JP3882882B2 - 鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造、鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合方法、及び地下構造物構築方法 - Google Patents
鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造、鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合方法、及び地下構造物構築方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非開削方式で地下構造物を構築するために使用する鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する構造とその方法、及びこの鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートにより地下構造物を構築する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道線路や道路等の下方に非開削方式で地下構造物を構築する方法として、鋼製エレメントを推進又はけん引により地中に順次挿入して組み合わせ、エレメントにより囲まれた部分の土砂等を掘削し、鋼製エレメントからなる構造体(以下、「エレメント構造体」という。)を地下構造物の本体として利用する方法が用いられている。
【0003】
このような工法において、下床版を現場打ち鉄筋コンクリートで構成する場合、側壁部の下端のエレメントと下床版を剛結合構造とする必要がある。また、エレメント構造体の断面形状が「日」を横にした形状や「目」を横にした形状の場合に、中間に配置される中壁部の上端のエレメントと、対応する箇所の上床版のエレメントを剛結合構造とする場合がある。あるいは、例えばエレメント構造体の断面形状が「ロ」字状の場合に、最後にエレメントどうしを接合させる閉合部において、これらのエレメントを剛結合構造とする場合がある。
【0004】
このような場合、例えば、側壁部下端のエレメントと鉄筋コンクリート下床版との剛結合構造では、側壁部下端のエレメント内などに鉄筋を配置し、これらの鉄筋と下床版の鉄筋を接続して現場打ちコンクリートを打設し、側壁下端部と下床版との一体化を図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したエレメントによる地下構造物構築方法においては、エレメントという限られた狭い空間内で多数の鉄筋を定着又は接続しなければならず、作業が困難で施工性が悪く、施工の精度も低下する、という問題があった。
【0006】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを施工性良く、かつ高い施工精度で結合し得る結合構造、及びその方法等を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造は、矩形管状又は略「コ」字状の断面を有してエレメント軸方向に延設される鋼製部材の隅部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する構造であって、「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手が嵌合され、前記嵌合された各継手部の内部に形成される嵌合空間内にグラウト材が注入され硬化することにより前記接続継手部材が固定され、前記接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に設けられ前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された複数の結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋が重ね合わせ配置されて重ね鉄筋継手が形成され現場打ちコンクリートが打設され硬化することにより前記鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートが結合されることを特徴とする。
【0008】
上記の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、好ましくは、前記接続継手部材は、「−」字状断面を有し長手方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における両端部に前記長手方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた直線鋼矢板の前記鋼製平板部を前記長手方向に沿って切断することにより形成される。
【0009】
また、上記の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、好ましくは、前記結合鉄筋は、溶接又は機械的接合により前記鋼製平板部に接合される。
【0010】
また、上記の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、好ましくは、前記結合鉄筋は、帯鉄筋により取り囲まれて補強される。
【0011】
また、本発明に係る鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの第1の結合方法は、矩形管状又は略「コ」字状の断面を有してエレメント軸方向に延設される鋼製部材の隅部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する方法であって、「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋が前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された結合部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手を嵌合させ、次いで、前記嵌合した継手内に形成される嵌合空間内にグラウト材を注入して硬化させることにより前記結合部材を固定し、次いで、前記結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成し現場打ちコンクリートを打設し硬化させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの第2の結合方