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JP6278018B2 - 帯電装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description

本発明は、帯電装置及び画像形成装置に関し、特に、帯電に伴うオゾンや窒素酸化物などの放電生成物の発生を抑える技術に関する。
従来、電子写真の技術分野においては、帯電素子から電子を放出させて、静電潜像の形成に先立って感光体表面を帯電させる帯電装置が用いられる。
帯電素子としては、電子放出特性に優れる材料が好適である。電子放出材料としては、材料分子から比較的自由に外に飛び出すことのできる不対電子を比較的多く持ち、エネルギーの比較的小さな電界や熱などを加えることによって電子を放出することができるものが好ましい。
カーボンナノチューブ(CNT: Carbon Nanotube)やカーボンナノホーン、グラフェン、グラファイト等のsp2炭素が結合して形成されたsp2型カーボン物質や、ダイヤモンドといった所謂カーボン物質は高い電子放出特性を示すことから、近年、帯電素子にカーボンナノチューブを採用した帯電装置が検討されている。
例えば、電子写真の技術分野において主流になっているコロナ放電方式の帯電装置においては、櫛歯状や鋸歯状のコロナ電極の突起の先端部分にカーボンナノチューブを植毛したり、コロナ電極そのものを1本以上のカーボンナノチューブの紡績糸で組成したりする構成が提案されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
また、カーボンナノチューブを採用した電界放出(FE: Field Emission)方式の帯電装置も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。この提案は、絶縁膜に形成された細孔の開口部側に設けられた引出電極に電圧を印加し、当該細孔中に配設されたカーボンナノチューブから放電させることによって帯電を行うというものである。
これらのようにすれば、高い電子放出特性を有するカーボンナノチューブを帯電素子として利用することができる。
特開2006−084951号公報 特開2009−251601号公報 特開2002−279885号公報 特開2009−196873号公報 特開2013−216578号公報 井上 翼、「連続乾式紡績によるカーボンナノチューブ紡績糸」、日本画像学会誌 第53巻 第1号:71−76(2014)
しかしながら、帯電素子としてカーボンナノチューブを採用しても、コロナ放電方式は、1kV前後またはそれ以上の高電圧の印加が必要となることから、オゾンやNOx等の放電生成物を大量に発生する。電界放出方式においても、引出電極に1.5kVもの高電圧を印加する必要があり、やはり放電生成物の大量発生を免れることができない。
放電生成物は感光体等に付着して画質を劣化させるおそれがある。また、放電生成物が機外へ拡散するのを防止するためにはフィルター等が必要となるため、装置コストの上昇を招く、という問題がある。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、高い電子放出特性を示すカーボン物質を用いながら、放電生成物の発生を抑制することができる帯電装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る帯電装置は、被帯電体表面を帯電させる電界放出型の帯電装置であって、帯電素子と、前記帯電素子に電流を供給する給電手段と、電圧が印加されると電界を発生させて、前記帯電素子に放電させる引出電極と、を備え、前記帯電素子は、sp2型カーボン物質の単分子が複数本結合することによって形成されたフィラメントを、更に複数本結合されてなり、密度が0.4g/cm3以上であり、シート形状であることを特徴とする。
このようにすれば、sp2型カーボン物質の単分子が複数本結合することによって形成されたフィラメントを、更に複数本結合されてなり、密度が0.4g/cm3以上である帯電素子を用いるので、放電生成物の発生を抑制することができる。
この場合において、前記フィラメントは、直径が40nm以上、400nm以下の範囲内であるのが望ましく、前記sp2型カーボン物質の単分子は、分子長が0.8mm以上、2.1mm以下の範囲内であるのが好適である。
前記給電手段は、金属板であって、前記帯電素子は、前記金属板に受電可能に固定されていてもよい。また、前記sp2型カーボン物質はカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン及びグラファイトの何れかであるのが望ましい。
また、前記帯電素子に放電させる際に、当該帯電素子並びに前記引出電極に印加される電圧は、接地電位からの電位差が1kV以下であるのが好適である。
