JP4037192B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置の電源投入時における動作制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔性の支持円筒体である多孔性支持板の周面に樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを複数層巻装してなる回転自在な版胴と、熱可塑性樹脂フィルム(厚み1〜3μm程度のものが一般的に用いられる)と和紙繊維あるいは合成繊維あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したもの等からなる多孔性支持体とを貼り合わせたラミネート構造のマスタとを用い、マスタの熱可塑性樹脂フィルム面をサーマルヘッド等により加熱穿孔製版した後に版胴に巻装し、版胴内部に設けられたインキ供給手段よりインキを供給しつつプレスローラ等の押圧手段によって給紙手段より給送された用紙を版胴外周面上の製版済みマスタに連続的に押圧することにより、版胴開孔部及びマスタ穿孔部よりインキを滲出させて用紙に転写することで印刷を行う感熱デジタル孔版印刷装置が一般的に知られている。
【0003】
この孔版印刷装置では作動する部材の位置を把握するためのセンサが複数設けられており、メイン電源が投入されるとこれら各センサの初期化のためのイニシャライズ動作が行われる。特に版胴の位置は重要であり、版胴は通常の非動作時において所定のホームポジションで停止するように構成されている。最近では色換えやメンテナンスの容易化のために装置本体に対して版胴が着脱自在に構成された孔版印刷装置が大部分を占めており、この着脱動作は版胴がホームポジションに位置しているときのみ可能となるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電源投入時、製版待機時あるいは印刷待機時等の非動作時において、版胴はホームポジションで停止している。しかし、版胴回転中に、オペレータの不注意によるスイッチオフ、停電、ブレーカの作動等によってメイン電源が落ちると、ホームポジション以外の位置で版胴が停止することとなる。
【0005】
その後、再度の電源投入により孔版印刷装置は再度イニシャライズ動作を行うが、版胴外周面上のクランパでマスタの先端を挟持し、製版されたマスタを版胴外周面上に巻き付ける巻装動作中にメイン電源が落ちると、復帰時のイニシャライズ動作によって版胴が回転するため、版胴外周面上に未製版のマスタが複数層にわたって巻装されてしまうという不具合が発生する。
【0006】
このような事態となると、版胴がホームポジションに停止して孔版印刷装置が印刷待機状態となった後に印刷指令が送られても、版胴外周面上に巻装されているマスタが未製版マスタであるために白紙印刷となってしまう。また、版胴外周面上にマスタが複数層にわたって巻装されることにより、巻装されたマスタが他の部材と干渉して版胴の回転が妨害されてしまう虞もある。この場合には版胴の駆動系に多大な負荷が掛かり、最悪の場合には装置が故障してしまう。
【0007】
本発明は上記問題点を解決し、電源投入時において版胴がホームポジションに位置していない場合であっても、その後の動作を良好に行うことが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、マスタを巻装する版胴と、マスタロールから引き出されたマスタを切断する切断手段と、前記版胴が所定位置であるホームポジションに位置しているか否かを検知するホームポジション検知手段とを有し、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には前記版胴の回転動作を伴ったイニシャライズ動作を行う孔版印刷装置において、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には、前記版胴の回転動作の前に前記切断手段を作動させることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに電源投入時において前記版胴へのマスタ巻装動作が未完了状態であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、マスタを巻装する版胴と、マスタロールから引き出されたマスタを前記版胴に向けて搬送するプラテンローラ及び該マスタを切断する切断手段と、前記版胴が所定位置であるホームポジションに位置しているか否かを検知するホームポジション検知手段とを有し、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には前記版胴の回転動作を伴ったイニシャライズ動作を行う孔版印刷装置において、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には、前記版胴の回転動作の前に、前記搬送とは逆の方向に前記マスタロールから引き出されたマスタが進むべく前記プラテンローラを微小回転させた後に前記切断手段を作動させることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の孔版印刷装置において、さらに電源投入時において前記版胴へのマスタ巻装動作が完了状態であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに電源投入時において前記切断手段が作動した場合に警告を行う警告手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴は前記ホームポジションに位置している場合に装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする。
【0014】
【実施例】
図1は、本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の要部概略正面図である。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4を有している。
【0015】
印刷部2は、図示しない装置本体のほぼ中央部に位置し図示しない版胴駆動手段によって図1において時計回り方向に回転駆動される版胴5と、版胴5の外周面に対して接離自在に設けられたプレスローラ6とを有している。
【0016】
版胴5は、その両側縁部を図示しない一対の端板の各周面にそれぞれ取り付けられた多孔性支持板5aと、多孔性支持板5aの外周に複数層巻装された図示しないメッシュスクリーンとを有しており、多孔性支持板5aには複数の開孔5bを有する開孔部が形成されている。多孔性支持板5aの非開孔部には、版胴5の一母線に沿った平面をなすステージ部7が設けられており、ステージ部7上には支軸8aによって回動自在に支持されたクランパ8が配設されている。クランパ8は、版胴5が所定のクランパ開閉位置を占めたときに図示しない開閉手段によって開閉される。
【0017】
版胴5の内部にはインキ供給手段9が配設されている。インキ供給手段9は、版胴5の支軸を兼用するインキ供給パイプ10、インキローラ11、ドクターローラ12等を有している。
【0018】
インキ供給パイプ10は図示しない一対の端板間に設けられており、図示しない軸受を介して各端板をそれぞれ回転自在に支持している。インキ供給パイプ10には図示しないインキポンプ及び図示しないインキパックが接続されており、インキポンプの作動によりインキパック内のインキがインキ供給パイプ10に複数設けられたインキ供給孔10aから版胴5の内部に供給される。
【0019】
インキローラ11は、図示しない一対の端板間に配設されそれぞれインキ供給パイプ10に固設された図示しない一対の側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によって版胴5と同期して同方向に回転駆動される。インキローラ11は、その周面と版胴5の内周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配設されている。
【0020】
インキローラ11の近傍にはドクターローラ12が配設されている。ドクターローラ12もインキローラ11と同じ図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しない回転駆動手段によってインキローラ11と同期して逆方向に回転駆動される。ドクターローラ12は、その周面とインキローラ11の周面との間に僅かな隙間が生じる位置に配設されている。
【0021】
インキローラ11とドクターローラ12との近接部には断面楔形状の空間が形成され、この空間にインキ供給孔10aから供給されたインキが溜まることによりインキ溜まり13が形成される。インキ溜まり13のインキは、インキローラ11とドクターローラ12との近接部を通過する際にインキローラ11の周面上に薄層状に供給され、後述するプレスローラ6によって版胴5が押圧された際にインキローラ11の周面と版胴5の内周面とが接触することにより版胴5の内周面に供給される。
【0022】
装置奥側に位置する図示しない一方の端板の外面側には、この図示しない端板と一体的に回転する円板14が配設されている。円板14には突出部14aが一体的に形成されており、突出部14aの移動軌道上に位置する図示しない装置本体側には、突出部14aを検知して信号を発するホームポジション検知手段としてのセンサ15が配設されている。本実施例において、センサ15はクランパ8が真上に位置したときに突出部14aを検知する位置に配設されており、版胴5はクランパ8が真上となる位置がホームポジションに定められている。
【0023】
図示しない一方の端板の外面側であって、この端板の外面と円板14との間には、図示しない版胴駆動手段に設けられた駆動ギヤからの回転駆動力を伝達するための図示しない伝達ギヤが配設されている。各ギヤはギヤ部とフランジ部とを有しており、それぞれのフランジ部の一部が同様に切り欠かれていて、互いの切欠部が一致した状態においてのみ係脱自在に構成されている。本実施例では、版胴5がホームポジションを占めたときに各ギヤの切欠部が互いに一致するように構成されている。なお、このギヤ部の詳細な構成については、本願出願人と同一出願人による特開平8−183238号公報に詳述されている。
