JP4823429B2 - 電子放出装置、帯電装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子を用いた発光素子および電子放出素子を2次元にアレイ化したフィールドエミッション型のディスプレイなどの電子を放出する電子放出装置と、この電子放出装置を用いた帯電装置および帯電装置を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的にカーボンナノチューブ(以下、CNTとする)は、グラファイト状の炭素原子面を丸めた円筒が1個、または数〜数10個入れ子状に配列した繊維状構造を有し、その直径はナノメートルオーダーと極めて小さく、軸方向の大きさ(カーボンナノチューブの長さ)は、μmオーダーにも達し、非常にアスペクト比(長さ/直径比)の大きい材料である。
また、CNTの側面は、炭素原子のSP2混成軌道のみからなるため、ダングリングボンドがなく化学的に安定である。また、CNTは、シームレス構造であるため非常に大きなヤング率を持ち(Y>1Tpa)、さらにバックリングによって応力を緩和できる特徴を有する。さらにCNTは、カイラリティーや直径によって金属から半導体と幅広い電気特性を有している。
このようにCNTは、種々のユニークな特性を持つことから新しい炭素材料として産業上への適用が期待されている。
【0003】
特に、CNTの先端はナノメートルオーダーの径を持つ半球状であることから、電圧印加によって電界の集中が容易に得られ、低電圧で電界放出を実現することができる。A.G.Rinzler,R.E.Smalleyらは、実験的に1本の多層カーボンナノチューブ(MWNT)からの電界放出を報告している(Science 269,1550(1995)参照)。
以上のようにCNTは、低電圧での電子放出、化学的安定性、物理的強靱性を併せ持つことから、電子放出素子として大いに期待されており、多くの研究がなされている。近年では、CNTの高密度化や配向制御が実現されつつあり、より大きな電流が得られる電子放出素子が作製されている。
【0004】
例えば、特開平10−12124号公報には、陽極酸化膜中の細孔中にCNTを形成することにより(図5参照)、CNTの高密度化を実現する、また、細孔の開口部に引き出し電極を設けることによって、CNTから引き出された電子を効率的に細孔の外へ導くことによって電子放出素子の高効率化を計る技術が開示されている。
また、特開平11−194134号公報には、導電性表面とCNTの結合部を障壁で囲むことによって(図6参照)、CNTの配向性を向上させ、電子放出素子の高効率化を計る技術が開示されている。
一方、CNTの画像形成デバイスとしての応用は、山口、中山らによって報告されている(Japan Hardcopy’97要旨集p221参照)。彼らは、ライン状電子線源を用いて真空中での電界放出を確認し、CNTを用いたライン状電子線源がコロナ帯電器を代換できる可能性を示しており、さらに微小電子線源を用いて大気中での電界放出も確認しており、直接描画の可能性を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平11−194134号公報の技術では、全て高真空中で電界放出が行われており、低真空や大気圧中で動作させた場合に関しては記載されていない。
一般的に、CNTからの電界放出では雰囲気中の酸素や水によってCNTの先端が劣化することがあり、低真空や大気圧中で動作させると電子放出素子で得られる電流が低下することがある。
また、真空中では低電圧で電子放出が確認されているが、大気圧中ではCNT1本に流れる電流が10〜12Aを越えると電圧に対して一旦電流値が減少し、その後初期の立ち上がりが再現せず、CNTが劣化する場合がある。
【0006】
このように大気中では1本のCNTに流せる電流が小さくなり、CNTを用いた画像形成デバイスを実現するためには上述のような問題を解決する必要があった。CNTの密度を大きくし、CNT1本当たりの電流を下げることによる問題解決も考えられるが、CNTの高密度化に適した化学的気相成長法(CVD法)によって作製した場合においても、全てのCNTの放出開始電圧を揃えることは不可能であり、放出開始電圧が小さいCNTに大きな電流が流れてしまい、CNTの劣化を完全に抑制することは困難であった。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子において、大気圧中でも素子の劣化がなく、低電圧でかつ安定した電子放出能を有する電子放出装置、帯電装置および画像形成装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子を帯電器として利用することによって、大気圧中でも安定で、低電圧動作、オゾンやNOxの発生の少ない電子放出装置、帯電装置および画像形成装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、オゾンやNOxを発生させないで、良好な画像を安定して得ることができる電子放出装置、帯電装置および画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などによって構成される支持体と、前記支持体の片面上に金属または合金を成膜することにより形成されたエミッタ電極と、前記エミッタ電極上に所定の間隔で設置された複数のアルミニウム膜を硫酸、過塩素酸などの酸中で陽極化することにより形成された複数の陽極化膜と、前記複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成され、前記エミッタ電極と反対側に開口部を有する細孔と、前記複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成された細孔内に底面が前記エミッタ電極に接するように設置され、電子を電界放出するカーボンナノチューブと、前記細孔の開口部を被覆する、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)などの貴金属またはその合金によって形成される引き出し電極と、を備え、前記カーボンナノチューブは、前記エミッタ電極と前記陽極酸化膜と前記引き出し電極とに囲まれていることを特徴とする電子放出装置を提供する。
