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JP3632762B2 - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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JP3632762B2 - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛び性能、スピン性能、打撃フィーリング、耐久性が良好であり、しかも量産性に優れたマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、ツーピースソリッドゴルフボールが広く使用されているが、このツーピースソリッドゴルフボールは、アマチュアゴルファーにとっては飛距離が出るものの、ランが大きくコントロールが難しい上に打撃感が硬いという欠点がある。また、コンプレッションを小さくして、ソフトな打撃感を得ようとすると、反撥性が低下し、飛距離が低下するという欠点を持っている。
【0003】
このような欠点を改良するものとして、ボールの構造、特にソリッドコア部分を2層又は3層以上に層分けし、硬度、比重、各層の径(厚み)を変量して形成したマルチピースソリッドゴルフボールが提案されている。
【0004】
しかしながら、従来のマルチピースソリッドゴルフボールは、特にその製法においてかなりの改良されるべき問題があり、量産性に乏しいといえる。例えば2層コアにカバーを被覆してなるスリーピースソリッドゴルフボールにおいて、これら2層からなるソリッドコアは内層、外層共にポリブタジエンゴムを主体とし、不飽和カルボン酸金属塩、過酸化物等を含むゴム組成物から形成されているが、これらゴム組成物からソリッドコアを得る場合は、まず内層コアをツーピースソリッドゴルフボールのコアを作る手法で加熱、加圧、成形し、これに外層コアを被覆するに際してはまず外層用組成物をハーフシェルの形状に未加硫もしくは半加硫状態に成形し、それを更に内層コアに被せ、本格的に加熱、加圧、成形するという通常のツーピースソリッドゴルフボールのコア作製の2倍以上の工数を必要とする問題を持っている。
【0005】
この場合、外層のコア用ゴム組成物を射出成形法にて成形硬化させることも考えられるが、一般に知られるようにポリブタジエンゴム等のゴムは流動性が悪く、更に成形時に硬化反応をさせるため、サイクルタイムが長くなるなど問題点が多く、実現性に乏しい。
【0006】
また、スリーピースゴルフボールとして、エラストマー製の芯部と、中間層と、熱可塑性材料から成る外皮とで構成されるゴルフボールにおいて、前記中間層が、組成物の総重量に対して少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも35重量%のアミドのブロック共重合体を含む熱可塑性材料で製作されるものも提案されている(特開平4−244174号公報)。更に、スリーピースゴルフボールの中間層に熱可塑性ポリエステルエラストマーを用いたものも提案されている(特公平7−8301号公報)。
【0007】
しかし、これらのゴルフボールは、スピン特性がなお十分ではなく、特に上記ポリブタジエンゴムを主体とする複数層構成のソリッドコアをカバーで被覆したマルチピースソリッドゴルフボールに比べ、アイアンでのフルショットのような大きな剪断のかかる状況におけるスピン性能に劣るという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来提案されているポリブタジエンゴムを主体とする材料から構成される複数層構成のソリッドコアをカバーで被覆してなるマルチピースソリッドゴルフボールと同等以上の性能を持ち、量産性に優れたマルチピースソリッドゴルフボールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ソリッドコアに2層以上のカバーを被覆したマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、ポリブタジエンゴム、アクリル酸亜鉛、過酸化物を必須成分とするゴム組成物を加熱硬化したものであり、外径が26〜37mm、100kg荷重時の変形量が3.6〜6.5mmである共に、上記カバーの最外層を曲げ弾性率200〜600MPaでかつショアD硬度50〜75のエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂を主材として形成すると共に、その内側の層を、JIS A硬度60〜98、反撥弾性率が40%以上、引張り破断応力が300kg/cm2以上、粘弾性測定の23℃におけるTanδが0.01〜0.25、かつTanδのピーク温度が−5℃以下である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材として形成することにより、従来提案されているマルチピースソリッドゴルフボールよりも優れた性能を有するゴルフボールが得られることを知見した。
【0010】
即ち、上記ポリウレタンエラストマーは、プラスチックをベースにした材料でありながら非常に高い弾性を持ち、ポリアミド、ポリエステルエラストマーに比べ、引張り伸度に対する応力が大きく、非常に加硫ゴムに近く、アイアンでのフルショットのような大きな剪断のかかる状況において、スピンのかかる、よく止まるボールを打つことができること、この場合、特に特定の粘弾性特性を持つポリウレタンエラストマーを用いることにより、ゴルフボールとしての反撥を保ちつつ、ショット時に大きな衝撃を受けることのないゴルフボールが得られることを見出した。
【0011】
