JP4132896B2 - 水素供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素消費機器、例えば燃料電池、水素エンジン等へ水素を供給するための水素供給装置に関し、更に詳しくは、芳香族化合物を水素化した水素誘導体からなる液体燃料から脱水素反応により水素を生成して水素消費機器へ供給する水素供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車の動力源等として固体高分子型の燃料電池(PEFC)が注目されている。固体高分子型の燃料電池(PEFC)は、常温でも発電することが可能であり、様々な用途に実用化されつつある。
【0003】
固体高分子型の燃料電池(PEFC)は、固体高分子電解質膜を挟んで一方側にカソード極を区画し、他方側にアノード極を区画して構成されており、カソード極に供給される空気中の酸素と、アノード極に供給される水素との電気化学反応によって発電する。
【0004】
このような燃料電池を搭載した燃料電池自動車が燃料となる水素を車両側で確保する方法としては、
(1)液体水素、あるいは高圧水素等の純水素を用いて、液体水素タンク、高圧タンク、あるいは水素吸蔵合金などの水素貯蔵材に水素補給を行う方法(純水素式)、
(2)炭化水素を用い、例えば、メタノール水溶液を水蒸気改質等により水素生成を行う改質式や水素化芳香族化合物、例えばシクロヘキサンやデカリンから脱水素反応により水素を取り出す方法、
等が挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの燃料電池自動車の燃料となる水素を車両側で確保する方法のうち、水素化芳香族化合物系のケミカルハイドライド、例えば飽和縮環化合物から水素を取り出す方法は、以下のような問題があった。すなわち、脱水素反応後の生成物が常温で固体で存在する化合物、例えば、デカリンの脱水素化合物であるナフタレン等は、運転停止持に回収タンク内または配管内で固化、固着してしまうため回収することが困難である。
また、脱水素反応は、完全に進行させることが困難であるため、脱水素反応装置を通過した未反応の燃料、例えばデカリンを回収・再利用し、反応効率を向上させる必要がある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、芳香族化合物を水素化した水素誘導体である液体燃料から水素分離手段で生成した水素を水素消費機器に供給する水素供給装置において、前記水素分離手段における脱水素反応の生成物が常温で固体で存在する脱水素化合物であっても運転停止時に回収タンク内または配管内で固化、固着してしまうことがなく、且つ、前記液体燃料の反応効率を向上させることができる水素供給装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に記載された水素供給装置は、芳香族化合物を水素化した水素誘導体からなる液体燃料を脱水素反応させて水素とその他の成分とに分離する脱水素反応手段と、前記脱水素反応手段で前記液体燃料から分離された前記水素を純化する水素純化手段とから構成される水素分離手段を有し、前記水素純化手段により純化された水素を前記水素分離手段から水素消費機器へ供給する水素供給装置において、前記その他の成分を、未反応の前記液体燃料と前記脱水素反応によって生成した脱水素化合物の固形分とに分離する固液分離手段と、前記固液分離手段によって分離された前記液体燃料を、前記脱水素反応手段へ戻すための返送手段と、前記固液分離手段によって分離された前記脱水素化合物の固形分をペレット成形して回収するための回収手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項1に記載の発明によると、主たるその他の成分である脱水素化合物を固形分として好適に回収することができ、且つ、分離された未反応の液体燃料が回収されて脱水素反応手段で再利用することができる結果、液体燃料の反応効率を向上させることができる。
【0010】
請求項1に記載の発明によると、脱水素反応後の生成物が常温で固体で存在する脱水素化合物であっても、固液分離手段によって液体燃料中から分離・除去されるので、水素供給装置の運転停止時に、液体燃料を回収する回収タンク内または配管内で固化、固着することがないため装置を安定して運転することができる。
【0012】