【0024】
また、インキ供給パイプ10の装置奥側に位置する先端部は、装置本体に設けられた図示しない位置決め部材に対して嵌合可能に構成されており、インキ供給パイプ10の両端部近傍には図示しない取っ手が取り付けられている。
【0025】
上述の構成より、版胴5がホームポジションに位置しているときに図示しない取っ手を掴んで版胴5を図1の紙面手前方向に引き出すことにより、版胴5が装置本体より抜脱される。
【0026】
版胴5の下方にはプレスローラ6が配設されている。版胴5の軸方向長さとほぼ同じ長さを有し、芯部6aの周囲にゴム等の弾性体を巻成してなるプレスローラ6は、芯部6aの一端を一対のプレスローラアーム16の一端間にそれぞれ回転自在に支持されている。板状部材である一対のプレスローラアーム16は、図示しない装置本体に回動自在に支持されたプレスローラ軸17にそれぞれの他端を固着されており、図示しないプレスローラ揺動手段によってそれぞれ一体的に揺動される。この揺動によりプレスローラ6は、その周面を版胴5の外周面から離間させる実線で示す離間位置と、その周面を所定の押圧力で版胴5の外周面に圧接させる破線で示す押圧位置とを選択的に占める。
【0027】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ貯容部材18、プラテンローラ19、サーマルヘッド20、切断手段21、テンションローラ22、ブレーキローラ23、マスタガイド板24,25等を有している。
【0028】
一対の円板状部材からなるマスタ貯容部材18は製版部3の図示しない一対の側板にそれぞれ着脱自在に取り付けられており、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタ26をロール状に巻成したマスタロール26aの芯部26bを回転自在かつ着脱自在に支持する。
【0029】
マスタロール26aの配設位置左方にはプラテンローラ19が配設されている。プラテンローラ19はその軸方向長さがマスタ26の幅とほぼ同じ長さに形成されており、製版部3の図示しない側板間に回転自在に支持されている。プラテンローラ19はステッピングモータ27から駆動力を伝達され、図において時計回り方向に回転駆動される。
【0030】
プラテンローラ19の下方にはサーマルヘッド20が配設されている。サーマルヘッド20は、その幅がプラテンローラ19の軸方向長さよりも大きく形成され、その上面には複数の発熱素子が配設されており、その発熱素子面をプラテンローラ19の周面に圧接させるように、付勢手段20aによって付勢されている。各発熱素子は、図示しないサーマルヘッドドライバによってその作動を個々に制御される。
【0031】
プラテンローラ19及びサーマルヘッド20の左方には切断手段21が配設されている。切断手段21は、図2に示すように、回転刃である下刃21aを有する下刃ホルダ21bと、回転刃である上刃21cを有し下刃ホルダ21bと一体的に設けられた上刃ホルダ21dとを有している。下刃21aと上刃21cとは所定のクリアランスを保って互いの周面の一部が重なり合うように配置されており、下刃21aと上刃21cとの重合部においてマスタ26が切断される。
【0032】
下刃ホルダ21bは箱形の切断手段本体21eの内部に配置されており、その側面ほぼ中央部には貫通孔が形成され、この貫通孔の両端部には図示しないねじブッシュが取り付けられている。下刃ホルダ21bはこのねじブッシュに双方向ねじが形成されたねじ軸21fを螺合されており、モータ21gによってねじ軸21fが一方向に回転駆動されることにより、切断手段本体21e内で往復移動する。下刃21aは切断手段本体21eの上板21hに形成された図示しない溝部からその周面の一部を外部に臨ませており、その同軸上には上板21hの下面に接触している図示しないローラが設けられている。上刃21cもその同軸上に上板21hの上面に接触している図示しないローラを有している。この構成より、モータ21gが作動すると下刃ホルダ21b及びこれと一体の上刃ホルダ21dが往復移動し、これに伴い下刃21a及び上刃21cが各ホルダ21b,21dの移動方向と同方向に回転駆動される。なお、符号21iは切断手段21のホームポジションを検知するセンサを示している。
【0033】
プラテンローラ19の配設位置と切断手段21の配設位置との間の位置にはテンションローラ22が配設されており、切断手段21よりもマスタ搬送方向下流側の位置にはブレーキローラ23が配設されている。各ローラ22,23は製版部3の図示しない側板にそれぞれ回転自在に支持されており、図示しない駆動手段によってそれぞれ回転駆動される。テンションローラ22の回転周速度はプラテンローラ19の回転周速度よりも僅かに早くなるように、また、ブレーキローラ23の回転周速度はテンションローラ22の回転周速度よりも僅かに早くなるようにそれぞれ設定されており、プラテンローラ19とテンションローラ22との間、及びテンションローラ22とブレーキローラ23との間において、マスタ26に対してそれぞれ所定の張力が作用するように構成されている。なお、各マスタガイド板24,25は、製版部3の図示しない側板にそれぞれ取り付けられている。
