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JP3555052B2 - 焦電型赤外線薄膜素子 - Google Patents
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JP3555052B2 - 焦電型赤外線薄膜素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、焦電体薄膜と、その上面および下面にそれぞれ設けられる上部電極および下部電極とからなる赤外線検出部が表層部に凹部を有する基板の前記凹部の上部に形成されている赤外線検出用の焦電型赤外線薄膜素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記焦電型赤外線薄膜素子の一つに、特開平7−55577号公報に示されるものがある。この焦電型赤外線薄膜素子は、図8(A),(B)に示すように、基板51としてMgO(100)単結晶基板を用い、その上層に、Pt薄膜よりなる下部電極52、焦電体薄膜53およびNiCr薄膜よりなる上部電極54をこの順で設け、焦電体薄膜53および上、下電極54,52の重なり合う赤外線検出部55を有機系保持膜56によって保持した後、赤外線検出部55の下方の基板51の表層部をエッチングして微小空洞57を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の焦電型赤外線薄膜素子によれば、下部電極52、焦電体薄膜53および上部電極54が互いに重なり合うところの赤外線検出部56の下部に微小空洞55が形成されているので、基板51の熱容量が小さくなり、熱応答性に優れるといった効果があるものの、次のような欠点がある。
【0004】
すなわち、前記図8(A)から理解されるように、下部電極52の細い引出し部52aが赤外線検出部55と基板51との間に赤外線検出部55を中心にして対称的に設けられており、基板エッチング後の赤外線検出部55の強度を持たせようとしているが、この引出し部52aはPtよりなる。
【0005】
しかしながら、上記Ptは延性や展性が小さく、また、その熱膨張率が有機系保持膜のそれと大きな差があるため、機械的ストレスを受けて断線が生じやすい。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、下部電極と下部引出し電極との接続において可及的に機械的ストレスの少ない構造を採用することにより、堅牢な焦電型赤外線薄膜素子を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、焦電体薄膜と、その上面および下面にそれぞれ設けられる上部電極および下部電極とからなる赤外線検出部が表層部に凹部を有する基板の前記凹部の上部に形成されている焦電型赤外線薄膜素子において、前記下部電極をPtで形成するとともに、この下部電極に接続される下部引出し電極を金系材料より形成し、さらに、下部電極の下部引出し電極との接続部位である引出し用突起部を前記凹部のエッジよりも越えないように位置させ、また、引出し用突起部と下部引出し電極とを、それらの間に介装される絶縁体薄膜に形成した孔を介して電気的に接続させている。
【0008】
上記構成の焦電型赤外線薄膜素子においては、Ptよりなる下部電極の引出し用突起部が短く、この下部電極に接続される下部引出し電極が延性および展性に富む金系材料(純金または金を主体とする金合金)よりなるので、下部電極の引出し構成を機械的ストレスの可及的に小さいものとすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の詳細を、図を参照しながら説明する。
【0010】
図1〜図3は、この発明の焦電型赤外線薄膜素子Sの一例を示し、図1は、焦電型赤外線薄膜素子Sの平面形状を示す図であり、図2は、図1におけるI−I線断面形状を拡大図とともに示す断面図であり、図3は、焦電型赤外線薄膜素子Sの分解斜視図である。
【0011】