法は、矩形管状又は略「コ」字状の断面を有してエレメント軸方向に延設される鋼製部材の隅部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する方法であって、「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手を嵌合させ、次いで、前記嵌合した継手内に形成される嵌合空間内にグラウト材を注入して硬化させることにより前記接続継手部材を固定し、次いで、前記接続継手部材の結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋を前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設し、次いで、前記結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成し現場打ちコンクリートを打設し硬化させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る地下構造物構築方法は、矩形管状又は略「コ」字状の断面を有してエレメント軸方向に延設される鋼製部材の隅部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設けて前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントを、前記エレメント軸方向を挿入方向として地中に挿入し、次いで、他の鋼製エレメントを、前記エレメント継手部どうしを相互に嵌合させつつ地中に挿入し、前記嵌合したエレメント継手部内にグラウト材を注入し硬化させて前記鋼製エレメントどうしを固定することを繰り返して複数の鋼製エレメントを地中で連結させ、次いで、前記複数の鋼製エレメントが閉合する前に、閉合箇所の地盤を掘削して閉合空間を形成し、次いで、「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋が前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された結合部材を2個用いて前記結合鉄筋が対向するように配置させた構造体を上下2段に平行配置して前記結合鉄筋を帯鉄筋で取り囲んでカゴ状に構成したカゴ状部材の前記結合継手部と前記閉合空間内のエレメント継手を相互に嵌合させつつ前記カゴ状部材を前記掘削された閉合空間内に挿入し、次いで、前記カゴ状部材が挿入された閉合空間内に現場打ちコンクリートを打設し硬化させ、次いで、前記地中で連結された鋼製エレメントと前記閉合空間に形成された現場打ち鉄筋コンクリートによって構成されたエレメント構造体を防護工として前記エレメント構造体の内部の地盤を掘削し、次いで、前記エレメント構造体を本体として利用して地下構造物を構築することを特徴とする。
【0014】
上記の地下構造物構築方法において、好ましくは、前記閉合箇所には、前記閉合空間を掘削する時の土留めと前記現場打ちコンクリートを打設する時の型枠の機能を有する保護部材が配置される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
(1)第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態である地下構造物の全体構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、この地下構造物101は、「ロ」字状の断面形状を有する箱型の構造物である。地下構造物101は、現場打ち鉄筋コンクリートからなる下床版40と、「コ」を横にした形状の断面を有するエレメント構造体E1により構成されている。下床版40とエレメント構造体E1は、結合構造部41、42によって剛結合されている。
【0019】
また、エレメント構造体E1は、上床版部の中央位置に設置される基準管鋼製エレメント10と、基準管鋼製エレメント10に隣接させるように設置される一般部鋼製エレメント20と、エレメント構造体の4つの隅角位置に設置される隅角部鋼製エレメント30が組み合わされて構成されている。
【0020】
図2は、基準管鋼製エレメント10と、一般部鋼製エレメント20の構成と、接合状態を示している。図2(A)は、基準管鋼製エレメント10と、一般部鋼製エレメント20の断面図を示している。また、図2(B)は、エレメント継手部13、23の接合状態を示す拡大断面図である。図2(A )と図2(B)は、いずれも、鋼製エレメントの長手方向の軸の方向(以下、「エレメント軸方向」という。)に垂直な平面で切断した場合の基準管鋼製エレメント10と、一般部鋼製エレメント20の断面図を示している。
【0021】
図2(A)に示すように、基準管鋼製エレメント10は、2つの鋼製板状部材11と、2つの鋼製板状部材12と、4つのエレメント継手部13を有している。鋼製板状部材11と他の鋼製板状部材11は、互いに対向するように配置されてエレメント軸方向に延設されている。また、鋼製板状部材12と他の鋼製板状部材12は、互いに対向するように配置されるとともに鋼製板状部材11と直角となるように配置され、エレメント軸方向に延設される。これにより、2つの鋼製板状部材11と2つの鋼製板状部材12は、全体として矩形管状(「ロ」字状)の断面の鋼製部材を形成している。
【0022】
また、各鋼製板状部材11、12、11、12によって形成される矩形管状断面の4つの隅部のそれぞれには、エレメント軸方向に沿って延びる鋼製のエレメント継手部13が配設されている。
【0023】
エレメント継手部13の断面は、図2(B)に示すように、概略「C」字状の嵌合部13aと、嵌合部13aの背後に接続する基部13bを有して構成されている。また、嵌合部13aは、2つの突出部13c、13dを有している。突出部13cの先端は球根状に断面が拡大されている。また、突出部13cと突出部13dの中間は、ほぼ楕円状断面の凹部となっており、この部分は、略楕円状断面でエレメント軸方向に延びる溝13eとなっている。
【0024】
なお、図2(B)は、図2(A)における上部中央位置のエレメント継手部13の断面を示しているが、図2(A)における下部中央位置、右上位置、右下位置の隅部のエレメント継手部13についてもまったく同一形状のエレメント継手部位13が用いられており、その構成は図2(B)に図示するものとまったく同様である。
【0025】
また、各鋼製板状部材11、12と各エレメント継手部13との各接合箇所は、溶接部W1、W2、W3、W4によって接合されている。各鋼製板状部材11、12と各エレメント継手部13との接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0026】
