JP3675680B2 - 溶接線位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク溶接ロボットに備えられて好適な溶接線位置検出装置に関し、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状データを得る光学式のワーク断面形状計測手段を有し、そのワーク断面形状データに基づいて溶接線位置を自動検出するようにした溶接線位置検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
記憶・再生型のアーク溶接ロボットでは、あらかじめ、基準となるワークの溶接線位置をティーチングしてメモリに記憶させておき、次いで、前記基準ワークと同形のワークを次々に溶接する際には、前記ティーチングされた溶接線位置データに基づき溶接トーチを溶接線に沿って移動させ、各ワークを自動溶接するようにしている。ところで、(イ)ワーク(溶接すべき溶接継手)には組立誤差があったり、また溶接すべきワークをポジショナに固定するときにワークの取付け誤差があったりすることから、基準ワークにてティーチングされた溶接線位置とこれから溶接しようとしているワークの溶接線位置との間に位置ずれが生じることがある。また、(ロ)溶接中のワークの熱歪みによる該ワークの変形により位置ずれが生じることがある。
【0003】
そのため、前記位置ずれを解消するために、各ワーク毎にその溶接開始に先立ちワークの所要箇所(例えば溶接開始設定箇所及び溶接停止設定箇所)の溶接線位置を自動検出したり、アークが発生している溶接中において所要箇所におけるアーク発生点前方の溶接線位置を自動検出するための溶接線位置検出装置が備えられている。そして、アーク溶接ロボットでは、溶接線位置検出装置により検出した所要箇所の実際の溶接線位置データに基づいて前記ティーチングされている溶接線の位置データを修正することにより、これから溶接しようとしているワークの溶接線の正しい真の位置データを得るようにしている。
【0004】
このような溶接線位置検出装置の一例として、従来、ワーク表面に該ワークWの溶接線WLを横切るようにレーザスポット光を走査しながら照射して照射方向と異なる方向においてその反射光を検出することにより、溶接線WLを横切って延びるワーク表面の断面形状を示す2次元のワーク断面形状データを得るレーザ式形状計測器51を有し、ワーク断面形状データに基づいて溶接線WLの位置を検出するようにしたものが知られている。
【0005】
この従来の溶接線位置検出装置は、ワーク断面形状データに基づいて2本の直線によりワークWの断面形状を近似し、該2本の直線の交点を溶接線位置として検出するようにしたものである。したがって、すみ肉のT継手(下板と立板により構成されるすみ肉継手)の場合、図20に示すように、ワーク断面形状は2本の直線で近似でき、この2本の直線の交点qを溶接線位置として求めることができる。なお、図20(b)に示すワーク断面形状データは、実際は2次元座標(Y,Z)を持つ点データの多数の集まりであるが(図2参照)、理解を容易にするため連続する実線で示してある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前記従来の溶接線位置検出装置では、溶接ロボットの対象ワークとして最も多用されるすみ肉溶接を行う継手に適用するに際し、次のような▲1▼〜▲4▼の場合には溶接線位置を検出できないという問題点がある。
【0007】
▲1▼ 図21(a)に示すように、レーザ式形状計測器51の視野内にワークWの溶接線WLの形成に関与しない無関係な第3部材W3が入るような場合には、図21(b)に示すように、ワーク断面形状が2本の直線により近似できず、2つの交点(屈曲点)q,q’が存在することとなり、ワークWを構成する第1部材W1と第3部材W3との継ぎ目であって、偽りの溶接線位置を示す交点q’を除外することができない。
【0008】
▲2▼ 図22(a)に示すように仮付け溶接部における溶接線位置を検出しようとする場合には、図22の(b)に示すように、ワーク断面形状データにおける仮付け溶接部の部分が曲線(上に凸の円弧)を示すものとなるので、溶接線位置を検出することができない。
【0009】
▲3▼ 図23(a)に示すように、すみ肉T継手(ワークW)において溶接部の強度を高めるために第1部材(立板)W1に開先面WGが設けられている場合には、図23の(b)に示すように、ワーク断面形状が2本の直線により近似できず、2つの交点q,q’が存在することとなり、ワークWを構成する第1部材W1と第2部材W2とにより形成される溶接線WLの位置を示す交点qを検出することができない。また、鋼板表面の酸化皮膜を除去すべく開先面WGがグラインダ等で磨かれて鏡面状態になっていると、レーザ式形状計測器51の配置位置によっては計測器51の2次元受光アレイに開先面WGから十分な反射光が返ってこなくなり、図23の(c)に示すように、ワーク断面形状データにおける開先面WG部分のデータ欠落が発生する。このため、溶接線WLの位置を検出することができない。
【0010】
