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JP3719136B2 - 回転電機および駆動システム - Google Patents
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JP3719136B2 - 回転電機および駆動システム - Google Patents

回転電機および駆動システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、2個のロータを備えた複合型の回転電機およびそれを用いた駆動システムに関し、特に一方のロータをジェネレータとして動作させ、他方のロータをモータとして動作させる際に好適な構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合型の回転電機としては、特開平11−275826号公報に記載された装置(本願出願人の先願発明)ものがある。この回転電機は、中空円筒状のステータの内側と外側に所定のギャップをおいて中空円筒状の外側ロータと内側ロータとが配置された構造になっている。そして外側ロータ軸と内側ロータ軸は同一軸上に並ぶように配置され、外側ロータと内側ロータは同軸上でそれぞれ独立に回転出来るようになっている(後記図15で詳細後述)。そして上記ステータに設けたコイルに流す複合電流を前記ロータの数と同数の回転磁場が発生するように制御することにより、2個のロータを独立に制御することが出来る。前記公報においては2個のロータの極対数比が1対1極対数比、3対1極対数比、2対1極対数比の場合における回転電機として成立できる旨が記載されている。なお、極対数比とは一方のロータと他方のロータの磁極対(NとSで1対)の数の比を示す。例えば、1対1極対数比とは一方のロータの磁極対(NS)の数と他方のロータの磁極対の数とが同じ(NS1組とNS1組やNS2組とNS2組)の場合、3対1極対数比とは一方のロータがNS3組または6組で他方ロータがNS1組または2組(極対数比は何れも3:1)のような場合を示す。
上記のごとき回転電機においては、一方のロータをジェネレータとして、他方のロータをモータとして運転する場合、いわゆるハイブリッドシステムとして動作させる場合に、発電電力とモータ駆動電力との差の分の電流を共通のコイルに流すだけでよいので、効率を大幅に向上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとき回転電機において、1対1極対数比の構成では、磁気カップリング効果が有るので、両方のロータを同速度(回転角速度ω1=ω2)で回転させる場合には、ステータのコイルに電流を流さないで直結状態で駆動することも出来る(磁気カップリングモード:詳細後述)という利点がある。また、ロータが逆転(二つのロータが相互に逆方向に回る)する逆転モード(詳細後述)もある。しかし、磁気カップリングのために、一方のロータを回転させると他方のロータも回転するので意図しない場合に内燃機関や車両が動き出すおそれがあり、また、逆転モードのために内燃機関や車両の駆動軸が逆転するおそれもあるので、いわゆるハイブリット用モータとして構成しにくいという問題があった。
【0004】
本発明は上記のごとき問題を解決するためになされたものであり、磁気カップリングで直結状態で駆動できる機能と各ロータを独立に回転制御できる機能とを合わせ持った回転電機および駆動システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、磁気回路とステータコイルを共有する第1ロータおよび第2ロータを備えた回転電機であって、前記第1ロータは、2k個(k=1、2、3、…)の永久磁石を備え、前記2k個の永久磁石は、前記第1ロータの磁極対数がkとなるよう配置されてあり、前記第2ロータは、2m個(m=1、2、3、…)の永久磁石と2n個(n=1、2、3、…)の励磁コイルを備え、前記2m個の永久磁石と2n個の励磁コイルは、前記2n個の励磁コイルを全て非励磁状態としたとき前記第2ロータの磁極対数がkとなり、かつ、前記2n個の励磁コイルを隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁したとき前記第2ロータの磁極対数が(m+n)となるよう配置されるように構成している。上記のように、全ての励磁コイルが非励磁状態(つまりn=0に相当)では、第1ロータがk極対数で第2ロータがk極対数となり、k対kつまり1対1極対数比となる。
【0006】
また、請求項2においては、前記ステータコイルに流す交流電流を制御する電流制御手段を備え、前記電流制御手段は、前記第1ロータと前記第2ロータとを独立に回転させるときに、前記第1ロータの回転位相に同期して設定される交流電流と前記第2ロータの回転位相に同期して設定される交流電流とを複合して得られる複合電流を前記ステータコイルに供給するように構成している。
【0007】
また、請求項3〜請求項7は、前記第2ロータに設けた励磁コイルに流す電流を制御する励磁電流制御手段の種々の構成を示すものであり、請求項3は、前記第1ロータと前記第2ロータとを同速で回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが全て非励磁状態となるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を全て停止することにより、1対1極対数比となるように制御する構成を示す。
【0008】
請求項4は、前記励磁コイルの一部または全部が隣合う永久磁石と同極に励磁され、そのうちで励磁コイルにのみ隣合っている励磁コイルは近い方の永久磁石と同極に励磁されるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御する構成を示す。励磁コイルが隣合う永久磁石と同極になれば、磁極数が増加しないので、極対数比は1対1極対数比となる。
【0009】
請求項5は、請求項4において、前記第1ロータと前記第2ロータとの間で伝達すべきトルクの大きさに応じて前記2n個の励磁コイルに流す電流の大きさを制御する構成を示す。
【0010】
請求項6は、少なくとも一方のロータを停止状態から回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁されるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御する構成を示す。励磁コイルが隣合う永久磁石と異極に励磁されれば、磁極数が増加するので、極対数比は1対1以外の値になる。
【0011】
請求項7は、一方のロータを停止状態とし、他方のロータを回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁されるよう前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御する構成を示す。この場合にも極対数比は1対1以外の値に制御される。
【0012】
また、請求項8は、前記2n個の励磁コイルを全て直列または並列に接続することにより、前記励磁電流制御手段と前記励磁コイルとの間に設けられるスリップリングの極数を2とした構成を示す。