図1〜図3において、1はMgO(酸化マグネシウム)よりなる単結晶基板で、2はこの基板1の表層部にエッチングによって形成される微小な凹部である。3は焦電体薄膜で、例えばPZT系強誘電体薄膜またはPLZT強誘電体薄膜からなる。この焦電体薄膜3の上下両面には、例えばPt(白金)よりなる上部電極4と下部電極5とが互いに対応するように設けられている。4aは上部電極4に形成されるエッチング用の複数の孔、5aは下部電極5に形成された引出し用突起部である。なお、矢印A方向に見て、両電極4,5および焦電体薄膜3が互いに重なり合う部分を赤外線検出部6というものとする。
【0012】
7は赤外線検出部6の受光電極としての上部電極4の上面を被覆するように設けられる赤外線吸収膜で、フォトリソグラフが可能な感光性有機薄膜にカーボンブラックのような赤外線吸収材料を適宜混入してなるものである。8は赤外線検出部6の周辺に形成され、赤外線検出部6を基板1に対して保持させる絶縁体薄膜で、ポリイミド系樹脂薄膜のような有機絶縁体薄膜またはSiO2 薄膜のような無機絶縁体薄膜よりなる。8aは絶縁体薄膜8に開設されるエッチング用の孔で、上部電極4の孔4aに対応して設けられるもののほか、赤外線検出部6を囲むようにして設けられている。また、8bは絶縁体薄膜8上であって、下部電極5の引出し用突起部5aに対応する位置に設けられる貫通孔である。9,10は上部電極4、下部電極5とそれぞれ電気的に接続される上部引出し電極、下部引出し電極である。
【0013】
上記焦電型赤外線薄膜素子Sの形成方法について、図4〜図7を参照しながら説明する。なお、図5〜図7においては、それぞれ断面形状を概略的に示す図と、平面形状を概略的に示す図を並列的に示している。また、最終形状前の各部材に対応する部分を表す符号には’(ダッシュ)を付している。
【0014】
(1)適宜厚さ(例えば500μm)のMgO(100)単結晶基板1を用意する(図4(A)参照)。
【0015】
(2)前記基板1の上面に、例えばスパッタリングによって、下部電極5’としてPtを0.2μmの厚みに成膜する(図4(B)参照)。
【0016】
(3)前記下部電極5’の上面に、例えばMOCVD法(有機金属化学気相成長法)によって、焦電体薄膜3’としてPZT系強誘電体薄膜(またはPLZT強誘電体薄膜)を約2μmの厚みに成膜する(図4(C)参照)。
【0017】
(4)前記焦電体薄膜3’の上面に、スパッタリングによって、上部電極4’としてPtを0.2μmの厚みに成膜する(図4(D)および図5(A),(B)参照)。
【0018】
(5)前記上部電極4’にレジストを塗布し、フォトリソグラフでレジストをパターニングする。その後、エッチングにより上部電極4をパターニングした後、レジストを除去し、複数の孔4aを有する形状に形成する(図5(C),(D)参照)。
【0019】
(6)次いで、焦電体薄膜3’にレジストを塗布し、フォトリソグラフでレジストをパターニングする。その後、エッチングにより焦電体薄膜3をパターニングした後、レジストを除去し、上部電極4の孔4aに対応した位置に複数の孔を有する形状に形成する(図5(E),(F)参照)。なお、この実施例では、焦電体薄膜3は上部電極4よりもやや大径に形成されている。
【0020】
(7)次いで、下部電極5’にレジストを塗布し、フォトリソグラフでレジストをパターニングする。その後、エッチングにより下部電極5’をパターニングした後、レジストを除去し、下部電極5およびこれに連なる引出し用突起部5aを形成する(図6(A),(B)参照)。この場合、引出し用突起部5aは、可及的に短く形成される(これについては、後述する)。なお、この実施例では、下部電極5は焦電体薄膜3と同径に形成されているが、これよりやや大径にしてもよい。
【0021】
(8)赤外線検出部6周辺および基板1の上面にわたって、金属より小さい熱伝導率を有する絶縁体薄膜8を形成する(図6(C),(D)参照)。絶縁体薄膜8は、有機絶縁体薄膜、無機絶縁体薄膜のいずれでもよく、有機絶縁体薄膜としてはポリイミド系樹脂薄膜が、また、無機絶縁体薄膜としてはSiO2 薄膜が好適である。
【0022】
(9)例えばスパッタリングによってAuよりなる上部電極引出し部9および下部引出し部10を形成する(図6(E),(F)参照)。このとき、Auの一部が絶縁体薄膜8に形成した貫通孔8bにも流れ込むようにする。
【0023】