本発明に係る画像形成装置は、表面が一様に帯電した感光体を露光して静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像して得られたトナー像を記録シートに転写し、定着する画像形成装置であって、請求項1から10の何れかに記載の帯電装置を備え、本発明に係る帯電装置によって、前記感光体表面を一様に帯電させることを特徴とする。このようにすれば、上述のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。 帯電装置100の主要な構成を示す断面図である。 帯電装置100の主要な構成を示す断面図である。 CNT分子の製造装置の概略を示す図である。 図5は、CNT糸200aを製造する装置の概略を示す図であって、(a)は甘撚りCNT糸の製造装置を示し、(b)は合わせ撚りCNT糸の製造装置を示す。 CNT糸200aの電子顕微鏡写真である。 帯電素子200の評価実験に供したCNT分子の特性を一覧する表である。 CNT糸200aを用いた帯電素子200の評価結果を一覧する表である。 従来技術に係る帯電装置の評価結果を一覧する表である。 第2の実施の形態に係る帯電装置100の主要な構成を示す断面図である。 第2の実施の形態に係る帯電装置100の主要な構成を示す断面図である。 CNTシート1000の電子顕微鏡写真である。 CNTシート1000を用いた帯電素子200の評価結果を一覧する表である。
以下、本発明に係る帯電装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置は、帯電素子としてカーボンナノチューブ紡績糸(以下、「CNT糸」という。)を用いることを特徴とする。
(1−1)画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラー複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であって、原稿読取部110、画像形成部120及び給紙部140を備えている。原稿読取部110は、原稿台トレイ111に載置された原稿を自動原稿搬送装置(ADF: Automatic Document Feeder)112にて搬送しながら、光学的に読み取って画像データを生成する。画像データは後述の制御部122に記憶される。
画像形成部120は作像部121Y〜121K、制御部122、中間転写ベルト123、2次転写ローラー対124、定着装置125、排紙ローラー対126、排紙トレイ127、クリーナー128及びタイミングローラー対129を備えている。また、画像形成部120にはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)各色のトナーを供給するトナーカートリッジ130Y〜130Kが装着されている。
作像部121Y〜121Kは、それぞれトナーカートリッジ130Y〜130Kからトナーの供給を受けて、制御部122の制御の下、YMCK各色のトナー像を形成する。例えば、作像部121Yは、感光体ドラム131、帯電装置100、露光装置132、現像装置133及び清掃装置134を備えている。制御部122の制御の下、帯電装置100は感光体ドラム131の外周面を一様に帯電させる。露光装置132は画像データに応じて感光体ドラム131の外周面を画像露光して、静電潜像を形成する。
現像装置133は、感光体ドラム131の外周面にトナーを供給して、静電潜像を現像(顕像化)する。1次転写ローラー135には、転写電圧が印加されており、静電吸着により、感光体ドラム131の外周面上のトナー像を中間転写ベルト123に静電転写(1次転写)する。その後、清掃装置134は、クリーニングブレードにて残留トナーを掻き取る。
同様にして、作像部121M〜121KもまたMCK各色のトナー像を形成し、これらのトナー像は互いに重なり合うように中間転写ベルト123上に1次転写される。中間転写ベルト123は無端状の回転体であって、矢印A方向に回転走行し、1次転写されたトナー像を2次転写ローラー対124まで搬送する。
給紙部140は、それぞれ記録シートSを紙サイズ毎に格納する給紙カセット141を備え、画像形成部120に記録シートSを供給する。供給された記録シートSは、中間転写ベルト123がトナー像を搬送するのに並行して、1枚ずつ搬出され、タイミングローラー対129を経由して、2次転写ローラー対124まで搬送される。タイミングローラー対129は1対のローラーからなっており、記録シートSが2次転写ローラー対124に到達するタイミングを調整する。
2次転写ローラー対124は、電位差を有する1対のローラーからなっており、このローラー対は互いに圧接して転写ニップ部を形成している。この転写ニップ部において中間転写ベルト123上のトナー像が記録シートS上に静電転写(2次転写)される。トナー像を転写された記録シートSは定着装置125へ搬送される。また、2次転写後、中間転写ベルト123上に残った残留トナーは、更に矢印A方向に搬送された後、クリーニングブレード128によって掻き取られ、廃棄される。