上記のような構成により、エレメント継手部13の突出部13cの先端付近にエレメント軸方向に直角な方向(以下、「エレメント軸直角方向」という。)の力を作用させた場合、例えば、図2(B)における左方向に引張ると、この引張り力(以下、「第1引張り力」という。)は、突出部13cから基部13bに伝達され、基部13bから鋼製板状部材11に伝達され、鋼製板状部材11の図2(B)における左端に、図2(B)における左方向への引張り力を作用させることになる。
【0027】
一方、エレメント継手部13の突出部13dの先端付近にエレメント軸直角方向の力を作用させた場合、例えば、図2(B)における左方向に引張ると、この引張り力(以下、「第2引張り力」という。)は、突出部13dから基部13bを経て鋼製板状部材11に伝達され、鋼製板状部材11の図2(B)における左端に、図2(B)における左方向への引張り力を作用させることになる。
【0028】
上記のことから、エレメント継手部13の突出部13c及び13dと、基部13bは、外部から加えられる上記のエレメント軸直角方向の力(例えば、第1引張り力、第2引張り力)に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。また、エレメント継手部13の突出部13dには、上記の第1引張り力の一部と第2引張り力の一部との合成力が作用することを考慮し、その力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。例えば、突出部13dの厚みは十分な厚みとなっている。
【0029】
また、エレメント継手部13の基部13bには、上記の第1引張り力と第2引張り力の一部との合成力が作用することを考慮し、その力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面(例えば十分な厚み)を有している。また、鋼製板状部材11は、エレメント継手部13から伝達される上記のエレメント軸直角方向の力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。
【0030】
また、図2(A)に示すように、一般部鋼製エレメント20は、2つの鋼製板状部材21と、1つの鋼製板状部材22と、2つのエレメント継手部13と、2つのエレメント継手部23を有している。鋼製板状部材21と他の鋼製板状部材21は、互いに対向するように配置されてエレメント軸方向に延設されている。また、鋼製板状部材22は、鋼製板状部材21、21と直角となるように配置され、エレメント軸方向に延設される。これにより、2つの鋼製板状部材21と1つの鋼製板状部材22は、全体として「コ」字状の断面の鋼製部材を形成している。
【0031】
また、各鋼製板状部材21、22、21によって形成される「コ」字状断面の4つの隅部のうち、外部に対して開放された隅部、すなわち図2(A)における右上隅部及び右下隅部のそれぞれには、エレメント軸方向に沿って鋼製のエレメント継手部23が配設されている。
【0032】
また、各鋼製板状部材21、22、21によって形成される「コ」字状断面の4つの隅部のうち、外部に対して閉塞された隅部、すなわち図2(A)における左上隅部及び左下隅部のそれぞれには、エレメント軸方向に沿って上述したエレメント継手部13が配設されている。
【0033】
エレメント継手部23の断面は、概略「C」字状の嵌合部23aと、嵌合部23aの背後に接続する基部23bを有して構成されている。また、嵌合部23aは、2つの突出部23c、23dを有している。突出部23cの先端は球根状に断面が拡大されている。また、突出部23cと突出部23dの中間は、ほぼ楕円状断面の凹部となっており、この部分は、略楕円状断面でエレメント軸方向に延びる溝23eとなっている。
【0034】
なお、図2(B)は、図2(A)における上部中央位置のエレメント継手部23の断面を示しているが、図2(A)における下部中央位置の隅部のエレメント継手部23についてもまったく同一形状のエレメント継手部23が用いられており、その構成は図2(B)に図示するものとまったく同様である。また、一般部鋼製エレメント20におけるエレメント継手部13とその付近の構成は、上述した基準管鋼製エレメント10におけるエレメント継手部13とその付近の構成とまったく同様である。
【0035】
また、各鋼製板状部材21、22と各エレメント継手部13、23との各接合箇所は、溶接部W5、W6等によって接合されている。各鋼製板状部材21、22と各エレメント継手部13、23との接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0036】
上記のような構成により、エレメント継手部23の突出部23cの先端付近にエレメント軸直角方向の力を作用させた場合、例えば、図2(B)における右方向に引張ると、この引張り力(以下、「第3引張り力」という。)は、突出部23cから基部23bに伝達され、基部23bから鋼製板状部材21に伝達され、鋼製板状部材21の図2(B)における右端に、図2(B)における右方向への引張り力を作用させることになる。
【0037】
一方、エレメント継手部23の突出部23dの先端付近にエレメント軸直角方向の力を作用させた場合、例えば、図2(B)における右方向に引張ると、この引張り力(以下、「第4引張り力」という。)は、突出部23dから基部23bに伝達され、基部23bから鋼製板状部材21に伝達され、鋼製板状部材21の図2(B)における右端にM図2(B)における右方向への引張り力を作用させることになる。
【0038】
上記のことから、エレメント継手部23の突出部23c及び23dは、外部から加えられる上記のエレメント軸直角方向の力(例えば、第3引張り力、第4引張り力)に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。また、エレメント継手部23の突出部23dには、上記の第4引張り力と、第4引張り力に起因する曲げモーメントによる力の合成力が作用することを考慮し、その力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。例えば、突出部23dの厚みは十分な厚みとなっている。
【0039】
