JP3658640B2 - 温度刺激応答性共重合体を用いた塩基化合物の回収方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヌクレオシドやヌクレオチド及び核酸回収用沈殿剤として、温度刺激応答性共重合体を利用したアフィニティ沈殿によるヌクレオシドやヌクレオチド及び核酸の回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヌクレオシドやヌクレオチドの精製には、そのリガンドを担体に結合したアフィニティカラムクロマトグラフィーが広く利用されている(K.Rahmanet al., Biochem. Soc. Trans. 16 (3)368−368 (1988) Q. Wang et al. Biothechnol. Tech. 13, 463−467 (1999) D. P. Chandler et al., Talanta 49. 969−983 (1999))。しかし、その精製工程においては長時間を要し、また大量の溶出液を必要とする。近年、生理活性物質を機能性高分子で修飾したハイブリッド技術がめざましく進展してきている。現在、タンパク質の簡便、大量精製を目的としたアフィニティ沈殿法も報告されている(K.Hoshino etal., Biotechnol. Bioeng., 60, 568−579, 1998)。しかしながら、ヌクレオシド及びヌクレオチド、核酸の精製についてのアフィニティ沈殿法は報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ポリマー鎖にヌクレオシドを有する温度感受性ポリマーを利用したヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸を分離回収する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジカルボン酸ビニルエステルにヌクレオシドが結合した重合性のヌクレオシドエステルとN−イソプロピルアクリルアミドとからなる温度感受性を有する共重合体が、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の間でアフィニティ沈殿を生じることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の発明を提供するものである。
(1)ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(1)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Aを用いることからなり、該共重合体中に含まれるヌクレオシド残基と該水溶液中に含まれる塩基化合物とは構造的に相補的関係にあることを特徴とする前記の方法。
【化13】
(式中、R1はアルキレン基、S1はヌクレオシドから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【化14】
(2)アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオチド及びアデノシン系核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(3)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Bを用いることを特徴とする前記の方法。
【化15】
(式中、R1はアルキレン基、S2はウリジンあるいは2’−デオキシウリジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオチド残基を表す)
【化16】
(3)ウリジン、2’−デオキシウリジン、ウリジン系ヌクレオチド、ウリジン系核酸、チミンリボシド、2’−デオキシチミジン、チミジン系ヌクレオチド及びチミジン系核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(4)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Cを用いることを特徴とする前記の方法。
【化17】
(式中、R1はアルキレン基、S3はアデノシンあるいは2’−デオキシアデノシンから1個の水酸基が除かれた糖残基を表す)
【化18】
(4)シチジン、2’−デオキシシチジン、シチジン系ヌクレオチド及びシチジン系核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(5)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Dを用いることを特徴とする前記の方法。
【化19】
(式中、R1はメチレン基又はアルキレン基、S4はグアノシンあるいは2’−デオキシグアノシンから1個の水酸基が除かれた糖残基を表す)
【化20】
(5)グアノシン、2’−デオキシグアノシン、グアノシン系ヌクレオチド及びグアノシン系核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(6)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Eを用いることを特徴とする前記の方法。
【化21】
(式中、R1はアルキレン基、S5はシチジンあるいは2’−デオキシシチジンから1個の水酸基が除かれた糖残基を表す)
【化22】
