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JP4100396B2 - ドア用検査装置およびその方法 - Google Patents
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Description

本発明は、スライド型ドアの閉じ性能を評価するためのドア用検査装置およびドア用検査方法に関する。
従来の車両のドア閉じ性能評価の技術としては、ドアの外周縁部にドア側可動部材を介して2個一対の被検出部を取り付けるとともに、車両本体にボディ側固定部材を介して光学式検出器を取り付けて、2個一対の被検出部が、光学式検出器における光を遮った際の速度とタイミング差に基づいて、半ドア状態を検出する技術が知られている(特許文献1参照)。
上記従来の技術では、2個一対の被検出部の両方が光学式検出器における光を遮れば、ドアが完全に閉まったものと判定され、2個一対の被検出部のうち一方のみが光学式検出器における光を遮れば、ドアが半ドア状態であると判定される。
特開2001−354177号公報
しかしながら、上記の公報記載の技術では、被検出部と検出器との位置調整に長時間を要し、検査の準備時間が長くなるといった問題がある。さらに、被検出部および検出器の位置調整の精度によっては、ドアを閉じる速度についての測定値のばらつきが大きくなり、さらに、半ドア状態を検出することができないおそれもある。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、検査準備期間を短縮しつつ、閉じられたスライド型ドアが半ドア状態であるか否かを正確に判定することができるドア用検査装置およびその方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
本発明のドア用検査装置は、車両本体に対して並進移動するスライド型ドアの閉じ性能を評価するドア用検査装置であって、前記ドアに取り付けられて、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの加速度を測定する加速度測定手段と、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの速度を、前記ドアに取り付けられた加速度測定手段により測定された加速度を時間積分することによって算出する速度算出手段と、前記速度算出手段によって算出された速度をさらに時間積分することによって前記ドアの位置に関する位置データを算出するドア位置算出手段と、ドア閉動作に伴って変化する前記位置データに基づいて前記ドアの挙動を解析する解析手段と、閉じられた前記ドアのドア閉じ状態を前記解析手段による解析結果に基づいて判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された前記ドアのドア閉じ状態に基づいて、前記ドアの閉じ性能を評価する評価手段と、を有することを特徴とする。
本発明のドア用検査方法は、車両本体に対して並進移動するスライド型ドアの閉じ性能を評価するドア用検査方法であって、前記ドアに取り付けられた加速度測定手段によって、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの加速度を測定するステップと、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの速度を、前記ドアに取り付けられた加速度測定手段により測定された加速度を時間積分することによって算出するステップと、前記時間積分によって算出された速度をさらに時間積分することによって前記ドアの位置に関する位置データを算出するステップと、ドア閉動作に伴って変化する前記位置データに基づいて前記ドアの挙動を解析するステップと、閉じられた前記ドアのドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定する判定するステップと、前記判定された前記ドアのドア閉じ状態に基づいて、前記ドアの閉じ性能を評価するステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、加速度測定手段によって測定された加速度を時間積分して速度を算出し、さらに時間積分して位置データ算出し、その位置データに基づいてスライド型ドアの閉じ状態を判定するので、閉じられたスライド型ドアが半ドア状態であるか完全閉鎖状態であるかの判定精度を高めることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施の形態であるドア用検査装置の概略を示す。この検査装置10は、車両本体に対して並進移動するスライド型ドアの閉じ性能を評価するものである。
図1に示されるとおり、検査装置10は、スライド型ドアの加速度を測定する加速度センサ100と、加速度センサ100に接続されたコンピュータ(以下「PC」と称する)とを備える。
加速度センサ100は、車両のスライド型ドアに取り付けられ、スライド型ドアが並進移動する際のスライド型ドアの加速度を測定するものであり、加速度測定手段に相当する。加速度センサ100としては、半導体加速度センサ、圧電型加速度センサ、歪ゲージ式加速度センサ、およびサーボ型加速度センサなどの各種のセンサを用いることができる。加速度センサ100自体の構成は、従来の加速度センサの構成と同様であるので、詳しい説明を省略する。
加速度センサ100の少なくとも一面には、磁石110が取り付けられていることが望ましい。この場合、加速度センサ100は、磁石110の磁力によってスライド型ドアの外板に着脱自在に取り付けられる。なお、本実施の形態と異なり、加速度センサ100は、磁石110以外の取り付け手段、たとえば吸盤を有していてもよい。この場合、加速度センサ100は、この吸盤によってスライド型ドアの外板に着脱自在に取り付けられる。
一方、PC200は、加速度センサ100からケーブル300を介して受信した加速度の測定データを用いて、スライド型ドアが閉じられる際の速度を算出し、スライド型ドアの速度を処理してスライド型ドアの挙動を解析し、解析結果に基づいて閉じられたスライド型ドアの閉じ状態を判定する。また、PC200は、所定区間をスライド型ドアが通過する際の速度(所定区間での平均速度)を抽出する。PC200は、スライド型ドアの閉じ状態と、抽出された速度とによって、ドア閉じ性能を評価する。
ここで、「ドアの閉じ性能の評価」とは、所定範囲の速度でスライド型ドアを閉めた場合に、閉じられたスライド型ドアが半ドア状態とならずに確実に閉鎖された状態(以下「完全閉鎖状態」という)となるか否かを判定することを意味する。換言すれば、「ドアの閉じ性能」は、閉じられたスライド型ドアが完全閉鎖状態となるために必要な速度に対応する。もちろん、必要な速度が低いほど、スライド型ドアの閉じ性能は高くなる。
図2は、検査装置10の概略構成を示すブロック図であり、図3は、検査装置10内のデータの流れを示す図である。以下、図2および図3を参照しつつ、検査装置10の構成を説明する。
図2に示されるとおり、PC200はインタフェース210、A/Dコンバータ220、RAM230、ROM240、プロセッサ250、ディスプレイ260、およびハードディスク270を備える。ただし、加速度センサ100が、A/Dコンバータの機能を有する場合には、PC200に、A/Dコンバータ220を設ける必要はないことはもちろんである。
インタフェース210は、PC200と加速度センサ100とを電気的に接続し、加速度センサ100によって測定された加速度の測定データを受信する受信手段である。
