JP3735196B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物およびそれを用いた光学シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物およびそれを用いた光学シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
輝度向上用プリズムシート、プロジェクションテレビ用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等の光学シートは、プレス法、切削法、押出し法等の方法で製造されていた。いずれの方法も生産性が悪いため、現在は透明プラスチックシート等の透明シート状基材の上に活性エネルギー線硬化性組成物によりプリズム層、レンズ層等の光学樹脂層を形成する方法が利用されている(例えば、特公平1−35737号公報)。
【0003】
この方法により従来法に比較して光学シートの生産性は大きく向上した。最近では、さらなる生産性の向上を目指して活性エネルギー線硬化性組成物および連続する透明シート(例えば、PETシート、ポリカーボネートシート)と円筒金型を用いて、連続的に光学シートを生産する方法が採用されている(特開平5−169015号公報等)。
【0004】
しかしながら、このような連続生産方法においては、ある程度の生産性の向上は図ることができるものの、必ずしも満足できるものではなかった。そこで、さらなる生産性の向上を図る方法として、連続生産機のラインスピードを高速にすることが考えられるが、この場合には、活性エネルギー線の照射量が相対的に低下し、組成物の十分な硬化が行われず、得られた光学シートの物性が不十分となる傾向があり、特に硬化樹脂層と透明シート基材との密着性が得られないという問題点があった。このため光学樹脂層を形成するのに用いられる活性エネルギー線硬化性組成物については、硬化性の向上と密着性の向上が強く望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れた活性エネルギー線硬化性を有し、透明シート状基材との密着性に優れた光学樹脂層を生産性よく形成することができる活性エネルギー線硬化性組成物を用いた光学シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造を有するウレタンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール骨格を有するジ(メタ)アクリレートおよび芳香族モノ(メタ)アクリレートを特定の比率で配合し、かつ、該配合物中の重合性官能基数を特定範囲にコントロールした硬化性組成物が活性エネルギー線による硬化が速く、しかも低活性エネルギー線照射量でも透明基材シートとの密着性が良好に発現されることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(A)下記一般式(I)
【化5】
で示されるウレタンジ(メタ)アクリレート20〜60重量部、
(B)下記一般式(II)
【化6】
で示されるビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート10〜45重量部、
(C)下記一般式(III)または下記一般式(IV)
【化7】
【化8】
で示されるモノ(メタ)アクリレート10〜50重量部、
(D)分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物0〜30重量部、および
(E)活性エネルギー線官能性ラジカル重合開始剤0.01〜5重量部
(ただし、(A)〜(D)成分の合計量を100重量部とする。)を主成分として含有し、重合性官能基数が2mmol/g以上であり、かつ硬化後の屈折率が1.52以上である活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られるプリズム形状の樹脂層またはレンズ形状の樹脂層が透明シート状基材上に形成されてなる光学シートにある。
【0008】
さらに本発明は、上記の活性エネルギー線硬化性組成物の25℃での粘度が100mPa・s以上、40℃での粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする上記記載の光学シートにある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物およびそれを用いた光学シートに関して詳細に説明する。
【0010】
なお、本明細書中に記載される化合物において、(メタ)アクリロイルオキシは、メタクリロイルオキシおよびアクリロイルオキシを表わし、また、(メタ)アクリルはメタクリルおよびアクリルを表わし、さらに(メタ)アクリレートはメタクリレートおよびアクリレートを表わす。
【0011】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(以下、硬化性組成物と略記する。)は、上記一般式(I)で示されるウレタンジ(メタ)アクリレート(A)、上記に一般式(II)で示されるビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート(B)、上記一般式(III) または(IV)で示されるモノ(メタ)アクリレート(C)、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物(D)および活性エネルギー線官能性ラジカル重合開始剤(E)を所定量含有して構成される。
【0012】
本発明の硬化性組成物の第1成分である、一般式(I)で示されるウレタンジ(メタ)アクリレート(A)は、硬化性組成物に速硬化性と、該硬化性組成物を硬化して得られる光学樹脂層と透明シート状基材との密着性を付与させる成分である。これらは、ベンゼン環、イソホロン環を有する2官能イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる。