【0013】
一方、請求項9に記載の発明は、特別な励磁コイルを持たない基本的な構造の複合型回転電機を用い、2個のロータは磁極を形成する永久磁石を1対1極対数比とし、一方のロータ軸を内燃機関に接続し、他方のロータ軸を負荷装置に接続し、前記内燃機関に接続されたロータをスタータモータとして前記内燃機関を始動し、かつ、前記負荷装置に接続された方のロータ軸の経路に軸を拘束する制動装置を設け、前記内燃機関の始動時には、前記制動装置が作動していなければ始動出来ないように構成した駆動システムである。
【0014】
請求項10〜請求項11は請求項9における種々の形態を示すものであり、請求項10は各ロータの回転を停止する際に、二つのロータの磁極がN−Sで向かい合う状態で停止するように内燃機関を制御するもの、請求項11は負荷装置に接続されたロータの経路と内燃機関の軸との間を直結可能なクラッチを設け、各ロータの回転を停止する際に、負荷装置に接続されたロータと内燃機関の軸とを直結し、二つのロータの磁極がN−Sで向かい合う状態で停止するように内燃機関を制御するものである。
【0015】
【発明の効果】
請求項1、請求項2においては、一方のロータに設けた励磁コイルの電流を制御することにより、k対k極対数(つまり1対1極対数比)と1対1以外の極対数比とに切り換えて動作させることが出来る。そして1対1以外の極対数比の場合には二つのロータを独立して制御することが出来、かつ、磁気カップリングモードや逆転モードはない。また、1対1極対数比の場合には磁気カップリングモードがあるので、例えば一方のロータを駆動装置で駆動して他方のロータを同速で回転させる場合にはステータコイルに電流を流さなくてもよい。したがって、例えば一方のロータ軸を内燃機関に接続し、他方のロータ軸を車軸に接続し、車両の動作状態に応じて両者を適宜切り換え動作させれば、良好な特性のみを利用出来る、という効果が得られる。
【0016】
また、請求項3においては、励磁コイルに電流を流さずに1対1極対数比に出来るので、効率を向上させることが出来る。
また、請求項4、請求項5においては、励磁コイルの電流を流しながら1対1極対数比にすることでき、かつ、励磁コイルの電流の大きさによって磁気カップリングの強さを変えることが出来る。したがって伝達トルクの大きさに応じて上記の電流を制御すれば、伝達トルクが変化しても磁気カップリングモード(同速回転)を継続することが出来る。
また、請求項6、請求項7においては、磁気カップリングによって停止状態のロータが意図しない場合に回転するというおそれがなくなる。
また、請求項8においては、スリップリングの数を少なく出来るので構成が簡略になる。
【0017】
また、請求項9〜請求項11においては、励磁コイルを持たない簡単な構造の1対1極対数比の回転電機を用いても、逆転モードを巧みに利用することによって、一方のロータのみを回転出来るようにしており、請求項1とほぼ同じ効果を得ることが出来る。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明を適用する回転電機の例として、本出願人が以前に出願した特開平11−275826号公報記載の回転電機の構造、およびその駆動回路について説明する。
図15は、上記公報記載の回転電機の構造を示す図であり、(a)は回転電機全体の概略断面図、(b)はロータとステータ部分の断面図〔(a)のA−A’断面図、ただし軸や外枠部分は除き、ロータとステータのみを示す〕である。なお、図15は外側ロータの磁極数が4、内側ロータの磁極数が2で、その比である磁極数比が2:1の場合を示している。なお、ロータに設けた磁極の対(NとSで1対)の数である極対数で示せば、外側ロータは極対数が2、内側ロータは極対数が1であり、両者の比である極対数比はやはり2:1となる。
【0019】
図15において、中空円筒状のステータ2の外側と内側に所定のギャップをおいて中空円筒状の外側ロータ3と内側ロータ4が配置され、3層構造になっている。また、内側ロータ軸9と外側ロータ軸10とは同一の軸上に並ぶように設けられ、内側ロータ4と外側ロータ3は同軸上でそれぞれ独立に回転出来るようになっている。なお、軸受等は図示を省略している。
【0020】
内側ロータ4は半周をS極、もう半周をN極とした一対の永久磁石で形成され、これに対して、外側ロータ3は内側ロータ4の一極当たり2倍の極数を持つように永久磁石が配置される。つまり、外側ロータ3のS極、N極は各2個であり、90度毎にS極とN極が入れ替わるように構成されている。
このように各ロータ3、4の磁極を配置すると、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3の磁石により回転力を与えられることがなく、この逆に外側ロータ3の磁石が内側ロータ4の磁石により回転力を与えられることもない。
【0021】
たとえば、内側ロータ4の磁石が外側ロータ3に及ぼす影響を考えてみる。簡単のため内側ロータ4は固定して考える。まず、内側ロータ4のS極とこれに対峙する外側ロータ3の上側磁石SNとの関係において、図示の状態で仮に内側ロータ4のS極が出す磁力を受けて、外側ロータの上側磁石SNが時計方向に回転しようとしたとすると、内側ロータ4のN極とこれに対峙する外側ロータ3の下側磁石SNとの関係においては、内側ロータ4のN極により外側ロータ3の下側磁石SNが反時計方向に回転しようとする。つまり、内側ロータ4のS極が外側ロータ3の上側磁石に及ぼす磁力と内側ロータ4のN極が外側ロータ3の下側磁石に及ぼす磁力とがちょうど相殺することになり、外側ロータ3は内側ロータ4と関係なく、ステータ2との関係だけで制御可能となるわけである。このことは、後述するようにステータコイルに発生する回転磁場とロータとの間でも同じである。
【0022】
ステータ2のコイルは、外側ロータ3の1磁極当たり3個のコイル6で構成され、合計12個(=3×4)のコイル6が同一の円周上に等分に配置されている。丸で囲んだ数字はそれぞれコイルの巻線を示し、例えば1ととが1つのコイルを形成し、それぞれ電流の方向が逆なことを示している。すなわち、1は紙面方向へ電流の流れる巻線であり、はその逆方向に電流の流れる巻線である。この場合の巻線方法は集中巻である。
【0023】
また、7はコイルが巻回されるコアで、コイル6と同数のコア7が円周上に等分に所定の間隔(ギャップ)8をおいて配列されている。なお、後述するように、12個のコイルは番号で区別しており、この場合に6番目のコイルという意味でコイル6が出てくる。上記のコイル6という表現と紛らわしいが、意味するところは異なっている。
【0024】
これら12個のコイルには次のような複合電流I〜I12を流す。まず内側ロータ4に対する回転磁場を発生させる電流(三相交流)を流すため、[1,2]=[]、[]=[9,10]、[5,6]=[1112]の3組のコイルに120度ずつ位相のずれた電流Id、If、Ieを設定する。
ここで、番号の下に付けたアンダーラインは反対方向に電流を流すことを意味させている。たとえば、1組のコイル[1,2]=[]に電流Idを流すとは、コイル1からコイルに向けてIdの半分の電流を、かつコイル2からコイルに向けてIdのもう半分の電流を流すことに相当する。1と2、が円周上でそれぞれ近い位置にあるので、この電流供給により、内側ロータ4の磁極と同数(2極)の回転磁場を生じさせることが可能となる。
