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JP3731512B2 - 温度調節器および熱処理装置 - Google Patents
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JP3731512B2 - 温度調節器および熱処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒータの通電を制御して温度制御を行う温度調節器および温度調節器を備える熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱処理装置、例えば、射出成形機では、射出シリンダの外周壁に、複数のヒータ、例えば、三相ヒータが取り付けられており、SSR等を介して共通の三相電源に接続されて給電される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる射出成形機では、ヒータの断線を検出するためにヒータ断線検出回路が設けられているが、三相ヒータのどれが断線してもそれを検出できるようにするためには、各三相ヒータ毎に、2つの電流センサと各電流センサの出力がそれぞれ与えられるヒータ電流測定回路とを備える必要がある。
【0004】
電流センサとしては、交流電流を磁気結合のトランスで結合するCTが必要であり、ヒータ電流測定回路としては、ヒータを駆動するSSR等が通電しているときだけCTの出力電流を計測し、それに基づいてヒータ断線であるかどうかを判定する機能を備える必要があった。
【0005】
このように従来の断線検出回路は、複数の電流センサおよびヒータ電流測定回路を必要とするために、構成が複雑であるとともに、コストが高くつくといった難点がある。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、簡単な構成で、かつ低コストで断線を検出できる断線検出方法、それに好適な温度調節器および熱処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0008】
すなわち、本発明の温度調節器は、制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御する温度調節器において、制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、前記断線検出手段は、前記制御対象によって熱処理される被処理物の該制御対象への投入に対応した正常な外乱を検知 する外乱検知手段を含み、正常な外乱時には、ヒータの断線検出が禁止されるものであり、前記外乱検知手段には、投入される前記被処理物の前記制御対象における移動方向に沿って少なくとも3つの異なる箇所の前記制御対象の温度を検出する複数の温度検出手段の検出出力が与えられ、該外乱検知手段は、前記異なる箇所でそれぞれ検出される検出温度の温度差に基づいて、前記正常な外乱を検知するものである。
【0009】
本発明によると、制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つに基づいて、前記ヒータの断線を検出するので、従来の電流センサやヒータ電流測定回路などを必要とせず、簡単な構成で、かつ低コストでヒータの断線を検出できることになる。
【0010】
しかも、正常な外乱、例えば、制御対象である加熱シリンダ、熱盤、熱処理炉などに、原料樹脂やウェハといった被処理物が投入されたときの温度等の変動を外乱検知手段で検知し、かかる正常な外乱時には、ヒータの断線検出を禁止するので、前記外乱による温度等の変動を、ヒータ断線によるものと、誤検出することが防止される。
【0011】
また、例えば、被処理物である原料樹脂が、制御対象である加熱シリンダ等に投入されたときに発生する加熱シリンダの温度分布(温度の傾斜)に基づいて、原料樹脂の投入といった正常な外乱を検知してヒータの断線検出を禁止するので、ヒータ断線の誤検出を防止できる。
【0012】
また、本発明の温度調節器は、制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御するものであって、かつ、n個 ( nは2以上の自然数 ) の前記ヒータで一つのチャネルが構成されてチャネル毎に通電を制御する温度調節器において、整定時の操作量である第1の整定操作量と、整定が外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量とに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍程度になったことを条件としてヒータの断線を検出するものである。
【0013】
本発明によると、ヒータが断線する前の整定時の操作量である第1の整定操作量と、ヒータが断線して整定を外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量との関係を利用してヒータの断線を検出するので、従来の電流センサやヒータ電流測定回路などを必要とせず、簡単な構成で、かつ低コストでヒータの断線を検出できることになる。
【0014】
しかも、n個の前記ヒータで一つのチャネルが構成されてチャネル毎に通電制御され、前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍程度になったことを条件としてヒータの断線を検出するものであり、例えば、3相ヒータ、すなわち、n=3の場合に、その内の一つのヒータが断線すると、断線後の第2の整定操作量は、断線前の第1の整定操作量の1 . { =3/(3−1) } 倍程度になるので、それを検出条件としてヒータ断線を検出できる。
【0015】
本発明の好ましい実施態様においては、前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍を中心とした所定範囲になったことを条件としてヒータの断線を検出するものであって、前記所定範囲が、前記ヒータの発熱量のバラツキを考慮し、かつ、前記第1の整定操作量を含まないように予め定められるものである。
【0016】
この実施態様によると、例えば、3相ヒータの3つのヒータの発熱量のバラツキや取り付け位置による影響を考慮し、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍を中心とした所定範囲になったことを条件としてヒータの断線を検出することができる。
【0017】
