白金からなる作用極20、50、対極3
0、60および金からなる参照極40、70を形成し
た。但し、作用極50は、前記した絶縁基板10の表面
のうち、他部分よりも低くなった部分12に形成した。
その後、パーフルオロスルホネートポリマーを5重量%
含む溶液を、各電極20〜40、50〜70およびその
周囲の絶縁基板10の上にキャスティングすることによ
り、厚さ3μmのパーフルオロスルホネートポリマーか
らなる固体電解質層80、82を形成した。固体電解質
層80、82の上面は平坦であるので、前記した絶縁基
板10の低い部分12に形成された作用極50の上に
は、厚さ約0.1mmで固体電解質層82が覆うことにな
る。さらに、固体電解質層80、82の表面全体を覆っ
て、テトラフルオロエチレンの重合体からなる保護膜9
0、92をプラズマ重合によって形成した。
ンサを製造して、そのガス検知作用を経時変化を試験し
た結果について説明する。 −実施例1− 絶縁基板10の材料として、10mm角で厚さ1mmのシリ
コン基板を用いた。シリコン基板の表面のうち、一部分
12のみは、他部分よりも0.1mm低く段差を付けられ
ているとともに、表面全体に酸化処理を施している。ま
た、基板と電極との密着性を高めるために、シリコン基
板の表面にスパッタリングで厚さ2000Å程度のポリ
シリコン層を形成した。この絶縁基板10の上に、スパ
ッタリングで白金からなる作用極20、50、対極3
0、60および金からなる参照極40、70を形成し
た。但し、作用極50は、前記した絶縁基板10の表面
のうち、他部分よりも低くなった部分12に形成した。
その後、パーフルオロスルホネートポリマーを5重量%
含む溶液を、各電極20〜40、50〜70およびその
周囲の絶縁基板10の上にキャスティングすることによ
り、厚さ3μmのパーフルオロスルホネートポリマーか
らなる固体電解質層80、82を形成した。固体電解質
層80、82の上面は平坦であるので、前記した絶縁基
板10の低い部分12に形成された作用極50の上に
は、厚さ約0.1mmで固体電解質層82が覆うことにな
る。さらに、固体電解質層80、82の表面全体を覆っ
て、テトラフルオロエチレンの重合体からなる保護膜9
0、92をプラズマ重合によって形成した。
【0033】このようにして作製された対象ガス検知部
Aおよび基準ガス検知部Bを組み合わせたガスセンサ
が、対象ガスに対するセンサ機能および寿命の告知機能
を有していることを確認するために、対象ガス検知部A
と基準ガス検知部Bの、一酸化炭素と酸素に対する感度
の経時的変化を、それぞれ測定した。測定には、図4に
示す試験装置を用いた。測定用チャンバー120の中に
ガスセンサを収容し、各電極20…の端子部22…をリ
ード線121を介して、対象ガス検知部A用と基準ガス
検知部B用のそれぞれのポテンショスタット122、1
23に接続した。対象ガス検知部A用と基準ガス検知部
B用のそれぞれのポテンショスタット122、123に
は、それぞれレコーダ124、125が接続されてい
る。
Aおよび基準ガス検知部Bを組み合わせたガスセンサ
が、対象ガスに対するセンサ機能および寿命の告知機能
を有していることを確認するために、対象ガス検知部A
と基準ガス検知部Bの、一酸化炭素と酸素に対する感度
の経時的変化を、それぞれ測定した。測定には、図4に
示す試験装置を用いた。測定用チャンバー120の中に
ガスセンサを収容し、各電極20…の端子部22…をリ
ード線121を介して、対象ガス検知部A用と基準ガス
検知部B用のそれぞれのポテンショスタット122、1
23に接続した。対象ガス検知部A用と基準ガス検知部
B用のそれぞれのポテンショスタット122、123に
は、それぞれレコーダ124、125が接続されてい
る。
【0034】上記のような試験装置を用い、一酸化炭素
を検知する対象ガス検知部Aの作用極20と参照極40
の間の印加電圧を0.45Vに設定し、酸素を検知する
基準ガス検知部Bの作用極50と参照極70の間の印加
電圧を−0.6Vに設定して試験を行った。そして、基
準ガス検知部Bの作用極50と対極60の間を流れる酸
素検知電流は、レコーダ125で常時監視した。また、
チャンバー120内の雰囲気を、空気のみの状態から一
酸化炭素を1000ppm 含む空気に置き換え、その際に
対象ガス検知部Aの作用極20と対極30の間に流れる
一酸化炭素検知電流をレコーダ124で測定した。チャ
ンバー120内には一定時間毎に、一酸化炭素を含む空
気を供給して測定を繰り返した。
を検知する対象ガス検知部Aの作用極20と参照極40
の間の印加電圧を0.45Vに設定し、酸素を検知する
基準ガス検知部Bの作用極50と参照極70の間の印加