【0009】
請求項2記載の発明では、前記カーボンナノチューブから電界放出される電子は、前記引き出し電極を貫通して外部へ放出されることを特徴とする請求項1記載の電子放出装置を提供する。
請求項3記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の電子放出装置を複数並べたことにより構成されることを特徴とする電子放出装置を提供する。
【0010】
請求項4記載の発明では、前記複数並べられている電子放出装置を所定数ずつのブロックに分割し、この分割された各ブロック内の各電子放出装置の前記エミッタ電極と導通する駆動素子をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の電子放出装置を提供する。
請求項5記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いたことを特徴とする帯電装置を提供する。
【0011】
請求項6記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いたことを特徴とする直接描画方式の帯電装置を提供する。
請求項7記載の発明では、請求項5に記載の帯電装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0012】
請求項8記載の発明では、請求項6に記載の直接描画方式の帯電装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係る電子放出装置を示した図である。
電子放出素子である電子放出装置は、カーボンナノチューブ(以下、CNTと略する場合もある)10が陽極酸化膜11の細孔の中に保持されており、カーボンナノチューブ10の一端は、支持体13上のエミッタ電極12に接続され、負電圧が印加できる構造となっている。また、陽極酸化膜11の細孔の開口は、引き出し電極14で被覆された構造となっている。
電子放出装置のエミッタ電極12と引き出し電極14の間に電界をかけると、カーボンナノチューブ10の先端に負の高電界が印加され、カーボンナノチューブ10の先端から電界放出によって電子が放出される。さらに放出した電子は、開口を被覆した引き出し電極14によって引き出され、引き出し電極14を貫通して電子放出装置の外へ導かれる。
【0014】
本実施の形態のような構造によって、カーボンナノチューブ10は陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で完全に囲まれた構造となり、カーボンナノチューブ10は外気と完全に遮断される。ここで、陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で囲まれた領域、すなわち細孔の内部から酸素や水などのカーボンナノチューブ10を劣化させやすいガスを取り除くことによって、カーボンナノチューブ10が電界放出時に劣化することを防止することができる。
本実施の形態の電子放出装置によると、高真空状態、低真空や大気中でもカーボンナノチューブ10が外気と完全に遮断されているため、電界放出時のカーボンナノチューブ10の先端の劣化が著しく小さくなり、長期に渡って安定した電流が得られ、電子放出装置の長寿命化を実現することができる。
【0015】
次に、本実施の形態の電子放出装置の作製方法および各構成部材について説明する。
支持体13としては絶縁性、導電性、半導体性のいずれでも良く、例えば石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などが使用できる。その支持体13上に真空蒸着、スパッタ法などによって金属ないし合金を成膜してエミッタ電極12とする。
エミッタ電極12としては、種々の金属ないし合金が使用できるが、特にTi(チタン)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Zr(ジルコニウム)などを用いると以後の陽極酸化プロセスによっても表面の導電性が変化しないため、プロセスの簡便化を考えると好ましい。
【0016】
なお、前述以外の金属、合金を用い、極酸化プロセス後でエミッタ電極12の表面が不導化した場合においても、エミッタ電極12をライトエッチングすることによって導通化できるので、本実施の形態では特に前述の金属に限られるものではない。
なお、支持体13として金属を用いた場合、支持体13自体をエミッタ電極12とすることもでき、この場合には新たにエミッタ電極12を成膜しなくてもよい。その後、エミッタ電極12上に真空蒸着ないしスパッタ法によってアルミニウム膜を形成し、硫酸、過塩素酸、リン酸などの酸中でアルミニウム膜を陽極酸化することによって、陽極酸化膜11および陽極酸化膜中の細孔が作製できる。
【0017】
細孔の深さは、アルミニウム膜の膜厚で制御することができ、1〜数μm程度にするのが実用的である。また、細孔の直径は細孔中にカーボンナノチューブ10を形成することを考えると、100nm以下にするのが望ましく、細孔の直径が大きすぎる場合は良好なカーボンナノチューブ10が形成されにくい。
なお、エミッタ電極12としてアルミニウムを用いた場合、アルミニウムの表面側を陽極酸化して細孔を形成し、陽極酸化されなかった部分をエミッタ電極12として使用するようにしてもよい。
さらに支持体13としてアルミニウム金属を用いた場合、新たにエミッタ電極12を成膜せず、直接支持体13であるアルミニウム金属の一部を陽極酸化して細孔を形成し、陽極酸化されなかった支持体13の部分をエミッタ電極12として使用するようにしてもよい。
なお、陽極酸化膜11中の細孔がエミッタ電極12に達していない場合、陽極酸化後にリアクティブイオンエッチングやサイクロトロン共鳴イオンエッチング、イオンビームエッチングなどの指向性の良いエッチング法によって陽極酸化膜11全体をエッチングして細孔をエミッタ電極12に到達させるようにする。