▲4▼ 図24(a)に示すようにワークWが円形パイプ材W1と平板W2とにより構成されている場合には、図24の(b)に示すように、ワーク断面形状データにおける円形パイプ材W1部分が直線でなく曲線(上に凸の円弧)を示すものとなるので、溶接線位置を検出することができない。また、図25(a)に示すようにワークWが第1部材である円形パイプ材W1と第2部材である円形パイプ材W2とにより構成されている場合には、図25(b)に示すように、ワーク断面形状データにおける両方の円形パイプ材W1,W2部分が直線でなく曲線(上に凸の円弧)を示すものとなるので、溶接線位置を検出することができない。
【0011】
そこで本発明の目的は、前記従来の問題点を解消し、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状データを得る光学式のワーク断面形状計測手段を有し、前記ワーク断面形状データに基づいて溶接線位置を検出する溶接線位置検出装置において、対象ワークとしてすみ肉溶接を行うワークに適用するに際し、前記光学式の計測手段の視野内にワークの溶接線の形成に関与しない無関係な第3の部材が入るような場合でも該第3の部材に邪魔されて誤ることなく溶接線位置を検出でき、また、仮付け溶接部がある箇所の場合でも該仮付け溶接部における溶接線位置を検出でき、また、開先が設けられている場合や該開先の断面形状データが得られないような場合でも溶接線位置を検出でき、さらにワークが中空あるいは中実の円柱状部材で構成され、ワーク断面形状が直線でなく上に凸の円弧を示すものになる場合でも溶接線位置を検出することができる溶接線位置検出装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1の発明は、(a)光を照射して照射方向と異なる方向においてその反射光を検出することにより、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状を示す2次元の断面形状データを得るワーク断面形状計測手段と、(b)前記ワーク断面形状計測手段により得られた2次元のワーク断面形状データに基づいて、複数個の線分によりワーク断面形状を近似する線分近似手段と、(c)前記線分近似手段による前記複数個の線分を所定の規則に従ってグループ化する線分グルーピング手段と、(d)前記線分グルーピング手段によりグループ化された線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出することにより、前記ワークの前記溶接線を形成する一方の部材の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンと、前記溶接線を形成する他方の部材の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンとを得る溶接線位置絞込み手段と、(e)前記第1部材断面形状パターンの前記第2部材断面形状パターン側に位置する端点と、該端点近傍のワーク断面形状データと、前記第2部材断面形状パターンの前記第1部材断面形状パターン側に位置する端点と、該端点近傍のワーク断面形状データとに基づいて、前記溶接線の位置を演算し検出する溶接線位置演算検出手段と、を備えていることを特徴とする溶接線位置検出装置である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載の溶接線位置検出装置において、前記溶接線演算検出手段は、前記第1部材断面形状パターンにおける前記端点の近傍部分に沿って延びる第1直線を演算するとともに、前記第2部材断面形状パターンにおける前記端点の近傍部分に沿って延びる第2直線を演算し、次いで前記両直線の交点を演算してから、前記2つの端点及び前記交点のこれら3点の位置関係を判定し、前記溶接線の位置を検出するものであることを特徴とするものである。
【0014】
本発明による溶接線位置検出装置においては、まず、光学式のワーク断面形状計測手段により、ワークWの溶接線WLを横切って延びるワーク表面の断面形状を示す2次元断面形状データを得る。線分近似手段は、このワーク断面形状計測手段からの2次元断面形状データに基づいて、一連をなす複数個の線分により、ワーク断面形状を該ワーク断面形状の直線性はもとより屈曲性,曲線性をも反映しうる程度に近似する(図10,図11参照)。
【0015】
次いで線分グルーピング手段は、前記線分近似手段にて求めた複数個の線分について、隣り合う2つの線分がなす角度差(屈曲度合い)と、隣り合う2つの線分が上あるいは下のいずれに凸をなしているかとを解析することにより、2つ以上の線分グループにグループ化する(図12参照)。線分グループそれぞれは、一連をなす複数個の線分で構成される。これにより、線分近似手段にて求めた複数個の線分は、ワークWの溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状を示す部分と、該溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状を示す部分と、これら以外の部位(溶接線WLの形成に関与しない無関係な第3部材W3や、溶接線WLの部位にある仮付け溶接部など)を示す部分とにグループ分けがなされる。このグループ化の際には、すみ肉溶接を行う継手を対象ワークとすると、溶接線WLを形成する部材W1,W2の断面形状が、長さの長い直線、あるいは長さが長く上に凸の円弧になるという特性(性質)を利用している。