定着装置125はトナー像を加熱、溶融して、記録シートSに圧着する。トナー像を融着された記録シートSは排紙ローラー対126によって排紙トレイ127上に排出される。なお、制御部122は、上記並びに不図示の操作パネルを含む画像形成装置1の動作を制御する。また、制御部122は、パーソナルコンピューター(PC: Personal Computer)など、他の装置との間で画像データを送受信したり、ジョブを受け付けたりもする。
なお、トナー像を転写するに当たっては、転写ローラーに代えて転写チャージャーや転写ベルトを用いても良い。また、中間転写ベルト123上の残留トナーを除去する際に、クリーニングブレード128に代えて、クリーニングブラシやクリーニングローラー等を用いても良い。
(1−2) 帯電装置100の構成
次に、帯電装置100の構成について説明する。
図2は、帯電装置100の主要な構成を示す断面図であって、感光体ドラム131の回転軸に垂直な断面における断面図である。図3も、帯電装置100の主要な構成を示す断面図であるが、感光体ドラム131の回転軸に平行な断面における断面図である。
帯電装置100は、いわゆる電界放出方式の帯電装置であって、帯電素子200、支持部材201、メッシュ状の引出電極201及びシールドケース202を備えている。
帯電素子200は、CNT糸200aをエポキシ樹脂200bにて支持部材200cに固定したものであって、CNT糸200aの両端は支持部材200cに電気的に接続されている。CNT糸200aは、直径30μm以上であるのが好ましい。また、直径120μm以上のCNT糸200aを用いることも可能であるが、製造に要する時間やコストを考慮すると120μm以下であるのが好適である。
支持部材200cはSUS(Stainless Use Steel)304からなっており、導電性を有している。CNT糸200aは支持部材200cを経由して不図示の電流源から帯電素子印加電流Iemの供給を受ける。
なお、CNT糸200aは、空気中の酸素と接触すると、電流の供給状態によっては、酸化や燃焼が促進されるおそれがある。このような問題に対して、本実施の形態のように、CNT糸200aの支持部材200c側をエポキシ樹脂200bで被覆すれば、CNT糸200aが空気中の酸素と接触するのを抑制することができる。従って、CNT糸200aの長寿命化を図ることができる。なお、後述の評価実験においては、酸化や燃焼によるCNT糸200aの劣化は確認されなかった。
引出電極201は、SUS304からなるスクリーンメッシュであって、メッシュ線径が0.1mmで、メッシュ線間の間隔が1mmである。帯電素子200から引出電極201までの距離は2mmから3mmまでの範囲内になっており、引出電極201から感光体ドラム131までの距離は3mmから5mmまでの範囲内になっている。
引出電極201に引出電極印加電圧Vexを印加すると、帯電素子200の周辺に電界が発生して、帯電素子200から電子が放出される。放出された電子は、メッシュ形状の引出電極201の隙間を通過して感光体ドラム131の外周面に導かれる。引出電極201の形状は、メッシュ形状の他、グリッド形状などであってもよい。
シールドケース202は、SUS430を用いた鋼板をコの字形に折り曲げて形成されており、帯電素子200を三方から外囲する一方、感光体ドラム131に対向すべき側には開口を有している。シールドケース202は、引出電極印加電圧Vexを印加されることによって、帯電素子200の周囲の電界を安定させる。なお、シールドケース202に用いる材料は、十分な寸法精度で加工できさえすればよく、SUS430以外の金属材料やプラスチック等の樹脂材料を用いてもよい。
(1−3)帯電素子200の構成
次に、帯電素子200、特にCNT糸200aの構成について説明する。
CNT糸200aは、上述のようにCNTフィラメントからなっており、CNTフィラメントはsp2型カーボン物質であるCNT分子がファンデルワールス力で結合したものである。本実施の形態においては、CNT分子として多層CNT(MWCNT: Multi-walled Carbon Nanotube)分子を用いる。
単層CNT分子は、グラファイトを形成しているシート状炭素層であるグラフェンを円筒状に丸めた構造となっている。複数の単層CNT分子を、断面が同心円状になるように入れ子構造にしたものが多層CNT分子である。多層CNT分子は、化学的に安定しており、機械的強度が高く、かつ良導電性である等の性質を有している。
(a)CNT分子
本実施の形態においては、CNT分子として単分子の直径が約40nmで長さが0.8mm以上であるものを用いている。単分子長が0.8mm以上であるCNT分子は、電子放出特性が優れており、後述のように、引出電極印加電圧Vexを高くしなくても十分な電子を放出させることができる。従って、放電生成物の発生を抑制することができる。
また、スタントン−ポッツの仮説(Stanton-Pott hypothesis)によれば、直径0.031μm以上、2μm以下で、かつ長さ1.25μm以上、40μm以下の繊維状物質は発がん性などの有害性が認識されており、特に直径0.25μm、長さ20μm程度で有害性が最大となる。この意味において、単分子長が0.8mm以上であるCNT分子を用いれば有害性の懸念を回避することができる。
