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JP4075189B2 - 動力出力装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力出力装置に関し、詳しくは、内燃機関と電動機とを備える動力出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の動力出力装置としては、内燃機関から出力された動力をトルクコンバータおよびトランスミッションを介して駆動軸に伝達する既存の動力出力装置に、内燃機関とトルクコンバータとの間に電動機を取り付けて構成したものや、トルクコンバータとトランスミッションとの間に電動機を取り付けて構成したものや、トランスミッションの後段の駆動軸に直接電動機を取り付けて構成したものが提案されている。これらの装置は、エネルギーの有効利用を図ると共に、既存の動力出力装置のユニットをできる限り用いて開発コストや製造コストを低減しようとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの動力出力装置はそれぞれ以下の問題があった。トルクコンバータとトランスミッションとの間に電動機を取り付ける構成は、トルクコンバータとトランスミッションとを引き離すため、既存のユニットが使用できなくなるという問題があった。すなわち、既存のユニットでは、トルクコンバータのクラッチを駆動する油圧系統をトランスミッションのクラッチなどを駆動する油圧系統と一体のものとして構成する必要から、トルクコンバータとトランスミッションとを一体的に構成しているのである。また、駆動軸に直接電動機を取り付ける構成では、既存のユニットを用いることができるが、電動機から出力された動力のみにより駆動軸を駆動する場合を考えると、電動機に低回転高トルクから高回転低トルクまでの動作が要求され、電動機が大型化すると共に電動機に要するコストが大きくなってしまうという問題があった。内燃機関とトルクコンバータとの間に電動機を取り付ける構成では、こうした問題は生じないが、電動機がトルクコンバータに隣接しているために、電動機の温度が上昇しやすく、電動機が十分機能できない場合を生じるといった問題があった。
【0004】
なお、電動機の温度の上昇を防止する必要から潤滑油やトランスミッションの駆動源としての油により電動機を冷却するもの(特開平5−310048号公報や特開平6−38303号公報など)も提案されているが、そのための冷却配管を必要とし既存のユニットを用いることができず、またポンプなどの装置を必要とする。
【0005】
本発明の動力出力装置は、電動機の温度上昇を防止することを目的の一つとする。また、本発明の動力出力装置は、トルクコンバータ等の流体式動力伝達手段の作動流体が高温となることによる劣化の促進を防止することを目的の一つとする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の動力出力装置は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の動力出力装置は、
出力軸に動力を出力する内燃機関と、
前記出力軸の動力を流体により伝達する流体式動力伝達手段と、
前記出力軸に前記流体式動力伝達手段と隣接して配置され、該出力軸に動力を出力する電動機と、
前記駆動軸に要求される動力と該駆動軸の駆動状態とに基づいて前記内燃機関の運転と前記電動機の運転とを制御する運転制御手段と
を備える動力出力装置であって、
前記流体を冷却可能な熱交換手段と、
前記流体式動力伝達手段に前記流体を圧送すると共に、前記熱交換手段にも該流体を圧送する流体圧送手段と、
前記流体の温度を検出する流体温度検出手段と、
該検出された流体の温度に基づいて前記流体圧送手段の運転を制御する流体圧送制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の動力出力装置では、流体圧送制御手段が流体式動力伝達手段に用いられる流体の温度に基づいて流体圧送手段の運転を制御することにより、流体の熱交換手段での冷却を制御することができ、流体の温度を制御することができる。この結果、流体の過熱を防止することができる。ここで、流体式動力伝達手段に用いられる流体の温度を制御することは、流体式動力伝達手段に隣接して配置された電動機の温度をある程度制御することに該当するから、電動機の過熱を防止することができる。
【0009】
こうした本発明の動力出力装置において、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が所定温度以上のとき、前記流体圧送手段を駆動する手段であるものとすることもできる。こうすれば、流体が所定温度よりずっと高い温度になるのを防止することができる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記流体圧送手段を駆動する手段であるものとすることもできる。こうすれば、流体の温度の急上昇にも対応することができる。
