以下、実施の形態に係るレーザ装置について説明する。なお、同一要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、レーザ装置の縦断面構成を示す図である。
支持基板1の第1領域上に、マウント基板2が固定されており、マウント基板2上にはレーザ素子LDの支持部材3が固定されている。レーザ素子LDは、フォトニック結晶面発光レーザ素子であり、Z軸方向にレーザ光LBを出射する。支持部材3の側面には、レーザ素子LDが導電性の接着剤4を介して固定されている。接着剤4は、半田又は金などからなり、レーザ素子LDの下面を固定電位に接続している。支持部材3の表面には、レーザ素子にバイアス電圧を印加するための正負の電極(図示せず)がパターニングされており、一方の電極が接着剤4によりレーザ素子LDの下面に電気的に接続され、他方の電極がレーザ素子LDの上面にワイヤーボンディング等(図示せず)を用いて電気的に接続されている。
支持基板1の第2領域上に、温度制御装置CLが固定され、温度制御装置CL上に、銅などから構成されるヒートシンク5が固定されている。温度制御装置CLは、ペルチェ素子から構成される。ヒートシンク5上には接着剤6を介して、非線形光学結晶NLが固定されている。接着剤6は、熱伝導性の高い半田や金などの導電性の接着剤とすることもできるが、樹脂などの絶縁性接着剤を用いることとしてもよい。ヒートシンク5の表面は、V溝GRが形成されており、四角柱形状の非線形光学結晶NLの隣接する2側面は、V溝GRの内面に接着剤6を介して固定されている。なお、非線形光学結晶NLは、擬似位相整合(QPM)構造を有する周期分極反転構造を有している。
支持基板1には、温度制御装置CLに電力を供給するための駆動回路7が設けられている。駆動回路7は、支持基板1に内蔵されていてもよいが、支持基板1表面に取り付けてもよく、また、支持基板1から離間した位置に配置されてもよい。支持基板1に内蔵する場合には、例えば、支持基板1の下面に凹部を形成し、当該凹部内に駆動回路7を配置すればよい。ヒートシンク5には、非線形光学結晶NLの温度を直接的又は間接的に計測するためのセンサSが取り付けられている。このセンサSは、好適にはヒートシンク5の温度を計測する温度センサであり、センサSの出力は駆動回路7に入力され、駆動回路7はセンサSから入力されたデータに基づいて、温度制御装置CLに供給する駆動電力の大きさを帰還制御する。すなわち、センサSからの出力が設定値よりも大きい場合には、駆動電力を小さくし、小さい場合には駆動電力を大きくする。
センサSは、非線形光学結晶NLの温度を直接的又は間接的に計測するものであるから、センサSは非線形光学結晶NLに直接取り付けることとしてもよい。センサSは、熱電対から構成することができるが、放射温度計とすることもできる。放射温度計の場合には、例えば非線形光学結晶NLから出射される赤外線又は可視光を測定する。放射温度計は、レーザ光波長を遮断するフィルタを備えたフォトダイオードとすることも可能である。
センサSは、レーザ光LBの強度モニタとして、測定された強度に対応する非線形光学結晶NLの温度をテーブルから読み出すルックアップテーブル方式で構成してもよい。すなわち、レーザ装置から出力されるレーザ光LBの強度及び/又は波長と、非線形光学結晶NLの温度との相関データを予め取得し、これを記憶装置内のテーブルに格納しておけば、ルックアップテーブル方式で温度計測を行うことができる。
支持基板1には、上述の要素を収容するカバー8が取り付けられている。カバー8の側面にはレーザ光LBを出射するための出射窓9が取り付けられており、カバー8は支持基板1と共に、内部空間を密閉し、外部温度・湿度や粉塵などの外部からの影響を抑制している。レーザ素子LDから出射されたレーザ光は、Z軸の正方向に沿って進行し、非線形光学結晶NLを通って波長変換され、波長変換後のレーザ光LBは出射窓9を介して外部に出力される。なお、冷却装置CLの駆動回路7は、レーザ素子4の駆動回路を含んでいてもよい。
また、支持基板1は銅などからなるヒートシンクとすることも可能であり、この場合には、マウント基板2、支持部材3、及びレーザ素子LDも冷却される。また、配線等の導電体を介して、レーザ素子LDの下面が支持基板1に電気的に接続される場合には、当該配線等を介して、支持基板1がレーザ素子LDを冷却することができる。
図2は、レーザ装置の内部構造の斜視図である。
レーザ素子LDの光出射面SLDから出射されたレーザ光LBは、Z軸方向に進行し、Z軸に垂直な光入射面を有する非線形光学結晶NLに入射する。非線形光学結晶NLは、擬似位相整合(QPM)構造の周期分極反転構造を有しており、正の分極領域NLP、負の分極領域NLNをZ軸方向に沿って交互に積層してなる。各分極領域の光伝播方向(Z軸方向)の長さは、コヒーレント長(伝播するレーザ光LBの位相がπずれる長さ)となるように、分極反転周期が設定されている。各分極領域の分極の方向DPは、図示の如く、レーザ光LBの進行方向に沿って交互に反転して切り替わる。
