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JP4190831B2 - 通気性モルタル、その製造方法、その使用方法、通気性コンクリート、通気性構造物および植生基盤構造物 - Google Patents
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JP4190831B2 - 通気性モルタル、その製造方法、その使用方法、通気性コンクリート、通気性構造物および植生基盤構造物 - Google Patents

通気性モルタル、その製造方法、その使用方法、通気性コンクリート、通気性構造物および植生基盤構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通気性モルタル、その製造方法、その使用方法、通気性コンクリート、通気性構造物および植生基盤構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゼオライト、パーライトなどの多孔質材料と、内部に連続した空隙とを有する多孔質コンクリートが知られている。これらは、主として、通気性、通水性を有する土木・建築材料として使用される。そして、多孔質コンクリートに浸透する空気や水が多孔質材料と接触することにより、吸着、イオン交換といった多孔質材料が有する浄化作用などが利用されていた。
例えば、特開2000−129648公報(特許文献1)には、砂利を水質浄化粉末で被覆し、砂利の間に空隙を形成しつつ、接着剤で接着した多孔質コンクリートが記載されている。
特開平9−151544号公報(特許文献2)には、ALC(autoclaved lightweight concrete)などの気泡コンクリートにゼオライト粒子を混在させた建材が記載されている。
特開平7−315903号公報(特許文献3)には、粗骨材を天然ゼオライトとし、形状保持のために繊維を加えた緑化用コンクリートが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術による多孔質コンクリートには、以下に述べる問題があった。
特許文献1に記載された技術は、径が10mm〜40mm程度の砂利を骨材に採用し、その大きさによって、接着成形後も内部に連続空隙が形成されることを利用している。そして、水質浄化材は、骨材の成形後に、その外表面から吹き付けることにより、骨材を接着する接着剤で固定される。
したがって、粒径の大きな粗骨材を使うから、母体となるコンクリートは固化前であってもほとんど流動性がないという問題があった。また、水質浄化材が表面近傍に配置されやすく、内部に配置されにくいことから、多孔質コンクリート内部を浸透する水流には、浄化作用が働かないという問題があった。
【0004】
特許文献2に記載の技術は、ALCなどの気泡コンクリートを用いるが、これらの気泡は、ほとんど独立気泡であり、特に内部に行くほど孤立した気泡となる。したがって、全体としては通気性がない。この技術は、建材表面に多数の気泡が露出され、それにより建材の表面積が増大し、コンクリート中に含まれるゼオライトの表面露出量が増大されることで、大気浄化効果が増大するというものである。したがって、通気性、通水性を要する用途には利用できないという問題があった。また、建材の内部に閉じ込められたゼオライトの浄化機能が有効に利用できないという問題があった。
【0005】
特許文献3に記載の技術は、粗骨材にゼオライトなどを用いるものであり、通常5mm〜25mmだが、これよりも大きくてよい、とされる粒径を備える。したがって、特許文献1と同様、粗骨材間に空隙が形成されるものの、固化前であっても流動性を有さないという問題があった。
また、特許文献3に記載された繊維は、材質が有機であるか、無機であるかを問わず、その直径が0.001mm〜2.0mmである。それにより、コンクリートの形状の保持を良好にするという効果を奏するものである。すなわち、通気性を向上させるための繊維の構成については何ら開示がなく、実際、ここでの繊維は粗骨材を形成する空隙に充填されるものだから、通気性の向上には役立たないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、多孔質材料を内蔵して、その種々の機能を効率的に生かすことができるとともに、固化前に優れた流動性を備えるようにした通気性モルタル、その製造方法、その使用方法、通気性コンクリートおよび通気性構造物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルであって、最大粒径が5mm以下の多孔質材料からなる細骨材と、固化材と、水と、通気性を有する繊維質材料とを含有するようにする。