(6)アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオチド及びアデノシン系核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から沈殿剤を用いて該塩基化合物を沈殿させて回収する方法であって、該沈殿剤として下記一般式(7)で表される構造単位と下記式(2)で表される構造単位とからなる共重合体Fを用いることを特徴とする前記の方法。
【化23】
(式中、R1はアルキレン基、S6はチミンリボシドあるいは2’−デオキシチミジンから1個の水酸基が除かれた糖残基を表す)
【化24】
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる前記共重合体(A)〜(F)に関し、以下において詳述する。
【0006】
[共重合体(A)]共重合体(A)は、下記一般式(8)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(A)において、前記一般式(1)で表される構造単位は、前記一般式(8)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記一般式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(A)において、一般式(1)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20%、より好ましくは0.1〜10モル%である。
【化25】
(式中、R1はアルキレン基、S1はヌクレオシドから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0007】
本発明の共重合体(A)は、例えば下記の方法により製造することができる。即ち、一般式(8)のヌクレオシドエステルとN−イソプロピルアクリルアミドとを混合し、該混合物をラジカル重合開始剤の存在下、加熱等により重合反応を開始させることによって合成できる。好ましくは、両者のモノマーを溶媒中に溶解し、該混合物をラジカル重合開始剤の存在下、加熱等により重合反応を開始させることによって合成するのがよい。溶媒としては、重合反応に関与せず、原料モノマーが溶解可能であれば、特に限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ピリジン、メタノール、エタノール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、水等が例示でき、好ましくDMF、DMSOである。溶媒と該モノマー混合物との混合比は、得られる共重合体の要求物性に基づいて任意の範囲で混合できるが、通常は、モノマー混合物1重量部に対して、溶媒を1〜100重量部、好ましくは1〜10重量部の範囲で混合するのがよい。この範囲を超えると分子量が低下するおそれがある。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、アゾビスアミジノプロパン塩酸塩等のアゾ化合物や、フェントン試薬等が例示でき、好ましくは、アゾ化合物、特にAIBNである。ラジカル重合開始剤の使用量としては、得られる共重合体の要求物性に応じて任意の範囲で用いられるが、通常はモノマー総量の0.1〜5モル%程度である。重合は、例えば、上記各モノマー及び溶媒を均一に混合したモノマー溶液に、ラジカル重合開始剤を添加、混合し、50〜80℃で1時間以上行わせる。望ましくは、65℃程度で2〜24時間程度反応させることにより実施される。モノマー溶液は、高分子量のポリマーを得るために脱気することが好ましく、また、ラジカル重合開始剤を加えた後も同様である。反応終了後、溶媒を除去し、残査を蒸留水等に溶解させる。得られた共重合体は、温度応答性があるので、29〜50℃程度の条件にすることによって沈殿物として回収することができる。さらに必要に応じて、例えば、有機溶剤で洗浄や、透析等による精製を行なってもよい。
【0008】
本発明の共重合体(A)の分子量には特に制限はないが、好ましくは数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0009】
前記一般式(1)及び(8)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(1)及び(8)において、ヌクレオシド残基S1は特に制約されず、従来公知の各種のヌクレオシドから1つの水酸基を除いた残基、即ち、ヌクレオシド由来の残基を包含する。この場合のヌクレオシドは、プリン塩基またはピリミジン塩基のような窒素を含む有機塩基と糖の還元基とがグリコシド結合によって結合した配糖体化合物、例えば、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、チミンリボシド、イノシン、キサントシン、2’−デオキシアデノシン、2’−デオキシグアノシン、2’−デオキシウリジン、2’−デオキシシチジン、2’−デオキシチミジン、2’−デオキシイノシン、2’−デオキシキサントシン等が挙げられる。好ましくは、アデノシン、グアノシン、ウリジン、シチジン、チミンリボシドである。
【0010】
本発明で用いられる前記一般式(8)の重合性のヌクレオシドは、ジカルボン酸ビニルエステルとヌクレオシドとを化学的にエステル結合させるか、あるいは加水分解酵素(もしくは該酵素を産生する微生物等)を用いて酵素化学的に(もしくは発酵的に)結合させることにより合成することができる。酵素化学的にエステル結合させる場合には、酵素としてプロテアーゼやリパーゼ、特に放線菌ストレプトマイセス属由来やバチルス属由来のプロテアーゼやアルカリゲネス属やブタ膵臓由来のリパーゼが好ましく用いられる。または、各種由来のエステラーゼを用いてもよい。化学的にエステル結合させる場合には、例えば、塩基触媒を用いた方法(J.Org.Chem.,53,449(1998))で記載の方法によって合成し、例えばシリカゲル等のカラムで分離し得ることができる。
