JP4093631B2 - 消石灰の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、比表面積が大きく高い反応性を有し、例えば、排煙中の有毒ガスの中和処理に好適な消石灰の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
消石灰(Ca(OH)2)は生石灰(CaO)に水を加えて、消化することにより得ることができるが、一般に、生石灰を水により消化した場合には、得られる消石灰は比表面積が10〜20m2/g程度の粉末である。
【0003】
一方、排煙中の有害ガス、ことに塩化水素、フッ化水素、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸等の酸性ガスを消石灰を用いて固定化し、排ガスを浄化することが知られているが、このような用途では高比表面積を有し、反応性に富む消石灰が要望されている。
【0004】
そこで、最近、反応活性に富む消石灰の製造方法として、生石灰の消化の過程でアルコール等の有機溶媒を消化する水に含ませる方法が提案されている(特公平6−8194号公報、特開平5−193997号公報)。
【0005】
しかし、この方法では、揮発性が高く引火性のある有機溶剤を多量に用いるので溶剤回収の工程が必要であり、しかも前記溶剤回収工程や消化工程は防爆設備にしなければならず、設備費がかかるという生産上の欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本発明の目的は、有機溶剤を含まない水を用いて生石灰から高比表面積の消石灰を製造する方法を提供し、例えば排ガス処理用途等に適用し得る反応性の高い消石灰を安価に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の事情に鑑みていろいろ実験的に検討し、表面処理剤の存在下で生石灰を消化するとき、有機溶剤を用いることなく、高比表面積で、反応性に優れる消石灰を得られるという知見、また表面処理された生石灰を用いても同様であるという知見を得て、表面処理剤の存在下で生石灰を水で消化する消石灰に製造方法を発明するに至った(特願平9−222679号明細書参照)。
【0008】
本発明は、前記発明の改良に係わるものであり、表面処理剤として、少なくとも一部が加水分解されているシラン系カップリング剤を用いたときに、前記問題解決が一層容易に達成されるという実験的知見に基づいたものである。
【0009】
即ち、本発明は、少なくとも一部が加水分解を受けているシラン系カップリング剤の存在下に、生石灰を水で消化する方法であって、前記シラン系カップリング剤は、シラン系カップリング剤と水の合計100重量%あたり、1〜10重量%の水をシラン系カップリング剤に添加混合して製造されたものであることを特徴とする消石灰の製造方法である。
【0010】
本発明においては、生石灰が、少なくとも一部が加水分解を受けているシラン系カップリング剤で表面処理されており、その表面処理が、生石灰の粉砕処理と同時に施されていること、またシラン系カップリング剤が、γ−グリシドキシプロピルトリメト キシシランであることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、少なくとも一部が加水分解されたシラン系カップリング剤の存在下で生石灰を水を用いて消化することが本質的であり、このときに比表面積が40m2/g以上の消石灰が得られる。従って、シラン系カップリング剤を生石灰に添加して得られる生石灰組成物を消化する方法、シラン系カップリング剤を添加した水を用いて生石灰を消化する方法のいずれの方法であっても良い。しかし、前者の方法においては、後述のとおりに、シラン系カップリング剤が生石灰表面に存在してその効果を発揮することから、生石灰を粉砕しつつシラン系カップリング剤を添加することが、シラン系カップリング剤が粉砕処理で発生する新しい生石灰表面に作用し易くなること、シラン系カップリング剤が生石灰粉末中により均一に分散されることから好ましい。
【0012】
生石灰を水で消化するときに、表面処理剤が存在することで得られる消石灰の比表面積が著しく高くなること、更に、少なくとも一部が加水分解されたシラン系カップリング剤が存在するときにより顕著な効果が得られることについて、その理由は明らかでないが、本発明者らは、シラン系カップリング剤により表面を被われた生石灰の消化時の反応速度が制御されることで、消化反応の爆発的進行が防止される、また、シラン系カップリング剤の一部が加水分解を受けて前記表面の被われかたがより好ましく変化しているものと推察している。
【0013】
一般に、カップリング剤の必要量は分子量と表面処理される物質の比表面積により決定されるが、本発明のシラン系カップリング剤の原料生石灰に対する混合比は、生石灰とシラン系カップリング剤との合計100重量%に対して0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜2重量%である。シラン系カップリング剤の加水分解は、わずかの量の水分滴下でも有効であるため、長時間保管されたものや大気中に開放状態におかれたものでは、空気中の水分を吸収して自然に加水分解が進行していることもある。本発明者らの検討によれば、前記の加水分解を受けたシラン系カップリング剤についても本発明の目的を達成し得るものである。しかし、0.05重量%未満では、本発明の効果を得ることができない場合があるし、5重量%を越えるときは用いる表面処理剤が高価なので実用的でない。両面を考慮して、前記の好ましい範囲が選択される。
【0014】
カップリング剤としては、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤が知られているが、シラン系カップリング剤は、本発明の目的を達成する上で特に有効であり、好ましく選択される。更に、シラン系カップリング剤には、官能基としてメトキシ基、エトキシ基、エポキシ基のいずれかを有するものが、本発明の目的を達成する上で好ましい。これらの官能基を有するシラン系カップリング剤は、水で加水分解処理されることにより、前記官能基が開環もしくはシラノール基化され、生石灰粉の表面を有効に被覆するものと考えられる。
【0015】