また、エレメント継手部23の基部23bには、上記の第3引張り力と第4引張り力との合成力が作用することを考慮し、その力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面(例えば十分な厚み)を有している。また、鋼製板状部材21及び22は、エレメント継手部13、23から伝達される上記のエレメント軸直角方向の力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。
【0040】
次に、上記した基準管鋼製エレメント10と一般部鋼製エレメント20によるエレメント構造体の施工方法について説明する。
【0041】
まず、、基準管鋼製エレメント10を、エレメント軸方向に向けて地中に挿入する。この場合、基準管鋼製エレメント10の内部にオーガードリル等を配備して、エレメント内部の土砂等を掘削、除去しつつ、エレメントの地中への挿入を行う。その後、一般部鋼製エレメント20の開放側隅部に設けられたエレメント継手部23、23のそれぞれを、基準管鋼製エレメント10のエレメント継手部13のうちの2つ(例えば、図2(A)における左上隅部の継手と左下隅部の継手)と嵌合させて接合する。
【0042】
その後、これらのエレメント継手部13、23を嵌合させた状態で、一般部鋼製エレメント20を、基準管路鋼製エレメント10に沿わせながら、基準管鋼製エレメント10の場合と同様にしてエレメント軸方向に向けて地中に挿入する。これにより、図2(A)に示した状態となる。
【0043】
この場合、図2(B)に示すように、接合状態となっている基準管鋼製エレメント10のエレメント継手部13と、一般部鋼製エレメント20のエレメント継手部23においては、エレメント継手部13の溝13e内にエレメント継手部23の突出部23cの拡大された先端が入り込んで嵌合し、かつ、エレメント継手部23の溝23e内にエレメント継手部13の突出部13cの拡大された先端が入り込んで嵌合している。このように、基準管鋼製エレメント10のエレメント継手部13と一般部鋼製エレメント20のエレメント継手部23が互いに嵌合することにより、基準管鋼製エレメント10と一般部鋼製エレメント20の相互間で、エレメント軸直角方向の力が伝達可能となっている。
【0044】
上記のように嵌合している基準管鋼製エレメント10のエレメント継手部13と、一般部鋼製エレメント20のエレメント継手部23の内部の溝13e、23eには、必要に応じて、適宜の時期に、エレメント軸方向の一方の端(以下、「注入端」という。)から、無収縮モルタル、無収縮コンクリート、樹脂材料等のグラウト材(図示せず)を注入し、硬化させて継手接合を補強してもよい。このグラウト注入を行うと、継手が固定されるため、接合された後の複数の鋼製エレメントが、上載荷重等によりたわむなどの変形を生じることを防止することができる。また、この補強により、エレメント軸直角方向の力の伝達性能も向上する。
【0045】
次に、上記と同様にして、他の新たな一般部鋼製エレメント20の開放側隅部に設けられたエレメント継手部23、23のそれぞれを、すでに地中に挿入された一般部鋼製エレメント20の閉塞側隅部に設けられたエレメント継手部13、13のそれぞれと嵌合させて接合する。そして、両継手を嵌合させた状態で、新たな一般部鋼製エレメント20を、すでに挿入された一般部路鋼製エレメント20に沿わせながら、エレメント軸方向に向けて地中に挿入する。
【0046】
以下、上記のようにして一般部エレメント挿入工程を順次繰り返すことによって、地中に挿入され相互に接合された各鋼製エレメント10、20等によってエレメント構造体を構成することができる。例えば、平板状の構造体、半円状や円状あるいは楕円状等に囲まれた形状のエレメント構造体である。
【0047】
次に、必要により、各エレメント内にコンクリート等を充填する。次に、地中に形成されたエレメント構造体を防護工として利用し、エレメント構造体の内部の土砂等を掘削する。次に、エレメント内面をコンクリートで被覆する等の施工を行うことにより、地下構造物を構築することができる。
【0048】
エレメント構造体が「ロ」字状断面などの場合には、エレメントが直角に曲がる隅角部が必要となる。この隅角部には、上記した基準管鋼製エレメント10や一般部鋼製エレメント20とは異なる構成の隅角部構成エレメント30が用いられる。
【0049】
次に、隅角部鋼製エレメント30の構成を、図3を参照しつつ説明する。図3は、図1に示すエレメント構造体E1の左側壁の下端位置となる隅角部鋼製エレメント30と、下床版40の左端部との結合構造部41の断面図を示している。図3は、エレメント軸方向に垂直な平面で切断した場合の隅角部鋼製エレメント30と、結合構造部41の断面図を示している。
【0050】
図3に示すように、隅角部鋼製エレメント30は、5つの鋼製板状部材31、31、32、34、34と、2つのエレメント継手部13と、2つのエレメント継手部23を有している。鋼製板状部材31と他の鋼製板状部材31は、互いに対向するように配置されてエレメント軸方向に延設されている。また、鋼製板状部材34と他の鋼製板状部材34は、互いに対向するように配置されるとともに鋼製板状部材31と直角となるように配置され、エレメント軸方向に延設される。鋼製板状部材32は、鋼製板状部材31と直角となるとともに、鋼製板状部材34と平行となるように配置され、エレメント軸方向に延設される。これにより、5つの鋼製板状部材31、31、32、34、34は、全体として矩形管状の断面の鋼製部材を形成している。
【0051】
また、各鋼製板状部材31、31、32、34、34によって形成される矩形管状断面の4つの隅部のうち、エレメント軸直角方向のうちの一方向、例えば、図3における上下方向において互いに隣接する2つの隅部、すなわち図3における左上隅部と右上隅部のそれぞれに、エレメント軸方向に沿ってエレメント継手部23、23が設けられている。
【0052】
また、上記した上下方向と直角となる他方向、例えば、図3における左右方向において互いに隣接する2つの隅部、すなわち図3における右上隅部と右下隅部のそれぞれにエレメント軸方向に沿ってエレメント継手部13、13が設けられている。
【0053】
各エレメント継手部13、23の構成は上記とまったく同様である。また、鋼製板状部材31、32、34は、エレメント継手部13、23から伝達される上記のエレメント軸直角方向の力に抵抗可能な所定の強度と所定の断面を有している。また、各鋼製板状部材31、32、31、34と各エレメント継手部13、23との各接合箇所は、溶接部によって接合されている。この接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0054】