【0010】
また、本発明の動力出力装置において、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が所定温度以上のとき、前記熱交換手段に圧送される前記流体の流量を増加する手段であるものとすることもできる。こうすれば、流体が所定温度よりずっと高い温度になるのを防止することができる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記熱交換手段に圧送される前記流体の流量を増加する手段であるものとすることもできる。こうすれば、流体の温度の急上昇にも対応することができる。
【0011】
これら流体の温度が所定温度以上のときに流体圧送手段を駆動したり熱交換機に圧送される流体の流量を増加したりする本発明の動力出力装置において、前記熱交換手段は、前記内燃機関の冷却水をも冷却する手段であると共に該内燃機関の運転に伴って動作する冷却用のファンを備える手段であり、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度以上のとき前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する手段であるものとすることもできる。こうすれば、熱交換手段の冷却用のファンが駆動により早期に流体を冷却することができ、流体式動力伝達手段や電動機の温度上昇を抑制することができる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する手段であるものとすることもできる。こうすれば、流体の温度の急上昇にも対応することができる。
【0012】
こうした熱交換手段が内燃機関をも冷却する手段である本発明の動力出力装置において、前記流体温度検出手段が正常に動作しているかを判定する判定手段と、該判定手段により前記流体温度検出手段が正常に動作していないと判定したとき、前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する運転規制手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、流体温度検出手段が正常でないときでも常に熱交換手段の冷却用のファンが駆動されるから、流体の温度上昇を抑制することができる。
【0013】
本発明の動力出力装置において、前記流体温度検出手段に代えて又は加えて前記電動機の温度を検出する電動機温度検出手段を備え、前記流体圧送制御手段は、前記流体温度検出手段により検出された流体の温度に代えて又は加えて前記電動機温度検出手段により検出された前記電動機の温度に基づいて流体昇圧圧送手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機の温度に基づいて流体の温度を制御することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置20を車両に搭載した際の概略構成を模式的に示す構成図である。図示するように、実施例の動力出力装置20は、大きくは、クランクシャフト32に動力を出力する内燃機関であるエンジン30と、クランクシャフト32にダンパ31を介して結合された出力軸である回転軸33に動力を出力する電動機であるモータ40と、流体の作用によりトルクを増幅するトルクコンバータ50と、回転数を所定の変速比で減速あるいは増速する変速機60と、装置全体を制御するハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)80とを備える。
【0015】
エンジン30は、ガソリンを燃料として動力を出力する内燃機関であり、その運転は、エンジン用電子制御ユニット(以下、EGECUと呼ぶ)38により制御されている。EGECU38によるエンジン30の運転制御は、図示しないスロットルバルブの開度の制御と図示しない燃料噴射弁の開弁時間の制御により行なわれるが、その詳細は省略する。エンジン30の冷却水は冷却水通路36を通って、ラジエータ35により冷却されるようになっている。このラジエータ35には、電動ファン37が取り付けられており、電動ファン37の駆動モータ37aは、エンジン30の運転に伴って駆動されるようEGECU38により駆動制御されている。
【0016】
モータ40は、同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石43を有するロータ42と、回転磁界を形成する三相コイル45が巻回されたステータ44とを備える。モータ40の運転は、内部に図示しないインバータ回路を備えるモータ用電子制御ユニット(以下、MGECUという)46により制御されている。MGECU46によるモータ40の運転制御は、バッテリ48に接続されたインバータ回路の各トランジスタのON時間の割合を順次制御して三相コイル45の各コイルに流れる電流を制御することによって行なわれる。なお、実施例ではモータ40を同期電動発電機としたから、制動時やエンジン30による駆動時にモータ40を発電機として動作させることにより、バッテリ48の充電が行なえるようになっている。このモータ40を発電機として動作させる制御もMGECU46によりなされる。
【0017】
トルクコンバータ50は、循環するオイルの作用によりトルクを増幅して後方に伝達する周知の流体式のトルクコンバータであり、クランクシャフト32に接続されたポンプインペラ52、変速機60に接続されるタービンライナ54および固定部にワンウェイクラッチ56を介して連結されるステータ58を備える。ポンプインペラ52の軸部は延出しており、ここに機械式オイルポンプ70が取り付けられている。機械式オイルポンプ70についての詳細な説明は後述する。
【0018】
変速機60は、トルクコンバータ50の出力軸にその入力軸が接続され、回転数を所定の変速比で減速あるいは増速する。さらにこの変速機60の出力軸は駆動軸66に連結され、駆動軸66はディファレンシャルギヤ67を介して駆動輪68,69に接続されている。本実施例の変速機60は、前進5段、後進1段のものとして構成されている。具体的には、変速機60は、複数の遊星歯車とクラッチやブレーキを備える遊星歯車機構62と、車両の前進後進を切り換えたり、動力伝達の断続を行なうクラッチC1,C2とを備える。ここで、車両を前進させるときにはクラッチC1を係合させると共にクラッチC2を非係合とし、逆に車両を後進させるときにはクラッチC1を非係合とすると共にクラッチC2を係合させる。ニュートラルやパーキングのときには両クラッチC1,C2を非係合とすることによって、動力伝達が断たれる。遊星歯車機構62の詳細な説明は、本発明の説明では冗長となるため、その説明は省略する。遊星歯車機構62の図示しないクラッチやブレーキ,クラッチC1,C2は、油圧を動力源として動作しており、その油圧の作用は図示しないソレノイドバルブの開閉によりなされている。こうしたソレノイドバルブの開閉制御はオートマチックトランスミッション用電子制御ユニット(以下、ATECUという)64により行なわれている。油圧は、前述の機械式オイルポンプ70を駆動するか、バッテリ48から供給される電力により駆動する電動オイルポンプ72を駆動することにより確保されるようになっている。
【0019】
機械式オイルポンプ70は、図示しないが、ドリブンギヤとドライブギヤとからなるギヤ式オイルポンプとして構成されている。機械式オイルポンプ70は、前述したようにポンプインペラ52の軸部に取り付けられているから、駆動軸66の回転の有無に拘わらず、クランクシャフト32の回転により駆動される。したがって、駆動軸66が回転していないとき、即ち車両が停止しているときには、機械式オイルポンプ70は、エンジン30が運転されていれば駆動されており、エンジン30の運転が停止されているときには停止していることになる。勿論、モータ40によりクランクシャフト32を強制的に回転させることによっても機械式オイルポンプ70は駆動されるが、この駆動はエネルギの効率の観点から見れば、好ましくない。
【0020】
電動オイルポンプ72は、駆動手段として回転数制御のオイルポンプモータ73を備えており、オイルポンプモータ73の回転数を変化させることにより電動オイルポンプ72の吐出量を変化できるようになっている。オイルポンプモータ73には、その回転数Nmを検出するモータ回転数センサ74が取り付けられている。
【0021】
機械式オイルポンプ70や電動オイルポンプ72の吐出口に接続された油圧回路76は、トルクコンバータ50や変速機60に接続されており、トルクコンバータ50や変速機60にオイルが圧送されるようになっている。また、油圧回路76は、吐出側の圧力を調節する調圧弁78を介して冷却回路77に接続されており、オイルは冷却回路77によりラジエータ35で冷却されるようになっている。
【0022】
ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、HVECUという)80は、動力出力装置20全体をコントロールするユニットである。HVECU80は、CPU82を中心として構成されたワンチップマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM84と、一時的にデータを記憶するRAM86と、入出力ポート(図示せず)と、EGECU38やMGECU46,ATECU64と通信を行なうシリアル通信ポート(図示せず)とを備える。このHVECU80には、回転軸33に取り付けられたレゾルバ34により検出される回転軸33の回転数Neやモータ40内に取り付けられたモータ温度センサ47からのモータ40内の温度Tm,変速機60に併設されたオイルパン71に取り付けられたオイル温度センサ75により検出される油温To,モータ回転数センサ74により検出されるオイルポンプモータ73の回転数Nm,スタータスイッチ87からのスタータスイッチST,シフトポジションセンサ92により検出されるシフトレバー90のポジションであるシフトポジションSP,ブレーキスイッチ96により検出されるサイドブレーキレバー94のオンオフとしてのブレーキスイッチBP,駆動輪68,69に取り付けられた車輪速センサ68a,69aからの車輪速V1,V2などが入力ポートを介して入力されている。また、HVECU80からはオイルポンプモータ73への駆動信号CPや冷却回路77の油圧を調整する調圧弁78への駆動信号CV,インジケータ88への点灯信号CIなどが出力されている。
【0023】
図2は、実際に配置されたモータ40とトルクコンバータ50の部分の断面の一部を示す部分断面図である。図示するように、トランスミッションハウジング63内にトルクコンバータ50が配置されており、このトルクコンバータ50にきわめて近接する位置にモータ40が配置されている。このトランスミッションハウジング63はトルクコンバータ50と変速機60とをユニット化して収納するケースであり、トランスミッションハウジング63にユニット化されたトルクコンバータ50と変速機60は既存のガソリン自動車に用いられていたものをそのまま用いている。トランスミッションハウジング63の開口端(図2中左側)は、エンジン30とトランスミッションハウジング63とを連結するアダプタ49に接続されている。アダプタ49は、回転軸33にモータ40を取り付けるために必要なスペースをエンジン30とトルクコンバータ50との間に設けるスペーサーとして機能すると共に、モータ40のステータ44を支持するケースとしても機能する。図示するようにモータ40を設置するための軸方向のスペースは小さいから、既存のユニットを用いて動力出力装置20を構成することができ、既存のボディ(車両)に動力出力装置20を設置することができる。この結果、開発コストや生産コストを低く抑えることができる。なお、モータ40がトルクコンバータ50にきわめて近接して配置されているから、モータ40の温度雰囲気はトルクコンバータ50により生じる熱によって大きく左右される。
【0024】
こうして構成された動力出力装置20は、図示しない駆動制御ルーチンにより、駆動軸66に要求される動力や駆動軸66の状態,バッテリ48の状態などに基づいて定まるエンジン30から出力される動力のみにより駆動軸66を駆動するエンジン駆動モードやモータ40から出力される動力のみにより駆動軸66を駆動するモータ駆動モード,エンジン30とモータ40とから出力される動力により駆動軸66を駆動するハイブリッド駆動モード,エンジン30から出力される動力で駆動軸66を駆動すると共にエンジン30から出力される動力の一部をモータ40によって回生してバッテリ48を充電する充電駆動モードなど種々のモードで駆動軸66を駆動する。こうした駆動モードのうちエンジン30が運転される駆動モードでは、エンジン30の運転に伴って機械式オイルポンプ70が駆動するから、電動オイルポンプ72の運転は停止される。また、エンジン30が運転されない駆動モードでも、駆動輪66へ動力伝達が必要でないときは、油圧は不要であるから、電動オイルポンプ72の運転が停止される。
【0025】
次に、モータ40の雰囲気の温度制御と、変速機60の制御流体であり、トルクコンバータ50の作動流体であるオイルの温度制御について説明する。前述したようにモータ40はトルクコンバータ50にきわめて近接して配置されているから、その雰囲気の温度はトルクコンバータ50の温度に大きく左右される。トルクコンバータ50の温度は、前記オイルを冷却することにより制御できる。そこで実施例の動力出力装置20では、図3に例示する油温制御ルーチンを実行することにより、このオイルの温度制御をしてトルクコンバータ50の温度をひいてはモータ40の雰囲気の温度を制御する。なお、この油温制御ルーチンは所定時間毎(例えば、10ms毎)に繰り返し実行されるものである。
【0026】