なお、説明の明確化のため、支持基板1の主表面(要素をマウントする面)をac面とし、a軸及びc軸の双方に垂直な軸をb軸とし、abc直交座標系を設定する。また、Z軸は、c軸と一致しており、abc直交座標系をc軸の周りに回転させた座標系をXYZ直行座標系とする。b軸からY軸までのc軸周りの回転角度をθとする。
非線形光学結晶NLは、Z軸方向を長手方向とする直方体であり、レーザ光LBの光入射面をXY平面とし、光入射面を囲む4つの面が、XZ面及びYZ面のいずれかから構成される形状を有している。直方体のレーザ素子LDの光出射面SLDは、ab面(XY面)であり、光出射面に垂直な側面がac面となる。すなわち、XYZ直交座標系は、非線形光学結晶NLの向きに合わせて設定された座標系であり、abc直交座標系はレーザ素子LDに合わせて設定された座標系である。
図3は、レーザ装置における非線形光学結晶を示す図である。
レーザ光LBの出射面SLDから非線形光学結晶NLの光入射面までの距離をL1,非線形光学結晶NLの光入射面から光出射面までの距離をL2,全体の距離をLRとする。また、一対の正の分極領域NLPと負の分極領域NLNのZ軸に沿った長さをL3とする。QPM構造では、レーザ素子から出射されるレーザ光LBの基本波の波長λに対して、基本波に対する屈折率nω、非線形光学結晶NLから出射される第2高調波に対する屈折率n2ω、次数をm(通常1)として、分極反転周期L3=mλ/(2(n2ω−nω))に設定される。
各分極領域を構成する強誘電体結晶として、Mgなどの適当な添加物を含むLiNbO3、Mgなどの適当な添加物を含むLiTaO3等を用いて周期分極反転構造を形成することができる。
レーザ素子の出射面SLDにおけるレーザ光LBの直径(Y軸方向長)をW1、非線形光学結晶NLのY軸方向長をW2、非線形光学結晶NLの光出射面におけるレーザ光LBの直径(Y軸方向長)をW3とする。光出射面SLDから出射されるレーザ光LBの広がり角を2×βとする。βは、非線形光学結晶NLの光出射面に対する法線とレーザ光LBの最も外側の光線の成す角度である。βは次の関係(2β=2arctan{(W3―W1)/2LR})を有している。
また、レーザ素子は回折限界の光出射時2β=1.22×λ/W1(rad)を満たし、βが小さい場合には、近軸近似計算により、W3=W1+(2×β×(LR+L1))である。レーザ光が非線形光学結晶NL内に収まるには、W3<W2を満たす必要がある。例えば、W3=200μm、λ=1μmの場合、β=3.05×10−3rad、W3=0.2+6.1×10−3×(LR+L1)(mm)となる。試作では、(LR+L1)=40mmとしたため、W3=0.0.444mmとなる。非線形光学結晶NLのサイズW2=0.5mmとしたため、本光学系ではW3<W2を満たしている。
以上のように、上述のレーザ装置は、フォトニック結晶面発光レーザ素子LDから出射されたレーザ光LBが入射する周期分極反転構造を有する非線形光学結晶NLを備えたレーザ装置である。次に、フォトニック結晶面発光レーザ素子LDの詳細構造について説明する。
図4は、レーザ装置におけるレーザ素子の縦断面構成を示す図であり、図5は、レーザ素子における構成要素の材料、導電型、厚みについて示す図表である。
レーザ素子LDは、活性層4と、活性層4を挟む上部クラッド層7及び下部クラッド層2と、上部クラッド層7(又は下部クラッド層2:図17)と活性層4との間に設けられたフォトニック結晶層6(屈折率変調層)とを備えている。クラッド層と活性層4との間には、光ガイド層が介在し、上部クラッド層7上にはコンタクト層8が形成されている。
すなわち、このレーザ素子LDは、半導体基板1と、下部クラッド層2と、下部光ガイド層3と、活性層4と、上部光ガイド層5と、フォトニック結晶層6と、上部クラッド層7と、コンタクト層8を順次積層してなり、半導体基板1の裏面には第1電極、コンタクト層8の上面には第2電極E2が接触して設けられている。第1電極E1と第2電極E2との間に順方向バイアス電圧を印加すると、クラッド層間に位置する活性層4内において発光が生じ、フォトニック結晶層6によって変調されて。基板面に垂直な方向(c軸、Z軸)にレーザ光LBが出射する。
各要素の材料は、図5に示す通りであり、半導体基板1はGaAsからなり、下部クラッド層2はAlGaAsからなり、下部光ガイド層3はAlGaAsからなり、活性層4は多重量子井戸構造MQW(障壁層:AlGaAs/井戸層:InGaAs)からなり、上部光ガイド層5は、下層AlGaAs/上層GaAsからなり、フォトニック結晶層6は基本層6AがGaAs、基本層6A内に埋め込まれた異屈折率領域(埋込層)6BがAlGaAsからなり、上部クラッド層7がAlGaAsからなり、コンタクト層がGaAsからなる。なお、各層には、図5に示すように、第1導電型(N型)の不純物又は、第2導電型(P型)の不純物が添加されており(不純物濃度は1×1017〜1×1021/cm3)、意図的にはいずれの不純物も添加されていない領域は真性(I型)となっている。I型の不純物濃度は1×1015/cm3以下である。
