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JP4032782B2 - 良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法 - Google Patents
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良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装鋼板の製造方法に係り、特に高温で焼鈍された鋼板に樹脂を含む水系塗液を塗布・乾燥後焼き付けして塗装鋼板を製造する方法に関する。特に本発明は、塗液の乾燥工程において発生するフラッシュラストを低減し、かつ水系塗液を長時間継続して塗布する工程においてロールコーターへの樹脂巻き付きを防止して良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷延鋼板や電磁鋼板などは、最終板厚に圧延された後、一般に還元雰囲気で高温の最終焼鈍され、その後必要に応じて塗装され、最終製品とされる。塗装の種類には種々のものがあるが、有機樹脂を含有した水系塗料塗装が一般的に広く行われている。また、塗装方法にも、種々の形式があるが、ロールコータ方式が生産性において優れ、かつ薄膜での塗膜厚の管理を厳格に行えるので広く採用されている。また、このような塗装は一般に最終焼鈍炉に直結した塗装ラインを用いるので、塗装される鋼板は最終焼鈍によって活性化された表面を有し、かつ高速、たとえば150m/minで塗装ラインに導入される。
【0003】
このような最終焼鈍炉に直結した塗装ラインを用いて、鋼板に有機樹脂を含む水系塗液を塗布し、これを乾燥・焼き付けして塗装鋼板を製造すると、以下の▲1▼、▲2▼の問題に遭遇する。
▲1▼焼鈍後の鋼板は表面の活性度が高いため、塗布された水系塗液中にFeが溶出しやすく、フラッシュラストなどの被膜外観不良が発生しやすい。
▲2▼鋼板を焼鈍炉から直接高速でロールコーターに持ち込んで水系塗液を塗布すると、特に長時間継続して塗布作業を行うときに、鋼板が保有する熱により樹脂がロールコーターに巻き付きそこを起点に被膜外観不良が発生しやすい。
【0004】
このような問題を解決するため、特開平4-154972号公報には最終焼鈍工程を経た電磁鋼板の表面にクロム化合物−有機樹脂系の処理液を塗布し、次いで焼き付けし、絶縁被膜を形成する方法において該処理液の温度を25℃以下の状態にして25℃以下に保持された該電磁鋼板の表面に塗布する電磁鋼板被膜の形成方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この方法にしたがい、処理液の温度及び鋼板の温度を25℃以下にすることによりロールコーターへの樹脂巻き付きを減少させることができる。しかしながら、その効果は限られており、樹脂種によっては長時間塗布によりロールコーターへの樹脂巻き付きが発生する。また、クロム化合物−有機樹脂系は不動体化効果のためフラッシュラストは発生し難いが、クロム化合物を含まなかったり量が少ない場合は、Feが溶出することに起因するフラッシュラストが発生しやすい。
【0006】
本発明は、上記従来技術に係る問題点を解決し、最終焼鈍炉に直結した塗装ラインを用いて、鋼板に有機樹脂を含む水系塗液を塗布し、これを乾燥・焼き付けして塗装鋼板を製造する場合、特に長時間継続して塗布作業を行うときにも、ロールコーターへの塗料巻き付き現象を生ぜず、かつフラッシュラストの発生もない良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法を提案するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、フラッシュラストの生成条件について検討を重ね、焼鈍後の鋼板に対して水洗を施して鋼板の表面活性度を低下させることによりフラッシュラストの発生を抑制できること、また水系塗液の塗布後、水を迅速に乾燥させることによってフラッシュラストの発生を抑制できることを見出した。また、本発明者らは水系塗液を長時間継続して塗布作業を行うときのロールコーターへの樹脂巻き付きについても検討を行い、塗液塗布時の鋼板温度を塗液成分中の有機樹脂のガラス転移点に応じて一定範囲内に管理すれば、実質的にロールコーターへの樹脂成分の巻き付きを抑制できることを知った。
【0008】