この発明によれば、気泡間が繊維質材料内の通気路により連絡され、通気性モルタルの通気性が向上する。そして、気泡内面や、繊維質材料の通気路に露出する多孔質材料が、浸透する空気、水などと接触することができる。また、最大粒径が5mm以下の多孔質材料を細骨材に用い、さらに気泡が混入されているので、固化前には流動性を有することができる。
【0008】
なお、本明細書では、通気性モルタルと称するが、本発明の通気性モルタルは通水性も備えている。したがって、正しくは、通気性および通水性モルタルと称すべきところ、本明細書では、簡単のために、通水性を含むものとして通気性という用語を用いることにする。なお、文脈上、通過物が水に限られる場合は、通水性という用語も用いることがある。
また、モルタルとは、一般にセメントと砂と水を混練したものを指し、砂は一般に直径2mm以下の粒径のものを指すから、本発明の通気性モルタルは、一般的なモルタルより広義のものである。しかしながら、粒径が大きくても多孔質材料であるため、同粒径の砂に比べて見かけ上の密度が小さく、モルタル同様の流動性を有するものである。
【0009】
請求項2に記載の発明では、内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルであって、最大粒径が5mm以下の多孔質材料からなる細骨材と、固化材と、水と、微生物により分解される繊維質材料とを含有するようにする。
この発明によれば、混合された繊維質材料が気泡間をつないだ状態で固化し、そのあと微生物により繊維質材料が分解されて空隙が生じるから、通気性モルタルの通気性が向上する。そして、気泡内面や、繊維質材料の通気路に露出する多孔質材料が、浸透する空気、水などと接触することができる。また、最大粒径が5mm以下の多孔質材料を細骨材に用い、さらに気泡が混入されているので、固化前には流動性を有することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の通気性モルタルにおいて、前記繊維質材料を分解する嫌気性微生物を添加する。
この発明によれば、嫌気性微生物を添加しておくので、繊維質材料の分解を促進できる。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載の通気性モルタルにおいて、起泡剤を添加することにより、前記気泡を形成する。
この発明によれば、起泡剤を用いることにより気泡の大きさや分布や流動性の制御が容易となる。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の通気性モルタルにおいて、前記気泡の平均径と、前記繊維質材料の短手方向断面の平均径とがほぼ等しくなるようにする。
この発明によれば、繊維質材料が貫通して適度の大きさの気泡のまま留まることが可能であるから、固化後の通気性モルタルの強度を低下させることなく、通気性を向上させることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の通気性モルタルにおいて、前記多孔質材料がゼオライトである構成とする。
この発明によれば、ゼオライトの有する機能、例えば、表面吸着性、イオン交換性などの機能を備える通気性モルタルとすることができる。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルと粗骨材とを含有する通気性コンクリートとする。
この発明によれば、通気性モルタルに多孔質材料が含有されているから、通気性コンクリート内部でも多孔質材料の機能を発揮することができる。また、粗骨材による空隙が小さくとも通気性モルタルにより通気性が得られるので、粗骨材の大きさを小さくすることができ、コンクリートとして流動性の高いものとすることができる。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルまたは請求項7に記載の通気性コンクリートを打設して形成した通気性構造物とする。
この発明によれば、優れた流動性により種々の形状であっても容易に打設することができ、多孔質材料の機能を効率的に発揮する通気性構造物を容易に形成することができる。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項2または3に記載の通気性モルタルを打設して形成することにより、内部に微生物分解性有機物を含有せしめる植生基盤構造物とする。
