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JP3586302B2 - 高屈折率樹脂材料 - Google Patents
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JP3586302B2 - 高屈折率樹脂材料 - Google Patents

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Description

【0001】
[発明の背景]
【産業上の利用分野】
本発明は、熱および(または)活性エネルギー線の作用に重合硬化させてなる樹脂材料に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、レンズ、プリズム、ミラーおよび光ディスク等の光学部品の製造に適した樹脂材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機ガラスに代わる物質としてプラスチックレンズ用樹脂が種々研究され、例えば、メチルメタクリレートやジエチレングリコールビスアリルカーボネートを主成分とする単量体を重合させた樹脂材料が、レンズ等の光学部品として広く使用されている。この樹脂は、耐衝撃性および透明性に優れ、かつ光分散特性が良好であるなどの長所を有しているが、屈折率が1.50とガラスに比べて低いためレンズが肉厚になって軽量化が充分ではないようである。
【0003】
一方、種々のジアクリレートまたはジメタクリレートは、容易にラジカル重合して透明性に優れたレンズ用樹脂を与えることが知られている。例えば、臭素含有ビスフェノールA骨格を有するジ(メタ)アクリレート(特開昭59‐184210号および特開昭59‐193915号各公報)、イオウ含有芳香族骨格を有するジ(メタ)アクリレート(特開昭60‐26010号および特開昭62‐195357号各公報)などから得られるレンズ用樹脂は、高屈折率でかつ高アッベ数のバランスに優れた光学特性を示すことが知られている。
【0004】
しかしながら、本発明者らが知る限りでは、これらの化合物は、ラジカル重合することにより高度の架橋構造体を形成して、耐熱性および研磨性に優れた特性を示すものとなる反面、その硬化物が脆くて耐衝撃性が十分でないという問題点がある。これらの点を改良する手法として、臭素含有ビスフェノールA誘導体をウレタン(メタ)アクリレート化させる方法が特開昭60‐51706号公報に示されているが、生成樹脂組成物が臭素原子を含有しているため、比重が大きくなり、耐候性が悪化することが避けられないようである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述したプラスチックレンズ用樹脂などの従来技術の問題点を改良したものであって、高屈折率、低分散、低比重でかつ耐衝撃性に優れた、例えば光学部品の製造に適した、樹脂材料を提供しようとするものである。
[発明の概要]
【0006】
【課題を解決するための手段】
<要旨>
本発明による樹脂材料は、下記の式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体を含んでなる重合用組成物を、熱および(または)活性エネルギー線の作用により重合硬化させてなるものであること、を特徴とするものである。
【0007】
【化3】
Figure 0003586302
(式中、Rは、それぞれ、水素またはCHであり、R
【0008】
【化4】
Figure 0003586302
のいずれかである)
<効果>
本発明による樹脂材料は、光学部品などの製造に適しており、高屈折率、低分散、低比重で、かつ耐衝撃性に優れたものであって、従来のプラスチックレンズ用樹脂などに見られた問題点が解決されたものである。
[発明の具体的説明]
本発明による樹脂材料は、下記の式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体を含んでなる重合用組成物を、熱および(または)活性エネルギー線の作用により重合硬化させてなるものであること、を特徴とするものである。
【0009】
【化5】
Figure 0003586302
(式中、Rは、それぞれ水素またはCHであり、R
【0010】
【化6】
Figure 0003586302
のいずれかである)
ここで、「含んでなる」ということは、挙示の成分、すなわち、式[I]の不飽和単量体の他に、本発明の趣旨を損なわない限り、補助成分(詳細後記)を含んでよいこととする。
〔発明の具体的説明〕
〔不飽和単量体〕
<定 義>