【0016】
このグループ化の後、溶接線位置絞込み手段により、前記2つ以上の線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出することにより、溶接線WLの位置検出に支障となる前記第3部材W3や仮付け溶接部などの部分を除外し、溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンPS1と、該溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンPS2とを得ることができる。
【0017】
これにより、第1部材断面形状パターンPS1の第2部材断面形状パターンPS2側の端点(溶接線側に位置する端点)をP1Lとする一方、第2部材断面形状パターンPS2の第1部材断面形状パターンPS1側の端点(溶接線側に位置する端点)をP2Rとすると、検出すべき溶接線位置は、前記両方の端点P1L,P2Rが重なり同一位置にある場合にはこの位置となり、そうでない場合にはこれらの端点P1L,P2Rの近傍に存在することから、溶接線位置の存在範囲を絞り込むことができる。
【0018】
次いで、溶接線位置演算検出手段は、第1部材断面形状パターンPS1における端点P1L近傍部分に沿って延びる第1直線L1を演算するとともに、第2部材断面形状パターンPS2における端点P2R近傍部分に沿って延びる第2直線L2を演算し、しかる後に前記両直線L1,L2の交点Qを演算して求める。そして溶接線位置演算検出手段により、2つの端点P1L,P2R及び交点Qのこれら3点の位置関係を解析し判定することにより、ワークの溶接線位置を検出することができる(図14〜図19参照)。例えば、3点P1L,P2R,Qが同一位置にある場合、交点Qを溶接線位置とする。
【0019】
なお、前記の線分近似手段、線分グルーピング手段、線分グルーピング手段、溶接線位置絞込み手段及び溶接線位置演算検出手段は、プログラムされたコンピュータにより実現することができる。
【0020】
このように本発明による溶接線位置検出装置によると、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状データを得る光学式のワーク断面形状計測手段を有し、前記ワーク断面形状データに基づいて溶接線位置を検出するに際し、前記光学式の計測手段の視野内にワークの溶接線の形成に関与しない無関係な第3の部材が入るような場合(図21参照)でも該第3の部材に邪魔されて誤ることなく溶接線位置を検出でき、また、仮付け溶接部がある箇所の場合(図22参照)でも該仮付け溶接部における溶接線位置を検出でき、また、開先が設けられている場合(図23参照)や該開先の断面形状データが得られないような場合(図23(c)参照)でも溶接線位置を検出でき、さらにワークが中空あるいは中実の円柱状部材で構成され、ワーク断面形状が直線でなく上に凸の円弧を示すものになる場合(図24,25参照)でも溶接線位置を検出することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態による溶接線位置検出装置の全体構成を示す図である。
【0022】
図1に示すように、溶接線位置検出装置は、レーザ式形状計測器(ワーク断面形状計測手段)1とコンピュータ2とにより構成されている。レーザ式形状計測器1は、後述するアーク溶接ロボット3の手先部に溶接トーチとともに搭載され、すみ肉溶接を行うワークWの近くに位置決めされる。このレーザ式形状計測器1は、レーザスポット光を発射するレーザ投光器11と、レーザ投光器11からのレーザスポット光をワークWの表面上を移動させるためのミラー12付きの回動可能なスキャナ13と、ミラー12による照射方向とは異なる方向においてワーク表面からの反射光を受光レンズ14を通して集めて検出するCCD(受光素子)よりなる2次元受光アレイ15とを有している。ここで、ミラー12を介してワークWの表面にレーザスポット光を照射し、ワーク表面からのその反射光を2次元受光アレイ15で検出すると、ミラー12の角度,2次元受光アレイ15におけるレーザスポット光の受光位置などから、三角測量法の原理により、ワーク表面における照射されたレーザスポット光の位置を求めることができる。このレーザ式形状計測器1では、スキャナ13でミラー12を回動させ、ワーク表面に該ワークWの溶接線WLを横切るようにレーザスポット光を移動させながら照射し、その反射光を検出することにより、溶接線WLを横切って延びるワーク表面の断面形状を示す2次元のワーク断面形状データが得られるようになっている。
【0023】
コンピュータ2は、線分近似手段、線分グルーピング手段、溶接線位置絞込み手段及び溶接線位置演算検出手段を構成し、レーザ式形状計測器1からのワーク断面形状データが入力され、出力として検出した溶接線WLの位置データを後述のロボット制御盤4に出力するものである。