この発明によれば、通気性モルタルに含まれる繊維質材料が分解されると、肥料になるので、肥料を添加する手間をなくすか、または低減することができる。
【0017】
請求項10に記載の発明では、内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルの製造方法であって、水に、固化材と多孔質材料とを混合し、それらを解膠しながら混合攪拌し、その後、気泡および繊維質材料を加えることを特徴とする通気性モルタルの製造方法とする。
この発明によれば、解膠により、多孔質材料の粒径のばらつきを抑えるとともに、通気性モルタルの内部に均質に分散させることができる。また、通気性モルタルの流動性を向上させることができる。
【0018】
請求項11に記載の発明では、請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルを充填剤として打設することを特徴とする通気性モルタルの使用方法とする。
この発明によれば、不定形の空隙を充填して、固化後に通気性および多孔質材料の有する、例えば浄化作用などの機能を有する構造を形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、各実施形態のすべての図面を通して、同一または相当する部材は、同一の符号を付し、適宜説明を省略する。また、いずれの図面も概略図であり、見やすくするために、大きさの誇張が施されている。
【0020】
本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1を説明するための模式図である。図1(b)は、図1(a)の拡大模式図である。
【0021】
通気性モルタル1は、多孔質細骨材混練モルタル2、気泡3および繊維4(繊維質材料)から構成される。多孔質細骨材混練モルタル2は、多孔質材料2a、固化材2bおよび水2cを混練したものである。
図1(b)に示したように、多孔質材料2a、気泡3および繊維4は、固化材2bと水2cとが混合されたペースト状の母体中にランダムに分散されている。そして、気泡3の内部には、多孔質材料2aの表面や繊維4の先端などが貫入した状態が形成されている。
以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
【0022】
多孔質材料2aは、骨材としての強度を備えていれば、目的に応じた機能、例えば、吸着、イオン交換、触媒作用、軽量化、脱臭、気泡形成などに応じて、適宜の多孔質材料を採用することができる。例えば、ゼオライト、パーライト、活性炭などが採用できる。ただし、十分流動性が得られるようにするため、細骨材として用いる。具体的には、最大粒径が5mm以下の状態とされている。
【0023】
例えば、固化後の通気性モルタル1を大気浄化材や水質浄化材として用いる場合には、ゼオライトを好適に用いることができる。
ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライト、人工ゼオライトに分類され、本実施形態ではいずれも採用できる。
【0024】
天然ゼオライトは、化学成分としては、SiO、Al、アルカリ金属、アルカリ土類金属、さらにHOを含有し、立体網目状構造を備える一群の鉱物の総称で、沸石とも呼ばれる。いずれも、表面には分子レベルの大きさの開孔を多数有し、それにより、優れた吸着作用を備える。さらに、イオン交換性を備える。このため、重金属や放射性物質などの有害物質を吸着することができる。さらに、水分を吸着して保持する保水機能を備える。また、アルカリ性環境に置かれた場合は、その中性化を促進することができる。
また、大きさは、産出された状態から粉砕することにより、適宜の大きさとすることができる。
【0025】
合成ゼオライト、人工ゼオライトは、工業的な方法により、種々の物質から天然ゼオライトに性質が類似した物質を形成したものである。そのため、吸着性や、イオン交換性などが向上されている。また、天然ゼオライトとは異なり、球状、円柱状などの規則的な形状を有する粒状体として製造されるので、粉砕するなどの手間が不要となる。
【0026】
気泡3は、後述する方法により、多孔質細骨材混練モルタル2内に、所定範囲の粒径を有する独立気泡として、混入され、内部で分散される。気泡3の混入率の下限値は、通気性モルタル1に対する体積比で10%以上とする。上限値は、固化時の強度や通気性の程度に応じて適宜に設定することができるが、後述する繊維4との配分を考慮すると、40%以下とすることが好ましい。
【0027】