【0025】
次に、外側ロータ3に対する回転磁場を発生させる電流(三相交流)を流すため、[1]=[]=[7]=[10]、[2]=[5]=[]=[11]、[3]=[]=[9]=[12]の3組のコイルに120度ずつ位相がずれた電流Ia、Ic、Ibを設定する。たとえば、1組のコイル[1]=[]=[7]=[10]に電流Iaを流すとは、コイル1からコイルにIaの電流をかつコイル7からコイル10に向けてもIaの電流を流すことに相当する。コイル1と7、コイル10がそれぞれ円周上の180度ずつ離れた位置にあるため、この電流供給により、外側ロータ3の磁極と同数(4極)の回転磁場を生じさせることができる。この結果、12個のコイルには次の各複合電流I〜I12を流せばよいことになる。
I=(1/2)Id+Ia
I=(1/2)Id+Ic
I=(1/2)If+Ib
I=(1/2)IfIa
I=(1/2)Ie+Ic
I=(1/2)Ie+Ib
I=(1/2)Id+Ia
I=(1/2)IdIc
I=(1/2)If+Ib
I10=(1/2)If+Ia
I11=(1/2)IeIc
I12=(1/2)Ie+Ib
ただし、電流記号の下につけたアンダーラインは逆向きの電流であることを表している。
【0026】
さらに図16を参照して複合電流の設定を説明すると、図16は、図15との比較のため、ステータ2の内周側と外周側に各ロータに対して別々の回転磁場を発生させる専用のコイルを配置したものである。つまり、内周側コイルd、f、eの配列が内側ロータに対する回転磁場を、また外周側コイルa、c、bの配列が外側ロータに対する回転磁場を発生する。この場合に、2つの専用コイルを共通化して、図15に示した共通のコイルに再構成するには、内周側コイルのうち、コイルdに流す電流の半分ずつをコイルdの近くにあるコイルaとcに負担させ、同様にして、コイルfに流す電流の半分ずつをコイルfの近くにあるコイルbとaに、またコイルeに流す電流の半分ずつをコイルeの近くにあるコイルcとbに負担させればよいわけである。上記複合電流I〜I12の式はこのような考え方を数式に表したものある。なお、電流設定の方法はこれに限られるものでなく、前記特開平11−275826号公報に記載のように、他の電流設定方法でもかまわない。
【0027】
このように電流設定を行うと、共通のコイルでありながら、内側ロータ4に対する回転磁場と外側ロータ3に対する回転磁場との2つの磁場が同時に発生するが、内側ロータ4の磁石は外側ロータ3に対する回転磁場により回転力を与えられることがなく、また外側ロータ3の磁石が内側ロータ4に対する回転磁場により回転力を与えられることもない。この点は前記特開平11−275826号公報に記載のように、理論解析で証明されている。
上記Id、If、Ieの電流設定は内側ロータ4の回転に同期して、また上記Ia、Ic、Ibの電流設定は外側ロータ3の回転に同期してそれぞれ行う。トルクの方向に対して位相の進み遅れを設定するが、これは同期モータに対する場合と同じである。
【0028】
図17は上記回転電機を制御するための回路のブロック図である。上記複合電流I〜I12をステータコイルに供給するため、バッテリなどの電源11からの直流電流を交流電流に変換するインバータ12を備える。瞬時電流の全ての和は0になるためこのインバータ12は、図18に詳細を示したように、通常の3相ブリッジ型インバータを12相にしたものと同じで、24(=12×2)個のトランジスタTr1〜Tr24とこのトランジスタと同数のダイオードから構成される。インバータ12の各ゲート(トランジスタのベース)に与えるON、OFF信号はPWM信号である。
【0029】
各ロータ3、4を同期回転させるため、各ロータ3、4の位相を検出する回転角センサ13、14が設けられ、これらセンサ13、14からの信号が入力される制御回路15では、外側ロータ3、内側ロータ4に対する必要トルク(正負あり)のデータ(必要トルク指令)に基づいてPWM信号を発生させる。
【0030】
このように、前記特開平11−275826号公報に記載の回転電機においては、2つのロータ3、4と1つのステータ2を三層構造かつ同一の軸上に構成すると共に、ステータ2に共通のコイル6を形成し、この共通のコイル6にロータの数と同数の回転磁場が発生するように複合電流を流すようにしたことから、ロータの一方をモータとして、残りをジェネレータとして運転する場合に、モータ駆動電力と発電電力の差の分の電流を共通のコイルに流すだけでよいので、効率を大幅に向上させることができる。
【0031】
また、2つのロータに対してインバータが1つでよくなり、さらにロータの一方をモータとして、残りをジェネレータとして運転する場合には、上記のように、モータ駆動電力と発電電力の差の分の電流を共通のコイルに流すだけでよくなることから、インバータの電力スイッチングトランジスタのキャパシタンスを減らすことができ、これによってスイッチング効率が向上し、より全体効率が向上する。
【0032】
これまでの説明は、極対数比が2:1の場合について主に説明したが、極対数比が1:1の場合、すなわち、外側ロータと内側ロータの極対数が同数の場合には、特殊な動作特性が生じる。以下説明する。前記特開平11−275826号公報の(8)式および(9)式は下記のようになる。
f=-μIm{Im・sin((ω)t-α)-(3/2)n・Ic・sin(β)} …(8)
f= μIm{Im・sin((ω)t-α)-(3/2)n・Ic・sin((ω)t-α-β)}…(9)
ただし、f:外側ロータの駆動力
:内側ロータの駆動力
Im:外側ロータの磁石の等価直流電流
Im:内側ロータの磁石の等価直流電流
Ic:ステータコイルの電流
ω:外側ロータの回転角速度
ω:内側ロータの回転角速度
α:2つのロータの磁極の位相角
β:電流の位相差
μ:透磁率
n:コイル定数
上記(8)式、(9)式において、まず、ステータコイルに回転磁界を発生する電流Icを流した場合に、両ロータの駆動力fとfを考察する。
【0033】
ステータコイルの電流Ic・sinβによる駆動力f、fは外側ロータと内側ロータとの位相角αによって変化するので、以下、α=0の場合とα=πの場合とに分けて説明する。なお、α=0とは図2(a)に示すように、二つのロータの磁極が同極(N−NとS−S)で対面している状態であり、α=πとは図2(b)に示すように、二つのロータの磁極が異極(N−S)で対面している状態である。
【0034】
式を簡単にするために、ω=ωとすれば、(8)式、(9)式から、
f=-μIm{Im・sin(-α)-(3/2)n・Ic・sin(β)} …(数1)式
f= μIm{Im・sin(-α)-(3/2)n・Ic・sin(-α-β)} …(数2)式
α=0の場合
(数1)式、(数2)式においてα=0とすれば、下記(数3)式、(数4)式のようになる。
f=-μIm{-(3/2)n・Ic・sin(β)} =μIm・(3/2)n・Ic・sin(β) …(数3)式
f= μIm{-(3/2)n・Ic・sin(-β)}=μIm・(3/2)n・Ic・sin(β) …(数4)式
よってμIm=μImとすれば、f=fとなる。