隅角部鋼製エレメント30は、エレメント構造体E1の右上、右下、左上の各隅部にも設けられている。隅角部鋼製エレメント30は、上記した構成により、エレメント軸直角方向の力のうち、「L」字状の隅角部の各方向の成分、例えば、図3における左右方向(水平方向)の成分は、隅角部鋼製エレメント30の側に設けられた水平方向のエレメント継手部13と、相手側に設けられた継手部(例えばエレメント継手部23)により伝達可能である。また、エレメント軸直角方向の力のうち、上下方向(垂直方向)の成分は、隅角部鋼製エレメント30の側に設けられた上下方向のエレメント継手部13と、相手側に設けられた継手部(例えばエレメント継手部23)により伝達可能である。
【0055】
上記した隅角部鋼製エレメント30の地中への挿入については、上記した基準部鋼製エレメント10、一般部鋼製エレメント20の場合とまったく同様であり、すでに地中に挿入された隣接するエレメントに沿わせて挿入すればよい。また、隅角部鋼製エレメント30の下方に隣接する一般部鋼製エレメント20についても同様である。
【0056】
上記した隅角部鋼製エレメント30については、エレメント構造体の隅角部の内側、例えば、図3における右上隅部に大きな引張り力が発生する場合があるが、この引張り力は、例えば上側の鋼製板状部材34に負担させ、エレメント構造体の強度を高めることができる。
【0057】
また、エレメント構造体の隅角部の内側(図3の右上隅部)の引張り力が小さい場合には、上側の鋼製板状部材34を省略してもよい。あるいは、施工時(隅角部鋼製エレメント30の挿入時)には鋼製板状部材34を省略した「コ」字状断面としておき、エレメントの地中挿入後に溶接や、ボルト接合等の機械的接合などによって鋼製板状部材34を取り付けるようにしてもよい。下側の鋼製板状部材34についても適宜に付加又は省略可能である。
【0058】
第1実施形態の地下構造物101は、下床版40が現場打ち鉄筋コンクリートであり、エレメント構造体E1の側壁下端と下床版40を、結合構造部41、42により剛結構造としている。地下構造物101の左下隅部の結合構造部41と、右下隅部の結合構造部42は、まったく同様の構成を有している。次に、地下構造物101の左下隅部の結合構造部41の構成について説明する。
【0059】
図3に示すように、結合構造部41は、接続継手部材43と、結合鉄筋44と、現場打ちコンクリート45を有して構成されている。
【0060】
図4は、接続継手部材43は、図3に示した結合構造部41における接続継手部材43の構成を示す図である。図4(A)の断面図(エレメント軸方向に垂直な平面で切断した場合の断面図)に示すように、接続継手部材43は、いわゆる直線鋼矢板46を、矢板長手方向の中央線に沿って2等分するように切断することによって形成される。
【0061】
接続継手部材43は、鋼製平板部43aと結合継手部43bを有している。鋼製平板部43aは、「−」字状の断面を有し、エレメント軸方向に延在する鋼製の平板状部分である。また、結合継手部43bは、鋼からなり、鋼製平板部43aの「−」字状断面における一端部に、エレメント軸方向に沿って形成された略「C」字状断面の部分であり、上述したエレメント継手部13と同様の構成を有している。
【0062】
図4(B)は、接続継手部材43と結合鉄筋44の配置関係及び両者の構成を示す斜視図である。図4(B)に示すように、接続継手部材43の鋼製平板部43aのうち、結合継手部43bが設けられている一端部とは反対側の他端部付近に、複数の結合鉄筋44設けられ、エレメント軸方向に直角となる方向に沿って延びるように並べて配置されている。これらの結合鉄筋44は、溶接部47によって鋼製平板部43aに接合されている。鋼製平板部43aと結合鉄筋44との接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0063】
上記のような構造により、図3に示すように、エレメント構造体E1の左側壁下端の隅角部鋼製エレメント30の右上隅部のエレメント継手部13と上段の接続継手部材43の結合継手部43bが互いに嵌合するとともに、この隅角部鋼製エレメント30の右下隅部のエレメント継手部13と下段の接続継手部材43の結合継手部43bが互いに嵌合することにより、隅角部鋼製エレメント30と結合構造部41の相互間で、エレメント軸直角方向の力が伝達可能となっている。
【0064】
また、図3に示すように、接続継手部材43に接合された結合鉄筋44には、下床版40の現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋49が沿わされて重ね鉄筋継手が形成されている。これにより、エレメント構造体E1の左側壁下端の隅角部鋼製エレメント30のエレメント継手部13から結合継手部43bにより接続継手部材43に伝達された力は、結合鉄筋44から現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋49を経て下床版40に伝達されるようになっている。
【0065】
また、図3に示すように、結合鉄筋44には、帯状に取り囲む帯鉄筋48を配置し、さらに補強をはかるようにしてもよい。
【0066】
次に、結合構造部41を施工するための第1の方法について説明する。
【0067】
まず、あらかじめ、上記の接続継手部材43に複数の結合鉄筋44を溶接して図4(B)の状態に形成した部材(以下、「結合部材」という。)を2個作成しておく。
【0068】
次に、エレメント構造体E1内の土砂等を、隅角部鋼製エレメント30の底部位置(図3における鋼製板状部材32の位置)まで掘削する。
【0069】
次に、一方の結合部材の結合継手部43bを隅角部鋼製エレメント30の右上隅部のエレメント継手部13に嵌合させ、エレメント軸方向にスライドさせるように挿入する。その後、互いに嵌合した結合継手部43bとエレメント継手部13の内部に形成される嵌合空間(図2(A)における13e又は23eに相当する部分)の内部にグラウト材を注入して硬化させる。これにより、一方の結合部材を隅角部鋼製エレメント30に固定することができる。
【0070】
同様にして、他方の結合部材の結合継手部43bを隅角部鋼製エレメント30の右下隅部のエレメント継手部13に嵌合させ、エレメント軸方向にスライドさせるように挿入し、互いに嵌合した結合継手部43bとエレメント継手部13の内部に形成される嵌合空間の中にグラウト材を注入して硬化させ、他方の結合部材を隅角部鋼製エレメント30に固定する。
【0071】