繊維4は、本実施形態においては、複数の気泡3に接触してそれぞれを連通させ、気泡3を連続気泡性に変えることを主たる目的として、添加するものである。すなわち、繊維4は、複数の気泡3に接したとき、それらをつなぐパイプの役割を果たす必要がある。
そのため、通気性を有するか、微生物により分解されるか、あるいはその両方の性質を備える材質を採用する。つまり、通気性を有すれば、繊維4自体の働きにより、複数の気泡3が連通される。また、微生物により分解される性質を備えれば、通気性モルタル1が固化したあと、繊維4が分解されて繊維4内に隙間が生じたり、繊維4が消失したりして、固化した通気性モルタル1内に空隙が生じるため、連通が実現されるものである。
【0028】
さらに、繊維4の短手方向断面の平均径(以下、繊維4の平均径と称する)が、気泡3の平均径と同程度の大きさとなるようにする。気泡3と繊維4の接触の確率を増やすためには、気泡3の数量、気泡径をとも増大させればよいことは自明だが、両者を同時に増大させると、通気性モルタル1の強度が低下する。すなわち、気泡3の数量と気泡径にはトレードオフがある。この場合には、気泡径を小さくして、気泡3の個数の分布密度を上げる方が効率がよい。一方、気泡径が繊維4の平均径より小さいと、一つの気泡3に対して複数の繊維4が接触することが難しくなる。したがって、気泡3に繊維4を接触させる最も効率のよい条件は、気泡3の平均径と繊維4の平均径がほぼ同程度の大きさとすることである。
その際、繊維4の長さは、少なくとも気泡3間の平均距離以上としておく。
【0029】
このような繊維4の例としては、内部の長手方向に連続する空隙を有する繊維を挙げることができる。また、微生物により分解可能なものは、有機質繊維、例えば、天然植物繊維、パルプ繊維、生分解性プラスチック製繊維などを挙げることができる。
【0030】
繊維4として、微生物により分解可能な有機質繊維を採用する場合、通常は、自然界に存在する微生物の作用による分解が期待できるが、通気性モルタル1に繊維4を分解する嫌気性微生物(不図示)を添加しておいてもよい。これにより、繊維4の分解が促進され、固化後に通気性を生じるまでの時間を短縮することができるという利点がある。
また、嫌気性微生物は、通気性モルタル1に直接添加するのではなく、繊維4を混入する以前に繊維4内部に浸透するように添加してもよい。そのようにすれば、嫌気性微生物に無駄がなくなり効率がよい。
【0031】
繊維4の通気性モルタル1に対する混入率は、体積比で、下限値が10%以上となるようにする。そして、気泡3の混入率とほぼ同程度とするのが好ましい。したがって、繊維4の混入率の上限値は、40%以下とすることが好ましい。
【0032】
固化材2bは、セメント系材料、例えば、普通ポルトランドセメント、高炉スラグセメント、フライアッシュセメントなどを採用することができる。
水2cは、固化材2bに対して、質量比で、50%〜1000%の割合で用いる。ただし、繊維4に吸水される分量は除くものとする。
【0033】
次に、本実施形態に係る通気性モルタル1の製造方法について説明する。
まず、適宜の攪拌機に、所定粒径に粉砕した多孔質材料2a、固化材2bおよび水2cを混入して攪拌し、多孔質細骨材混練モルタル2を作り、そこに繊維4を投入して、さらに、混合攪拌する。このとき、水2cは、繊維4の吸水量を考慮して、多めに加える。
【0034】
一方、適宜の気泡製造機によって気泡3を製造し、多孔質細骨材混練モルタル2に混合する。そして、多孔質材料2a、繊維4および気泡3が、一様に分散するまで、適宜時間攪拌する。このようにして通気性モルタル1が得られる。
それぞれの配合量は、固化前の流動性や、固化後の通気性、強度および比重に応じて、適宜決定することができる。
【0035】
気泡3は、例えば、適宜の起泡材を水で希釈し、圧縮空気を加えることにより製造できる。起泡材としては、例えば、タンパク質系、界面活性剤系、樹脂系などがあるが、多孔質細骨材混練モルタル2に混合したとき、繊維4の平均径と同程度の平均径が得られれば、どんなものを採用してもよい。
【0036】
なお、通気性モルタル1を、例えば裏込め材などの充填材として用いる場合、流動性を向上するために、次のような製造方法によってもよい。
まず、多孔質材料2a、固化材2bおよび水2cを、解膠機能付の攪拌機などを用いて、解膠しながら攪拌する。この強せん断攪拌により、凝集沈降が抑制される。すなわち、通気性モルタル1の中で多孔質材料2a同士が吸着して見かけ上の粒径が大きくなったり、粒径分布に偏りが生じることを確実に防止できるので、優れた流動性が得られる。
【0037】
次に、繊維4と気泡3を混合して攪拌する。このときは、繊維4が寸断されないように、解膠機能は解除して攪拌する。このようにして、流動性の向上した通気性モルタル1が得られる。