【0013】
2官能イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物との反応は、例えば両者を混合し、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫等の錫化合物を用いて加熱することにより容易に得ることができる。反応が急激に起こる場合には、触媒とイソシアネート化合物を混合した溶液に水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を徐々に滴下して反応を行ってもよい。また、触媒と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を混合した溶液にイソシアネート化合物を滴下してもよい。
なお、上記の反応で得られるウレタンジ(メタ)アクリレートが高粘度となるときは、このウレタン化反応に直接関係ない低粘度の(メタ)アクリレート化合物等の反応希釈剤を使用してもよい。
【0014】
ウレタンジ(メタ)アクリレート(A)の合成に用いることのできる2官能イソシアネート化合物は、分子内に芳香族環、脂肪族環構造を有するジイソシアネートである。具体例としては、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(α,αジメチルイソシアネートメチル)ベンゼン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート等を挙げることができる。得られる光学樹脂層の表面硬度、耐熱性を考慮すると芳香族系のジイソシアネートの使用が好ましい。また、活性エネルギー線照射による硬化時の黄変性を考慮すると、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(α,αジメチルイソシアネートメチル)ベンゼンの使用が好ましい。ウレタンジ(メタ)アクリレート(A)の合成に用いることのできる水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、ウレタンジ(メタ)アクリレート(A)は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0015】
本発明の硬化性組成物の第2成分である、一般式(II)で示されるビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート(B)は、硬化性組成物を硬化して得られる光学樹脂層に柔軟性と高屈折率を付与するための成分である。一般式(II)中、m,nはエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドによる変性数を表わし、2≦m+n≦12である。m+nが2未満では、得られる光学樹脂層に十分な柔軟性を付与することが困難となり、また、一方、m+nが12を超えると得られる光学樹脂層の表面硬度、耐熱性、屈折率が低下するようになる。好ましくは、4≦m+n≦10とするのがよい。
【0016】
本発明で用いられるビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート(B)の具体例としては、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−プロパン、2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル]−プロパン、2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル]−プロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−プロパン等を挙げることができる。
これらのビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート(B)は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0017】
本発明の硬化性組成物の第3成分である、一般式(III) または一般式(IV)で示される分子内に芳香族環を有するモノ(メタ)アクリレート(C)は、屈折率を下げることなく硬化性組成物の粘度を低下させて作業性を向上させる成分である。本発明で用いることのできるモノ(メタ)アクリレート化合物(C)の具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0018】
本発明の硬化性組成物の第4成分である、分子内に少なくとも一つ以上の重合性二重結合を有する化合物(D)は、硬化して得られる光学樹脂層に耐熱性、表面硬度等の諸物性の付与あるいは硬化性組成物の粘度を低下させて作業性を向上させる成分である。特に本発明の硬化性組成物においては、高粘度のウレタンジ(メタ)アクリレートを用いているので、組成物の粘度を低下させ注型作業性を向上させるために、(D)成分としては低粘度の(メタ)アクリレート化合物等を用いるのが好ましい。
【0019】
化合物(D)の具体例としては、例えば、
(1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸フォスフォエチル等のモノ(メタ)アクリレート化合物;
(2)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
(3)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート;