上記のように、α=0の場合にはf=fとなるので、二つのロータは同じ方向に駆動力を受け、同じ方向に回転する。
【0035】
α=πの場合
(数1)式、(数2)式においてα=πとすれば、下記(数5)式、(数6)式のようになる。
f=μIm・(3/2)n・Ic・sinβ …(数5)式
f=μIm・(3/2)n・Ic・sin(-π-β)=-μIm・(3/2)n・Ic・sinβ …(数6)式
よってμIm=μImとすれば、f=−fとなる。
上記のようにα=πの場合には、f=−fとなるので、二つのロータは逆方向に駆動力を受け、相互に逆方向に回転する。これが逆転モードである。
【0036】
上記のようにステータコイルに電流を流して駆動する場合には、位相角αの値に応じて、正転モードと逆転モードとがある。
【0037】
次に、ステータコイルに電流を流さない場合、すなわちIc=0の場合について説明する。Ic=0の場合は前記(8)式、(9)式から下記(数7)式、(数8)式のようになる。
f=-μIm{Im・sin((ω)t-α)} …(数7)式
f= μIm{Im・sin((ω)t-α)} …(数8)式
(数7)式、(数8)式において、ω=ωとすれば、
f=-μIm{Im・sin(-α)} …(数9)式
f= μIm{Im・sin(-α)} …(数10)式
となり、常にf=−fとなる。これは一見、逆方向に回転するように見えるが、実際には二つのロータ間に位相角αを与えた場合にα=0の位置に戻ろうする力を示す。つまり一方のロータに外部から機械的な力を加えると、αが0からずれて、これを修正する力fが発生し、同様に他方のロータにも修正方向である反対側の力fが働くということである。したがって一方のロータを外部から機械的に回転させると他方のロータもα=0を保つように同じ方向に回転することになる。これが磁気カップリングであり、ステータコイルに電流を流さない状態で、例えば外側ロータを内燃機関で駆動すれば、同方向に内側ロータを回転させることが出来る。
【0038】
上記のように1対1極対数比の場合には、位相角α=0でステータコイルに電流を流さない状態で一方のロータを外部から機械的に駆動すれば、磁気カップリングモードとなり、ステータのコイルに電流を流さないで、他方のロータを直結状態(同速度)で駆動することが出来る。また、2つのロータの磁石の位相角α=πの場合は逆転モードとなり、外側ロータと内側ロータとが逆方向に回転することになる。
【0039】
上記のような複合型の回転電機をハイブリッド車両に搭載し、一方のロータを内燃機関で駆動して発電し、その電力をステータコイルに流して他方のロータを回転させ、それで車両を駆動するシステムにおいて、内燃機関の始動時に、上記の内燃機関に結合されたロータをスタータモータとして始動を行うように構成した場合に、車両も内燃機関も停止している状態で、車両に結合されたロータを回転して車両を駆動すると、内燃機関に結合されたロータも回転してしまうおそれがある。逆に、内燃機関の始動時に内燃機関に結合された方のロータが回転すると、他方の車輪に結合されたロータも回転し、車両が動いてしまうおそれがある等の望ましくない特性がある。本発明は電流を流さないで駆動出来るという磁気カップリングの有利な特性を活かし、かつ、望ましくない特性は押さえるように改良したものである。
【0040】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に用いる1対1極対数比の回転電機のロータとステータ部分の断面図であり、(a)は本発明の構成、(b)は基本構成を示す。なお、回転電機全体の概略断面図は前記図15(a)と同様である。
図1に示した構成は、後記図6〜図13で詳細を説明する種々の組合せのうちで、図7に示した例を取り上げて詳細説明したものであり、一般的な条件については後記図6〜図13で説明する。
【0041】
図1(b)に示すように、1対1極対数比の回転電機の最も基本的な構造は、外側ロータ21の磁石がNSの1極対で、内側ロータ23も磁石がNSの1極対である。そして両ロータの中間にステータ22が設けられている。ステータ22に太字で示した1〜6の番号はステータコイルを示し、のように下線を付したものは電流が逆に流れるコイルを示す。また、各ロータの磁石は、ロータの表面に張られているSPM型モータを示したが、リラクタンストルクの出し得るIPM型でも同様である。また、コイルは分布巻きで表示してある。
また、図1では1対1極対数比の基本的な構成である外側ロータと内側ロータが共に1極対(NS1極のみ)の場合を例示しているが、2極対と2極対、3極対と3極対のように、極対数比が1対1であればよい。
【0042】
本発明においては、図1(a)に示すように、外側ロータ21にA、B、C、D(図面では丸で囲んだ符号で表示)の4個の励磁コイルを設けている。コイルは集中巻きでも分布巻きでも全く同様の作用である。この各励磁コイルに励磁電流を流して、本来の磁石による磁極とNSが交互になるように、つまり永久磁石による磁極と励磁コイルによる磁極とが異極で隣合うように、コイルAをS極、コイルBをN極、コイルCをS極、コイルDをN極に励磁すれば、コイルによる極対数は2になる。したがって外側ロータ21は磁石の1極対と合わせて3極対になる。すなわち、この回転電機は3対1極対数比になる。一般的には励磁コイルの数を2nとすれば、極対数比は(n+1)対1になる。なお、図1の例では外側ロータ21に励磁コイルを設けた例を示したが、内側ロータ23に設けてもよい。また、上記と逆に、永久磁石による磁極と励磁コイルによる磁極とが同極で隣合うように、コイルAをN極、コイルBをS極、コイルCをN極、コイルDをS極に励磁すれば、外側ロータ21の上半分が全て一繋がりのN極、下半分が全て一繋がりのS極になるので、この場合には極対数比は1対1のままである。
【0043】
上記のように、図1(a)の構造によれば、ロータに設けた励磁コイルを励磁しない場合や磁極が繋がるように励磁した場合は図1(b)に示した1対1極対数比の回転電機として動作し、磁極が分割して磁極数が増加するように励磁コイルを励磁すれば3対1極対数比の回転電機として動作する。この3対1極対数比の回転電機の場合は、前記図15等で詳述した2対1極対数比の場合と同様に、外側ロータと内側ロータとを独立して制御することが出来、かつ、磁気カップリングモードや逆転モードはない。
【0044】
図2は、1対1極対数比の回転電機の場合に、外側ロータ21と内側ロータ23との回転の位相角αを示す図であり、図2(a)はα=0、すなわち二つのロータの磁極が同極(N−NとS−S)で対面している状態であり、図2(b)はα=π、すなわち、二つのロータの磁極が異極(N−S)で対面している状態である。
【0045】
図3は、全体の概略構成を示すブロック図である。なお、回転電機の部分は前記図15(a)の断面図の上半分のみを示している。図3において、外側ロータ21の各励磁コイル(図示省略)はスリップリング24を介して励磁電流が与えられるように構成されている。また、外側ロータ21の軸25は内燃機関(図示省略)の出力軸に連結されている。また、内側ロータ23の軸26は車両の駆動軸27に連結されている。
なお、全体の駆動回路は前記図17と同様であるが、その他に外側ロータ21に設けた励磁コイルの電流を制御する装置が必要である。
