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JP3752287B2 - 管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法 - Google Patents
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管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法に関し、詳しくは、例えば海水内に構築されるコンクリートあるいは鋼板等からなる管状構造物の内壁面に、貝あるいは海草等の海洋生物が付着するのを防止する管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
海中には、たとえばフジツボ、セルプラ、ムラサキイガイ、カキ、フサコケムシ、ホヤ、アオノリ、アオサ等の動植物性付着生物が多数生息している。これら海洋生物がたとえば海中に設置される火力・原子力発電所その他臨海プラントの冷却水取入管等に付着し生長すると、種々の被害が生ずる。その一例としては、発電所の冷却水取入管に上記のような海中生物が付着し生長すると、冷却用海水の流水抵抗が増加する結果、熱交換器の機能が低下し発電効率に悪影響を及ぼす。
【0003】
こうした事態を回避するために、従来から予め管状構造物の内壁面に各種の防汚塗料を塗布しておくとともに、必要に応じて冷却水の取り入れを一旦停止し、ダイバーにより海洋生物を取り除くようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダイバーが直接取り除く場合であっても、海洋生物の付着が余りにも多すぎてかなりの回数で取り除き作業を行なう必要があり、未だ充分な解決には至っていない。
【0005】
また、冷却水取入管は、通常、水深6〜10mの所にあり、ドライな環境にできないことから防汚塗料を塗布することも困難を極めている。
また、他の防汚壁構築方法としては、特開昭55−500623号公報(「海洋構造物の汚損防止」)に記載されている方法が既に公知であるが、この方法を冷却水取入管または排水管に適用することは困難である。
【0006】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、海面下に構築される管状構造物に貝等の海洋生物が付着生長することを極力防止することができる管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る管状構造物の防汚壁構造は、
海水等の流体を流すための管状構造物の内壁面に合成樹脂製の複数の分割体からなる防汚パネルを着脱自在に装着した環状構造物の防汚壁構造であって、
一方の側方に配置される分割体と他方の側方に配置される分割体の少なくとも一つの端部同士の当接部は流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定されることを特徴としている。
【0008】
ここで、前記防汚パネルの分割体は、前記管状構造物の天井部に配置される第1の分割体と、この第1の分割体の一方の側方に配置される第2の分割体および他方の側方に配置される第3の分割体とから構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記第2の分割体と第3の分割体との端部同士の当接部は流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定されることが好ましい。
さらに、上記目的を達成するための本発明に係る防汚壁構築方法は、
管状構造物の内壁面に合成樹脂製の3つの分割体からなる防汚パネルを着脱自在に取付けることにより、管状構造物の内壁面に防汚壁を構築する管状構造物の防汚壁構築方法であって、
前記管状構造物の天井部に配置されるべき1つの分割体を、水面下でエアー袋により浮き上がらせて前記天井部に押し当てておく工程と、
前記天井部に配置された分割体の両側に、他の2つの分割体を当てがうとともに、これら他の2つの分割体の接合部間に幅調整可能な拡張治具を差し渡し、これらの分割体を前記管状構造物の内壁面に当接させておく工程と、
前記両側に配置された2つの分割体間の接合部間の距離を一定に維持するために前記拡張治具に代えて邪魔板を介在させる工程と、
前記邪魔板が配置された2つの分割体の接合部間を流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定する工程とを備えたことを特徴としている。
【0010】
【作用】
上記構成による本発明によれば、防汚パネルが分割体により構成されているので、海水内への持ち運びが容易であるとともに、既に構築された管状構造物の内壁に防汚壁を構築していくことが可能である。
【0011】