次に、結合部材の結合鉄筋44と、下床版40の現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋49を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成する。また、必要に応じ、結合鉄筋44の周囲を帯鉄筋48で取り巻いて補強を行う。その後、現場打ちコンクリート45を打設し、硬化させる。これにより、地下構造物101の下床版40と隅角部鋼製エレメント30を剛結合することができる。
【0072】
次に、結合構造部41を施工するための第2の方法について説明する。
【0073】
まず、エレメント構造体E1内の土砂等を、隅角部鋼製エレメント30の底部位置(図3における鋼製板状部材32の位置)まで掘削する。
【0074】
次に、1つの接続継手部材43の結合継手部43bを隅角部鋼製エレメント30の右上隅部のエレメント継手部13に嵌合させ、エレメント軸方向にスライドさせるように挿入する。その後、互いに嵌合した結合継手部43bとエレメント継手部13の内部に形成される嵌合空間(図2(A)における13e又は23eに相当する部分)の内部にグラウト材を注入して硬化させる。これにより、1つの接続継手部材43を隅角部鋼製エレメント30に固定することができる。
【0075】
次に、接続継手部材43のうち、結合継手部43bが設けられた一端部とは反対側の他端部付近に、複数の結合鉄筋44をエレメント軸直角方向に延びるようにして溶接等により並べて接合し、図4(B)に図示するような状態とする。
【0076】
次に、上記と同様にして、他の接続継手部材43の結合継手部43bを隅角部鋼製エレメント30の右下隅部のエレメント継手部13に嵌合させ、エレメント軸方向にスライドさせるように挿入し、互いに嵌合した結合継手部43bとエレメント継手部13の内部に形成される嵌合空間の中にグラウト材を注入して硬化させ、他の接続継手部材43を隅角部鋼製エレメント30に固定する。
【0077】
その後、上記と同様にして、他の接続継手部材43のうち、結合継手部43bが設けられた一端部とは反対側の他端部付近に、複数の結合鉄筋44をエレメント軸直角方向に延びるようにして溶接等により並べて接合し、図4(B)に図示するような状態とする。
【0078】
次に、結合鉄筋44と、下床版40の現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋49を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成する。また、必要に応じ、結合鉄筋44の周囲を帯鉄筋48で取り巻いて補強を行う。その後、現場打ちコンクリート45を打設し、硬化させる。これにより、地下構造物101の下床版40と隅角部鋼製エレメント30を剛結合することができる。
【0079】
なお、帯鉄筋は、図5に示すように、取り囲む結合鉄筋44を順次ずらして、48a、48b、48cのように配置し、いわゆる「千鳥配置」となるようにしてもよい。このように構成することにより、帯鉄筋の立ち上がり箇所が集中しないようにして、より強固な構造とすることができる。
【0080】
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0081】
図6は、本発明の第2実施形態である地下構造物の全体構成を示す断面図である。
【0082】
図6に示すように、この地下構造物102は、「ロ」字状の断面形状を有する箱型の構造物である。地下構造物102は、「ロ」字の下部中央付近の一部分のみが欠けた形状の断面を有するエレメント構造体E2と、閉合構造部51により構成されている。
【0083】
エレメント構造体E2は、上床版部の中央位置に設置される基準管鋼製エレメント10と、基準管鋼製エレメント10に隣接させるように設置される一般部鋼製エレメント20と、エレメント構造体の4つの隅角位置に設置される隅角部鋼製エレメント30が組み合わされて構成されており、各鋼製エレメント10、20、30の構成は、第1実施形態の場合とまったく同様であるため、その説明は省略する。
【0084】
第2実施形態の地下構造物102が第1実施形態の地下構造物101と異なる点は、一般部鋼製エレメント20の間に設けられて剛結合する閉合構造部51を備えている点である。
【0085】
図7は、閉合構造部51の構成を示している。図7は、鋼製エレメントのエレメント軸方向に垂直な平面で切断した場合の断面図を示している。
【0086】
図7に示すように、閉合構造部51は、カゴ状部材59と、保護部材52a及び52bと、現場打ちコンクリート55を有して構成されている。
【0087】
カゴ状部材59は、図4(B)に示すような結合部材の結合鉄筋44の端部(接続継手部材43とは逆側の端部)にさらに他の接続継手部材43を溶接等によって接合した部材(以下、「柵状部材」という。)を2個用い、2つの柵状部材57aと57bを互いに対向配置させて各結合鉄筋44が平行になるようにし、各柵状部材57a及び57bの結合鉄筋44を帯鉄筋58で取り囲むようにし、帯鉄筋58を結合鉄筋44に適宜に接合することにより構成される。なお、柵状部材における鋼製平板部43aと結合鉄筋44との接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0088】
上記のような構造により、図7に示すように、エレメント構造体E2(図6参照)の下部中央付近の左側の一般部鋼製エレメント20Lの右上隅部のエレメント継手部23と、カゴ状部材59の上段の柵状部材57aの左端の結合継手部43bが互いに嵌合するとともに、左側の一般部鋼製エレメント20Lの右下隅部のエレメント継手部23と、カゴ状部材59の下段の柵状部材57bの左端の結合継手部43bが互いに嵌合している。
【0089】
また、エレメント構造体E2(図6参照)の下部中央付近の右側の一般部鋼製エレメント20Rの左上隅部のエレメント継手部23と、カゴ状部材59の上段の柵状部材57aの右端の結合継手部43bが互いに嵌合するとともに、右側の一般部鋼製エレメント20Rの左下隅部のエレメント継手部23と、カゴ状部材59の下段の柵状部材57bの右端の結合継手部43bが互いに嵌合している。
【0090】
また、図7に示すように、カゴ状部材59を構成する上下の柵状部材57a及び57bにおいては、両端の接続継手部材43と結合鉄筋44が溶接等によって接合されている。
【0091】
このような構成により、左側の一般部鋼製エレメント20Lと、閉合構造部51と、右側の一般部鋼製エレメント20Rの相互間で、エレメント軸直角方向の力が伝達可能となっている。
【0092】
次に、閉合構造部51の施工方法について説明する。
【0093】
まず、あらかじめ、上記のカゴ状部材59を作成しておく。
【0094】