【0046】
図4は、前記の外側ロータ21に設けた励磁コイルA、B、C、Dの電流を制御する回路図であり、(a)は磁極の極性を切換えられる回路、(b)は(a)において磁極の向きとモードとの関係を示す図表、(c)は単純に励磁電流をオン・オフする回路である。
図4(a)の回路は、トランジスタT1とT2およびT3とT4がそれぞれ直列に結線されたスイッチング回路を用い、4個の励磁コイルA、C、B、Dを直列にした回路の両端を上記スイッチング回路の中点(T1とT2の接続点およびT3とT4の接続点)に接続したものであり、励磁コイルA、Cと、励磁コイルB、Dとは、同じ向きの電流が流れた場合に相互に逆方向の磁極となるように接続している。なお、31と32はスリップリングである。
【0047】
この回路において、トランジスタT1とT4をオン、トランジスタT2とT3をオフにすれば、励磁コイルA、C側(図の左側)から電流が流れ、このとき各励磁コイルの極性はA:S、B:N、C:S、D:Nとなり、図4(b)に示すように3対1極対数比になる。逆に、トランジスタT1とT4をオフ、トランジスタT2とT3をオンにすれば、励磁コイルB、D側(図の右側)から電流が流れ、このとき各励磁コイルの極性はA:N、B:S、C:N、D:Sとなり、図4(b)に示すように1対1極対数比になる。このように励磁電流を流しながら1対1極対数比にする構成では、励磁コイルの電流の大きさによって磁気カップリングの強さを変えることが出来る。また、上記の回路でば、4個の励磁コイルを用いながら2個のスリップリングだけで良いので、構成が簡略になり、安価に実現出来る。なお、全ての励磁コイルを直列または並列に接続すれば励磁コイルの数が幾つであってもスリップリングは2個で済むので、構成が簡略になる。
【0048】
また、図4(c)の回路においては、トランジスタT5がオンになれば、励磁コイルA、C、B、Dに電流が流れて、励磁コイルの極性はA:S、B:N、C:S、D:Nとなり、3対1極対数比になる。また、トランジスタT5がオフになれば、励磁電流がなくなり、磁石だけの基本的な1対1極対数比になる。この回路は磁気カップリングの強さを変えることは出来ないが、構成がさらに簡単になり、かつ、1対1極対数比の場合に励磁コイルに電流を流さないので効率が向上する。
【0049】
次に作用を説明する。
上記のように、図1(a)の構成では、外側ロータ21に設けた励磁コイルの電流をオンオフするかまたは電流の方向を切り換えことにより、1対1極対数比と3対1極対数比とに切り換えて動作させることが出来る。そして3対1極対数比の場合には外側ロータ21と内側ロータ23とを独立して制御することが出来、かつ、磁気カップリングモードや逆転モードはない。また、1対1極対数比の場合には磁気カップリングモードがあるので、外側ロータ21を内燃機関で駆動して内側ロータ23を同速で回転させる場合にはステータコイルに電流を流さなくてもよい。したがって、車両の動作状態に応じて1対1極対数比と3対1極対数比とに切り換えて動作させれば、両者の良い点のみを用いることが出来る。
【0050】
例えば、内燃機関の始動時においては、励磁コイルを3対1極対数モードになるように励磁し、3対1極対数比の回転電機にする。これにより、磁気カップリングモードや逆転モードがなくなるので、車両や内燃機関の停止時に内側ロータ23を回転させて車両を駆動しても内燃機関が駆動されるおそれがなく、また、外側ロータ21をスタータモータとして用いて内燃機関を始動しても、車輪に連結されている内側ロータ23が回転するおそれがない。
【0051】
また、車両の走行中は、外側ロータ21を内燃機関で駆動してジェネレータとして動作させ、それで発電した電力で内側ロータ23駆動することにより、内側ロータ23の回転速度やトルクを任意に制御することが出来る。例えばステータコイルに流す電流を制御することにより、低速大トルクにも高速低トルクにもできる。損失を0と仮定すれば、出力=回転数×トルクが一定になるように制御することも出来る。
【0052】
また、走行中に磁気カップリングモードにしたい場合には、ω1=ω2となる時に励磁コイルの電流をオフにするか若しくは前記図4(a)で説明したように電流の方向を切り換えれば、1対1極対数比の回転電機になり、磁気カップリングモードに入る。この状態では外側ロータ21を内燃機関で駆動すればステータコイルに電流を流さなくても内側ロータ23を同速度で駆動することが出来る。また、励磁コイルの電流を流しながら1対1極対数比にした場合には、励磁コイルの電流の大きさによって磁気カップリングの強さを変えることが出来る。したがって伝達トルクの大きさに応じて上記の電流を制御すれば、伝達トルクが変化しても磁気カップリングモード(同速回転)を継続することが出来る。また、3対1極対数比から1対1極対数比に極対数比を切り換える際には前記のように励磁コイルに印加する電圧を反転すればよいが、その際に伝達トルクに応じて励磁コイルに印加する反転電圧を決定するように構成してもよい。
【0053】
また、少なくとも一つのロータを停止状態から回転させる際には、3対1極対数比となるように励磁コイルを励磁すれば、1対1極対数比の構成における逆転モードがないので、逆回転になるおそれがなく、かつ、他方のロータが意図しないのに動きだすおそれもない。また、一方のロータが停止状態であり、他方のロータが回転状態の場合にも、3対1極対数比となるように励磁コイルを励磁すれば、1対1極対数比の構成における磁気カップリング効果がないので、停止中のロータが意図しない場合に回転するおそれがない。
【0054】
なお、前記特開平11−275826号公報(16)式、(17)式に示されるように、ステータコイル電流に変調を加えれば、それぞれのロータの回転からトルク変動を解消することができ、ω1≠ω2の状態に於いても1対1次極対数比のモードで運転することが出来る。
【0055】
上記の内容をまとめると図5に示すようになる。すなわち、始動時と独立回転時は3対1極対数比にし、カップリング時および独立回転時には1対1極対数比にする。独立回転は3対1極対数比と1対1極対数比の何れでも可能であるから適宜選択する。
【0056】
次に、これまでの説明では、図1に示した永久磁石と励磁コイルの組み合わせについて説明してきたが、永久磁石と励磁コイルの組み合わせについては、図1に示した組合せ以外にも可能である。以下、種々の組み合わせについて図6〜図13に基づいて説明する。図6〜図13において、左欄(a)は永久磁石N、Sと励磁コイルcとの配置を示す図であり、中央欄(b)は励磁コイルcを全て隣合う永久磁石と異極に励磁した場合を示す図であり、右欄(c)〜(f)は励磁コイルの励磁状態を変えた組合せを示す図である。なお、(N)、(S)は励磁コイルによる磁極を示し、(−)は励磁しない励磁コイルを示す。
【0057】
図6は、外側ロータの永久磁石をNとSの一対とし、それに対向する位置に2個の励磁コイルcを配置した例である。この例では、(b)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは2極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、2対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0058】