A/Dコンバータ220は、たとえば、ADCカードであり、インタフェース210を介して受信された加速度の測定データをアナログデータからデジタルデータへと変換する変換手段である。RAM230は、デジタルデータへと変換された加速度の測定データを一時的に記憶するメモリであり、加速度の測定データを時間積分して速度を算出し、算出された速度を処理して前記ドアの挙動を解析する際のワーキングエリアとしても機能する。ROM240は、制御プログラムやパラメータを予め記憶するためのメモリである。
プロセッサ250は、種々の演算および制御を実行するものである。プロセッサ250は、スライド型ドアの速度の算出、検査開始時の初期化、スライド型ドアの位置データの算出、所定区間での速度抽出、解析、半ドア判定、評価を担当する。より具体的には、プロセッサ250は、速度算出手段、解析手段、判定手段、連続時間判断手段、初期化手段、ドア位置算出手段、抽出手段、および評価手段として機能する。
ここで、速度算出手段は、スライド型ドアが並進移動する際のスライド型ドアの速度を算出するものである。解析手段は、ドア閉動作に伴って変化する速度(速度波形)を処理してスライド型ドアの挙動を解析するものである。判定手段は、閉じられたスライド型ドアのドア閉じ状態を解析手段による解析結果に基づいて判定するものである。連続時間判定手段は、スライド型ドアを閉じる方向と逆方向の速度が連続する時間が、所定時間(以下、「第1所定時間t1」と称する)よりも長いか否かを判断するものである。初期化手段は、逆方向の速度が連続する時間が、第1所定時間t1よりも長いと判断される場合には、新たにドア閉じ状態の判定をするために初期化を実行するものである。ドア位置算出手段は、速度算出手段によって算出された速度をさらに時間積分することによってスライド型ドアの位置に関する位置データを算出するものである。抽出手段は、位置データに基づいて、スライド型ドアの閉時にスライド型ドアを車体内側方向に導くレール湾曲部(後述)に至る手前の所定区間をスライド型ドアが通過する際の速度を抽出するものである。評価手段は、判定手段によって判定されたドア閉じ状態と、抽出手段によって抽出された速度とに基づいて、スライド型ドアの閉じ性能を評価する。なお、プロセッサ250の各手段としての処理内容の詳細は、後述するフローチャートによって示される。
ディスプレイ260は、プロセッサ250による処理結果を表示する表示手段として機能する。たとえば、処理結果には、スライド型ドアが半ドア状態であるか否かの判定結果、算出されたスライド型ドアの速度の値、および/またはドア閉じ性能の評価結果が含まれる。また、ハードディスク270は、上記の処理結果をデータファイルとして記録する記録手段として機能する。なお、ハードディスク270には、プロセッサ250によって実行されるプログラムを格納しておく役目もある。
以上のとおり構成される検査装置10におけるデータの流れは図3に示される。加速度センサ100は、スライド型ドアが並進移動する際のスライド型ドアの加速度を測定する。A/Dコンバータ220は、この加速度の測定データをデジタルデータに変換し、デジタルデータに変換された加速度の測定データはRAM230(メモリ)に一時記憶される。
次にプロセッサ250は、この記憶された加速度を時間積分することによってスライド型ドアの速度を算出する。また、プロセッサ250は、検査開始時の初期化を適宜に実行する。さらに、プロセッサ250は、算出されたスライド型ドアの速度をさらに時間積分することによって、スライド型ドアの位置に関する位置データを算出する。そして、プロセッサ250は、算出されたスライド型ドアの位置データに基づいて、上記の所定区間をスライド型ドアが通過する際の速度を抽出する。
また、プロセッサ250は、ドア閉動作に伴って変化するスライド型ドアの速度を処理(速度を処理して得られたスライド型ドアの位置データをさらに処理する場合を含む)して、スライド型ドアの挙動を解析する。そして、プロセッサ250は、解析結果に基づいて、スライド型ドアのドア閉じ状態を判定する。
図4は、加速度センサ100を車両のスライド型ドアに取り付けた状態を説明する図である。本実施の形態の加速度センサ100は、任意の位置に取りつけることができる。しかしながら、加速度センサ100をスライド型ドア400の外板の剛性が高い部分、たとえば、スライド型ドア400の取っ手部分の近傍に取り付けることが望ましい。
検査対象となる車両のスライド型ドア400は、車両本体に対して並進移動する。具体的には、車両本体側にはドアレール410a,410bが設置され、スライド型ドア400側にはローラ部420a,420bが設定される。スライド型ドア400の開閉動作に伴って、ローラ部420a,420bがドアレール上を移動してスライド型ドア400を案内する。また、スライド型ドア400には、ドアロック機構430が設けられていることが望ましい。たとえば、全閉時には、ドアロック機構430と、車両本体側に設けられたストライカ440との噛み合いによってスライド型ドア400はロックされる。
図5は、ドアレールおよびローラ部の拡大図である。図5では、下側のドアレール410aが示されているが、上側のドアレール410bも同様の構造を有する。
ドアレール410aは、車両本体に沿って直線上に延びる直線部411aと、直線部411aの一端に連続するレール湾曲部412aとを備える。レール湾曲部412aは、スライド型ドア400の閉時にスライド型ドア400を車体内側方向に導く引き込み部分である。なお、ドアレール410aの全閉位置から、湾曲部412aと直線部411aとの境界点までの距離は、Y距離(図中、「Y」と表示)と呼ばれる。このY距離は、事前に入力されており、このY距離にしたがって、スライド型ドア400を車体内側方向に導くレール湾曲部412aに至る手前の所定区間Eが特定される。たとえば、所定区間Eとして、湾曲部412aと直線部411aとの境界点から手前100mmの直線部411aの区間が特定され、この区間をスライド型ドア400が通過する際のスライド型ドアの速度が評価対象速度として抽出される。最終的には、この抽出された評価対象速度と、半ドア状態の判定結果とに基づいて、ドア閉じ性能を自動的に評価することができる。
次に、以上のように構成される検査装置10の処理手順を説明する。図6および図7は、本実施の形態の検査装置10による処理手順を示すフローチャートである。図8は、スライド型ドア400が開かれてから閉じられるまでの各時点における速度の変化(速度波形)を示す図である。
まず、加速度センサ100がスライド型ドア400に取り付けられる(ステップS101)。具体的には、角度速度センサ100の裏面に設けられた磁石110の磁力によって、加速度センサ100は、スライド型ドア400の外板に着脱自在に取り付けられる。
そして、上述したY距離、すなわち、ドアレール410aの全閉位置から湾曲部412aと直線部411aとの境界点(直線部411aの端部)までの距離が入力される(ステップS102)。なお、Y距離を入力する構成を採用することによって、Y距離が異なる複数種類の車種などに対して本発明の検査装置を適用することができ、検査装置の汎用性が向上する。
次に、実際のドア閉じ評価に関する処理が実行される。まず、加速度センサ100によってスライド型ドア400が並進移動する際のスライド型ドア400の加速度が測定される(ステップS103)。加速度センサ100は、スライド型ドア400の並進移動方向の加速度を順次に測定する。加速度の測定データは、ケーブル300を介してPC200へ送られる。加速度の測定データは、アナログデータからデジタルデータへ変換される。RAM230は、加速度の測定データを時系列に一時記憶する。なお、本実施の形態では、装置の簡略化の見地から、スライド型ドア400の並進移動方向の加速度のみを測定する1軸の加速度センサ100を用いることができる。しかしながら、3軸すべての加速度を測定可能な加速度センサを用いてもよい。