【0018】
陽極酸化膜11および陽極酸化膜11中の細孔を形成した後、細孔の中にカーボンナノチューブ10を形成する。
カーボンナノチューブ10には、単層カーボンナノチューブと多層カーボンナノチューブがあり、単層カーボンナノチューブは直径が0.7〜5nm程度であり、長さは10nm〜1μmである。
一方、多層カーボンナノチューブは、直径が1〜500nmで、長さは5nm〜1mmであり、より合成しやすい大きさとしては直径が2〜50nmで、長さは1μm以上であり、単層、多層カーボンナノチューブともアスペクト比が非常に大きい極細の繊維形状をしている。
なお、本実施の形態のカーボンナノチューブ10は、前述の大きさの範囲に限定されるものではなく、直径が1μm未満のカーボンナノチューブであればよいとする。
【0019】
一般的に、カーボンナノチューブ10の合成法にはアーク放電法やレーザーアブレーション法、化学的気相成長法(以下CVD法と略す)があるが、本実施の形態で使用されるカーボンナノチューブ10は、陽極酸化膜11の細孔の中に配向を揃えて作製するため、CVD法によることが望ましい。
ここでCVD法とは、陽極酸化膜11の細孔の底部にFe(鉄)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)などの金属、ないしそれらの合金、または前述の金属の酸化物などの触媒層を設け、加熱などによって1nm〜数10nmのオーダーに触媒金属を微粒子化した後、CH4、C2H2、C2H4などの炭化水素ガスを導入し、600〜1200℃前後で炭化水素ガスの熱分解を行うことによって、触媒金属からカーボンナノチューブ10を成長させる方法である。
また、熱分解の他にホットフィラメントやマイクロ波プラズマやRFプラズマなどを使用して炭化水素ガスを分解してもよい。また、炭化水素ガスの代わりにCO2、COガスも使用でき、さらHeやAr、N2などのガスで炭化水素ガスを希釈して用いるようにしてもよい。
【0020】
作製されるカーボンナノチューブ10は、陽極酸化膜11の細孔に沿って成長するため、配向の揃ったものができ、電子放出装置としては大きな電流が得られる。
なお、カーボンナノチューブ10の直径は触媒の微粒子径によってある程度制御できるため、陽極酸化膜11の細孔径や触媒金属の微粒子化条件を最適化することにより、カーボンナノチューブ10の直径を制御するようになっている。
また、カーボンナノチューブ10の長さはCVD法の成長時間によって制御できる。なお、本実施の形態に用いられるカーボンナノチューブ10は、陽極酸化膜11の細孔の深さよりも短くなければならない。
CVD法によってカーボンナノチューブ10を作製した場合、触媒金属のない領域にはアモルファスカーボン(a−C)が析出する。このアモルファスカーボンは、カーボンナノチューブ10と比較して酸化温度が低いので、CVD法後に酸化雰囲気ないし大気中で600℃の熱処理を加えることによって、除去することができる。
【0021】
カーボンナノチューブ10を陽極酸化膜11の細孔中に形成した後、細孔の開口を引き出し電極14で被覆して、電子放出装置を完成させる。
ここで引き出し電極14は、カーボンナノチューブ10から引き出された電子がトンネル効果によって貫通する必要があるので、極力薄くすることが望ましい。引き出し電極14の作製法を考慮すると、10nm以下の膜厚とするのが実用的である。
引き出し電極14は直接外気と接触するため、酸化されにくい金属が望ましい。例えば、Au、Pt、Pdなどの貴金属ないしその合金によって構成すると、長期の使用においても引き出し電極は外気によっても酸化されず、電子放出装置として長期の信頼性が改善される。
【0022】
なお、本実施の形態の電子放出装置では、外気の圧力と陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で囲まれた領域の圧力の差が大きいと、引き出し電極14にかかる応力が大きくなり、引き出し電極14を劣化させる原因となる。これを回避するために、本実施の形態の電子放出装置を高真空状態で使用する場合、陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で囲まれた領域も高真空状態に保持しなけらばならない。これにより、陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で囲まれた領域(つまり細孔の内部)から酸素や水などのカーボンナノチューブ10を劣化させやすいガスを取り除くことができる。
このような構造を作製する場合、陽極酸化膜11中の細孔の斜め方向からの真空蒸着によって引き出し電極は形成し、細孔の開口を被覆するのがよい。例えば、細孔の直径が100nm以下であれば、Auの斜め蒸着によって開口を被覆することができる。
【0023】
なお、引き出し電極14の膜厚が厚くなった場合、真空蒸着後にライトエッチングやケミカルメカニカルポリッシングを行い、引き出し電極14を薄膜化すればよい。
また、本実施の形態の電子放出装置を低圧ないし大気圧で使用する場合、陽極酸化膜11と引き出し電極14、エミッタ電極12で囲まれた領域(つまり細孔の内部)にカーボンナノチューブ10を劣化させない、または劣化させにくいガス、例えばHe、Arなどのガスを外気の圧力と同程度まで充填するのがよい。
この場合、カーボンナノチューブ10を陽極酸化膜11の細孔の中に形成した後、上述のガス雰囲気を保持しながら、あらかじめ作製しておいたAu、Pt、Pdなどの貴金属ないし合金の薄膜を陽極酸化膜11に接着し、ケミカルメカニカルポリッシングなどによって貴金属ないし合金の薄膜を薄くして引き出し電極14とするのが好ましい。
【0024】
図1において、カーボンナノチューブ10および陽極酸化膜11中の細孔が各々4個示されているが、これに限られるものではなく、本実施の形態の電子放出装置においては、カーボンナノチューブ10および陽極酸化膜11中の細孔は1個でも複数でもよい。また、細孔の数よりもカーボンナノチューブ10の数が少なくても電子放出装置としては機能するため、カーボンナノチューブ10および陽極酸化膜11中の細孔の数は自由とすることができる。