【0038】
なお、上記では、気泡3を別に製造して混合する例で説明したが、多孔質細骨材混練モルタル2に化学反応性の発泡材(起泡材)を添加することにより、気泡3を内部発生させてもよい。そのような発泡材としては、アルミニウム(Al)粉末を用いることができる。Al粉末は多孔質細骨材混練モルタル2に含まれるアルカリ分、例えば、Ca(OH)と反応して、水素ガスを発生するため、気泡3が得られる。その際、多孔質細骨材混練モルタル2に適宜の粘性を付与する適宜の発泡安定剤を添加すれば、より安定した粒径の気泡3を得ることができる。
【0039】
次に、通気性モルタル1の作用効果について説明する。
通気性モルタル1は、固化前には、一般のモルタルと同様に、優れた流動性を備えるから、任意形状の隙間や型枠に打設して成形することが可能である。すなわち、充填材として使用することができる。その際、見かけ上の比重が小さい多孔質材料2a、骨材に比べて低比重の繊維4および気泡3を多量に含むので、きわめて軽量な充填材となる。また、固化後は、適度の強度と通気性とを備える。
【0040】
図1(b)は、固化前の組成を示しているが、固化後、水2cと固化材2bの領域が固化物になるだけで、多孔質材料2a、気泡3および繊維4の位置関係は変わらないから、以下、固化後の説明においても、図1(b)を参照して説明する。
【0041】
図1(b)に示すように、気泡3は、互いに距離をおいて分散されているが、通気性モルタル1には、多量の多孔質材料2aと繊維4が混合されているので、気泡3内部には、相当の確率で、多孔質材料2aと繊維4とが存在する。しかも、繊維4の平均長さは、気泡3の平均間隔より長いため、繊維4は非常に高い確率で、複数の気泡3の内部に侵入している。気泡3内に、繊維4、多孔質材料2aなどが侵入すると、気泡3の粒径は大きくなる。そのため、独立気泡の径がほぼ繊維4の径と同じであっても、図1(b)に示したように、複数の繊維4が侵入することが可能である。
繊維4に通気性がある場合は、気泡3同士が連通され、連続性気泡が形成される。また、繊維4が微生物により分解される場合は、所定時間経過後、繊維4が分解されて固化物中に空隙が生じることにより、気泡3同士が連通されて、連続性気泡となる。通気性の程度は、表面に連通する連続性気泡の割合によるから、一般には、気泡3、繊維4の数が多いほど通気性に優れる。したがって、それぞれの混入量を調整することにより、通気性の程度を制御することができる。
【0042】
そして、気泡3内部には、かなりの確率で多孔質材料2aが含まれるか、少なくと表面を露出させているので、通気性モルタル1の外部から侵入する空気や水が多孔質材料2aと接触可能となる。そのため、通気性モルタル1の内部に分散された多数の多孔質材料2aの有する吸着作用、イオン交換作用などが有効となり、例えば大気浄化材や水質浄化材としての利用が可能となる。
これにより、多孔質材料2aの有効利用を図ることができ、その吸着や浄化作用の耐用年数を延ばすことが可能となる。
【0043】
また、通気性モルタル1に粗骨材を加えて混練すれば、固化時に通気性を有する通気性コンクリートが得られる。この場合、通気性は、通気性モルタル1の固化部分に生じるから、粗骨材の間に空隙がなくても通気性が確保される。したがって、粗骨材間に空隙を作るために粗骨材の粒径を大きくする必要がなく、コンクリートとしては比較的流動性の高いものとすることができるから、成形性のよい通気性コンクリートが得られる。また、多孔質材料2aにより、吸着作用やイオン交換性を備える通気性コンクリートとすることができる。なお、粗骨材として多孔質材料、特にゼオライトを用いることも可能で、この場合、ゼオライトの効果が一層増す。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態に係る大気浄化構造体(通気性構造物)について説明する。
図2は、本実施形態の一例である大気浄化構造体5を説明するための斜視説明図である。図3は、本実施形態の他の一例である大気浄化構造体6を説明するための斜視説明図である。
【0045】
本実施形態は、通気性モルタル1を使用して大気浄化作用を有する通気性構造物を提供するものである。
大気浄化構造体5は、その一例であって、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1またはそれに適宜の粗骨材を加えて打設したパネル状の構造物である。その製造方法は、現場で打設してもよいし、工場などの現場以外で製作し運搬して設置するプレキャスト版としてもよい。また、粗骨材を加える場合、先に粗骨材を投入して、後から通気性モルタル1を充填して作成するプレパクトコンクリートとして製造してもよい。