本実施の形態に係るCNT分子は、例えば、特許文献4、5に記載された製造方法を用いて製造することができる。図4は、当該製造方法を用いたCNT分子の製造装置の概略を示す図である。図4に示されるように、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置410は電気炉412を備えており、電気炉412内には石英管414が通されている。また、石英管414の周囲にはヒータ416、熱電対418が配設されている。
石英管414の一方には、ガス供給部422が接続されており、石英管414の他方には圧力調整バルブ423及び排気部424が接続されている。制御部420は、排気部424を制御することによって石英管414内を真空排気し、ヒータ416により石英管414内を触媒426が昇華する温度に昇温させた後、ガス供給部422によりアセチレンガス430を石英管414に流入させる。
これにより触媒426とアセチレンガス430とが気相反応すると、石英基板428上にCNT分子が垂直に配向成長する。なお、触媒426は塩化鉄であって、塩化第一鉄と塩化第二鉄との少なくとも一方を含んでいる。
(b)CNTフィラメント
CNTフィラメントは、CNT分子が複数、縦及び横方向にファンデルワールス力で結合したフィラメントである。CNTフィラメントの直径は、40nm以上で400nm以下の範囲であるのが好適である。直径が400nmを超えると、CNT糸200aの密度や電子放出特性が低下して、放電生成物が増加する傾向がある。
CNTフィラメントは、例えば、非特許文献1に記載されているように、上述の石英基板428上で垂直に配向成長したCNT分子を乾式紡績(ドライスピニング)によって次々と引き出すことによって得ることができる。このようにすれば、CNT分子どうしが互いに長さ方向にずれた状態で結合することによって、CNTフィラメントが形成される。CNT分子どうしは強いファンデルワールス力で結合されるため、撚りを加えなくても紡績できる。
(c)CNT糸200a
CNTフィラメントに撚りを加えてCNT糸200aを作成するためには、例えば、非特許文献1に記載されているように、デスクトップの紡績システムを利用してもよい。図5(a)に示されるように、石英基板428を固定台501上に設置し、移動台502上にはスピンドル503を設置する。固定台501に対して移動台502を後退させながら、スピンドル503を回転させることによって、CNT糸500が紡績される。
CNT糸500の密度は、スピンドル503の回転速度と引き出し速度とを調節することによって調節される。典型的な回転速度は毎分32,000回転で、引き出し速度は毎秒120mmである。この場合、CNTフィラメントが5mm幅ならば撚り角度は25°程度になる。
また、甘撚りしたCNT糸500を更に合わせ撚りしてもよい。図5(b)に示されるように、甘撚りしたCNT糸500が複数本用意され、各一端に負荷511が固定され、他端は縦型のスピンドルに取り付けられる。スピンドル512は鉛直上方に滑動する移動台513上に設置されている。また、CNT糸500どうしが絡まないようにガイド514、515が設けられている。
スピンドル512は移動台513の滑動に従って、上方へ移動しながら、CNT糸500を撚り合わせる。典型的なスピンドル回転数は毎分240回転で、引き上げ速度は毎秒1mmである。この場合において、負荷511の重量が大きいほど撚り合わせたCNT糸200aの重量密度、引張強度及びヤング率が向上する。
図6は、走査型電子顕微鏡(SEM: Scanning Electron Microscope)を用いてCNT糸200aを撮影した写真である。図6から、CNT分子が撚り合わされてCNT糸200aを構成していることが分かる。
CNT糸200aは断面がほぼ円形となっており、電子顕微鏡写真からCNT糸200aの直径も知ることができる。併せてCNT糸200aを長さと重量を計測すれば、CNT糸200aの密度を算出することができる。比較的作成が容易なCNT糸200aの密度は0.4〜1.6g/cm3であり、後述するCNTシートについても同様である。
CNT糸200aや後述のCNTシートはCNTフィラメントが多数結合して形成されており、各CNTフィラメントの末端は髭状の自由端になっており、CNT糸200aやCNTシートの各所から突出している。CNTフィラメントの末端はCNT分子の末端が突出した形状となっており、引出電極に電圧が印加されると、CNT分子の当該末端から電子が放出されるものと考えられる。
(1−4)帯電素子200の特性
次に、望ましい特性を有する帯電素子200の要件を決定するために、様々なCNT糸200aを用いて帯電素子200の電子放出特性とオゾン発生量を計測する評価実験を行ったので、その結果について説明する。
(a)CNT分子
本実験には、分子長の異なるCNT1からCNT4までの4種類のCNT分子からなるCNT糸200aを用いた。図7に示されるように、これらのCNT分子は、生成時におけるアセチレンガスの流量やCVD条件が異なっており、その結果、分子長が0.5mmから2.1mmまでの範囲で異なっている。CNT分子の直径は何れも40nmである。
CNT分子の直径及び長さは石英基板428上に形成されたCNT単分子アレイを、走査型電子顕微鏡を用いて観察することにより測定した。
(b)実験装置
電子放出特性の計測に際しては、画像形成装置1から作像部121を取り出して、感光体表面電位測定治具にセットした状態で、引出電極印加電圧Vex並びに帯電素子印加電流Iemを外部電源から徐々に印加して、感光体表面電位V0が−500V±5Vの範囲内になる引出電極印加電圧Vex、帯電素子印加電流Iem及び感光体表面電位V0を計測した。計測時の環境温度は23±2℃、相対湿度は60±5%であった。
なお、帯電素子200に印加された帯電素子印加電圧Vemも計測したところ、引出電極印加電圧Vexとほぼ同じ値であることが確認された。作像部121としては、コニカミノルタ株式会社製Bizhub 554e(Bizhubはコニカミノルタ株式会社の登録商標)のドラムカートリッジに本実施の形態に係る帯電装置100を搭載したものを用いた。
オゾン発生量の計測に際しては、気温23±2℃、相対湿度60±5%に調節した内容積2.1m3のチャンバー内に画像形成装置1を設置し、B/W比10%のハーフトーン画像を連続印刷させて、運転開始後30分経過後から10分間の平均濃度をオゾン濃度計MODEL−1200(ダイレック社製)にて測定した。画像形成装置1としては、コニカミノルタ株式会社製Bizhub 554eのドラムカートリッジに本実施の形態に係る帯電装置100を搭載し、オゾンフィルターを取り外したものを用いた。
本実験においては、電子放出特性やオゾン発生量に併せて、CNTフィラメントの直径とCNT糸200aの直径及び密度も測定した。
CNTフィラメント及びCNT糸の直径は、走査型電子顕微鏡を用いて観察することによって計測した。CNT糸の密度は、まず、CNT糸の重量をマイクロ電子天秤により測定し、SEM観察より測定した直径及びスケールで測定した長さより断面積、体積を求めることによって、CNT糸の密度を算出した。
また、CNT糸の炭素純度は、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線分光法(EDX: Energy Dispersive X-ray Spectroscope)とを併用したSEM−EDX分析によって定性・定量分析を行った。
(c)対照実験
対照実験として、従来技術に係る帯電装置についても帯電特性とオゾン発生量とを計測した。
従来技術に係る帯電装置としては、コロナ放電方式の帯電装置であるスコロトロン帯電装置とローラー帯電方式の帯電装置とを用いた。
コロトロン、スコロトロンといったコロナ放電を用いたコロナ放電方式は大気圧雰囲気下で絶縁破壊が発生するほどの強電界をかけることから、オゾンやNOx等の放電生成物を大量に発生する。また、4〜6kVの高圧電源が必要なためコストが高く、省エネルギーの要請にそぐわない。
ローラー帯電方式は、導電性ゴムからなる帯電ローラーを感光体と接触させ感光体と帯電ローラーの微小空隙で放電を起こし感光体表面を帯電させる方法であり、コロナ放電方式に対しオゾン濃度を1/100程度まで低減することができる。ローラー帯電方式には、帯電ローラーに直流電圧のみを印加する直流印加方式と、直流電圧に交流電圧を重畳させて印加する重畳印加方式との2つの方式がある。直流印加方式では、帯電ローラーと感光体との接触ムラや帯電ローラー表面での抵抗ムラに起因して斑状の帯電ムラが発生し、感光体表面を均一に帯電できないといった問題がある。重畳印加方式では、帯電ムラは解決できる一方、直流印加方式よりもオゾン濃度が増加する傾向にある。
対照実験に用いたスコロトロン帯電装置は、感光体ドラムに対向する箇所に開口を有するケーシング内にコロナ電極を設置し、当該開口にグリッド電極を配設した構成となっている。このようなスコロトロン帯電装置を用いて、感光体ドラムの外周面を−500V±5Vに一様帯電させることができるグリッド電極電圧Vg、コロナ電極電圧Vc及びコロナ電極の通電量Icを計測した。また、ローラー帯電装置については、帯電ローラーの印加電圧Vcを計測した。
(d)実験結果
図8に示されるように、HC1からHC8までの8つの条件で実験を行ったところ、実験条件HC1からHC6までについては、−600Vという低い引出電極印加電圧Vexで感光体ドラム131の外周面をほぼ一様に帯電させることができた。感光体表面電位V0は−500±5Vであった。また、オゾン発生量は0.01ppm以下で、オゾンフィルターが不要なレベルであった。従って、オゾン以外の放電生成物についても発生量を抑制できていると推察される。
従来技術に係る帯電装置では、図9に示されるように、グリッド電極電圧Vgとコロナ電極電圧Vcとの電圧差や、帯電ローラーの印加電圧Vcが−1kV以上になっており、高電圧を印加する必要がある。また、オゾン発生量は0.01ppm以上と多くなっている。