【0034】
印刷部2の右下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ28、給紙ローラ29、レジストローラ対30等を有している。
その上面に多量の用紙Pを積載する給紙トレイ28は、図示しない装置本体に昇降自在に支持されており、図示しないトレイ昇降手段によって昇降される。
【0035】
給紙トレイ28の上方であって用紙Pの搬送方向先端部と対応する部位には、給紙ローラ29が配設されている。周面に高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ29は、給紙部4の図示しない側板間に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段によって給紙トレイ28上の最上位の用紙Pに所定の圧接力で圧接される。給紙ローラ29は、図示しない給紙モータによって図の時計回り方向に回転駆動される。
【0036】
給紙ローラ29の下方であって、給紙トレイ28上の用紙Pの搬送方向先端部よりも用紙搬送方向下流側の位置には、高摩擦抵抗部材からなる用紙分離部材31が配設されている。用紙分離部材31は、所定の圧接力で給紙ローラ29の周面に圧接配置されている。
【0037】
給紙ローラ29及び用紙分離部材31よりも用紙搬送方向下流側の位置には、レジストローラ対30が配設されている。共に給紙部4の図示しない側板間に回転自在に支持された駆動ローラ30a及び従動ローラ30bを有するレジストローラ対30は、図示しないレジスト駆動手段から駆動力を伝達されて回転する駆動ローラ30aとこれに圧接された従動ローラ30bとにより、給紙ローラ29によって給紙トレイ28上から引き出された用紙Pを一時停止させた後、所定のタイミングで印刷部2に向けて給送する。
【0038】
給紙ローラ29と駆動ローラ30aとの間の部位には用紙ガイド板32が、また、従動ローラ30bよりも用紙搬送方向下流側の位置には用紙ガイド板33がそれぞれ配設されている。各用紙ガイド板32,33は、それぞれ給紙部4の図示しない側板間に固設されている。
【0039】
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。
オペレータにより孔版印刷装置1のメイン電源がオンされると(ST301)、孔版印刷装置1の図示しない制御手段は版胴5がホームポジションに位置しているか否かを、センサ15がオンしているか否かで判断する(ST302)。版胴5がホームポジションに位置していてセンサ15がオンしている場合には、制御手段は孔版印刷装置1にイニシャライズ動作を行わせ(ST303)、これにより孔版印刷装置1は待機状態となる。
【0040】
版胴5がホームポジション以外の位置にある場合には、制御手段はモータ21gを作動させて(ST304)切断手段21によりマスタ26の切断を行う。そして、下刃ホルダ21b及び上刃ホルダ21dが1往復してマスタ26の切断動作が完了したか否かをセンサ21iからの信号に基づいて判断し(ST305)、センサ21iがオンして各ホルダ21b,21dが1往復されたと判断されるとモータ21gの作動が停止される(ST306)。
【0041】
モータ21gの停止後、制御手段は版胴駆動手段を作動させて版胴5を図1において時計回り方向に回転駆動させ(ST307)、版胴5がホームポジションまで回転したと判断されると(ST308)版胴駆動手段の作動を停止させる(ST309)。その後、制御手段は孔版印刷装置1にイニシャライズ動作を行わせ(ST310)、これにより孔版印刷装置1は待機状態となる。
【0042】
この構成により、電源投入時において版胴5がホームポジション以外の位置を占めているときには、切断手段21を作動させてマスタ26の切断を行うので、例えクランパ8によってマスタ26を挟持した巻装動作中に電源が再投入されても、切断手段21によってマスタ26が切断された後に版胴5が回転されることとなるため、版胴5の外周面上に未製版のマスタ26が複数層にわたって巻装されることを防止することができ、白紙印刷や装置の故障といった不具合の発生を防止して良好な印刷動作を行うことができる。
【0043】
上記実施例では、切断手段21を作動させた後にイニシャライズ動作を行うことにより、版胴5が巻装動作中に電源を落とされた状態から電源を再投入されても良好な印刷を行うことができる。しかし、版胴5が巻装動作中ではない場合には、マスタロール26aから引き出されたマスタ26の先端は切断手段21の切断位置に位置していることとなる。この状態から切断手段21を作動させると、マスタ26の先端が微小幅(0.5mm程度)で切り落とされてマスタ屑が発生する虞がある。このマスタ屑は孔版印刷装置1の内部に落下するが、マスタ屑がマスタ搬送経路内あるいは用紙搬送経路内に落下すると、版胴5とマスタ26との間あるいは版胴5と用紙Pとの間に入り込み、マスタ屑が入り込んだ部分においてインキ不通過部が形成されることから画像抜けが発生してしまう。そこで、この画像抜けの発生を防止することが可能な構成を、他の実施例として図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0044】
