JP3759067B2 - 橋かけ生分解性材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は橋かけ生分解性材料の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、生分解性材料と低濃度のアリル基を有するモノマーとよく混練した後、電離性放射線を照射すること等により橋かけを起こす橋かけ生分解性材料の製造方法であって、耐熱性などの性質を改善することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
生分解性ポリマーは通常の使用では、実用的物性を保持しつつ使用後は土壌中の微生物により消化・分解されるため、環境に負荷を与えない材料として注目されており、今後様々な分野で用途の拡大が期待されている。
【0003】
しかしながら、生分解性材料は、ポリエチレンやポリプロピレンのような汎用樹脂に比べ、耐熱性や加工性が低いため普及が遅れている。このため需要の拡大にはこれらの物性の改善が不可欠である。
【0004】
このような生分解性材料の例としては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンサクシネートとその共重合体、ポリ乳酸が挙げられる。ポリ(ε−カプロラクトン)は生分解性が極めて高いが融点が60℃であるため、包装材や農業分野での使用が難しい材料である。ポリブチレンサクシネートとその共重合体はポリエチレンに近い性質を持ち、これからの需要の拡大が期待されているが、融点が100℃付近であるため熱湯により変形や溶融が起こる。また、ポリ乳酸はガラス転移温度が50〜60℃にあるため、自動車の車内や夏場の野外では製品が変形することがある。従って、これらの材料の耐熱性を改善することが強く望まれている。
【0005】
ポリマー材料の耐熱性の改善としては放射線の工業利用が挙げられ、ラジアルタイヤの前加硫、耐熱電線の製造、熱収縮チューブの製造などの例がある。これらの製造はいずれも放射線による橋かけ技術を駆使したものである。このような放射線加工技術による製品の98%は橋かけ技術による強度や耐熱性の改善である。
【0006】
汎用樹脂であるポリエチレンは代表的な橋かけポリマーであり、橋かけ促進剤などを使わなくても100kGy程度の放射線照射で耐熱電線や熱収縮チューブの製造に必要な機能が得られる。例えば、ポリエチレンは100℃付近で溶融するため熱湯には耐えられない材料であるが、これを改善するため、放射線橋かけにより耐熱性が改善されている。また、同じく汎用樹脂であるポリプロピレンでは、照射による溶融張力の改善により成形性が容易になる技術が開示されている。加えて、ポリマー単独では分解しやすい材料や橋かけ効率が低い材料では、反応性の高い多官能性モノマーを使用することにより、放射線橋かけの促進が図られている。
【0007】
一方、生分解性ポリマーについては、脂肪族ポリエステルであるポリ(ε−カプロラクトン)に関し、過冷却相で効率的に橋かけを起こすことにより、耐熱性が改善できることが開示されている。加えて、ポリブチレンサクシネートとその共重合体に関し、無機物や無機化合物を混合することにより放射線照射又は化学開始剤による橋かけが促進されることが本発明者らにより発見されている。しかしながら、これらの技術については、過冷却相をつくるための温度制御が複雑である、またポリブチレンサクシネートとその共重合体は放射線橋かけが起こりにくく橋かけ後のゲル分率は55%程度であるという欠点がある。更に、ポリ乳酸に関しては、放射線照射では分解のみが起きるので有効な橋かけ技術は未だ見出されていない。
【0008】
耐熱性改善のための放射線橋かけを促進する他の技術としては、ポリ塩化ビニルなどの非生分解性ポリマーに関して、一分子内に二つ以上の二重結合をもつトリメチロールプロパントリメタクリレートのような多官能性モノマーを添加することにより、放射線橋かけが効率的に起きることが開示されている。この場合モノマーは通常、全体の5%以上という比較的高い濃度で添加されている。しかしながら、このようなモノマーは照射により100%反応させることが難しく、必ず未反応モノマーが橋かけモノマー中に残留してしまう。
【0009】
一般に、生分解性材料はその99%以上が微生物の働きにより分解されるものとして分類されるが、多官能性モノマーを用いる橋かけ技術を生分解性材料について適用する場合には、多官能性モノマーの濃度によっては生分解性材料としての意義が左右されることになる。従って、生分解性材料について、できるだけ低濃度で橋かけを効率的に起こすことができるモノマーの探索が望まれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明した従来技術の問題点を鑑み、本発明が解決しようとする課題は以下の通りである。すなわち、本発明は、低濃度のアリル基を有するモノマーを用いた橋かけにより生分解性材料の耐熱性を改善することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため、放射線橋かけ及び化学開始剤橋かけについて鋭意研究を重ねた。
【0012】
その結果、原料である生分解性材料と1%以下という低濃度のアリル基を有するモノマーとをよく混練することにより効率的に生分解性材料の橋かけが起き、得られる橋かけ生分解性材料の耐熱性が改善できることを見出し本発明を完成した。
【0013】
即ち本発明は、生分解性材料を溶融し、溶融された生分解性材料中にアリル基を有するモノマーを添加し混練し、そして溶融物の橋かけを行う、橋かけ生分解性材料の製造方法を課題解決手段とする。
【0014】
本発明はまた、アリル基を有するモノマーを含む溶剤に生分解性材料を溶解し、該溶解物を混練し、そして該溶解物の橋かけを行う、橋かけ生分解性材料の製造方法を課題解決手段とする。