したがって、図示の形状以外に、箱状、円環状など種々の形状の構造物を形成することができる。
このため、人工または自然の手段により、図示矢印のように、大気浄化構造体5に通気させ、大気浄化構造体5の内部に含まれる多孔質材料2aにより、空気に含まれる微粒子、有害物質、臭気などを、吸着したり、分解したりすることができる。
【0046】
本実施形態の変形例として、通気性モルタル1を構造物の一部に複合させることが可能である。
図3に示したのは、その一例である大気浄化構造体6である。
大気浄化構造体6は、支持パネル6aと通気性モルタル1とからなる。
支持パネル6aは、例えば木材、コンクリート、鉄骨などの構造材料である。通気性モルタル1は、支持パネル6aに吹き付けたり、型枠を用いて打設したりするなどして、支持パネル6aの表面に接合する。
通気性モルタル1の固化後、大気浄化構造体6は、表面に通気性が生じ、多孔質材料2aの作用による大気浄化作用を備えることができる。このため、大気浄化作用を有する建築物外壁として利用することができる。通気性モルタル1の流動性により吹き付け施工が可能となるので、既設建築物にも容易に施工することができるという利点がある。
【0047】
また、大気浄化構造体5、6は、雨水などを受けると多孔質材料2aに保水される保水壁としての機能を備えており、保水された水分が蒸発することにより、構造物の周辺の温度調整機能を発揮することができる。したがって、ヒートアイランド化防止のための建材として好適である。
【0048】
次に本発明の第3の実施形態に係る水質浄化構造体(通気性構造物)について説明する。
図4は、本実施形態の一例である浄水システム7を説明するための斜視説明図である。図5は、本実施形態の一例である水質浄化構造体12を説明するための断面説明図である。
【0049】
本実施形態の水質浄化構造体8a、8b、12は、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1またはそれに適宜の粗骨材を加えて打設した構造物である。
水質浄化構造体8a、8bは、いずれも壁状または版状に構成されている。
水質浄化構造体12は、上側に開口するコ字状断面を備える箱状、円筒状または管路に構成されている。その製造方法は、現場で打設してもよいし、プレキャスト版としてもよいし、プレパクトコンクリートとしてもよい。
【0050】
図4に示したのは、水質浄化構造体8a、8bを用いて、浄水システム7を構成した例である。
浄水システム7は、浄化槽底面11上に設けられ、汚水の出入口(不図示)を備えた浄化槽である。水質浄化構造体8a、8bを浄化槽底面11上に設けることにより、浄化層は浄化槽9a、9b、9cに仕切られている。そして、適宜の手段、例えば、高低差、人工水流などにより、浄化槽9aの汚水10aが、常に水質浄化構造体8aに向かう一方向流れを形成する。
【0051】
そこで、汚水10aは、水質浄化構造体8aを透過して、浄化槽9bへ移動し、さらに、水質浄化構造体8bを透過して、浄化槽9cに至る。水質浄化構造体8a、8bを透過する過程で、多孔質材料2aの作用を受けて、汚水分である種々の物質が吸着されたり、分解されたりする。このようにして、浄化槽9cには、浄化水10bが貯水される。
【0052】
図5に示したのは、水質浄化構造体12を汚水10a中に設置して水質浄化を行っている例である。水質浄化構造体12は、開口部が汚水10aの水面より上に出ているように配置するので、自然水圧により、汚水10aが水質浄化構造体12に浸透し、水質浄化構造体12の開口部に浄化水10bが貯水される。そして、浄化水10bを適宜排水することにより、汚水10aの流れを維持することができる。
【0053】
次に、本発明の第4の実施形態に係る通気性モルタルの使用方法について説明する。
図6は、本実施形態に係る通気性モルタルを裏込め材14として使用して施工した水管15を説明するための断面説明図である。図7は、同じく排水路16を説明するための断面説明図である。
【0054】
水管15は、地山13に埋められて、汚水10aを送水するためのものである。水管15は、例えばコンクリート管や鋼管を採用することができる。地山13への固定は、水管15と掘削された地山13との間に、裏込め材14(充填材)を注入することで行われる。裏込め材14は、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1と同じ構成を採用する。
【0055】