また、本発明の温度調節器は、制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御するものであって、かつ、n個 ( nは2以上の自然数 ) の前記ヒータで一つのチャネルが構成されてチャネル毎に通電を制御する温度調節器において、整定時の操作量である第1の整定操作量と、整定が外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量とに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍よりも小さな所定値以上になったことを条件としてヒータの断線を検出するものであり、前記所定値が、前記ヒータの発熱量のバラツキを考慮し、かつ、該所定値以上の範囲に前記第1の整定操作量を含まないように予め定められるものである。
【0018】
本発明によると、例えば、3相ヒータの一つ以上のヒータが断線したときにもそれを検出することができる。
【0019】
本発明の熱処理装置は、制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御する温度調節器と、前記ヒータの断線を検出する断線検出装置とを備える熱処理装置であって、前記温度調節器は、前記制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つを前記断線検出装置に出力可能であり、前記断線検出装置は、前記温度調節器から出力される前記少なくともいずれか一つに基づいて、前記ヒータの断線を検出するものであって、前記制御対象によって熱処理される被処理物の該制御対象への投入に対応した正常な外乱を検知する外乱検知手段を含み、正常な外乱時には、ヒータの断線検出が禁止されるものであり、前記外乱検知手段には、投入される前記被処理物の前記制御対象における移動方向に沿って少なくとも3つの異なる箇所の前記制御対象の温度を検出する複数の温度検出手段の検出出力が与えられ、該外乱検知手段は、前記異なる箇所でそれぞれ検出される検出温度の温度差に基づいて、前記正常な外乱を検知するものである。
【0020】
本発明によると、温度調節器からの前記制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つに基づいて、コンピュータなどで構成される断線検出装置でヒータの断線を検出するので、従来の電流センサやヒータ電流測定回路などを必要とせず、簡単な構成で、かつ低コストでヒータの断線を検出できることになる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
先ず、実施の形態の説明に先立って、その前提となる断線検出についての構成を、参考例として説明する。
【0023】
参考例1
図1は、ヒータ断線検出が適用される熱処理システムの概略構成図である。
【0024】
射出成形機1の射出シリンダ2の外周壁には、複数のヒータ3が取り付けられており、開閉器としてのSSR4を介して共通の交流電源5に接続されている。また、射出シリンダ2には、該シリンダ2の温度を検出する温度センサ6が取り付けられており、この温度センサ6および前記SSR4が、射出シリンダ2の温度を制御する温度調節器7に接続されている。この温度調節器7は、温度センサ6からの検出温度(現在温度)PVが、目標温度(設定温度)になるようにSSR4に対して操作量MVを与えてヒータ3の通電を制御するものである。
【0025】
8は、型締め、射出などの射出成形機の全体を制御する上位コンピュータであり、この上位コンピュータ8には、温度調節器7が接続されており、該温度調節器7と通信できるように構成されている。
【0026】
この実施の形態では、CTといった電流センサやヒータ電流測定回路等を設けることなく、簡単な構成で、かつ低コストでヒータ3の断線を検出できるようにするために、次のように構成している。
【0027】
図2(a)は、室温から目標温度への昇温時における操作量MVの変化を示す図であり、同図(b)は、正常時における検出温度PVの変化を示す図であり、同図(c)は、ヒータ断線が生じた場合の検出温度PVの変化を示す図であり、それぞれ昇温時における検出温度波形の最大傾きR( 傾き=温度変化/時間変化 )となる接線を併せて示している。
【0028】
昇温時に、操作量MVが、同図(a)に示されるように、下限値から上限値に変化した場合に、ヒータ断線が生じていない正常時には、同図(b)に示される検出温度PVの変化の最大傾きRは、常にほぼ一定である。
【0029】
これに対して、例えば、2本が並列接続されたヒータ3または3本がΔ結線あるいはスター結線されたヒータ3の内の少なくともいずれか1本が断線したときには、発熱量が減少するために、同図(c)に示されるように、検出温度PVの変化の最大傾きRは、正常時のほぼ1/2または2/3となる。
【0030】
そこで、検出温度が目標温度に達するまでの昇温時における最大傾きRを計測し、その最大傾きRと予め定めた閾値とを比較し、計測した最大傾きRが、閾値よりも小さくなったときには、ヒータの断線が生じたと判断するのである。
【0031】
図3は、図1の温度調節器7および上位コンピュータ8の要部のブロック図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0032】
温度調節器7は、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8から与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力する温度コントローラとしてのPIDコントローラ9を備えるとともに、検出温度PVと操作量MVとに基づいて、最大傾きRを演算して上位コンピュータ8に与える最大傾き計算手段10を備えている。
【0033】
最大傾きRの算出は、従来のPID定数の決定のためのオートチューニング(セルフチューニング)と同様であり、例えば、次式によって算出される。
【0034】
R=ΔPV/{Δt×(MV上限値−MV下限値)}
但し、Δtは単位時間である。
【0035】
このによれば、従来のPID定数を決定するためのオートチューニング(セルフチューニング)の際に得られた最大傾きRをそのまま利用してヒータの断線を検出できることになる。
【0036】
上位コンピュータ8には、ヒータ断線が生じていない正常時における最大傾きが記憶部11に記憶されており、この上位コンピュータ8は、温度調節器7からの最大傾きRと正常時の最大傾きとを比較し、予め定めた閾値を越えて最大傾きRが小さくなったときには、ヒータ断線と判断して、例えば、射出成形機1の制御盤に配設されている表示装置12に表示するヒータ断線判断手段13を備えている。
【0037】
