JP3632590B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は始動用燃焼器を備えた燃料電池システムに用いられる改質器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の改質器としては特開2000−63101号公報に記載のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの従来技術では、燃料電池システムの燃焼室への加熱用燃料の供給は燃焼室に備えられた1つのインジェクタによって行われる。したがって始動時、改質器に充填された改質触媒に燃料がリッチな燃焼ガスを供給するためには、可燃限界のリッチ空燃比よりもわずかにリーン側にしなければならず、改質器の昇温時間を一層短縮するためにさらに燃料を追加することは可燃限界空燃比を超えることになりできない。あるいは多量の燃料と空気および希釈用空気を供給しなければならず、その際に燃料噴射弁の周囲からのみ空気を供給する場合には、圧力損失が大きくなり、空気供給器の負荷が増大して電力消費が大きくなる。あるいは燃料がリーンな燃焼ガスを生成する場合、改質触媒を失活させない温度に燃焼ガス温度を抑制するためには多量の空気の供給が必要となり前記と同様に空気供給器の負荷が増大するという問題が懸念される。
【0004】
そこで本発明は、このような問題を解決する、燃料改質装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、燃料と水とからなる原燃料を気化する蒸発器と、気化した原燃料ガスと空気とから改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスと空気とから発電する燃料電池と、前記燃料電池から排出された排改質ガスと排空気ガスとを燃焼する燃焼器と、起動時に理論空燃比よりもリッチに混合した燃料と空気とからなる混合気を燃焼し、燃焼ガスを改質器に供給する起動用燃焼器と、を備えた燃料電池システムにおいて、前記起動用燃焼器は、その構造を内筒、外筒からなる二重管構造とし、内筒内側の内部空間に可燃の燃料リッチ混合気を供給、燃焼して燃焼ガスを生成し、内筒と外筒との間の外部空間に、燃焼ガス成分を調整するための酸化剤を供給し、この酸化剤は燃焼ガスを可燃限界よりも燃料リッチな混合気に調整するための燃料を内部空間に供給する噴射弁の位置に対して、燃焼ガスの流れ方向で同じ位置かまたは下流において内部空間に供給される。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記酸化剤は前記内筒の周方向に複数形成された供給孔から内部空間に供給される。
【0007】
第3の発明は、第1または2の発明において、前記噴射弁は外部空間を貫通して設置される。
【0008】
第4の発明は、第1から3のいずれかの発明において、前記噴射弁の噴射した燃料に酸化剤を混合させる酸化剤供給部材を備える。
【0009】
【発明の効果】
第1の発明では、燃料電池システムにおいて、起動用燃焼器は、その構造を内筒、外筒から形成される2つの空間に分け、内筒内側の内部空間に可燃の燃料リッチ混合気を供給、燃焼して燃焼ガスを生成し、内筒と外筒との間の外部空間に、燃焼ガス成分を調整するための酸化剤を供給する。酸化剤は燃焼ガスを可燃限界よりも燃料リッチな混合気に調整するための燃料を内部空間に供給する噴射弁の位置に対して燃焼ガスの流れ方向で同じ位置かまたは下流で内部空間に供給されるので、燃焼ガス成分を可燃限界を超えた空燃比に調整することができる。また可燃の燃料リッチ混合気を形成するための酸化剤(例えば、空気)および燃料(例えば、メタノール)と、可燃の燃料リッチ混合気を燃焼させた燃焼ガス成分を調整するための酸化剤および燃料とを供給する供給孔を有するので圧力損失を小さくでき、酸化剤および燃料の供給器の負荷を増大させることがない。また外部空間を酸化剤が通過することにより、燃焼が継続して内筒の温度が上昇した時に内筒を酸化剤で冷却することができ、内筒内面に付着する炭化水素系燃料によるすすの生成が抑制される。また熱交換によって酸化剤も昇温されるために噴射弁から噴霧される炭化水素系燃料の気化を促進し、気化時間を短縮することができるため、起動燃焼器を小型化することができる。
【0010】
第2の発明では、酸化剤は前記内筒の周方向に複数形成された供給孔から内部空間に供給されるので、酸化剤を均一に供給して速やかに燃焼ガスと混合させて燃焼ガスの温度をさらにNOxが生成されない温度まで低下させることができる。したがって改質器は失活しないで、かつ改質器で改質反応を行うことのできる最適な活性温度に制御することができる。