本発明による樹脂材料に含まれる式[I]で示される不飽和単量体は、基Rを中心にして対称のようにみえるが、非対称の化合物を包含する。すなわち、RおよびRは、その定義上可能な全ての組合わせが可能であって、従って本発明での式[I]で示される不飽和単量体は、上記R〜Rの可能な全ての組合わせによって示される化合物を包含する。具体的には、式[I]の化合物の両端のフェニル基にそれぞれ存在するアルケニル基(すなわちビニル基(R=H)またはイソプロペニル基(R=CH))は、その種類および(または)結合位置に関して同一であっても異なっていてもよい。すなわち、2個のRは、同一であっても、異なっていてもよく、また、フェニル基上の結合位置は、オルト、メタおよびパラのいずれの位置(ウレタン結合へと続くメチレンチオエーテル基の結合位置との関連においてのそれであることはいうまでもない)であってもよい。
【0011】
また、本発明での不飽和単量体は、上記式[I]で示されるものである限り、このアルケニル基の種類および(または)その結合位置に関して、異なった化合物の混合物であってもよい。
【0012】
式[I]で示される化合物群のうちで好ましいものは、(イ)Rが水素であるものであり、(ロ)R
【0013】
【化7】
Figure 0003586302
であるものであり、(ハ)アルケニル基がメタ位またはパラ位に存在するものまたはその化合物である。
【0014】
下記は、本発明での特に好ましい不飽和単量体を示すものである。
【0015】
【化8】
Figure 0003586302
【0016】
【化9】
Figure 0003586302
【0017】
【化10】
Figure 0003586302
<不飽和単量体の製造>
本発明でのウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体(式[I])は、結合および(または)置換基の形成に関して合目的的な任意の方法によって製造することができる。
【0018】
すなわち、本発明での不飽和単量体は、上記式[I]で示される化合物の特定構造のものが単品として、あるいは2種以上の構造のものが混合物として得られるのであれば、任意の方法で製造することができる。経済性や操作性が優れ、製品品質が高く安定であるところから工業的実施上好ましい製造法としては、例えば下記のような(イ)アルコール化合物とジイソシアネート化合物とを反応させることからなる方法、および(ロ)ウレタン結合を有するビスチオール化合物とハロメチルスチレン誘導体とを反応させることからなる方法がある。
【0019】
(イ) 製造法(その1)
本発明での不飽和単量体の製造法(第一の製造法)は、下記の一般式[II]で示されるアルコール化合物と下記の式[IV]で示されるジイソシアネート化合物とを反応させることからなる。
【0020】
【化11】
Figure 0003586302
(RおよびRの定義は、前記の通り)
このアルコール化合物[II]は、下記の式[III ]で示されるハロメチルスチレン誘導体と2‐メルカプトエタノールをアルカリの存在下に脱ハロゲン化水素反応を行うことにより合成することが可能であり、またそれが好ましい方法の一つでもある。
【0021】
【化12】
Figure 0003586302
(Rの定義は、前記の通り、XはClまたはBr)
従って、この第一の製造法による式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体の製造法の好ましい実施態様は、式[III ]で示されるハロメチルスチレン誘導体と2‐メルカプトエタノールとを反応させて式[II]で示されるアルコール化合物を生成させ、次いでこのアルコール化合物と式[IV]で示されるジイソシアネート化合物とを反応させることからなる。
【0022】
このようなところから、この第一の製造法をこの好ましい実施態様に則して説明すれば下記の通りである。
【0023】
一方の反応体であるハロメチルスチレン誘導体と他方の反応体である2‐メルカプトエタノールとの反応は、脱ハロゲン化水素反応であるから、反応生成物としてのアルコール化合物(式[II])は使用したハロメチルスチレン誘導体に主として対応する2‐(アルケニルベンジルチオ)エタノールである。
【0024】
このハロメチルスチレン誘導体は式[III ]で定義されたものであるが、この定義がRおよび当該アルケニル基の置換位置に関して複数の化合物を包含していることに相当して、本発明はこの定義内の複数の化合物の混合物を出発反応体として使用する場合を包含するものである。従って、本発明は、たとえばp‐ハロメチルスチレンとm‐ハロメチルスチレンとの混合物を使用して2‐メルカプトエタノールとの反応を行わせることができて、その場合の生成物はp‐,m‐異性体混合物である。
【0025】
このようにして得られた式[II]のアルコール化合物は、上記の脱ハロゲン化水素反応生成物から、溶媒抽出および(または)結晶化、その他の手段によって単離することができる。
【0026】
このようにしてあるいは他の製造法によって得られたアルコール化合物[II](希望するならば、上記の脱ハロゲン化水素反応生成物としての溶液ないし分散液のままの姿で、あるいは副生ハロゲン化ナトリウム(アルカリがナトリウム基塩基の場合)を除去する等の処理をした後の姿で、あってもよい)を式[IV]のジイソシアネート化合物と反応させることによって、式[I]の化合物を製造することができる。