本発明は、具体的には、焼鈍された鋼板を水により洗浄した後、樹脂を含む水系塗液を塗布し、塗布終了から鋼板温度が100℃になるまでの時間を10s以内として乾燥した後、所定温度まで昇温して焼き付けることにより良好な外観を有する塗装鋼板を製造するものである。
【0009】
本発明は、上記乾燥、焼き付け条件に加え、さらに樹脂を含む水系塗液を塗布する際の鋼板温度を60℃以下かつ水系塗量に含まれる樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃以下とするこれにより、長時間継続して塗布工程を実施する際におけるロールコーターへの樹脂巻き付きを抑制し、良好な外観を有する塗装鋼板を製造することができる。上記発明を実施するに当たり、前記水系塗料塗布後の乾燥は鋼板の内部発熱により行うことが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、焼鈍された鋼板に適用される。鋼板の材質に特に制限されず、冷延鋼板のほか、電磁鋼板にも適用可能である。板厚にも特に限定はないが、板厚が厚いときには水性塗液を塗布後、鋼板を迅速に乾燥するための昇温速度が十分大きくできないおそれがあるので、板厚を0.9mm以下とするのが好適である。焼鈍雰囲気、焼鈍温度にも特に制限はなく、窒素/水素混合雰囲気のほか、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気を用い、たとえば再結晶温度以上の高温で焼鈍した鋼板に対して本発明を適用しうる。また、鋼板の通板速度にも特に制限を設ける必要がないが、通板速度を150m/m以上のような高速にとったとき、ロールコーターで樹脂にせん断力がかかりやすくなり、樹脂がロールに巻き付きやすくなるので本発明の効果が顕著に現われる利点がある。
【0011】
このようにして焼鈍された鋼板は、まず水により洗浄される。水洗の方法は特に限定されず、浸漬、スプレー、ブラシ洗浄など任意の手段を採用しうる。この水洗を行わない場合、原因は明らかではないが、特に不動態化剤を含まない水系塗液を用いた場合、塗液中にFeが溶出することに起因するフラッシュラストが発生し、塗装鋼板の外観を劣化させる。このような現象は、焼鈍直後の鋼板に対して水洗を行うことにより大幅に軽減される。
【0012】
水洗された鋼板には、次いで樹脂を含む水系塗液が塗布される。樹脂の種類は塗装鋼板の性質に応じて選べばよく、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、尿素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂を利用できる。また、これらの種類の樹脂を単体で利用できるほか、これらの共重合体あるいは混合物等の形でも利用できる。
【0013】
また、水系塗液の成分として上記樹脂を含有する塗液中に樹脂のほか無機成分を混合することもできる。無機成分としては、例えば、クロム酸系、リン酸系、無機コロイド系、あるいはこれらの混合物系の物質等を目的に応じて利用できる。これら無機成分は上記樹脂成分と相溶する範囲内で選択される。さらに、樹脂成分相互間、あるいは上記無機成分との相溶性確保のため、必要に応じて公知の界面活性剤添加、樹脂表面官能基制御、pH調整剤添加等を適宜適用することもできる。
【0014】
上記樹脂成分等を含有する水系塗液は、水洗された鋼板上に、たとえばロールコーターによって所定厚さの塗膜層が得られるように塗布されるが、その際、樹脂の性質に応じ下記の点に留意することが、特に長時間継続して塗布作業を行うときのロールコーターへの樹脂巻き付き防止の点で望ましい。
【0015】
まず、塗液が熱可塑性樹脂を含まない場合、すなわち樹脂成分が熱硬化性樹脂のみから成り立っている場合は、水系塗量を塗布する際の鋼板の温度を60℃以下とする。樹脂成分が熱硬化性樹脂のみであり、熱可塑性樹脂を含有しない場合は、鋼板温度が上昇してもロールコーターへの樹脂巻き付き現象は生じないが、鋼板温度が60℃を超えると鋼板面からの水分蒸発が激しくなり、そのため塗膜面に斑点状の外観不良が発生しやすくなる。そのため、塗料の如何にかかわらず、鋼板温度を60℃以下になるようにすべきである
【0016】
塗液に熱可塑性樹脂を含む場合には、上記条件に加えて、鋼板温度を水系塗量に含まれる樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃以下とすることが特に長時間継続して塗布作業を行うときの樹脂のロールコーターへの巻き付きを防止する上で必要である