次に、図7は、外側ロータの1対の永久磁石N、Sの間に、それぞれ2個の励磁コイルを配置した例である。この例では、(b)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは3極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、3対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁し、他の2個を非励磁とすれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。また、(e)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。なお、前記図1で説明した例は、図7の(a)、(b)、(c)、(e)の組合せを例として説明したものである。
【0059】
次に、図8は、外側ロータの永久磁石を2対とし、それらの中間位置に2個の励磁コイルcを配置した例である。この例では、(b)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは3極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、3対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合は1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0060】
次に、図9は、外側ロータの1対の永久磁石N、Sの左側に2個、右側に4個で合計6個の励磁コイルを配置した例である。この例では、(b)に示すように、6個の励磁コイルを隣合う永久磁石または励磁コイルと異極になるように励磁すれば、外側ロータは4極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、4対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁し、他の4個を非励磁とすれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。また、(e)に示すように、4個の励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁し、励磁コイルとのみ隣合っている励磁コイルは近い方の永久磁石と同極になるように励磁し、他の2個を非励磁とした場合にも(d)と同様に1極対数比となる。また、(f)に示すように、永久磁石Nに近い方の励磁コイルを全てN極になるように励磁し、永久磁石Sに近い方の励磁コイルを全てS極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0061】
次に、図10は、外側ロータの永久磁石を2対とし、それらの中間位置に4個の励磁コイルcを配置した例である。この例では、(b)に示すように、2個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは4極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、4対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合は1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0062】
次に、図11は、外側ロータの永久磁石を2対とし、それらの中間位置に6個の励磁コイルcを配置した例である。この例では、(b)に示すように、6個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは5極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、5対1極対数比となる。また、(c)に示すように、一部の励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁(この図の例では同極の永久磁石に挟まれた励磁コイルのみを励磁)し、他の励磁コイルを非励磁にすれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合は1対1極対数比となる。なお、全ての励磁コイルを非励磁にしても同様である。また、(d)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0063】
次に、図12は、外側ロータの永久磁石を3対とし、それらの中間位置に4個の励磁コイルcを配置した例である。この例では、(b)に示すように、4個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは5極対数となり、内側ロータが1極対数であるから、5対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁すれば、外側ロータは図の上半分の一部がN極で下半分の一部がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合は1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、全ての励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは図の上半分がN極で下半分がS極となり、1極対数となる。したがってこの場合も1対1極対数比となる。
【0064】
次に、図13は、内側ロータが2極対数の場合を示し、外側ロータは2対の永久磁石N、Sの間に8個の励磁コイルを配置した例である。この例では、(b)に示すように、8個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極になるように励磁すれば、外側ロータは6極対数となり、内側ロータが2極対数であるから、6対2=3対1極対数比となる。また、(c)に示すように、全ての励磁コイルを非励磁にすれば、外側ロータが2極対数、内側ロータが2極対数で、1対1極対数比となる。また、(d)に示すように、4個の励磁コイルを隣合う永久磁石と同極になるように励磁し、他の4個を非励磁とすれば、外側ロータは2極対数となり、この場合にも1対1極対数比となる。また、(e)に示すように、4個の励磁コイルを全て隣合う永久磁石と同極になるように励磁すれば、外側ロータは2極対数となり、この場合にも1対1極対数比となる。
【0065】
なお、上記の説明においては、外側ロータに励磁コイルを設ける場合を例示したが、内側ロータに設けてもよい。また、外側ロータと内側ロータの永久磁石の数や励磁コイルの数も上記の例に限定されるものではない。
【0066】