(4)1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコージ(メタ)アクリレート、1,14−テトラデカメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのカプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、シジクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート化合物;(5)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフォン、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフィド、ジ((メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フォスフェート、トリ[(メタ)アクロイルオキシエトキシ]フォスフェート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;
(6)スチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジビニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;
(7)ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリル、ジアリルフタレート、ジメタリルフタレート等のアリル化合物;
等が挙げられる。
これらは1種もしくは2種以上の混合系で使用することができる。
【0020】
本発明の硬化性組成物の第5成分である、活性エネルギー線官能性ラジカル重合開始剤(E)は、紫外線や可視光線に代表される活性エネルギー線に感応してラジカルを発生するものが好ましく、公知のものを用いることができる。
【0021】
本発明で用いられる(E)成分の具体例としてはベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド、カンファーキノン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピロリル−1−フェニル)チタニウム等の可視光線感応性のラジカル重合開始剤等を挙げることができる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
これらの中でも、メチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドの使用が好ましい。
【0023】
本発明の硬化性組成物における(A)〜(E)成分の割合は、(A)〜(D)成分の合計量を100重量部としたとき、(A)成分が20〜60重量部、(B)成分が10〜45重量部、(C)成分が10〜50重量部、(D)成分が0〜30重量部であり、そして(E)成分が、(A)〜(D)成分の合計量100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部となるように配合される。
【0024】
これは、
(A)成分が20重量部未満では、硬化性組成物に十分な速硬化性ならびに硬化して得られる光学樹脂層と透明基材シートとの十分な密着性が得られなくなり、一方、60重量部を超えると硬化性組成物の粘度が高くなり、注型重合の作業性が低下する。
(B)成分が10重量部未満では、硬化して得られる光学樹脂層に柔軟性と高屈折率を付与することができなくなり、一方、45重量部を超えると、光学樹脂層と透明シート上基材との十分な密着性が得られない。
(C)成分が10重量部未満では、硬化性組成物の粘度が高くなって作業性が低下し、また、50重量部を超えると光学樹脂層と透明シート状基材との密着性が低下する。
(D)成分が30重量部を超えると硬化性組成物の速硬化性ならびに光学樹脂層と透明シート状基材との密着性が低下する。
(E)成分が0.01重量部未満では硬化性組成物の硬化性が不十分となり、また、5重量部を超えると、光学樹脂層が黄変するようになる。
等の理由によるためである。
【0025】
本発明の硬化性組成物は、上記の成分を含有して構成されるが、該硬化性組成物においては、重合性官能基数が2mmol/g以上であることが重要である。これは、硬化性組成物中の重合性官能基数が2mmol/g未満では本発明の硬化性組成物の特徴である速硬化性と透明シート状基材との十分な密着性が達成されなくなるためである。好ましくは重合性官能基数を3.0mmol/g以上とするのがよい。
【0026】
なお、ここで言う、重合性官能基とは、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等の不飽和二重結合基を意味し、重合性官能基数は、(A)〜(D)成分からなる組成物中の1gあたりの重合性官能基総数を算出して求めた(但し、(A)〜(D)成分の合計量を100gとした)。
【0027】
さらに、本発明においては上記の硬化性組成物の硬化後の光学樹脂層の屈折率が1.52以上であることが重要である。これは、硬化後の光学樹脂層の屈折率が1.52未満では輝度向上用プリズムシートによる十分な輝度向上効果を得ることができないためである。
【0028】
本発明の硬化性組成物の粘度については、該硬化性組成物を金型に注入し透明シート状基材を重ね合せる際の作業性の点から100〜1000mPa・sであることが好ましい。これは、硬化性組成物の粘度が1000mPa・sを超えると注型重合時の作業性が低下し、また、一方、粘度が100mPa・s未満の場合には、硬化性組成物を金型に注入し光学シートを製造する場合に流動性が高いために金型より流出しやすく、そのため硬化して得られる光学樹脂層の一定の厚みが確保しにくくなったりするためである。注型作業は、一般的に25〜40℃の範囲のある一定温度を選び行われるので、硬化性組成物は、25℃での粘度が100mPa・s以上、40℃での粘度が1000mPa・s以下とすることが好ましい。
【0029】
本発明の硬化性組成物には必要に応じて、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料、沈降防止剤、消泡剤、帯電防止剤、防曇剤など、各種の添加剤を含有させてもよい。
【0030】