オペレータにより孔版印刷装置1のメイン電源がオンされると(ST401)、孔版印刷装置1の図示しない制御手段は版胴5がホームポジションに位置しているか否かを判断する(ST402)。版胴5がホームポジションに位置している場合には、制御手段は孔版印刷装置1にイニシャライズ動作を行わせ(ST403)て孔版印刷装置1は待機状態となる。
【0045】
版胴5がホームポジション以外の位置にある場合には、制御手段はステッピングモータ27を微小反転させて(ST404)マスタ26を版胴5から遠ざかる方向に微少距離だけ移動させた後(ST405)、ステッピングモータ27の反転動作を停止させる(ST406)。ここで、マスタ26を搬送する微少距離とは1mm程度であり、仮にマスタ26の先端がクランパ8に挟持されている場合であっても移動可能な距離、すなわち図示しない駆動ギヤと図示しない伝達ギヤとのバックラッシュの範囲内となるように設定されている。
【0046】
ステッピングモータ27の停止後、制御手段はモータ21gを作動させて(ST407)切断手段21によりマスタ26の切断を行う。このとき、マスタ26がクランパ8に挟持されていない場合には、マスタ26の先端部は切断手段21の切断位置よりもマスタロール26a側に退避した位置にあるため、マスタ屑は発生しない。そして、制御手段はマスタ26の切断動作が完了したか否かをセンサ21iからの信号に基づいて判断し(ST408)、切断が完了したと判断されるとモータ21gの作動が停止される(ST409)。
【0047】
モータ21gの停止後、制御手段はステッピングモータ27を微小正転させて(ST410)マスタ26の先端を切断手段21の切断位置まで戻した後(ST411)、ステッピングモータ27の正転動作を停止させる(ST412)。このとき、マスタ26の先端は回転しないテンションローラ22によって押さえられているために切断位置まで戻されないが、プラテンローラ19の微小正転によってプラテンローラ19とテンションローラ22との間でマスタ26に僅かな撓みが発生し、この撓みが製版動作時において回転するプラテンローラ19とテンションローラ22との周速度差によって徐々になくなることにより、実質的にマスタ26の先端が切断位置まで戻されることとなる。
【0048】
ステッピングモータ27の停止後、制御手段は版胴駆動手段を作動させて版胴5を図1において時計回り方向に回転駆動させ(ST413)、版胴5がホームポジションまで回転したと判断されると(ST414)版胴駆動手段の作動を停止させる(ST415)。その後、制御手段は孔版印刷装置1にイニシャライズ動作を行わせ(ST416)、孔版印刷装置1は待機状態となる。
【0049】
この構成により、電源投入時において版胴5がホームポジション以外の位置を占めているときには、マスタ26が版胴5から遠ざかる方向にプラテンローラ19を微小回転させた後に切断手段21を作動させてマスタ26の切断を行うので、切断手段21の切断位置にマスタ26の先端が位置した状態から電源が再投入されてもマスタ26の先端がマスタ搬送方向上流側に退避した状態で切断手段21が作動した後に版胴5が回転されることとなるためにマスタ屑の発生を防止することができ、画像抜けの発生を防止して良好な印刷動作を行うことができる。
【0050】
上記実施例及び変形例では、切断手段21が作動した後に版胴5がイニシャライズ動作を行うため、版胴5の外周面上に中途半端な長さのマスタ26が巻装された状態となることがある。このマスタ26を孔版印刷装置1に設けられた図示しない排版装置で排版する場合、マスタ26を挟持しているクランパ8を開放することとなる。このクランパ8の解放時において、マスタ26の長さが版胴5の開孔部上に十分あり、版胴5の開孔部から滲出したインキの粘着力によってマスタ26が版胴5より落下しない場合は問題とならないが、マスタ26の長さが版胴5の開孔部上に少ししかない場合や開孔部まで達していない場合には、クランパ8の開放によってマスタ26が版胴5から落下してしまう。マスタ26が落下すると、マスタ26に付着したインキによって孔版印刷装置1の内部が汚損されてしまうと共に、中途半端な長さのマスタ26が用紙搬送経路上に引っ掛かって用紙搬送ジャムが発生してしまうという不具合も考えられる。
【0051】
そこで、電源投入時に版胴5がホームポジションになく、切断手段が作動した場合には、図示しない操作パネル上のLCD表示装置に「ドラム上のマスタを確認してください」という旨のメッセージを表示させ、手動にて排版させることを促す。この場合、版胴5はイニシャライズ動作によってホームポジションを占めており、装置本体から取り外すことができ、手動による排版を容易に行うことができる。また、LCD表示装置を持たない機種の場合には、「ドラム上マスタなし」等のLEDランプを点灯させてもよい。これらLCD表示装置及びLEDランプが警告手段として機能する。