【0027】
式[III ]で示されるハロメチルスチレン誘導体のうちで特に好ましいものの具体例としては、p‐クロルメチルスチレン、p‐ブロモメチルスチレン、m‐クロルメチルスチレン、m‐ブロモメチルスチレン、p‐クロロメチル‐α‐メチルスチレンなどがあげられる。
【0028】
式[III ]のハロメチルスチレン誘導体と2‐メルカプトエタノール(HS−CHCH−OH)との反応は脱ハロゲン化水素を伴なうものであるところから、この反応も、脱ハロゲン化反応に慣用されるところに従って、脱ハロゲン化剤ないしアルカリの存在下に行なうことがふつうであり、また好ましいことでもある。
【0029】
脱ハロゲン化水素反応に使用されるアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物または炭酸塩、好ましくは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび炭酸カリウム等、が用いられる。
【0030】
この反応は、溶剤中で行うことが好ましく、両反応体の少なくとも一方が可溶である溶剤、特にアルコール、水−アルコール混合系、ケトン系の溶剤の使用が好ましい。
【0031】
この脱ハロゲン化水素反応は、上記のスチレン誘導体[III ]と2‐メルカプトエタノールとを化学量論的に等量またはその前後で反応させて行うのが好ましく、より好ましくは2‐メルカプトエタノールが1.1から1.2当量となるように多少過剰にするのが好ましい。反応温度は、0℃〜60℃、特に10℃〜30℃、が好ましい。この場合の反応温度が高すぎると、生成物の着色を引き起こすことがある。
【0032】
アルコール化合物[II]とジイソシアネート化合物[IV]との反応は、公知の技術を用いて行うことができる。すなわち、必要に応じてジブチルチンジラウレート等の金属化合物または3級アミンや3級ホスフィン等のルイス塩基を触媒として加え、室温もしくは加熱下において攪拌することにより式[I]の不飽和単量体を合成することができる。
【0033】
本発明での不飽和単量体[I]を製造するにあたっては、アルコール化合物[II]とジイソシアネート化合物[IV]とをアルコール化合物の−OH基とジイソシアネート化合物の−NCO基の比が1:1またはその前後になるように用いるのが普通である。
【0034】
用いる触媒の量は、アルコール化合物[II]とジイソシアネート化合物[IV]の合計量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部、である。
【0035】
この反応は、好ましくは40℃程度の加熱下で、不活性ガス雰囲気あるいは乾燥空気下で行うのがよい。
【0036】
ジイソシアネート化合物[IV]は、目的とする不飽和単量体[I]に応じて選択される。具体例としては、1,3‐シクロヘキシルメチレンジイソシアネート(すなわち、1,3‐ジ(シアナトメチル)シクロヘキサン)、イソホロンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよび1,3‐ジ(2‐イソシアナト‐2‐プロピル)ベンゼンがある。これらは、混合して用いることもできる。
【0037】
(ロ) 製造法(その2)
本発明でのウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体の製造法(第二の製造法)は、下記の式[V]で示されるウレタン結合を有するビスチオール化合物と一般式[III ]で示されるハロメチルスチレン誘導体とを反応させることからなる。
【0038】
【化13】
Figure 0003586302
(R、RおよびXの定義は、前記の通り)
上記のビスチオール化合物[V]は、前記の式[IV]のジイソシアネート化合物と2‐メルカプトエタノールとを反応させることによって合成することが可能であり、それが好ましい方法である。
【0039】
すなわち、例えば必要に応じてジブチルチンジラウレート等の金属化合物または3級アミンや3級ホスフィン等のルイス塩基を触媒として加え、室温もしくは加熱下において両反応体を攪拌することにより、上記の式[I]の不飽和単量体を合成することができる。
【0040】
式〔V〕で示されるビスチオール化合物を製造するにあたっては、2‐メルカプトエタノールとジイソシアネート化合物[IV]とを2‐メルカプトエタノールの−OH基とジイソシアネート化合物の−NCO基との比が化学量論的に等量またはその前後になるように用いられるのが普通である。
【0041】
用いる触媒の量は、2‐メルカプトエタノールとジイソシアネート化合物[IV]の合計量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.05〜0.2重量部、である。