排水路16は、例えばコンクリートブロックなどからなる上方に開口した断面コ字状の管路である。地山13への固定は、排水路16と掘削された地山13との間に、埋め戻し材17(充填材)を充填することで行われる。埋め戻し材17は、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1と同じ構成を採用する。
【0056】
これらの構成によれば、水管15、排水路16の継ぎ目などから汚水10aがもれた場合にも、裏込め材14内に含まれる多孔質材料2aにより水質が浄化されてから、地山13に浸透するので、汚水10aのもれによる環境汚染を防止することができる。
【0057】
次に、本発明の第5の実施形態に係る植生基盤構造物について説明する。
図8(a)は、本実施形態に係る緑化護岸構造体20(植生基盤構造物)を説明するための断面説明図である。図8(b)は、同じく緑化ブロック23を説明するための断面説明図である。
【0058】
緑化護岸構造体20は、河川18に対する堤体の法面を補強して護岸するとともに、植物19の繁生を可能にするものである。
図8(a)に示したように、緑化護岸構造体20は、本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタル1に、適宜の大きさの骨材20aを混練して、現場で型枠を用いて打設したり、吹き付けたりするか、またはそれら材料により工場などの現場以外で製作したプレキャストコンクリートブロックを形成して設置することにより形成する。その際、使用する通気性モルタル1は、繊維4を微生物が分解可能な有機質繊維とし、必要に応じて適宜の嫌気性微生物を添加した構成を用いる。また、多孔質材料2aには、イオン交換性を備えるゼオライトを用いる。
【0059】
なお、骨材20aは、通気性モルタル1内の多孔質材料2aにより、必要な強度、空隙20bが確保される場合は添加しなくともよい。
空隙20bは、繁生を意図する植物19の根19aが貫通し得るように、気泡3、繊維4の大きさや骨材20aの大きさにより適宜調整する。
【0060】
このような緑化護岸構造体20によれば、多孔質材料2aであるゼオライトの作用により、コンクリートの中性化が促進され、植物19が繁生しやすくなる。また、繊維4が微生物により分解されることにより、緑化護岸構造体20内に窒素、リン、カリウムなどの堆肥成分が形成される。しかも、それらは、多孔質材料2aに吸着されることにより、水流などに流されることなく緑化護岸構造体20内に残存する。したがって、空隙20bに肥料や腐葉土を充填するなどの手間をかけることなく、植物19の繁生を促進することができるという利点がある。
さらに、緑化護岸構造体20は、河川18中の富栄養化物質を吸着して河川18から除去し、それらを繁生する植物19に吸収させることにより、自然界の物質循環を促進する作用を備える。この物質循環により、多孔質材料2a内に吸着された物質が固定化されることなく、絶えず吸着能、イオン交換能を維持することが可能となる。
【0061】
またこのような緑化護岸構造体20は、生活排水などの汚水が流れ込む河川に設置すれば、汚水を浄化してから、周辺地盤へ浸透させることができるから、環境汚染防止にも貢献することができる。
【0062】
図8(b)に示した緑化ブロック23は、緑化護岸構造体20と同様の材料構成により、プレキャストコンクリートブロックを形成して、地盤24上に配置したものである。符号22は、表土である。
このような緑化ブロック23によれば、例えば植物19を植えて容易に緑化できる透水性舗道などを形成できる。また水質浄化機能も兼ねる。さらに、多孔質材料2aに多量の水を保水することができるので、それが蒸発する際の気化熱により温度低減作用を備えるから、ヒートアイランド化の防止策として好適である。
【0063】
なお、緑化ブロック23は、地盤の上に置かず、建築物の壁面緑化材や、トンネル内壁として用いてもよい。その場合、植物19による酸素供給と、多孔質材料2aの大気浄化作用が相乗して、優れた換気機能を備える機能壁として用いることができる。
【0064】
なお、上記に説明した通気性構造物において、遅延材の使用により表面剥離させたり、築造の初期またはメンテナンス時にウォータージェットを噴射させたりすることにより、通気性構造物の表面および内面が目詰まりしないようにすると、通気性構造物の効果を一段と向上させることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の通気性モルタルおよびその製造方法によれば、多孔質材料を内蔵して、その種々の機能を効率的に生かすことができるとともに、固化前に優れた流動性を備えるようにすることができるという効果を奏する。