油温制御ルーチンが実行されると、CPU82は、まずオイル温度センサ75が正常に動作しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS100)。具体的には、オイル温度センサ75からの信号ラインが断線していないか、ショートしていないか等を信号ラインに電圧を作用させるなどして電気的にチェックするのである。オイル温度センサ75が正常に動作しているときには、オイル温度センサ75により検出される油温Toを読み込み(ステップS104)、読み込んだ油温Toを閾値T1および閾値T2と比較する(ステップS106)。ここで閾値T1は、オイルを冷却する必要が生じる温度として設定されるものであり、オイルの温度がトルクコンバータ50やモータ40の雰囲気の温度に及ぼす影響とオイルの許容温度範囲によって定められる。閾値T2は、オイルの冷却を停止する温度として設定されるものであり、オイルの冷却の開始と停止とが頻繁に生じないようヒステリシスを持たせるために閾値T1より低い温度として設定される。
【0027】
油温Toが閾値T2以下のときには、冷却の必要はないと判断して冷却判定フラグFに値0をセットし(ステップS110)、前述した図示しない駆動制御ルーチンによる通常の駆動制御を行なって(ステップS112)本ルーチンを終了する。実際には、駆動制御ルーチン内のステップで冷却判定フラグFを判定し、その値が値0であるときには、何ら規制を受けることなく前述のいずれかの駆動モードを用いて駆動軸66を駆動制御するのである。
【0028】
油温Toが閾値T1未満ではあるが閾値T2より大きいときには冷却判定フラグFを調べ(ステップS114)、冷却判定フラグFが値0のときには前述の通常の駆動制御を行なって(ステップS112)、本ルーチンを終了する。
【0029】
油温Toが閾値T1以上のときには、オイルの冷却が必要と判断して冷却判定フラグFに値1を設定し(ステップS116)、エンジン30の運転を停止しないエンジン駆動制御を行なう(ステップS118)。実際には、駆動制御ルーチン内のステップで冷却判定フラグFを判定し、その値が値1であるときには、エンジン30の運転を停止する駆動モード以外の駆動モードを用いて駆動軸66を駆動制御するのである。このようにエンジン30の運転を停止させないのは、エンジン30の運転に伴って駆動されるラジエータ35に冷風を送る電動ファン37を駆動するためである。前述したように、オイルの冷却回路77がラジエータ35に接続されており、オイルはラジエータ35により冷却されるからである。そして、電動オイルポンプ72を駆動すると共に(ステップS120)、冷却回路77のライン圧を高めるために調圧弁78を開弁駆動する(ステップS122)。電動オイルポンプ72を駆動して冷却回路77のライン圧を高めることにより、オイルが冷却回路77を流れてラジエータ35で冷却される。この結果、トルクコンバータ50が冷却され、モータ40の雰囲気の温度が低下され、あるいは温度の上昇を抑制することができるのである。
【0030】
油温Toが閾値T1未満で閾値T2より大きいときで更に冷却判定フラグFが値1であるときには、前回以前に起動された本ルーチンでオイルの冷却が必要であると判断されてステップS118〜S122のエンジン駆動制御や電動オイルポンプ72の駆動,冷却回路77のライン圧のアップの処理が実行されている状態であるが、オイルの冷却はまだ十分に終了していないと状態と判断して、これらの処理(ステップS118〜S122のエンジン駆動制御や電動オイルポンプ72の駆動,冷却回路77のライン圧のアップの処理)を継続する。
【0031】
ステップS102でオイル温度センサ75が異常と判定されたときには、油温Toを検出することができず、油温Toに基づくトルクコンバータ50の温度やモータ40の雰囲気の温度制御が行なえないから、安全サイドの制御としてオイルの冷却処理、即ちステップS118〜S122のエンジン駆動制御や電動オイルポンプ72の駆動,冷却回路77のライン圧のアップの処理を実行する。こうすることにより油温Toが閾値T1や閾値T2より高くなるのを防止することができる。
【0032】
次に、こうした図3の油温制御ルーチンを実施したときの油温Toの変化と電動オイルポンプ72の駆動状態と冷却回路77のライン圧の変化と電動ファン37の駆動状態について図4を用いて説明する。図示するように、油温Toが閾値T1となる時間t1で電動オイルポンプ72と電動ファン37とが駆動される。冷却回路77のライン圧は電動オイルポンプ72の駆動から若干遅れた時間t2で上昇する。油温Toは、時間t1後も若干上昇するが次第に温度上昇が停止し、その後降下する。油温Toは時間t3に閾値T1を下回るが閾値T2を下回る時間t4まで電動オイルポンプ72や電動ファン37の駆動は継続される。こうしてオイルは冷却されて、油温Toは閾値T2以下とされる。
【0033】