【0024】
図2は図1におけるレーザ式形状計測器により得られ、2次元座標(Y,Z)を持つ点位置のデータよりなるワーク断面形状データを模式的に示す図である。ここでYZの座標系については、レーザ式形状計測器1に向かう方向にZ軸、その直交方向にY軸を設定している。
【0025】
図3は図1に示す溶接線位置検出装置が備えられたアーク溶接ロボットを説明するための図である。同図に示すように、アーク溶接ロボット3の手先部にレーザ式形状計測器1が搭載されている。溶接線位置検出装置のコンピュータ2により演算されて求められた溶接線位置データは、ロボット制御盤4に与えられる。ロボット制御盤4では、先に説明したように、溶接線位置検出装置のコンピュータ2からの溶接線位置データに基づいて、これから溶接しようとしているワークWについて予めティーチングされている溶接線位置の誤差を修正し、アーク溶接ロボット3には位置ずれのない実際の溶接線位置を示す位置データが与えられるようになっている。
【0026】
以下、図1に示すように構成される溶接線位置検出装置において、コンピュータ2による溶接線位置検出について図面を参照して説明する。図4は図1におけるコンピュータ2による溶接線位置検出手順を説明するための図であり、同図に示すように、コンピュータ2はレーザ式形状計測器1からの2次元ワーク断面形状データを受けて、線分近似処理、線分グルーピング処理、溶接線位置絞込み処理及び溶接線位置演算検出処理を実施し、溶接線位置の検出を行うようにしている。
【0027】
まず、線分近似処理を図5及び図10を参照して説明する。線分近似処理は、レーザ式形状計測器1により得られ、YZ座標系の2次元座標値を持つ多数個の点である位置Pk,k=1〜nよりなるワーク断面形状データを処理し、複数個の線分(S1,S2,…)によりワーク断面形状をこれを倣うように近似する処理である。ここで、線分近似する手法としては、文献「T.Pavlidis and S.L.Horowitz ,“Segmentation of Planes Curves ”,IEEE Trans.Comput.,vol.c-23,pp.860-870,August 1974 」に開示されたものが知られており、この手法を利用している。図5は図4における線分近似処理の手順を示すフローチャートである。ここで図5、及び後記の図6〜図9中に使用されているN1,N2,…は手順(ステップ)の番号を示すものである。図10は線分近似処理を説明するための図である。
【0028】
本実施例ではワーク断面形状データは、YZ座標系の2次元座標値を持つn個の位置Pk,k=1〜nのデータよりなっている。まず、ステップN1では、i=1、j=nという初期設定が行われる。次いでステップN2では、ワーク断面形状データにおける区間(Pi,Pj)の一方の端点Piと他方の端点Pj(PjのY座標値>PiのY座標値)とを結ぶ直線Eの式が計算により求められる。1回目は始点P1と終点Pnとを結ぶ直線Eの式が求められる(図10(a)参照)。次のステップN3では、各点ごとに各点から直線Eまでの距離D(Pk),k=i〜jがそれぞれ算出される。ここでD(Pk)は位置Pkにおける直線Eまでの距離の値を示し、1回目は始点P1から直線Eまでの距離の値D(P1),点P2から直線Eまでの距離の値D(P2),……,終点Pnから直線Eまでの距離の値D(Pn)が算出される(図10(b)参照)。
【0029】
次いでステップN4では、ステップN3で算出された距離D(Pk),k=i〜jのうちから距離D(Pk)の最大値を求め、そのときの点をPkmax 、距離をD(Pkmax )とする(図10(c)参照)。そしてステップN5において、最大距離D(Pkmax )が予め定められた距離のしきい値Lthより大きいか否かが判定される。最大距離D(Pkmax )がしきい値Lthより大きい場合にはステップN6に進み、点Pkmax を屈曲点として登録する(図10(d)参照)。
【0030】
屈曲点が得られるとステップN7では、i=i、j=kmaxとし、区間(Pi,Pkmax )において前記のステップN2からステップN6までと同内容の処理がなされる一方、ステップN8では、i=kmax、j=jとし、区間(Pkmax ,Pj)において前記のステップN2からステップN6までと同内容の処理がなされる(図10(e)参照)。そして各区間での最大距離D(Pkmax )がしきい値Lth以下であると、その区間には屈曲点は存在しないとして線分近似のための屈曲点の抽出は終了となる(ステップN9)。
【0031】
このようにして抽出された屈曲点Pkmax を結ぶ複数個の線分S1,S2,…によりワーク断面形状が線分近似される(図11参照)。前記のステップN1〜N9のようにレーザ式形状計測器1により得られた2次元座標値を持つワーク断面形状データ(Pk,k=1〜n)に基づいて、複数個の線分によりワーク断面形状をこれを倣うように近似する手順を実行するのが線分近似手段である。
【0032】