次に、加速度センサ100によって測定された加速度を時間積分することによってスライド型ドア400の速度が算出される(ステップS104)。なお、加速度を時間積分して、速度を算出する際に、データ二方向からの積分処理を採用することができる。なお、データ二方向からの積分処理の内容については、後述する。
次に、ステップS104で算出された速度に基づいて、検査開始状態(スタンバイ状態)であるか否かが判定される。検査が開始される場合、オペレータは、スライド型ドア400を一旦開き、その後、スライド型ドア400を閉めるために押す。ここで、スライド型ドアを閉める方向を正方向とすると、スライド型ドアの開動作中には、速度が負値を示す状態が比較的長く連続する(図8のS領域参照)。したがって、ステップS105では、負値を示す速度(すなわち、スライド型ドアを閉じる方向と逆方向の速度)が連続する時間が第1所定時間t1よりも長いか否かが判断される。そして、負値を示す速度が連続する時間が、第1所定時間t1よりも長い場合には(ステップS105:YES)、スライド型ドア400が検査開始状態であると判定され、新たにドア閉じ状態を判定するために初期化が実行される(ステップS106)。たとえば、算出された速度が第1所定時間(たとえば、0.3秒)以上にわたって負の値を示す場合には、プロセッサ250は、スライド型ドア400が検査開始状態になったと判定し、初期化処理を実行する。
初期化処理後においても、ドア閉動作中の加速度が順次に測定され、加速度センサ100によって測定された加速度を時間積分することによってスライド型ドア400の速度が算出され、各時点で算出された速度が時系列に一時記憶される(ステップS107)。すなわち、各時刻tでの速度が一時記憶される。
次に、算出された速度をさらに時間積分することによって、スライド型ドア400の位置に関する位置データが算出される(ステップS108)。時間積分には、種々の数値積分の手法を用いることができることはもちろんである。
次いで、算出された位置データに基づいて、スライド型ドア400の閉時にスライド型ドア400を車体内側方向に導くレール湾曲部412aに至る手前の所定区間E(図5参照)を当該スライド型ドア400が通過する際の速度が抽出される(ステップS109)。たとえば、ステップS102で入力されたY距離と、ステップS108で算出された位置データとが比較されて、たとえば、湾曲部412aと直線部411aとの境界点から手前100mmの直線部411aの区間が特定される。そして、この区間をスライド型ドア400が通過する際のスライド型ドアの平均速度が、ステップS107で一時記憶されている各時点の速度のなかから抽出される。この抽出された平均速度が評価対象速度となる。なお、ドア400の平均速度を求める際の所定距離は、100mmに限られず、事前にオペレータが指示しておくことが可能である。
次に、プロセッサ250は、ドア閉動作に伴って変化する速度を処理してスライド型ドア400の挙動を解析する(ステップS110)。なお、解析は、速度自体に基づいて実行してもよく、速度をさらに積分して得られた上記のスライド型ドアの位置データに基づいて実行してもよい。なお、各解析の内容は、後述する。
解析の結果、閉じられたドア400が半ドア状態であると判定された場合には(図7のステップS111:YES)、半ドアである旨がディスプレイ260に表示される(ステップS112)。オペレータは、スライド型ドア400が半ドア状態である旨の表示を見て、ドア閉じ作業をやり直す。オペレータが一旦閉じられたスライド型ドア400を再び開くことによって、負値を示す速度が連続する時間が第1所定時間よりも長い状態が発生するため(ステップS105:YES)、ステップS106以下の処理が繰り返し実行される。
一方、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態でないと判定された場合には(ステップS111:NO)、プロセッサ250は、ステップS109で抽出された評価対象速度が規定値以下であるか否かを判定する(ステップS113)。すなわち、この処理ステップは、規定値を超える速度でスライド型ドア400を強く閉じた場合には、仮にドア閉じ性能が低いスライド型ドア400であっても半ドア状態とならず、検査の意義が失われてしまう点を考慮したものである。なお、規定値は、ドア閉じ性能の内部仕様または顧客との間の仕様に応じて適宜に決定される。所定区間Eでのスライド型ドアの平均速度が規定値を超えていると判断される場合には(ステップS113:NO)、ディスプレイ260は、速度が規定外である旨を表示する(ステップS114)。この結果、オペレータは、速度が規定外であった旨を知り、ドア閉じ作業をやり直すことができる。オペレータが一旦閉じられたスライド型ドア400を再び開くことによって、負値を示す速度が連続する時間が第1所定時間よりも長い状態が発生するため(ステップS105:YES)、ステップS106以下の処理が繰り返し実行される。
一方、評価対象速度が規定値以下であると判断される場合には(ステップS113:YES)、ディスプレイ260は、結果を表示する(ステップS115)。すなわち、適正範囲の速度でスライド型ドア400を閉じた場合に、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態とならないことが確認される。この結果、ドア閉じ性能評価の検査が終了する。ディスプレイ260は、完全閉鎖状態が実現されたときのスライド型ドア400の速度を表示し、ドア閉じ性能が合格であった旨を表示する。さらに、各算出結果および判定結果は、ハードディスク270に記録される(ステップS116)。
次いで、他に検査すべきスライド型ドアがある場合には(ステップS117:YES)、図6のステップS101に戻り、以下の処理が再び実行される。一方、他に検査すべきスライド型ドアがない場合には(ステップS117:NO)、そのまま処理が完了する。
以上の処理において、図6のステップS104は、プロセッサ250の速度算出手段としての処理に対応し、ステップS105は、連続時間判断手段としての処理に対応し、ステップS106は、初期化手段としての処理に対応する。また、ステップS107は、ドア位置算出手段としての処理に対応し、ステップS108は、抽出手段としての処理に対応する。さらに、図7のステップS111〜ステップS116は、判定手段によって判定されたスライド型ドア400のドア閉じ状態と、抽出手段によって抽出された速度(評価対象速度)とに基づいて、スライド型ドア400の閉じ性能を評価する評価手段に対応する。
以上のように、本実施の形態における検査装置10による処理手順を説明したが、その処理手順は、適宜に変形することができる。
図9は、変形例における検査装置による処理手順を示すフローチャートである。なお、変形例における検査装置は、図6のステップS101〜ステップS110と同様の処理を実行するので、説明の簡便のために、図6のステップS101〜ステップS110と同様の処理については、繰り返しの説明は省略する。したがって、図8では、図6のステップS110と同様の処理に後続する処理についてのみ示している。
図6のステップS110と同様の処理に後続するステップS211の処理において、解析結果に基づいて、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態でないと判定された場合には(ステップS211:NO)、プロセッサ250は、上述した所定区間Eでのスライド型ドア400の平均速度である評価対象速度が規定値以下であるか否かを判定する(ステップS212)。評価対象速度が規定値以下である場合には(ステップS212:YES)、ドア閉じ性能が合格であった旨がディスプレイ260に表示され(ステップS213)、算出結果および判定結果がハードディスク270に記録される(ステップS214)。評価対象速度が規定値よりも大きい場合には(ステップS212:NO)、ディスプレイ260は、速度が規定外である旨を表示する(ステップS215)。