【0042】
この反応は、好ましくは40℃程度の加熱下で、不活性ガス雰囲気あるいは乾燥空気下で行ってもよい。
【0043】
使用するジイソシアネート化合物[IV]の具体例は、第一の製造法について前記したものと同じである。
【0044】
反応生成物からの目的生成物の[V]の回収は、合目的的な任意の方法によって行うことができる。具体的には、例えば蒸留、結晶化、その他がある。
【0045】
このようにして式[V]のウレタン基含有ビスチオール化合物を得ることができる。
【0046】
2‐メルカプトエタノールとジイソシアネート化合物[IV]との反応混合物のままあるいはそこから回収したものとしてのウレタン基含有ビスチオール化合物[V]とハロメチルスチレン誘導体[III ]との反応は、アルカリの存在下、合目的的な任意の方法で脱ハロゲン化水素反応を行うことにより合成することができる。
【0047】
式[III ]で示されるハロメチルスチレン誘導体のうちで特に好ましいものの具体例としては、第一の製造法について前記したものと同じである。
【0048】
脱ハロゲン化水素反応に使用されるアルカリおよび溶剤の具体例も、第一の製造法について前記したものと同じである。
【0049】
反応は、上記のスチレン誘導体[III ]とビスチオール化合物[V]とを化学量等量またはその前後で反応させて行うのが好ましく、より好ましくはビスチオール化合物[V]が1.1から1.2当量となるように多少過剰にするのが好ましい。反応温度は、0℃〜60℃、特に10℃〜30℃、が好ましい。この場合の反応温度が高すぎると、生成物の着色を引き起こすことがある。
【0050】
式[III ]のハロメチルスチレン誘導体をRおよびアルケニル基の結合位置に関して複数使用してもよいことは第一の製造法の場合と同じであり、またビスチオール化合物[V]もRに関して複数種使用してもよい。
〔不飽和単量体の用途(その1)〕
本発明での不飽和単量体は、エチレン性不飽和結合を1分子中に2個有する。従って、この化合物は、それ自身であるいはそれと共重合可能なエチレン性不飽和単量体と共重合して、重合体を生成する。
【0051】
本発明での不飽和単量体はエチレン性不飽和結合を2個有するところより、生成する重合体は架橋構造を持つ。
【0052】
そして、式〔I〕の不飽和単量体は、その単独重合体または共重合体として、従来の光学用樹脂に認められた問題点を解決した高屈折率樹脂を与えることは前記したところである。
【0053】
式〔I〕で示される本発明での不飽和単量体の重合は、エチレン性不飽和単量体の重合に慣用されるところと本質的に変らない態様で実施することができる。
【0054】
そのような慣用されている態様は周知であるが、本発明単量体に則しての説明は共重合に関して後記したところを参照されたい。
〔不飽和単量体の用途(その2)〕
式〔I〕で示される不飽和単量体はそれを重合させて高屈折率樹脂を製造するのに有用であること、ならびにその場合に共単量体と共重合させることが好ましいことは、前記したところである。
【0055】
従って、式〔I〕で示される不飽和単量体の好ましい態様は、この単量体を成分(A)とし、共単量体を成分(B)とする重合用組成物である(なお、成分(B)を必須成分としない「成分(A)を含んでなる重合用組成物」も本発明の一つの実施態様であることは前記したところから明らかである)。
【0056】
本発明の好ましい実施態様の一つによる樹脂材料は、重合用組成物が下記の成分(A)および成分(B)を含んでなるものである。
成分(A):式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する
不飽和単量体。
成分(B):1分子内に少なくとも一つのエチレン性不飽和結合を有する化合物。
【0057】
ここで、「含んでなる」ということは、挙示の成分、すなわち成分(A)および成分(B)、のみからなる場合の外に、挙示の成分に加えて、本発明の趣旨を損なわない限り、他の重合性成分および(または)補助成分(詳細後記)を含んでよいことを意味する。
【0058】
成分(A)の式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体の含量は、本発明の趣旨を損なわない限り任意であるが、樹脂組成物(成分(A)+成分(B)100重量部)に対して、好ましくは10〜99重量部、より好ましくは50〜99重量部、用いるのがよい。
【0059】
成分(B)は、1分子内に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物である。このようなエチレン性不飽和化合物としては、一般的なラジカル重合性モノマーを使用することができる。
【0060】
そのようなモノマーはラジカル重合において周知であって、本発明においても合目的的な任意のものを選択して使用することができる。成分(B)として有用なモノマーの例を挙げれば、下記のものがある。