次に、ワーク断面形状を近似する図11に示すような複数個の線分S1,S2,…について2つ以上の線分グループにグループ化する。グループ化の目的は、前記の線分近似処理で得られた複数個の線分S1,S2,…を、ワークWの溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状を示す部分と、該溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状を示す部分と、これら以外の部位(溶接線WLの形成に関与しない無関係な第3部材W3や、溶接線WLの部位にある仮付け溶接部など)を示す部分とに分けることにある。グループ化においては、溶接線WLを形成する部材W1,W2の断面形状が、長さの長い直線、あるいは長さが長く上に凸の円弧になるという性質を利用し、隣り合う2つの線分Si,Si+1の角度差Δθが小さいとき、又は隣り合う2つの線分Si,Si+1が上に凸をなしているときには、2つの線分Si,Si+1は同一グループに属するとしてグループ化している。
【0033】
図6は図4における線分グルーピング処理の手順を示すフローチャート、図12は線分グルーピング処理を説明するための図、図13は線分Siと線分Si+1との角度差Δθの説明図である。以下、線分グルーピング処理について説明する。
【0034】
はじめに、隣り合う2つの線分Si,Si+1がなす角度差Δθについて図13を参照して説明しておく。図13に示すように、線分Siを構成する点列を用いて最小二乗法にて直線Siを計算により求める。同様に、線分Si+1を構成する点列を用いて最小二乗法にて直線Si+1を求める。そして、求めた直線Siと直線Si+1との角度差Δθを算出する。角度差Δθの値は、図13に示すように反時計回り方向を正(プラス)と定めている。このように求められた角度差Δθを線分Si,Si+1の角度差としている。
【0035】
さてまず、ステップN10では、i=1、g=1という初期設定が行われる。次のステップN11では、線分Siが属する線分グループの番号をgと定める初期設定が行われ、線分S1は線分グループ1に属するものとして設定される。
【0036】
次いでステップN12では、線分Siと線分Si+1との前記した角度差Δθが算出される。そして次のステップN13において、角度差Δθが予め設定されたしきい値θthより小さいか否か、又は線分Siと線分Si+1とが上に凸(角度差Δθ≧0)をなしているか否かが判定される。ここで、角度差Δθ<θth、又は角度差Δθ≧0を満足する場合(ステップN13でYES)には、線分Si+1が線分Siと同一グループに属するので、ステップN14に進み、線分Si+1が属する線分グループの番号をgとする。1回目(i=1)は線分S2は線分グループ1に属するものとなされる。一方、角度差Δθ<θth、又は角度差Δθ≧0を満たさない場合(ステップN13でNO)には、線分Si+1は線分Siと同一グループに属さないので、ステップN15において線分グループ番号gを+1だけインクリメントしてから、前記のステップN14に進む。例えば1回目(i=1)においてステップN13でNOの場合には、線分S2は線分グループ2に属するものとなされる。
【0037】
次いでステップN16においてiを+1してからステップN17に進み、ステップN17で最終線分Snまで線分グループ番号を付与した否かをチェックしてステップN12へ戻る。
【0038】
このようにして線分S1,S2,…,Snのグループ化がなされる。例えば図12に示す例では、線分S4と線分S5とは、前記した角度差Δθ<θth、又は角度差Δθ≧0を満足しておらず、下に凸をなすことから同一グループに属さず、よって線分S1〜S6は、線分S1〜S4よりなる線分グループ1と、線分S5,S6よりなる線分グループ2との2つの線分グループにグループ化される。前記のN10〜N17のように線分近似処理による複数個の線分S1,S2,…,Snを所定の規則に従ってグループ化する手順を実行するのが線分グルーピング手段である。
【0039】
次に溶接線位置絞込み処理について説明する。図7は図4における溶接線位置絞込み処理の手順を示すフローチャートである。溶接線位置絞込み処理は、前記線分グルーピング処理で得られた2つ以上の線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出することにより、溶接線WLの位置検出に支障となる第3部材W3や仮付け溶接部などの部分を除外し、溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンPS1と、該溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンPS2とを得るための処理である。
【0040】
まずステップN18では、各線分グループの長さ(当該線分グループに属する線分の長さの総和)が算出される。次いでステップN19では、予め所定長さの値のしきい値を設定し、各線分グループについて該しきい値との比較を行い、これらの線分グループのなかから所定長さ以上のものを抽出する。そして次のステップN20において、前記ステップN19で抽出された線分グループの数が2個以上であるか否かが判定される。ここで2個以上ある場合(ステップN20でYES)にはステップN21に進む。
【0041】