請求項1に記載の発明によると、ペレット成形して固形分を回収することで回収後の固形分の貯蔵・搬送が容易になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る水素供給装置の実施形態について図1から図4を参照して説明する。図1は、本発明に係る一実施形態の水素供給装置全体の構成を示す図、図2は、一実施形態の水素供給装置のペレット成形器本体の斜視図、図3は、減圧吸引方式によるペレットの回収装置を説明するための図、図4は、第二実施形態の固液分離手段を示す図である。
【0014】
尚、本発明において使用することができる「芳香族化合物を水素化した水素誘導体である液体燃料」とは、「飽和縮環化合物の液体燃料」を主として意味し、ベンゼン環を2つ以上縮合した水素の飽和化合物であって、脱水素反応により水素を容易に分離でき、且つ、脱水素化合物として常温で固体である化合物を生成するものであれば都合が良い。液体燃料としては、例えばデカリンやデカリンの誘導体であるメチルデカリン、テトラデカヒドロアントラセン、テトラデカヒドロメチルアントラセン等が挙げられる。
【0015】
ここでは反応系としてデカリン/ナフタレン系により水素を生成する場合の水素供給装置について説明する。
尚、飽和縮環化合物であるデカリンには、cis型(bp:193℃)とtrans型(bp:185℃)の異性体があるが、どちらのデカリンでも発明の実施形態を説明する上で問題がないので以下代表してデカリンという。
【0016】
本発明に係る水素供給装置は、図1に示すように、液体燃料供給手段1と、脱水素反応手段と水素純化手段とから構成され、液体燃料供給手段1から供給された液体燃料から脱水素反応手段により水素を分離し、分離した水素を水素純化手段により純化して水素消費設備に供給する水素分離手段2と、前記脱水素反応により生成した水素以外の生成物及び未反応の液体燃料を冷却して固液分離する固液分離手段3と、前記固液分離した分離液を前記脱水素反応手段に返送する返送手段4と、前記固液分離した固形分を搬送・貯蔵して回収する回収手段5とから主要部が構成される。
【0017】
液体燃料供給手段1は、図1に示すように、液体燃料であるデカリンを貯蔵するデカリン貯蔵容器1aと、デカリンを脱水素反応手段である脱水素反応装置2aのヒータ2a1付きの燃料噴霧器2a2に供給するデカリン供給ポンプ1bと、前記デカリン貯蔵容器1aと燃料噴霧器2a2のヒータ2a1までを連結する配管1cとから構成される。尚、配管1cの途中には、後述する返送手段4から返送されるデカリンの返送配管4cと燃料噴霧器2a2のヒータ2a1の上流で合流する合流部が設けられている。
【0018】
水素分離手段2は、ヒータ2a4付きの触媒層2a3の上方にヒータ2a1付きの燃料噴霧器2a2を備えた脱水素反応手段である脱水素反応装置2aと、前記脱水素反応装置2aの上部側部に設けられる水素純化手段である膜分離装置2bとから主要部が構成される。
【0019】
燃料噴霧器2a2は、ヒータ2a1を備えた内部混合型の1流体ノズルであり、脱水素反応装置2aの上部に設けられている。
ヒータ2a1は、デカリンを燃料噴霧器2a2から脱水素反応装置2a内ヘ供給する前に、デカリン液中に脱水素化合物であるナフタレンの結晶が析出して燃料噴霧器2a2を閉塞させないようにするために設けられている。
本実施形態では、デカリン液全体を例えば100℃以上(沸点以下)に加熱した後、脱水素反応装置2a内ヘ噴霧して供給しているので触媒層2a3がデカリンによって冷却されることなく高い反応効率を保つことができる。
脱水素反応装置2a内の略中央部には、ヒータ2a4を内蔵した触媒層2a3が設けられている。
触媒層2a3での脱水素反応は、以下の反応式で表される。
C10H18=C10H8+5H2−Qf[kcal/mol]--------(1)
反応熱Qf=76.46[kcal/mol](cis型),79.65[kcal/mol](trans型)。
触媒層2a3を形成する触媒の活性成分としては、一般に白金属系のPt,Pdや水素化触媒として良く使用されるNi等の金属が使用される。また、デカリン中に硫黄分が多く含まれている場合は、CO/MO系の金属も触媒の活性成分として利用できる。
本実施形態では、カーボンやシリカ等の担体に白金などの貴金属を坦持させた触媒を用いている。
上記触媒を用いた場合、脱水素反応の反応温度としては、約200℃以上の温度が必要である。ヒータ2a4は、触媒層2a3の反応温度を余裕を持って確保するために電気式のヒータが使用される。
【0020】