ここで、分割体を天井部に配置される第1の分割体と、その両側に配置される第2の分割体および第3の分割体とから構成すれば、少ない工程によりパネルを構成することができる。また、天井部に配置される第1の分割体を上方に浮かせておくことができるので、その状態のまま他の分割体の取付け作業を行うことができる。
【0012】
また、板状係止具で2つの分割体間を着脱自在に固定するようにしているので、離間距離に一定にしながら分割体の組み付け、分解が容易である。
さらに上記方法によれば、水面下での作業性が良好であり、分割体からなるパネルを管状構造物の内壁面に容易かつ確実に固定することができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明に係る管状構造物の防汚壁構造およびその防汚壁の構築方法について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、海水中に既に建造され稼動している火力発電所の冷却水取入管に、本発明の一実施例に係る防汚壁構造を新たに付設する場合の例を示したものである。
【0015】
この火力発電所の冷却水取入管1は、図において外環を構成するものであるが、水深10m程の所に設置され、内径は1900φ、全長は約400mの長さを有している。通常このような管状構造物である冷却水取入管1は、鋼板あるいはコンクリート等から構築されている。
【0016】
このような冷却水取入管1の内周面には、流体に運ばれてくる海洋生物の温床となることを防止する目的で、海洋生物が付着生長し難い防汚パネル2が着脱自在に取付けられる。
【0017】
上記防汚パネル2は、表面に防汚塗料が塗布されたFRPなどの合成樹脂からなるもので、図2に示したように、3つ割あるいは4つ割などの同心状の分割体から構成されている。実施例の防汚パネル2は、3つ割の分割体を例示したもので、第1の分割体3(アッパーパネル)と第2の分割体4(サイドパネル)と第3の分割体5(サイドパネル)とから構成されている。これらの分割体は、流体に対する抵抗力および適度な自己保持力が必要であり、10mm〜20mm程度の厚さであることが好ましい。
【0018】
また、第1の分割体3と第2の分割体4との連結部である肩部A、および第1の分割体3と第2の分割体5との連結部である肩部Bは、各々同じ構造で組付けられており、詳細は図3に示されている。すなわち、これら第1、第2および、第3の分割体は、各々略円弧状に形成されているが、第2の分割体4の一方の端部4aと、第3の分割体5の一方の端部5aには、嵌合片6が一体に取付けられている。これらの嵌合片6は、第2の分割体4および第3の分割体5に一体成形しても良いが、図3に示したように別体で形成したものをネジ7、7などで固定しても良い。
【0019】
一方、第2の分割体4と第3の分割体5との接合部である底部Cは、図1および図4に示したように組付けられている。
すなわち、第2の分割体4の他方の端部4bと第3の分割体5の他方の端部5bとの接合部である底部Cは、ゴムあるいはFRPなどの合成樹脂で別体に形成された板状係止具8を介して着脱自在に固定されている。
【0020】
この板状係止具8は、流体の流れ方向に細長く帯状に配置されるもので、後述するように、留めナット9とボルト10との螺合により固定されている。
以下、既に水面下に構築された冷却水取入管1の内壁面に実際に防汚パネル2を設置する場合の作業について詳述する。
【0021】
今、冷却水取入管1は鋼板から形成されている。また、内面には、適宜な箇所に電気防蝕用の亜鉛板が既に設置されている。
この冷却水取入管1に新たに防汚パネル2を設置するには、先ず、ダイバーが冷却水取入管1から海洋生物を除去するとともに電気防蝕用の亜鉛板が一旦取り外される。
【0022】
この作業を行うときに、図4および図5に示したように冷却水取入管1の内周側の底面に留めナット9を溶接しておく。このような留めナット9は、冷却水取入管1に流体の流れ方向に所定間隔はなして複数個設置される。そして、後に適宜な位置の留めナット9を介して上記亜鉛板を固定すれば良い。
【0023】
上記の留めナット9を溶接する作業が終了したら、天井部に配置される第1の分割体3(アッパーパネル)を水面下に運び込み、図5に示したように、この第1の分割体3を空気袋11の浮力を利用して冷却水取入管1の上部に浮き上がらせる。そして、この第1の分割体3を、取付け作業完了まで浮き上がらせておく。
【0024】
続いて、2つのサイドパネルすなわち第2の分割体4と、第3の分割体5とを第1の分割体3の側方にそれぞれ組み付ける。第2の分割体4と第3の分割体5の各一方の端部4a、5aには、嵌合片6、6が取付けられているので、この嵌合片6の突起を利用して第1の分割体3の両端部を、図3に示したようにそれぞれ合致させれば良い。これにより、3つの分割体3、4、5を環状に組付けることができる。しかしながら、未だ3つの分割体間の結合力は弱いので、図6に示したように幅調整が可能にされた拡張治具11が用意され、この拡張治具11の第2の分割体4の他方の端部4bと第3の分割体5の他方の端部5bとの間に設置され、その後、邪魔板22が設置される。