次に、上記した基準管鋼製エレメント10、一般部鋼製エレメント20、隅角部鋼製エレメント30のエレメント継手部13、23等を相互に嵌合させつつ地中に挿入し、嵌合したエレメント継手部内にグラウト材を注入し硬化させ、鋼製エレメントどうしを固定することを繰り返し、複数の鋼製エレメントを地中で連結させ、「ロ」字の下部中央付近の一部分(一般部鋼製エレメント20Lと20Rとの間)が欠けた形状の断面を有するエレメント構造体E2を地中に形成する。
【0095】
次に、一般部鋼製エレメント20Lと20Rとの間が閉合していない状態で、この箇所(以下、「閉合箇所」という。)の上部の地中に保護部材52aを挿入する。また、同様にして、閉合箇所の下部の地中に保護部材52b挿入する。保護部材52a、52bとしては、鋼鈑等が用いられる。この場合、保護部材52a及び52bの両端部は、一般部鋼製エレメント20L、20Rに、溶接等の接合部材53によって接合する。一般部鋼製エレメント20L等への接合部材53の接合は、ボルト等の機械的接合であってもよい。
【0096】
次に、図8(A)に示すように、保護部材52a及び52bを土留め手段として利用し、保護部材52a及び52bによって囲まれた部分の内部の地盤を掘削して除去し、閉合空間54を形成する。
【0097】
その後、図8(B)に示すように、上記したカゴ状部材59の結合継手部43bを一般部鋼製エレメント20L等のエレメント継手部23に嵌合させ、エレメント軸方向にスライドさせるように挿入し、カゴ状部材59を掘削された閉合空間54内に挿入する。
【0098】
次に、図8(C)に示すように、保護部材52a及び52bをコンクリート型枠として利用し、カゴ状部材59が挿入された閉合空間54内に現場打ちコンクリート55を打設して硬化させる。これにより、閉合構造部51が完成し、エレメント構造体E2が、「ロ」字状断面となって閉合する。
【0099】
次に、上記のようにして閉合した「ロ」字状の構造体を防護工として、その内部の地盤を掘削する。次に、閉合した「ロ」字状の構造体を本体構造として利用し、地下構造物を構築する。
【0100】
このように施工すれば、エレメント構造体の剛結閉合を短時間で行うことができ、施工精度も向上させることができる。
【0101】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0102】
例えば、上記実施形態においては、直線鋼矢板を切断することにより接続継手部材(例えば43)を形成する例について説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成の接続継手部材、例えば、帯状の鋼鈑の一側端にエレメント継手部(例えば13又は23)を溶接や機械的接合によって接合させて接続継手部材を形成してもよい。
【0103】
また、上記実施形態においては、矩形管状の断面を有する基準管鋼製エレメント10及び隅角部鋼製エレメント30、略「コ」字状の断面を有する一般部鋼製エレメント20によってエレメント構造体を構成する例について説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成の鋼製エレメント、例えば、略「日」字状、略「目」字状、略「田」字状、略「円」字状等の断面を有する鋼製エレメントであってもよい。
【0104】
また、上記実施形態においては、基準管鋼製エレメント10等の隅部にエレメント継手部(例えば13又は23)が設けられている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の構成の鋼製エレメント、例えば、鋼製エレメントの辺の中間部分にエレメント継手部が設けられるように構成してもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、結合継手部を有する接続継手部材を用い、結合継手部によって既設の鋼製エレメントのエレメント継手部に嵌合させるとともに現場打ちコンクリートの補強部材として利用することができるため、鋼製エレメントの狭い空間内であっても作業が容易で施工性が良く、かつ施工精度も向上する、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である地下構造物の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1の地下構造物における基準管鋼製エレメントと一般部鋼製エレメントの構成を示す図である。
【図3】図1の地下構造物における隅角部鋼製エレメントと下床版の結合構造部の構成を示す断面図である。
【図4】図3の結合構造部における接続継手部材の構成を示す図である。
【図5】図3の結合構造部における帯鉄筋の配置状態を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態である地下構造物の全体構成を示す断面図である。
【図7】図6の地下構造物における閉合構造部の構成を示す図である。
【図8】図6の地下構造物における閉合構造部の施工方法を説明する図である。
【符号の説明】
10 基準管鋼製エレメント
11、12 鋼製板状部材
13 エレメント継手部
13a 嵌合部
13b 基部
13c、13d 突出部
13e 溝
20、20L、20R 一般部鋼製エレメント
21、22 鋼製板状部材
23 エレメント継手部
23a 嵌合部
23b 基部
23c、23d 突出部
23e 溝
30 隅角部鋼製エレメント
31、32、34 鋼製板状部材
40 下床版
41、42 結合構造部
43 接続継手部材
43a 鋼製平板部
43b 結合継手部
44 結合鉄筋
45 現場打ちコンクリート
46 直線鋼矢板
47 溶接部
48、48a〜48c 帯鉄筋
49 現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋
51 閉合構造部
52a、52b 保護部材
53 接合部材
54 閉合空間
55 現場打ちコンクリート
57a、57b 柵状部材
58 帯鉄筋
59 カゴ状部材
101、102 地下構造物
E1、E2 エレメント構造体
L 中央線
W1〜W6 溶接部
Claims (8)
- エレメント軸方向に延設される鋼製部材に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する構造であって、