ステップN21ではこれらの線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出する。そしてステップN22において、前記抽出された2つの線分グループから、ワークWの溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンPS1と、溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンPS2とを得る。本例ではY座標値の小さい方を第1部材断面形状パターンPS1とし、これよりもY座標値が大きい方を第2部材断面形状パターンPS2とする(図14参照)。
【0042】
一方、前記ステップN19で抽出された線分グループの数が2個未満の場合(ステップN20でNO)には溶接線位置が存在しないこととなり、例えば、ワークWに対するレーザ式形状計測器1の位置決めが不適切である場合を含めてレーザ式形状計測器1に不具合が発生していると考えられるので、本例ではエラー表示を行って処理を停止するようにしている。
【0043】
前記のステップN18〜N22のように線分グルーピング処理によりグループ化された線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出することにより、溶接線WLを形成する一方の部材W1の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンPS1と、溶接線WLを形成する他方の部材W2の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンPS2とを得る手順を実行するのが溶接線位置絞込み手段である。そしてこれにより、第1部材断面形状パターンPS1の第2部材断面形状パターンPS2側の端点(溶接線側に位置する端点)をP1Lとし、第2部材断面形状パターンPS2の第1部材断面形状パターンPS1側の端点(溶接線側に位置する端点)をP2Rとすると、検出すべき溶接線位置は、前記両方の端点P1L,P2Rが重なり同一位置にある場合にはこの位置となり、そうでない場合にはこれらの端点P1L,P2Rの近傍に存在することから、溶接線位置の存在範囲を絞り込むことができる(図14参照)。
【0044】
図8及び図9は図4における溶接線位置演算検出処理の手順を示すフローチャートである。溶接線位置演算検出処理は、前記溶接線位置絞込み処理により得られた溶接線位置の存在範囲を解析し、該溶接線WLの位置を検出する処理を行うものである。
【0045】
ステップN23〜N27については図14を参照しながら説明する。まず、ステップN23では、第1部材断面形状パターンPS1の前記パターンPS2側の端点をP1Lとし、第2部材断面形状パターンPS2の前記パターンPS1側の端点をP2Rとする。次いでステップN24では、第1部材断面形状パターンPS1における端点P1Lの近傍部分Dthに沿って延びる第1直線L1(直線式:A1・Y+B1・Z=C1)を計算により求める。この第1直線L1の算出は所定長さの前記近傍部分Dthにおける断面形状データを用いて最小二乗法にてなされる。同様に、次のステップN25では、第2部材断面形状パターンPS2における端点P2Rの近傍部分Dth’に沿って延びる第2直線L2(直線式:A2・Y+B2・Z=C2)を計算により求める。第2直線L2の算出は所定長さの前記近傍部分Dth’における断面形状データを用いて最小二乗法にてなされる。ここでステップN24,N25において、部材断面形状パターンPS1,PS2が曲線形状を線分近似してなるものの場合、近傍部分Dth,Dth’の長さは、大きな値にすると本来の断面形状との間に誤差が発生することになるので、該断面形状を反映し、かつ誤差が許容できる程度に小さな値に設定されている。また、近傍部分Dth,Dth’の長さは開先面幅よりも小さい値に設定される。
【0046】
次いでステップN26において第1直線L1と第2直線L2との交点Qを算出し、次のステップN27に進む。ステップN27では、第1部材断面形状パターンPS1の端点P1Lと交点Qとの距離D1、及び、第2部材断面形状パターンPS2の端点P2Rと交点Qとの距離D2が算出される。
【0047】
次にステップN28〜N35において、このようにして求められた端点P1L、端点P2R及び交点Qの3点のついての位置関係を解析し、溶接線WLの位置を検出する。まずステップN28では、前記両距離D1,D2のうちの小さい方が予め設定されたしきい値LENthより小さいか否かが判定される。ここでしきい値LENthより小さい場合(ステップN28でYES)には、ステップN29に進み、端点P1L、端点P2R及び交点Qの3点が極めて接近していることから(3点が重なっている場合を含む)、図15に示すように、すみ肉T継手による溶接線WLを有するワークW(図20、図21(a)参照)、円形パイプ材W1と円形パイプ材W2とによる溶接線WLを有するワークW(図25参照)又は円形パイプ材W1と平板W2とによる溶接線WLを有するワークW(図24参照)、あるいは、図16に示すように、開先を有するすみ肉T継手(図23(a)参照)よりなるワークW、であると判定する。そしてこれらの場合は先に算出された交点Qを溶接線位置とする。この交点Qを溶接線位置としてロボット制御盤4に出力する。
