JP3733294B2 - 走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、特に光源手段から光変調され出射した少なくとも1つの光束を回転多面鏡等より成る偏向手段で反射偏向(偏向走査)させた後、少なくとも1つの回折面を有する結像手段を介して被走査面上を光走査して画像情報を記録するようにした、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンターやデジタル複写機等の装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりレーザービームプリンター(LBP)等の走査光学装置においては画像信号に応じて光源手段から光変調され出射した光束を、例えば回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成る光偏向器により周期的に偏向させ、fθ特性を有する結像手段によって感光性の記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させ、その面上を光走査して画像記録を行っている。
【0003】
更に結像手段(走査光学手段)の一部に回折面を有する走査光学装置が、例えば特開平10−68903号公報などで種々と提案されている。特開平10−68903号公報では結像手段に屈折部(屈折面)と回折部(回折面)とを有する光学素子を用いており、この屈折部と回折部とのパワーを所望の条件を満たすように設定することにより、走査光学装置の温度変動に伴う主走査方向の倍率変化及びピント変化が、該結像手段の屈折部と回折部とのパワー変化と、光源手段である半導体レーザーの波長変動により補正されるようにしている。このことにより温度が変動した場合でも、高精細な画像を得ることが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
結像手段に屈折面と回折面とを有する光学素子の回折面は、使用する次数の回折光(使用回折光)として通常1次の回折光が最大強度となるような格子形状にて構成されている。このとき回折面で回折されるの回折光のうち、被走査面上にスポットを形成させる為に使用する次数の回折光に対して他の次数の不要(高次)回折光は微量となる。しかしながら像高により回折面への入射角が変化する走査光学装置では、この不要回折光は像高により増減する。又実際の製造においても理想的な回折格子形状に対して製造誤差を生じるので不要回折光が増大することもある。
【0005】
このような増大した不要回折光が被走査面上に入射すると迷光としてフレアーとなり、画質に悪影響を及ぼす要因となる。
【0006】
さらに、このような回折光学素子を含めた走査光学装置の結像手段(走査レンズ系)は、一般にはプラスチックレンズで生産され、技術的、コスト的にも問題が多いことから、屈折面に施す反射防止コートを省略する傾向にある。このため、回折面で生じる不要な反射回折光が、反射防止コートを省略したプラスチックレンズの屈折面で反射して被走査面上に入射し、不要回折光の迷光としてゴーストとなるという問題点がある。
【0007】
この様子を図8、図9を用いて説明する。
【0008】
図8は従来の走査光学装置の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)である。
【0009】
同図において光源手段91から出射した発散光束はコリメーターレンズ92により略平行光束とされ、絞り93によって該光束を制限して副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ94に入射している。シリンドリカルレンズ94に入射した略平行光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては集束してポリゴンミラーから成る光偏向器95の偏向面(反射面)95aにほぼ線像として結像している。
【0010】
そして光偏向器により反射偏向された光束15(15P、15U、15L)は屈折光学素子81と回折光学素子82とからなる結像手段(走査レンズ系)85に入射される。同図では光偏向器95側から順にプラスチックトーリックレンズ81、長尺の回折光学素子82を配置している。長尺の回折光学素子82は射出成形により製作されたプラスチック製である。これらの光学素子は共に主走査方向と副走査方向とに異なるパワーを有しており、光偏向器95からの光束を被走査面96上に結像させるとともに光偏向器95の偏向面(ミラー面)の倒れを補正している。そして結像手段85から出射した光束は被走査面96上に結像し、光偏向器95を矢印A方向に回転させることによって該被走査面96上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行なっている。