また、クラッド層のエネルギーバンドギャップは、光ガイド層のエネルギーバンドギャップよりも大きく、光ガイド層のエネルギーバンドギャップは活性層4の井戸層のエネルギーバンドギャップよりも大きく設定されている。AlGaAsにおいては、Alの組成比を変更することで、容易にエネルギーバンドギャップと屈折率を変えることができる。AlXGa1−XAsにおいて、相対的に原子半径の小さなAlの組成比Xを減少(増加)させると、これと正の相関にあるエネルギーバンドギャップは小さく(大きく)なり、GaAsに原子半径の大きなInを混入させてInGaAsとすると、エネルギーバンドギャップは小さくなる。すなわち、クラッド層のAl組成比は、光ガイド層のAl組成比よりも大きく、光ガイド層のAl組成比は、活性層の障壁層(AlGaAs)よりもAl組成以上である。クラッド層のAl組成比は0.2〜0.5に設定され、本例では0.4とする。光ガイド層及び活性層における障壁層のAl組成比は0.1〜0.15に設定され、本例では0.1とする。
また、各層の厚みは、図5に示す通りであり、同図内の数値範囲は好適値を示し、括弧内の数値は試作を行った最適値を示している。
なお、図21は、レーザ素子から得られる典型的なパターンビームの偏光状態を示す遠視野像写真である。
(A)はレーザ素子から直接得られている遠視野象であり、ガウス分布点形状の遠視野像が得られていることが分かる。(B)、(C)には偏光フィルタを透過させて撮影した遠視野像写真を示している。レーザ素子の偏光角度と偏光フィルタの偏光方位との相対角度が0°の場合(B)には、偏光フィルタがない場合(A)と同様なガウス分布点形状ビームパターンが観察された。一方、偏光方位との相対角度が90°の場合(C)には、ビームパターンは筋状となり、さらに透過光強度は、相対角度0°の場合(B)と比較して数分の1に減少した。非線形光学結晶は周期反転分極方向に偏光した基本波のみを波長変換するため、上記偏光フィルタと同様な役割を果たす。したがって、レーザ光の偏光方向を非線形光学結晶は周期反転分極方向に合わせると、非線形光学結晶から得られる波長変換光はレーザ素子の偏光方向と偏光フィルタの位相角度が0°に対応した、ガウス分布点形状ビームパターンとなる。
ここで、フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備えている。また、本レーザ素子においてはフォトニック結晶の格子間隔は、正方格子の場合には格子間隔が、レーザ発振波長を素子内部の実効屈折率で割った実効的なレーザ波長に一致する様に設けられる。三角格子の場合には格子間隔が、レーザ発振波長を素子内部の実効屈折率で割り(2/√3)倍した値となる様に設けられる。以下、詳説する。
図6は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第1例)の平面図(A)、非線形光学結晶における分極の向きを示す図(B)である。
図6においては、フォトニック結晶内の電磁界分布がModeA(図8)となった場合について説明する。複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層6の主表面上に設定された正方格子(点線で示す)における格子点位置に配置されており、それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角二等辺三角形に設定されており、この概略直角二等辺三角形の直角を構成する2辺が、正方格子を構成する縦の格子線LV及び横の格子線LHに沿って延びている。
ここで、この概略直角二等辺三角形の斜辺に平行な向き(Y軸:b軸をθだけ回転した軸:θ=45°)と、非線形光学結晶NLの周期分極反転構造における分極の向きDP(Y軸)とが一致している。
なお、規定される異屈折率領域6Bの平面形状は、実際の製造においては、数学的に厳密に規定される形状とはならず、角部が丸みを帯び、各辺が若干歪む場合が生じる。「概略」とは、このように、規定の形状が製造時に若干変形する状態を含むことを意味する。
第1例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶NLに入射すると、非線形光学結晶NLにおいて波長変換が行われ、非線形光学結晶NLから出射される。フォトニック結晶層6における異屈折率領域6Bが正方格子の格子点位置に配置され、更に形状及び向きが上記の条件を満たした場合には、非線形光学結晶から得られる波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。これは異屈折率領域6Bにおいて発生する偏光方位が、ModeAにおいて、分極の向きDPに一致しているためである。