図4は、ヒータ断線判断手段13の構成の一例を示す図であり、温度調節器7からの最大傾きRを、記憶部11に記憶されている正常時の最大傾きで除算し、予め格納されている閾値14と比較器15で比較して閾値よりも小さくなったときに、ヒータ断線検出信号を出力するのである。
【0038】
このように、昇温時における最大傾きに基づいてヒータの断線を検出する、すなわち、ソフト処理によってヒータの断線を検出するので、上述の従来例のように、複数の電流センサや複数のヒータ電流測定回路などを必要とせず、構成が簡素化されるとともに、コストを低減することができる。
【0039】
上述の参考例では、室温から目標温度まで昇温させる際の最大傾きRを計測してヒータの断線を検出したけれども、他の例として、例えば、目標温度が変更された際の最大傾きRに基づいて、ヒータの断線を検出するようにしてもよい。
【0040】
図5(a),(b),(c)は、目標値変更時における操作量MV、正常時の検出温度PVの変化およびヒータ断線時の検出温度PVの変化をそれぞれ示しており、それぞれ最大傾きRとなる接線を併せて示している。
【0041】
この場合には、最大傾きRは、例えば、次式によって算出される。
【0042】
R=ΔPV/{Δt×(MV上限値−MV整定値)}
なお、上述の各参考例を組み合わせてもよいのは勿論である。
【0043】
また、上述の参考例では、1ch(チャネル)の例について説明したけれども、図6に示されるように、複数chの場合にも同様に適用できるのは勿論であり、複数chの場合には、ヒータ断線判断手段は、図7に示されるように、正常時の最大傾きおよび閾値は各chで共通とすればよい。
【0044】
図8は、複数chの場合のヒータ断線判断手段の他のを示すブロック図である。
【0045】
このは、交流電源5の電圧が低下して最大傾きRが低下した場合に、ヒータ断線であると誤って検出しないようにしたものである。
【0046】
すなわち、このでは、各ch毎に温度調節器7で計測された最大傾きを、正常時の最大傾きでそれぞれ除算した値の絶対値平均を絶対値平均計算手段16で算出し、この算出した絶対値平均の値から予め定められている固定値17を減算した値を閾値として比較器15で比較するものである。
【0047】
この固定値は、交流電源5の電圧変動もなく、ヒータ断線が生じていない正常時の絶対値平均から減算した値が、上述の図4や図7の閾値となるように設定されている。
【0048】
このでは、交流電源5の電圧が低下して全チャネルchの最大傾きが小さくなり、その最大傾きを正常時の最大傾きでそれぞれ除算した値が小さくなった場合には、絶対値平均計算手段16による絶対値平均の値も小さくなって各比較器15に与えられる閾値も小さくなり、これによって、最大傾きを正常時の最大傾きでそれぞれ除算した値が、閾値を下回ることがなく、ヒータ断線と誤って検出されることがない。
【0049】
一方、或るchのヒータが断線し、そのchのみ最大傾きが小さくなった場合には、絶対値平均計算手段16による絶対値平均の値は、ほとんど小さくならず、したがって、閾値もほとんど小さくならない。このため、前記chの最大傾きを正常時の最大傾きで除算した値は、閾値を下回ることになり、ヒータ断線が検出されることになる。
【0050】
なお、ヒータ断線判断手段による比較判定は、上述のに限らないのは勿論であり、また、ヒータ断線判断手段を温度調節器7側に設けて温度調節器7でヒータ断線を検出できるようにしてもよい。
【0051】
参考例2)
図9は、他の参考例を説明するための波形図であり、同図(a)は、正常時の操作量MVの変化を示す図であり、同図(b)は、正常時の検出温度PVの変化を示す図であり、同図(c)は、ヒータ断線が生じた場合の操作量MVの変化を示す図であり、同図(d)は、ヒータ断線が生じた場合の検出温度PVの変化を示す図である。なお、熱処理装置としての射出成形機1の全体構成は、図1に示される上述の参考例1と基本的に同様である。
【0052】
同図(a)に示される整定後の操作量MVで、同図(b)に示される検出温度PVから室温を減算した温度上昇を、割った値である定常ゲインKは、ヒータ断線が生じていない正常時には、常にほぼ一定である。
【0053】
これに対して、例えば、2本が並列接続されたヒータ3または3本がΔ結線あるいはスター結線されたヒータ3の内の少なくともいずれか1本が断線したときには、同図(c)に示されるように操作量MVが増大するために、定常ゲインは、正常時のほぼ1/2または2/3となる。
【0054】
そこで、このでは、昇温後の整定時における定常ゲインKを計測し、その定常ゲインKと予め定めた閾値とを比較し、計測した定常ゲインKが、閾値よりも小さくなったときには、ヒータの断線が生じたと判断するのである。
【0055】
図10は、このの温度調節器7aおよび上位コンピュータ8aの要部のブロック図であり、上述の参考例1の図3に対応する図である。
【0056】
このの温度調節器7aは、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8aから与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力するPIDコントローラ9を備えるとともに、検出温度PVと操作量MVとに基づいて、定常ゲインKを演算して上位コンピュータ8aに与える定常ゲイン計算手段18を備えている。
【0057】
定常ゲインKは、例えば、次式によって算出される。
【0058】
K=(PV−室温)/(整定MV)
この定常ゲインKの算出は、検出温度PVの変動が小さく、操作量MVの変動が小さくなっていることが条件である。なお、整定時においても、操作量MVが揺れていることがあるので、操作量MVの信号を平均処理することも必要に応じて行う。また、上記式におけるPVは、目標温度SPに置き換えてもよい。
【0059】
上位コンピュータ8aには、ヒータ断線が生じていない正常時における定常ゲインが記憶部11aに記憶されており、この上位コンピュータ8aは、温度調節器7aからの定常ゲインKと正常時の定常ゲインとを比較し、予め定めた閾値を越えて定常ゲインKが小さくなったときには、ヒータ断線と判断して、例えば、射出成形機の制御盤に配設されている表示装置12に表示するヒータ断線判断手段13aを備えている。
【0060】
図11は、ヒータ断線判断手段13aの構成を示す図であり、温度調節器7aからの定常ゲインKを、記憶部11aに記憶されている正常時の定常ゲインで除算し、予め格納されている閾値14aと比較器15で比較して閾値よりも小さくなったときに、ヒータ断線検出信号を出力するのである。
【0061】