【0011】
同図において長尺の回折光学素子82は入射面83が屈折面、出射面84が回折面(回折格子面)で構成されている。光偏向器95で反射偏向された光束15(15P、15U、15L)のうち大部分は使用回折光(通常は+1次回折光)として被走査面96上に結像され、ビームスポット(不図示)を形成する。
【0012】
ところが光偏向器95で反射偏向された光束15(15P、15U、15L)のうち一部は不要な高次の回折光になる。そのうち回折面84で回折される6次の反射回折光(反射6次回折光)になるものに注目する。
【0013】
同図において16(16P、16U、16L)は反射6次回折光のうち、屈折面83で表面反射し、さらに回折面84で使用回折光(通常は+1次回折光)として被走査面96上に向かう光束(不要回折光の迷光)である。同図ではこのような反射6次回折光が、結像はしないものの被走査面96上に不要回折光の迷光として入射していることがわかる。
【0014】
次にこの反射6次回折光の迷光がどのように被走査面上を走査するか図9を用いて説明する。同図において横軸は本来のビームスポットが被走査面96上に到達する像高であり、縦軸はそのときの反射6次回折光の迷光が被走査面96上に到達する位置である。これによれば、本来のビームスポットが被走査面96上を走査していくと、それに応じて反射6次回折光の迷光も被走査面96上を走査するが、像高±80mmあたりで走査速度が落ちることがわかる。これにより像高±80mmあたりにはより多くの迷光が集まり、画質の劣化が顕著になる。
【0015】
フレアーやゴーストなどの迷光は被走査面上の像を不鮮明にし、例えばレーザビームプリンタ(LBP)では印字が不鮮明になるという問題になる。さらに近年、中間調を持つ画像を表現する為、感光ドラムの感度が向上する傾向にあり、迷光による画質の劣化は無視できないものとなってきている。
【0016】
本発明は回折面によって生じる不要回折光の迷光の結像状態を被走査面上でピンぼけ状態にすることにより、該不要回折光の迷光により生じる画像の劣化を防止し、クリアで鮮明なる画像を得ることができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の走査光学装置は、光源手段から出射された少なくとも1つの光束を偏向手段に入射させる入射光学手段と、該偏向手段で反射偏向した光束を被走査面上に結像させるための出射面に回折面を設けた回折光学素子を含む結像手段とを有し、該結像手段により該回折光学素子の出射面に設けた回折面を透過する際に発生した1次使用回折光を該被走査面上に結像させている走査光学装置であって、
該回折面で生じ該回折光学素子の入射面で反射し、該被走査面上を主走査方向に走査する該被走査面上での6次不要回折光の副走査方向の広がり幅をΦs、該被走査面上での6次不要回折光の主走査方向の広がり幅をΦm、該被走査面上での該6次不要回折光の走査幅をLm、該被走査面上での該1次使用回折光の有効走査幅をLoとするとき、
Φs/Φm>Lo/Lm
Φs/Φm>1
なる条件を満足することを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明の走査光学装置は、光源手段から出射された少なくとも1つの光束を偏向手段に入射させる入射光学手段と、該偏向手段で反射偏向した光束を被走査面上に結像させるための出射面に回折面を設けた回折光学素子を含む結像手段とを有し、該結像手段により該回折光学素子の出射面に設けた回折面を透過する際に発生した1次使用回折光を該被走査面上に結像させている走査光学装置であって、
該回折面で生じ該回折光学素子の入射面で反射し、該被走査面上を主走査方向に走査する該被走査面上での6次不要回折光の副走査方向の広がり幅をΦs、該被走査面上での6次不要回折光の主走査方向の広がり幅をΦm、該被走査面上での該6次不要回折光の走査幅をLm、該被走査面上での該1次使用回折光の有効走査幅をLoとするとき、
Φs/Φm>Lo/Lm
Φs/Φm>1
なる条件を満足し、
且つ、該6次不要回折光は、副走査断面内において、該回折面と被走査面との間で一旦集光していることを特徴としている。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記回折光学素子はプラスチック製であることを特徴としている。
【0020】
請求項4の発明の画像形成装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、該走査光学装置で走査された光束によって該感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴としている。
【0021】
請求項5の発明の画像形成装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して該走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
図1は本発明の走査光学装置の実施形態1の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)、図2は図1の主要部分の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。図3は不要回折光の迷光13の走査幅Lmと有効走査幅Loとの関係を示した主走査断面図、図4は回折光学素子の回折面で生じた不要回折光が屈折面で表面反射して不要回折光の迷光13として被走査面上に入射する様子を示した主走査断面図である。
【0026】
尚、本明細書において光偏向器によって光束が反射偏向(偏向走査)される方向を主走査方向、結像手段の光軸及び主走査方向と直交する方向を副走査方向と定義する。
【0027】
図中、1は光源手段であり、単一の発光点を有する半導体レーザーより成っている。2はコリメーターレンズであり、光源手段1から出射された発散光束を略平行光束に変換している。3は開口絞りであり、通過光束(光量)を制限している。4はシリンドリカルレンズであり、副走査方向にのみ所定の屈折力を有しており、開口絞り3を通過した光束を副走査断面内で後述する光偏向器5の偏向面5aにほぼ線像として結像させている。
【0028】
尚、半導体レーザー1、コリメーターレンズ2、開口絞り3、そしてシリンドリカルレンズ4等の各要素は入射光学手段の一要素を構成している。
【0029】
5は偏向手段としての例えばポリゴンミラー(回転多面鏡)より成る光偏向器であり、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。
【0030】
6はfθ特性を有する結像手段(fθレンズ系)であり、光偏向器5側から順にプラスチック製のトーリックレンズ61、そして射出成形により製作されたプラスチック製の長尺の回折光学素子62を有しており、全系では主走査方向と副走査方向とで互いに異なる所定の屈折力を有しており、光偏向器5によって反射偏向(偏向走査)された画像情報に基づく光束を被走査面9上に結像させ、かつ光偏向器5の偏向面5aの面倒れを補正している。長尺の回折光学素子62は入射面63が屈折面、出射面64が回折面(回折格子面)で構成されている。本実施形態での回折面のベース面は巨視的に見て平面形状である。
【0031】
本実施形態では光偏向器5で反射偏向された光束15(15P、15U、15L)のうち大部分の光束は回折面64で使用する次数(通常は+1次)の回折光(使用回折光)12(12P、12U、12L)として回折されて被走査面9上に結像され、ビームスポットを形成する。
【0032】
ここで使用回折光とは回折面64で回折される回折光のうち、被走査面9上にスポットを形成させる為に使用する回折光のことである。また使用する次数の回折光に対して、他の次数の回折光を不要回折光と称す。本実施形態における使用回折光は1次の透過回折光であり、不要回折光の主たるものは6次の反射回折光(反射6次回折光)である。
【0033】
7はスリット部材であり、回折面64と被走査面9との間の光路中に配置され、主走査方向に沿って略平行に配置された細長い形状より成っている。
【0034】
9は被走査面としての感光ドラム面、10は感光体(像担持体)である。
【0035】
本実施形態において光源手段1から出射した発散光束はコリメーターレンズ2により略平行光束とされ、開口絞り3によって該光束を制限して副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンドリカルレンズ4に入射している。シリンドリカルレンズ4に入射した略平行光束のうち主走査断面内においてはそのままの状態で射出する。また副走査断面内においては集束してポリゴンミラーから成る光偏向器5の偏向面(反射面)5aにほぼ線像として結像している。
【0036】
そして光偏向器5の偏向面5aで反射偏向された光束をfθ特性を有する結像手段6を介して被走査面としての感光ドラム面9上に導光し、該光偏向器5を矢印A方向に回転させることによって、該感光ドラム面9上を矢印B方向(主走査方向)に光走査して画像情報の記録を行なっている。
【0037】
ここで光偏向器5で反射偏向された光束15の回折面64で回折された回折光12と不要回折光の振る舞いについて図2及び図4を用いて説明する。
【0038】