「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手が嵌合され、前記嵌合された各継手部の内部に形成される嵌合空間内にグラウト材が注入され硬化することにより前記接続継手部材が固定され、前記接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に設けられ前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された複数の結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋が重ね合わせ配置されて重ね鉄筋継手が形成され現場打ちコンクリートが打設され硬化することにより前記鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートが結合されること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造。 - 請求項1記載の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、
前記接続継手部材は、「−」字状断面を有し長手方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における両端部に前記長手方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた直線鋼矢板の前記鋼製平板部を前記長手方向に沿って切断することにより形成されること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造。 - 請求項1記載の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、
前記結合鉄筋は、溶接又は機械的接合により前記鋼製平板部に接合されること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造。 - 請求項1記載の鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造において、
前記結合鉄筋は、帯鉄筋により取り囲まれて補強されること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合構造。 - エレメント軸方向に延設される鋼製部材に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する方法であって、
「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋が前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された結合部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手を嵌合させ、
次いで、前記嵌合した継手内に形成される嵌合空間内にグラウト材を注入して硬化させることにより前記結合部材を固定し、
次いで、前記結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成し現場打ちコンクリートを打設し硬化させること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合方法。 - エレメント軸方向に延設される鋼製部材に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設け、隣接するエレメント継手部の嵌合により相互の接合を行うとともに、前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートを結合する方法であって、
「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部と前記鋼製エレメントのエレメント継手を嵌合させ、
次いで、前記嵌合した継手内に形成される嵌合空間内にグラウト材を注入して硬化させることにより前記接続継手部材を固定し、
次いで、前記接続継手部材の結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋を前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設し、
次いで、前記結合鉄筋と現場打ち鉄筋コンクリート用鉄筋を重ね合わせ配置して重ね鉄筋継手を形成し現場打ちコンクリートを打設し硬化させること
を特徴とする鋼製エレメントと現場打ち鉄筋コンクリートの結合方法。 - エレメント軸方向に延設される鋼製部材に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面のエレメント継手部を設けて前記エレメント軸方向に直角な方向であるエレメント軸直角方向の力を伝達可能とした鋼製エレメントを、前記エレメント軸方向を挿入方向として地中に挿入し、
次いで、他の鋼製エレメントを、前記エレメント継手部どうしを相互に嵌合させつつ地中に挿入し、前記嵌合したエレメント継手部内にグラウト材を注入し硬化させて前記鋼製エレメントどうしを固定することを繰り返して複数の鋼製エレメントを地中で連結させ、
次いで、前記複数の鋼製エレメントが閉合する前に、閉合箇所の地盤を掘削して閉合空間を形成し、
次いで、「−」字状断面を有しエレメント軸方向に延在する鋼製平板部の前記「−」字状断面における一端部に前記エレメント軸方向に沿って略「C」字状断面の結合継手部が設けられた接続継手部材の前記結合継手部が設けられた前記一端部とは反対側の他端部付近に複数の結合鉄筋が前記エレメント軸直角方向に延びるようにして並設された結合部材を2個用いて前記結合鉄筋が対向するように配置させた構造体を上下2段に平行配置して前記結合鉄筋を帯鉄筋で取り囲んでカゴ状に構成したカゴ状部材の前記結合継手部と前記閉合空間内のエレメント継手を相互に嵌合させつつ前記カゴ状部材を前記掘削された閉合空間内に挿入し、次いで、前記カゴ状部材が挿入された閉合空間内に現場打ちコンクリートを打設し硬化させ、
次いで、前記地中で連結された鋼製エレメントと前記閉合空間に形成された現場打ち鉄筋コンクリートによって構成されたエレメント構造体を防護工として前記エレメント構造体の内部の地盤を掘削し、
次いで、前記エレメント構造体を本体として利用して地下構造物を構築すること
を特徴とする地下構造物構築方法。 - 請求項7記載の地下構造物構築方法において、
前記閉合箇所には、前記閉合空間を掘削する時の土留めと前記現場打ちコンクリートを打設する時の型枠の機能を有する保護部材が配置されること
を特徴とする地下構造物構築方法。
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