以上のような方法で、例えば、支持体13が石英基板(大きさ3×10mm)、エミッタ電極12がTa膜厚0.2μm、陽極酸化膜11が膜厚1μm(Alをシュウ酸中で陽極酸化)、細孔が平均直径45nm(細孔間の距離105nmで2次元に配列)、CNT10が多層カーボンナノチューブ(Fe触媒とC2H2ガスで作製)、平均直径37nm、長さ平均0.4μm(細孔の95%以上に形成されていた)引き出し電極14がAu膜厚7nmである電子放出装置を作成することができる。
【0025】
なお、陽極酸化膜11、エミッタ電極12、引き出し電極14で囲まれた領域、すなわち細孔の内部はHeガスを1気圧で充填している。
この電子放出装置を大気中において、エミッタ電極12から引き出し電極14間に1.5kV、引出し電極14からアース間に150Vを印加し、電子放出装置から100μmの距離に対抗電極として蛍光体を塗布した透明電極を置き、対抗電極を接地すると、蛍光体の発光が確認され、10〜3Aの電流が得られた。
以上の結果から本実施の形態の電子放出装置が大気中で良好に動作することを確認することができる。また、40時間連続動作させた後においても、電流値は10%程度しか低下せず、長期安定性に優れていることも確認できる。
なお、この電流値の低下は作製したカーボンナノチューブ自体に起因するものであり、カーボンナノチューブの高品質化を実現することによって、長期安定性を改善することができる。
【0026】
次に、第2の実施形態について説明する。
図2は、第1の実施形態の電荷放出装置による帯電を示した図である。
第2の実施形態では、第1の実施形態で作製した電子放出装置を紙面から垂直の方向に23個並べて、個々のエミッタ電極および引き出し電極を外部回路で一体化し、A4判の短尺方向に相当する電子放出装置および、この電子放出装置からなる帯電装置を作製した。この帯電装置を感光体に近接させ、感光体の帯電を行う。なお、本実施の形態に用いた感光体は、有機感光体(以下、OPCという)であり、以下のような構造を有する。
まず、ドラム形状のAl基体上に酸化チタン微粒子をバインダー樹脂に分散させたホール注入阻止層をディップコーティング法により厚さ1〜5μmで形成し、その後電荷発生層(以下、CGLという)と電荷輸送層(以下、CTLという)からなる積層の有機感光層を形成する。
【0027】
CGLは、電荷発生材料(以下、CGMという)をプチラール樹脂、熱硬化型の変性アクリル樹脂、フェノール樹脂などのバインダー樹脂に分散させたものからなり、ディッピングコーティング法により厚さ0.1〜1μmで形成される。
CGMとしては波長740〜780nm付近に感度を持つスクエアリリウム色素、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、アズレニウム塩色素、およびアゾ顔料などが、635〜650nm付近に感度のあるチアピリリウム塩や多環キノン系、ペリレン系又はアゾ顔料系などが使用できる。
CTLは、ホールのキャリア輸送材料(以下、CTMという)をビスフェノール系ポリカーボネイト樹脂などのバインダー樹脂に分散させたものからなり、膜厚は10〜40μm程度でディッピングコーティング法によって形成される。
CTMとしてはオキサジアゾール誘導体、ピラリゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、オキサゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、ブタジエン誘導体などが用いられる。
【0028】
また、本実施の形態では、機能分離型のOPCを一例として説明を行ったが、機能分離型に限定されるわけではなく、単層型のOPCであってもよい。
さらに、本実施の形態では、ドラム形状のOPCであるが、これに限られるものではなく、Al基体の代わりに表面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状のOPCとしてもよく、シート状のOPCでもよい。また、本実施の形態で用いられる感光体は、OPCに限定される必要はなく、負帯電であればよいとする。例えば、a−SeやSe−Te系の無機感光体も使用してもよい。
なお、OPCのAl支持体は接地されており、OPCは150mm/sの速度で回転させているものとする。
OPCから60μmの距離に帯電装置を固定し、帯電装置のエミッタ電極から引き出し電極間に1.5kVを印加し、引出し電極からアース間に500V印加して、帯電装置から電子を放出させ、OPCの帯電を行う。
【0029】
OPCの表面電位(帯電電位)は、帯電装置から20mmの位置に表面電位計おいて測定し、帯電装置と反対の位置にLEDを設置してOPCの除電を行う。OPCの表面電位を測定した結果、帯電電位は450Vであり、現像に対し十分なマージンがあることを確認することができる。
また、引き出し電極からアース間の電位によってOPCの表面電位を制御できることも確認できる。なお、OPCをA4用紙60cpmに相当する速度で回転させた場合においても、OPCには十分な帯電がなされ、本実施の形態の電子放出装置をアレイ化した電子放出装置が電子写真方式の帯電装置として十分機能することが確認できる。
また、帯電時に発生するオゾンやNOxをガス検知器で定量した結果、エミッタ電極、引き出し電極の電位を最適化することによってオゾンやNOxを激減させることができることがわかる。これは各々の電極の電位を制御することによって、帯電装置から引き出される電子のエネルギーをオゾンやNOxが発生しないレベルまで下げることができるからである。
【0030】
なお、本実施の形態のアレイ化とは、第1の実施形態の電子放出装置を複数個作製し、実装工程で複数並べたものとして説明したが、A4判の短尺方向の長さを持つ1個の支持体上にA4判の短尺方向に相当する電子放出装置を並べたものも本実施の形態に含まれるものとする。