以上説明した実施例の動力出力装置20によれば、トルクコンバータ50の作動流体であるオイルの温度を制御することができ、オイルの早期劣化を防止することができる。オイルの温度制御の結果、トルクコンバータ50の温度制御やモータ40の雰囲気の温度制御を行なうことができる。この結果、モータ40の温度上昇を防止することができ、モータ40から出力される動力による駆動軸66の駆動制御を適正に行なうことができる。こうしたモータ40の駆動制御が適正に行なえるということは、より効率の良い駆動モードを選択して駆動軸66を駆動できるということであるから、動力出力装置20全体のエネルギー効率を向上させることができる。しかも、既存のユニット化された構成にモータ40を付加する程度で動力出力装置20を構成できるから、開発コストや生産コストを低く抑えることができる。また、オイル温度センサ75の動作確認を行なってオイル温度センサ75の異常を判定し、そのときにはオイルを冷却する処理を行なうから、油温Toに基づくオイルの温度制御ができないときでも油温Toを閾値T1や閾値T2より高くしないようにすることができる。
【0034】
実施例の動力出力装置20では、オイルを冷却回路77を介してラジエータ35で冷却するものとしたが、オイル専用の熱交換機を用いて冷却するものとしてもよい。また、実施例の動力出力装置20では、電動ファン37はエンジン30の運転に伴って駆動するものとしたが、ラジエータ35の温度に基づいて駆動するものとしてもよく、あるいは、HVECU80からの駆動信号により駆動するものとしてもよい。
【0035】
実施例の動力出力装置20では、油温Toに基づいてオイルの冷却処理を行なったが、こうした油温Toに基づくオイルの冷却処理に油温Toの変化率に基づいてオイルの冷却処理を加えるものとしてもよい。この変形例の油温制御ルーチンの一例を図5に示す。図5の油温制御ルーチンのステップS200〜S206の処理およびステップS214〜S228の処理は、それぞれ図3の油温制御ルーチンのステップS100〜S106の処理およびステップS108〜S122の処理と同一である。これらの処理の説明は重複するからその説明は省略し、図5の油温制御ルーチンについてはステップS208〜S212の処理を中心に説明する。
【0036】
図5の油温制御ルーチンでは、読み込んだ油温Toが閾値T1未満のときには、油温Toを閾値T3と比較する(ステップS208)。閾値T3は、閾値T1より低い温度として設定されるものであり、実施例では閾値T1と閾値T2との間の温度として設定したが、閾値T2と同じ温度でもよい。油温Toが閾値T3以下のときには、ステップS214以降の処理を実行し、油温Toが閾値T3より大きいときには、油温Toから前回この油温制御ルーチンが起動されたときに読み込んだ油温Toを減じて偏差ΔToを計算する(ステップS210)。次に、計算した偏差ΔToを閾値ΔTrefと比較する(ステップS212)。ここで、閾値ΔTrefは、油温Toが閾値T1以上となってオイルの冷却処理がなされても、油温Toの変化が大きいために油温Toが大きく閾値T1を越えてしまう場合の許容される変化の程度の最大値として設定されるものであり、オイルやトルクコンバータ50等の比熱や油温制御ルーチンの起動される頻度,オイルの許容温度範囲,閾値T1の値などに基づいて定められるものである。そして、偏差ΔToが閾値ΔTref以上のときには、オイルの冷却処理が必要と判断して冷却判定フラグFに値1を設定して(ステップS222)、オイルの冷却処理を実行する(ステップS224〜S228)。一方、偏差ΔToが閾値ΔTref未満のときにはステップS214以降の通常の処理を行なう。
【0037】
こうした変形例の油温制御ルーチンを実行する動力出力装置20によれば、油温Toの変化率に基づいてオイルの温度を制御することができる。即ち、油温Toの変化率が大きいときには、油温Toが閾値T1に至っていなくてもオイルの冷却処理を行なうから、トルクコンバータ50の温度の急上昇やモータ40の雰囲気の温度の急上昇に迅速に対応することができ、モータ40の雰囲気の温度を適正な温度範囲にすることができる。
【0038】
実施例の動力出力装置20やその変形例では、油温Toが閾値T1以上となったりその変化率に相当する偏差ΔToが閾値ΔTref以上となったときに、単に電動オイルポンプ72を駆動すると共に調圧弁78により冷却回路77のライン圧を上げてオイルを冷却したが、電動オイルポンプ72の吐出量を増加するよう電動オイルポンプ72を駆動制御すると共に調圧弁78により冷却回路77のライン圧を上げるものとしてもよい。この場合の油温制御ルーチンの変更部分を図6に示す。この変形例の油温制御ルーチンでは、図3の油温制御ルーチンの処理のうちステップS120の処理に代えてステップS121のオイルポンプモータ73の回転数Nmを増加する処理を行なうものとしている。このオイルポンプモータ73の回転数Nmの増加は、通常の回転数Nsetに所定回転数ΔNを加えることにより行なっている。オイルポンプモータ73は回転数制御のモータであるから、このように回転数を増加することによりその吐出圧と吐出量を増加することができる。