【0011】
[共重合体(B)]共重合体(B)は、下記一般式(9)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(B)において、前記一般式(3)で表される構造単位は、前記一般式(9)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(B)において、一般式(3)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20%、より好ましくは0.1〜10モル%である。本発明の共重合体(B)の製造は、前記共重合体(A)の製造の場合と同様にして行うことができる。
【化26】
(式中、R1はメチレン基又はアルキレン基、S2はウリジンあるいは2’−デオキシウリジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0012】
本発明の共重合体(B)の分子量には特に制限はないが、数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体(B)は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0013】
前記一般式(3)及び(9)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(3)及び(9)において、S2はウリジンあるいは2’−デオキシウリジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す。
【0014】
前記一般式(9)の重合性ヌクレオシドは、前記一般式(8)の重合性ヌクレオシドと同様にして合成することができる。
【0015】
[共重合体(C)]共重合体(C)は、下記一般式(10)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(C)において、前記一般式(4)で表される構造単位は、前記一般式(10)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(C)において、一般式(4)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。本発明の共重合体(C)の製造は、前記共重合体(A)の製造の場合と同様にして行うことができる。
【化27】
(式中、R1はアルキレン基、S3はアデノシンあるいは2’−デオキシアデノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0016】
本発明の共重合体(C)の分子量には特に制限はないが、数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体(C)は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0017】
前記一般式(4)及び(10)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(4)及び(10)において、S3はアデノシンあるいは2’−デオキシアデノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す。
【0018】
前記一般式(10)の重合性ヌクレオシドは、前記一般式(8)の重合性ヌクレオシドと同様にして合成することができる。
【0019】
[共重合体(D)]共重合体(D)は、下記一般式(11)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(D)において、前記一般式(5)で表される構造単位は、前記一般式(11)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(D)において、一般式(5)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。本発明の共重合体(D)の製造は、前記共重合体(A)の製造の場合と同様にして行うことができる。
【化28】
(式中、R1はアルキレン基、S4はグアノシンあるいは2’−デオキシグアノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0020】
本発明の共重合体(D)の分子量には特に制限はないが、数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体(D)は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0021】
前記一般式(5)及び(11)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(5)及び(11)において、S4はアデノシンあるいは2’−デオキシアデノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す。
【0022】
前記一般式(11)の重合性ヌクレオシドは、前記一般式(8)の重合性ヌクレオシドと同様にして合成することができる。
【0023】