【0017】
図1は、溶質(固形分換算で樹脂30mass%、重クロム酸マグネシウム5mass%、エチレングリコール15mass%(エチレングリコールは溶質分として計算))を水に5mass%の濃度で溶解させた水系塗液を厚さ0.5mmの鋼板100t(トン、以下同様)に塗布したときのロールコーターへの樹脂巻き付き現象の発生状況と用いた樹脂のガラス転移点温度との関係を、鋼板温度をパラメーターとして、示したグラフである。なお、用いた樹脂はアクリル/スチレン共重合樹脂であり、そのガラス転移点はモノマー組成を変更することによって調整した。なお、上記図1において、樹脂巻き付き状況の評価は表1のとおりである。
【0018】
【表1】
Figure 0004032782
【0019】
このグラフから長時間継続して塗布作業を行うときのロールコーターへの樹脂巻き付き現象は熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)と鋼板温度に関係があり、鋼板温度が使用される熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃を超えるとロールコーターへの樹脂巻き付き現象が著しくなることが分かる。
【0020】
図2は、溶質(固形分換算で樹脂30mass%、重クロム酸マグネシウム5mass%、エチレングリコール15mass%(エチレングリコールは溶質として計算))を水に5mass%の濃度で溶解させた水系塗液を厚さ0.5mmの鋼板100tに塗布したときのロールコーターへの樹脂巻き付き現象の発生状況と鋼板温度との関係を示したグラフである。この場合用いた樹脂は、▲1▼ガラス転移点25℃のアクリル/スチレン共重合樹脂、▲2▼ガラス転移点25℃のアクリル/スチレン共重合樹脂(50mass%)とエポキシ樹脂(50mass%)のブレンド樹脂、▲3▼エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂)である。なお、樹脂巻き付きの評価基準は表1に記したとおりである。
【0021】
図2から、鋼板温度が低いほどロールコーターへの樹脂巻きつき現象が軽減されること、及び鋼板温度が使用した熱可塑性樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃以下であれば樹脂の凝集によるロールコーターへの巻きつきの問題が生じないことが分かる。また、熱硬化性樹脂を用いた場合には、鋼板温度が60℃に至るまでロールコーターへの巻きつきの問題が生じないことが分かる。
【0022】
これら、図1、図2に示す関係は、熱可塑性樹脂の種類、配合、濃度あるいは鋼板のライン速度等によらず一般的に認められており、したがって、本発明では鋼板温度を60℃以下になるようにするとともに、塗液に熱可塑性の樹脂を含む場合には、鋼板温度を水系塗液に含まれる樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃以下とするのである。
【0023】
上記に示す条件によって水系塗液が塗布された鋼板は、次いで塗料の乾燥・焼付け工程に付される。この塗料の乾燥・焼付け工程に当たり、水系塗液の塗布終了から鋼板温度が100℃になるまでの時間を10秒以内として乾燥することがフラッシュラストの生成防止のため重要である。
【0024】
図3は、H2/N2=30/70の雰囲気で900℃で焼鈍した厚さ0.5mmの冷延鋼板100tに水洗を施し、あるいは施さずに直接に、溶質(固形分換算で樹脂40mass%、アルミナ複合シリカ60mass%)を水に5mass%の濃度で溶解させた水系塗液をロールコーターで塗布し、塗布終了から鋼板温度が100℃になるまでの時間(このうち、塗布から加熱開始までの時間2s)とフラッシュラストの発生状況との関係を、焼鈍後の水洗の有無をパラメータとして、示したグラフである。なお、樹脂としてはアクリル/スチレン共重合樹脂(Tg:25℃)を用い、塗布する際の鋼板温度は30℃とした。また、100℃から200℃までは10℃/sで焼き付けを行った。なお、上記図3におけるフラッシュラストの発生状況の評価は表2に示すとおりである。
【0025】
【表2】
Figure 0004032782
【0026】
図3から分かるように、水系塗液の塗布終了後鋼板温度が100℃に達するまでの乾燥温度が10s以下のときはフラッシュラストの発生がほとんどないこと、特に鋼板が焼鈍後水洗処理を受けたときは実質的にフラッシュラストの発生が皆無になる。