以上のように、本実施の形態のアレイ化した電子放出装置とは、実装工程で複数個の電子放出装置を並べたデバイスも、1個の支持体上に複数の細孔と複数のカーボンナノチューブを持つデバイスも合わせて第2の実施形態の帯電装置ということになる。
【0031】
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、第2の実施形態で作製された帯電装置を電子写真方式の複写機の帯電システムとして搭載し、テストチャートの複写を行う。帯電電位は900Vとし、磁気ブラシを用いジャンピング現像により潜像を顕在化し、転写装置によってコピー用紙に転写焼付けを行う。リファレンスは、コロトロンを搭載した複写機を用いた。
第2の実施形態の帯電装置を搭載した複写機で複写を行った結果、コロトロンを搭載した従来の複写機と同様の画像を得ることができた。また、感光体の帯電プロセス中に発生するオゾンやNOxを測定した結果、第2の実施形態で作製された帯電装置を搭載した複写機ではコロトロンの1/100〜1/1000となっており、環境への影響が小さいことが判明した。
【0032】
以上のように、本実施の形態の帯電装置を搭載した複写機は、オゾンやNOxを低減でき、かつ良好な画像記録を行うことができる。
また、本実施の形態の複写機で連続試験を行う場合、100時間までは複写された画像に顕著な変化は現われず、長期に渡って良好な画像が得られる。
なお、第1の実施形態と同様に帯電装置に用いたカーボンナノチューブを高品質化することによって、画像の劣化をさらに抑制することができる。
なお、第2の実施形態で作製された帯電装置を電子写真方式の複写機の帯電システムとして搭載するのみでなく、プリンタ、ファクシミリなどの画像記録装置、電子写真装置の帯電システムとして搭載してもよく、このような場合にも同様の効果が得られる。
【0033】
次に、第4の実施形態について説明する。
図3は、第4の実施形態に係る電子写真装置を示した図である。
第4の実施形態の電子放出装置は、カーボンナノチューブ40がアレイ化した陽極酸化膜41の細孔の中に保持されており、個々のカーボンナノチューブ40の一端は支持体43上の個別化したエミッタ電極42に接続され、負電圧が印加できる構造となっている。また、陽極酸化膜41の細孔の開口は共通化した引き出し電極44で被覆された構造となっている。
任意のエミッタ電極42と引き出し電極44の間に電界をかけることにより、任意のエミッタ電極42に接続されたカーボンナノチューブ40の先端のみに負の高電界が印加され、該当するカーボンナノチューブ40の先端から電界放出によって電子が放出される。放出した電子は、細孔の開口を被覆した共通化した引き出し電極44によって引き出され、引き出し電極44を貫通して電子放出装置の一部の場所、すなわち電子放出しているカーボンナノチューブ40が保持された細孔上に相当する場所から外へ導かれる。
【0034】
本実施の形態の電子放出装置の構造においても、第1の実施形態と同様にカーボンナノチューブ40は、陽極酸化膜41と引き出し電極44、エミッタ電極42で完全に囲まれた構造となり、カーボンナノチューブ40は外気と完全に遮断される。ここで、陽極酸化膜41と引き出し電極44、エミッタ電極42で囲まれた領域、すなわち細孔の内部から酸素や水などのカーボンナノチューブ40を劣化させやすいガスを取り除くことによって、カーボンナノチューブ40が電界放出時に劣化することを防止することができる。
さらに本実施の形態では、電子放出装置の任意の部分からのみ電子を取り出すことができるため、本実施の形態の電子放出装置を2次元にアレイ化することによりフィールドエミッション型のディスプレイ(以下、FEDという)の電子放出源などへ応用することができる。
【0035】
次に、第4の実施形態の電子放出装置の作製方法および構成部材について説明する。
支持体43としては絶縁性基板がよく、例えば石英、ガラス、セラミックスなどが使用できる。また、表面に絶縁層を設けた金属、シリコン基板なども使用できる。
なお、第5の実施形態において後述するが、本実施の形態の電子放出装置を直接描画方式の帯電装置やFEDに応用する場合、支持体43としてシリコン基板を用いると個々のエミッタ電極に電圧を印加する駆動素子および駆動素子を選択する制御回路を支持体43に作ることができ、より望ましい実施形態となる。
本実施の形態では、N型シリコン基板に酸化膜を被覆して支持体43とし、その支持体43上に真空蒸着ないしスパッタ法によって金属ないし合金を成膜してエミッタ電極42とする。
【0036】
エミッタ電極42としては種々の金属ないし合金が使用できる。本実施の形態では、陽極酸化プロセスでエミッタ電極42の表面導電性が低下することを防ぐため、Ti/AlSiCu/Tiの3層をスパッタ法で成膜する。
その後、Ti/AiSiCu/Tiを通常のフォトリソグラフィー法およびリアクティブイオンエッチング法によって個別化したエミッタ電極42とする。レジストを剥離後、エミッタ電極42上に真空蒸着ないしスパッタ法によってアルミニウム膜を形成し、硫酸、過塩素酸、リン酸などの酸中でアルミニウム膜を陽極酸化することによって、陽極酸化膜41および陽極酸化膜中の細孔を得ることができる。
細孔の深さは、アルミニウム膜の膜厚で制御することができ、1〜数μm程度にするのが実用的である。また、細孔の直径は細孔中にカーボンナノチューブ40を形成することを考えると、100nm以下にするのが望ましく、細孔の直径が大きすぎる場合は良好なカーボンナノチューブが形成されにくい。
【0037】
なお、図3では1個のエミッタ電極42上には1個の細孔が形成されているが、これに限られるものではなく、1個のエミッタ電極42上に複数の細孔を設けるようにしてもよい。
直接描画方式の帯電装置を作製する場合、エミッタ電極42はトナー粒子程度まで小さくすればよく、電極幅としては約40μmであれば非常に高制細な画像形成装置用の帯電装置として使用することができる。なお、1個のエミッタ電極42を大きさ40×40μmと仮定すると、エミッタ電極42上に200×200個以上の細孔が形成されることになる。FEDとして応用する場合も、画素面積に対応するだけの細孔を設ければよい。