以上説明した本発明の硬化性組成物は、プリズムシート、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズ等の光学レンズシート、特に液晶表示装置等のバックライトに使用される輝度向上用プリズムシートに非常に有用である。
【0031】
次に、上記硬化性組成物を用いた本発明の光学シートについて、本発明の光学シートの一例であるプリズムシートを例にとり説明する。
【0032】
本発明に係るプリズムシートは、図1に示すように透明シート状基材1と本発明の硬化性組成物を硬化させたプリズム形状の光学樹脂層2から構成される。透明シート状基材1の材質は、活性エネルギー線が通過する柔軟な硝子板でもよいが、一般的にはアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリエステル樹脂等の透明合成樹脂フィルムの使用が望ましい。プリズム形状の光学樹脂層2は、透明シート状基材1に直接に設けられるが、透明シート状基材1とプリズム形状の光学樹脂層2との密着性をより向上させるために、図2に示すように透明シート状基材とプリズム形状の光学樹脂層とが接する面に密着性向上のための表面処理4を施してもよい。表面処理4としては、例えば、透明シート状基材1がポリエステル樹脂の場合にはアクリル樹脂やウレタン系樹脂等の易接着層を形成したり、透明シート状基材1の表面を粗面化処理する等の方法が挙げられる。また、透明シート状基材1に帯電防止性能を付与してもよい。
【0033】
本発明の光学シートの製造方法について、プリズムシートの製造方法を例示して、以下に説明する。
本発明の光学シートは、バッチ生産方式および連続生産方式の何れの方法においても製造することができ、本発明の組成物を光学樹脂層2に使用することによって生産性を向上させることができる。まず、バッチ生産方式について図3〜5に基づいて説明する。
【0034】
プリズムシートを製造する際には、図3に示すように、プリズムパターンを形成させたレンズ金型6(図5)に硬化性組成物5を注入延伸した後、その上面に透明シート状基材1を重ね合わせ、該シート状基材1を通して活性エネルギー線を照射し硬化させる。その後、図4に示すように透明シート状基材1とプリズム形状の光学樹脂層2とが一体化したプリズムシート3をレンズ金型6から剥離する。
【0035】
活性エネルギー線発光光源としては、化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ、太陽光等が使用できる。照射エネルギーとしては、200〜600nmの波長の積算エネルギーが5〜500mJ/cm2 となるように照射する。また、活性エネルギー線の照射雰囲気としては、空気中でも良いし、窒素、アルゴン等の不活性ガス中でもよい。
【0036】
プリズムシートを形成するために使用する、レンズ金型6としては、アルミニウム、黄銅、鋼等の金属製の型やシリコン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、フッソ樹脂あるいはポリメチルペンテン樹脂等の合成樹脂から作った型または、上記材料にメッキを施したものや各種金属粉を混合したものから製作した型を用いることができるが、耐熱性や強度の面から金属製の型を使用することが望ましい。
【0037】
次に、連続生産方式について図6に基づいて説明する。
図中7は、レンズパターンを形成した円筒形レンズ型であり、前記レンズ型6と同様の材料から製作される。構造的には、円筒材料に直接プリズムパターンを形成したものや、プリズムパターンを形成した薄板を芯ロールに巻き付け固定したもの等が使用される。図中8は、円筒形レンズ型7に近接して配置されたニップロールであり、透明シート状基材1と円筒形レンズ型7との間に注入される硬化性組成物5の膜厚の均一化を図るものである。ニップロール8としては、各種金属製ロール、ゴム製ロール等が使用される。図中9は、硬化性組成物5を貯蔵するタンクであり、貯蔵する組成物の温度制御ができるようにタンク内部あるいは外部にシーズヒータや温水ジャケット等の熱源設備が配置されている。
【0038】
タンク9に貯蔵された硬化性組成物5は、配管を通って供給ノズル10から、透明シート状基材1と円筒形レンズ型7との間に供給される。その後、硬化性組成物5が、透明シート状基材1と円筒形レンズ型7との間に保持され、硬化性組成物5が円筒形レンズ型7に形成されたプリズムパターンに入り込んだ状態で、活性エネルギー線発光光源11により透明シート状基材1を通して活性エネルギー線を照射して、硬化性組成物5を重合硬化させ、プリズムパターンを転写する。その後、得られたプリズムシート3を円筒形レンズ型7から剥離する。
【0039】
活性エネルギー線発光光源11としては、前記と同様に化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ、太陽光等が使用され、照射エネルギーとしては波長200〜600nmの積算エネルギーが5〜500mJ/cm2 となるように照射することが望ましい。
【0040】
以上、本発明の光学シートをプリズムシートを例にとり説明して来たが、プリズムシートの光学樹脂層をレンズ形状の光学樹脂層に変更することにより、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等の光学シートを得ることができる。
【0041】
以下、合成例、実施例、比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、例中の部は重量部を表わす。
【0042】
なお、合成例、実施例、比較例において用いた略記号は以下の化合物を表わす。
UA1:合成例1で得られたウレタンジアクリレート
UA2:合成例2で得られたウレタンジアクリレート
UA3:合成例3で得られたウレタンジアクリレート
UA4:共栄社油脂化学製、UF−8001(無黄変タイプオリゴウレタンアクリレート、2官能、分子量約4500)
POA:フェノキシエチルアクリレート