【0011】
第3の発明では、噴射弁は外部空間を貫通して設置されるので、外部空間を通過する酸化剤によって噴射弁は冷却され、高温の燃焼ガスによる熱破損を防止することができる。
【0012】
第4の発明では、噴射弁の噴射した燃料に酸化剤を混合させる酸化剤供給部材を備えるので、燃料の微粒化および拡散を促進できるとともに、酸化剤は燃焼ガスにより昇温されているため、さらなる気化促進が図られ、気化時間が短くなることにより起動用燃焼器を小型化することが可能となり、また噴射弁の周囲を酸化剤が取り巻くので、噴射弁の冷却効果も期待できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に本発明における燃料電池システムの構成を示す。
【0014】
燃料電池システムは燃料(例えば、炭化水素系燃料であるメタノール)と水からなる原燃料ガスから水素リッチの改質ガスを生成する改質器1と、改質ガスが供給される一酸化炭素除去器2(以下、一酸化炭素をCOと示す)と、CO除去器2で所定CO濃度以下にCO濃度を低減された改質ガスが供給されるアノード極3Aと、空気供給源(例えば、コンプレッサ)4から酸化剤としての空気(すなわち酸素)が供給されるカソード極3Bとから構成される燃料電池スタック3と、燃料電池スタック3から排出される排改質ガス(アノードガス)と排空気ガス(カソードガス)とが供給され、燃焼する燃焼器5と、燃焼器5から燃焼ガスを導入し、原燃料のメタノールと水を気化させ、気化した原燃料ガスを改質器1に供給する蒸発器6とから構成される。
【0015】
CO除去器2の下流には2方向切替弁12が設置され、CO除去器2が所定温度に達した時に改質ガスは燃料電池スタック3に供給され、CO除去器2が所定温度に達していない時には改質ガスは燃焼器5に供給される。これはCO除去器2の触媒が活性温度に達していないためCOが十分除去されず、アノード極3Aが被爆するのを防止するためである。
【0016】
さらにシステム始動時に改質器1に燃焼ガスを供給する起動用燃焼器7が改質器1の上流に備えられる。起動用燃焼器7は燃焼ガスによって改質器1を昇温するとともに、改質器1からの改質ガスによって下流のCO除去器2、蒸発器6等が昇温される。起動用燃焼器7は蒸発器6が所定温度に昇温したところで作動を中止し、システムは定常運転に移行する。すなわち改質器1には蒸発器6からの気化燃料ガスが供給されて運転が継続される。
【0017】
また燃焼器5と蒸発器6と起動燃焼器7にはメタノールのタンク8が接続され、ポンプ9によって供給される。また蒸発器6に水を供給するための水タンク10が設置されて、ポンプ11によって蒸発器6に水が供給される。
【0018】
コンプレッサ4からの空気は燃料スタック3のカソード極3Bの他に、燃焼器5と起動用燃焼器7に供給される。
【0019】
燃焼器5は燃焼器本体部5Aと燃焼器ミキサ部5Bからなり、前述の燃焼器5に供給されるメタノール、空気、排改質ガス等は燃焼器ミキサ部5Bに導入され、燃焼器ミキサ部5Bでこれらを混合した上で、燃焼器本体部5Aに送られて燃焼される。
【0020】
なお燃焼器5から蒸発器6に導入された燃焼ガスは原燃料を気化した後、大気中に排出される。
【0021】
このような構成において、システム始動時には、起動用燃焼器7から燃焼ガスが改質器1に導入されて、触媒との部分酸化反応が促進され、改質器1の温度が急速に高温となり、改質ガスを生成する。改質ガスはCO除去器2に供給されて、COの選択酸化反応を生じ、CO除去器2は昇温するとともに、改質ガスを排出する。ただし前述のようにCO除去器2が所定温度に達するまでは改質ガス中のCO濃度が高いため、改質ガスは切替弁12を介して燃焼器5に送られる。燃焼器5では改質ガス中の水素、CO、および未燃メタノールをコンプレッサ4から供給された空気により燃焼させて、その燃焼ガスの熱によって、蒸発器6を加熱する。蒸発器6が所定温度以上となった時点でタンク8、10より、メタノールと水が蒸発器6に供給されて気化され、原燃料ガスが改質器1に供給される。改質器1では部分酸化反応に加えて、水蒸気改質反応を行い、自立運転へ移行する。
【0022】