【0048】
距離D1,D2のうちの小さい方がしきい値LENth以上である場合(ステップN28でNO)にはステップN30に進み、端点P1LのY座標値<交点QのY座標値<端点P2RのY座標値、という関係を満足しているか否かが判定される。ここで当該関係を満たしている場合(ステップN30でYES)には、ステップN31に進み、図17に示すように仮付け溶接部の箇所(図22(a)参照)であると判定し、先に算出された交点Qを溶接線位置とする。この交点Qを溶接線位置としてロボット制御盤4に出力する。
【0049】
一方、前記の関係を満たしていない場合(ステップN30でNO)にはステップN32に進み、端点P2RのY座標値<交点QのY座標値、という関係を満足しているか否かが判定される。ここで当該関係を満たしている場合(ステップN32でYES)にはステップN33に進み、図18に示すように、開先を有し且つ該開先の断面形状データが得られないワークWであると判定し(図23(c)参照)、前記端点P2Rを溶接線位置とする。この端点P2Rを溶接線位置としてロボット制御盤4に出力する。
【0050】
次いで、前記の関係を満たしていない場合(ステップN32でNO)にはステップN34に進み、端点P1LのY座標値>交点QのY座標値、という関係を満足しているか否かが判定される。ここで当該関係を満たしている場合(ステップN34でYES)にはステップN35に進み、図19に示すように、開先を有し且つ該開先の断面形状データが得られないワークWであると判定し、前記端点P1Lを溶接線位置とする。この端点P1Lを溶接線位置としてロボット制御盤4に出力する。一方、ステップN34でNOの場合には例えばレーザ式形状計測器1に不具合が発生していると考えられるので、本例ではエラー表示を行って処理を停止するようにしている。
【0051】
前記のステップN23〜N35のように第1部材断面形状パターンPS1の第2部材断面形状パターンPS2側に位置する端点P1Lと、該端点P1L近傍のワーク断面形状データと、第2部材断面形状パターンPS2の第1部材断面形状パターンPS1側に位置する端点P2Rと、該端点P2R近傍のワーク断面形状データとに基づいて、溶接線WL位置を演算し検出する手順を実行するのが溶接線位置演算検出手段である。
【0052】
このように以上説明した一実施形態による溶接線位置検出装置によると、対象ワークWとしてすみ肉溶接を行うワークに適用するに際し、レーザ式形状計測器1の視野内にワークの溶接線WLの形成に関与しない無関係な第3の部材W3が入るような場合(図21参照)でも該第3の部材W3に邪魔されて誤ることなく溶接線WLの位置を検出でき、また、仮付け溶接部がある箇所の場合(図22参照)でも該仮付け溶接部における溶接線位置を検出でき、また、開先が設けられている場合(図23参照)や該開先の断面形状データが得られないような場合(図23(c)参照)でも溶接線位置を検出でき、さらにワークが中空あるいは中実の円柱状部材で構成され、ワーク断面形状が直線でなく上に凸の円弧を示すものになる場合(図24,25参照)でも溶接線位置を検出することができる。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による溶接線位置検出装置によると、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状データを得る光学式のワーク断面形状計測手段を有し、前記ワーク断面形状データに基づいて溶接線位置を検出するに際し、前記光学式の計測手段の視野内にワークの溶接線の形成に関与しない無関係な第3の部材が入るような場合でも該第3の部材に邪魔されて誤ることなく溶接線位置を検出でき、また、仮付け溶接部がある箇所の場合でも該仮付け溶接部における溶接線位置を検出でき、また、開先が設けられている場合や該開先の断面形状データが得られないような場合でも溶接線位置を検出でき、さらにワークが中空あるいは中実の円柱状部材で構成され、ワーク断面形状が直線でなく上に凸の円弧を示すものになる場合でも溶接線位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による溶接線位置検出装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1におけるレーザ式形状計測器により得られ、2次元座標(Y,Z)を持つ点位置のデータよりなるワーク断面形状データを模式的に示す図である。
【図3】図1に示す溶接線位置検出装置が備えられたアーク溶接ロボットを説明するための図である。
【図4】図1におけるコンピュータによる溶接線位置検出手順を説明するための図である。