【0052】
この構成によれば、電源投入時に版胴5がホームポジションを占めていない場合には、イニシャライズ動作後において警告手段が手動による排版動作を促すので、自動排版により発生したマスタ落下に伴う上述した各種不具合の発生を防止でき、その後も良好な印刷動作を継続することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、電源投入時において版胴がホームポジション以外の位置を占めているときには切断手段を作動させてマスタの切断を行うので、例え巻装動作中に電源が再投入されても切断手段によってマスタが切断された後に版胴が回転されることとなるため、版胴の外周面上に未製版のマスタが複数層にわたって巻装されることを防止することができ、白紙印刷や装置の故障といった不具合の発生を防止して良好な印刷動作を行うことができる。
【0054】
また、本発明の他の構成によれば、電源投入時において版胴がホームポジション以外の位置を占めているときにはマスタが版胴から遠ざかる方向にプラテンローラを微小回転させた後に切断手段を作動させてマスタの切断を行うので、切断手段の切断位置にマスタの先端が位置した状態から電源が再投入されてもマスタの先端がマスタ搬送方向上流側に退避した状態で切断手段が作動した後に版胴が回転されることとなるためにマスタ屑の発生を防止することができ、画像抜けの発生を防止して良好な印刷動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を採用した孔版印刷装置の要部概略正面図である。
【図2】本発明の一実施例に用いられる切断手段を説明する斜視図である。
【図3】本発明の一実施例における動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施例における動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 孔版印刷装置
5 版胴
15 ホームポジション検知手段(センサ)
19 プラテンローラ
21 切断手段
26 マスタ
26a マスタロール
Claims (6)
- マスタを巻装する版胴と、マスタロールから引き出されたマスタを切断する切断手段と、前記版胴が所定位置であるホームポジションに位置しているか否かを検知するホームポジション検知手段とを有し、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には前記版胴の回転動作を伴ったイニシャライズ動作を行う孔版印刷装置において、
電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には、前記版胴の回転動作の前に前記切断手段を作動させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1記載の孔版印刷装置において、
電源投入時において前記版胴へのマスタ巻装動作が未完了状態であることを特徴とする孔版印刷装置。 - マスタを巻装する版胴と、マスタロールから引き出されたマスタを前記版胴に向けて搬送するプラテンローラ及び該マスタを切断する切断手段と、前記版胴が所定位置であるホームポジションに位置しているか否かを検知するホームポジション検知手段とを有し、電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には前記版胴の回転動作を伴ったイニシャライズ動作を行う孔版印刷装置において、
電源投入時に前記版胴が前記ホームポジションに位置していない場合には、前記版胴の回転動作の前に、前記搬送とは逆の方向に前記マスタロールから引き出されたマスタが進むべく前記プラテンローラを微小回転させた後に前記切断手段を作動させることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項3記載の孔版印刷装置において、
電源投入時において前記版胴へのマスタ巻装動作が完了状態であることを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし4の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
電源投入時において前記切断手段が作動した場合に警告を行う警告手段を有することを特徴とする孔版印刷装置。 - 請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
前記版胴は前記ホームポジションに位置している場合に装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする孔版印刷装置。
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