【0015】
本発明において、特に低濃度でも橋かけに効果的なモノマーは、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシヌレートなどが挙げられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、生分解性材料とアリル基を有するモノマーとを混練してから橋かけを行うことによりその耐熱性を改善することができる橋かけ技術を提供するものである。本発明によれば、ポリマー内に無数に三次元網目構造が生成し、融点以上でも成形物が変形しない耐熱性に優れた材料を得ることができる。また本発明の橋かけにより、橋かけ後の生分解性材料について80%以上というゲル分率を得ることができる。
【0017】
本発明において使用することができる生分解性材料には、石油合成により得られる生分解性材料および天然高分子が含まれる。これらは具体的には次のA群に示すものであり、単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
【0018】
A群:
ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体、ポリブチレンサクシネート・カーボネート共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ乳酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)とその共重合体、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート共重合体、ポリブチレンアジペート・テレフタレート共重合体、ポリテトラメチレンアジペート・テレフタレート共重合体、又はポリブチレンサクシネート・アジペート・テレフタレート共重合体などの石油合成により得られる生分解性材料。セルロース、デンプン、アルギン酸、カラギーナン、ヒアルロン酸、又はそれらの誘導体などの天然高分子。
【0019】
また、本発明において使用することができるアリル基を有するモノマーは、特に次のB群に示すものが好ましい。
B群:
トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンデート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルマレート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート。
【0020】
生分解性ポリマーであるポリブチレンサクシネートには、単独重合体とランダム共重合体であるポリブチレンサクシネート・アジペート(PBS−AD)とがある。ポリブチレンサクシネート単独の融点は116℃、ポリブチレンサクシネート・アジペートは96℃である。ポリ(ε−カプロラクトン)は土壌中での生分解性に優れた材料であるが、結晶融点が60℃であるためフィルムなどの用途には難しい材料である。従って、これらの材料の応用範囲を拡大するには耐熱性の改善が不可欠である。本発明では、これらの生分解性材料に対して1.0%以下(添加後の全体重量基準で)という極めて低い濃度のモノマーを添加し、照射又は化学開始剤によって橋かけ構造を導入することにより、その耐熱性を著しく向上することができる。
【0021】
ここで本明細書において、物質の量を示す「%」は各物質を添加した後の全体重量基準のパーセントを意味する。
本発明で製造される橋かけ生分解性材料は次のようにして合成される。即ち、本発明の一態様においては、まず、生分解性材料をその融点よりも20〜50℃高い温度で溶融してから、その中にアリル基を有するモノマーを添加しよく混練する。次いで、このブレンド物を均一に混ぜた後シート状に成形して電離性放射線を照射する。照射により橋かけが進行すると、クロロホルムに不溶なゲル成分が生成し、この成分が多いほど耐熱性の向上が期待できる。
【0022】
照射によって生成した活性種は空気中の酸素と結合して失活すると橋かけ効率を低下するため、照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。大きい試料の場合には、ガスバリヤー性の優れたポリ塩化ビニリデン製の袋であって真空シールしたものを使用すると容易に酸素除去下で照射を行うことができる。
【0023】
橋かけに要する照射の線量は1kGy〜300kGyでよいが、最も好ましい線量は1kGy〜150kGyである。
電離性放射線は、γ線、エックス線、又は電子線などを使用することができるが、工業的生産のためにはコバルト−60からのγ線と加速器による電子線が好ましい。電子加速器は厚物の照射ができる加速電圧1MeV以上の中エネルギーから高エネルギー電子加速器が最も好ましい。試料がフィルム状であれば、1MeV以下の低エネルギー電子加速器でも電子線が透過するため放射線橋かけを行うことができる。
【0024】
添加するモノマーの濃度は、添加後の全体重量基準で0.01〜3%が好ましいが、最も好ましい濃度は0.1〜1.0%である。生分解性プラスチックは、その99%以上が生分解性であるものと定義されていることから、生分解性の観点からは使用する橋かけ剤の濃度が低いことが好ましい。本発明の橋かけ剤は1%以下の濃度で充分な橋かけ効果があり、生分解性プラスチックの改質に極めて有用な橋かけ技術である。
【0025】
本発明の別の態様は、アリル基を有するモノマーを予め含む溶剤に生分解性材料を溶解しよく混練してから、この溶解物を平板の上にキャストして得られたシートに電離性照射線を照射して橋かけを行う技術(キャスト法)である。用いるモノマーおよび照射の雰囲気は、これまでに説明したものと同様である。
【0026】