CO除去器2が所定温度以上になった場合には前述のように改質ガスは十分にCO濃度が低い状態になっており、切替弁12を切り替えて改質ガスを燃料電池スタック3に供給する。燃料電池スタック3で発電を行った後に残留した排ガス(排改質ガスと排空気ガス)は燃焼器5に供給されて燃焼され、蒸発器6をさらに加熱する。蒸発器6が所定温度以上となった時点で、メタノールと水が蒸発器6に供給されて気化され、原燃料ガスが改質器1に供給される。蒸発器6の温度が所定温度以上となった時点で、起動燃焼器7の運転を停止して、定常運転に移行する。
【0023】
次に、図2を用いて起動用燃焼器7の詳細形状について説明する。
【0024】
起動用燃焼器7は有底状の内筒7Aと、内筒7Aと同軸上配置されて内筒7Aとの間で空気通路13を形成する外筒7Bとの二重筒構成からなる。内筒7Aの開口端は改質器1に一体的に接続される。また底部7Cにはメタノールと空気が噴射される噴孔7Dが形成され、底部7Cの外部には略内筒7Aと同軸に円筒部30、円筒部31を介して、メタノールを噴霧する第1メタノール噴射弁14が設置されている。第1メタノール噴射弁14の周囲には内筒7A内に空気のスワール渦を形成するスワラー15が円筒部31に設けられ、空気供給部32から供給された空気がメタノールと混合する。
【0025】
第1メタノール噴射弁14はメタノールタンク8に接続されポンプ9によってメタノールが供給されるとともに、スワラー15と空気通路13にはコンプレッサ4から空気が供給される。空気通路13に供給された空気は空気通路13の最下流(最も改質器1寄り)に設けられた複数の空気噴出孔16から内筒7A内に供給される。空気噴出孔16は周方向に等間隔に設けられる。
【0026】
また内筒7Aには内筒7A内に噴霧されたメタノールに着火するグロープラグ17が設置される。さらにグロープラグ17と空気噴出孔16との間に第2メタノール噴射弁18が設置されて、内筒7Aに設けられた噴孔19からメタノールを内筒7A内に噴霧する。なお空気噴出孔16の位置は本実施形態では最下流の位置に設けたが、第2メタノール噴射弁18と同じか下流であればよい。
【0027】
なお各噴射弁14、18は固定部材22A、22Bの中に設置された上で、所定位置に取付けられる。各噴射弁14、18と固定部材22A、22Bとの間にはシールが噴射弁の軸方向で上下2箇所(噴孔19側シール20、外周側シール21)に設けられており、これらシール20、21によってシール性が確保されておりメタノールや燃焼ガスが外部に漏れることはない。
【0028】
ここで起動用燃焼器7の作用につき説明する。
【0029】
メタノールタンク8から供給された所定量のメタノールが第1メタノール噴射弁14から噴射され、スワラー15で形成された空気のスワール渦と混合して内筒7A内に供給される。この混合ガスは可燃限界内のメタノールリッチ混合ガスとして形成される。この混合ガスは所定温度に昇温したグロープラグ17によって着火される。この時メタノールリッチの混合ガスはメタノール可燃リッチ限界付近の空燃比として混合されており、燃焼ガスの温度はNOxが発生する温度まで上昇しないため、燃焼ガス中にNOxはほとんど含まれない。
【0030】
第1メタノール噴射弁14の下流に設置された第2メタノール噴射弁18とさらにその下流の空気噴出孔16からのメタノールと空気の供給は、改質器1に供給される燃焼ガスの組成を調整するためのもので、すなわち、メタノールと空気の供給によって燃焼ガスを可燃限界を超えたメタノールリッチの混合ガスとして、改質器1に混合ガスを供給する。
【0031】
第2メタノール噴射弁18からのガス組成調整用燃料としてのメタノール噴霧は、第1メタノール噴射弁14とほぼ同時かあるいは所定時間遅らせて行う。これにより改質器1でのメタノール部分酸化に必要なメタノールを供給するとともに、メタノールの気化潜熱により、メタノールの自己着火温度以下に冷却することができる。このときの燃焼ガスはメタノールリッチ燃焼したことにより、酸素はほとんど含まれておらず、メタノールが酸化反応を起こすことはない。
【0032】
コンプレッサ4から供給された空気は空気通路13を通過して内筒7Aの下流側に設けた空気噴出孔16から内筒7A内に噴出される。このガス組成調整用空気を供給することにより、改質器1でのメタノール部分酸化に必要な空気を供給するとともに、空気を均一に供給して速やかに混合させて燃焼ガスの温度をさらにNOxが生成されない温度まで低下させることができる。したがって改質器1は失活しないで、かつ改質器1で改質反応を行うことのできる最適な活性温度に制御することができる。
【0033】