BZA:ベンジルメタクリレート
BISA:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−110)
BPE4EA:2,2−ビス[4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学工業(株)製、A−BPE−4)
BPE10EA:2,2−ビス[4−(アクリロキシペンタエトキシ)フェニル]プロパン(第一工業製薬製、BPE−10)
HDDA:1,6−ヘキサメチレングリコールジアクリレート
HMPP:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0043】
[合成例1]ウレタンジアクリレートUA1の合成
5リットルのガラス製反応容器に、イソホロジイソシアネート(ダイセルヒュルス(株)製、分子量218.3)(以下IPDIと略記する。)2183部、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫6.4部および禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール6.4部を入れ、70℃に加温しながら撹拌して均一溶液にした。この系の温度を70℃に保ち撹拌しながら2−ヒドロキシプロピルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、分子量130.1)2602部を5時間かけて徐々に滴下した。さらにこの系の温度を70℃に保ち8時間反応を続行してウレタンジアクリレートUA1を得た。反応の終了は、IRスペクトル、イソシアネート当量の測定より行った。
【0044】
[合成例2]ウレタンジアクリレートUA2の合成
5リットルのガラス製反応容器に、IPDI 2183部、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫を6.4部および禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを6.4部入れ、70℃に加温しながら撹拌して均一溶液にした。この系の温度を70℃に保ち撹拌しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、分子量116.1)2322部を5時間かけて徐々に滴下した。さらにこの系の温度を70℃に保ち8時間反応を続行してウレタンジアクリレートUA2を得た。反応の終了は、IRスペクトル、イソシアネート当量の測定により行った。
【0045】
[合成例3]ウレタンジアクリレートUA3の合成
5リットルのガラス製反応容器に、キシリレンジイソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネート500、分子量194.2)1942部、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫を2.0部および重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを1.3部入れ、60℃に加温しながら撹拌して均一溶液にした。この系の温度を70℃に保ち撹拌しながら2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、分子量116.1)2322部を5時間かけて徐々に滴下した。さらにこの系の温度を70℃に保ち8時間反応を続行してウレタンジアクリレートUA3を得た。反応の終了は、IRスペクトル、イソシアネート当量の測定により行った。
【0046】
[実施例1]
(イ)硬化性組成物の調製
合成例1で得られたウレタンジアクリレートUA1 45部、BPE10EA45部、POA 10部およびHMPP(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チバガイギー製 Darocure1173)2部を50℃でよく混合して均一溶液とし、注型作業温度である40℃まで冷却し保温した。表1にこの硬化性組成物の特性値を示した。
【0047】
(ロ)プリズムシートの作製
硬化性組成物5を図6に示した製造装置を用いてプリズムシートを製造する。円筒形レンズ型7は、ピッチ50μm、頂角95°の断面二等辺三角形のプリズム列を多数連接して形成した黄銅製の薄板に無電解ニッケルメッキを施したものを、直径220mm、長さ450mmのステンレス製の円筒状芯ロールに巻き付け固定したものを用いた。円筒形レンズ型7とゴム製のニップロール8との間に、円筒形レンズ型7の表面に巻き付くようにして片面に密着性向上処理を施したPETフィルム(東洋紡社製A4100、厚さ188μm)を、処理面が円筒形レンズ型側となるように装置内に導入した。次いで、タンク9に供給され40℃に保持した硬化性組成物5を供給ノズル10から、円筒形レンズ型7と透明シート状基材1との間に供給した。円筒形レンズ型7は、6m/分の速度で回転させた。供給された組成物5が、透明シート状基材1と円筒形レンズ型7との間に保持された状態で、9.6kW(120W/cm)の紫外線照射装置11により、照射量(積算エネルギー)が200mJ/cm2 となるように紫外線を照射し、硬化性組成物5を硬化・賦型した後、円筒形レンズ型7から剥離してプリズムシート3を得た。
【0048】
得られたプリズムシートを次の方法で評価した。結果を表2に示した。
【0049】
(1)硬化性
得られたプリズムシートの表面を人差し指で触れ、タックの有無から硬化性を判断した。
○:タックが認められない。硬化性良。
×:タックが認められる。硬化不良。
【0050】
(2)透明性
調整した硬化性組成物の透明性を目視判定した。
○:透明である。
×:濁りがあり、白濁している。
【0051】
(3)密着性
プリズム列面側にカミソリで基材フィルムに達する傷を2.0mmの間隔で縦、横それぞれ11本入れ、100個のます目を作り、セロハンテープ(幅25mm、ニチバン製)をプリズム面に密着させて急激に剥がした後、ます目の剥がれの程度で判断した。