陽極酸化膜41および陽極酸化膜41中の細孔を形成した後、細孔の中にカーボンナノチューブ40を形成する。カーボンナノチューブ40は、第1の実施形態と同様のものを使用することができ、本実施の形態では1Paの雰囲気で真空蒸着したNi微粒子を金属触媒として、C2H4をHeガスで希釈し、650℃のCVD法によって多層カーボンナノチューブを作製する。
【0038】
また、Ni触媒金属のない領域に発生したアモルファスカーボン(a−C)はCVD後に大気中で600℃の熱処理を加えることによって除去する。
本実施の形態において作製されるカーボンナノチューブ40は、陽極酸化膜41の細孔に沿って成長するため、配向の揃ったものができ、電子放出装置としては大きな電流を確保することができる。
また、カーボンナノチューブ40の長さはCVD法の成長時間によって制御でき、本実施の形態に用いられるカーボンナノチューブ40は、陽極酸化膜41中の細孔の深さよりも短くなければならない。
カーボンナノチューブ40を陽極酸化膜41の細孔中に形成した後、細孔の開口を引き出し電極で被覆すると、本実施の形態の電子放出装置が完成する。
【0039】
また、引き出し電極44はカーボンナノチューブ40から引き出された電子がトンネル効果によって貫通する必要があるので、極力薄くすることが望ましい。引き出し電極44の作製法を考慮すると、10nm以下の膜厚とするのが実用的である。
また、引き出し電極44は、直接外気と接触するために酸化されにくい金属が望ましく、例えばAu、Pt、Pdなどの貴金属ないしその合金によって構成すると、長期の使用においても引き出し電極は外気によっても酸化されず、電子放出装置としての長期の信頼性が得られる。
本実施の形態では、カーボンナノチューブ40を陽極酸化膜41の細孔の中に形成した後、He1気圧の雰囲気において、あらかじめ作製しておいたAu−Pt合金の薄膜を陽極酸化膜41に接着し、ケミカルメカニカルポリッシングによってAu−Pt薄膜を薄くして共通の引き出し電極とする。
【0040】
以上のような方法で、例えば、支持体43がN型シリコン基板(大きさ1×15mm)、個別のエミッタ電極42がTi/AiSiCu/Ti膜厚0.1/1/0.05μm、電極面積40×40μm、陽極酸化膜41の膜厚1μm(Alを硫酸中で陽極酸化)、細孔の平均直径40nm(細孔間の距離120nmで1個のエミッタ電極上に240×240個配列)、CNT40の多層カーボンナノチューブ(Ni触媒とC2H4ガスで作製)、平均直径33nm、長さ平均0.8μm(細孔の98%以上に形成されていた)、共通の引き出し電極44がAu−Pt膜厚5nmである電子放出装置を作製することができる。
なお、陽極酸化膜41、エミッタ電極42、引き出し電極44で囲まれた領域、すなわち細孔の内部はHeガスを1気圧で充填しているものとする。
【0041】
この電子放出装置を大気中において任意のエミッタ電極42〜引き出し電極44間に1.5kV、引出し電極44からアース間に300V印加し、電子放出装置から20μmの距離に対抗電極として蛍光体を塗布した透明電極を置き、対抗電極を接地すると、任意のエミッタ電極上の蛍光体にスポット状の発光が現われ、電子放出装置の任意の場所からのみ電子を放出させることができる。
また、電子放出装置の個別のエミッタ電極42をシフトレジスターに接続し、時系列で個々のエミッタ電極42に負電圧を印加すると、蛍光体上の発光点が順次移動することが確認できる。
なお、本実施の形態では、エミッタ電極42を個別化し、引き出し電極44を共通化したが、これに限られるものではなく、エミッタ電極42を共通化し、引き出し電極44を個別化するようにしてもよい。
【0042】
次に、第5の実施形態について説明する。
図4は、第5の実施形態の電子放出装置による帯電を示した図である。
本実施の形態では、電子放出装置に接続される駆動素子50、制御回路51を設け、さらに第4の実施形態によって作製した電子放出装置を紙面から垂直の方向に16個並べたA4判の短尺方向に相当する電子放出装置(直接描画用の帯電装置となる)と誘電体を利用する。
まず、駆動素子50、電子放出装置の作製法および制御回路との実装法について説明する。
N型シリコン基板にツインウエルを作製し、その後C−MOSからなる高耐圧のトランジスターからなる複数の駆動素子を作り込んだ後、プラズマCVD法によるSiO2膜によって駆動素子を被覆し、さらにフォトリソグラフィーおよびエッチングによってSiO2膜に複数のコンタクトホールを形成する。
【0043】
その後、第4の実施形態のようにSiO2膜上にエミッタ電極42、陽極酸化膜41、細孔、カーボンナノチューブ40、引き出し電極44を作製し、複数のコンタクトホールを介してエミッタ電極42と駆動素子50を導通させる。制御回路51を組み込んだLSIを表面実装し、駆動素子50と制御回路51を接続する。これにより、複数のブロックに分割され、個々のブロックに対応して駆動素子50を設けた電子放出装置が完成する。
なお、本実施の形態では、エミッタ電極42の大きさが40×40μmになっているので、ひとつのブロックには細孔、すなわちカーボンナノチューブ40による電子放出の点が240×240個入り、全体としてA4判短尺の長さがあることから、1個の帯電器は4000個以上のブロックに分割されていることになる。この電子放出装置を紙面から垂直の方向に16個並べ、A4判の短尺方向に相当する電子放出素子(直接描画方式の帯電装置となる)とする。なお、外部回路により16個の引き出し電極を共通化し、さらに16個分の制御回路51を統合する回路を別途に設け、A4判の帯電装置として動作するようになっている。
【0044】
また、図4において駆動素子50はブロック図で示されており、N型シリコン基板上に作り込まれていないように見えるが、この図は概念を示したものであり、実際はN型シリコン基板上に電子放出装置を構成するエミッタ電極42、陽極酸化膜41、細孔、カーボンナノチューブ40、引き出し電極44および駆動素子50が作り込まれ、制御回路51が表面実装されており、帯電装置として一体化しているものとする。