【0061】
(1)ビニル化合物、具体的にはスチレン誘導体、例えばスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン等、および(2)(メタ)アクリレート化合物、具体的にはそのフェニルまたはフェニルメチル置換体、すなわちフェニルメタクリレートおよびベンジルメタクリレート、ビスフェノール化合物(たとえば、ビスフェノールA)またはそのエチレンオキシド付加物(たとえば、エチレンオキシド各1モル付加物)の(メタ)アクリレート、たとえば2,2‐ビス(4‐(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、そのハロゲン誘導体、2,2‐ビス(4‐(2‐(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレンチオグリコールないしビスメルカプトメチルベンゼンまたはそのエチレンオキシド付加物(たとえばエチレンオキシド各1モル付加物(好ましくは後者))の(メタ)アクリレート、具体的にはp‐ビス(β‐(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン、m‐ビス(β‐(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン等がある。ここで、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」および「メタクリレート」の両者を意味するものであり、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」および「メタクリロイル」の両者を意味するものである。これらの重合性モノマーは1種類でも2種類以上でも用いることができる。
【0062】
この成分(B)のラジカル重合性モノマーの含量は、本発明の趣旨を損なわない限り任意であるが、樹脂組成物(成分(A)+成分(B)100重量部)に対して、好ましくは1〜90重量部、より好ましくは1〜50重量部、用いるのがよい。
【0063】
これらのラジカル重合性モノマーを本発明の不飽和単量体に配合することにより樹脂材料の物性および粘度を調整することができる。
【0064】
本発明による樹脂材料を得る際に重合用組成物を重合硬化させるには、熱による重合、活性エネルギー線による重合、および、これらを併用する方法が採用される。
【0065】
熱による重合の場合は熱重合開始剤を、活性エネルギー線、例えば紫外線、による重合の場合は、光(紫外線)重合開始剤を使用することが好ましい。
【0066】
また、これらの重合開始剤のほかにラジカル発生剤を併用することができ、このラジカル発生剤は、上記の重合開始剤と重複することがあり得る。また、重合用開始剤は、それが酸化剤の場合にはそれと還元剤とを組み合わせて、いわゆるレドックス系をなす場合を含むものである。
【0067】
さらに具体的には、熱重合の場合は、重合用組成物に熱重合開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ラウロイルパーオキサイド、t‐ブチルパーオキシ(2‐エチルヘキサノエート)、t‐ブチルパーオキシイソブチレート、アゾイソブチロニトリル等、好ましくは、ラウロイルパーオキサイド、t‐ブチルパーオキシ(2‐エチルヘキサノエート)、t‐ブチルパーオキシイソブチレート等、を添加溶解し、温度20℃〜150℃の範囲で、1〜30時間重合硬化反応させることが好ましい。反応雰囲気は、大気中あるいは不活性ガス中の何れでも良い。また、紫外線重合の場合は、重合用組成物に光重合開始剤、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等、好ましくはベンゾフェノンベンゾインイソプロピルエーテル、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等、を添加溶解し、大気中あるいは不活性ガス中で、紫外線を照射して重合硬化反応させる。そのときの紫外線の照射光量は、組成物および光重合開始剤の種類によって適宜選択されるが、一般に0.01〜300J/cmが好ましい。光源は、ケミカルランプ、キセノンランプ、低圧(または高圧)水銀ランプ、メタルハライドランプ等が使用され、紫外線以外の活性エネルギー線、たとえば電子線、などでは光重合開始剤なしでも重合可能である。
【0068】
光重合開始剤および熱重合開始剤の使用量は、組成物の総重量に対して0.01〜5重量%程度、好ましくは0.03〜2重量%、の範囲である。その使用量が少なすぎると硬化が不充分となるし、多すぎると生成樹脂が黄変しやすいし且つ重合制御が困難となる。
【0069】