更に詳述すると、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、各種の熱可塑性エラストマーの中でも機械的強度が非常に大きく、一般的に、熱可塑性ポリアミドエラストマーと呼ばれているアミドのブロック共重合体を含む熱可塑性材料や熱可塑性ポリエステルエラストマーに比べ、熱可塑性ポリウレタンエラストマーの引張り破断応力が大きい。このような性質がゴルフボールの材料として使用した際に、アイアンのフルショットといったボールに対し地面へ向けて大きな剪断のかかる状況下において、スピンのかかる、グリーン上で良く止まるボールとなる。これに対し、応力の小さい材料では剪断力が逃げてしまい、スピンのかかり難いコントロールのできないボールとなってしまう。
【0012】
更に、特定の粘弾性特性を有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることにより、ゴルフボールとして十分な反撥性を保ちつつ、ショット時に大きな衝撃を受け難い衝撃吸収材としての作用をも持った層を有するゴルフボールを得ることができるものである。
【0013】
このように、上記多層カバーの内側層に上記ポリウレタンエラストマーを用いたゴルフボールは、耐久性も良好で、従来の内層コア・外層コア共にゴム組成物で形成した多層ソリッドコアにカバーを被覆したマルチピースソリッドゴルフボールと同等以上の性能を持ち、またゴム成形の場合、その成形加工は、混練り、型入れ(予備成形)、加硫といった工程が必要であったが、この工程が一挙に短縮され、1回の工程で成形が完了し、生産性、加工コストの面で大きなメリットを有し、量産性に優れるものである。
【0014】
従って、本発明は、ソリッドコアに2層以上のカバーを被覆したマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、ポリブタジエンゴム、アクリル酸亜鉛、過酸化物を必須成分とするゴム組成物を加熱硬化したものであり、外径が26〜37mm、100kg荷重時の変形量が3.6〜6.5mmである共に、上記カバーの最外層を曲げ弾性率200〜600MPaでかつショアD硬度50〜75のエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂を主材として形成すると共に、その内側の層を、JIS A硬度60〜98、反撥弾性率が40%以上、引張り破断応力が300kg/cm2以上、粘弾性測定の23℃におけるTanδが0.01〜0.25、かつTanδのピーク温度が−5℃以下である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材として形成したことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールを提供する。
【0015】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、ソリッドコアに2層以上のカバーを被覆したものである。
【0016】
ここで、上記コアとしては、基材ゴムに共架橋剤、過酸化物を配合したゴム組成物を加熱、加圧、成形して製造することができる。
【0017】
この場合、基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然及び/又は合成ゴムを使用することができるが、本発明においては、シス構造を少なくとも40%以上、特に90%以上有する1,4−ポリブタジエンゴムが好ましい。なお、所望により該ポリブタジエンゴムに天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等を適宜配合してもよいが、高反撥を実現するためにシス構造を90%以上有する1,4−ポリブタジエンゴムが基材ゴム中90%以上含まれていることが好ましい。
【0018】
共架橋剤としては、従来ソリッドゴルフボールには、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和脂肪酸の亜鉛塩、マグネシウム塩やトリメチルプロパントリメタクリレート等のエステル化合物などが使用されており、本発明においてもこれらを使用することができるが、反撥性の高さよりアクリル酸亜鉛が本発明に好適に使用し得る。これら共架橋剤の配合量は、上記基材ゴム100重量部に対し10〜30重量部とすることが好ましい。
【0019】
過酸化物としては、種々選定し得るが、ジクミルパーオキサイド或いはジクミルパーオキサイドと1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの混合物などが好適である。その配合量は、基材ゴム100重量部に対し0.5〜1重量部とすることが好ましい。
【0020】
なお、上記ゴム組成物には、更に必要に応じて比重調整に酸化亜鉛や硫酸バリウムなどを配合し得るほか、老化防止剤等も配合することができる。
【0021】
上記コア用ゴム組成物は、上記成分を一般的な混練り機、例えばニーダー、バンバリミキサーやロール等を用いて混練りし、金型に入れ、これを好ましくは145〜160℃にて加熱、加圧、成形し、直径26〜37mmに調製する。直径が26mmより小さい場合、ボール全体の反撥性が十分とれず、37mmを超えると打撃による耐久性が低下する場合が生じる。このとき、コアの硬度はJIS C硬度で40〜80、特に50〜77、更には55〜77の範囲になることが好ましく、40未満ではボールが軟らかくなりすぎ、打撃耐久性の低下や反撥性の低下を招く場合が生じる。一方、80を超えると逆にボールが硬すぎ、打感が悪くなる場合が生じる。また、同様の理由から100kg荷重時の変形量は3.6〜6.5mmの範囲内に調整される。
【0022】
なお、コアは、通常1層の単一構造に形成されるが、必要に応じ2層以上の多層構造に形成することもできる。
【0023】