電圧を−0.6Vに設定して試験を行った。そして、基
準ガス検知部Bの作用極50と対極60の間を流れる酸
素検知電流は、レコーダ125で常時監視した。また、
チャンバー120内の雰囲気を、空気のみの状態から一
酸化炭素を1000ppm 含む空気に置き換え、その際に
対象ガス検知部Aの作用極20と対極30の間に流れる
一酸化炭素検知電流をレコーダ124で測定した。チャ
ンバー120内には一定時間毎に、一酸化炭素を含む空
気を供給して測定を繰り返した。
【0035】図5に測定結果を示している。このグラフ
から明らかなように、一酸化炭素に対する対象ガス検知
部Aの感度と、酸素に対する基準ガス検知部Bの感度の
経時変化は、ほとんど同様の傾向を示していることがわ
かる。したがって、対象ガス検知部Aがセンサとして機
能を果たせなくなる感度になるまでの時間を寿命とすれ
ば、基準ガス検知部Bの感度が、対象ガス検知部Bの寿
命に対応する経過時間における感度以下になった段階
で、センサの寿命であると判断して、適当な警告信号を
発するようにしておけば、センサの寿命を迅速かつ確実
に検知することができる。
から明らかなように、一酸化炭素に対する対象ガス検知
部Aの感度と、酸素に対する基準ガス検知部Bの感度の
経時変化は、ほとんど同様の傾向を示していることがわ
かる。したがって、対象ガス検知部Aがセンサとして機
能を果たせなくなる感度になるまでの時間を寿命とすれ
ば、基準ガス検知部Bの感度が、対象ガス検知部Bの寿
命に対応する経過時間における感度以下になった段階
で、センサの寿命であると判断して、適当な警告信号を
発するようにしておけば、センサの寿命を迅速かつ確実
に検知することができる。
【0036】−実施例2− 前記実施例1において、保護膜90、92の材料として
テフロンを用い、その形成方法として蒸着法を用いた以
外は、実施例1と同様の製造工程を経てガスセンサを製
造した。このようにして製造されたガスセンサについて
も、前記実施例1と同様の測定を行った。図6に測定結
果を示している。実施例2の場合、実施例1に比べて、
感度の劣化速度が大きいが、対象ガス検知部Aと基準ガ
ス検知部Bの感度の経時変化についての挙動は同様であ
り、このガスセンサの場合も、基準ガス検知部Bの検知
出力から、センサの寿命を検知できることがわかる。
テフロンを用い、その形成方法として蒸着法を用いた以
外は、実施例1と同様の製造工程を経てガスセンサを製
造した。このようにして製造されたガスセンサについて
も、前記実施例1と同様の測定を行った。図6に測定結
果を示している。実施例2の場合、実施例1に比べて、
感度の劣化速度が大きいが、対象ガス検知部Aと基準ガ
ス検知部Bの感度の経時変化についての挙動は同様であ
り、このガスセンサの場合も、基準ガス検知部Bの検知
出力から、センサの寿命を検知できることがわかる。
【0037】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかかる電気
化学式ガスセンサによれば、通常のガスセンサと同様の
対象ガス検知部に加えて、使用環境に一定の濃度で存在
する基準ガスを検知する基準ガス検知部を備えているこ
とにより、ガスセンサの寿命を迅速かつ確実に検知する
ことができる。すなわち、ガスセンサ自身に、寿命が来
たのかどうかを自己診断する機能が備わっていることに
なる。その結果、センサの機能確認のための点検作業に
要する多大な労力と時間を節約でき、メンテナンスにか
かる費用の大幅な削減が可能になる。また、寿命がきた
ガスセンサをそのまま使用した場合に生じる危険な状況
を確実に回避できる信頼性の高いガスセンサを提供する
ことができる。
化学式ガスセンサによれば、通常のガスセンサと同様の
対象ガス検知部に加えて、使用環境に一定の濃度で存在
する基準ガスを検知する基準ガス検知部を備えているこ
とにより、ガスセンサの寿命を迅速かつ確実に検知する
ことができる。すなわち、ガスセンサ自身に、寿命が来
たのかどうかを自己診断する機能が備わっていることに
なる。その結果、センサの機能確認のための点検作業に
要する多大な労力と時間を節約でき、メンテナンスにか
かる費用の大幅な削減が可能になる。また、寿命がきた
ガスセンサをそのまま使用した場合に生じる危険な状況
を確実に回避できる信頼性の高いガスセンサを提供する
ことができる。
【0038】特に、固体電解質を保護する保護層を設け
ていることによって、固体電解質層の経時的な物性変化
に伴うセンサの感度低下を防ぎ、センサの寿命を延ばす
ことができる。さらに、基準ガス検知部の作用極上では
固体電解質層の厚みを他部分よりも分厚くしているの
で、前記のような保護層を形成していても、基準ガスの