このような重合用組成物においては、補助剤として、ラジカル重合促進剤、重合調節剤、紫外線吸収剤、離型剤、酸化防止剤、その他の添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、公知の市販品を使用することができるが、特に酸化防止剤としてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
〔重合生成物/高屈折率樹脂材料〕
式〔I〕で示される不飽和単量体を単量体の少なくとも一成分とする重合用組成物の重合生成物は、式〔I〕の不飽和単量体がウレタン結合およびチオエーテル結合を有するものであることに主として相当して、屈折率の大きい樹脂材料である。
【0070】
この樹脂は、また、低分散および低比重であり、耐衝撃性にも優れている。
【0071】
すなわち、本発明により得られる高屈折率樹脂材料は、1.55以上の高い屈折率と30以上の高いアッベ数を有し、且つ比重が1.35と低く、耐衝撃性においても後記試験方法によれば破損の発生が認められない優れた光学材料である。
【0072】
このような物性値、特に光学的物性値、から、本発明による高屈折率樹脂材料は、レンズ、プリズム、その他の光学素子用材料として有用である。
【0073】
このような光学素子は、その輪郭に対応するキャビティーを持つモールドによって直接所望形状のものを製造するか、一旦塊状のものを製造してからそれを所望形状に切出すか、の方法によって製作することができる。
【0074】
【実施例】
以下の実施例および比較例は、本発明を更に詳述するためのものである。これらの例において「部」は、重量部を意味する。また、これらの例における樹脂の諸物性は、下記の試験法により測定したものである。
【0075】
▲1▼外観
外観は、目視によって試験片の透明性、表面状態を評価した。
▲2▼屈折率・アッベ数
屈折率およびアッベ数は、アッベの屈折計にて測定した(測定温度25℃)。
▲3▼耐衝撃性
耐衝撃性は、厚さ2mmの平板の試験片に、FDA規格に基づき、剛球(重さ16.3g、直径15.9mm)を127cmの高さより落下させることにより評価した。破損の発生が無かったものを○、破損した場合を×とした。
▲4▼比重
比重は、比重計により測定した。
【0076】
<不飽和単量体>
実施例1〜3において用いられたウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体(1)〜(3)は、それぞれ下記の様にして得られたものである。
【0077】
不飽和単量体(1)の製造
2‐メルカプトエタノール93.7g(1.2mol)および水酸化ナトリウム49.0g(1.1mol)をメタノール100mlに溶解させ、これにクロルメチルスチレン(m,p混合体、m:p=7:3)152.6g(1mol)を反応系の温度を20℃に保ちながら、滴下した。反応後、反応物をトルエンにて抽出し、水酸化ナトリウム水溶液および水で洗浄し、重合禁止剤としてメトキシハイドロキシノン200mgを加えたのちトルエンを留去し、その後、ヘキサン中で結晶化させて、198gの2‐ヒドロキシエチルチオメチルスチレン(m,p混合体、m:p=7:3)を得た(収率97%)。
【0078】
得られた2‐ヒドロキシエチルチオメチルスチレン48.6g(0.25mol)を乾燥したテトラヒドロフランに溶解させ、窒素ガス雰囲気下40℃に加熱した。ジブチルチンジラウレート55mgを1時間かけて5回に分割添加した。雰囲気を乾燥空気とし45℃にて3時間攪拌した。ろ過にて不溶分を除き、ヘキサンにて再沈し、生成物を濾別して、下記構成式で示される化合物(1)62g(0.11mol)を得た(収率85%)。
【0079】
得られた化合物の屈率をはかったところ、屈率は1.59、アッベ数は35であった。
【0080】
【化14】
Figure 0003586302
不飽和単量体(2)の製造
不飽和単量体(1)の製造でクロルメチルスチレンのm,p混合体の代わりにp‐クロルメチルスチレンを用い同様に合成し、下記構造式で示される化合物(2)を得た(収率89%)。屈折率は1.59、アッベ数は35であった。
【0081】
【化15】
Figure 0003586302
不飽和単量体(3)の製造
不飽和単量体(1)の製造でシクロヘキシルメチレンジイソシアネートの代わりに2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを用い同様に合成し、下記構造式で示される化合物(3)を得た(収率82%)。屈折率は1.57、アッベ数は38であった。
【0082】
【化16】
Figure 0003586302
<実施例1>
式(1)で示される化合物100部にt‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート(日本油脂社製・商品名「パーブチルO」)0.3部を添加し、脱泡した後、それを上面および下面がガラス板で構成され側面がシリコンゴムで構成される厚さ2mmのモールド内に注入した。次に、このモールドを30℃から100℃まで15時間かけて昇温した。
【0083】