また、上述の参考例1と同様に、図6に示される複数chの場合にも同様に適用できるのは勿論であり、複数chの場合には、ヒータ断線判断手段は、図12に示されるように、記憶部11aの正常時の定常ゲインおよび閾値14aは各chで共通とすればよい。
【0062】
さらに、上述の参考例1の図8と同様に、交流電源5の電圧が低下して定常ゲインKが低下した場合に、ヒータ断線であると誤って検出しないようにしてもよい。すなわち、図13に示されるように、各ch毎に温度調節器7aで計測された定常ゲインKを、正常時の定常ゲインでそれぞれ除算した値の絶対値平均を絶対値平均計算手段16aで算出し、予め定められている固定値17aを減算した値を閾値として比較器15で比較するようにしてもよい。
【0063】
上述の図9に示されるように、ヒータが断線すると、整定操作量が、増大するので、定常ゲインKに代えて整定操作量に基づいてヒータ断線を検出してもよい。
【0064】
図14は、整定操作量MV0に基づいてヒータの断線を検出するの図10に対応するブロック図である。
【0065】
温度調節器7bは、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8bから与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力するPIDコントローラ9を備えるとともに、操作量MVに基づいて、整定操作量MV0を演算して上位コンピュータ8bに与える整定操作量計算手段19を備えている。
【0066】
整定時においても、操作量MVが揺れていることがあるので、操作量MVの信号を平均処理することも必要に応じて行う。
【0067】
上位コンピュータ8bには、ヒータ断線が生じていない正常時における整定操作量が記憶部11bに記憶されており、この上位コンピュータ8bは、温度調節器7bからの整定操作量MV0と正常時の整定操作量とを比較し、予め定めた閾値を越えて整定操作量が大きくなったときには、ヒータ断線と判断して、例えば、射出成形機の制御盤に配設されている表示装置12に表示するヒータ断線判断手段13bを備えている。
【0068】
但し、目標温度SPによって、正常時の整定操作量は、異なるので、ヒータ断線の判断は、予め決められた目標温度SPについて行う。あるいは、複数の目標温度SPのそれぞれについて、正常時の整定操作量を予め記憶しておき、目標温度SPに対応する整定操作量MV0が計測されたときに、ヒータ断線の有無を判断するようにしてもよい。
【0069】
参考例3)
図15は、本発明のさらに他の参考例を説明するための波形図であり、同図(a)は、正常な場合の整定時の操作量MVを示す図であり、同図(b)は、正常な場合の偏差を示す図であり、同図(c)は、ヒータ断線が生じた場合の操作量MVの変化を示す図であり、同図(d)は、ヒータ断線が生じた場合の偏差の変化を示す図である。なお、熱処理装置としての射出成形機1の全体構成は、図1に示される上述の参考例1と基本的に同様である。
【0070】
同図(b)に示される整定後の偏差(目標温度SP−検出温度PV)は、ほぼ0のままであり、操作量MVも同図(a)に示されるようにほぼ一定である。
【0071】
これに対して、例えば、2本が並列接続されたヒータ3または3本がΔ結線あるいはスター結線されたヒータ3の内の少なくともいずれか1本が断線したときには、同図(d)に示されるように偏差は、一旦増加して0に近づき、最後にほぼ0になる。あるいは、偏差が残る。また、同図(c)に示されるように、操作量MVも一旦増加した後、ほぼ一定の値となる。
【0072】
但し、外乱や目標値変更があった場合にも偏差は、発生する。
【0073】
そこで、このでは、整定と判断した後に、外乱も目標値応答もないと判断できる条件で、偏差が、予め定めた判定基準値を越えたときに、ヒータの断線が生じたと判断するのである。
【0074】
図16は、このの温度調節器7cおよび上位コンピュータ8cの要部のブロック図であり、上述の参考例1の図3に対応する図である。
【0075】
温度調節器7cは、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8cから与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力するPIDコントローラ9を備えるとともに、検出温度PVと目標温度SPとに基づいて、偏差を演算して上位コンピュータ8cに与える偏差計算手段20を備えている。
【0076】
偏差eは、次式によって算出される。
【0077】
e=SP−PV
上位コンピュータ8cには、ヒータ断線の有無を判断するための偏差の判定基準値が記憶部11cに記憶されており、この上位コンピュータ8cは、外乱や目標値変更がない条件において、図17に示されるように、温度調節器7cからの偏差と前記判定基準値とを比較器15で比較し、偏差が、判定基準値を越えたときには、ヒータ断線と判断して、例えば、射出成形機の制御盤に配設されている表示装置12に表示するヒータ断線判断手段13cを備えている。
【0078】
図18は、このヒータ断線判断手段13cの動作説明に供するフローチャートであり、先ず、整定するまで待ち(ステップn1)、外乱があるか否かを判断し(ステップn2)、外乱がないときには、目標値変更されたか否かを判断し(ステップn3)、目標値変更がないときには、偏差が判定基準値以上であるか否かを判断し(ステップn4)、判定基準値以上であるときには、ヒータ断線であると判断して表示し(ステップn5)、終了する。
【0079】
すなわち、上位コンピュータ8cのヒータ断線判断手段13cは、外乱が無く、目標値応答もなく、整定した条件で現在の偏差が、判定基準値を越えたときに、ヒータ断線が生じたと判断し、表示装置12に表示するのである。ここで、外乱とは、射出成形の立ち上げ時に射出成形機に原料樹脂を最初に流したり、あるいは、射出ノズルを金型に接触させるなどの制御対象が熱を奪われ、温度が下がるなどのヒータ断線でなく、正常な状態で起こる温度変動の要因をいう。射出成形機側、すなわち、射出成形機を制御する上位コンピュータ8cでは、このような外乱が加わることが予め分かるので、このようなときの温度変動は、ヒータ断線ではなく正常であると判断できように処理するのである。
【0080】
このように温度調節器7dで偏差を計算して上位コンピュータ8dに与える構成の他に、図19に示されるように、温度調節器7dに、偏差の判定基準値を記憶した記憶部21dを設けるとともに、偏差を算出して判定基準値と比較して断線を判定する断線判定手段22dを設け、その判定結果を、上位コンピュータ8dに与え、上位コンピュータ8dでは、外乱や目標値変更時には、ヒータ断線判断手段13dによる判断を禁止信号(Inhibit信号)によって禁止し、外乱でなく、かつ、目標値変更でないときの温度調節器7dからの判定結果に基づいて、ヒータ断線判断手段13dで最終的な判断を行うようにしてもよい。