(10)そして、例えばネガレジスト材料のような感光性有機薄膜に3wt%程度のカーボンブラックのような赤外線吸収材料を混入したものを、赤外線検出部6の上部電極4の上面に適宜厚さ塗布した後、パターニングすることにより、上部電極4の上面を赤外線吸収膜7によって被覆する(図7(A),(B)参照)。
【0024】
絶縁体薄膜8の孔8aから所定濃度のリン酸液をエッチング液として注入して、赤外線検出部6の直下の基板1をエッチングにより除去し、凹部(微小空洞)2を形成する(図7(C),(D)参照)。この場合、凹部2は、赤外線検出部6よりも大きくなるように形成されるが、赤外線検出部6の周囲および基板1の上面にわたって絶縁体薄膜8が形成されているので、赤外線検出部6は絶縁体薄膜8によって凹部2の上面に浮揚した状態で保持される。つまり、図1〜図3および図7(C),(D)に示すような焦電型赤外線薄膜素子Sが得られる。
【0025】
ここで、下部電極5と下部引出し電極10との接続構造について説明すると、下部電極5はPtよりなるが、これに形成される引出し用突起部5aはかなり短く形成され、図1および図2に示すように、その先端部がエッチングによって基板1に形成される凹部2を越えない程度に形成されている。また、引出し用突起部5aに接続される下部引出し電極10は、延性および展性に富む純金または金合金などの金系材料より構成される。
【0026】
そして、下部電極5と下部引出し電極10の位置関係は、図2および図3から理解されるように、下部電極5の上方に絶縁体薄膜8が位置し、この絶縁体薄膜8の上方に下部引出し電極10が位置している。つまり、下部電極5に連なる引出し用突起部5aと下部引出し電極10との間に絶縁体薄膜8が介在している。そこで、この実施例においては、図2および図3に示すように、引出し用突起部5aに対応するようにして絶縁体薄膜8に形成された貫通孔8bを介して引出し用突起部5aと下部引出し電極10とが電気的接続されるようにしている。つまり、下部引出し電極10の形成時にAuの一部が絶縁体薄膜8に形成された貫通孔8bに流れ込むようにし、下部引出し電極10と引出し用突起部5aとを電気的に接続するのである。
【0027】
なお、下部引出し電極10の構成材料は、純金でもよいが、金を主体とする金合金であってもよい。
【0028】
【発明の効果】
この発明は、以上のような形態で実施され、以下のような効果を奏する。
【0029】
Ptよりなる下部電極の引出し用突起部が短く、この下部電極に接続される下部引出し電極が延性および展性に富む金系材料よりなるので、下部電極の引出し構成を機械的ストレスの可及的に小さいものとすることができる。したがって、堅牢な焦電型赤外線薄膜素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の焦電型赤外線薄膜素子の一例を示す平面図である。
【図2】図1におけるI−I線断面形状図とその部分拡大図である。
【図3】前記焦電型赤外線薄膜素子Sの分解斜視図である。
【図4】図5〜図7とともに前記焦電型赤外線薄膜素子の製造工程を示し、このうちの始めの部分を示している。
【図5】図4に続く製造工程を示す図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す図である。
【図8】従来技術を説明するための図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…凹部、3…焦電体薄膜、4…上部電極、5…下部電極、5a…引出し用突起部、6…赤外線検出部、7…赤外線吸収膜、8…絶縁体薄膜、8b…孔、10…下部引出し電極、S…焦電型赤外線薄膜素子。

Claims (1)

  1. 焦電体薄膜と、その上面および下面にそれぞれ設けられる上部電極および下部電極とからなる赤外線検出部が表層部に凹部を有する基板の前記凹部の上部に形成されている焦電型赤外線薄膜素子において、前記下部電極をPtで形成するとともに、この下部電極に接続される下部引出し電極を金系材料より形成し、さらに、下部電極の下部引出し電極との接続部位である引出し用突起部を前記凹部のエッジよりも越えないように位置させ、また、引出し用突起部と下部引出し電極とを、それらの間に介装される絶縁体薄膜に形成した孔を介して電気的に接続させたことを特徴とする焦電型赤外線薄膜素子。
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