JP4023945B2 - 消石灰とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比較的比表面積が大きく高い反応性を有し、例えば、排煙中の有毒ガスの中和処理に好適な消石灰に関する。
【0002】
【従来の技術】
消石灰(Ca(OH)2)は生石灰(CaO)に水を加えて、消化することにより得ることができるが、一般に、生石灰を水により消化した場合には、得られる消石灰は比表面積が高々15m2/g程度である。
【0003】
一方、排煙中の有害ガス、ことに塩化水素、フッ化水素、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸等の酸性ガスを消石灰を用いて固定化し、排ガスを浄化することが知られているが、このような用途では一般に高比表面積を有し、反応性に富む消石灰が要望されている。
【0004】
そこで、最近、反応活性に富む消石灰の製造方法として、生石灰の消化の過程でアルコール等の有機溶媒を消化する水に含ませる方法が提案されている(特公平6−8194号公報、特開平5−193997号公報参照)。
【0005】
しかし、これらの方法では、揮発性が高く引火性のある有機溶剤を多量に用いるので溶剤回収の工程が必要であり、しかも前記溶剤回収工程や消化工程は防爆設備にしなければならず、設備費がかかるという生産上の欠点がある。
【0006】
これに対し、本発明者は、カップリング剤の存在下で生石灰を消化することにより、有機溶剤を用いることなく、高比表面積で、反応性に優れる消石灰を得ることができるという知見を得て、前記消石灰の製造方法と消石灰を出願している(特願平9−222679号明細書参照)。さらに、該カップリング剤の少なくとも一部を加水分解することにより、前記問題解決が一層容易に達成されることも明らかにしている(特願平10−106167号明細書参照)。
【0007】
本発明者は、上記のカップリング剤存在下で生石灰を水のみで消化して得られる消石灰について更に検討を進めたところ、消石灰を用いて実際に酸性ガスの除去を試みたときに、必ずしも比表面積の大きい消石灰が排ガスの浄化能力が高いとは限らず、特定範囲の比表面積を有する消石灰が好適であるという知見を得て、本発明に至ったものであります。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、カップリング剤の存在下に生石灰を水のみで消化して、排ガス処理用途等に好適な、反応性の高い消石灰を安価に提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、生石灰をカップリング剤の存在下で水のみで消化してなる消石灰であって、比表面積が20m2/g以上50m2/g以下であることを特徴とする消石灰である。
【0010】
また、本発明は、生石灰をカップリング剤の存在下で水のみで消化して消石灰を製造する方法であって、前記カップリング剤を生石灰100重量部に対して1.5重量部以下とすることを特徴とする前記の消石灰の製造方法である。
【発明の実施の形態】
【0011】
本発明は、カップリング剤の存在下で生石灰を水のみで消化することにより得られた消石灰について、そのうち比表面積が20〜50m2/gの範囲にある場合に酸性ガスの中和処理に特に有効であるという実験的な知見に基づいている。比表面積が20m2/g未満の場合、或いは50m2/gを超える場合には、いずれも前記酸性ガスの中和処理に用いたときに、十分に有効とは言えなくなる。本発明の目的を達成するうえで、20〜40m2/gが好ましい範囲である。このように特定範囲の比表面積で酸性ガスの中和処理性能が高くなる現象を示す理由については明らかでないが、本発明者らは、消石灰の比表面積を大きくするためにカップリング剤の添加量を増すと、かえって消化後に残存するカップリング剤のため、消石灰表面の反応性が低下するためと推察している。
【0012】
本発明の消石灰は、生石灰をカップリング剤の存在下で水のみで消化して得られる消石灰である。カップリング剤を生石灰に添加して得られる生石灰組成物を水のみで消化する方法、或いはカップリング剤を添加した水を用いて生石灰を消化する方法のいずれの方法であっても良い。しかし、前者の方法においては、後述のとおりに、カップリング剤が生石灰表面に存在してその効果を発揮することから、生石灰を粉砕しつつカップリング剤を添加することが、カップリング剤が粉砕処理で発生する新しい生石灰表面に作用し易くなること、カップリング剤が生石灰粉末中により均一に分散されることから好ましい。
【0013】
生石灰を水で消化するときに、表面処理剤が存在することで得られる消石灰の比表面積が著しく高くなることについて、その理由は明らかでないが、本発明者らは、カップリング剤により表面を被われた生石灰の消化時の反応速度が制御されることで、消化反応の爆発的進行が防止される、また、カップリング剤の一部が加水分解を受けて場合は前記表面の被われかたがより好ましく変化しているものと推察している。
【0014】
しかるに、生石灰の表面処理に寄与したカップリング剤は、生石灰がすべて消石灰に変化した後も、一部は反応後の消石灰の表面上を覆う形で残存していると考えられる。この場合、予め添加されたカップリング剤の分量は少ないほうが好ましい。
【0015】
また、本発明において、前記カップリング剤の量を生石灰100重量部に対して1.5重量部以下にすることにより、比表面積が20〜50m2/gの範囲に制御された消石灰が得られ、前記特定範囲の非表面積の消石灰は酸性ガスの除去性能に優れる。更に、前記カップリング剤の量を生石灰100重量部に対して0.5重量部以下とするとき、比表面積が20〜40m2/gの酸性ガスの除去性能に一層優れた消石灰が得られるので、好ましい
【0016】
本発明において、カップリング剤としては、チタネート系、アルミネート系、シラン系カップリング剤が知られているが、本発明においては、いずれをも用いることができる。このうち、シラン系カップリング剤は、特に加水分解処理が有効という理由で好ましく選択される。更に、シラン系カップリング剤には、官能基としてメトキシ基、エトキシ基、エポキシ基のいずれかを有するものが、本発明の目的を達成する上で好ましい。これらの官能基を有するシラン系カップリング剤は、水で加水分解処理されることにより、前記官能基が開環もしくはシラノール基化され、生石灰粉の表面を有効に被覆するものと考えられる。