上記の各組合せを纏めて一般的に説明すると、外側ロータと内側ロータの何れか一方を第1ロータ、他方を第2ロータと名付けた場合、第1ロータは、2k個(k=1、2、3、…)の永久磁石を備え、2k個の永久磁石は、第1ロータの磁極対数がkとなるよう配置されてあり、第2ロータは、2m個(m=1、2、3、…)の永久磁石と2n個(n=1、2、3、…)の励磁コイルを備え、2m個の永久磁石と2n個の励磁コイルは、2n個の励磁コイルを全て非励磁状態としたとき第2ロータの磁極対数がkとなり、かつ、2n個の励磁コイルを隣合う永久磁石と異極に励磁したとき第2ロータの磁極対数が(m+n)となるよう配置されているものである。上記のように、全ての励磁コイルが非励磁状態(つまりn=0に相当)では、第1ロータがk極対数で第2ロータがk極対数となり、k対kつまり1対1極対数比となる。この状態は前記図1の例で説明したように、第1ロータと第2ロータとを同速で回転させるときに好適である。
【0067】
また、励磁コイルの一部または全部が隣合う永久磁石と同極に励磁され、そのうちで励磁コイルにのみ隣合っている励磁コイルは近い方の永久磁石と同極に励磁されるように2n個の励磁コイルに流す電流を制御することにより、励磁コイルが隣合う永久磁石と同極になれば、磁極数が増加しないので、極対数比を1対1極対数比とすることが出来る。そして、この場合には、前記図1の例で説明したのと同様に、2n個の励磁コイルに流す電流の大きさを制御することにより、第1ロータと第2ロータとの間で伝達すべきトルクを制御することが出来る。
【0068】
また、2n個の励磁コイルが隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁されるように2n個の励磁コイルに流す電流を制御すれば、磁極数が増加するので、極対数比は1対1以外の値になる。この状態は前記図1の例で説明したように、各ロータを干渉なしに独立に制御出来るので、少なくとも一方のロータを停止状態から回転させるとき、或いは一方のロータを停止状態とし、他方のロータを回転させるときに好適である。
その他、励磁回路やスリップリング等の構成については、前記図4、図5で説明した内容を適用することが出来る。
【0069】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明の第2の実施の形態を示す概略図である。この実施の形態では、前記図1(b)に示した通常の1対1極対数比の回転電機を用いる。したがってこの場合にはスリップリングは不要である。
【0070】
まず、図14(a)においては、外側ロータ21の軸25は内燃機関の駆動軸に結合されているが、その部分にワンウエイクラッチ28が設けられている。このワンウエイクラッチ28は回転方向が一方向にのみ回転可能なクラッチであり、例えば時計回りは出来るが、反時計回りは抵抗が大きくなって回転出来ない構造になっている。また、内側ロータ23の軸に結合されている車両の駆動軸27には、パーキングギアやパーキングブレーキ等の制動装置29が設けられている。この制動装置29が作動していないと内燃機関の始動が出来ないように設定されている。
【0071】
上記のように、外側ロータ21の軸25は一定の方向(例えば時計回り)にのみ回転出来るように構成されている。したがって逆転モードを利用して外側ロータ21と内側ロータ23とを逆回転させるように駆動すれば、1対1極対数比の回転電機を用いても一方のロータのみを回転出来ることになる。例えば、車両と内燃機関が共に停止している場合に、内側ロータ23を回転させて車両を駆動する際には、逆転モードを利用し、内側ロータ23を正常方向(例えば時計回り)に回転(ステータコイルに流す制御電流によって制御可能)させれば、外側ロータ21は逆方向(例えば反時計回り)に回転しようとするが、この方向はワンウエイクラッチ28で回転出来ないようになっているので、外側ロータ21は回転出来ず、結局、内側ロータ23のみを回転させることが出来る。逆に、車両停止時に外側ロータ21を回転させて内燃機関を始動させる場合には、外側ロータ21を正常方向(例えば時計回り)に回転させれば、内側ロータ23は逆方向(例えば反時計回り)に回転しようとするが、制動装置29で回転が拘束されているので、結局、外側ロータ21のみを回転させることが出来る。このように第2の実施の形態においては、逆転モードを巧みに利用することにより、構造の簡単な通常の1対1極対数比の回転電機を用いても一方のロータのみを任意に回転させることが出来る。
【0072】
ただし、上記のように、逆転モードを有効に利用するためには、ロータの停止時に二つのロータの位相角αを逆転モードになるように停止させておく必要がある。すなわち、前記図2(a)に示したように、二つのロータの磁極がN−Nで向かい合う状態で停止している場合(ロータ間の位相角α=0の状態)には、二つのロータは同方向に回転するので、上記のような逆転モードを利用することが出来ない。そのため、ロータを停止する際には前記図2(b)に示したように磁極がN−Sで向かい合う状態で停止するように内燃機関側を制御し、ロータの停止位置をコントロールする。この内燃機関の制御は、従来の燃料制御で停止位置を制御するものと同様であり、現在の内燃機関は駆動軸の回転角を検出して制御しているので、通常の技術で可能である。特に、磁極がN−Sになるのは、磁石の引き合う力が発生している状態なので特別に難しいことではない。
例えば、点火制御に用いるクランク角信号によってクランク軸の正確な位置(回転角)を検出し、それに接続されているロータ(前記の例では外側ロータ)の磁石位置を車両側に接続されたロータ(前記の例では内側ロータ)の磁石位置に合わせて、二つの磁極がN−Sとなる手前の位置(0<α<π)で燃料カット制御によって燃料を停止すれば、磁気カップリング力によって、α=π(すなわちN−S)の位置で停止する。
【0073】
次に、図14(b)は、車両の駆動軸27に結合されている内側ロータ23の軸とエンジンの駆動軸との間に、ロックアップクラッチ30を設けたものである。このロックアップクラッチ30は外部からの指示によって接−断が制御出来るものであり、具体的には例えば電磁クラッチがある。このように内燃機関の駆動軸と車両の駆動軸との間を直結可能なロックアップクラッチ30を設け、前記と同様に内燃機関の駆動軸の停止角度を制御することによっても、二つのロータの磁極をN−Sの引き合い状態で停止させることが出来る。
【0074】
なお、これまでの説明は、内側ロータとステータと外側ロータとが三層構造になっている回転電機を用いる場合について説明したが、二つのロータを直列方向に設けて2軸の回転電機とすることも出来る。例えば本出願人の先願(特願平11−273303号:未公開)の図3のような構成でもよい。つまり、磁気回路とステータコイルを共有する2個のロータを備え、ステータコイルに流す複合電流を前記ロータの数と同数の回転磁場が発生するように制御する回転電機であれば、本発明を適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に用いる1対1極対数比の回転電機のロータとステータ部分の断面図であり、(a)は本発明の構成、(b)は基本構成を示す図。
【図2】1対1極対数比の回転電機の場合に、外側ロータ21と内側ロータ23との回転の位相角αを示す図。
【図3】第1の実施の形態のおける全体の概略構成を示すブロック図。
【図4】外側ロータ21に設けた励磁コイルA、B、C、Dの電流を制御する回路図であり、(a)は磁極の極性を切換えられる回路、(b)は(a)において磁極の向きとモードとの関係を示す図表、(c)は単純に励磁電流をオン・オフする回路。