同図において13は回折面64で回折された不要回折光(反射6次回折光)のうち、屈折面63で表面反射し、さらに回折面64で使用回折光(通常は+1次回折光)として被走査面9上に向かう不要回折光の迷光である。
【0039】
本実施形態では図2に示すように不要回折光の迷光13が副走査断面内において回折面64と被走査面9との間で一旦集光した後、被走査面である感光ドラム面9に対し集光せずに副走査方向にΦsの幅に広がってピンぼけ状態で入射している。また図4に示すように不要回折光の迷光13が主走査断面内において回折面64と被走査面9との間で一旦集光した後、被走査面である感光ドラム面9に対し集光せずに副走査方向にΦmの幅に広がってピンぼけ状態で入射している。
【0040】
反射6次回折光の迷光が被走査面上をどのように走査するかは前記図9で説明した如くである。即ち、図9において横軸は本来のビームスポットが被走査面9上に到達する像高であり、縦軸はそのときの反射6次回折光の迷光が被走査面9上に到達する位置である。図9でわかるように本来のビームスポットが被走査面9上を走査していくと、それに応じて反射6次回折光の迷光も被走査面9上を走査し、その走査範囲は±80mm程度(走査幅Lm=160)で有効走査範囲±110mm(有効走査幅Lo=220)の約73%である。
【0041】
不要回折光の迷光の走査範囲が狭くなるということは走査速度が遅くなること、還元すれば迷光のエネルギー密度が増すことになる。
【0042】
そこで本実施形態では、回折光学素子62の屈折面63の主走査方向及び副走査方向の曲率半径等を適切に設定することにより、被走査面9に入射したときの不要回折光の迷光13の広がり(大きさ)を、主走査方向よりも副走査方向の方が広くなるように設定している。即ち、本実施形態では、下記の条件式(1)
Φs/Φm>Lo/Lm ………(1)
Φs/Φm>1
(但し、Φs:被走査面上での不要回折光の迷光の副走査方向の広がり
Φm:被走査面上での不要回折光の迷光の主走査方向の広がり
Lm :不要回折光の迷光の走査幅
Lo :有効走査幅)
を満たすように結像手段6の副走査方向のパワー配置を適時最適化に設定している。これにより本実施形態では被走査面(感光ドラム面)9上において副走査方向にビームを広げ、即ち不要回折光の迷光13の結像状態を被走査面9上でピンぼけ状態にすることにより、迷光のエネルギー密度を低減させて、クリアで鮮明なる画像を得ている。
【0043】
具体的には図9から分かるように不要回折光の迷光の主走査方向の広がりΦmが高々8mm程度であるので、該不要回折光の迷光の副走査方向の広がりΦsをΦs>11(mm)となるように最適化すれば、Lo/Lm=1.37であるので上記関係式(1)を満たすことができる。
【0044】
次に本実施形態において特に不要回折光として6次の反射回折光に注目する理由を述べる。回折面64のように光学素子の出射面に回折格子を形成する場合、使用する透過回折光の次数をnとすると、回折面64の格子高さhは、通常使用する透過回折光の回折効率が最大になるように設定される。具体的には光源の使用波長λの整数倍の位相差がつくように格子高さhを設定すればよく、以下の式になる。
【0045】
h=nλ/(N−1) ………(2)
(但し、N:回折格子を構成する部材の使用波長λでの屈折率)
このとき回折面64で生じる反射回折光でも同様に、使用波長λの整数倍の位相差がついてしまう次数の反射回折光が最大になってしまう。具体的には、そのような反射回折光の次数をmとすると、
h=mλ/(2N) …………(3)
なる式を満たすものが最大になる。
【0046】
上記関係式(2),(3)から、次数mとnとの関係は、
m/n=2N/(N−1)………(4)
となる。この関係式(4)の右辺は回折格子を構成する部材の使用波長λでの屈折率で決まるが、一般的なガラスやプラスチックの材質の屈折率はおおよそ1.4〜2.0の範囲であるので、関係式(4)から
4≦m/n≦7 ………(5)
が導かれる。
【0047】
回折格子の使用する次数は通常n=1であり、回折光学素子62は製造の容易さとコストの面からプラスチックで構成される場合は、材質の屈折率N≒1.5なので、関係式(4)から6次の反射回折光が強く発生することになる。
【0048】
このように本実施形態では上述の如く被走査面9に入射したときの不要回折光の迷光13の広がりを、主走査方向よりも副走査方向の方が広くなるように設定することにより、被走査面9上の像(ビームスポット)を鮮明にすることができ、これにより例えばレーザビームプリンタでは印字が不鮮明になるという問題点を解決することができる。
【0049】
尚、本実施形態においても前述した従来例と同様に走査光学装置の温度変動に伴う主走査方向の倍率変化及びピント変化が、結像手段の屈折部と回折部とのパワー変化と、光源手段である半導体レーザーの波長変動により補正されるようにしている。