本発明の通気性モルタルの使用方法によれば、本発明の通気性モルタルを充填材として使用することにより、構造物と地山の間に多孔質材料の有する種々の機能を備えた裏込め層を形成することができるという効果を奏する。
本発明の通気性コンクリートによれば、粗骨材の粒径が小さくても通気性を備えることができるから、固化前に流動性の高い通気性コンクリートとすることができるという効果を奏する。
本発明の通気性構造物によれば、多孔質材料の種々の機能を備えた通気性構造物とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る通気性モルタルを説明するための模式図および拡大模式図である。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係る通気性構造物の一例である大気浄化構造体を説明するための斜視説明図である。
【図3】 同じく本実施形態に係る大気浄化構造体の他の一例を説明するための斜視説明図である。
【図4】 本発明の第3の実施形態に係る通気性構造物の一例である浄水システムを説明するための斜視説明図である。
【図5】 同じく本実施形態に係る通気性構造物の一例である水質浄化構造体を説明するための断面説明図である。
【図6】 本発明の第4の実施形態に係る通気性モルタルの使用方法を説明するための断面説明図である。
【図7】 同じく本実施形態の他の一例を説明するための断面説明図である。
【図8】 本発明の第5の実施形態に係る植生基盤構造物を説明するための断面説明図である。
【符号の説明】
1 通気性モルタル
2a 多孔質材料
2b 固化材
2c 水
3 気泡
4 繊維(繊維質材料)
5、6 大気浄化構造体(通気性構造物)
8a、8b 水質浄化構造体(通気性構造物)
12 水質浄化構造体(通気性構造物)
14 裏込め材(充填材)
17 埋め戻し材(充填材)
19 植物
20 緑化護岸構造体(植生基盤構造物)
20a 骨材
23 緑化ブロック(植生基盤構造物)

Claims (11)

  1. 内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルであって、
    最大粒径が5mm以下の多孔質材料からなる細骨材と、固化材と、水と、通気性を有する繊維質材料とを含有することを特徴とする通気性モルタル。
  2. 内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルであって、
    最大粒径が5mm以下の多孔質材料からなる細骨材と、固化材と、水と、微生物により分解される繊維質材料とを含有することを特徴とする通気性モルタル。
  3. 前記繊維質材料を分解する嫌気性微生物を添加したことを特徴とする請求項2に記載の通気性モルタル。
  4. 起泡剤を添加することにより、前記気泡を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の通気性モルタル。
  5. 前記気泡の平均径と、前記繊維質材料の短手方向断面の平均径とがほぼ等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の通気性モルタル。
  6. 前記多孔質材料がゼオライトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の通気性モルタル。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルと粗骨材とを含有する通気性コンクリート。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルまたは請求項7に記載の通気性コンクリートを打設して形成した通気性構造物。
  9. 請求項2または3に記載の通気性モルタルを打設して形成することにより、内部に微生物分解性有機物を含有せしめる植生基盤構造物。
  10. 内部に気泡を有し、固化後に通気性を備える通気性モルタルの製造方法であって、
    水に、固化材と多孔質材料とを混合し、それらを解膠しながら混合攪拌し、その後、気泡および繊維質材料を加えることを特徴とする通気性モルタルの製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれかに記載の通気性モルタルを充填剤として打設することを特徴とする通気性モルタルの使用方法。
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