【図5】図4における線分近似処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図4における線分グルーピング処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】図4における溶接線位置絞込み処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図4における溶接線位置演算検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図4における溶接線位置演算検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】線分近似処理を説明するための図である。
【図11】複数個の線分S1,S2,…により近似されたワーク断面形状を示す図である。
【図12】線分グルーピング処理を説明するための図である。
【図13】線分Siと線分Si+1との角度差Δθの説明図である。
【図14】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である。
【図15】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である(すみ肉T継手による溶接線を有するワーク、円形パイプ材と円形パイプ材とによる溶接線を有するワーク又は円形パイプ材と平板とによる溶接線を有するワークの場合)。
【図16】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である(開先を有するすみ肉T継手よりなるワークの場合)。
【図17】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である(仮付け溶接部での場合)。
【図18】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である(開先を有し且つ該開先の断面形状データが得られないワークの場合)。
【図19】溶接線位置演算検出処理を説明するための図である(開先を有し且つ該開先の断面形状データが得られないワークの場合)。
【図20】すみ肉T継手の場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【図21】溶接線の形成に関与しない第3部材を有するすみ肉T継手の場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【図22】仮付け溶接部での溶接線位置を検出しようとする場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【図23】立板に開先面が設けられている場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【図24】ワークが円形パイプ材と平板とにより構成されている場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【図25】ワークが円形パイプ材と円形パイプ材とにより構成されている場合においてレーザ式形状計測器によるワーク断面形状を説明するための図である。
【符号の説明】
1…レーザ式形状計測器 11…レーザ投光器 12…ミラー 13…スキャナ 14…受光レンズ 15…2次元受光アレイ 2…コンピュータ 3…アーク溶接ロボット 4…ロボット制御盤 W…ワーク W1…第1部材 W2…第2部材 W3…第3部材 WL…溶接線 WG…開先面 PS1…第1部材断面形状パターン PS2…第2部材断面形状パターン
Claims (2)
- (a) 光を照射して照射方向と異なる方向においてその反射光を検出することにより、溶接線を横切って延びるワーク表面の断面形状を示す2次元の断面形状データを得るワーク断面形状計測手段と、
(b) 前記ワーク断面形状計測手段により得られた2次元のワーク断面形状データに基づいて、複数個の線分によりワーク断面形状を近似する線分近似手段と、
(c) 前記線分近似手段による前記複数個の線分を所定の規則に従ってグループ化する線分グルーピング手段と、
(d) 前記線分グルーピング手段によりグループ化された線分グループから長さの長い順に2つの線分グループを抽出することにより、前記ワークの前記溶接線を形成する一方の部材の断面形状パターンを示す第1部材断面形状パターンと、前記溶接線を形成する他方の部材の断面形状パターンを示す第2部材断面形状パターンとを得る溶接線位置絞込み手段と、
(e) 前記第1部材断面形状パターンの前記第2部材断面形状パターン側に位置する端点と、該端点近傍のワーク断面形状データと、前記第2部材断面形状パターンの前記第1部材断面形状パターン側に位置する端点と、該端点近傍のワーク断面形状データとに基づいて、前記溶接線の位置を演算し検出する溶接線位置演算検出手段と、を備えていることを特徴とする溶接線位置検出装置。 - 前記溶接線演算検出手段は、前記第1部材断面形状パターンにおける前記端点の近傍部分に沿って延びる第1直線を演算するとともに、前記第2部材断面形状パターンにおける前記端点の近傍部分に沿って延びる第2直線を演算し、次いで前記両直線の交点を演算してから、前記2つの端点及び前記交点のこれら3点の位置関係を判定し、前記溶接線の位置を検出するものである請求項1記載の溶接線位置検出装置。
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