得られた硬化物をモールドから脱型したのち、この硬化物の物性の測定をした。得られた結果は、表1に示される通りである。
【0084】
<実施例2>
前記式(2)に示される化合物20部とp‐ビス(β‐メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン80部を混合攪拌し、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド0.1部およびt‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート(日本油脂社製・商品名「パーブチルO」)0.2部を添加し、脱泡した後、それを上面および下面がガラス板で構成され側面がシリコンゴムで構成される厚さ2mmのモールド内に注入した。次に、このモールドを110℃の雰囲気中、モールドから40cm離れたところにある出力80W/cmの高圧水銀灯からの光をモールドの両ガラス面に3分間照射した。
【0085】
得られた硬化物をモールドから脱型したのち、この硬化物の物性の測定をした。得られた結果は、表1に示される通りである。
【0086】
<実施例3>
前記式(3)に示される化合物20部とp‐ビス(β‐メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン80部を混合攪拌し、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド0.1部およびt‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート(日本油脂社製・商品名「パーブチルO」)0.2部を添加し、脱泡した後、それを上面および下面がガラス板で構成され側面がシリコンゴムで構成される厚さ2mmのモールド内に注入した。次に、このモールドを110℃の雰囲気中、モールドから40cm離れたところにある出力80W/cmの高圧水銀灯からの光をモールドの両ガラス面に3分間照射した。
【0087】
得られた硬化物をモールドから脱型したのち、この硬化物の物性の測定をした。得られた結果は、表1に示される通りである。
【0088】
<比較例1>
p‐ビス(β‐メタクリロイルオキシエチルチオ)キシリレン100部に2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド0.1部およびt‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート(日本油脂社製・商品名「パーブチルO」)0.2部を添加し、脱泡した後、それを上面および下面がガラス板で構成され側面がシリコンゴムで構成される厚さ2mmのモールド内に注入した。次に、このモールドを110℃の雰囲気中、モールドから40cm離れたところにある出力80W/cmの高圧水銀灯からの光をモールドの両ガラス面に3分間照射した。
【0089】
得られた硬化物をモールドから脱型したのち、この硬化物の物性の測定をした。得られた結果は、表1に示される通りである。
【0090】
【表1】
Figure 0003586302
【0091】
【発明の効果】
本発明による樹脂材料は、光学部品などの製造に適しており、高屈折率、低分散、低比重で、かつ耐衝撃性に優れ、従来のプラスチックレンズ用樹脂などに見られた問題点が解決されたものであることは、「発明の概要」の項において前記したところである。

Claims (3)

  1. 下記の式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体からなる重合用組成物を、熱および(または)活性エネルギー線の作用により重合硬化させてなるものであることを特徴とする、屈折率が1.55以上である樹脂材料。
    Figure 0003586302
    (式中、R は、それぞれ、水素またはCH であり、R
    Figure 0003586302
    のいずれかである)
  2. 下記の式[I]で示されるウレタン結合およびチオエーテル結合を有する不飽和単量体と、スチレン、スチレン誘導体及び(メタ)アクリレート化合物よりなる群から選ばれたエチレン性不飽和化合物とからなり、両者の重量比が10:90〜99:1である重合用組成物を、熱および(または)活性エネルギー線の作用により重合硬化させてなるものであることを特徴とする、屈折率が1.55以上である樹脂材料。
    Figure 0003586302
    (式中、R は、それぞれ、水素またはCH であり、R
    Figure 0003586302
  3. 式[I]で示される不飽和単量体の割合が50〜99重量%であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂材料。
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