この変形例の油温制御ルーチンを実行したときの油温Toの変化とオイルポンプモータ73の回転数Nmと冷却回路77のライン圧の変化と電動ファン37の駆動状態を図7に示す。図示するように、通常の回転数Nsetで回転していた電動オイルポンプ72のオイルポンプモータ73は、油温Toが閾値T1となる時間t1でΔNだけ回転数が増加される駆動信号によりその回転数を増加させ、時間t2でΔNだけ増加した回転数に落ち着く。これに伴って冷却回路77のライン圧も通常の圧力P1から圧力P2に増加する。その後、油温Toが時間t3に閾値T1を下回るが、閾値T2を下回る時間t4までオイルポンプモータ73の回転数NmはΔNだけ増加された回転数で運転される。
【0039】
この変形例の動力出力装置20によれば、オイルポンプモータ73の回転数Nmを増加すると共に冷却回路77のライン圧を上げることによりオイルを冷却することができ、トルクコンバータ50の温度やモータ40の雰囲気の温度を制御することができる。この変形例では、オイルポンプモータ73の回転数Nmの増加量はΔNで一定のものとしたが、油温Toに基づいて変化させるものとしてもよい。
【0040】
実施例やその変形例の動力出力装置20では、油温Toに基づいてオイルを冷却するものとしたが、モータ40の温度Tmの温度に基づいてオイルを冷却するものとしてもよい。この場合、図3や図5,図6の油温Toに代えてモータ温度センサ47により検出されるモータ40の温度Tmを用い、閾値T1,T2,T3をモータ40の適正温度範囲に応じて定めればよい。こうすれば、直接モータ40の温度Tmによりオイルを冷却することができるから、モータ40を適正温度範囲内にすることができ、より効率の良い駆動モードを選択して駆動軸66を駆動できる。この結果、動力出力装置20全体のエネルギー効率を向上させることができる。
【0041】
実施例の動力出力装置20では、流体式のトルクコンバータ50と有段式の変速機60とを備えたが、これに代えて変速比が連続的に変更可能であり油圧制御式のクラッチを有する無段変速機(CVT)を備えるものとしてもよい。また、実施例の動力出力装置20では、エンジン30とモータ40とにより車両を駆動するハイブリッド自動車に搭載されるものとして構成したが、モータ40で車両を駆動することは必須ではなく、車両が停止中で所定の条件を満たされれば自動的にエンジンを停止し、前記所定の条件が満たされなくなると、前記モータ40により自動的にエンジンを始動して運転を再開させるエンジン自動停止装置を有する車両に搭載するものとして構成してもよい。この場合、モータ40の出力は、車両を駆動するだけの能力は不要で、エンジン30を始動させるのに必要な能力でよい。
【0042】
実施例やその変形例の動力出力装置20では、モータ40として同期電動機を用いたが、クランクシャフト32に動力を出力できる電動機であれば如何なる種類のモータであってもよい。
【0043】
実施例やその変形例の動力出力装置20では、動力出力装置20を自動車に搭載するものとしたが、自動車以外の列車などの車両や、船舶、航空機などに搭載するものとしてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である動力出力装置20を車両に搭載した際の概略構成を模式的に示す構成図である。
【図2】 実際に配置されたモータ40とトルクコンバータ50の部分の断面の一部を示す部分断面図である。
【図3】 実施例の動力出力装置20のHVECU80が備えるCPU82により実行される油温制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】 油温制御ルーチンを実施したときの油温Toの変化と電動オイルポンプ72の駆動状態と冷却回路77のライン圧の変化と電動ファン37の駆動状態とを例示する説明図である。
【図5】 変形例の油温制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】 変形例の油温制御ルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図7】 図6の油温制御ルーチンを実施したときの油温Toの変化と電動オイルポンプ72の駆動状態と冷却回路77のライン圧の変化と電動ファン37の駆動状態とを例示する説明図である。
【符号の説明】