【0050】
[実施形態2]
図5は本発明の走査光学装置の実施形態2の主走査方向の要部断面図(主走査断面図)、図6は図5の主要部分の副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。図5、図6において図1、図2に示した要素と同一要素には同符番を付している。
【0051】
本実施形態において前述の実施形態1と異なる点は、光源手段を複数の発光点を有する例えばマルチ半導体レーザー31より構成した点、不要回折光の迷光13の大部分を制限部材32により制限した点であり、その他の構成及び光学的作用は実施形態1と略同様であり、これにより同様な効果を得ている。
【0052】
即ち、図中31は光源手段であり、複数の発光点を有する例えばマルチ半導体レーザー31より成っている。32は制限部材としての感光体10を保持する不透明な樹脂からなるケーシングであり、回折面64と被走査面9との間の光路中に光束の偏向方向に沿って配置した入射窓33を有しており、該入射窓33により回折面64で回折された回折光のうち、使用回折光(通常は+1次回折光)を通過させ、それ以外の他の次数の不要回折光の迷光の大部分を遮光している。
【0053】
ここで光偏向器5で反射偏向された光束15の回折面64で回折された回折光の振る舞いについて図6を用いて説明する。
【0054】
同図においてケーシング32は、既知の電子写真プロセスを実現する感光体10とプロセス部品(不図示)とを一体化にし、これらを覆う第1、第2のケーシング部材32a,32bから構成されている。
【0055】
同図において13は回折面64で反射された不要回折光(反射6次回折光)のうち、屈折面63で表面反射し、さらに回折面64で使用回折光(通常は+1次回折光)として被走査面9上に向かう不要回折光の迷光である。
【0056】
この不要回折光の迷光13は副走査断面内において回折面64と被走査面9との間で一旦集光した後、大部分が入射窓33により制限され、その一部が被走査面である感光ドラム面9に対し集光せずに副走査方向に広がってピンぼけ状態で入射している。
【0057】
入射窓33は第1、第2のケーシング部材32a,32bの主走査方向に略平行な端部(エッジ部)32a1,32b1より形成され、本来のビームスポットを形成する光束12をそのまま通過させ、不要回折光の迷光13の大部分を遮光している。即ち、反射6次回折光の迷光を入射窓33で制限している。これにより入射窓33が無い場合に感光体10に到達してしまっていた不要回折光の迷光14を大幅に低減することができる。
【0058】
このように本実施形態では上述の如く回折面64で回折されるの回折光のうち、使用する次数の回折光(使用回折光)に対して他の次数の不要回折光の迷光13をケーシング32に設けられた入射窓33により制限し、また前述の実施形態1と同様に回折光学素子62の屈折面63の主走査方向及び副走査方向の曲率半径等を適切に設定し、被走査面9に入射したときの不要回折光の迷光13の広がりを、主走査方向よりも副走査方向の方が広くなるように設定することにより、被走査面9上の像(ビームスポット)を鮮明にすることができ、これにより例えばレーザビームプリンタでは印字が不鮮明になるという問題点を解決することができる。
【0059】
尚、本実施形態では不要回折光の迷光を制限する制限部材(入射窓)をケーシング32を構成する第1、第2のケーシング部材32a,32bの端部(エッジ部)32a1,32b1より形成したが、必ずしもこれに限られるものではない。また回折面64と被走査面9との間で主走査方向に沿って配置された制限部材としては感光体10近傍に配置される既知の電子写真プロセスを実現する部品・装置、例えば帯電装置や現像装置などの形状を最適化にして用いてもよい。更には回折面64と被走査面9との間にある枠体や側壁などの構造体などでもよい。
【0060】
その他、制限部材としては、前述の実施形態1に示したスリット部材7を利用し、該スリット部材7の開口部を適切に設定することにより、不要回折光の迷光13を制限するようにしても良い。
【0061】
尚、各実施形態においては結像手段(走査レンズ系)を2枚のレンズより構成したが、これに限定されるものではなく、例えば1枚もしくは3枚以上であっても良い。また結像手段のレンズタイプは各実施形態に示したタイプに限定されるものではなく、回折光学素子を用いた結像手段全てに適用することができる。更に回折面も1面に限定されるものではなく、複数面に回折格子を形成してもよい。
【0062】