本発明の更なる態様においては、放射線放射の代わりに化学開始剤を用いることにより橋かけを行う。この態様においてはまず、生分解性材料にその融点以上の温度でアリル基を有するモノマーと化学開始剤とを加え、よく混練し、均一に混ぜた後このブレンド物をシート状に成形し、化学開始剤が熱分解する温度まで上げる。更にこの態様においても、キャスト法、即ちモノマーと化学開始剤とを含む溶剤に生分解性材料を溶解し、平板上にキャストして得たシートを化学開始剤が熱分解を起こす温度まで上げ、橋かけを行う技術を使用することができる。
【0027】
本発明に使用することができる化学開始剤には、熱分解により過酸化ラジカルを生成する過酸化ジクミル、過酸化プロピオニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアシル、過酸化ペラルゴニル、過酸化ミリストイル、過安息香酸−t−ブチル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの過酸化物触媒又はモノマーの重合を開始する触媒であればいずれでもよい。橋かけは、放射線照射の場合と同様、空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。
【0028】
橋かけの程度はゲル分率により評価することができ、次のようにして求めることができる。照射橋かけ又は化学橋かけを行ったフィルムの所定量を200メッシュの金網に包み、クロロホルム溶剤の中で48時間煮沸する。次いで、溶解したゾル分を除き金網中に残ったゲル分を50℃で24時間乾燥しその重量を求める。ゲル分率は次式により算出する。
【0029】
ゲル分率(%)=(溶解成分を除いたゲル重量/初期乾燥重量)×100
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0030】
【実施例】
(比較例1)
分子量2.96×105のポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体40gをラボプラストミル混練器を用い150℃で融解した中に3官能性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを1.0%添加し、回転数20rpmで10分間良く練った。その後このブレンド物を取り出し熱プレスにより厚み0.5mmのシートを調製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(最大の加速電圧2MeV,最大の電流値30mA)により電子線を照射した。照射による橋かけの程度を示すゲル分率は表1の通りである。
【0031】
【表1】
【0032】
(実施例1)
トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりにトリアリルイソシアヌレートを1.0%添加したことを除いては、比較例1と同じ操作を繰り返した。ゲル分率を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(実施例2)
トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりにトリアリルシアヌレートを1.0%添加したことを除いては、比較例1と同じ操作を繰り返した。ゲル分率を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
(比較例2)
ポリ乳酸40gをラボプラストミル混練器を用い180℃で融解した中に3官能性モノマーであるトリメチロールプロパントリメタクリレートを1.0%添加し、回転数20rpmで10分間良く練った。その後ブレンド物を取り出し熱プレスにより厚み0.5mmのシートを調製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(最大の加速電圧2MeV,最大の電流値30mA)により電子線を照射した。ゲル分率は表4の通りである。
【0037】
【表4】
【0038】
(実施例3)
トリメチロールプロパントリメタクリレートの代わりにアリル基を有するモノマーとしてトリアリルイソシアヌレートを1.0%添加したことを除いては、比較例2と同じ操作を繰り返した。ゲル分率は表5の通りである。
【0039】
【表5】
【0040】
(比較例3)
分子量94,000のポリ(ε−カプロラクトン)40gをラボプラストミル混練器を用い150℃で融解した中に3官能性モノマーであるテトラメチロールメタンテトラアクリレートを0.5%添加し、回転数20rpmで10分間良く練った。その後ブレンド物を取り出し熱プレスにより厚み0.5mmのシートを調製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(最大の加速電圧2MeV,最大の電流値30mA)により電子線を照射した。ゲル分率は表6の通りである。
【0041】
【表6】
【0042】
(実施例4)
テトラメチロールメタンテトラアクリレートの代わりにアリル基を有するモノマーとしてトリメタアリルイソシアヌレートを0.5%添加したことを除いては、比較例3と同じ操作を繰り返した。ゲル分率は表7の通りである。
【0043】
【表7】
【0044】
(比較例4)
分子量1.75×105のポリブチレンサクシネート40gをラボプラストミル混練器を用い150℃で融解した中に3官能性モノマーであるトリメチロールトリメタクリレートを0.5%添加し、回転数20rpmで10分間良く練った。その後ブレンド物を取り出し熱プレスにより厚み0.5mmのシートを調製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(最大の加速電圧2MeV,最大の電流値30mA)により電子線を照射した。ゲル分率は表8の通りである。
【0045】
【表8】
【0046】
(実施例5)