次に、上記ソリッドコア上に形成されるカバーは、2層以上のマルチカバーとして形成されるものであるが、この場合、マルチカバーの内側層の形成に、JIS A硬度60〜98で、反撥弾性率(JIS K7311)が40%以上の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材とする層を用いる。
【0024】
ここで、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、その分子構造が、高分子ポリオール化合物からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する単分子鎖延長剤と、ジイソシアネートとからなるものを用いることができる。
【0025】
高分子ポリオール化合物としては、特に制限されず、ポリエステル系ポリオール、ポリオール系ポリオール、コポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオールのいずれでもよく、ポリエステル系ポリオールとしては、ポリカプロラクトングリコール、ポリ(エチレン−1,4−アジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペート)グリコール等が挙げられる。コポリエステル系ポリオールとしては、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)グリコール等が挙げられる。ポリカーボネート系ポリオールとしては、(ヘキサンジオール−1,6−カーボネート)グリコール等が挙げられる。ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらの数平均分子量は約600〜5000、好ましくは1000〜3000である。
【0026】
ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素添加MDI(H12MDI)、更にはIPDI、CHDIなどや、これらの誘導体等を用いることができる。
【0027】
これらの中では脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特に反撥性の面からHDIが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0028】
鎖延長剤としては、特に制限されず、通常の多価アルコール類、アミン類が用いられ、具体的には1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソホロンジアミン(IPDA)などが挙げられる。
【0029】
この熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、JIS A硬度が60〜98、特に70〜95のものを使用する。即ち、このタイプの熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、硬度・弾性率を高分子結晶で保持している特性上、低硬度・低弾性率ほど反撥弾性が高い。そのため98より大きい硬度を持つものは反撥特性面で使用し難く、60より軟らかいものは反撥弾性そのものは高いものの軟らかすぎて使用し難く、成形も困難となる。
【0030】
また、この熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、反撥弾性率がJIS K7311において40%以上、特に45〜75%のものを使用する。反撥弾性率が40%より小さいと、十分な反撥特性が得られない。
【0031】
更に、粘弾性測定における23℃におけるTanδが0.01〜0.25、好ましくは0.03〜0.2、より好ましくは0.05〜0.15の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる。更にはTanδのピーク温度が−5℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下の熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる。
【0032】
この場合、本発明においてTanδピーク温度とは、カバー樹脂の粘弾性特性の一つの指標であり、Tanδピーク温度は下記に示す方法で測定する。即ち、用いる試験片は厚さ1.0mm、幅12.0〜12.7mm、長さ30〜35mmとし、この試験片をRheometrics社製の粘弾性スペクトルメータDynamic Analyzer RDAIIで、周波数10Hz、−100℃〜+80℃の温度範囲にわたって損失弾性率と貯蔵弾性率を測定し、Tanδ値(損失弾性率/貯蔵弾性率)を求め、23℃におけるTanδの値を常温でのTanδ値とする。また、Tanδ値がピークを示した時の温度をTanδピーク温度とする。
【0033】
23℃におけるTanδが0.01未満の場合は十分な衝撃吸収効果が得られず、打撃感が上記範囲内のものに比べショット時に手にひびく感じが残ってしまう場合があり、0.25を超える場合は手にひびく感じはないものの、ボールの反撥性が非常に悪くなり、飛距離が低下するおそれがある。一方、Tanδピーク温度が−5℃よりも高くなるとカバー材の反撥力が不足し、飛距離が低下するおそれがある。
【0034】
また更に、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、その引張り破断応力が300kg/cm2以上であり、特に310〜700kg/cm2であるものが好ましい。引張り破断応力が300kg/cm2より小さいと、特にショートアイアンでのスピンが十分に得られないおそれがある。
【0035】
上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては市販品を用いることができ、例えば大日本インキ化学工業(株)製のパンデックスT1188、T1190、T7890、TR3080、旭硝子(株)製のユーファインP580、P590などを使用することができる。
【0036】
なお、本発明における作用効果を更に発揮させるために、上記ポリウレタンエラストマーには他の成分を適宜配合することができる。この場合、他の成分としては、例えばポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、水添ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミドなどが挙げられる。また、必要に応じて上記樹脂成分以外に種々の添加剤、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤等を常用量添加することができる。
【0037】
更に酸化亜鉛、硫酸バリウム等の金属酸化物、チタン、鉛、タングステン等の金属粉を配合し、比重を高くすることもできる。
【0038】
本発明において、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材とする層は、カバーの内側層、特に上記ソリッドコアを直接被覆する層、例えばスリーピースソリッドゴルフボールの中間層として形成することが好ましい。
【0039】
本発明によるゴルフボールでは、上記したように、カバー内側層に熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いる。一般に、熱可塑性ポリウレタンエラストマーはポリアミド系エラストマーよりも比重が大きく、そのため、比重調整用の無機充填剤を多量に配合する必要はない。従って、このようなカバー内側層をコア上に設けても、コアの反撥特性を殺すことなく、コアの反撥性を十分に生かすことができる。
【0040】
また、ポリウレタンエラストマーは、ポリアミドエラストマーやポリエステルエラストマーに比べて引張り破断応力が大きいため、同じ大きさの力が働いた時の伸びはポリウレタンエラストマーが小さくなる。即ち、ポリウレタンエラストマーをゴルフボールのカバー内層として使用した際、ショートアイアンのフルショットのように、剪断方向に大きな力がかかった場合、エネルギーロスは小さく、良好なスピン性能を発揮する。これによりグリーン上でよく止まるボールとすることができる。
【0041】
この場合、カバーの最外層はアイオノマー樹脂を主材とする層、特にエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂を主材とした層とすることが好ましい。
【0042】
このカバーの最外層に用いられるアイオノマー樹脂は、曲げ弾性率が200〜600MPaで、ショアD硬度が50〜75のエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂である。曲げ弾性率が200MPaより小さく、或いはショアD硬度が50より低いものは、反撥性が不十分であり、曲げ弾性率が600MPaを超え、或いはショアD硬度が75を超えるものは、打感が悪く、繰り返し打撃耐久性に劣るおそれがある。より好ましくは、曲げ弾性率200〜400MPa、ショアD硬度50〜65のエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂を用いることが好適である。
【0043】
なお、アイオノマー樹脂としては、デュポン社製「サーリン」、三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」、エクソン化学社製「アイオテック」などの市販品を用いることができる。
【0044】
本発明のカバーにおいて、上記アイオノマー樹脂からなる最外層と熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる内側層との間に接着層を介在させることもでき、これによって反撥性、耐久性などを更に向上させることができる。この場合、接着層としては、特に制限されず、両層を強固に接合させるものであればよいが、特にはエポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、ゴム系接着剤などが好適に用いられる。
【0045】
なお、接着剤を中間層に塗布する前に常法に従って中間層表面を粗面化することができる。また、接着剤層の厚さは適宜選定されるが、通常5〜300μm、特に10〜100μmとされる。
【0046】
本発明において、カバーの総厚さは2.0〜5.5mm、特に2.4〜5.0mmとすることが好ましく、また上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材とする層の厚さは、これを内側層とする場合0.2〜3.0mm、特に0.5〜2.5mmとすることが好ましい。この場合、最外層の上記アイオノマー樹脂を主材とする層は0.2〜3.2mm、特に1.0〜2.5mm、更には1.6〜2.4mmの厚さに形成することが好ましい。なお、上記接着層を形成する場合、その厚さは5〜300μm、特に10〜100μmとすることが好ましい。
【0047】
このカバーをソリッドコアに被覆する方法としては、通常の射出成形による方法、予めハーフカップを成形しこれをコアに被せ熱プレス成形する方法が例示できるが、上記熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材とするカバー層は射出成形が可能であり、更にアイオノマー樹脂も射出成形が可能であるから、カバーはいずれも射出成形することによって形成することができる。従って、単一ソリッドコアに中間層として熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材とするカバー層を被覆し、これに最外層としてアイオノマー樹脂を主材とする層を被覆したマルチピースソリッドゴルフボールは、ゴム組成物で内外コアを得、これにカバー層を形成したマルチピースソリッドゴルフボールに比べ、生産性が高く、しかも飛び性能、スピン性能、打撃フィーリング、耐久性が良好なものである。