20 動力出力装置、30 エンジン、31 ダンパ、32 クランクシャフト、33 回転軸、34 レゾルバ、35 ラジエータ、36 冷却水通路、37 電動ファン、37a 駆動モータ、38 EGECU、40 モータ、42ロータ、43 永久磁石、44 ステータ、45 三相コイル、46 MGECU、47 モータ温度センサ、48 バッテリ、49 アダプタ、50 トルクコンバータ、52 ポンプインペラ、54 タービンライナ、56 ワンウェイクラッチ、58 ステータ、60 変速機、62 遊星歯車機構、63 トランスミッションハウジング、64 ATECU、66 駆動軸、67 ディファレンシャルギヤ、68,69 駆動輪、68a,69a 車輪速センサ、70 機械式オイルポンプ、71 オイルパン、72 電動オイルポンプ、73 オイルポンプモータ、74 モータ回転数センサ、75 オイル温度センサ、76 油圧回路、77 冷却回路、78 調圧弁、80 HVECU、82 CPU、84 ROM、86 RAM、87 スタータスイッチ、88 インジケータ、90 シフトレバー、92 シフトポジションセンサ、94 サイドブレーキレバー、96 ブレーキスイッチ、C1,C2 クラッチ。

Claims (9)

  1. 出力軸に動力を出力する内燃機関と、
    前記出力軸の動力を流体により伝達する流体式動力伝達手段と、
    前記出力軸に前記流体式動力伝達手段と隣接して配置され、該出力軸に動力を出力する電動機と、
    前記駆動軸に要求される動力と該駆動軸の駆動状態とに基づいて前記内燃機関の運転と前記電動機の運転とを制御する運転制御手段と
    を備える動力出力装置であって、
    前記流体を冷却可能な熱交換手段と、
    前記流体式動力伝達手段に前記流体を圧送すると共に、前記熱交換手段にも該流体を圧送する流体圧送手段と、
    前記流体の温度を検出する流体温度検出手段と、
    該検出された流体の温度に基づいて前記流体圧送手段の運転を制御する流体圧送制御手段とを備え、
    前記流体圧送手段は、前記内燃機関の運転に伴って駆動される第1の流体圧送手段と、第2の電動機によって駆動される第2の流体圧送手段と、を含み、
    前記流体圧送制御手段は、前記流体温度が所定値以上のときのみ、前記第2の流体圧送手段を駆動し、前記第2の流体圧送手段から前記熱交換手段に圧送される流体の圧力を高めることを特徴とする動力出力装置。
  2. 前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が所定温度以上のとき、前記流体圧送手段を駆動する手段である請求項1記載の動力出力装置。
  3. 前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記流体圧送手段を駆動する手段である請求項2記載の動力出力装置。
  4. 前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が所定温度以上のとき、前記熱交換手段に圧送される前記流体の流量を増加する手段である請求項1記載の動力出力装置。
  5. 前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記熱交換手段に圧送される前記流体の流量を増加する手段である請求項4記載の動力出力装置。
  6. 請求項2または4記載の動力出力装置であって、
    前記熱交換手段は、前記内燃機関の冷却水をも冷却する手段であると共に、該内燃機関の運転に伴って動作する冷却用のファンを備える手段であり、
    前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度以上のとき、前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する手段である
    動力出力装置。
  7. 前記流体圧送制御手段は、前記検出された流体の温度が前記所定温度未満であっても該検出された流体の温度の変化率が所定変化率以上のとき、前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する手段である請求項6記載の動力出力装置。
  8. 請求項6または7記載の動力出力装置であって、
    前記流体温度検出手段が正常に動作しているかを判定する判定手段と、
    該判定手段により前記流体温度検出手段が正常に動作していないと判定したとき、前記内燃機関の運転の停止を禁止するよう前記運転制御手段を規制する運転規制手段と
    を備える動力出力装置。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の動力出力装置であって、
    前記流体温度検出手段に代えて又は加えて前記電動機の温度を検出する電動機温度検出手段を備え、
    前記流体圧送制御手段は、前記流体温度検出手段により検出された流体の温度に代えて又は加えて前記電動機温度検出手段により検出された前記電動機の温度に基づいて流体圧送手段を制御する手段である
    動力出力装置。
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