水素純化手段である膜分離装置2bとしては、金属パラジウム膜を水素分離膜とした水素透過型の膜モジュールを使用している。水素分離膜として使用できる膜としては、パラジウム膜以外にポリアミド系の中空糸膜を使用しても良い。
【0021】
固液分離手段3は、脱水素反応装置2aの下部に連設して設けられ、2つの熱交換器3a,3bと濾過装置3cとから主要部が構成される。
第1の熱交換器3aは、脱水素反応装置2a下部の出口配管内に設けられており、210℃の脱水素反応により生成した水素以外の反応生成物(主としてナフタレンと未反応のデカリンとの混合ガス)を、約100℃近くまで冷却して液化するための予備冷却器として使用される。第1の熱交換器3aは、蛇管式の水冷式熱交換器を使用している。
一方、第2の熱交換器3bは、第1の熱交換器3aで液化されて下方に滴下してくる液から水素以外の主たる反応生成物であるナフタレンを結晶として析出させるための冷却器である。第2の熱交換器3bは、傾斜面に設けられ、水冷した冷却面を使用してさらに液を冷却することにより、デカリン液中のナフタレンの溶解度を下げて結晶を析出させる水冷式の多管式熱交換器である。
第2の熱交換器3bに使用される冷却水は、傾斜面を流れてくるデカリンとナフタリンのスラリーの流れる方向に対して向流となるように流される。
また、第2の熱交換器3bの冷却面は、冷却に関与する伝熱面積を大きくするため波型に形成されている(ここで言う波型とは、デカリンとナフタリンのスラリーが流れる方向に対して直角方向に熱交換器の断面をとったときの表面形状をいう)。尚、冷却水の温度は、ナフタレンを析出させるため0〜15℃が望ましい。
冷却されてナフタレンを析出したデカリンとナフタレンのスラリーは、第2の熱交換器3bが傾斜面に設けられているので傾斜面に沿って下降し、ナフタレンを固形物として回収するため濾過装置3cへと供給される。
【0022】
濾過装置3cは、膜濾過装置であり、2つの熱交換器3a,3bで冷却されて析出したナフタレンの結晶を、デカリン液から膜により好適に分離・除去して後段の回収手段5へ供給するための装置である。膜は、耐溶剤性の高分子膜でもセラミック膜でもナフタレンが分離できるものであれば良い。
尚、上述した固液分離操作は、全て密閉したケーシング3d内で行われる。
【0023】
返送手段4は、前記濾過装置3cで分離された分離液であるデカリンを貯留・供給するサブタンク4aと、デカリンを水素分離手段2の脱水素反応装置2aに返送する返送ポンプ4bと、サブタンク4aから返送ポンプ4bを経由して水素分離手段2の配管1cの合流部までを連結する配管4cとから主要部が構成される。
尚、サブタンク4a内で、配管4cの一端部は、タンク4aの底近くまで延設されて設けられている。このように配管4cを設けることでサブタンク4a内の残液量を少なくすることができる。
【0024】
水素供給装置において、このように脱水素反応により生成した水素以外のその他の成分を、デカリンと脱水素反応によって生成したナフタレンとに分離する固液分離手段3を備え、前記固液分離手段3によって分離されたデカリンを脱水素反応装置2aへ戻すための返送手段4を備えたことにより、分離された未反応のデカリンが回収されて脱水素反応装置2aで再利用することができる結果、デカリンの脱水素反応の反応効率を向上させることができる。
さらに、脱水素反応後の生成物が常温で固体で存在するナフタレンであっても、前記固液分離手段3によってデカリン液中から分離・除去されるので、水素供給装置の運転停止時に、デカリンを回収するサブタンク4a内または配管4c内でナフタレンを固化、固着することがないため安定して水素供給装置を運転することができる。
【0025】
回収手段5は、固液分離手段3の濾過装置3cで分離された固形物をペレット成形器5bに搬送するためのスクリュウコンベア5aと、ペレット成形器5bと、成形したペレットを回収・貯蔵するための回収タンク5cとから主要部が構成される。
【0026】
スクリュウコンベア5aは、固液分離手段3で分離されたナフタレンを回収タンク5cへ搬送するための輸送機である。ナフタレンは昇華し易いので密閉系のスクリュウコンベア5aが使用される。
【0027】
ペレット成形器5bは、図2に示すように、2本のロール5b1,5b2を相対的に回転させて、上部にあるスクリュウコンベア5aの排出口からナフタレンを落下させ、2本のロール5b1,5b2間の圧力で、それぞれのロールの表面に設けた矩形の溝(モールド)gに供給したナフタレンを圧縮成形するブリケッティングロール型のペレット成形器である。