トリメチロールトリメタクリレートの代わりにトリアリルイソシアヌレートを0.5%添加したことを除いては、比較例4と同じ操作を繰り返した。ゲル分率を表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】
トリアリルイソシアヌレートは0.5%の濃度でも高い橋かけ効率を示し、橋かけ後の材料においても高い耐熱性が得られた。
(比較例5)
分子量1.75×105のポリブチレンサクシネート40gをラボプラストミル混練器を用い150℃で融解した中に3官能性モノマーであるトリメチロールトリメタクリレートを0.5%添加し、回転数20rpmで10分間良く練った。その後ブレンド物を取り出し熱プレスにより厚み0.5mmのシートを調製した。このシートを、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(最大の加速電圧2MeV,最大の電流値30mA)により電子線を照射した。ゲル分率は表10の通りである。
【0049】
【表10】
【0050】
(実施例6)
トリメチロールトリメタクリレートの代わりにトリアリルイソシアヌレートを0.5%添加したことを除いては、比較例5と同じ操作を繰り返した。ゲル分率を表11に示す。
【0051】
【表11】
【0052】
以上の実施例から、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレートおよびトリメタアリルイソシアヌレートなどのアリル基を有するモノマーを全体重量基準で1%以下という極めて低い濃度で添加することにより、生分解性脂肪族ポリエステルの放射線橋かけが促進されることが明らかとなった。
【0053】
(比較例6)
ラボプラストミル混練器を用いポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体を120℃で融解し、ヘキサンジオールジアクリレートモノマー1%とジクミルパーオキサイド(40%)化学開始剤5%とを加え、回転速度20rpmで5分間混練した。この後ブレンド物を取り出し、同じ温度で熱プレスを用いて厚み0.5mmのシートを調製した。得られたシートを180℃で20分加熱して化学橋かけを行った。橋かけ試料のゲル分率は43.2%で、加熱を20分以上行ってもゲル分率の増加は観察されなかった。
【0054】
(実施例7)
ラボプラストミル混練器を用いポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体を120℃で融解し、トリアリルイソシアヌレート1%とジクミルパーオキサイド(40%)化学開始剤5%とを加え、回転速度20rpmで5分間混練した。シート調製と化学橋かけは比較例6と同様に行った。得られた橋かけ試料のゲル分率は76.6%であった。
【0055】
比較例6および実施例7から、化学開始剤による橋かけ試料についてもトリアリルイソシアヌレートのようなアリル基を有するモノマーが橋かけ助剤として有効であることが分かった。
【0056】
以上の実施例に説明したような橋かけにより、ポリブチレンサクシネートおよびポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体は、121℃のオートクレーブ滅菌を30分行っても溶融や変形のない耐熱性のある材料に改質することができる。また、ポリ乳酸では、50〜60℃のガラス転移温度を超えても変形の起こらない材料に改質することができるので、自動車の内装用資材への応用が期待できる。更に、ポリ(ε−カプロラクトン)は結晶融点(60℃)以上でも溶融しないので、シート同士が癒着しない耐熱性のあるものを得ることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明に従えば、アリル基を有するモノマーの添加により生分解性脂肪族ポリエステルの橋かけが促進され、得られる橋かけ材料の耐熱性が著しく向上した。これによりこれまでの課題となっていた脂肪族ポリエステルの耐熱性が解決でき、農業用資材、包装材、建築・土木資材など様々な分野に環境対応型材料としての応用が期待できる。
Claims (6)
- 生分解性材料を溶融し、
溶融された生分解性材料中に低濃度のアリル基を有するモノマーを添加し混練し、そして
溶融物の橋かけを行う、橋かけ生分解性材料の製造方法であって、アリル基を有するモノマーが全体重量基準で0.1〜1.0%の濃度である、前記橋かけ生分解性材料の製造方法。 - 低濃度のアリル基を有するモノマーを含む溶剤に生分解性材料を溶解し、
該溶解物を混練し、そして
該溶解物の橋かけを行う、橋かけ生分解性材料の製造方法であって、アリル基を有するモノマーが全体重量基準で0.1〜1.0%の濃度である、前記橋かけ生分解性材料の製造方法。 - 原材料としての生分解性材料が、ポリブチレンサクシネートとその共重合体、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、他の石油合成により得られる生分解性材料、若しくは天然高分子、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の橋かけ生分解性材料の製造方法。
- 橋かけ反応が電離性放射線の照射により開始される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の橋かけ生分解性材料の製造方法。
- 電離性放射線がγ線、エックス線、又は電子線であり、その線量が1〜1,000kGyである、請求項4記載の橋かけ生分解性材料の製造方法。
- 橋かけ反応が化学開始剤により開始される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の橋かけ生分解性材料の製造方法。
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