図7は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第1例)の平面図(A)、非線形光学結晶における別の状態の分極の向きを示す図(B)である。
図6においては、フォトニック結晶内の電磁界分布がMode A(図8)となった場合について説明したが、図7においてはModeB(図9)となった場合について説明する。
図6と同様に、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層6の主表面上に設定された正方格子(点線で示す)における格子点位置に配置されており、それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角二等辺三角形に設定されており、この概略直角二等辺三角形の直角を構成する2辺が、正方格子を構成する縦の格子線LV及び横の格子線LHに沿って延びている。
ここで、この概略直角二等辺三角形の斜辺に垂直な向き(Y軸:b軸を−θだけ回転した軸:θ=45°)と、非線形光学結晶NLの周期分極反転構造における分極の向きDP(Y軸)とが一致している。
この場合も、第1例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶NLに入射すると、非線形光学結晶NLにおいて波長変換が行われ、非線形光学結晶NLから出射される。フォトニック結晶層6における異屈折率領域6Bが正方格子の格子点位置に配置され、更に形状及び向きが上記の条件を満たした場合には、非線形光学結晶から得られる波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。これは異屈折率領域6Bにおいて発生する偏光方位が、ModeBにおいて、分極の向きDPに一致しているためである。
ModeAとModeBは、レーザ素子のフォトニック結晶形状、半導体量子井戸層のゲイン波長等を変更することにより、切り替えることができる。
図8は、非特許文献Opt.Exp.Vol.19(24)p24672に示されているModeAにおける、レーザ素子におけるフォトニック結晶層の二次元平面の電磁界分布を示す図(A)、フォトニック結晶層の二次元平面内の偏光方向を示す図(B)である。
ここで、図8(A)の円の周方向に沿って並ぶ矢印は、電界の向きと強さを示している。フォトニック結晶層における屈折率の小さい異屈折率領域6Bに生じる電界が素子の偏光方向に寄与するため、三角形の斜辺に平行な方向の偏光が、大きくなる。
図8(B)は、上記偏光の方向(大矢印で示す)を示すものである。座標系のRx、Ry,Sx,Syは、フォトニック結晶面内に生じている4方向の基本定在波の進行軸方向を示し、また、各ベクトルは、それぞれの定在波に生じる偏光方向とその強さを示している。上記定在波が垂直面方向発振に寄与する際には、図の如くの偏光方向が生じることになる。
図9は、非特許文献Opt.Exp.Vol.19(24)p24672に示されているModeBにおける、レーザ素子におけるフォトニック結晶層の二次元平面の電磁界分布を示す図(A)、フォトニック結晶層の二次元平面内の偏光方向を示す図(B)である。
ここで、図9(A)の円の周方向に沿って並ぶ矢印は、電界の向きと強さを示している。フォトニック結晶層における屈折率の小さい異屈折率領域6Bに生じる電界が素子の偏光方向に寄与するため、三角形の斜辺に垂直な方向の偏光が、大きくなる。
図9(B)は、上記偏光の方向(大矢印で示す)を示すものである。座標系のRx、Ry,Sx,Syは、フォトニック結晶面内に生じている4方向の基本定在波の進行軸方向を示し、また、各ベクトルは、それぞれの定在波に生じる偏光方向とその強さを示している。上記定在波が垂直面方向発振に寄与する際には、図の如くの偏光方向が生じることになる。
図10は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第2例)の平面図(A)、非線形光学結晶における分極の向きを示す図(B)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された正方格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略正三角形に設定されており、この概略正三角形の1つの頂点から底辺に下した垂線が、前記正方格子を構成する縦の格子線LVに沿って延びており、この概略正三角形の底辺の向き(Y軸=c軸:θ=0°)と、周期分極反転構造における分極の向きDP(Y軸)とが一致している。