一方、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定された場合(ステップS211:YES)においても、評価対象速度が規定値よりも大きいか否かが判断される(ステップS216)。この結果、評価対象速度が規定値よりも大きいのにかかわらず(ステップS216:YES)、スライド型ドア400が半ドア状態となった場合には、ドア閉じ性能が不合格である旨が確定する。この場合、ドア閉じ性能が不合格であった旨がディスプレイ260に表示され(ステップS217)、その結果がハードディスクに記録される(ステップS214)。評価対象速度が規定値以下である場合には(ステップS216:NO)、ドア閉じ性能が不合格であると確定されないため、単に半ドア状態である旨が表示される(ステップS218)。
次いで、他に検査すべきスライド型ドア400がある場合には(ステップS219:YES)、図6のステップS101と同様の処理に戻り、以下の処理が再び実行される。一方、他に検査すべきスライド型ドア400がない場合には(ステップS219:NO)、そのまま処理が完了する。
ここで、上記図9に示される本変形例では、ステップS211からステップS218の処理は、判定手段によって判定されたスライド型ドア400のドア閉じ状態と、抽出手段によって抽出された速度(評価対象速度)とに基づいて、スライド型ドア400の閉じ性能を評価する評価手段に対応する。本変形例によれば、ドア閉じ性能が不合格であるスライド型ドア400を早期に見つけ出し、改善することが可能となる。
以上のように、図6および図7に示される本実施の形態における検査装置10による処理手順および図9に示される変形例における処理手順について説明したが、以下に、図6のステップS104に示された速度算出処理および図6のステップS110に示された解析処理について、その内容を詳述する。
(データ二方向からの積分処理)
まず、上記図6のステップS104に示された速度算出処理について説明する。本実施の形態では、データ二方向からの積分処理を採用して、ノイズの影響を軽減している。
図10は、速度算出処理の内容を示すフローチャートであり、図6のステップS104のサブルーチンに対応する。
プロセッサ250は、各時点ごとに、時系列に一時記憶されている加速度の各測定値を読み出し、解析範囲に該当する各時点のうち最も早い時刻(以下、「始点」と称する)と、最も遅い時刻(以下、「終点」と称する)とを設定する(ステップS301)。なお、解析範囲は、事前に決定しておくことができる。
そして、プロセッサ250は、上記の始点から終点に向かって、加速度を時間積分して第1速度を算出する。すなわち、始点を、加速度がとなる時点とした上で、時間軸の順方向に向かって加速度を時間積分して、第1速度が算出される(ステップS302)。
次いで、プロセッサ250は、終点から始点に向かって、加速度を時間積分して第2速度を算出する。すなわち、ステップS302の場合とは逆に、終点を、加速度がとなる時点とした上で、時間軸の逆方向に向かって加速度を時間積分して、第2速度が算出される(ステップS303)。
次に、プロセッサ250は、ステップS302で算出された第1速度と、ステップS303で算出された第2速度とを平均化して、最終的な速度を得る(ステップS304)。
この結果、加速度から速度へ変換する積分処理における誤差を小さくし、精度を向上することができる。
図10に示される処理によって、誤差を小さくできる理由は、以下のとおりである。加速度の測定値には、ノイズが含まれている場合が多い。ノイズは、実際の加速度の値よりも高い値を生じさせる方向に発生する場合もあり、実際の加速度の値よりも低い値を生じさせる方向に発生する場合もあるが、どちらかの方向に偏って発生する場合も多い。したがって、始点または終点のどちらか一方を、加速度が0となる時点とした上で、時間軸の一方向に向かって積分する場合には、ノイズの偏りによって、ノイズ分が順次に加算されて、速度の算出波形に、不要な傾き成分を生じさせる。そこで、図10に示される処理を採用することによって、始点を加速度が0となる時点とした上での時間軸の順方向の積分処理、および終点を加速度が0となる時点とした上での逆方向の積分処理という、二方向から積分処理をし、平均化することによって、不要な傾き成分を相殺させることができ、精度を向上させることができる。
実際に、光電式検出器を用いて測定した所定区間Eの速度(評価対象速度)を実測した結果が0.79msである場合を例にとって、一方向のみの積分処理を採用した場合と、二方向からの積分処理を採用した場合とで、誤差を比較した結果を以下に示す。
この実験の結果、一方向のみの積分処理を採用して評価対象速度を算出した場合には、0.83m/sの速度算出結果が得られ、+5%の誤差が含まれていたのに対し、本実施の形態における二方向からの積分処理を採用して評価対象速度を算出した場合には、0.77m/sの速度算出結果が得られ、−2.6%の誤差に抑えることができた。以上の結果から、二方向からの積分処理をし、平均化することによって、不要な傾き成分を相殺させることができることが確認される。
(解析処理)
次に、図6のステップS110に示された解析処理について説明する。ステップS110に示された解析処理は、算出された速度を処理して、スライド型ドア400の挙動を解析し、閉じられたスライド型ドア400のドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定するための処理である。種々の解析処理を採用することが可能であるが、本実施の形態では、3つの解析処理の例(第1解析処理例〜第3解析処理例)について説明する。
(第1解析処理例)
図11は、第1解析処理例を示すフローチャートであり、図6のステップS110のサブルーチンの第1例に対応する。本処理によれば、プロセッサ250は、ドア閉動作に伴って速度が最初にゼロとなる時点(上述した図8のA点)から次にゼロとなる時点(図8のB点)までの時間を算出し、算出された時間が所定時間以上である場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する。
まず、プロセッサ250は、ドア閉動作に伴って速度が最初にゼロになる点(図8のA点)を求め(ステップS401)、次に速度が0となる点(図8のB点)を求める(ステップS402)。
次に、プロセッサ250は、A点とB点との間の時間を求める(ステップS403)。すなわち、ドア閉動作に伴って速度が最初にゼロとなる時点(図8のA点)から次にゼロとなる時点(図8のB点)までの時間が算出される。たとえば、プロセッサ250は、図示していないタイマに基づいて所定のサンプリング周期で測定データをサンプリングする。この場合、A点とB点との間におけるサンプリング回数にサンプリング周期を乗じることによって、ドア閉動作中に速度が最初にゼロとなる時点(図8のA点)から次にゼロとなる時点(図8のB点)までの時間を算出することができる。
次に、ステップS403で算出された時間と所定時間(以下、「第2所定時間t2」と称する)とが比較される(ステップS404)。ここで、第2所定時間t2は、車種によって異なり、実験的に調整されるパラメータである。特にスライド型ドアの大きさ、スライド型ドアの重量、およびスライド型ドアの内側縁部に取り付けられた防音/防水用のシール部材(ゴムなどの弾性体)の種類によって異なる。算出された時間が第2所定時間t2以上であれば(ステップS404:YES)、プロセッサ250は、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する(ステップS405)。一方、算出された時間が第2所定時間t2未満であれば(ステップS404:NO)、プロセッサ250は、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であり、半ドア状態でないと判定する(ステップS406)。
以上のとおり、半ドア状態の場合と完全閉鎖状態の場合とに応じて、速度の変化が異なる点は、主として、ドアロック機構430と車両本体側に設けられたストライカ440との噛み合いの違いに基づくものである。すなわち、完全閉鎖状態の場合には、ドアロック機構430のラッチとストライカ440とは、正規の噛み合い位置で噛み合っており、フルラッチの状態にある。したがって、ストライカ440は、比較的しっかりと固定され、スライド型ドア400の移動範囲も比較的限られている。この結果、スライド型ドア400の振動範囲も制限されるため、スライド型ドア400の速度が負値となる状態も長く続かない。
一方、半ドア状態の場合には、ドアロック機構430のラッチと、ストライカ440とは、正規の噛み合い位置までにはいたっておらず、ハーフラッチの状態にある。したがって、スライド型ドア400の位置は、完全閉鎖状態の場合と比べて制限されておらず、スライド型ドア400の移動範囲も比較的広くなる。この結果、スライド型ドアの速度が負値となる状態が完全閉鎖状態の場合と比べて長くなる。
以上のとおり、図11のステップS401〜ステップS403の各ステップは、ドア閉動作に伴う速度を処理してスライド型ドア400の挙動を解析する解析手段の処理の一例に対応し、特に、ドア閉動作に伴って前記速度が最初にゼロとなる時点から次にゼロとなる時点までの時間を算出する解析手段に対応する。図9のステップS404〜ステップS406の各ステップ、閉じられたスライド型ドア400のドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定する判定手段の一例に対応し、特に、上記解析手段によって算出された時間と所定時間とを比較し、算出された時間が所定時間以上の場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する判定手段に対応する。
(第2解析処理例)
次に、第2解析処理例について説明する。上記の第1解析処理例では、図11に示されるとおり、ドア閉動作に伴って速度が最初にゼロとなる時点(図8のA点)から、次にゼロとなる時点(図8のB点)までの時間を算出し、算出された時間が所定時間以上である場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する場合が示された。
しかしながら、車種によっては、速度が最初にゼロとなる時点から次にゼロとなる時点までの時間を用いた判定手法によっては、ドア閉じ状態の判定が難しい場合がある。したがって、第2解析処理例では、かかる判定手法の適用が難しい車種においても、半ドア状態であるか否かを容易に判定することができる処理をを示す。
図12は、第2解析処理例による処理の概要を説明するための図である。図12(A)は、半ドア状態であるときの速度データを模式的に示しており、図12(B)は、完全閉鎖状態であるときの速度データを模式的に示している。
ドア閉動作に伴うスライド型ドア400の反転によって、スライド型ドアを閉じる方向と逆方向にスライド型ドアが移動する状態(反転状態)が発生する。本実施の形態では、測定された総ての時間での速度データの中から、反転状態での速度データのみが抽出される。スライド型ドアを閉める方向を正方向とすれば、反転状態では、スライド型ドア400が反発力によって反転する結果、速度が負値を示す。したがって、速度が負値をとる領域を抽出することで、反転領域で速度データのみを抽出することができる。図12では、ゼロよりも下側にある波形の部分が反転領域の速度データに対応する。
そして、反転状態における速度データの内で、最大の絶対値を持つピーク値Lが求められる。そして、反転状態における速度が、ピーク値Lを基準として所定の比率(好ましくは50%)以上である状態を持続する時間(「持続時間」という)が算出される。そして、この持続時間が所定時間(以下、「第3所定時間t3」と称する)以上であれば、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定され、この持続時間が第3所定時間t3未満であれば、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であると判定される。
図12に模式的に示されているように、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態となる場合には、反転状態での上記ピーク付近の速度の変化が緩やかであり、速度と時間tとで示される波形は、台形形状に近くなる。一方、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態となる場合には、反転状態での上記ピーク付近の速度の変化が急峻であり、速度と時間tとで示される波形は、三角形状に近くなる。この結果、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態となる場合は、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態となる場合と比べて、持続時間が長くなる。したがって、持続時間の違いによって、ドア閉じ状態を判定することができる。
次に、図13のフローチャートを参照して、第2解析処理例による処理内容について説明する。図13は、第2解析処理を示すフローチャートであり、図6のステップS110のサブルーチンの第2例に対応する。
まず、プロセッサ250は、時系列に沿った速度データの中から、反転状態での速度データのみを抽出する(ステップS501)。具体的には、反転状態では、速度が負値をとるので、速度が負値をとっている領域の速度データが抽出される。抽出された速度データは、各時点の速度を示すものであり、速度と時間tとの組みからなる。
なお、速度は周期的に変化する場合があり、一連の速度データ中に、複数の反転状態の部分が含まれる場合がある。この場合は、それぞれの反転状態での速度データが抽出されることが望ましい。
続いて、プロセッサ250は、各反転状態での速度データの中から、ピーク値Lを求める(ステップS502)。ここで、ピーク値Lは、反転状態での速度の絶対値のピーク値を意味する。なお、ノイズなどの影響を防止する見地からは、最大の絶対値をピーク値Lとするかわりに、絶対値が大きい方から複数の値を取得し、取得された複数の値の平均値をピーク値Lとしてもよい。ピーク値Lは、速度と時間tで表される波形において、速度の負値側の振幅に相当する。
次に、ステップS502で求められたピーク値に比率パラメータを乗じる(ステップS503)。ここでは、50%の振幅を求めるために、比率パラメータとして0.5を乗じて、L/2の値を算出する。比率パラメータは、事前に設定されていることが望ましい。比率パラメータは、適宜に定められ得るが、比率パラメータが低すぎると、多種類の車両のスライド型ドア400へ適用する際に、半ドア状態の判定が難しくなるおそれがある。一方、比率パラメータが高すぎると、持続時間が短くなりすぎ、ノイズなどの影響による誤差を含みやすい。したがって、好ましくは、比率パラメータが0.5程度(50%程度)に設定されていることが望ましい。
そして、ステップS501で抽出された反転状態の速度データの中から、速度の絶対値が上記ピーク値Lの所定比率(50%)に対応する値L/2となる2つの時点を決定する(ステップS504)。具体的には、反転状態の速度を縦軸(上方向を正にする)にとり、時間tを横軸にとると、速度は、立ち下がった後、ピーク値に達して、その後立ち上がる。この結果、立ち下がり時に速度が値L/2となる時点である立ち下がり時点と、立ち上がり時に速度が値L/2となる時点である立ち上がり時点とが存在する。したがって、ステップS504では、速度の絶対値が上記ピーク値の所定比率(50%)に対応する値L/2となる立ち下がり時点と立ち上がり時点とが共に決定される。
次に、立ち下がり時点と立ち上がり時点との間の時間の差分を求め、反転状態での速度の絶対値が、反転状態での速度の絶対値のピーク値を基準として所定の比率(50%)以上である状態を持続する時間である持続時間が算出される(ステップS505)。
そして、算出された持続時間が第3所定時間t3以上であるか否かが判断される(ステップS506)。算出された持続時間が第3所定時間t3以上である場合には(ステップS506:YES)、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定される(ステップS507)。一方、算出された持続時間が第3所定時間t3未満である場合には(ステップS505:NO)、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であると判定される(ステップS508)。
なお、第3所定時間t3は、事前の実験などによって予め定めることができる。たとえば、第3所定時間t3を10m秒とすることにより、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であるか否かを正確に判定することができる。
以上のとおり、図13のステップS501〜ステップS505の各ステップは、ドア閉動作に伴うスライド型ドア400の反転によって、スライド型ドア400を閉じる方向と逆方向にスライド型ドア400が移動する反転状態での速度の絶対値が、当該反転状態での速度の絶対値のピーク値を基準として所定の比率以上である状態を持続する時間である持続時間を算出する解析手段に対応する。また、図13のステップS506〜ステップ508の各ステップは、持続時間と第3所定時間t3とを比較し、算出された持続時間が第3所定時間t3以上の場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する判定手段に対応する。
より詳しくは、ステップS501に示される処理は、速度データから反転状態での速度データを抽出する反転状態抽出手段に対応する。また、ステップS502に示される処理は、抽出された反転状態での速度データの中からピーク値を求めるピーク検出手段に対応する。ステップS503およびステップS504に示される処理は、反転状態における速度の絶対値が前記ピーク値の所定比率(たとえば、50%)に対応する値となる立ち下がり時点と立ち上がり時点とを決定する決定手段に対応する。そして、ステップS505に示される処理は、立ち下がり時点と立ち上がり時点との間の時間差を求めて、持続時間を算出する差分手段に対応する。
(第3解析処理例)
次に、第3解析処理例について説明する。上記の第1および第2解析処理例では、ドア閉動作に伴って変化するスライド型ドア400の速度を直接的に解析して、スライド型ドア400の閉じ状態を判定する場合が示されたが、本実施の形態では、速度を処理して得られたスライド型ドア400の位置データを解析して、スライド型ドア400の閉じ状態を判定する場合について説明する。
図14は、第3解析処理例を示すフローチャートであり、図6のステップS110のサブルーチンに第3例に対応する。
まず、図14に示される解析処理では、算出された速度を時間積分して得られたスライド型ドア400の位置に関する位置データ(ストローク)が用いられる。本実施の形態では、上述した図6のステップS108の処理によって算出されたスライド型ドア400の位置に関する位置データを、そのまま利用することができる。
図15は、スライド型ドア400の速度の例(例A、例B、および例C)について示しており、図16は、図15に示される例A、例B、例Cの3つの場合について、速度を時間積分して得られた位置データの算出例を示している。なお、例Aと例Bとは、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態となる場合を示し、例Cは、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態となった場合を示している。
このように、位置データが算出されている状態において、まず、算出された位置データの中から、ピーク値Maxが算出される(図14のステップS601)。なお、ノイズなどの影響を軽減する見地からは、実際の位置データの最大値をピーク値Maxとするかわりに、位置データの大きい方向から複数の値を取得し、取得された複数の値の平均値をピーク値Maxとしてもよい。また、必要に応じて、位置データに対してスムージングなどのノイズ除去の処理を施した上で、ピーク値Maxを求めてもよい。
次に、ピーク値Maxが生じた時点tを特定し、この時点t以降での位置データの最小値Minが求められる(ステップS602)。この場合も、必要に応じて、位置データに対してノイズ除去の処理を施した上で、最小値Minを求めてもよい。そして、プロセッサ250は、ステップS601で求められたピーク値Maxと、ステップS602で求められた最小値Minと間の差分を算出する(ステップS603)。
これらステップS601〜ステップS603の処理について、図17を用いて説明する
。図17は、図16の位置データA,B,およびCのピーク値付近の拡大図である。図17に示されるとおり、位置データのピーク値Maxと、ピーク値Maxが生じた時点t以降での位置データの最小値Minとの間の差分(Max−Min)が算出される。
差分の算出が完了すると、次に、プロセッサ250は、算出された差分(Max−Min)を所定の閾値k1と比較し、算出された差分が閾値k1以上であるか否かを判断する(図14のステップS604)。この結果、算出された差分が閾値k1以上である場合には(ステップS604:YES)、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定される(ステップS605)。一方、算出された差分が閾値k1未満である場合には(ステップS604:NO)、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であると判定される(ステップS606)。
なお、閾値k1は、事前の実験などによって予め定めることができる。たとえば、閾値k1を0.012mとすることにより、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であるか否かを正確に判定することができる。
以上のとおり、図14のステップS601〜ステップS603の各ステップは、ドア位置算出手段によって算出された位置データのピーク値と当該ピーク値が生じた時点以降での位置データの最小値との間の差分を算出する解析手段に対応する。また、図14のステップS604〜ステップS606に示される処理は、前記解析手段によって算出された差分と所定の閾値k1とを比較し、算出された差分が閾値k1以上である場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定する判定手段に対応する。
以上のように、図11、図13、および図14のフローチャートを用いて、複数の解析処理について説明したが、これら複数の解析結果を統合して、閉じられたスライド型ドア400のドア閉じ状態を判定してもよい。
たとえば、図13に示された速度の変化の解析に基づくドア状態の判定と、図14に示された位置データの変化の解析に基づくドア状態の判定とを、論理演算を用いて統合することによって、閉じられたスライド型ドア400のドア状態を最終的に判定することができる。
たとえば、速度の変化の解析結果および位置データの変化の解析結果の少なくとも一方において、閉じられたドア400が半ドア状態であると判断される場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると最終的に判定することができる。一方、速度の変化の解析結果および位置データの変化の解析結果の双方において、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であると判断される場合には、閉じられたスライド型ドア400が完全閉鎖状態であると最終的に判断することができる。
以上のように説明した本実施の形態の検査装置は、以下の効果を有する。
本実施の形態では、ドア閉動作に伴って変化するスライド型ドア400の速度を処理してスライド型ドア400の挙動を解析し、解析結果に基づいてスライド型ドア400の閉じ状態を判定する。したがって、光学式検出器を用いてスライド型ドアの閉じ状態を判定する場合と異なり、センサの取り付け位置に依存しない検査が可能となる。この結果、検査準備期間が短縮され、作業効率が向上する。
また、加速度センサ100によって測定された加速度に基づいてスライド型ドア400の速度を算出するので、限られた大きさの被検出部と光学式検出器とを用いてスライド型ドア400の速度を算出する場合と異なり、スライド型ドア400が開かれてからスライド型ドア400が閉まりきるまでのすべての範囲にわたって、スライド型ドア400の速度を連続的に算出することができる。この結果、より詳細な知見を得ることができる。
さらに、本実施の形態では、閉じられたスライド型ドア400のドア閉じ状態の判定と、スライド型ドア400の速度の算出とを一つの加速度センサによる加速度の測定データに基づいて実行する。したがって、ドア閉じ状態の判定用のセンサとスライド型ドア400の移動速度の測定用のセンサとを別個に取り付ける必要がない。また、複数種類のセンサによって得られた複数種類の生データ(測定値)を記憶する必要がないので、メモリ容量の節約にも役立つ。
本実施の形態で用いられる加速度センサ100は、磁石110または吸盤を有している。したがって、オペレータは、簡単に加速度センサ100を取り付けることができる。この結果、取り付けに要する時間を短縮することができる。
また、時間軸の順方向および逆方向の二方向から、それぞれ加速度を時間積分して第1速度および第2速度を算出し、第1速度と第2速度とを平均化して、最終的にスライド型ドア400の速度を得る場合には、ノイズの影響を軽減し、速度を正確に算出することができる。
逆方向の速度が連続する時間が、第1の所定時間よりも長いと判断される場合には、新たにドア閉じ状態を判定するために初期化を実行する。すなわち、自動的に検査開始状態を判定することができる。したがって、オペレータは、スライド型ドア400を開けるたびに検査開始を指示する必要がなくなる。
スライド型ドア400の位置に関する位置データに基づいて、スライド型ドア400の閉時に当該スライド型ドア400を車体内側方向に導くレール湾曲部412に至る手前の所定区間Eを当該スライド型ドア400が通過する際の速度を抽出し、抽出された速度をドア閉じ性能評価の際の評価対象速度として用いることができるので、レール湾曲部412にスライド型ドア400が差し掛かることによるスライド型ドア400の減速の影響をなくし、正確にドア閉じ性能を評価することができる。
また、持続時間を所定時間と比較することによって、ドア状態を判定することによって、車種間やドア種類間でのばらつきを小さくすることができ、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であるか完全閉鎖状態であるかの判定精度を高めることができる。また、持続時間を所定時間と比較する場合には、ピーク値の所定比率に対応する値を用いて持続時間が算出されるので、ピーク値の変動による影響が少なくなり、ドア状態の判定の再現性が高まる。
一方、速度をさらに時間積分して得られた位置データを利用してスライド型ドア400の閉じ状態を判定することもできる。この場合も、閉じられたスライド型ドアが半ドア状態であるか完全閉鎖状態であるかの判定精度を高めることができる。したがって、多車種のスライド型ドア400への適用が容易となる。
また、必要に応じて、速度の変化の解析と、位置データの変化の解析とを統合して、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であるか否かを判定することができる。したがって、複数種類の解析処理を相互に補完しつつ、より正確な半ドア状態の判定が可能となる。なお、複数種類の解析処理は、1種類のセンサによって得られたデータに基づいて実行することができるので、複数種類のセンサを取り付ける必要がない。したがって、作業準備時間の長時間化を防止しつつ、正確なドア閉じ性能評価が可能となる。
以上のとおり、本発明の好適な実施の形態における検査装置を説明したが、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、省略することができることはいうまでもない。
また、上記の説明では、解析処理として、図11、図13、および図14に示される処理、およびこれらの処理の中から選択される複数の処理を複合する処理が示された。しかしながら、本発明は、これらの場合に限られない。ドア閉動作に伴う速度を処理して前記ドアの挙動を解析を実行し、その解析結果に基づいて、閉じられたスライド型ドア400のドア閉じ状態を判定するものであれば、他の処理方法を採用することもできる。たとえば、解析手段によって、ドア閉動作に伴って速度が周期的に変化する領域における当該速度の変化幅が所定の割合に減衰するまでの減衰時間を算出し、判定手段によって、減衰時間と所定時間とを比較して、減衰時間が所定時間以上であれば、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態であると判定することもできる。また、解析手段によって、ドア閉動作に伴って速度が周期的に変化する領域における速度の時間変化の周波数を算出し、判定手段によって、算出された周波数と所定周波数とを比較して、算出された周波数が所定周波数以下の場合には、閉じられたスライド型ドア400が半ドア状態でであると判定することもできる。
また、上述したフローチャートで示された、速度算出処理、解析処理、判定処理、連続時間判断処理、初期化処理、ドア位置算出処理、および抽出処理に対応する各処理ステップは、上述のとおりプロセッサ250によって実行されるソフトウエアによって実現してもよく、または専用の論理ICなどのハードウエアによって実現してもよい。
本発明の一実施の形態であるドア用検査装置の概要を示す図である。 図1のドア用検査装置の概略構成を示すブロック図である。 図1のドア用検査装置内のデータの流れを示すデータフロー図である。 図1のドア用検査装置に含まれる加速度センサを車両のスライド型ドアに取り付けた状態を説明する図である。 図4に示されるドアレールおよびローラ部の拡大図である。 図1のドア用検査装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。 図6に後続する処理手順の一例を示すフローチャートである。 ドアが開かれてから閉じられるまでに測定される速度の変化を示す図である 図6に後続する処理手順の変形例を示すフローチャートである。

図6のステップS104における速度算出処理の内容を示すフローチャートである。 図6のステップS110における解析処理の第1例を示すフローチャートである。 図6のステップS110における解析処理の第2例の概要を説明するための図である。 図6のステップS110における解析処理の第2例を示すフローチャートである。 図6のステップS110における解析処理の第3例を示すフローチャートである。 スライド型ドアの速度の例について示す図である。 図15に示される速度を時間積分した位置データの算出例である。 図16に示される位置データのピーク値付近の拡大図である。
符号の説明
100 加速度センサ、