実験条件HC7は、甘撚りしたCNT糸200aを用いた場合であり、CNT糸200aの直径が小さく、密度が低いため、CNT糸200aが切れ易くなる。従って、帯電素子200を組み立てるのが難しくなったり、帯電素子200を組み立てることができてもCNT糸200aに帯電素子印加電流Iemを流そうとするとCNT200aが切れたりしたため電子放出特性やオゾン発生量を評価することができなかった。
従って、CNT糸200aの直径が15μm以下であったり、密度が0.35g/cm3以下であったりするCNT糸200aは帯電素子200に用いることが難しいと考えられる。実験条件HC1からHC6の場合を考慮すれば、CNT糸200aの直径は30μm以上、密度は0.4g/cm3以上であるのが帯電素子200として望ましい。
実験条件HC8では、分子長が短いCNT分子(図7のCNT4)を用いており、CNTフィラメントの直径は450nmまでと太く、CNT糸200aの密度は0.30g/cm3と低くなっている。この場合には、帯電素子印加電流Iemが−200μAと、実験条件HC1からHC6までと比較して多くなっているが、感光体ドラム131の外周面を感光体表面電位V0が−500±5Vになるように一様に帯電させることができた。
オゾン濃度は、0.02ppmになっており、実験条件HC1からHC6までと比較して高くなっているものの、オゾンフィルターを設けなくてもよいレベルに留まっている。
なお、実験条件HC8では、電子放出特性やオゾン発生量を測定した後、画像形成を10分から15分程度連続実行するとCNT糸200aが切れた。これはCNT200aの密度が低いことが原因であると考えられる。CNT分子の分子長が短く、且つCNT糸200aの密度が低い場合に、帯電素子印加電流Iemを流し続けると、CNT分子どうしの結合がほぐれて、CNT200aが切断するに至ったものと考えられる。言うまでもなく、CNT200aが切断した後は、帯電を継続することができない。
以上のように、CNT糸200aの密度は0.4g/cm3以上であるのが望ましく、CNT糸200aの直径は30μm以上、120μm以下であるのが好適である。CNT糸200aを構成するCNTフィラメントの直径は40nm以上、400nm以下の範囲内であるのがよく、CNT分子の分子長は0.8mm以上、2.1mm以下の範囲内であるのが好ましい。
このようにすれば、引出電極印加電圧Vexの絶対値を1kV以下に抑えることができるので、オゾン等の放電生成物の発生を抑えることができる。従って、オゾンフィルターが不要になる。また、CNT糸200aを用いた帯電装置200の耐久性を高めることができる。
[2]第2の実施の形態
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置と概ね共通の構成を備える一方、帯電素子としてCNT糸に代えてカーボンナノチューブシート(以下、「CNTシート」という。)を用いる点において相違している。以下、主として相違点に着目して説明する。なお、実施の形態間で共通する部材には同じ符号が付与されている。
(2−1) 帯電装置100の構成
まず、本実施の形態に係る帯電装置100の構成について説明する。
図10は、帯電装置100の主要な構成を示す断面図であって、感光体ドラム131の回転軸に垂直な断面における断面図である。図11も、帯電装置100の主要な構成を示す断面図であるが、図10における矢印A方向から見た感光体ドラム131の回転軸に平行な断面における断面図である。
帯電素子200は、長尺のCNTシート1000をエポキシ樹脂200bにて支持部材200cに接着したものであって、CNTシート1000は支持部材200cに電気的に接続されている。CNTシート1000の先端から引出電極201までの距離は2mmから3mmまでの範囲内になっている。
帯電素子200を組み立てる際には、まずエポキシ系接着剤にてCNTシート1000を被覆して硬化させる。その後、硬化したエポキシ樹脂200bの感光体ドラム131に対向する先端部分を切り取ることによって、CNTシート1000の端部を露出させる。帯電時には、CNTシート1000の露出箇所から電子が放出される。
本実施の形態においても、CNTシート1000をエポキシ樹脂200bで被覆することによって、CNTシート1000が空気中の酸素と接触するのが抑制されるので、CNTシート1000の長寿命化を図ることができる。なお、後述の評価実験においては、酸化や燃焼によるCNTシート1000の劣化は確認されなかった。
(2−2)帯電素子200の構成
次に、帯電素子200、特にCNTシート1000の構成について説明する。
本実施の形態においては、浜松カーボニクス株式会社製のカーボンナノチューブシートワインダー(Carbon Nanotube Sheet Winding Machine)を用いてCNTシート1000を作成した。当該カーボンナノチューブワインダーは、石英基板428上で垂直に配向成長したCNT分子からCNTシート1000を作成する。