第2例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層における異屈折率領域6Bが正方格子の格子点位置に配置され、更に形状及び向きが上記の条件を満たした場合には、非線形光学結晶から得られる波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。これは異屈折率領域6Bにおいて発生する偏光方位が、分極の向きDPに一致しているためである。
図11は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第3例)の平面図(A)、非線形光学結晶における分極の向きを示す図(B)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された正方格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角台形に設定されており、この概略直角台形における1つの直角を構成する2辺が、正方格子を構成する縦の格子線LV及び横の格子線LHに沿って延びており、この概略直角台形の下底(長い辺を下底:短い辺を上底とする)の向き(Y軸=c軸:θ=0°)と、周期分極反転構造における分極の向きDP(Y軸)とが一致している。
第3例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層における異屈折率領域6Bが正方格子の格子点位置に配置され、更に形状及び向きが上記の条件を満たした場合には、非線形光学結晶から得られる波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。これは異屈折率領域6Bにおいて発生する偏光方位が、分極の向きDPに一致しているためである。
図12は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第3例)の平面図(A)、非線形光学結晶における別の状態の分極の向きを示す図(B)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された正方格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角台形に設定されており、この概略直角台形における1つの直角を構成する2辺が、正方格子を構成する縦の格子線LV及び横の格子線LHに沿って延びており、この概略直角台形の下底と45°を成す向き(Y軸=c軸:θ=45°)と、周期分極反転構造における分極の向きDP(Y軸)とが一致しており、上記と同様の理由から、非線形光学結晶から得られる波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。
なお、図11及び図12のモードは、レーザ素子のフォトニック結晶形状、半導体量子井戸層のゲイン波長等を変更すると切り替えることができる。
図13は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第4例)の平面図(XY平面)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された三角格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角二等辺三角形に設定されており、この概略直角二等辺三角形の直角を構成する1辺が、三角格子を構成する1本の格子線LHに沿って延びており、右上から左下に延びる格子線をLV1,左上から右下に延びる格子線をLV2として示しており、各格子は正三角形を構成している。
第4例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層における異屈折率領域が三角格子の格子点位置に配置され、レーザ素子の偏光方向が非線形光学結晶の周期分極反転方向と一致した場合には、波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。
図14は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第5例)の平面図(XY平面)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された三角格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略正方形に設定されており、この概略正方形の1つの辺が、三角格子を構成する横の格子線LHに沿って延びており、右上から左下に延びる格子線をLV1,左上から右下に延びる格子線をLV2として示しており、各格子は正三角形を構成している。