[共重合体(E)]共重合体(E)は、下記一般式(12)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(E)において、前記一般式(6)で表される構造単位は、前記一般式(12)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(E)において、一般式(6)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。本発明の共重合体(E)の製造は、前記共重合体(A)の製造の場合と同様にして行うことができる。
【化29】
(式中、R1はアルキレン基、S5はシチジンあるいは2’−デオキシシチジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0024】
本発明の共重合体(E)の分子量には特に制限はないが、数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体(E)は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0025】
前記一般式(6)及び(12)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(6)及び(12)において、S5はシチジンあるいは2’−デオキシシチジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す。
【0026】
前記一般式(12)の重合性ヌクレオシドは、前記一般式(8)の重合性ヌクレオシドと同様にして合成することができる。
【0027】
[共重合体(F)]共重合体(F)は、下記一般式(13)で表される重合性エステルと、N−イソプロピルアクリルアミドとを、重合開始剤の存在下にラジカル重合させることによって合成される。この共重合体(F)において、前記一般式(7)で表される構造単位は、前記一般式(13)の重合性エステル由来の構造単位であり、前記式(2)で表される構造単位は、N−イソプロピルアクリルアミド由来の構造単位である。この共重合体(F)において、一般式(7)の構造単位は、分子中0.1〜99.9モル%、好ましくは0.1〜20モル%、より好ましくは0.1〜10モル%である。本発明の共重合体(F)の製造は、前記共重合体(A)の製造の場合と同様にして行うことができる。
【化30】
(式中、R1はアルキレン基、S6はチミンリボシドあるいは2’−デオキシチミジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す)
【0028】
本発明の共重合体(F)の分子量には特に制限はないが、数平均分子量で3000〜100000、好ましくは5000〜40000である。分子量は、共重合体の使用目的に応じて適当な大きさのものを選択することができる。また、重合性ヌクレオシドエステルの組成比率を多くすることによって、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の吸着量を増やすことができる。本発明の共重合体(F)は、ランダム構造を有してもよいし、ブロック構造を有していてもよい。上記製造方法は、ランダム構造の共重合体を製造する方法であるが、ブロック共重合体の製造についても、上記製法を参照し、常法に従い、製造することができる。
【0029】
前記一般式(7)及び(13)において、R1は直鎖状又は分岐状アルキレン基を示すが、その炭素数は1〜18、好ましくは2〜8である。このアルキレン基には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。好ましいアルキレン基は、テトラメチレンである。前記一般式(7)及び(13)において、S6はチミンリボシドあるいは2’−デオキシチミジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基を示す。
【0030】
前記一般式(13)の重合性ヌクレオシドは、前記一般式(8)の重合性ヌクレオシドと同様にして合成することができる。
【0031】
本発明で用いる共重合体(A)〜(F)は、ヌクレオシド分岐構造を有する温度刺激応答性ポリマーであるため、温度刺激応答性の機能性材料として使用することができる。即ち、該共重合体(A)〜(F)は、例えば、ウリジンエステル構造単位を5モル%含む場合、27℃程度以下では、水溶液として存在するが、29℃程度以上になると沈殿する特性を有している。従って、該温度刺激応答性共重合体(A)〜(F)は、物質精製材料、ドラッグデリバリーシステム制御材料等として用いることができ、各用途に応じて適宜、通常用いられる汎用性の重合性モノマー、水溶性を付加するために重合性糖エステルなど他の成分を共重合させてもよい。
【0032】
該共重合体(A)〜(F)は、それに含まれているヌクレオシド残基と構造的に相補するヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸に対する沈殿剤として用いることができる。即ち、本発明においては、ヌクレオシド、ヌクレオチド及び核酸の中から選ばれる塩基化合物を含む水溶液中から、その塩基化合物を沈殿として分離回収する際に、その塩基化合物に対する沈殿剤として、共重合体(A)を用いることによって、その塩基化合物沈殿物として回収することができる。この場合、共重合体(A)としては、それに含まれるヌクレオシド残基(S1)が、その水溶液中に溶解する分離回収対象となる塩基化合物と構造的に相補的関係にあるものを選択する。
【0033】