シラン系カップリング剤としては、メトキシ基を有するビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等、エトキシ基を有するビニルエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられる。
【0016】
更に、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン等があげられ、これらは高比表面積の消石灰を得易いので特に好ましい。
【0017】
本発明に用いる生石灰としては、石灰石をロータリーキルン、ベッケンバッハ炉等で加熱処理後、ジョークラッシャー、ボールミル、振動ミル、ジェットミル等で乾式粉砕し、いろいろなサイズに分級されて得られた生石灰等の、例えば平均粒径が4μm程度、比表面積が4m2/g程度の従来公知のものを用いることができ、格別のものを用いる必要はない。尚、上述したとおりに、前記乾式粉砕の処理において、少なくとも一部を加水分解したシラン系カップリング剤を添加することができる。
【0018】
シラン系カップリング剤の生石灰への添加の方法についても、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の従来公知の機器、方法を適用すれば良い。
【0019】
また、生石灰に水を加えて消化する条件については、生石灰と水との割合は1/0.35〜1/1.5の重量比率が好ましく、温度は40〜70℃の範囲で略一定に保持することが好ましい。また、消化反応が完了するまでの間、前記生石灰と水との混合物は、その配合条件、消化の進み具合等に応じて、スラリー状態〜湿潤した粉末状態を示すので、それに応じた従来公知の混合機を適用すれば良い。
【0020】
更に、消化反応を終えて得られる消石灰は、通常未反応の水を含むので、乾燥し蒸発させるが、このとき粉末が凝集し塊状となることがある。このため、乾燥後、乾式粉砕するのが一般的であるが、前記の乾燥、粉砕の操作を同時に行うことが、生産性の面から好ましい。
【0021】
【実施例】
〔実施例1〕γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製 S510)90重量部に水10重量部を滴下し、振動混合機を用いて10時間振動を加えることにより単相に混合し、一部を加水分解した。
【0022】
この加水分解処理したγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1重量部を比表面積4.0m2/gの生石灰(電気化学工業(株)製 生石灰)100重量部に加え、乳鉢を用いて乾式で混合し生石灰の粉末を得た。
【0023】
前記生石灰粉末100重量部に水100重量部を60℃で加え、攪拌しながら1時間保持し、消化反応を完了させ消石灰を得た。得られた消石灰を、120℃に加熱し乾燥した後、解砕して、平均粒子径4.3μmの消石灰粉末を得た。
【0024】
前記消石灰粉末について、湯浅アイオニクス社のカンタソーブを用いてBET比表面積値を測定したところ、55.4m2/gという高比表面積を示した。
【0025】
〔実施例2、3 比較例1、2〕実施例1のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに対する純水の滴下量を変えたこと以外は実施例1と同一の操作を行い、いろいろな消石灰粉末を得て、それらの比表面積を測定した。この結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、有機溶剤を用いることなく、排ガス処理用途等に適用可能な、高比表面積で高反応性の消石灰を安価にしかも容易に得ることができるので、産業上非常に有用である。
Claims (3)
- 少なくとも一部が加水分解を受けているシラン系カップリング剤の存在下に、生石灰を水で消化する方法であって、前記シラン系カップリング剤は、シラン系カップリング剤と水の合計100重量%あたり、1〜10重量%の水をシラン系カップリング剤に添加混合して製造されたものであることを特徴とする消石灰の製造方法。
- 生石灰が、少なくとも一部が加水分解を受けているシラン系カップリング剤で表面処理されており、その表面処理が、生石灰の粉砕処理と同時に施されていることを特徴とする請求項1記載の消石灰の製造方法。
- シラン系カップリング剤が、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランであることを特徴とする請求項1又は2記載の消石灰の製造方法。
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| JP10616798A JP4093631B2 (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 消石灰の製造方法 |
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|---|---|---|---|
| JP10616798A JP4093631B2 (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 消石灰の製造方法 |
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| JPH11292576A JPH11292576A (ja) | 1999-10-26 |
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Family Applications (1)
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| JP10616798A Expired - Fee Related JP4093631B2 (ja) | 1998-04-16 | 1998-04-16 | 消石灰の製造方法 |
Country Status (1)
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-
1998
- 1998-04-16 JP JP10616798A patent/JP4093631B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH11292576A (ja) | 1999-10-26 |
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