電気化学反応に伴う反応生成物が作用極上に溜まり難
く、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検知部の経時
特性と確実に一致させることができ、基準ガス検知部に
よる寿命告知機能を良好に発揮できることになる。
ていることによって、固体電解質層の経時的な物性変化
に伴うセンサの感度低下を防ぎ、センサの寿命を延ばす
ことができる。さらに、基準ガス検知部の作用極上では
固体電解質層の厚みを他部分よりも分厚くしているの
で、前記のような保護層を形成していても、基準ガスの
電気化学反応に伴う反応生成物が作用極上に溜まり難
く、基準ガス検知部の経時特性を対象ガス検知部の経時
特性と確実に一致させることができ、基準ガス検知部に
よる寿命告知機能を良好に発揮できることになる。
【0039】以上の結果、この発明にかかる電気化学式
ガスセンサは、超寿命化と寿命の迅速かつ確実な告知と
いう従来実現不可能であった相反する要求を何れも満足
させることが可能になり、この種のガスセンサの機能向
上あるいは用途の拡大に大きく貢献できることになる。
ガスセンサは、超寿命化と寿命の迅速かつ確実な告知と
いう従来実現不可能であった相反する要求を何れも満足
させることが可能になり、この種のガスセンサの機能向
上あるいは用途の拡大に大きく貢献できることになる。
【図1】 この発明の実施例を示すガスセンサの全体構
成図
成図
【図2】 基準ガス検知部の拡大断面図
【図3】 対象ガス検知部の拡大断面図
【図4】 センサ感度の試験装置の概略構成図
【図5】 感度測定結果を示す線図
【図6】 別の実施例の感度測定結果を示す線図
A 対象ガス検知部 B 基準ガス検知部 10 絶縁基板 12 低い部分 20、50 作用極 30、60 対極 40、70 参照極 80、82 固体電解質 90、92 保護膜 110 寿命告知手段
Claims (1)
- 【請求項1】 絶縁基板上の複数の電極を固体電解質で
つないで検知作用を行わせる電気化学式ガスセンサにお
いて、同一基板上に、検知対象となる対象ガスを検知す
るための対象ガス検知部と使用環境に一定の濃度で存在
する基準ガスを検知するための基準ガス検知部とを備
え、基準ガス検知部には、検知出力が一定値以下になる
と信号を発する寿命告知手段が接続されており、前記対
象ガス検知部は、作用極、対極、参照極からなる1組の
電極、各電極の上および間を覆う固体電解質、および、
固体電解質を保護するための保護膜からなり、前記基準
ガス検知部は、作用極、対極、参照極からなる1組の電
極、各電極の上および間を覆うとともに作用極上の厚み
が他の部分の厚みよりも厚い固体電解質、および、固体
電解質を保護するための保護膜からなることを特徴とす
る電気化学式ガスセンサ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3173683A JP2942010B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 電気化学式ガスセンサ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3173683A JP2942010B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 電気化学式ガスセンサ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0518936A JPH0518936A (ja) | 1993-01-26 |
| JP2942010B2 true JP2942010B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=15965166
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3173683A Expired - Fee Related JP2942010B2 (ja) | 1991-07-15 | 1991-07-15 | 電気化学式ガスセンサ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2942010B2 (ja) |
-
1991
- 1991-07-15 JP JP3173683A patent/JP2942010B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0518936A (ja) | 1993-01-26 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |