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JP4119072B2 - 接触型帯電器及びその製造方法 - Google Patents
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JP4119072B2 - 接触型帯電器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像記録装置の接触型帯電器、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の帯電方式は、コロナ放電を用いたコロトロンおよびスコロトロンが主流であった。しかし、コロナ放電は空気中に電界をかけることから、オゾンやNOX などの有害物質を大量に発生することや、帯電効率が低いため消費電力が多く、また4〜6kVの高圧電源が必要なためコストが高く、かつ人体に対し危険性があるといった欠点があった。近年の環境に対する配慮からこのような帯電方式を改善することは急務であり、ローラー帯電へと移行しつつある。
【0003】
図11は従来の接触型帯電器1110(帯電ローラーすなわち導電性ゴムローラー)を示す概略横断面図である。この図において、符号1100は有機感光体(OPC)、符号1101はAl基体、符号1102は有機感光層である。また、符号1103は直流電源、符号1111は芯金、符号1124は導電性ゴム(摺擦帯電部材)である。
【0004】
図12は、従来の接触型帯電器2110(帯電ブラシ)を示す概略横断面図である。この図において符号2100は有機感光体(OPC)、符号2101はAl基体、符号2102は有機感光層である。また、符号2103は直流電源、符号2111は芯金、符号2124は導電性ブラシ(帯電ブラシ本体:摺擦帯電部材)である。
【0005】
ローラー帯電とは、導電性ゴムローラーを感光体と接触させ、感光体と帯電ローラーの間の微小空隙で放電を起こし、感光体表面を帯電させる方法であり、コロトロンと比較し、オゾン発生量が著しく低減(1/100〜1/500に低下)する。
【0006】
しかしながら、帯電ローラーも感光体・帯電ローラー間の微小空隙に電圧を加えコロナ放電を起こすことから、オゾン発生量をゼロにすることは原理的にできない。また、オゾンが感光体近傍で発生するためオゾンによる感光体の劣化は依然として課題として残る。したがって、オゾンが全く発生しない帯電方式が強く望まれ、最近では電荷注入方式が注目されている。
【0007】
電荷注入方式とは、放電を起こさないで接触型帯電器から直接電荷を感光層に注入する方法である。そのため原理的にオゾンは発生しない。電荷注入においては、接触型帯電器と感光体との接触抵抗や微小空隙の容量が電荷を注入する際の注入速度に影響を与えるため、接触抵抗は低いほど良いと考えられる。
【0008】
そのため、特開平6−75459号公報に記載の技術では、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子供与性化合物とから構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し、全体に導電性を付与した高分子材料からなる導電性ゴムで帯電ローラーを作製している。
【0009】
しかしながら香川、古川、新川らによるJapan Hardcopy‘92,pp.287〜290の報告では,80%RHの高湿下では有機感光体(以後OPCと略すことがある)は十分な帯電電圧が得られるが、30〜50%RHの湿度下では印加電圧の半分までしか帯電されず、注入速度が遅いことが示されている。これは、帯電ローラーの接触面積(ニップ幅)が小さいことと、導電性ゴムが十分低抵抗化していないためと推察される。
【0010】
つまり、低抵抗の導電性ゴムを得るには電荷移動錯体を多量にドーピングする必要があるが、ドーピング量が多くなると高分子自体のネットワークの柔軟性が減少する(ゴム硬度が高くなる)結果、上記接触面積が小さくなるためではないかと考えられる。例えば特開平6−75459号公報では、導電性ゴムの抵抗は106 Ω・cmとなっており、適度なゴム硬度を維持しながら導電性ゴムを低抵抗化することは、高分子材料の選択の点から容易ではないと考えられる。また上記のように、全体に導電性を付与した高分子材料からなる導電性ゴムでは帯電電位が湿度に敏感であるため、環境を厳密に制御する必要があり、接触型帯電器の構造が複雑になる。
【0011】
一方、特開平7−140729号公報では、吸水性のスポンジローラーを用いて感光体に電荷を注入している。吸水性のスポンジローラーを用いる場合、ローラーの含水率がローラー抵抗や電荷の注入速度に大きな影響を与えるので、ローラーからの水分蒸発によって帯電電位が変動する恐れがある。帯電電位の変動を抑えるためにはローラーからの水分蒸発を長期にわたって厳密に制御する必要があるが、これでは接触型帯電器の構造が複雑になり、安価に製造することができない。
【0012】
また、特開平9−101649号公報には、帯電ブラシの導電性繊維をエッチング繊維または分割繊維とすることによって導電性繊維と感光体との接触面積を増加させ、電荷注入の速度を向上させることが提案されている。エッチング繊維とは、導電性繊維の成分の一部を薬液に溶解し、1本の導電性繊維を太さ方向で複数本に分離した繊維である。また分割繊維とは、加熱時における各部の熱収縮差を利用し、1本の導電性繊維を太さ方向で分割した繊維である。これらの処理によって、実質的により細い径の導電性繊維を用いたことになり、感光体との接触面積を増加させることができる。
【0013】
しかしながら、分離または分割された繊維の引張り強度は、分離・分割前の導電性繊維と比較し、分離・分割された分だけ低くなる。その結果、感光体と接触した場合、繊維が切断しやすくなり、長期の使用では帯電電位のバラツキを起こし、接触型帯電器の寿命を低下させる原因となってしまう。逆に長寿命の接触型帯電器を得ようとしても、導電性繊維の分離・分割数を多くすることはできないため接触面積の著しい増加は期待できず、電荷注入速度の大幅な向上は困難である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、従来技術の上記問題点を解決した接触型帯電器、及びその製造方法を提供することである。すなわち、電荷注入によって感光体を帯電させる接触型帯電器においては、注入速度が速いため感光体に十分な帯電電圧を与えられ、かつ湿度等の環境変動に対し十分な耐性があり、しかも長期の使用においては帯電電圧の変動が小さい接触型帯電器を提供することにある。
【0015】
また、感光体・接触型帯電器間の微小空隙でのコロナ放電を利用する接触型帯電器においては、オゾンやNOX の発生を低減でき、かつ外部電源の低電圧化を実現できる接触型帯電器を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の接触型帯電器は、導電性部材と導電性を有する繊維状部材とからなる摺擦帯電部材を備え、該摺擦帯電部材を感光体表面に摺擦接触させながら感光体・摺擦帯電部材間に電位差を印加することにより感光体に所定の表面電位を与える接触型帯電器であって、金属芯と、該金属芯の表面に設けられ多数の前記導電性部材としての導電性繊維および前記導電性を有する繊維状部材からなる摺擦帯電部材とを備え、前記導電性を有する繊維状部材は、前記導電性部材の少なくとも一部に形成され、かつ一端部が前記導電性部材内部に保持され他端部が前記導電性部材の表面から外部に突出している帯電ブラシであることを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の接触型帯電器は、請求項において、前記導電性繊維が多層構造を有し、その最外層のみで前記繊維状部材が保持されていることを特徴とする。
【0024】
請求項に記載の接触型帯電器は、請求項1〜のいずれかにおいて、前記繊維状部材がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
【0025】
請求項に記載の接触型帯電器は、請求項において、前記カーボンナノチューブが、下記数式(1)および(2)のカイラルベクトル(Ch)で示される単層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
【0026】
【数2】
Figure 0004119072
【0027】
上記数式(1)および(2)において、a1およびa2は二次元六角格子の基本並進ベクトルを示し、n,mおよびkは整数を示す。
【0028】
請求項に記載の接触型帯電器は、請求項において、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
【0029】
請求項に記載の接触型帯電器の製造方法は、請求項のいずれかに記載の接触型帯電器を製造する方法であって、カーボンナノチューブを保持すべき前記導電性部材中に該カーボンナノチューブを分散させた後、前記導電性部材の表面を機械研磨することによりカーボンナノチューブを前記導電性部材の表面から外部に突出させる工程を有することを特徴とする。
【0031】
【実施例】
本発明を、図面に示す実施例に従って述べる。
<実施例1>
図1(a)は、接触型帯電器(帯電ブラシ)110の構造を示す模式的横断面図、図1(b)は上記摺擦帯電部材としての帯電ブラシ本体124の模式的縦断面図である。
【0032】
この帯電ブラシ110では、金属芯111と帯電ブラシ本体124とが接続している。この帯電ブラシ本体124(帯電ブラシ110の毛)は、上記導電性部材としての導電性繊維123と、上記した導電性を有する繊維状部材としてのカーボンナノチューブ120とからなり、カーボンナノチューブ120が導電性繊維123の内面から表面に突出している構造を持つ。この導電性繊維123は、高分子繊維中にカーボンブラック122等の導電性微粒子を分散させることにより導電性を付与したものであり、これについては後記する。そして、帯電ブラシ本体124は、主にカーボンナノチューブ120がOPC100の表面と接触する。なお、一部では導電性繊維123が直接OPC100の表面と接触していても何ら構わない。
【0033】
OPC100は、ドラム形状のAl基体101と有機感光層102から構成され、必要に応じてAl基体101と有機感光層102との間に電荷注入阻止層が設けられる。帯電ブラシ110の金属芯111は外部の直流電源103に接続され、主にカーボンナノチューブ120から有機感光層102に直接電子を注入(つまり負帯電の電荷注入)することで、OPC100を帯電させる構造となっている。なお、一部の電荷は有機感光層102と直接接触する導電性繊維123から注入されても良く、またカーボンナノチューブ120から電子が電界放出によって引き出されて有機感光層102を帯電しても構わない。
【0034】
カーボンナノチューブ120には、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブとがあり、単層カーボンナノチューブは触媒によって大きさが異なり、直径が0.7〜50nm、軸方向の長さ(以後長さと略す)は10nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさは直径が0.7〜5nm、長さが30nm〜100μmである。一方、多層カーボンナノチューブは直径が2〜500nmで、長さは10nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさは直径が4〜50nmで、長さが500nm以上である。単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのいずれもアスペクト比が非常に大きい極細の形状を有する。
【0035】
上記カーボンナノチューブ120の大きさは上記範囲に限定されるものではなく、直径が1μm未満のカーボンナノチューブであれば、本発明に含まれるものとする。また、カーボンナノチューブ120はシームレス構造であるため、非常に高い弾性率を持ち、チューブ軸方向の引張り強度が高い。カーボンナノチューブ120は極細の直径を持つため、軸方向で導電性繊維123に密集して配置することが可能である。
【0036】
カーボンナノチューブ120は半導体性や金属性(つまりオーミック接触をしている)の導電特性を持つため、カーボンナノチューブ120から電荷を直接有機感光層102へ注入することが可能である。そのため、導電性繊維123にカーボンナノチューブ120を接続した帯電ブラシ110においては、導電性繊維がエッチング繊維、分割繊維からなる従来の帯電ブラシと比較し、有機感光層102と帯電ブラシ110の間で電荷の授受が行える面積、つまり実質的な接触面積(以後導電性の接点と記述する)を著しく大きくでき、その結果電荷の注入速度を向上させることができる。そのため、高速の画像記録装置においても十分な帯電電圧が得られる。さらに、カーボンナノチューブ120は軸方向の引張り強度が高いため、極細でも有機感光層102との接触において破断することが非常に少なく、また長期的には帯電電圧のバラツキが非常に少なく、帯電ブラシ110の長寿命化が実現できる。
【0037】
前述のようにカーボンナノチューブは半導体性または金属性の電気伝導を示すが、帯電ブラシ110に用いる場合は、帯電ブラシ110と有機感光層102の接触抵抗を小さくすることから、金属性の電気伝導がより好ましい。本発明において、導電性を有する繊維状部材はカーボンナノチューブに限定されるものではなく、カーボンナノチューブと同様な形状・特性を有するものであれば良い。
【0038】
図2は、単層カーボンナノチューブを切り開いて広げた六員環を示す模式的説明図である。単層カーボンチューブのカイラルベクトルChは、次の数式(1)のように記述される。
【0039】
【数3】
Figure 0004119072
【0040】
上記数式(1)において、a1およびa2は二次元六角格子の基本並進ベクトルを示し、nおよびmは整数を示す。
【0041】
なお、図2の単層カーボンナノチューブの上記Chは(n,m)=(3,0)を示している。また、単層カーボンナノチューブが金属性の導電性を示すための条件は、次の数式(2)が成り立つことであることが判っている。
【0042】
【数4】
Figure 0004119072
【0043】
上記数式(2)において、n,mおよびkは整数を示す。
【0044】
よって、単層カーボンナノチューブを帯電ブラシ110に用いる場合には、上記数式(1)および(2)を共に満たすと、帯電ブラシと有機感光層の接触抵抗を低減できるので、より望ましい。なお図2中に、上記式(1)(2)を満たすChを○で示した。
【0045】
一方、多層カーボンナノチューブの場合、各層のグラフェン間での相互作用が小さいため、各層の導電性が混合されたものとなり、概ね金属性の導電性を示すが帯電ブラシにより適した構造は一意に定められない。しかしながら、単層カーボンナノチューブでは1枚のグラフェンのみが電気伝導に寄与するが、多層カーボンナノチューブでは各層のグラフェンが電気伝導に寄与するため、帯電ブラシ110に多層カーボンナノチューブ120を用いると、より多くの電荷を有機感光層102に注入できる利点がある。なお、単層カーボンナノチューブはグラフェンが単層(1枚)のもの、多層カーボンナノチューブはグラフェンが多層のものを言う。
【0046】
次に、カーボンナノチューブの作製方法について説明する。単層型カーボンナノチューブは、陽極としてグラファイトにFe,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt,La,Y等の金属触媒を混合したコンポジット棒を、陰極としてグラファイト棒をそれぞれ用い、圧力100〜700Torr(1.33×104 〜9.31×104 Pa)のHeまたはH2 雰囲気でのアーク放電によって合成する。単層カーボンナノチューブは、金属触媒の種類によってチャンバー内壁の煤(チャンバー煤)か、または陰極表面の煤(陰極煤)の中に存在する。
【0047】
また、前記のコンポジット棒を電気炉中で1000〜1400℃に加熱し、圧力500Torr(6.65×104 Pa)のAr雰囲気で、Nd:YAGパルスレーザー光を照射して単層カーボンナノチューブを合成しても良い。合成された単層カーボンナノチューブは種々の不純物を含むため水熱法、遠心分離法、限外ろ過法等によって80%以上の純度に精製するのが良い。
【0048】
一方、多層カーボンナノチューブは陽極、陰極ともグラファイト棒を用い、圧力100〜700Torr(1.33×104 〜9.31×104 Pa)のHe雰囲気でのアーク放電を用いて合成する。多層カーボンナノチューブは陰極上の円柱状堆積物の中心に存在する。またベンゼン、エチレン、アセチレン等の炭化水素をH2 ガス流下1000〜1500℃で熱分解することによっても得られる。多層カーボンナノチューブも合成後は種々の不純物が含まれるため、有機溶媒や、界面活性剤が添加された水溶液に分散させた後、遠心分離法や限外ろ過法によって高純度に精製するのが良い。なお、カーボンナノチューブの先端は閉管、開管のどちらの形状でも良い。
【0049】
次に図3(a)に、金属芯111に帯電ブラシ本体124を設けた上記帯電ブラシ110の作製方法の一例を示す。図3(b)は帯電ブラシ本体124の模式的縦断面図である。帯電ブラシ110は円柱構造をしており、帯電ブラシ本体124は金属芯111の外周面全体にわたって一様に接続されている。
【0050】
カーボンナノチューブ120を分散させ、その長手方向の一部を表面に突出させた導電性繊維123である帯電ブラシ本体124を、SUS,Al,Fe,Cu等の金属や合金からなる金属芯111に、図3(a)に示すように電気植毛によって植え付ける。導電性繊維123としては直径が5〜20μmの導電性レーヨン、導電性ナイロン、導電性ポリエステル等が使用できる。植毛密度は、一般的な帯電ブラシと同様に50〜300本/mm2 程度にするのが良い。
【0051】
繊維に導電性を付与することにより上記導電性繊維123を作製する方法としては、図3(b)に示すように、カーボンブラック122や金属微粒子等の導電性微粒子を高分子繊維中に分散させる方法が採用できるが、摺動性のよい炭素系の微粒子を用いるのが望ましい。また、帯電ブラシ本体124を作製するには、繊維形成原料に上記導電性微粒子を分散させるのと同時に、高純度に精製したカーボンナノチューブを所望の配合比率で配合・分散させ、紡糸する。紡糸して得られた繊維の表面を機械的に研磨することにより、分散させたカーボンナノチューブの長手方向の一部を繊維表面から突出させる。カーボンナノチューブの別の突出方法として、酸素プラズマアッシング等を用い、母材であるレーヨン、ナイロン、ポリエステル等の高分子材を灰化し、カーボンナノチューブを繊維表面から突出させる方法も採用できる。
【0052】
また、これらのプロセスは、紡糸一環プロセスとして実施しても良く、紡糸後に研磨、酸素プラズマアッシング等の処理を実施しても良い。研磨プロセスは遊離砥粒を用いる方法、具体的には、酸化セリウム、ウレタン等のパッドで上記繊維を挟み、繊維に1〜500g/cm2 の荷重を印加し、その間に粒径1μmのアルミナを供給し、繊維を片側から引き出し研磨する。パッドは繊維の巻取り速度(引出し速度)により、一段または、対角上に設置した複数段を組み合わせて使用する。
【0053】
繊維にカーボンナノチューブを分散させる際、高純度に精製したカーボンナノチューブを用いた例を示したが、アーク放電法等で合成したカーボンナノパーテイクルを混合したカーボンナノチューブを用いても良い。他の方法として、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)等の電子受容性化合物とテトラチアフルバレン(TTF)等の電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し、高分子繊維全体に導電性を付与しても良い。この時、同時に高純度に精製したカーボンナノチューブを分散させ紡糸する。紡糸後、上記のようにしてカーボンナノチューブを繊維表面から突出させる。
【0054】
いずれの方法においても、カーボンナノチューブの分散量は表面突出密度が0.01本/μm2 以上となる量とするのが望ましく、1本/μm2 以上となる量を配合すれば、安定した帯電が可能である。本実施例ではカーボンナノチューブの分散量を2wt%とした。
【0055】
図4、図5はそれぞれ帯電ブラシ本体124の他の構造例を示す模式的縦断面図である。図4の帯電ブラシ本体124は、導電性繊維123aを芯とし、その外周側の導電性繊維123bを鞘とする鞘・芯構造となっている。導電性繊維123bは、繊維中にカーボンブラック122や金属微粒子と、カーボンナノチューブ120とを分散させたものである。導電性繊維123aには直径2μm〜10μmの導電性レーヨン、導電性ナイロン、導電性ポリエステル等を用い、導電性繊維123bでは、同材質の導電性レーヨン、導電性ナイロン、導電性ポリエステル等にカーボンナノチューブを分散させ、これら導電性繊維123aおよび123bを複合紡糸することにより、二重構造の繊維とした。カーボンナノチューブを分散させた層(上記鞘)の厚さは0.1μm〜10μmとした。
【0056】
次に、上記OPC100について説明する。酸化チタン微粒子をバインダー樹脂に分散させたホール注入阻止層をドラム形状のAl基体101上に、ディップコーティング法により厚さ1〜5μmで形成し、その後電荷発生層(以後CGLと略す)と電荷輸送層(以後CTLと略す)からなる積層の有機感光層102を形成した。
【0057】
CGLは電荷発生材料(以後CGMと略す)をブチラール樹脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール樹脂などのバインダー樹脂に分散させたものからなり、ディッピングコーティング法により厚さ0.1〜1μmで形成した。CGMとしては、波長740〜780nm付近に感度を持つスクエアリリウム色素、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、アズレニウム塩色素およびアゾ顔料等が、また、635〜650nm付近に感度のあるチアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ顔料系等がそれぞれ使用できる。
【0058】
CTLはホールのキャリア輸送材料(以後CTMと略す)をビスフェノール系ポリカーボネイト樹脂等のバインダー樹脂に分散させたものからなり、膜厚は10〜40μm程度でディッピングコーティング法によって形成した。CTMとしてはオキサジアゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、ブタジエン誘導体などが用いられる。
【0059】
なお、本例のOPCは、光によって発生するキャリアのうちホールを用いるOPCであるが、電子を発生するCGM、電子を輸送するCTMも若干ではあるが開発されており、光生成キャリアのうち電子を用いるOPCであっても何ら構わない。その場合は、直流電源の正負が逆となり正帯電で使用されるが、帯電ブラシとしては前記のものがそのまま使用できる。
【0060】
また、本例では機能分離型のOPCを例に取り説明を行ったが、本発明は機能分離型に限定されるわけではなく、単層型のOPCであっても何ら構わない。また本例はドラム形状のOPCであるが、Al基体の代わりに、表面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状のOPCとしても良い。またシート状のOPCでも良い。更に本発明は、OPCに用いられる接触型帯電器に限定されるわけではなくSe系、a−Si,ZnO等の無機感光体であっても、同じ接触型帯電器が使用できるので、本発明では感光体の種類は限定されない。
【0061】
なお、本例はロール状の帯電ブラシについて説明したが、固定ブラシであっても本発明の効果は同様に実現でき、帯電ブラシの形状は何ら問わない。加えて、図1の帯電ブラシ110は直流電源103に接続されているが、電源は直流に限定されるものではなく、直流と交流が重畳されていても構わない。
【0062】
図3(a)の作製方法に従って帯電ブラシを作製した。構成を以下に示す。
Figure 0004119072
【0063】
上記帯電ブラシを−500Vの直流電源に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPCに接触させ帯電を行った。なお、OPCの周速は300mm/sなので、帯電ブラシとOPCの接触時間は0.051sとなる。OPCは帯電ブラシと接触する間に−440Vまで帯電され、導電性繊維にカーボンナノチューブを接続した帯電ブラシが十分な帯電能力を持つことが確認された。また、OPCの長手方向での帯電電圧のバラツキは5%以内であり、十分な均一性が得られた。
【0064】
<実施例2>
図6は接触型帯電器(帯電ローラー)510の構造を示す模式的横断面図である。この帯電ローラー510では、金属芯511が上記摺擦帯電部材として帯電ローラー本体524で被覆されている。また、この帯電ローラー本体524は、円環状の導電性ゴム523にカーボンナノチューブ520を分散させ、研磨等によりカーボンナノチューブ520をこの導電性ゴム523の表面から突出させた構造となっている。このその突出長さは、導電性ゴム523表面の研磨量コントロールにより0.1μm〜400μmの範囲で制御するのが望ましいが、0.2μm〜5μm突出していれば良い。また、帯電ローラー本体524としては、カーボンナノチューブ520が導電性ゴム523内の一部に含有され、表層に密集している構造のもの、表層から内部にかけて均一に含有されている構造のもの、さらには表層から内部にかけて含有密度勾配を持たせた構造のものなどが採用できるが、表層に均一に密集している構造、表層から内部にかけて均一に含有している構造が望ましい。これらの構造により、導電性繊維が摩滅しても内部から新しいカーボンナノチューブが突出する長所がある。
【0065】
カーボンナノチューブの分散量は、表面突出密度が0.01本/μm2 以上となる量とするのが望ましく、1本/μm2 以上となる量を配合すれば安定した帯電が可能である。本実施例では、カーボンナノチューブの分散量を2wt%としている。
【0066】
帯電ローラー本体524は、主にカーボンナノチューブ520でOPC500の表面と接触している。なお、一部の導電性ゴム523がOPC500の表面と直接接触しても良い。OPC500はドラム形状のAl基体501と有機感光層502から構成されており、必要に応じてAl基体501と有機感光層502の間に電荷注入阻止層が設けられる。なお、帯電ローラー510の金属芯511は外部の直流電源503に接続され、主にカーボンナノチューブ520から有機感光層502に直接電子を注入(つまり負帯電の電荷注入)することで、OPC500を帯電させている。また、一部の電荷は有機感光層502と直接接触する導電性ゴム523から注入されても良く、さらにカーボンナノチューブから電子が電界放出によって引き出され、有機感光層502を帯電しても構わない。
【0067】
上記有機感光層502と帯電ローラー510の導電性の接点はカーボンナノチューブ520で形成される。カーボンナノチューブ520はダングリングボンドを持たないため化学的に安定であり、かつシームレス構造のため機械的強度が非常に高い。そのため、導電性の接点の安定性が非常に良く、これを用いて帯電ローラーを構成した場合には、従来の全体に導電性が付与された導電性ゴムや吸水性のスポンジローラーと比較し、環境による変動が少なく、長期にわたって安定した帯電能力を維持することができる。
【0068】
また、カーボンナノチューブ520は大きな弾性を持つため、有機感光層502と接触すると撓むことができ、カーボンナノチューブ520の先端のみではなく、側面でも有機感光層502と接触することができる。そのため、導電性ゴム523にカーボンナノチューブ520を配合した帯電ローラー510においては、帯電ブラシの場合ほど著しくはないが有機感光層502との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上させることができる。
【0069】
次に、上記帯電ローラー510の作製方法の一例について説明する。
SUS,Al,FeまたはCuからなる金属芯511を、ゴムにカーボンナノチューブ520を分散させた導電性ゴム523でモールド工法により被覆した。導電性ゴム523の厚さは1〜30mmが良い。その後、導電性ゴム523の表面を円筒研削により粗研削し、さらにこの粗研削表面をアルミナ砥粒等により研磨した。研磨プロセスは、粒径10μm→5μm→1μmと変化させてローラー表面(導電性ゴム523の表面)を研磨し、カーボンナノチューブを帯電ローラー510の表面から突出させた。この突出長さは、研磨量のコントロールにより0.2μm〜5μmとした。なお、上記導電性ゴム523用のゴムとしてはEPDM、ポリウレタン、NBR、シリコーンゴム等が使用できる。また、図5の帯電ローラー510は直流電源503に接続されているが、電源は直流に限定されるものではなく、直流と交流が重畳されていても構わない。
【0070】
上記の作製方法に従って帯電ローラーを作製した。構成を以下に示す。
Figure 0004119072
【0071】
上記の帯電ローラーを−500Vの直流電源に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPCに接触させ帯電を行った。なお、OPCの周速は150mm/sなので、帯電ローラーとOPCの接触時間は0.013sとなる。
【0072】
OPCは帯電ローラーと接触する間に−370Vまで帯電され、導電性ゴムにカーボンナノチューブを接続した帯電ローラーが十分な帯電能力を持つことが確認された。また、湿度30〜80%RHで同様の帯電試験を行ったが、帯電電圧のバラツキは10%以内であり、環境変動に対し十分な耐性を持つことが判った。
【0073】
図7は参考例であり、図7(a)は帯電ローラーの他の構造例を示す模式的横断面図である。図7(b)は図7(a)の一部拡大図であって、この帯電ローラーの摺擦接触部材である帯電ローラー本体の構造を示すものである。この帯電ローラー510は、金属芯511の外周に内層の導電性ゴム523aが被覆され、さらにこの導電性ゴム523aの外周に外層の導電性ゴム523bが被覆された二層構造となっている。導電性ゴム523bでは、導電性ゴムにカーボンナノチューブ520が分散し、研磨等によりカーボンナノチューブ520がローラー表面から突出している。この場合も、導電性ゴム523bにおけるカーボンナノチューブ520の分散量は前述した例と同等であり、導電性ゴム523bの厚さは1μm〜500μm、特に20μm〜100μmの範囲が好ましい。
【0074】
上記帯電ローラー510の作製方法について説明する。はじめに、SUS,Al,FeまたはCuからなる金属芯511を導電性ゴム523aでモールド工法により被覆した。その後、この導電性ゴム523a上に、導電性ゴム523aと同一のゴムにカーボンナノチューブ520を分散させた導電性ゴム523bを、モールド工法により被覆した。導電性ゴム523bの厚さは1〜30mmが良い。その後、円筒研削により表面を粗研削し、さらに表面をアルミナ砥粒等により研磨した。研磨プロセスは、粒径10μm→5μm→1μmと変化させ、ローラー表面を研磨し、カーボンナノチューブ520をローラー表面から突出させた。この突出長さは、研磨量のコントロールにより0.2μm〜5μmとした。
【0075】
図7(b)は、カーボンナノチューブ520を分散させた導電性ゴム523aの拡大断面図で、カーボンナノチューブ520は導電性ゴムの全層にわたって均一に分散し、研磨によってカーボンナノチューブ520がローラー表面から外部から突出している。なお、突出の方向はとくに規定されるものではない。
【0076】
参考例1
図8(a)は接触帯電器としての帯電ブレード610の模式的正面断面図、図8(b)はその側面断面図である。この帯電ブレード610では金属板611の片面に、摺擦帯電部材としての帯電ブレード本体624が貼付されている。この帯電ブレード本体624では、導電性ゴム623中にカーボンナノチューブ620が分散し、研磨等によりカーボンナノチューブ620がブレード(導電性ゴム623)表面から外部に突出している。そして、帯電ブレード本体624は主にカーボンナノチューブ620でOPC600の表面と接触している。なお、一部の導電性ゴム623がOPC600表面と直接接触しても良い。
【0077】
OPC600は、ドラム形状のAl基体601と有機感光層602から構成され、必要に応じてAl基体601と有機感光層602の間に電荷注入阻止層が設けられる。なお、帯電ブレード610の金属板611は外部の直流電源603に接続され、主にカーボンナノチューブ620から有機感光層602に直接電子を注入(つまり負帯電の電荷注入)することでOPC600を帯電させている。また、一部の電荷は有機感光層602と直接接触する導電性ゴム612から注入されても良く、さらにカーボンナノチューブから電子が電界放出によって引き出され有機感光層602を帯電しても構わない。
【0078】
カーボンナノチューブ620は固体潤滑材としての機能を持つ。帯電ブレード610は有機感光層602と、主にカーボンナノチューブ620で接触するため、従来のカーボンナノチューブのない帯電ブレードと比較し、帯電ブレード600とOPCとの摩擦係数を低下させることができ、長期の使用においては『OPC600を削る』、『OPC600を磨耗させる』などの機械的ダメージを与えにくくなり、OPC600の寿命を向上させる。また、カーボンナノチューブ620は大きな弾性を持つため、有機感光層602と接触すると撓むことができ、カーボンナノチューブ620の先端のみならず、側面でも有機感光層602と接触することができる。そのため、導電性ゴム623にカーボンナノチューブ620を接続した帯電ブレード610においては、帯電ブラシに用いた場合ほど著しくはないが、有機感光層602との導電性の接点を大きくでき、電荷の注入速度を向上させることできる。
【0079】
次に、帯電ブレード610の作製方法の一例について説明する。SUS,Al,FeまたはCuからなる金属板611の片面に導電性ゴム623を貼り付ける。導電性ゴム623の厚さとしては1〜30mmが良い。ゴムに導電性を付与する方法としては、カーボンブラックや金属微粒子を高分子中に分散させる方法や、電子受容性化合物と電子供与性化合物から構成される電荷移動錯体を高分子ネットワークに置換し、高分全体に導電性を付与する方法が採用できる。なお、ゴムとしてはEPDM、ポリウレタン、NBR、シリコーンゴム等が使用できる。
【0080】
図9は、帯電ブレード610の別例を示す模式的側面断面図である。この帯電ブレード610では、導電性ゴム623の側面断面形状が三角形で、その先端部がエッジ状となっている。ブレードの側面断面形状は図8(b)の四角形、図9の三角形の他に台形、菱形、楕円形、5角形等でも同様の効果が得られる。
【0081】
図10(a)はさらに別の帯電ブレード610を示す模式的正面断面図、図10(b)はその側面断面図である。この帯電ブレード610は、金属板611の片面に導電性ゴム623aと、その上に導電性ゴム623bとを設けた二重構造となっている。これら導電性ゴム623aと導電性ゴム623bとにより、上記摺擦帯電部材が構成されている。導電性ゴム623bでは、導電性ゴム623にカーボンナノチューブ620が分散し、カーボンナノチューブ620が研磨等により導電性ゴム623の表面から突出している。この場合も、カーボンナノチューブ620の分散量は、前述の例と同等であり、導電層623bの厚さは1μm〜500μm、特に20μm〜100μmの範囲が好ましい。なお、図8(a)の帯電ブレード610は直流電源603に接続されているが、電源は直流電源に限定されるものではなく、直流と交流が重畳されていても構わない。
【0082】
図8(a)に示す帯電ブレードを以下の条件で作製した。
Figure 0004119072
【0083】
上記帯電ブレードを−500Vの直流電源に接続し、CTL/CGL/ホール注入阻止層/Al基体からなるOPCに接触させ帯電を行った。なお、OPCの周速は200mm/sなので、帯電ブレードとOPCの接触時間は0.02sとなる。OPCは帯電ブレードと接触する間に−390Vまで帯電され、導電性ゴムにカーボンナノチューブを接続した帯電ブレードが十分な帯電能力を持つことが確認された。また、OPCと帯電ブレードの摩擦係数を測定したところ、カーボンナノチューブのない従来の帯電ブレードと比較し、上記の帯電ブレードは押し圧の条件により摩擦係数が1/2〜1/10に低減していることが確認された。
【0084】
<実施例
実施例1〜で作製した各々の接触型帯電器と、−500Vの直流電源とを電子写真方式の複写機の帯電システムとして搭載し、テストチャートの複写を行った。なお、現像は低電位現像(白黒の2値現像)を用い、階調はドット数で表示した。リファレンスは5kVの電源とコロトロンとして搭載した複写機を用い、リファレンスの帯電電圧は800Vであったため低電位現像を行わず、階調はアナログで表示した。
【0085】
実施例1〜の接触型帯電器を載せた複写機で複写を行った結果、全てで良好な画像が得られた。特に帯電ブラシを用いた場合は、リファレンスの複写機で得られた画像より多くの階調表示が可能で、解像度も向上していた。なお、帯電ローラー、帯電ブレードを搭載した複写機の画像が帯電ブラシで得られた画像と比較し若干劣化していたのは低電位現像に起因するものであり、今後現像が更に低電位化された場合は同等の画像が得られると推定される。また、実施例1〜の接触型帯電器を載せた複写機では、感光体の帯電プロセス中にオゾンやNOX が殆ど検出されなかった。
【0086】
したがって、本発明の接触型帯電器を搭載した複写機は、オゾンやNOX を発生させないで、かつ帯電システムの外部電源を低電圧化しつつ、良好な画像記録が行えることが確認された。また、全ての複写機で寿命試験を行ったところ、長期にわたって良好な画像が得られ、接触型帯電器の長期信頼性が優れていることが判った。また、これにより接触型帯電器の交換頻度を少なくすることができた。さらに、全ての複写機において接触型帯電器がOPCを削ることは殆ど観察されず、従来の帯電ローラーや帯電ブレードを搭載した複写機と比較し、OPCの寿命を格段に伸ばすことができた。
【0087】
以上の結果から、今後カーボンナノチューブの製造コストが低下すれば複写機のトータルコストを低減できる可能性がある。なお、プリンター、ファクシミリ等の画像記録装置においても、同様の効果が期待できる。
【0088】
<実施例
実施例1〜では、帯電は主に電荷注入によって行われていた。一般的に大きな帯電電圧(600V〜1kV程度)が必要とされる場合、OPCの帯電は主に感光体と接触型帯電器の微小空隙でのコロナ放電によって行われる。本発明の接触型帯電器においても、カーボンナノチューブとOPC間の微小空隙に放電開始電圧Vth以上の電圧が印加されると、カーボンナノチューブとOPC間の微小空隙でコロナ放電が発生しOPCが帯電される。特にカーボンナノチューブは極細の針状をしているため、カーボンナノチューブ先端での不平等電界が強くなり、Vthを下げることができる。
【0089】
実施例2のカーボンナノチューブが接触した帯電ローラーでVthを測定したところ、カーボンナノチューブのない帯電ローラーのVthよりも低下していることが確認された。よってカーボンナノチューブ先端でのコロナ放電を用いてOPCを帯電する場合、従来のローラー帯電(帯電ローラーを用いてコロナ放電を利用する放電方式)と比較し、印加する電圧を低くすることができた。また、微小空隙でのコロナ放電によってOPCを帯電させる場合に発生するオゾンやNOX を測定したところ、カーボンナノチューブが接続された帯電ローラーはカーボンナノチューブのない従来の帯電ローラーよりもオゾンやNOX が少なかった。これは、カーボンナノチューブの先端のみでコロナ放電が起きるため、カーボンナノチューブの接続された帯電ローラーでは放電空間が小さく、かつ印加電圧が小さいため、オゾンやNOX の発生が抑えられたためと考えられる。
【0090】
よって、摺擦帯電部材の先端にカーボンナノチューブを接続した帯電ローラーには、コロナ放電によってOPCを帯電させる場合においても、オゾンやNOX の低減や、外部電源の低電圧化が実現できる利点がある。なお、本例では帯電ローラーを用いて説明を行ったが帯電ブラシ、帯電ブレードにおいても同様の効果がある。
【0091】
以上のように、本発明は電荷注入や電界放出、微小空隙でのコロナ放電といった帯電方式に制限されるものではなく、本発明の構造が含まれる全ての接触型帯電器について言及している。また実施例では帯電ブラシ、帯電ローラー、帯電ブレードの形状について説明を行ったが、本発明は実施例の形状に制限されるものではなく、本発明には帯電部材の先端にカーボンナノチューブが接続された全ての接触型帯電器が含まれる。
【0092】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明に係る接触型帯電器では摺擦帯電部材が導電性部材と、導電性を有する繊維状部材とを備え、該繊維状部材は、前記導電性部材の少なくとも一部に形成され、かつ一端部が前記導電性部材内部に保持され他端部が前記導電性部材の表面から外部に突出している。このため、この接触型帯電器によれば、摺擦帯電部材と感光体との接触面積を大きくすることができて電荷注入速度が速くなり、感光体に十分な帯電電圧を与えことが可能になる。また、この接触型帯電器では、前記繊維状部材は前記導電性部材の内部に保持されているため、感光体との接触に起因する、前記導電性部材からの脱離が生じにくいので耐久性に富む。さらに支持体(導電性部材)に摩耗等が発生しても、内部の前記繊維状部材が表面から突出して初期特性を維持でき、安定な帯電が可能となる。
【0093】
請求項に記載の接触型帯電器では、前記繊維状部材がカーボンナノチューブであるため、請求項1、2に記載の接触型帯電器による効果に加えて、湿度等の環境変動に対し十分な耐性があり、しかも長期の使用においては帯電電圧の変動が小さい接触型帯電器を提供することができる。また、感光体・接触型帯電器間の微小空隙でのコロナ放電を利用する接触型帯電器においては、オゾンやNOX の発生を低減でき、かつ外部電源の低電圧化を実現できる接触型帯電器を提供することができる。以下これについて説明する。
【0094】
請求項3、5に記載の接触型帯電器では、導電性を有する極細で高アスペクト比のカーボンナノチューブが感光体と接触する。電荷注入によって感光体を帯電させる場合、カーボンナノチューブは極細で高アスペクト比であるため、感光層との接触面に密集して配置することが可能であり、かつカーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、感光層と接触すると撓むことができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく、側面でも感光層と接触することができ、実質的に接触型帯電器と感光層の接触面積を大きくでき、電荷の注入速度を向上させることできる。その結果、感光体に十分な帯電電圧を与えることができる。
【0095】
一方、感光層・接触型帯電器間の微小空隙でのコロナ放電で感光体を帯電する場合においては、カーボンナノチューブが極細の針状をしているため、カーボンナノチューブ先端での不平等電界が強くなり、放電開始電圧を下げることができる。そのため、従来のローラー帯電と比較して印加する電圧を小さくでき、かつコロナ放電空間を小さくできる。その結果、放電空間で発生するオゾンやNOX の量を低減することができる。
【0096】
また、カーボンナノチューブは軸方向の引張り強度が高いため、極細でも感光層との接触において破断することが非常に少なく、かつ支持体内部(前記導電性部材の内部)まで均一に分散・保持され固定化されており、トナー粒子や紙粉等の混入による局所的な力による破壊・欠落等に対する耐性が向上しており、長期的には帯電電圧のバラツキが非常に少なく、接触型帯電器の長寿命化が実現できる。また、支持体の摩耗等が発生しても内部のカーボンナノチューブが表面に突出し、初期特性を維持でき、安定な帯電が可能となる。
【0097】
請求項の接触型帯電器では、請求項においてカーボンナノチューブとして、上記数式(1)および(2)を同時に満たす単層カーボンナノチューブを用いている。このため、この単層ナノチューブは金属性の導電性を持ち、接触型帯電器と感光層との接触抵抗を小さくすることができる。その結果、より効率的な電荷注入が可能になる。
【0098】
請求項の接触型帯電器においては、カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであるため、概ね金属性の導電性を持ち、かつ多層カーボンナノチューブを構成する各層のグラフェンが電気伝導に寄与するため、より多くの電荷を感光層に注入できる。
【0099】
請求項の接触型帯電器のうち請求項に記載された接触型帯電器は、導電性繊維にカーボンナノチューブが保持・接続された帯電ブラシである。カーボンナノチューブは極細の直径を持つため、軸方向で導電性繊維に密集して配置することが可能である。また、カーボンナノチューブは大きな弾性を持つため、感光層と接触すると撓むことができ、カーボンナノチューブの先端のみではなく、側面でも感光層と接触することができる。そのため導電性繊維がエッチング繊維、分割繊維からなる従来の帯電ブラシと比較し、感光層と帯電ブラシの接触面積を著しく大きくすることができる。その結果、電荷の注入速度を向上できる。また、支持体(前記導電性繊維)の摩耗等が発生しても、内部のカーボンナノチューブが表面に突出して初期特性を維持でき、安定な帯電が可能となる。
【0102】
請求項に記載の接触型帯電器の製造方法では、カーボンナノチューブが分散した支持体(導電性部材)を、アルミナ等の研磨微粒子を用いて機械研磨し、カーボンナノチューブを支持体の表面から突出させる。このため、請求項の接触型帯電器を低コストで作製することができる。
【0103】
請求項1〜5の接触型帯電器を搭載した画像記録装置によれば、これらの接触型帯電器による上記効果が得られる。すなわち、電荷注入で感光体を帯電させる場合、感光体・接触型帯電器間の微小空隙のコロナ放電で帯電させる場合のいずれにおいても、感光層に十分な帯電電圧を与えることができ、引き続き現像を行うことによって良好な画像が得られる。特に帯電ブラシ、磁気ブラシを搭載した画像記録装置では階調性の優れた画像が得られる。また、電荷注入で感光体を帯電させる場合は、帯電プロセス中にオゾンやNOX が発生せず、さらに、微小空隙でのコロナ放電で感光体を帯電させる場合は、コロナ放電空間を小さくでき、かつ放電空間で発生するオゾンやNOX の量を低減できる。さらに電荷注入、微小空隙でのコロナ放電の両方式で帯電効率が良くなるため、画像記録装置に搭載する帯電用の外部電源を低電圧化できる。さらに、接触型帯電器の長期信頼性が向上し、感光体特にOPCの寿命が伸びることによって、接触型帯電器や感光体特にOPCの交換頻度を少なくすることが可能となる。よって将来的には、カーボンナノチューブの製造コストが更に低下することで、画像記録装置のトータルコストを低減できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接触型帯電器の一例(帯電ブラシ)を示すもので、(a)はその全体の模式的横断面図、(b)は帯電ブラシ本体の模式的縦断面図である。
【図2】単層カーボンナノチューブを切り開いて広げた六員環の模式図である。
【図3】(a)は図1の接触型帯電器を作製する方法の説明図、(b)は帯電ブラシ本体の模式的縦断面図である。
【図4】帯電ブラシ本体の別例を示す模式的縦断面図である。
【図5】帯電ブラシ本体のさらに別の例を示す模式的縦断面図である。
【図6】比較の接触型帯電器の別例(帯電ローラー)を示す模式的横断面図である。
【図7】比較の帯電ローラーの別例を示すもので、(a)は全体の模式的横断面図、(b)はその一部の拡大図である。
【図8】比較の接触型帯電器のさらに別の例(帯電ブレード)を示すもので、(a)は模式的正面断面図、(b)は模式的側面断面図である。
【図9】帯電ブレードの別例を示す模式的側面断面図である。
【図10】帯電ブレードのさらに別の例を示すもので、(a)は模式的正面断面図、(b)は模式的側面断面図である。
【図11】従来の接触型帯電器(導電性ゴムローラー)の概略横断面図である。
【図12】従来の接触型帯電器(帯電ブラシ)の概略横断面図である。

Claims (6)

  1. 導電性部材と導電性を有する繊維状部材とからなる摺擦帯電部材を備え、該摺擦帯電部材を感光体表面に摺擦接触させながら感光体・摺擦帯電部材間に電位差を印加することにより感光体に所定の表面電位を与える接触型帯電器であって、金属芯と、該金属芯の表面に設けられ多数の前記導電性部材としての導電性繊維および前記導電性を有する繊維状部材からなる摺擦帯電部材とを備え、前記導電性を有する繊維状部材は、前記導電性部材の少なくとも一部に形成され、かつ一端部が前記導電性部材内部に保持され他端部が前記導電性部材の表面から外部に突出している帯電ブラシであることを特徴とする接触型帯電器。
  2. 前記導電性繊維が多層構造を有し、その最外層のみで前記繊維状部材が保持されていることを特徴とする請求項1記載の接触型帯電器。
  3. 前記繊維状部材がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の接触型帯電器。
  4. 前記カーボンナノチューブが、下記数式(1)および(2)のカイラルベクトル(Ch)で示される単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項3記載の接触型帯電器。
    〔数1〕
    Ch=na1+ma2
    n−m=3k
    (式中、a1およびa2は二次元六角格子の基本並進ベクトルを示し、n,mおよびkは整数を示す。)
  5. 前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項3記載の接触型帯電器。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載の接触型帯電器の製造方法であって、カーボンナノチューブを保持すべき導電性部材中に前記カーボンナノチューブを分散させた後、前記導電性部材の表面を機械研磨することにより前記カーボンナノチューブを前記導電性部材の表面から外部に突出させる工程を有することを特徴とする接触型帯電器の製造方法。
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