カーボンナノチューブワインダーの動作モードにはシートモードやテープモード等があり、CNTシート1000の形状に合った動作モードを選択することができる。また、層数を指定することによってCNTシート1000の単位面積当たりの重量を調節することができる。
図12は、走査型電子顕微鏡を用いてCNTシート1000を撮影した写真である。図12から、CNTシート1000におけるCNTフィラメントの配向状態が観察される。
(2−3)帯電素子200の特性
次に、様々なCNTシート1000を用いて帯電素子200の電子放出特性とオゾン発生量を計測する評価実験を行ったので、その結果について説明する。
CNTシート1000を構成するCNT分子としては、図7に示されたCNT分子からCNT2とCNT4を選択した。また、使用した実験装置は上記第1の実施の形態と概ね同じであるが、帯電装置200にCNTシート1000が用いられている点が異なっている。
実験結果は次の通りである。
図13に示されるように、HC11、HC12の2つの条件で実験を行った。実験条件HC11では、−600Vという低い引出電極印加電圧Vexで感光体ドラム131の外周面をほぼ一様に帯電させることができた。オゾン発生量は0.005ppmであり、放電生成物の発生を抑制できたと推察される。
実験条件HC12では、CNT分子の分子長が短く、CNTフィラメントの直径は450nmまでと太く、CNTシート1000の密度は0.25g/cm3と低くなっている。この場合には、帯電素子印加電流Iemが−200μAと、実験条件HC11と比較して多くなっているが、感光体ドラム131の外周面を一様に帯電させることができた。
オゾン濃度は、0.02ppmになっており、実験条件HC11と比較して高いが、オゾンフィルターは不要である。
なお、実験条件HC12では、上記第1の実施の形態における実験条件HC8と同様に、画像形成を連続実行するとCNTシート1000が部分的に断裂した。原因は実験条件HC8と同様であると考えられる。CNTシート1000が断裂すると、感光体ドラム131の外周面を一様に帯電させることができなくなる。
上記第1の実施の形態における実験結果と併せて検討した結果、CNTシート1000においても密度は0.4g/cm3以上であるのが好適である。CNTシート1000を構成するCNTフィラメントの直径は40nm以上、400nm以下の範囲内であるのがよく、CNT分子の分子長は0.8mm以上、2.1mm以下の範囲内であるのが好ましい。
このようにすれば、引出電極印加電圧Vexの絶対値を1kV以下に抑えることができるので、オゾン等の放電生成物の発生を抑えることができる。また、CNTシート1000を用いた帯電装置200の耐久性を高めることができる。
[3]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)上記実施の形態においては、帯電素子200にカーボンナノチューブを用いる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、カーボンナノチューブに代えてカーボンナノホーン、グラフェン、グラファイト等のsp2型カーボン物質やダイヤモンドを用いてもよい。
帯電素子としては、電子放出特性に優れる電子放出材料が好適である。電子放出材料としては、分子から比較的自由に外に飛び出すことのできる不対電子を比較的多く持ち、比較的小さなエネルギー(電界、熱など)によって電子を放出する性能を有するものが好ましい。
材質の電子放出特性を表す仕事関数の低い物質が電子放出材料に適しており、仕事関数が5eV以下のものがよく用いられている。上述のようなsp2型カーボン物質は炭素のみからなるカーボン単体材料であるため、仕事関数は4〜5eVと他の電子放出材料と比較し特に低い値ではない。
しかしながら、分子径に対する分子長の比であるアスペクト比が高く、電子放出部位がナノサイズで極小であるといった他の電子放出材料にない特徴的な構造を有するsp2型カーボン物質は、高い電子放出特性を示す。このため、帯電素子にsp2型カーボン物質を採用すれば引出電極印加電圧Vexを低く抑えることができるので、放電生成物の発生を抑制することができる。
(2)上記実施の形態においては、帯電素子200にCNT糸200aとCNTシート1000とを適用する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、糸やシート以外の形状に成形されたカーボンナノチューブを用いてもよい。例えば、ブラシ形状としてもよいし、フェルト形状のように立体的な形状としてもよい。
(3)上記実施の形態においては、エポキシ系接着剤を用いてCNT糸200aやCNTシート1000を支持部材200cに取り付ける場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、支持部材200cに固定したCNT糸200aやCNTシート1000をエポキシ系接着剤に代えてポリイミドテープやフッ素樹脂テープなどの絶縁性テープで被覆してもよい。