○:剥がれが0〜4/100。
×:剥がれが5/100以上。
【0052】
(4)曲げ性
得られたプリズムシートを半径5cmの円筒に巻き付けたときプリズム層のクラックなどの破損状況から曲げ性を判断した。
○:クラック等の破損が発生しなかった。
×:クラック等の破損が発生した。
【0053】
(5)組成物の注入作業性
硬化性組成物のプリズム金型への注入作業性、および基材シートのラミネート性を判定した。
○:作業し易い。
×:泡等を巻き込み作業し難い。
【0054】
(6)プリズムの屈折率の測定
径65mm、厚さ3mmの二枚の円形ガラス板を対向させ、その外周をポリエステルテープで巻いて固定しガラス板の間隔が1mmである鋳型を作製した。次いで、その鋳型中に上記の硬化性組成物を注入した後、硝子板の片面から高圧水銀ランプにより数秒間紫外線を照射して硬化性組成物を硬化させた。次いで、その硬化した樹脂板を鋳型より取り出して、アッベ屈折率計により、ナトリウムD線光線による屈折率を測定した(20℃)。
【0055】
[実施例2〜6、比較例1、3]
表1に示した硬化性組成物、および表2に示した注型作業温度ならびに硬化照射量を用いた他は、実施例1と同様にしてプリズムシートを作製し、実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示した。
【0056】
[実施例7]
表1に示した割合で各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物5を調整した。この硬化性組成物を、ピッチ50μm、頂角(α)95°の断面二等辺三角形のプリズム列を多数連接して形成した黄銅製の概略Aサイズのレンズ金型6(図5)の上に、注入、塗布した。次いで、図3に示したように、概略同サイズの、片面に密着性向上処理を施したPETフィルム(東洋紡(株)製、A4100、厚さ188μm)を、処理面を組成物に接するように重ね合わせた。その後、PETフィルムの上部30cmのところに設置した6.4kW(80W/cm)の高圧水銀ランプにより、照射量が200mJ/cm2 となるように数秒間紫外線を照射し、硬化性組成物を硬化・賦型した後、金型から剥離してプリズムシートを得た。
硬化性組成物およびプリズムシートを実施例1と同様にして評価した。その結果は表2に示した。
【0057】
[比較例2]
表1に示した割合で各成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を調整した。この組成物を、実施例1と同様にしてプリズムシートを作製した。一方、この組成物を用いて、円筒形レンズ型7は、1.2m/分の速度で回転させる以外は、実施例1と同様にしてプリズムシートを作製した。
硬化性組成物およびプリズムシートを実施例1と同様にして評価した。その結果は表2に示した。
【0058】
[比較例4]
実施例1において、UA1をUA4に変更した以外は実施例7と同様にしてプリズムシートを作製し、実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示した。
この例においては、硬化性組成物の重合性官能基数が1.88mmol/gと低かったため、PETシートとプリズム層との密着性が不十分であった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、活性エネルギー線による硬化性がよく、透明シート状基材との密着性にも優れているため、該硬化性組成物を光学シートの光学樹脂層とすることによりプリズムシート、フレネルレンズシート、レンチキュラレンズ等の光学シートを効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学シートの一例であるプリズムシートの要部拡大側断面図。
【図2】本発明の光学シートの一例であるプリズムシートの他の構成例を示す要部拡大側断面図。
【図3】プリズムシートの製造における硬化性組成物の注型工程の概要を示す断面図。
【図4】プリズムシートの製造におけるプリズムシートの離型工程の概要を示す断面図。
【図5】プリズムシートの製造に用いられるプリズム金型の一例を示す斜視図。
【図6】本発明のプリズムシートを製造するための製造装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1…透明シート状基材
2…プリズム形状樹脂層
3…プリズムシート
4…表面処理層
5…硬化性組成物
6…レンズ金型
7…円筒形レンズ型
8…ニップロール
9…タンク
10…供給ノズル
11…活性エネルギー線発光光線
Claims (2)
- (A)下記一般式(I)
で示されるウレタジ(メタ)アクリレート20〜60重量部、
(B)下記一般式(II)
で示されるビスフェノール系ジ(メタ)アクリレート10〜45重量部、
(C)下記一般式(III)または下記一般式(IV)
で示されるモノ(メタ)アクリレート10〜50重量部、
(D)分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物0〜30重量部、および
(E)活性エネルギー線官能性ラジカル重合開始剤0.01〜5重量部
(ただし、(A)〜(D)成分の合計量を100重量部とする。)を主成分として含有し、重合性官能基数が2mmol/g以上であり、かつ硬化後の屈折率が1.52以上である活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られるプリズム形状の樹脂層、またはレンズ形状の樹脂層が透明シート状基材上に形成されてなる光学シート。 - 前記活性エネルギー線硬化性組成物の25℃での粘度が100mPa・s以上、40℃での粘度が1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載の光学シート。
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