【0081】
あるいは、図20に示されるように、温度調節器7eが、外乱や目標値変更時の判定を禁止する禁止信号(Inhibit信号)を、上位コンピュータ8eから受け取り、禁止信号が与えられていないときに、断線判定手段22eで断線の有無を判定し、その判定結果を、上位コンピュータ8eに与え、上位コンピュータ8eのヒータ断線判断手段13eでは、その判定結果を最終判断としてヒータ断線時には、表示装置12に表示させるものである。
【0082】
また、上述の参考例1と同様に、図6に示される複数chの場合にも同様に適用できるのは勿論であり、複数chの場合には、図21に示されるように、各chの偏差と比較する判定基準値を各chで共通とすればよい。
【0083】
さらに、上述の参考例1の図8と同様に、交流電源5の電圧が低下した場合に、ヒータ断線であると誤って検出しないようにしてもよい。すなわち、図22に示されるように、各ch毎の偏差の平均値を、平均計算手段23で算出し、予め定められている固定値24を加算した値を判定基準値として比較器15で比較するようにしてもよい。
【0084】
上述の各参考例では、外乱や目標値変更の際には、ヒータ断線の判断を禁止するために、上位コンピュータのヒータ断線判断手段13c〜13eで最終的なヒータ断線の有無の判断を行ったけれども、本発明の実施の形態として、図23に示されるように、温度調節器側に、最終的にヒータ断線の有無を判断する断線検出手段としてヒータ断線判断手段25を設けてもよい。
【0085】
この場合には、温度調節器側で外乱や目標値変更などの正常な現象を、ヒータ断線と誤って検出しないようにするために、ヒータ断線以外の正常な現象による特徴的な変動波形を、ヒータ断線以外の現象検知手段( 外乱検知手段 )26を設けて検知し、各比較器15に判断禁止信号を出力してヒータ断線の有無の判断を禁止するようにしている。
【0086】
このヒータ断線以外の現象検知手段26の構成について説明する。ヒータ断線以外の正常な現象による特徴的な偏差の変動波形の例として、射出成形の立ち上げ時に射出成形機に原料樹脂を最初に流した場合の樹脂の流れによる温度低下がある。
【0087】
図24(a)は、同図(b)に示される射出成形機の射出シリンダ2における根元側のA点、中間のB点および先端側のC点の矢符で示される樹脂の流れによる偏差の変化を示すものである。
【0088】
この図24に示されるように、樹脂を流し始めると、射出シリンダ2の根元から先端に向かって樹脂が移動するために、根元で奪われる熱量は大きく温度低下も大きいことが分かる。そして、樹脂の移動によって熱は運ばれ、先端になるほど、奪われる熱量は小さくなり、温度低下量は小さくなっている。
【0089】
この現象は、例えば、射出シリンダ2の長手方向に沿う温度の傾斜(温度差)を比較することで検知することができる。すなわち、射出シリンダ2の一番根元側のchの偏差が大きくなっていたとしても、この根元のchだけでなく、他のchにも大きさは小さいが、同様な変化があった場合、それは樹脂の流れだと判断してヒータ断線の判断を禁止させるのである。
【0090】
例えば、図25に示されるように、上述のB点の偏差とA点の偏差との差(B−A)と、C点の偏差とBの偏差点との差(C−B)とを比較器27で比較し、それらがある比率の関係にあるときには、樹脂の流れによる偏差の変動であるとしてヒータ断線の判断を禁止する判断禁止信号を出力するのである。
【0091】
さらに、射出ノズルと金型の接触による温度低下も特有の温度変化が生じるものであり、これもヒータ断線以外の現象として同様に判断禁止信号を出力することが可能である。
【0092】
参考例4)
図26は、本発明のさらに他の参考例を説明するための波形図であり、同図(a)は、正常な場合の整定時の操作量MVを示す図であり、同図(b)は、正常な場合の偏差を示す図であり、同図(c)は、ヒータ断線が生じた場合の操作量MVの変化を示す図であり、同図(d)は、ヒータ断線が生じた場合の偏差の変化を示す図である。なお、熱処理装置としての射出成形機1の全体構成は、図1に示される上述の参考例1と基本的に同様である。
【0093】
同図(a)に示されるように、並列ヒータが正常に動作し、制御が整定している場合、操作量MVは、ほぼ一定のままである。
【0094】
これに対して、例えば、2本が並列接続されたヒータ3または3本がΔ結線あるいはスター結線されたヒータ3の内の少なくともいずれか1本が断線したときには、同図(d)に示されるように偏差は、一旦増加して0に近づき、最後にほぼ0になる。あるいは、偏差が残る。また、同図(c)に示されるように、操作量MVも一旦増加した後、ほぼ一定の整定操作量に到達する。
【0095】
そこで、このでは、整定と判断した後の操作量MVに基づいてヒータ断線を検出するものである。
【0096】
操作量に揺れがある場合、平均し更新していくと、精度のよい検出が可能である。また、ローパスフィルタで揺れをとり、微分フィルタで急激な変化の傾きを検出し、その傾きが或る程度以上であれば、ヒータ断線であると判断してもよい。
【0097】
但し、急激な操作量変化は、外乱時にも目標応答時にも発生する。これらと見分けるため、整定と判断した後で、更に外乱も目標値応答もないと判断できる条件で操作量の変化が判定基準値を超えた場合、ヒータ断線であると判断して、ヒータ断線を検出するのである。
【0098】
図27は、このの温度調節器7fおよび上位コンピュータ8fの要部のブロック図であり、上述の参考例1の図3に対応する図である。
【0099】
温度調節器7fは、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8fから与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力するPIDコントローラ9を備えるとともに、このPIDコントローラ9からの操作量MVを上述のようにローパスフィルタ等で加工して操作量の変化分ΔMVを計測して上位コンピュータ8fに与える操作量変化分計測・加工手段28を備えている。
【0100】
上位コンピュータ8fには、ヒータ断線の有無を判断するための操作量の変化分ΔMVの判定基準値が記憶部11fに記憶されており、この上位コンピュータ8fは、外乱や目標値変更がない条件において、図28に示されるように、温度調節器7fからの操作量の変化分ΔMVと前記判定基準値とを比較器15で比較し、操作量の変化分ΔMVが、判定基準値を越えたときには、ヒータ断線と判断して、例えば、射出成形機の制御盤に配設されている表示装置12に表示するヒータ断線判断手段13fを備えている。