なお、この場合の構造的に相補的にあるものとは、以下のことを意味する。即ち、S1がウリジンあるいは2’−デオキシウリジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基の場合、アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオシド又はアデノシン系核酸と構造的に相補性がある。S1がアデノシンあるいは2’−デオキシアデノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基の場合、ウリジン、2’−デオキシウリジン、ウリジン系ヌクレオシド、ウリジン系核酸、チミンリボシド、2’−デオキシチミジン、チミジン系ヌクレオシド又はチミジン系核酸と構造的に相補性がある。S1がグアノシンあるいは2’−デオキシグアノシンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基の場合、シチジン、2’−デオキシシチジン、シチジン系ヌクレオシド又はシチジン系核酸と構造的に相補性がある。S1がシチジンあるいは2’−デオキシシチジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基の場合、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、アデノシン系グアノシン又はグアノシン系核酸と構造的に相補性がある。S1がチミンリボシドあるいは2’−デオキシチミジンから1個の水酸基が除かれたヌクレオシド残基の場合、アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオシド又はアデノシン系核酸と構造的に相補性がある。
【0034】
該共重合体(B)を用いることにより、水溶液中に溶解する該共重合体(B)中に含まれるウリジン又は2’−デオキシウリジンと構造的に相補的関係にある塩基化合物、即ち、アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオチド又はアデノシン系核酸を沈殿させることができる。
【0035】
該共重合体(C)を用いることにより、水溶液中に溶解する、該共重合体(C)中に含まれるアデノシン又は2’−デオキシアデノシンと構造的に相補的関係にある塩基化合物、即ち、ウリジン、2’−デオキシウリジン、ウリジン系ヌクレオチド、ウリジン系核酸、チミンリボシド、2’−デオキシチミジン、チミジン系ヌクレオチド又はチミジン系核酸を沈殿させることができる。
【0036】
該共重合体(D)を用いることにより、水溶液中に溶解する、該共重合体(D)中に含まれるグアノシン又は2’−デオキシグアノシンと構造的に相補的関係にある塩基化合物、即ち、シチジン、2’−デオキシシチジン、シチジン系ヌクレオチド又はシチジン系核酸を沈殿させることができる。
【0037】
該重合体(E)を用いることにより、水溶液中に溶解する、該共重合体(E)中に含まれるシチジン又は2’−デオキシシチジンと構造的に相補的関係にある塩基化合物、即ち、グアノシン、2’−デオキシグアノシン、グアノシン系ヌクレオチド又はグアノシン系核酸を沈殿させることができる。
【0038】
該共重合体(F)を用いることにより、水溶液中に溶解する、該共重合体(F)中に含まれるチミンリボシド又は2’−デオキシチミジンと構造的に相補的関係にある塩基化合物、即ち、アデノシン、2’−デオキシアデノシン、アデノシン系ヌクレオチド又はアデノシン系核酸を沈殿させることができる。
【0039】
なお、前記に示したアデノシン系ヌクレオチドとは、その構造中にアデノシン残基又は2’−デオキシアデノシン残基を含むヌクレオチドを意味する。アデノシン系核酸とは、その構造中にアデノシン残基又は2’−デオキシアデノシン残基を含む核酸を意味する。ウリジン系ヌクレオチドとは、その構造中にウリジン又は2’−デオキシウリジンを含むヌクレオチドを意味する。ウリジン系核酸とは、その構造中にウリジン又は2’−デオキシウリジンを含む核酸を意味する。チミジン系ヌクレオチドとは、その構造中にチミンリボシド残基又は2’−デオキシチミジン残基を含むヌクレオチドを意味する。チミジン系核酸とは、その構造中にチミンリボシド残基又は2’−デオキシチミジン残基を含む核酸を意味する。シチジン系ヌクレオチドとは、その構造中にシチジン又は2’−デオキシシチジンを含むヌクレオチドを意味する。シチジン系核酸とは、その構造中にシチジン又は2’−デオキシシチジンを含む核酸を意味する。グアノシン系ヌクレオチドとは、その構造中にグアノシン残基又は2’−デオキシグアノシン残基を含むヌクレオチドを意味する。グアノシン系核酸とは、その構造中にグアノシン残基又は2’−デオキシグアノシン残基を含む核酸を意味する。
【0040】
該共重合体を用いて前記塩基化合物を水溶液中から沈殿分離し、回収するには、該水溶液中に該共重合体を、その共重合体が溶解する温度条件で添加混合し、次いでその共重合体が不溶化する温度条件に昇温させ、溶液(母液)と不溶化物(沈殿)とに分離する。次いで、得られた沈殿物に、その共重合体が溶解する温度条件下で脱離剤を加え、共重合体を結合する塩基化合物を解離させる。前記塩基化合物を含有する水溶液は、該塩基化合物に対して溶解性を示す水や水溶液等の水性溶媒に対して塩基化合物を溶解させることによって調製することができる。この場合、その水性溶媒としては、例えば、酢酸やリン酸等の緩衝液が例示することができる。塩基化合物を含む水溶液と本発明の共重合体の配合比については、共重合体中のヌクレオシド、ヌクレオチド又は核酸の含有量に依存するが、例えば、塩基化合物1g当たり、共重合体を10〜500g、好ましくは50〜200gの割合で混合する。塩基化合物を含む水溶液と本発明の共重合体を混合し、該共重合体が水中に溶解する温度の条件下に静置させることによって所望の塩基化合物を本発明の共重合体に結合させる。この場合、好ましくは、撹拌した方がよい。共重合体が不溶になる温度に水溶液の温度を上げることによって、塩基化合物が結合している共重合体は不溶化されるが、不溶化した共重合体を遠心分離によって、沈殿物として回収する。