ペレット成形器5bのロールの回転速度は、図示しないモータに減速機が付いており可変である。
前記ペレット成形器5bにより成形されたペレットは、図1に示すように、回収タンク5c内に設けられた回収トレー5dに回収される。
【0028】
回収タンク5cは、図1に示すような密閉系の容器であり、上部にはスクリュウコンベア5aの排出口を有し、中央部には、前記排出口から落下してくるナフタレンを圧縮成形するためのペレット成形器5bを配設し、下部には前記ペレット成形器5bから落下してくるナフタレンのペレットを受けて系外へ搬送するためのトレー5dを内蔵している。トレー5dは、矩形の箱型の容器であり、上方を開口している。
【0029】
ここで回収手段5のトレー5dに代わるナフタレンペレットの回収手段5′として、減圧吸引方式によりペレットを系外へ搬出して回収するときのペレット搬出方法について図3を参照して説明する。尚、一実施形態の水素供給装置の回収手段5とこの図3での回収手段5′と同じ部材については同じ符号を付して説明する。
図3中の回収手段5′と一実施形態の水素供給装置の回収手段5との大きな構成の違いは、
(1)回収タンク5c内にトレー5dが設けられていない点、
(2)回収タンク5cの底部側部に、減圧配管5hの一端部に設けられたカプラの雌部5gと連結させるためのカプラの雄部5fが外部に突出して設けられている点、
(3)スクリュウコンベア5aの排出口と回収タンク5cの上部との間には、バルブ5eが設けられている点、
である。
このバルブ5eは、回収タンク5c内で回収作業を行わないときは開(回収タンク5c内は常圧となる)とされ、スクリュウコンベア5aから供給されるナフタレンがバルブ5eを通過してペレット成形器5bへと供給される。
一方、回収タンク5c内で回収作業を行うときは、バルブ5eは閉じられ、減圧配管5hを連結して回収タンク5c内を減圧することでペレット状のナフタレンが系外へ排出される。
【0030】
このように構成される回収タンク5cからの減圧吸引方式によるペレットの搬出方法は、
(1)図示しない真空ポンプに減圧された減圧配管5hの一端部に設けられたカプラの雌部5gと、回収タンク5cの底部側部に設けられたカプラの雄部5fとを連結する。このときの減圧配管5h中の圧力は、例えば最大0.06MPaGで運転される。
(2)回収タンク5c内は、バルブ5eを閉じることにより減圧される。
(3)回収タンク5c内に貯蔵されているナフタレンのペレットは、真空ポンプに減圧された減圧配管5h内に吸引され、回収タンク5c内から系外へ搬出される。
【0031】
このようにデカリン液中から常温で固体のナフタレンを回収して密閉系で貯蔵・搬送して処理するようにしたので搬出作業を容易に行うことができる。
【0032】
次に、このように構成される一実施形態の水素供給装置の作用について図1から図3を参照して説明する。
尚、液体燃料供給手段1のデカリン貯蔵容器1aには、既にデカリンが充填されているものとする。
(1)液体燃料であるデカリンは、液体燃料供給手段1のデカリン供給ポンプ1bによって、水素分離手段2の脱水素反応装置2aに供給される。脱水素反応装置2aへ供給されたデカリンは、燃料噴霧器2a2の前段に設置されたヒータ2a1によって100℃に加熱されたのち、燃料噴霧器2a2からヒータ2a4によって210℃に加熱された触媒層2a3に噴霧される。
【0033】
(2)脱水素反応装置2aの触媒層2a3に噴霧されたデカリンは、脱水素反応により水素と、ナフタレンと、未反応のデカリンとの混合ガスを生成する。
(3)脱水素反応装置2aで生成した水素は、水素分離手段2の水素純化手段である水素分離膜(Pd膜、シリカ膜等)を備えた膜分離装置2bによって高純度(例えば99.9%以上が望ましい)の水素に分離され、水素消費機器である燃料電池6へと供給される。
(4)燃料電池6のアノード極へ供給された水素は、燃料電池6のカソード極へ供給される空気中の酸素と反応し燃料電池6で発電する。
【0034】
(5)一方、脱水素反応装置2aで発生したその他の成分であるナフタレンと未反応のデカリンとの混合ガスは、固液分離手段3に導入される。
尚、脱水素反応後のその他の成分には、脱水素反応が完全に進行することは困難であるためナフタレンと共に未反応のデカリンが存在する。そのため未反応のデカリンを分離し、再度反応させて燃料の効率を高める必要がある。
(6)固液分離手段3に導入された混合ガスは、脱水素反応装置2aの下部出口配管内の第1の熱交換器3aにより液化する温度(100℃が望ましい)まで冷却され、液滴となった液は、後段の第2の熱交換器3bに滴下する。