更に光源手段は半導体レーザーに限定されるものではない。また各実施形態はそれぞれ単一の発光点のレーザー、もしくは複数の発光点のレーザーであるが、これに限定されるものではない。更に複数ビームの光源として、モノリシックマルチビームや、複数のシングルビームを合成したマルチビームなど既知の複数ビームを発する光源であってもよい。
【0063】
また各実施形態においては6次の反射回折光のみ着目して説明したが、これに限定されるものではない。また前述したように回折光学素子の屈折率や設計上の使用する次数によって発生する高次の回折光の次数は異なるので適時、適応させることができる。また実際の製造においては回折格子の高さの誤差を生じるので発生する高次回折光の次数にも誤差が生じるので適時、適応させることができる。
【0064】
尚、以上の各実施形態においてスリット部材7により回折面64から生ずる使用回折光以外の不要回折光の一部を遮光するようにしても良い。
【0065】
また各実施形態では射出成形で製作されたプラスチック製の長尺な回折光学素子を用いているが、ベース基板上に回折格子を製作するレプリカ法で作製された回折光学素子を用いても良い。また回折光学素子の回折面のベース面は平面形状に限らず、例えば曲面形状であっても良い。
【0066】
[画像形成装置]
図7は、前述した実施形態1又は2の走査光学装置を用いた画像形成装置(電子写真プリンタ)の実施形態を示す副走査方向の要部断面図である。図7において、符号104は画像形成装置を示す。この画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ111によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換される。この画像データDiは、各実施形態1、2で示した構成を有する光走査ユニット100に入力される。そして、この光走査ユニット(走査光学装置)100からは、画像データDiに応じて変調された光ビーム(光束)103が出射され、この光ビーム103によって感光ドラム101の感光面が主走査方向に走査される。
【0067】
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム101は、モータ115によって時計廻りに回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光ビーム103に対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光ドラム101の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光ドラム101の−表面に、前記光走査ユニット100によって走査される光ビーム103が照射されるようになっている。
【0068】
先に説明したように、光ビーム103は、画像データDiに基づいて変調されており、この光ビーム103を照射することによって感光ドラム101の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、上記光ビーム103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転方向の下流側で感光ドラム101に当接するように配設された現像器107によってトナー像として現像される。
【0069】
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された転写ローラ(転写器)108によって被転写材たる用紙112上に転写される。用紙112は感光ドラム101の前方(図7において右側)の用紙カセット109内に収納されているが、手差しでも給紙が可能である。用紙カセット109端部には、給紙ローラ110が配設されており、用紙カセット109内の用紙112を搬送路へ送り込む。
【0070】
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙112はさらに感光ドラム101後方(図7において左側)の定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113とこの定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されており、転写部から撒送されてきた用紙112を定着ローラ113と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙112上の未定着トナー像を定着せしめる。更に定着ローラ113の後方には排紙ローラ116が配設されており、定着された用紙112を画像形成装置の外に排出せしめる。
【0071】
図7においては図示していないが、プリントコントローラ111は、先に説明データの変換だけでなく、モータ115を始め画像形成装置内の各部や、光走査ユニット100内のポリゴンモータなどの制御を行う。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば前述の如く結像手段の屈折面で表面反射して被走査面に入射したときの不要回折光の迷光の広がり(大きさ)を主走査方向よりも副走査方向の方が広くなるように設定することにより、該迷光が被走査面上で集光するのを防止することができ、これにより画像のフレアーが鮮明に移しこまれることがなくなり、該迷光の影響を低減させることができ、よって従来、迷光により生じていた画像の劣化、特に本発明の走査光学装置を用いた画像形成装置の画像の印字が不鮮明となる問題点を防止し、クリアで鮮明なる画像を得ることができる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1の主走査方向の要部断面図
【図2】 本発明の実施形態1の主要部分の副走査方向の要部断面図
【図3】 本発明の実施形態1の主走査方向の要部断面図
【図4】 本発明の実施形態1の主走査方向の要部断面図
【図5】 本発明の実施形態2の主走査方向の要部断面図
【図6】 本発明の実施形態2の主要部分の副走査方向の要部断面図
【図7】 本発明の光走査装置を用いた画像形成装置(電子写真プリンタ)の構成例を示す副走査方向の要部断面図
【図8】 従来の走査光学装置の要部概略図
【図9】 反射6次回折光の迷光がどのように被走査面上を走査するかを示した図
【符号の説明】
1 光源手段(半導体レーザー)
2 コリメーターレンズ
3 開口絞り
4 シリンドリカルレンズ
5 偏向手段(光偏向器)
6 結像手段
7 スリット部材
9 被走査面(感光ドラム面)
8 制限手段(入射窓)
31 光源手段(マルチ半導体レーザー)
61 トーリックレンズ
62 回折光学素子
63 屈折面
64 回折面
100 光走査装置
101 感光ドラム
102 帯電ローラ
103 光ビーム
104 画像形成装置
107 現像装置
108 転写ローラ
109 用紙カセット
110 給紙ローラ
111 プリンタコントローラ
112 転写材(用紙)
113 定着ローラ
114 加圧ローラ
115 モータ
116 排紙ローラ
117 外部機器
Claims (5)
- 光源手段から出射された少なくとも1つの光束を偏向手段に入射させる入射光学手段と、該偏向手段で反射偏向した光束を被走査面上に結像させるための出射面に回折面を設けた回折光学素子を含む結像手段とを有し、該結像手段により該回折光学素子の出射面に設けた回折面を透過する際に発生した1次使用回折光を該被走査面上に結像させている走査光学装置であって、
該回折面で生じ該回折光学素子の入射面で反射し、該被走査面上を主走査方向に走査する該被走査面上での6次不要回折光の副走査方向の広がり幅をΦs、該被走査面上での6次不要回折光の主走査方向の広がり幅をΦm、該被走査面上での該6次不要回折光の走査幅をLm、該被走査面上での該1次使用回折光の有効走査幅をLoとするとき、
Φs/Φm>Lo/Lm
Φs/Φm>1
なる条件を満足することを特徴とする走査光学装置。 - 光源手段から出射された少なくとも1つの光束を偏向手段に入射させる入射光学手段と、該偏向手段で反射偏向した光束を被走査面上に結像させるための出射面に回折面を設けた回折光学素子を含む結像手段とを有し、該結像手段により該回折光学素子の出射面に設けた回折面を透過する際に発生した1次使用回折光を該被走査面上に結像させている走査光学装置であって、
該回折面で生じ該回折光学素子の入射面で反射し、該被走査面上を主走査方向に走査する該被走査面上での6次不要回折光の副走査方向の広がり幅をΦs、該被走査面上での6次不要回折光の主走査方向の広がり幅をΦm、該被走査面上での該6次不要回折光の走査幅をLm、該被走査面上での該1次使用回折光の有効走査幅をLoとするとき、
Φs/Φm>Lo/Lm
Φs/Φm>1
なる条件を満足し、
且つ、該6次不要回折光は、副走査断面内において、該回折面と被走査面との間で一旦集光していることを特徴とする走査光学装置。 - 前記回折光学素子はプラスチック製であることを特徴とする請求項1又は2の走査光学装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、該走査光学装置で走査された光束によって該感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して該走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴とする画像形成装置。
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