【0101】
図29は、このヒータ断線判断手段の動作説明に供するフローチャートであり、先ず、整定するまで待ち(ステップn1)、外乱があるか否かを判断し(ステップn2)、外乱がないときには、目標値変更されたか否かを判断し(ステップn3)、目標値変更がないときには、操作量の変化分ΔMVが判定基準値以上であるか否かを判断し(ステップn4)、判定基準値以上であるときには、ヒータ断線であると判断して表示し(ステップn5)、終了する。
【0102】
すなわち、上位コンピュータ8fのヒータ断線判断手段13fは、外乱が無く、目標値応答もなく、整定した条件で操作量の変化分ΔMVが、判定基準値を越えたときに、ヒータ断線が生じたと判断し、表示装置12に表示するのである。ここで、外乱とは、上述のように射出成形の立ち上げ時に射出成形機に原料樹脂を最初に流したり、あるいは、射出ノズルを金型に接触させるなどの制御対象が熱を奪われ、温度が下がるなどのヒータ断線でなく、正常な状態で起こる温度変動の要因をいう。射出成形機を制御する上位コンピュータ8fでは、このような外乱が加わることが予め分かるので、このようなときの温度変動は、ヒータ断線ではなく正常であると判断できように処理するのである。
【0103】
このように温度調節器7fで操作量の変化分ΔMVを計算して上位コンピュータ8fに与える構成の他に、図30に示されるように、温度調節器7gに、操作量の変化分ΔMVの判定基準値を記憶した記憶部29gを設けるとともに、加工計測した操作量の変化分ΔMVと判定基準値と比較して断線を判定する断線判定手段30gを設け、その判定結果を、上位コンピュータ8gに与え、上位コンピュータ8gでは、外乱や目標値変更時には、ヒータ断線判断手段13gによる判断を禁止信号(Inhibit信号)によって禁止し、外乱でなく、かつ、目標値変更でないときの温度調節器7gからの判定結果に基づいて、ヒータ断線判断手段13gで最終的な判断を行うようにしてもよい。
【0104】
あるいは、図31に示されるように、温度調節器7hが、外乱や目標値変更時の判定を禁止する禁止信号(Inhibit信号)を、上位コンピュータ8hから受け取り、禁止信号が与えられていないときに、断線判定手段30hで断線の有無を判定し、その判定結果を、上位コンピュータ8hに与え、上位コンピュータ8hのヒータ断線判断手段13hでは、その判定結果を最終判断としてヒータ断線時には、表示装置12に表示させるものである。
【0105】
また、上述の参考例1と同様に、図6に示される複数chの場合にも同様に適用できるのは勿論であり、複数chの場合には、図32に示されるように、各chの操作量の変化分ΔMVと比較する判定基準値を各chで共通とすればよい。
【0106】
さらに、上述の参考例1の図8と同様に、交流電源5の電圧が低下した場合に、ヒータ断線であると誤って検出しないようにしてもよい。すなわち、図33に示されるように、各ch毎の偏差の平均値を、平均計算手段31で算出し、予め定められている固定値32を加算した値を判定基準値として比較器15で比較するようにしてもよい。
【0107】
さらに、上述の参考例3の図23と同様に、ヒータ断線以外の正常な現象による特徴的な変動波形を、ヒータ断線以外の現象検知手段を設けて検知してヒータ断線の有無の判断を禁止するようにし、温度調節器のみで最終的にヒータ断線の有無を判断するようにしてもよい。
【0108】
(実施の形態)
図34は、本発明の実施の形態を説明するための波形図であり、同図(a)は、正常な場合の検出温度PVを示す図であり、同図(b)は、正常な場合の操作量MVを示す図であり、同図(c)は、ヒータ断線が生じた場合の検出温度PVの変化を示す図であり、同図(d)は、ヒータ断線が生じた場合の操作量MVの変化を示す図である。
【0109】
なお、熱処理装置としての射出成形機1の全体構成は、図1に示される上述の参考例1と基本的に同様であるが、この実施の形態では、3本のヒータがΔ結線あるいはスター結線された3相ヒータのいずれか1本のヒータが断線した場合に適用して説明する。
【0110】
同図(a),(b)に示されるように、3相ヒータが正常に動作し、制御が整定している場合には、検出温度PVは目標温度SPにほぼ一致し、整定時の操作量である第1の整定操作量MV1は、ほぼ一定のままである。
【0111】
これに対して、同図(c),(d)に示されるように、3相ヒータの1相のヒータが断線してヒータの出力が低下すると、同じ操作量であっても検出温度PVが低下を始める。このため、温度低下を抑制するように、操作量が上昇し、整定を外れた後に再び整定する。この再び整定したときの第2の整定操作量MV2が、第1の整定操作量MV1のほぼ3/2倍となることを利用してヒータの断線を検出するものである。
【0112】
例えば、3相の3つのヒータが、操作量10%で100Wずつ合計300Wで発熱して整定している状態において、一つのヒータが断線して合計の発熱量が200Wになったとすると、合計300Wの発熱量を確保して再び整定するために、操作量は、1.5倍の15%となって断線していない二つのヒータの発熱量がそれぞれ150Wとなる。
【0113】
そこで、この実施の形態では、整定が外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量MV2が、整定が外れる前の整定時の操作量である第1の整定操作量MV1の約1.5倍になったことを検出してヒータ断線と判断するのである。
【0114】
さらに、3つのヒータの発熱量のバラツキや温度センサと各ヒータの取り付け位置の違いなどの影響を考慮して、前記1.5倍を中心とした所定範囲、例えば、1.5±0.2倍になったことを検出してヒータ断線と判断するのである。
【0115】
図35は、この実施の形態の温度調節器7iおよび上位コンピュータ8iの要部のブロック図であり、上述の参考例1の図3に対応する図である。
【0116】
温度調節器7iは、温度センサ6からの検出温度PVが、上位コンピュータ8iから与えられる目標温度SPになるように、操作量MVを出力するPIDコントローラ9を備えるとともに、このPIDコントローラ9からの操作量MVに基づいて、上述のようにしてヒータの断線を検出するヒータ断線検出手段40を備えており、ヒータの断線が検出されると、検出信号が上位コンピュータ8iに与えられ、これによって、上位コンピュータ8iは、例えば、射出成形機の制御盤に配設されている表示装置12に断線であることを表示する。
【0117】