【0025】
以下、拡張治具11を利用して邪魔板22を取り付けるための作業について説明する。3つの分割体が冷却水取入管1の内壁に組み込まれた後、予め用意された拡張治具11が、図6に示したように第2の分割体4の他方の端部4bと第3の分割体5の他方の端部5bとに間に差し渡される。そして、拡張治具11のナット12、12を操作することで、中央の舌片13、13が左右方向に移動され、端部4b、端部5b間が押し拡げられる。これにより、第2の分割体4と第3の分割体5は、各々第1の分割体3の各端部に隙間なく当接することになる。これと同時に、第1、第2および第3の分割体3、4、5が冷却水取入管1の内周面に密に当接することになる。なお、拡張治具11は後に取り外されるため、拡張治具11を取り外した状態で第2の分割体4と第3の分割体5とが互いに接近しないように、図7に示したように、孔22aを有する邪魔板22をこの隙間にある留めナット9を囲むように挟み込む。これにより、端部間の間隙Dが一定に維持される。
【0026】
こうして、第2の分割体4と第3の分割体5との間に複数の邪魔板22を挟んだら、拡張治具11を取り外す。以後、間隙Dは、邪魔板22により一定に維持される。
【0027】
続いて、第2の分割体4の他方の端部4bと第3の分割体5の他方の端部5bとの間に、細長い板状係止具8を流体の流れ方向に配置する。なお、この板状係止具8の長さは分割体の長さと略等しい長さであり、留めナット9にボルト10を挿通できるように所定の間隔で長孔を形成しておくことが好ましい。
【0028】
板状係止具8を配置したら、留めナット9にそれぞれボルト10を螺合させることで、第2の分割体4の他方の端部4bと第3の分割体5の他方の端部5bとが狭持され、これらが移動不能に狭持される。
【0029】
このようにして、冷却水取入管1に第1の分割体3、第2の分割体4および第3の分割体5とからなる一構成単位としての防汚パネルの組付けが完了することになる。
【0030】
なお、例えば、400mもの長い冷却水取入管に3つの分割体からなる防汚パネルを組み付けていく場合には、上記のような構成単位としてのパネルユニット20が多数必要になり、これらパネルユニット20を多数用意して順番に組み付けていくことになる。
【0031】
その際、肩部A,Bおよび底部Cのような接合部は隣接するパネルユニット間で若干位置をずらすと良い。また、パネルユニット間および分割体の接合部に生じる隙間等に、防汚塗料を塗布しておけば、一層、海洋生物の付着を防止することができる。
【0032】
また、流体の流れ方向に配置されるパネルユニット20、20間には、例えば図8に示したように、環状の連結具21を差し込めば良い。この連結具21は、合成ゴムあるいはFRPなどの適宜な合成樹脂で形成される。このような環状の連結具21を多数用意することにより、パネルユニット20、20間を環状にも連結することができる。
【0033】
また、作業の安全を図るためには、既設の冷却水取入管1が数百メートルにも及ぶ際には、冷却水取入管1内に例えば、50mおきにエアーステージを設けることが好ましい。また、冷却水取入管1に具備されたマンホールを解放した状態で作業を行うと良い。
【0034】
上記のようにして、既に水面下に構築された冷却水取入管1に、合成樹脂からなる防汚パネル2を安全にかつ容易に設置することができる。そして、取付け工事の終了後、海洋生物の付着を防止できる所定期間が経過したら、これらを取り外して他の分割体からなる防汚パネルを取付ければ良い。なお、取り外したパネルは、再使用することができる。
【0035】
なお、本発明で対象となる管状構造物としては、火力・原子力発電所その他臨海プラントの冷却水取入管の他、排水管、海底パイプラインなどのように海中に設置される管状構造物、さらには淡水中に設置される管状構造物が挙げられる。
【0036】
また、本発明で用いられる防汚パネル2の分割体の材料としては、具体的には、塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、メチルメタクリレート、ポリカーボネート、FRP(ガラス繊維強化プラスチックス)、CRP(炭素繊維強化プラスチックス)等の硬質板、または塩化ビニル、ポリオレフィン、塩化ビニリデン等のフィルムを使用することができる。
【0037】
また、上記実施例では、既設の管状構造物に防汚壁を構成する例を示したが、新規な管状構造物にも適用できるのは勿論である。その場合にも、防汚パネルは管状構造物の内壁に、着脱自在に設置される。
【0038】
また、上記実施例では、冷却水取入管1が鋼板から形成された例を示したが、勿論、コンクリートから形成される冷却水取入管からなるものであっても良い。この場合には、留めナットを溶接する代わりにケミカルアンカーを打ち込むことにより分割体をコンクリートからなる冷却水取入管1に固定することができる。