この帯電装置を被帯電体52に近接させ、被帯電体52に帯電を行う。なお、本実施の形態に用いた被帯電体52は、ドラム形状のAl基体上に誘電体層であるポリイミドを25μm厚さでディップコーティング法により成膜したものである。その他に使用できる誘電体層としては、SiO2、Si3N4などの無機絶縁膜や一般的な有機絶縁性樹脂などがある。
また、本実施の形態ではドラム形状の被帯電体52としたが、Al基体の代わりに表面に導電層を形成したベルトを採用し、ベルト状の被帯電体52としてもよく、シート状の被帯電体52でもよい。
なお、本実施の形態の誘電体のAl支持体は接地されており、被帯電体52は150mm/sの速度で回転させるものとする。
【0045】
被帯電体52から20μmの距離に帯電装置を固定し、制御回路51により複数の駆動素子50のうち任意の駆動素子50のみを連続的に動作させ、任意の駆動素子50に接続したエミッタ電極42にのみ連続的に1.2kVの負電圧を印加し、共通化した引出し電極44からアース間に150V印加し、被帯電体52を帯電させる。
その後、2次元のマトリックス状に被帯電体52の表面電位を測定すると、選択した駆動素子50に接続されたブロック上の被帯電体52の表面のみが被帯電体52の回転方向によって直線状に帯電する。
また、同様に任意の駆動素子50を時系列で動作させ、任意の駆動素子50に接続したエミッタ電極42に時系列の負電圧を印加し、共通化した引出し電極44からアース間に150V印加し、誘電体を帯電させると、動作させた駆動素子50に接続されたブロック上の被帯電体52の表面にスポット状の帯電を確認することができる。これにより、本実施の形態の帯電装置が直接描画方式の帯電装置として十分使用できることが確認できる。
【0046】
なお、本実施の形態でのアレイ化とは、第5の実施形態の電子放出装置を複数個作製し、実装工程で複数並べたものとして説明したが、A4判の短尺方向の長さを持つ1個の支持体43上にA4判の短尺方向に相当する電子放出装置を並べたものも本実施の形態に含まれるものとする。
以上のように、本実施の形態のアレイ化した電子放出装置とは、実装工程で複数個の電子放出装置を並べたデバイスも、1個の支持体上に複数の細孔と複数のカーボンナノチューブを持つデバイスも合わせて第5の実施形態の帯電装置ということになる。
【0047】
次に、第6の実施形態について説明する。
第6の実施形態では、電子写真方式のプリンタに第5の実施形態で作製した帯電装置を搭載し、感光体の変わりにポリイミド(厚さ25μm)/Al基体の被帯電体を載せて画像出力を行う。
本実施の形態で用いたプリンタでは、露光装置を停止し、制御回路に直接画像信号を入力し、磁気ブラシ現像により被帯電体の潜像を顕在化し、転写装置によってコピー用紙に転写焼付けを行う。なお、除電には除電ブラシを用いることとする。その結果、従来のプリンタの画像と比較すると、高精細な画像を得ることができ、これは従来のプリンタの露光器のスポット径よりも、本実施の形態の電子放出装置の1ブロックの大きさが小さいためである。
また、第6の実施形態で作製された帯電装置は、複写機、ファクシミリ、プリンターなどのあらゆる直接描画方式の画像記録装置においても使用することができる。なお、本実施の形態では一例として電子放出装置や駆動回路、制御回路を一体で作り込む場合について説明したが、これに限られるものではなく、本実施の形態では電子放出装置や駆動回路、制御回路を一体で作り込まずに別の基板に駆動回路、制御回路を作り、電子放出装置と接続するようにしてもよい。
【0048】
次に、第7の実施形態について説明する。
第6の実施形態では電子放出装置を1次元方向に長尺化し、帯電装置へ応用する場合について説明したが、第7の実施形態のように2次元に大面積化することによって、電子放出装置をFEDの電子放出源として使用することもできる。
FEDとして使用する場合、蛍光体を塗布した透明電極からなる対抗電極を電子放出素子から一定の位置に固定すればよい。
本実施の形態の電子放出装置をFEDの電子放出源としても使用した場合、カーボンナノチューブは陽極酸化膜、エミッタ電極、引き出し電極で囲まれた構造となるため、FEDのシールが不十分で合った場合でもFED内へ流入する大気によってもカーボンナノチューブが劣化することがなく、長期信頼性を高めることができる。また、FEDのシール工程を簡便化できることから、低コスト化を図ることもできる。
【0049】
以上のように、各実施形態の電子放出装置は、陽極酸化膜中の細孔にカーボンナノチューブが保持されている電子放出装置では、細孔の開口が引き出し電極で被覆されている。また、電子放出装置において、カーボンナノチューブから電界放出により引き出された電子が引き出し電極を貫通して電子放出素子の外部へ放出されるようになっている。
また、電子放出装置において引き出し電極がAu、Pt、Pdなどの貴金属ないしその合金によって構成されるようになっている。さらに、電子放出装置をアレイ化した帯電装置を構成することができる。
アレイ化した電子放出装置において、電子放出装置が複数のブロックに分割されており、個々のブロックに対応して駆動素子を設けることができる。また、帯電装置を電子写真方式の画像形成装置に搭載して利用することもできる。
さらに、電子放出装置をアレイ化することにより直接描画方式の帯電装置を構成することもでき、この直接描画用の帯電装置を直接描画方式の画像形成装置に搭載して利用することもできる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、カーボンナノチューブは、エミッタ電極と陽極酸化膜と引き出し電極とに囲まれているので、カーボンナノチューブは外気と完全に遮断され、陽極酸化膜と引き出し電極、エミッタ電極で囲まれた領域である細孔の内部から酸素や水などのカーボンナノチューブを劣化させやすいガスを取り除くことができ、カーボンナノチューブが電界放出時に劣化することを防止することができる。
【0051】
請求項2記載の発明では、カーボンナノチューブから電界放出される電子は、引き出し電極を貫通して外部へ放出されるので、トンネル効果によって貫通して電子放出装置の外部へ放出されることになり、電流の損失が小さく、大きな電流を得ることができる。