【0027】
このように水系塗液の塗布終了後鋼板温度が100℃に達するまでの乾燥温度を短縮し、また水洗することによってフラッシュラストの発生を抑制できるメカニズムについては、必ずしも明らかではない。しかし、水系塗液の塗布後の乾燥時間を短縮することは、焼鈍により活性化された鋼板表面からのFeの溶出量を少なくし、また、水洗は活性化された鋼板表面を僅かな水酸化物の生成などによって不活性にし、これによって塗液中へのFeの移行を妨げるためと推察される。なお、フラッシュラストは、塗液中にクロムなどの不動態化剤を十分な量を含む水系塗液を用いた場合は本質的に発生しない。
【0028】
上記乾燥時間の短縮のためには、公知の手段をすべてとりうる。しかし、例えば熱風炉を用いる場合には、急速加熱のため塗膜層に熱風が強く当たることになり、風紋などの外観不良が顕著に発生する場合がある。これに対し、例えば鋼板を誘導加熱するなど、鋼板の内部発熱により行う手段を採用すれば、上記のような問題を生ぜず、所期の急速加熱による乾燥を行いうる。
【0029】
上記乾燥後の焼付け工程については、従来公知の手段を用いることができる。昇温速度、最高加熱温度については、塗装鋼板の種類、使用目的に応じて適宜選択すればよい。
【0030】
また、塗液の塗布方法についても、上記本発明の条件を満足する限り、特に制限する必要はないが、いわゆる両面同時塗布型のロールコーターを用いるのが好適である。片面塗布型のロールコーターを用い、表裏別々に塗布する場合は、鋼板表裏に塗膜厚の差が生じる原因となり、かつ、最初に塗布した面では、次の面に塗付されるまで乾燥工程を待たねばならず、フラッシュラストの発生の危険があるからである。なお、両面同時塗布型のロールコーターとしては、塗膜厚を表裏むらなくできるので、例えば特開平11-262710号公報に記載されているいわゆる竪型のものを用いるのが好ましい。
【0031】
【実施例】
板厚0.5mm、幅1mの冷延鋼板100tを準備し、これをH2/N2=30/70の雰囲気で900℃で焼鈍した。焼鈍された鋼板に対し表1に示す組成を有する水系塗液を塗布した。塗布条件は得られた製品の評価とともに表2に示す。これらのデータから分かるように、本発明例に従って焼鈍された鋼板に水洗を行い、水系塗液の塗布後の乾燥時間を短縮した場合には、フラッシュラストの発生なく、また、鋼板温度を水系塗料に含まれる樹脂のガラス転移点(Tg)+20℃以下とした場合には塗装時の樹脂のロールコーターへの巻き付きを防止できる。
【0032】
【表3】
Figure 0004032782
【0033】
【表4】
Figure 0004032782
【0034】
【発明の効果】
本発明により、最終焼鈍炉に直結した塗装ラインを用いて、鋼板に有機樹脂を含む水系塗液を塗布し、これを乾燥・焼き付けして塗装鋼板を製造する場合にも、フラッシュラストの発生なく良好な外観を有する塗装鋼板を製造することができる。また、長時間継続して塗布作業を行うときのロールコーターへの塗料巻き付き現象を回避して、ロールコーターの洗浄回数を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ロールコーターへの樹脂巻き付き現象の発生状況と用いた樹脂のガラス転移点温度との関係を、鋼板温度をパラメーターとして、示したグラフである。
【図2】 ロールコーターへの樹脂巻き付き現象の発生状況と鋼板温度との関係を示したグラフである。
【図3】 水系塗液の塗布終了から鋼板温度が100℃になるまでの時間とフラッシュラストの発生状況との関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 焼鈍された鋼板を水により洗浄した後、鋼板温度を 60 ℃以下かつ水系塗量に含まれる樹脂のガラス転移点( Tg +20 ℃以下として樹脂を含む水系塗液を塗布し、塗布終了から鋼板温度が100℃になるまでの時間を10s以内として乾燥した後、所定温度まで昇温して焼き付けることを特徴とする良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法。
  2. 水系塗液塗布後の乾燥を鋼板の内部発熱により行うことを特徴とする請求項1記載の良好な外観を有する塗装鋼板を製造する方法。
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