【0048】
このようにして得られたゴルフボールは、上記カバーにディンプルを形成するが、その幾何学的配列としては、8面体、20面体などで、ディンプルの模様としては、スクウェアー型、ヘキサゴン型、ペンタゴン型、トライアングル型などのいかなるものを採用しても差し支えない。
【0049】
なお、本発明のゴルフボールは、その直径、重さはゴルフ規則に従い、直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、スピン特性に優れ、かつ飛び性能、フィーリング、耐久性が良好で、しかも高い量産性を有するものである。
【0051】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0052】
[実施例1〜6、比較例1〜3]
表1,2の配合処方によるコア用ゴム組成物をバンバリーミキサーを用いて混練りし、155℃で15分間加圧成形して、ソリッドコアを調製した。このコア上に、表1,2の処方の各種熱可塑性エラストマー組成物を射出成形した。
【0053】
次に、得られた球状体(コア中間カバーを被覆したもの)上に表1,2に示した配合処方によって調製したカバーの最外層を射出成形にて被覆し、直径42.7mmのスリーピースソリッドゴルフボールを製造した。
【0054】
[比較例4,5]
表1,2に示すコア配合処方によるコア組成物をバンバリーミキサーを用い混練りし、155℃で15分間加圧成形してコアを作製した。次に、得られたコア上に表1,2に示した配合処方により調製されたカバー材を射出成形にて被覆し、直径42.8mmのツーピースゴルフボールを製造した。
【0055】
次に、上記ゴルフボールの硬度、初速、打撃フィーリング、飛距離、アイアン特性を評価した。結果を表3,4に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003632762
【0057】
【表2】
Figure 0003632762
(1)日本合成ゴム BR01
(2)大日本インキ化学工業(株) パンデックスT1180
(3)大日本インキ化学工業(株) パンデックスT1190
(4)大日本インキ化学工業(株) パンデックスT1198
(5)大日本インキ化学工業(株) パンデックスTR3080
(6)三井・デュポンポリケミカル(株) Zn系エチレン−メタクリル酸アイオノマー樹脂
(7)三井・デュポンポリケミカル(株) Na系エチレン−メタクリル酸アイオノマー樹脂
(8)大日本インキ化学工業(株) パンデックスEX−PE90A
(9)東レ(株) ペバックス3533SA
(10)東レ・デュポン(株) ハイトレル3078
(11)デュポン(株) Na系エチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステルアイオノマー樹脂
【0058】
【表3】
Figure 0003632762
【0059】
【表4】
Figure 0003632762
*1 ボールに100kg荷重をかけた時のたわみ量で、数値が大きいほど軟らかいことを示す。
*2 プロゴルファーによるドライバー打撃テスト[◎非常に良い ○普通 ×悪い]
*3 ロボットマシンにてドライバーヘッドスピード45m/sにての測定結果
*4 ロボットマシンにて#9アイアンヘッドスピード36m/sにての測定結果
*5 ASTM D790(3mmシート、支点間隔48mm、押し付け速度1.3mm/min)

Claims (4)

  1. ソリッドコアに2層以上のカバーを被覆したマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、ポリブタジエンゴム、アクリル酸亜鉛、過酸化物を必須成分とするゴム組成物を加熱硬化したものであり、外径が26〜37mm、100kg荷重時の変形量が3.6〜6.5mmである共に、上記カバーの最外層を曲げ弾性率200〜600MPaでかつショアD硬度50〜75のエチレン−(メタ)アクリル酸系アイオノマー樹脂を主材として形成すると共に、その内側の層を、JIS A硬度60〜98、反撥弾性率が40%以上、引張り破断応力が300kg/cm2以上、粘弾性測定の23℃におけるTanδが0.01〜0.25、かつTanδのピーク温度が−5℃以下である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを主材として形成したことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
  2. 上記内側カバー層の主材として用いる熱可塑性ポリウレタンエラストマーに、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、水添ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミドの群から選ばれる少なくとも1種を配合した請求項1記載のゴルフボール。
  3. 上記最外層カバーと上記内側カバーとの間に接着層を介在させた請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. 上記最外層カバーの厚さが0.2〜3.2mm、上記内側層の厚さが0.2〜3.0mmである請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール。
JP2001180047A 2001-06-14 2001-06-14 マルチピースソリッドゴルフボール Expired - Fee Related JP3632762B2 (ja)

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