CNT糸200bやCNTシート1000は、印加電流、使用時間などの電流印加条件よっては、CNT分子間のファンデルワールス力による結合が切れ、糸やシートがほぐれた状態となり、やがては糸が切断したり、シートが部分断裂したりする恐れがある。
このような問題に対して、上述のように、CNT糸200bやCNTシート1000を被覆すれば、切断や断裂を防止して、帯電素子200を長寿命化することができる。
なお、画像形成装置1が廉価機種である場合などのように帯電素子200の長寿命化を考慮する必要がない場合や、次に述べるように、帯電素子200周辺が低酸素又は無酸素状態にある場合には、CNT糸200aの両端のみを支持部材200cに接着固定することによって、CNT糸200aを支持部材200cに張架してもよい。
(4)上記実施の形態においては、引出電極201の隙間が通気できる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、シールドケース202を気密性にしてもよい。
具体的には、帯電素子200から放出される電子は通過させるが、酸素分子は通過することができないフィルムを用いてシールドケース202を被覆することによって、シールドケース202を密閉し、シールドケース202の内部を低真空状態にしたり、不活性ガスを封入したりしてもよい。
このようにすれば、帯電素子200周辺を無酸素状態、若しくは低酸素状態にすることができるので、帯電素子200に用いられているCNT糸200aやCNTシート1000が、空気中の酸素と接触によって酸化や燃焼を促進されるのを防止することができる。
(5)上記実施の形態においては、画像形成装置1がタンデム型のカラー複合機である場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、タンデム型以外のカラー複合機に本発明を適用してもよいし、モノクロ複合機であってもよい。また、プリンター装置や、スキャナーを備えた複写装置、更にファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置に本発明を適用しても上述のような効果を得ることができる。
本発明に係る帯電装置及び画像形成装置は、帯電に伴うオゾンや窒素酸化物などの放電生成物の発生を抑えた装置として有用である。
1…………画像形成装置
100……帯電装置
200……帯電素子
201……支持部材
201……引出電極
202……シールドケース
200a…CNT糸
200b…エポキシ樹脂
200c…支持部材
1000…CNTシート

Claims (7)

  1. 被帯電体表面を帯電させる電界放出型の帯電装置であって、
    帯電素子と、
    前記帯電素子に電流を供給する給電手段と、
    電圧が印加されると電界を発生させて、前記帯電素子に放電させる引出電極と、を備え、
    前記帯電素子は、
    sp2型カーボン物質の単分子が複数本結合することによって形成されたフィラメントを、更に複数本結合されてなり、
    密度が0.4g/cm3以上であり、
    シート形状である
    ことを特徴とする帯電装置。
  2. 前記フィラメントは、直径が40nm以上、400nm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
  3. 前記sp2型カーボン物質の単分子は、分子長が0.8mm以上、2.1mm以下の範囲内である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の帯電装置。
  4. 前記給電手段は、金属板であって、
    前記帯電素子は、前記金属板に受電可能に固定されている
    ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の帯電装置。
  5. 前記sp2型カーボン物質はカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン及びグラファイトの何れかである
    ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の帯電装置。
  6. 前記帯電素子に放電させる際に、当該帯電素子並びに前記引出電極に印加される電圧は、接地電位からの電位差が1kV以下である
    ことを特徴とする請求項1からの何れかに記載の帯電装置。
  7. 表面が一様に帯電した感光体を露光して静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像して得られたトナー像を記録シートに転写し、定着する画像形成装置であって、
    請求項1からの何れかに記載の帯電装置を備え、
    前記帯電装置によって、前記感光体表面を一様に帯電させる
    ことを特徴とする画像形成装置。
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