さらに空気通路13を空気が通過することにより、燃焼が継続して内筒7Aの温度が上昇した時に内筒7Aを空気で冷却することができ、内筒7A内面に付着するメタノールによるすすの生成が抑制される。また熱交換によって空気も昇温されるために第2メタノール噴射弁18から噴霧されるガス組成調整用燃料のメタノールの気化を促進することができる。また気化時間を短縮することができるため、起動燃焼器を小型化することができる。
【0034】
図3に示す第2の実施形態について説明する。
【0035】
これは第2メタノール噴射弁18の噴孔19側とその噴孔側のシール20を空気通路13に露出するように設けたものである。このようにすることで高温の燃焼ガスによって高温となる第2メタノール噴射弁18とシール20を空気通路13の空気によって冷却可能となる。したがって第2メタノール噴射弁18の破損を防止し、破損によるメタノール噴射量制御不良を防ぐことができる。またシール20の熱による破損を防止できるので、破損による燃焼ガスの外部への漏洩を防止される。
【0036】
図4、図5、図6に第3の実施形態を示す。
【0037】
これは第2メタノール噴射弁18の噴射したメタノール噴霧に新たな空気供給部材を設けて空気通路13の空気を混合、拡散させる構成である。第2メタノール噴射弁18と同軸に内筒7Aに補助空気供給部材23が設置される。補助空気供給部材23の中央に第2メタノール噴射弁18が設置され、メタノール噴霧が噴孔19から内筒7A内に行われる。補助空気供給部材23には空気通路13の空気を噴孔19に噴出させる通路23Aが周方向に複数設けられる。通路23Aの噴孔19の開口部23Bは噴出した空気同士がぶつかり合わないよう、空気が噴孔19の中心を同一方向に旋回するように形成される。このように形成されることで空気通路13からの空気は噴孔19周りにスワール渦を形成し、噴射されたメタノールと混合し、メタノールの微粒化および拡散を促進することができる。さらに第2メタノール噴射弁18と補助空気供給部材23とから供給されるメタノールと補助空気から形成される混合気は可燃限界よりもメタノールリッチの混合気として、着火を極力抑制することができる。また第2メタノール噴射弁18を空気によって冷却することができ、高温の燃焼ガスによる熱破損から噴射弁18を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の全体構成図である。
【図2】本発明の起動用燃焼器の構成図である。
【図3】同じく第2実施形態の起動用燃焼器の構成図である。
【図4】同じく第3実施形態の起動用燃焼器の構成図である。
【図5】同じく第3の実施形態の補助空気供給部材の詳細図である。
【図6】同じく図4の矢視Aから見た補助空気供給部材の通路形状を説明する図である。
【符号の説明】
1 改質器
2 CO除去器
3 燃料電池スタック
4 コンプレッサ
5 燃焼器
6 蒸発器
7 起動用燃焼器
7A 内筒
7B 外筒
13 空気通路
14 第1メタノール噴射弁
18 第2メタノール噴射弁
20 シール
21 シール
Claims (4)
- 燃料と水とからなる原燃料を気化する蒸発器と、
気化した原燃料ガスと空気とから改質ガスを生成する改質器と、
前記改質ガスと空気とから発電する燃料電池と、
前記燃料電池から排出された排改質ガスと排空気ガスとを燃焼する燃焼器と、起動時に理論空燃比よりもリッチに混合した燃料と空気とからなる混合気を燃焼し、燃焼ガスを改質器に供給する起動用燃焼器と、を備えた燃料電池システムにおいて、
前記起動用燃焼器は、その構造を内筒、外筒からなる二重管構造とし、内筒内側の内部空間に可燃の燃料リッチ混合気を供給、燃焼して燃焼ガスを生成し、内筒と外筒との間の外部空間に、燃焼ガス成分を調整するための酸化剤を供給し、この酸化剤は燃焼ガスを可燃限界よりも燃料リッチな混合気に調整するための燃料を内部空間に供給する噴射弁の位置に対して燃焼ガスの流れ方向で同じ位置かまたは下流において内部空間に供給されることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記酸化剤は前記内筒の周方向に複数形成された供給孔から内部空間に供給されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記噴射弁は外部空間を貫通して設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記噴射弁の噴射した燃料に酸化剤を混合させる酸化剤供給部材を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。
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