【0041】
得られた沈殿物には、例えば、蒸留水、緩衝液を添加し、共重合体が溶解できる温度に温度を下げ、脱離剤を加えることによって、共重合体から所望の塩基化合物を解離させることができる。この場合の解離剤としては、各種塩が例示できる。塩としてはNaCl、KCl、MgCl2等が例示できるが、MgCl2が好ましい。使用する濃度としては0.1〜3M、好ましくは、0.4〜2M程度である。沈殿物に対するこれら解離剤の量は適宜設定される。解離を行うに際しては、撹拌する方がよい。また、解離した塩基化合物は、温度上げて共重合体を沈殿させ、上清を集めることによって得ることができる。また、所望により、高速液体クロマトグラフィー、透析等によって精製してもよい。上記精製方法は、バッチ法によって行うのが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳述する。
【0043】
参考例1
ウリジン3.05gおよびアジピン酸ジビニル9.9gを含むピリジン50mlにナガセケムテックス社製バチラスズブチリス由来のプロテアーゼ2.5gを添加し、30℃、160rpmにて7日間撹拌した。また、反応液の薄層クロマトグラフィー分析から、生成物は一つであった。反応液をろ過し、酵素を取り除き、減圧下、濃縮後、シリカゲル(メルク製、Kieselgel−60)を充填したカラム(内径:5cm、長さ:50cm)に負荷し、ヘキサン:酢酸エチル(5:1)の混合溶媒で溶出し、生成物を分離した。反応物の高速液体クロマトグラフィー分析(カラム:TOSOH Amide−80、溶媒:アセトニトリル:水=3:1、示差屈折計検出)より約100%のウリジンエステルの変換を確認し、5’−O−vinyladipolyl−D−uridine(VAU)を白色結晶として4.0g得た。
【0044】
実施例1:ウリジンエステル/N−イソプロピルアクリルアミド共重合体の合成
ウリジンエステル/N−イソプロピルアクリルアミド共重合体の合成は、以下のようにして行った。10mlのアンプル管にVAUおよびN−イソプロピルアクリルアミドを併せて2mol、AIBN40mgをDMF4mlに溶解させた後、窒素ガスにより脱気し、65℃で24時間重合させた。この反応の後、反応液を200mlのジエチルエーテル沈殿させる。得られた沈殿物を5%含む水溶液とした後、感熱応答性を示す温度にまで上昇させて、再沈殿させると純粋なウリジンエステル−N−イソプロピルアクリルアミド共重合体が得られる。上記と同様に、ウリジンエステル−N−イソプロピルアクリルアミドの配合比を変えて共重合体を得た。得られた各共重合体の特性を以下の表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示したMn(数平均分子量)及びMw(重量平均分子量)は、ゲルパーミューションクロマトグラフィーで測定した。曇点(℃)は、分光光度計で測定した。共重合体中に含まれるウリジンエステル含量は、262nmのウリジン標準曲線と比較して決定した。N.Dは、水中において5〜33℃では曇点が観察できないことを示す。Not shownは、曇点のないことを示す。
【0047】
試験例1 温度刺激応答性の評価
実施例1で得られた共重合体a〜gについて温度刺激応答性(温度に対する溶解性の応答)の評価を行った。即ち、熱分析計を用いて共重合体の熱変化を評価した。使用した共重合体溶液の濃度は5w.t.%である。その結果を図1に示す。共重合体bとcは、27〜32℃に明らかな転移点が観察できる。共重合体bの水溶液は25℃以下で水に可溶で29℃以上で完全に不溶化した。
【0048】
実施例2:ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸の精製
ヌクレオシドを5モル%含む温度刺激応答性重合体を使用し、ウリジン、チミンリボシド、グアノシン、シチジン、アデノシン、ニコチンアミド−アデニンジヌクレオチド、アデノシン5’−一リン酸、ウリジン二リン酸グルコース、ポリアデニンの吸着・回収を行った。3mlの蒸留水に共重合体60mg、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸をそれぞれ12mg加え、溶解した。その溶液を10℃でそれぞれ2hr撹拌した。その溶液を感熱応答性を示す温度まで温度を上げ、10000rpmで10分間遠心分離した。引き続いて上清を259nmで測定した。沈殿した共重合体を2Mの塩化マグネシウム3mlで洗浄した。洗浄液を259nmで測定し、回収率を求め、表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
ヌクレオシドの水酸基に重合性置換基を導入した重合性ヌクレオシドエステルを温度刺激応答性高分子のモノマーであるN−イソプロピルアクリルアミドと共重合することにより、温度刺激応答性共重合体を得ることができる。このものを用いることにより、相補性のあるヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸をアフィニティ沈殿法により短時間でしかも少量の水で精製することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた共重合体a〜fについて温度刺激応答性(温度に対する溶解性の応答)の評価を示す。横軸に温度、縦軸に熱量を示す。
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