図36は、このヒータ断線検出手段40の動作説明に供するフローチャートであり、先ず、整定したか否かを定期的に判断する(ステップn1)。この判断は、例えば、一定期間に亘って検出温度PVがある範囲に収まったことで整定と判断する。整定したときには、第1の整定操作量としての整定操作量を一定周期毎に計測して更新し(ステップn2)、整定が外れたか否か、すなわち、前記ある範囲を外れたか否かを判断し(ステップn3)、整定が外れたときには、最後に計測した整定時の操作量を第1の整定操作量として記憶する(ステップn4)。
【0118】
次に、再び整定したか否かを定期的に判断し(ステップn5)、再び整定したときには、第2の整定操作量としての整定操作量を計測し(ステップn6)、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の約1.5倍であるか否か、例えば、1.3倍以上1.7倍以下であるか否かを判断し(ステップn7)、約1.5倍ではないときには、ヒータ断線ではないとしてステップn1に戻り、約1.5倍であるときには、3相ヒータの1相のヒータが断線したとして上位コンピュータ8iに検出信号を出力し(ステップn8)、例えば、上位コンピュータ8iからの検出解除指令に応答してステップn1に戻る(ステップn9)。
【0119】
ここでは、1chについて説明したけれども、図6に示される複数chの場合にも同様に適用できるのは勿論であり、複数chの場合には、ヒータ断線が複数chで同時に発生する確率が非常に小さいことを利用し、複数chの一つのchの整定操作量のみが約1.5倍となって他のchの整定操作量はほとんど変化がないことを検出してヒータ断線と判断するようにしてもよい。
【0120】
このようにすると、例えば、射出成形の立ち上げ時に射出成形機に原料樹脂を最初に流したりするような正常な外乱、すなわち、全てのchの整定操作量が変動するような外乱を、ヒータ断線である誤って検出することがない。
【0121】
図37は、かかる複数chの場合のヒータ断線検出のフローチャートであり、上述の図36に対応する部分には、対応するステップ番号を付している。
【0122】
ステップn7において、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の約1.5倍であると判断されたときには、他のchでは、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の約1.5倍になっていないか否かを判断し(ステップn7’)、他のchも約1.5倍になっているときには、射出成形の立ち上げ時に射出成形機に原料樹脂を最初に流したりするような正常な外乱であるとして、ステップn1に戻り、
ステップn7’において、他のchは、約1.5倍になっていないときには、一つのchの3相ヒータの1相が断線したとして上位コンピュータ8iに検出信号を出力するのである(ステップn8)。
【0123】
なお、上述の実施の形態4と同様に、操作量に揺れがある場合には、ローパスフィルタ等で揺れをとるのが好ましい。
【0124】
この実施の形態では、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の1.5倍を中心とした所定範囲、例えば、1.5±0.2倍になったことを検出してヒータ断線と判断したけれども、本発明の他の実施の形態として、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の1.0倍を中心とした所定範囲、例えば、1.0±0.2倍の範囲から外れたこと、あるいは、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の1.5倍よりも小さな所定値、例えば、1.3倍の値以上になったことを検出してヒータ断線と判断してもよい。
【0125】
特に、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の1.5倍よりも小さな所定値以上になったことを検出してヒータ断線と判断することにより、3相ヒータの一つのヒータが断線した場合のみならず、二つのヒータが断線した場合(この場合は、第2の整定操作量が、第1の整定操作量の約3.0倍になる)にも断線を検出できることになる。
【0126】
この実施の形態によれば、温度調節器7i側のみでヒータの断線を検出できることになる。
【0127】
なお、この実施の形態では、3相ヒータに適用して説明したけれども、3相ヒータに限らず、n個(nは2以上の自然数)のヒータが並列に接続されて通電制御される場合に同様に適用することができ、この場合には、第2の整定操作量が、第1の整定操作量のn/(n−1)倍程度になることを利用してヒータの断線を検出することができる。
【0128】
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、一つのチャネルが複数のヒータで構成されたけれども、一つのヒータで構成された場合であっても同様に断線を検出できるのは、勿論である。
【0129】
本発明の他の実施の形態を適宜組み合わせてもよく、例えば、最大傾き、定常ゲイン、操作量または偏差のいずれかに基づいてヒータ断線が検出されたときには、ヒータ断線としてもよい。
【0130】
上述の実施の形態では、熱処理装置として射出成形機に適用して説明したけれども、本発明は、射出成形機に限らず、押し出し成形機、圧縮成形機、半導体プロセスで用いられる熱酸化装置、枚葉式のCVD装置などヒータを用いて熱処理する他の装置にも適用できるものである。
【0131】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つに基づいて、ヒータの断線を検出するので、従来の電流センサやヒータ電流測定回路などを必要とせず、簡単な構成で、かつ低コストでヒータの断線を検出できることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の熱処理システムの概略構成図である。
【図2】 図1の断線検出を説明するための波形図である。
【図3】 図1の温度調節器および上位コンピュータの要部のブロック図である。
【図4】 図3の上位コンピュータのブロック図である。
【図5】 他の参考例を説明するための波形図である。
【図6】 複数chの場合の概略構成図である。
【図7】 複数chの場合の上位コンピュータのブロック図である。
【図8】 他の参考例の図7に対応するブロック図である。
【図9】 他の参考例を説明するための波形図である。
【図10】 図9の参考例の温度調節器および上位コンピュータの要部のブロック図である。
【図11】 図10の上位コンピュータのブロック図である。
【図12】 複数chの場合の上位コンピュータのブロック図である。
【図13】 他の参考例の図8に対応するブロック図である。
【図14】 他の参考例の図10に対応するブロック図である。