第5例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層における異屈折率領域が三角格子の格子点位置に配置され、レーザ素子の偏光方向が非線形光学結晶の周期分極反転方向と一致した場合には、波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。
図15は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第6例)の平面図(XY平面)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された三角格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、扁平率が0よりも大きな概略楕円形(真円ではない)に設定されており、この概略楕円形の長軸が、三角格子を構成する横の格子線LHに沿って延びており、右上から左下に延びる格子線をLV1,左上から右下に延びる格子線をLV2として示しており、各格子は正三角形を構成している。
第6例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層6における異屈折率領域6Bが三角格子の格子点位置に配置され、レーザ素子の偏光方向が非線形光学結晶の周期分極反転方向と一致した場合には、波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。
図16は、レーザ素子におけるフォトニック結晶層(第7例)の平面図(XY平面)である。
フォトニック結晶層6は、第1屈折率媒質からなる基本層6Aと、第1屈折率媒質とは屈折率の異なる第2屈折率媒質からなり基本層6A内に存在する複数の異屈折率領域6Bとを備え、複数の異屈折率領域6Bは、フォトニック結晶層の主表面上に設定された三角格子(点線で示す)における格子点位置に配置されている。
それぞれの異屈折率領域6Bの平面形状は、概略直角台形に設定されており、この概略直角台形における高さを規定する1辺が、三角格子を構成する横の格子線LHに沿って延びており、右上から左下に延びる格子線をLV1,左上から右下に延びる格子線をLV2として示しており、各格子は正三角形を構成している。
第7例のレーザ装置において、フォトニック結晶面発光レーザ素子から出射されたレーザ光が、周期分極反転構造を有する非線形光学結晶に入射すると、非線形光学結晶において波長変換が行われ、非線形光学結晶から出射される。ここで、フォトニック結晶層における異屈折率領域が三角格子の格子点位置に配置され、レーザ素子の偏光方向が非線形光学結晶の周期分極反転方向と一致した場合には、波長変換光はガウス分布点形状ビームパターンを持ち、光強度が、際立って向上する。
図17は、レーザ装置におけるレーザ素子の縦断面構成を示す図である。
このレーザ素子LDは、半導体基板1と、下部クラッド層2と、下部光ガイド層3と、フォトニック結晶層6と、活性層4と、上部光ガイド層5と、上部クラッド層7と、コンタクト層8を順次積層してなり、半導体基板1の裏面には第1電極、コンタクト層8の上面には第2電極E2が接触して設けられている。図4に示したものと、フォトニック結晶層6の位置のみが異なり、材料、構造及び機能は、図4のものと同一である。このレーザ素子においても、第1電極E1と第2電極E2との間に順方向バイアス電圧を印加すると、クラッド層間に位置する活性層4内において発光が生じ、フォトニック結晶層6によって変調されて。基板面に垂直な方向(c軸、Z軸)にレーザ光LBが出射する。
図18は、レーザ装置の縦断面構成を示す図である。
このレーザ装置は、図1に示したものと比較して、ヒートシンク5がV溝を備えておらず、支持部材3が、Z軸方向の回転軸10を回転可能に支持しており、回転軸10と支持部材3との間にはボールベアリングBが介在し、回転軸10の先端に副支持部材11が固定され、副支持部材11上にレーザ素子LDが接着剤4を介して固定されている点が異なる。なお、支持部材3には回転止めのピン機構12が設けられており、ピン機構12を挿入すると副支持部材11の裏面に当接し、レーザ素子LDの回転位置が固定される。その他の構成は、図1に示したものと同一である。
このような構成によっても、レーザ素子LDと非線形光学結晶NLとの相対回転角θを調整することができる。
図19は、本レーザ装置における波長と強度の関係を示すグラフである。
レーザ素子LDから出射されたレーザ光は中心波長として1068nmを有している(図19(A))。この場合において、非線形光学結晶NLから出射されるレーザ光の中心波長は534nmの波長を有する(図19(B))。周波数が2倍(波長は1/2)となる高調波が得られている。
図20は、レーザ素子への注入電流J(mA)と、非線形光学結晶NL通過後の全体光出力It(mW)及び波長変換光出力Ic(a.u.)の関係を示す図である。