【0035】
(7)第2の熱交換器3bに滴下された液中のデカリンとナフタレンは、デカリンが常温で液体、ナフタレンが固体(融点80.3℃)であることを利用して分離される。
すなわち、第2の熱交換器3bに滴下された液をナフタレンの融点80.3℃より低い温度(0〜15℃が望ましい)に冷却することによって、ナフタレンを結晶として析出させる。この固体のナフタレンと液体のデカリンとが混在したスラリーは、第2の熱交換器3bが傾斜面に設けてあるため、濾過装置3c及びスクリュウコンベア5aの方向へ(下流ヘ)と自然に流れていく。
【0036】
濾過装置3cでは、固体のナフタレンと液体のデカリンとが混在したスラリーを膜濾過することにより、固形分としてナフタレン、分離液としてデカリンが分離される。
この分離液中には、膜濾過をする前の液(固液分離手段3でデカリン液中のナフタレンを分離する前の溶液)と比較してナフタレン含有量が非常に少ないため、分離液は、返送手段4のポンプ4bによりサブタンク4aから配管4cを介して吸い上げられ、水素分離手段2の脱水素反応装置2aへと返送(再供給)される。
分離したデカリンを再び脱水素反応装置2aで反応させることによって、デカリンの1モルあたりの水素の発生量(モル数)が向上する。すなわち反応効率が向上する。
【0037】
一方、濾過装置3cで分離された固体のナフタレンは、回収手段5のスクリュウコンベア5aによってペレット成形器5bへと搬送され、ドラム状の回転式圧縮成形器によってブロック状(またはタブレット状)に成形されて回収タンク5cに収集される。
回収タンク5c内でペレット成形されたナフタレンは、回収タンク5c内に予め設置された脱着可能なトレー5dに集められ、トレー5dごと回収される。
このようにナフタレンをペレット成形することで取り扱いが簡単になるため、回収タンク5c内の壁面に付着したり、配管内で固化するという問題が解決される。又、ペレット成形することによって回収後の貯蔵、搬送が容易になる。例えば、バキュームカーなどでナフタレンを排出することで貯蔵、搬送が容易になる。
尚、図3に示したような減圧吸引によるペレット回収装置を適用すれば、回収タンク5c周りの密閉性が向上し、ナフタレンペレットの貯蔵・搬送も容易となるのでより好ましい。
【0038】
次に、一実施形態の水素供給装置で使用される固液分離手段の他の実施形態である第二実施形態の固液分離手段について図4を参照して説明する。
尚、一実施形態の水素供給装置と同じ機器部材については同じ符号を付して説明する。
【0039】
第二実施形態の固液分離手段3′は、図4に示すように、水素分離手段2の脱水素反応装置2aの下部出口配管内に設けられた第1の熱交換器3aと、第1の熱交換器3aで液化した液をさらに冷却してナフタレンを結晶化させて析出させる第2の熱交換器10と、デカリンとナフタレンのスラリーを圧搾して、分離液としてデカリン、固形分としてナフタレンを分離するスクリュウプレス11とから主要部が構成される。
尚、本実施形態では、第1の熱交換器3aとして蛇管式の水冷式熱交換器、第2の熱交換器10として掻面式熱交換器を使用している。また、スクリュウプレス11は、デカリンとナフタレンのスラリーを固液分離するための加圧・圧搾機である。
【0040】
このように構成される第二実施形態の固液分離手段の作用について図4を参照して説明する。
(1)前段の水素分離手段2の脱水素反応装置2aから排出される未反応のデカリンとナフタレンの混合ガス、例えば210℃の混合ガスが、第1の熱交換器3aで冷却されて液化する。
(2)液化された液は、第2の熱交換器10に導入される。第2の熱交換器10に導入された液は、更に10℃〜15℃に冷却されて、ナフタレンを結晶として析出する。
第2の熱交換器10として掻面式熱交換器を使用することで、冷却に関与する伝熱面がブレード(掻き取り羽根)で掻き取られて常に更新されるので、液を冷却することにより析出するナフタレンの伝熱面への固着が防止できる。また、横型の掻面式熱交換器を設けることで、車両に搭載した場合に車高を低くすることができる。
(3)第1の熱交換器3aで液化した液から第2の熱交換器10内でナフタレンの結晶を析出した液は、デカリンとナフタレンのスラリーとして後段のスクリュウプレス11に導入される。
(4)スクリュウプレス11に導入されたスラリーは、スクリュウプレス11内で加圧・圧搾され、分離液としては、円筒の側壁に設けられた濾過孔を通過したデカリンが、固形分としては、スクリュウプレス11のスクリュウコンベアとプレッサとの隙間から排出されるナフタレンが回収される。尚、スクリュウプレス11から排出されるナフタレンは、含液分が5重量%以下のため貯蔵・搬送が容易になる。