【図15】 さらに他の参考例を説明するための波形図である。
【図16】 図15の参考例の温度調節器および上位コンピュータの要部のブロック図である。
【図17】 図16の上位コンピュータのブロック図である。
【図18】 動作説明に供するフローチャートである。
【図19】 他の参考例の図16に対応するブロック図である。
【図20】 さらに他の参考例の図16に対応するブロック図である。
【図21】 複数chの場合の上位コンピュータのブロック図である。
【図22】 他の参考例の図8に対応するブロック図である。
【図23】 本発明の実施の形態に係る温度調節器に設けられたヒータ断線判断手段のブロック図である。
【図24】 図23の現象検知手段の検知原理を説明するための図である。
【図25】 図23の現象検知手段の構成を示すブロック図である。
【図26】 参考例を説明するための波形図である。
【図27】 図26の温度調節器および上位コンピュータの要部のブロック図である。
【図28】 図27の上位コンピュータのブロック図である。
【図29】 動作説明に供するフローチャートである。
【図30】 他の参考例の図27に対応するブロック図である。
【図31】 さらに他の参考例の図27に対応するブロック図である。
【図32】 複数chの場合の上位コンピュータのブロック図である。
【図33】 他の参考例の図8に対応するブロック図である。
【図34】 本発明の実施の形態を説明するための波形図である。
【図35】 図34に実施の形態の温度調節器および上位コンピュータの要部のブロック図である。
【図36】 動作説明に供するフローチャートである。
【図37】 動作説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
1 射出成形機
2 射出シリンダ
3 ヒータ
5 交流電源
6 温度センサ
7,7a〜7h 温度調節器
8,8a〜8h 上位コンピュータ
9 PIDコントローラ
10 最大傾き計算手段
13,13a〜13h ヒータ断線判断手段
18 定常ゲイン計算手段
20 偏差計算手段
28 操作量変化分計測加工手段

Claims (5)

  1. 制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御する温度調節器において、
    制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、
    前記断線検出手段は、前記制御対象によって熱処理される被処理物の該制御対象への投入に対応した正常な外乱を検知する外乱検知手段を含み、正常な外乱時には、ヒータの断線検出が禁止されるものであり、
    前記外乱検知手段には、投入される前記被処理物の前記制御対象における移動方向に沿って少なくとも3つの異なる箇所の前記制御対象の温度を検出する複数の温度検出手段の検出出力が与えられ、該外乱検知手段は、前記異なる箇所でそれぞれ検出される検出温度の温度差に基づいて、前記正常な外乱を検知することを特徴とする温度調節器。
  2. 制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御するものであって、かつ、n個 ( nは2以上の自然数 ) の前記ヒータで一つのチャネルが構成されてチャネル毎に通電を制御する温度調節器において、
    整定時の操作量である第1の整定操作量と、整定が外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量とに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、
    前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍程度になったことを条件としてヒータの断線を検出することを特徴とする温度調節器。
  3. 前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍を中心とした所定範囲になったことを条件としてヒータの断線を検出するものであって、前記所定範囲が、前記ヒータの発熱量のバラツキを考慮し、かつ、前記第1の整定操作量を含まないように予め定められる請求項2記載の温度調節器。
  4. 制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御するものであって、かつ、n個 ( nは2以上の自然数 ) の前記ヒータで一つのチャネルが構成されてチャネル毎に通電を制御する温度調節器において、
    整定時の操作量である第1の整定操作量と、整定が外れて再び整定したときの操作量である第2の整定操作量とに基づいて、前記ヒータの断線を検出する断線検出手段を備え、
    前記断線検出手段は、前記第2の整定操作量が、前記第1の整定操作量のn/(n−1)倍よりも小さな所定値以上になったことを条件としてヒータの断線を検出するものであり、
    前記所定値が、前記ヒータの発熱量のバラツキを考慮し、かつ、該所定値以上の範囲に前記第1の整定操作量を含まないように予め定められることを特徴とする温度調節器。
  5. 制御対象の検出温度と目標温度との偏差がなくなるように操作量を出力する温度コントローラを備え、前記制御対象を加熱するヒータの電源をオンオフする開閉器を、前記操作量に基いて制御することにより、前記ヒータの通電を制御して前記制御対象の温度を制御する温度調節器と、前記ヒータの断線を検出する断線検出装置とを備える熱処理装置であって、
    前記温度調節器は、前記制御対象の検出温度が目標温度に達するまでの検出温度波形の 最大傾き ( 傾き=検出温度変化/時間変化 ) 、整定後の定常ゲイン、整定後の前記操作量および整定後の前記偏差の少なくともいずれか一つを前記断線検出装置に出力可能であり、
    前記断線検出装置は、前記温度調節器から出力される前記少なくともいずれか一つに基づいて、前記ヒータの断線を検出するものであって、前記制御対象によって熱処理される被処理物の該制御対象への投入に対応した正常な外乱を検知する外乱検知手段を含み、正常な外乱時には、ヒータの断線検出が禁止されるものであり、
    前記外乱検知手段には、投入される前記被処理物の前記制御対象における移動方向に沿って少なくとも3つの異なる箇所の前記制御対象の温度を検出する複数の温度検出手段の検出出力が与えられ、該外乱検知手段は、前記異なる箇所でそれぞれ検出される検出温度の温度差に基づいて、前記正常な外乱を検知することを特徴とする熱処理装置。
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