請求項3記載の発明では、引き出し電極が、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)などの貴金属またはその合金によって形成されるので、引き出し電極が直接接外気と接触しても酸化されにくく、長期に渡り良好な電子放出特性を維持することができる。
【0052】
請求項4記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の電子放出装置を複数並べたので、アレイ化した構造を持ち、比較的大きな電子放出面を持つことができ、その結果電子放出装置を帯電装置やFEDなどへ応用することができる。
請求項5記載の発明では、複数並べられている電子放出装置を所定数ずつのブロックに分割し、この分割された各ブロック内の各電子放出装置のエミッタ電極と導通する駆動素子をさらに備えたので、駆動素子のうち任意の駆動素子を動作させることによって、駆動素子に接続されたブロックのみに電圧を印加でき、電子放出素子の任意の一部からのみ電子を取り出すことができる。
【0053】
請求項6記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いて帯電装置としたので、感光体に対し十分な現像マージンを持って帯電することができ、引き出し電極の電位によって感光体の表面電位が制御できる。また、エミッタ電極、引き出し電極の電位を最適化することにより、帯電器から引き出される電子のエネルギーをオゾンやNOxが発生しないレベルまで下げることができ、その結果従来のコロトロンやスコロトロンと比較しオゾンやNOxは激減させることができ、帯電ローラ以下のオゾン、NOx発生量を実現することができる。
請求項7記載の発明では、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いて直接描画方式の帯電装置としたので、複数のブロックに分割され個々のブロックに対応して駆動素子を設けられた電子放出素子から構成されることにより、駆動素子のうち任意の駆動素子を動作させることができ、この駆動素子に接続されたブロックのみに電圧を印加し、電子放出素子の任意の一部からのみ電子を取り出すことができるので、被帯電体表面を小さなスポット状で帯電することができる。
【0054】
請求項8記載の発明では、請求項6に記載の帯電装置を搭載した画像形成装置であるので、感光体を良好に帯電でき、従来のコロトロンやスコロトロンを用いた画像形成装置と同等の画像出力が可能であり、画像出力時においては、従来のローラ帯電方式以下のオゾン、NOx発生量とすることができる。
請求項9記載の発明では、請求項7に記載の直接描画方式の帯電装置を搭載した画像形成装置であるので、帯電される最小のスポット径を小さくでき、その結果、1ピクセルのサイズを小さくできるため高精細の画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る電子放出装置を示した図である。
【図2】第1の実施形態の電子放出装置による帯電を示した図である。
【図3】第4の実施形態に係る電子放出装置を示した図である。
【図4】第4の実施形態の電子放出装置による帯電を示した図である。
【図5】従来の電子放出素子を示した図(1)である。
【図6】従来の電子放出素子を示した図(2)である。
【符号の説明】
10 カーボンナノチューブ(CNT)
11 陽極酸化膜
12 エミッタ電極
13 支持体
14 引き出し電極
Claims (8)
- 石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などによって構成される支持体と、
前記支持体の片面上に金属または合金を成膜することにより形成されたエミッタ電極と、
前記エミッタ電極上に所定の間隔で設置された複数のアルミニウム膜を硫酸、過塩素酸などの酸中で陽極化することにより形成された複数の陽極化膜と、
前記複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成され、前記エミッタ電極と反対側に開口部を有する細孔と、
前記複数の陽極化膜の各陽極化膜間に形成された細孔内に底面が前記エミッタ電極に接するように設置され、電子を電界放出するカーボンナノチューブと、
前記細孔の開口部を被覆する、Au(金)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)などの貴金属またはその合金によって形成される引き出し電極と、
を備え、
前記カーボンナノチューブは、前記エミッタ電極と前記陽極酸化膜と前記引き出し電極とに囲まれていることを特徴とする電子放出装置。 - 前記カーボンナノチューブから電界放出される電子は、前記引き出し電極を貫通して外部へ放出されることを特徴とする請求項1記載の電子放出装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の電子放出装置を複数並べたことにより構成されることを特徴とする電子放出装置。
- 前記複数並べられている電子放出装置を所定数ずつのブロックに分割し、この分割された各ブロック内の各電子放出装置の前記エミッタ電極と導通する駆動素子をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の電子放出装置。
- 請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いたことを特徴とする帯電装置。
- 請求項1、請求項2、請求項3のうちいずれか1に記載の電子放出装置を用いたことを特徴とする直接描画方式の帯電装置。
- 請求項5に記載の帯電装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項6に記載の直接描画方式の帯電装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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