110 磁石、
200 コンピュータ、
210 インタフェース、
220 A/Dコンバータ、
230 RAM、
240 ROM、
250 プロセッサ(解析手段、判定手段、速度算出手段)、
260 ディスプレイ、
270 ハードディスク、
300 ケーブル、
400 スライド型ドア。

Claims (12)

  1. 車両本体に対して並進移動するスライド型ドアの閉じ性能を評価するドア用検査装置であって、
    前記ドアに取り付けられて、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの加速度を測定する加速度測定手段と、
    前記ドアが並進移動する際の当該ドアの速度を、前記ドアに取り付けられた加速度測定手段により測定された加速度を時間積分することによって算出する速度算出手段と、
    前記速度算出手段によって算出された速度をさらに時間積分することによって前記ドアの位置に関する位置データを算出するドア位置算出手段と、
    ドア閉動作に伴って変化する前記位置データに基づいて前記ドアの挙動を解析する解析手段と、
    閉じられた前記ドアのドア閉じ状態を前記解析手段による解析結果に基づいて判定する判定手段と、
    前記判定手段によって判定された前記ドアのドア閉じ状態に基づいて、前記ドアの閉じ性能を評価する評価手段と、を有することを特徴とするドア用検査装置。
  2. 記解析手段は、前記位置データを処理することによる前記ドアの挙動の解析として、前記ドア位置算出手段によって算出された位置データのピーク値と当該ピーク値が生じた時点以降での前記位置データの最小値との間の差分を算出し、
    前記判定手段は、前記解析手段によって算出された差分と所定の閾値とを比較し、算出された差分が前記閾値以上である場合には、閉じられた前記ドアが半ドア状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  3. 前記解析手段は、さらに、ドア閉動作に伴って変化する前記速度に基づいて前記ドアの挙動を解析するものであり、
    前記判定手段は、前記解析手段によって前記位置データに基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定と、前記解析手段によって前記速度に基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定とを統合して、最終的なドア閉じ状態を判定することを特徴とする請求項1または2に記載のドア用検査装置
  4. 前記解析手段は、前記速度を処理することによる前記ドアの挙動の解析として、ドア閉動作に伴って前記速度が最初にゼロとなる時点から次にゼロとなる時点までの時間を算出し、
    前記判定手段は、前記解析手段によって前記速度に基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定として、前記解析手段によって算出された時間と所定時間とを比較し、算出された時間が所定時間以上の場合には、閉じられた前記ドアが半ドア状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  5. 前記解析手段は、前記速度を処理することによる前記ドアの挙動の解析として、ドア閉動作に伴う前記ドアの反転によって、当該ドアを閉じる方向と逆方向に当該ドアが移動する反転状態での速度の絶対値が、当該反転状態での速度の絶対値のピーク値を基準として所定の比率以上である状態を持続する持続時間を算出し、
    前記判定手段は、前記解析手段によって前記速度に基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定として、前記解析手段によって算出された前記持続時間と所定時間とを比較し、算出された持続時間が所定時間以上の場合には、閉じられた前記ドアが半ドア状態であると判定することを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  6. 前記加速度測定手段は、磁石を有しており、当該磁石によって前記ドアの外板に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  7. 前記加速度測定手段は、吸盤を有しており、当該吸盤によって前記ドアの外板に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  8. 前記速度算出手段は、
    始点を加速度がゼロとなる時点とした上で時間軸の順方向に向かって前記加速度を時間積分して、第1速度を算出する第1速度算出手段と、
    終点を加速度がゼロとなる時点とした上で時間軸の逆方向に向かって前記加速度を時間積分して、第2速度を算出する第2速度算出手段と、
    前記第1速度と前記第2速度とを平均化して、前記ドアの速度を得る平均手段と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  9. ドアを閉じる方向と逆方向の速度が連続する時間が、第1の所定時間よりも長いか否かを判断する連続時間判断手段と、
    逆方向の速度が連続する時間が、第1の所定時間よりも長いと判断される場合には、新たにドア閉じ状態を判定するために初期化を実行する初期化手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のドア用検査装置。
  10. 車両本体に対して並進移動するスライド型ドアの閉じ性能を評価するドア用検査方法であって、
    前記ドアに取り付けられた加速度測定手段によって、前記ドアが並進移動する際の当該ドアの加速度を測定するステップと、
    前記ドアが並進移動する際の当該ドアの速度を、前記ドアに取り付けられた加速度測定手段により測定された加速度を時間積分することによって算出するステップと、
    前記時間積分によって算出された速度をさらに時間積分することによって前記ドアの位置に関する位置データを算出するステップと、
    ドア閉動作に伴って変化する前記位置データに基づいて前記ドアの挙動を解析するステップと、
    閉じられた前記ドアのドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定する判定するステップと、
    前記判定された前記ドアのドア閉じ状態に基づいて、前記ドアの閉じ性能を評価するステップと、を有することを特徴とするドア用検査方法。
  11. 前記ドアの挙動を解析するステップは、前記位置データを処理することによる前記ドアの挙動の解析として、前記位置データのピーク値と当該ピーク値が生じた時点以降での前記位置データの最小値との間の差分を算出し、
    前記ドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定する判定するステップは、前記算出された差分と所定の閾値とを比較し、前記算出された差分が前記閾値以上である場合には、閉じられた前記ドアが半ドア状態であると判定することを特徴とする請求項10に記載のドア用検査方法。
  12. 前記ドアの挙動を解析するステップは、さらに、ドア閉動作に伴って変化する前記速度に基づいて前記ドアの挙動を解析するものであり、
    前記ドア閉じ状態を解析結果に基づいて判定する判定するステップは、前記位置データに基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定と、前記速度に基づいて得られた解析結果に基づくドア閉じ状態の判定とを統合して、最終的なドア閉じ状態を判定することを特徴とする請求項10または11に記載のドア用検査方法
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