【0039】
また、拡張治具11の形状および嵌合片6の形状および邪魔板12の形状等は実施例に何ら限定されない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る管状構造物の防汚壁構造によれば、管状構造物の内壁面に別体で形成された防汚パネルを着脱自在に装着するようにしているので、既設の冷却水取入管であれ、新規な冷却水取入管に防汚壁を構成する場合であれ、簡単にしかも、低コストで防汚壁を構築することができる。しかも、この防汚壁は取外しが可能であるので、必要に応じて取外して他の防汚パネルと交互に使用していくことができる。
【0041】
したがって、たとえば火力発電所の冷却水取入管の接水表面に防汚処理を施すためには、従来、比較的短期間で海洋生物を除去する必要があったが、本発明によれば、その除去する期間を長く設定することができ、また防汚効果のなくなった防汚パネルを新しい防汚パネルと取り替えることもでき、その着脱が容易である。
【0042】
また、本発明によれば、防汚パネルは分割体から形成されているので、製造および持ち運びが容易である。
さらに、本発明による防汚壁の構築方法によれば、少ない分割体から管状構造物に防汚壁を構成することができ、しかも天井部に配置される分割体を水面下で浮き上がらせて他の取付け作業を行うことができるので、取付け作業性が良好である。しかも、パネルを取付けしたり、また管状構造物から取外すときには、板状係止具を離脱すれば良いので、分解組立作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る管状構造物の防汚壁構造を採用した火力・原子力発電所の冷却水取入管の斜視図である。
【図2】図2は、図1で使用された防汚パネルを分解して示す正面図である。
【図3】図3は、図1のA部を拡大して示す斜視図である。
【図4】図4は図1のC部を拡大して示す断面図である。
【図5】図5は本発明に係る防汚壁の構築方法で採用された作業の一工程を説明する概略図である。
【図6】図6は本発明に係る防汚壁の構築方法で採用された作業の他の工程であり、拡張治具の使用状態を説明する断面図である。
【図7】図7は本発明に係る防汚壁の構築方法で採用された拡張治具の使用状態を説明する平面図である。
【図8】図8は本発明の一実施例によるパネルユニット間の連結状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 冷却水取入管(管状構造物)
2 防汚パネル
3 第1の分割体
4 第2の分割体
5 第3の分割体
4a、5a 一方の端部
4b、5b 他方の端部
8 板状係止具
10 拡張治具
22 邪魔板

Claims (4)

  1. 海水等の流体を流すための管状構造物の内壁面に合成樹脂製の複数の分割体からなる防汚パネルを着脱自在に装着した環状構造物の防汚壁構造であって、
    一方の側方に配置される分割体と他方の側方に配置される分割体の少なくとも一つの端部同士の当接部は流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定されることを特徴とする管状構造物の防汚壁構造。
  2. 前記防汚パネルの分割体は、前記管状構造物の天井部に配置される第1の分割体と、この第1の分割体の一方の側方に配置される第2の分割体および他方の側方に配置される第3の分割体とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の管状構造物の防汚壁構造。
  3. 前記第2の分割体と前記第3の分割体との端部同士の当接部は流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の管状構造物の防汚壁構造。
  4. 管状構造物の内壁面に合成樹脂製の3つの分割体からなる防汚パネルを着脱自在に取付けることにより、管状構造物の内壁面に防汚壁を構築する管状構造物の防汚壁構築方法であって、
    前記管状構造物の天井部に配置されるべき1つの分割体を、水面下でエアー袋により浮き上がらせて前記天井部に押し当てておく工程と、
    前記天井部に配置された分割体の両側に、他の2つの分割体を当てがうとともに、これら他の2つの分割体の接合部間に幅調整可能な拡張治具を差し渡し、これら分割体を前記管状構造物の内壁面に当接させておく工程と、
    前記両側に配置された2つの分割体間の接合部間の距離を一定に維持するために前記拡張治具に代えて邪魔板を介在させる工程と、
    前記邪魔板が配置された2つの分割体の接合部間を流体の流れ方向に延びる板状係止具で着脱自在に固定する工程とを備えたことを特徴とする管状構造物の防汚壁構築方法。
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