【図5】3対1極対数比と1対1極対数比とにおける動作可能なモードを示す図表。
【図6】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルの他の組合せを示す断面図。
【図7】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図8】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図9】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図10】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図11】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図12】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図13】本発明の第1の実施の形態における回転電機の永久磁石と励磁コイルのさらに他の組合せを示す断面図。
【図14】本発明の第2の実施の形態を示す概略図。
【図15】本発明を適用する回転電機の一例の構造を示す図であり、(a)は回転電機全体の概略断面図、(b)はロータとステータ部分の断面図。
【図16】ステータ2の内周側と外周側に専用コイルを配置した回転電機本体の概略断面図。
【図17】回転電機を制御するための回路のブロック図。
【図18】インバータの一例の回路図。
【符号の説明】
21…外側ロータ 22…ステータ
23…内側ロータ 24…スリップリング
25…外側ロータ21の軸 26…内側ロータ23の軸
27…車両の駆動軸 28…ワンウエイクラッチ
29…制動装置 30…ロックアップクラッチ
31、32…スリップリング
T1、T2、T3、T4、T5…トランジスタ
A、B、C、D(図面では丸で囲んだ符号で表示)…外側ロータ21に設けた励磁コイル

Claims (11)

  1. 磁気回路とステータコイルを共有する第1ロータおよび第2ロータを備えた回転電機であって、
    前記第1ロータは、2k個(k=1、2、3、…)の永久磁石を備え、前記2k個の永久磁石は、前記第1ロータの磁極対数がkとなるよう配置されてあり、前記第2ロータは、2m個(m=1、2、3、…)の永久磁石と2n個(n=1、2、3、…)の励磁コイルを備え、前記2m個の永久磁石と2n個の励磁コイルは、前記2n個の励磁コイルを全て非励磁状態としたとき前記第2ロータの磁極対数がkとなり、かつ、前記2n個の励磁コイルを隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁したとき前記第2ロータの磁極対数が(m+n)となるよう配置されていることを特徴とする回転電機。
  2. 前記ステータコイルに流す交流電流を制御する電流制御手段を備え、
    前記電流制御手段は、前記第1ロータと前記第2ロータとを独立に回転させるときに、前記第1ロータの回転位相に同期して設定される交流電流と前記第2ロータの回転位相に同期して設定される交流電流とを複合して得られる複合電流を前記ステータコイルに供給することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記第2ロータの2n個の励磁コイルに流す電流を制御する励磁電流制御手段を備え、
    前記励磁電流制御手段は、前記第1ロータと前記第2ロータとを同速で回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが全て非励磁状態となるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を全て停止することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  4. 前記第2ロータの2n個の励磁コイルに流す電流を制御する励磁電流制御手段を備え、
    前記励磁電流制御手段は、前記第1ロータと前記第2ロータとを同速で回転させるとき、前記励磁コイルの一部または全部が隣合う永久磁石と同極に励磁され、そのうちで励磁コイルにのみ隣合っている励磁コイルは近い方の永久磁石と同極に励磁されるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  5. 前記第1ロータと前記第2ロータとの間で伝達すべきトルクの大きさに応じて前記2n個の励磁コイルに流す電流の大きさを制御することを特徴とする請求項4に記載の回転電機。
  6. 前記第2ロータの2n個の励磁コイルに流す電流を制御する励磁電流制御手段を備え、
    前記励磁電流制御手段は、少なくとも一方のロータを停止状態から回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁されるように前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  7. 前記第2ロータの2n個の励磁コイルに流す電流を制御する励磁電流制御手段を備え、
    前記励磁電流制御手段は、一方のロータを停止状態とし、他方のロータを回転させるとき、前記2n個の励磁コイルが隣合う永久磁石または励磁コイルと異極に励磁されるよう前記2n個の励磁コイルに流す電流を制御することを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  8. 前記2n個の励磁コイルを全て直列または並列に接続することにより、前記励磁電流制御手段と前記励磁コイルとの間に設けられるスリップリングの極数を2とすることを特徴とする請求項3乃至請求項7の何れかに記載の回転電機。
  9. 磁気回路とステータコイルを共有する2個のロータを備え、前記ステータコイルに流す複合電流を前記ロータの数と同数の回転磁場が発生するように制御する回転電機を用い、
    前記2個のロータは磁極を形成する永久磁石を1対1極対数比とし、一方のロータ軸を内燃機関に接続し、他方のロータ軸を負荷装置に接続し、前記内燃機関に接続されたロータをスタータモータとして前記内燃機関を始動し、かつ、前記負荷装置に接続された方のロータ軸の経路に軸を拘束する制動装置を設け、前記内燃機関の始動時には、前記制動装置が作動していなければ始動出来ないように構成したことを特徴とする駆動システム。
  10. 前記各ロータの回転を停止する際に、二つのロータの磁極がN−Sで向かい合う状態で停止するように前記内燃機関を制御することを特徴とする請求項9に記載の駆動システム。
  11. 前記負荷装置に接続されたロータの経路と前記内燃機関の軸との間を直結可能なクラッチを設け、前記各ロータの回転を停止する際に、前記負荷装置に接続されたロータと前記内燃機関の軸とを直結し、二つのロータの磁極がN−Sで向かい合う状態で停止するように前記内燃機関を制御することを特徴とする請求項9または請求項10に記載の駆動システム。
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