(5)分離液として回収されたデカリンは、返送手段4により脱水素反応装置2aへ返送(再供給)され、固形分として回収されたナフタレンは、回収手段5で回収される。
(6)尚、図4では、第2の熱交換器10とスクリュウプレス11とが段差を持って配置されているが、互いの回転軸をクラッチを介して系脱自在に連結するようにして一直線上に配置することも可能である。このように配置すれば、車両に搭載した場合に車高をさらに低くすることができる。
【0041】
本発明は、以上述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施可能である。
例えば、液体燃料供給手段1と返送手段4とを共通の装置で構成すれば、水素供給装置全体を簡素化及び小型化することもできる。すなわち、液体燃料供給手段1のデカリン貯蔵容器1aと返送手段4のサブタンク4aを1つの貯蔵容器として構成し、液体燃料供給手段1のデカリン供給ポンプ1bと返送手段4の返送ポンプ4bを1つの供給ポンプとして構成する。そして、前記貯蔵容器に貯蔵されたデカリンを前記供給ポンプによって水素分離手段2の脱水素反応装置2aに供給し、未反応のデカリンを固液分離手段3によって回収した後、再び前記貯蔵容器に戻すようにしてデカリンを循環供給することもできる。
この場合、サブタンク4a内のデカリンの量が所定量以下になったらナフタレンの回収作業を行うとともにデカリンを補給する。
また、濾過装置3cを、バスケット型の遠心分離機やドラムフレーカとし、回収手段5と組み合わせて実施することも可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
1.請求項1に記載の発明によれば、主たるその他の成分である脱水素化合物を固形分として好適に回収することができ、且つ、分離された未反応の液体燃料が回収されて脱水素反応手段で再利用することができる結果、液体燃料の反応効率を向上させることができる。
2.請求項1に記載の発明によれば、脱水素反応後の生成物が常温で固体で存在する脱水素化合物であっても、固液分離手段によって液体燃料中から分離・除去されるので、水素供給装置の運転停止時に、液体燃料を回収する回収タンク内または配管内で固化、固着することがないため装置を安定して運転することができる。
3.請求項1の発明によれば、ペレット成形して固形分を回収することで回収後の固形分の貯蔵・搬送が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施形態の水素供給装置全体の構成を示す図である。
【図2】一実施形態の水素供給装置のペレット成形器本体の斜視図である。
【図3】減圧吸引方式によるペレットの回収装置を説明するための図である。
【図4】第二実施形態の固液分離手段を説明するための図である。
【符号の説明】
1 液体燃料供給手段
1a デカリン貯蔵容器
1b デカリン供給ポンプ
1c 配管
2 水素分離手段
2a 脱水素反応装置(脱水素反応手段)
2a1,2a4 ヒータ
2a2 燃料噴霧器
2a3 触媒層
2b 膜分離装置(水素純化手段)
3 固液分離手段
3a 第1の熱交換器
3b 第2の熱交換器
3c 濾過装置
4 返送手段
4a サブタンク
4b 返送ポンプ
4c 配管
5 回収手段
5a スクリュウコンベア
5b ペレット成形器
5c 回収タンク
5d トレー
6 燃料電池(水素消費機器)
Claims (1)
- 芳香族化合物を水素化した水素誘導体からなる液体燃料を脱水素反応させて水素とその他の成分とに分離する脱水素反応手段と、前記脱水素反応手段で前記液体燃料から分離された前記水素を純化する水素純化手段とから構成される水素分離手段を有し、前記水素純化手段により純化された水素を前記水素分離手段から水素消費機器へ供給する水素供給装置において、
前記その他の成分を、未反応の前記液体燃料と前記脱水素反応によって生成した脱水素化合物の固形分とに分離する固液分離手段と、
前記固液分離手段によって分離された前記液体燃料を、前記脱水素反応手段へ戻すための返送手段と、
前記固液分離手段によって分離された前記脱水素化合物の固形分をペレット成形して回収するための回収手段と、を備えたことを特徴とする水素供給装置。
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