注入電流Jを増加させると、全体光出力Itはレーザ素子の光出力を反映して高い線形性を維持して増加する。一方、非線形光学結晶から出力される波長変換光出力Icは、注入電流Jに対して非線形な上昇が確認された。これは非線形光学結晶NLの波長変換効率が入射基本波レーザ光の光密度の二乗に比例することに対応している。
なお、上述の実験における寸法は以下の通りである。
非線形光学結晶:MgOドープLiNbO3(PPLN)
L2=35mm
L3=7μm
W2=0.5mm
異屈折率領域を構成する直角二等辺三角形の寸法:240nm(二等辺の長さ)
正方格子の格子線の間隔:320nm
なお、本発明では、レーザ素子と非線形光学結晶との間に集光又はコリメータレンズを備えてもよい。また、レーザ素子のフォトニック結晶部6Bは、半導体材料により完全に埋め込まれていても良いし、空隙となっていても良い。また、非線形光学結晶は分極反転構造を持つ物のみを示したが、分極反転構造を持たないKTiOPO4(KTP)、β―Ba2B2O3(BBO)、またはLiB2O5(LBO)等の非線形光学結晶を用いても良い。この時は非線形光学結晶の最も波長変換効率の高い結晶面に対して、レーザ素子の偏光方向を合わせれば良い。なお、上述のレーザ素子は、非線形光学結晶なくして単独で発振してレーザ光を出射するものである。
なお、上述の構造において、活性層4およびフォトニック結晶層6を含む構成であれば、材料系、膜厚、層の構成には自由度を持つ。レーザ素子の製造においては、各化合物半導体層は、有機金属気相成長(MOCVD)法を用いる。半導体基板1の(001)面上に結晶成長を行うが、これに限られるものではない。また、上述のAlGaAsを用いたレーザ素子の製造においては、AlGaAsの成長温度は500℃〜850℃であって、実験では550〜700℃を採用し、成長時におけるAl原料としてTMA(トリメチルアルミニム)、ガリウム原料としてTMG(トリメチルガリウム)およびTEG(トリエチルガリウム)、As原料としてはAsH3(アルシン)、N型不純物用の原料としてSi2H6(ジシラン)、P型不純物用の原料としてDEZn(ジエチル亜鉛)を用いる。GaAsの成長においては、TMGとアルシンを用いるが、TMAを用いない。InGaAsは、TMGとTMI(トリメチルインジウム)とアルシンを用いて製造する。必要に応じて基板表面を被覆する絶縁膜の形成は、PCVD(プラズマCVD)法を用いて形成すればよい。
すなわち、上述のレーザ素子は、まず、N型の半導体基板(GaAs)1上に、N型のクラッド層(AlGaAs)2、ガイド層(AlGaAs)3、多重量子井戸構造(InGaAs/AlGaAs)4、光ガイド層(GaAs/AaGaAs)5、フォトニック結晶層となる基本層(GaAs)6Aを、MOCVD(有機金属気相成長)法を用いて順次、エピタキシャル成長させる。次に、PCVD(プラズマCVD)法により、SiN層を基本層6A上に形成し、レジストを、SiN層上に形成する。
次に、レジスト上に電子ビーム描画装置で2次元微細パターンを描画し、現像することでレジスト上に2次元微細パターンを形成する。その後、レジストをマスクとして、ドライエッチングにより100〜300nm程度の深さを持つ2次元微細パターンを基本層6A上に転写し、孔(穴)を形成し、レジストとSiN層を除去する。次に、上部クラッド層(AlGaAs)7、コンタクト層(GaAs)8を順次MOCVDで形成し、適当な電極材料を蒸着法で基板の上下面に形成して第1及び第2電極を形成する。また、必要に応じて、基板の上下面に絶縁膜をPCVD(プラズマCVD)法等で形成することができる。
フォトニック結晶層を活性層の下部に備える場合には、活性層及び下部光ガイド層の形成前に、下部クラッド層上にフォトニック結晶層を形成すればよい。
なお、格子間隔aの正方格子の場合、直交座標の単位ベクトルをx、yとすると、基本並進ベクトルa1=ax、a2=ayであり、並進ベクトルa1、a2に対する逆格子基本ベクトルb1=(2π/a)y、b2=(2π/a)xである。フォトニック結晶のエネルギーバンドギャップにおける波数ベクトルk=nb1+mb2(n、mは任意の整数)の場合に、波数kがΓ点となり、格子間隔aが波長λに等しい共振モード(XY平面内における定在波)が得られる。なお、モードA(Mode A)は、共振モードの中で最も周波数が低いものであり、モードB(Mode B)は、その次に周波数の低いものである。
なお、上述のフォトニック結晶層(位相変調層)内の定在波の面内電磁界分布(点光源の面内位相分布)をフーリエ変換して得られる形状は、ガウス分布点形状(スポット)である。なお、基本層6Aの屈折率は3.0〜3.5、異屈折率領域6Bの屈折率は1.0〜3.4であることが好ましい。なお、レーザ光の偏光方向は、平面視における孔形状の長手方向の水平あるいは垂直方向に沿う傾向がある。