【0017】
前記チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等があげられ、又、アルミネート系カップリング剤としてはアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等があげられる。
【0018】
前記シラン系カップリング剤としては、メトキシ基を有するビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等、エトキシ基を有する、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等、後で例示するとおりのエポキシ基を有するものの他に、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等があげられる。
【0019】
更に、前記メトキシ基、エトキシ基、エポキシ基のいずれかを有するシラン系カップリング剤の中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、等のエポキシ基を有するシラン系カップリング剤が、比表面積の高い消石灰を得易いので好ましい。
【0020】
また、本発明に用いる生石灰としては、石灰石をロータリーキルン、ベッケンバッハ炉等で加熱処理後、ジョークラッシャー、ボールミル、振動ミル、ジェットミル等で乾式粉砕し、いろいろなサイズに分級されて得られた生石灰等の、例えば平均粒径が4μm程度、比表面積が4m2/g程度の従来公知のものを用いることができ、格別のものを用いる必要はない。尚、上述したとおりに、前記乾式粉砕の処理において、カップリング剤を添加することができる。
【0021】
更に、カップリング剤の生石灰への添加の方法についても、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の従来公知の機器、方法を適用すれば良い。
【0022】
生石灰に水を加えて消化する条件については、生石灰と水との割合は1/0.35〜1/1.5の重量比率が好ましく、温度は40〜70℃の範囲で略一定に保持することが好ましい。又、消化反応が完了するまでの間、前記生石灰と水との混合物は、その配合条件、消化の進み具合等に応じて、スラリー状態から湿潤した粉末状態を示すので、それに応じた従来公知の混合機を適用すれば良い。
【0023】
更に、消化反応を終えて得られる消石灰は、通常未反応の水を含むので、乾燥し前記水を蒸発させるが、このとき粉末が凝集し塊状となることがある。このために、乾燥後、乾式粉砕するのが一般的であるが、前記の乾燥、粉砕の操作を同時に行うことが、生産性の面から好ましい。
【0024】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「S510」)0.5重量部を、比表面積4.0m2/gの生石灰(電気化学工業(株)製「生石灰」)100重量部に加え、ボールミルを用いて乾式で混合し生石灰組成物の粉末を得た。
【0026】
前記生石灰組成物粉末100重量部に水100重量部を60℃で加え、撹拌しながら1時間保持し、消化反応を完了させ、更に120℃に加熱し乾燥した後、解砕して粉末状の消石灰を得た。
【0027】
前記消石灰について、湯浅アイオニクス社製カンタソーブを用いてBET比表面積値を測定したところ、比表面積は32.1m2/gであった。
【0028】
得られた消石灰25mgと直径150μmのガラスビーズ1gとを混合して直径23mm、厚み1mmの充填層とした。これに濃度3000ppmの塩化水素ガスを2.5l/minの流速で通して反応させた。反応温度は焼却炉の排煙経路の温度に近い250℃である。消石灰の反応率は、反応後の粉末を酢酸を用いてpH5〜6に調整した緩衝液に溶かし、イオン電極計を用いて消石灰中に含まれている塩素イオン濃度を測定し反応率を決定した。反応開始後6分以降に得られた消石灰の反応率にはほとんど増加が見られないので、ここでは開始後10分経過したときの反応率を最終反応率とした。本実施例の消石灰の最終反応率は、37.5%であった。
【0029】
〔実施例2〕
実施例1においてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの生石灰に対する添加量を1重量部に変えたこと以外は、実施例1と同一の操作を行なった。得られた消石灰の比表面積は41.8m2/gであり、最終反応率は26.7%であった。
【0030】
〔実施例3〕
実施例1においてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの生石灰に対する添加量を1.5重量部に変えたこと以外は、実施例1と同一の操作を行なった。得られた消石灰の比表面積は45.5m2/gであり、最終反応率は22.1%であった。
【0031】
〔比較例〕
実施例1に用いた生石灰100重量部に、37重量部の水を30分間かけて滴下混合して消化した後に解砕して消石灰を得た。この消石灰の比表面積および最終反応率は、それぞれ、15.8m2/g、14.2%であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の消石灰は、20〜50m2/gの比表面積を有していて、酸性ガスの除去性能に優れており、排ガス処理用途に好適である。また、本発明の消石灰の製造方法は、従来技術における用いられていた有機溶剤を使用することなく、生石灰を少量のカップリング剤の存在下で水のみを用いて消化して得られることから、産業上重要であるとともに、前記酸性ガスの除去性能に優れる消石灰を、容易に安定して提供でき、産業上有用である。
Claims (2)
- 生石灰をカップリング剤の存在下で水のみで消化してなる消石灰であって、比表面積が20m2/g以上50m2/g以下であることを特徴とする消石灰。
- 生石灰をカップリング剤の存在下で水のみで消化して消石灰を製造する方法であって、前記カップリング剤を生石灰100重量部に対して1.5重量部以下とすることを特徴とする請求項1記載の消石灰の製造方法。
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Applications Claiming Priority (1)
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